流量制御弁

流量制御弁とは

流量制御弁

流量制御弁は、流体の排出量を制御するためのものです。ロボットの関節を駆動させることに使われるアクチュエータの速度を制御する際などに、空気の流量を調整するために使用されます。

流量制御弁には様々な種類があり、微調整が可能な絞り弁や、出口を完全に密閉し流量を0にすることが可能なストップ弁があります。さらに、制御弁は調整を行っていても圧力や温度により流量が変化してしまうことがあるため、圧力や温度が変化しても流量が変化しないよう補償機能が付いた流量調整弁もあります。

流量制御弁の使用用途

流量制御弁は、主にポンプの2次側などに取り付けられ、制御したい値へ流量の制御を行います。本機器にて流量制御を行うことで、排出する流体の量をコントロールすることが可能になります。

また、多くの流量制御弁はセンサーと組み合わせることで、そのフィードバック信号を利用し、自動で弁の開度を制御できるようになっています。自動式にすることで、制御弁2次側での使用量が増え、流量が変動した際も圧力を安定させて使用することが可能になります。

流量制御弁の原理

多様な構造の流量制御弁が販売されています。例えば絞り弁、流量調整弁、複合流量制御弁、ストップ弁などのタイプが挙げられます。ここでは代表的なものとして絞り弁、流量調整弁を紹介します。

絞り弁は円柱型で中が空洞のものが多く、円柱内にさらに小さい制御用の円柱が入っている構造が一般的に用いられます。調節用の円柱を回し一次側に対して二次側の空洞の隙間の大きさを調節することで内部の流体の流量を制御します。このタイプの弁は流量を無段階に調節することができるため微調節が可能というメリットがあります。

流量調整弁の構造は絞り弁と似ています。ただ、この弁は絞り弁に加えて圧力・温度を補償するための弁が組み込まれた構造をしています。絞り弁は周囲の温度や圧力に依存して流量が変化してしまうという構造ですが、対して流量調整弁は周囲温度や圧力に依存せず、設定した流量が変化せず一定に保たれるメリットを持っています。

参考文献
http://www.ishinotec.com/explain/architecture/%E6%B5%81%E9%87%8F%E5%88%B6%E5%BE%A1%E5%BC%81%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%A8%E5%86%85%E9%83%A8%E6%A7%8B%E9%80%A0

同期モーター

同期モーターとは

同期モーター

同期モーター(SM:Synchronous motor)とは、回転磁界とローター(rotor)との回転速度にすべりが生じないモーターのことで、モーター自体の極数(ポール数)と電源の周波数に依存して回転速度が決定します。

すべり分を考慮する必要がないため、通常の交流モーターと差別化を行うことができます。区分的には誘導電動機の一つとして扱います。また、同期モーターは、交流電源とは別に、界磁側(ローター)へ直流電源が必要となります。

同期モーターの使用用途

同期モーターは、速度が負荷側に依存しないという利点から、鉄鋼分野の圧延機などで使用されています。

このモーターを用いる際は同期モーターの反負荷側へ取り付けられたレゾルバなどの回転位置検出器を使用して、モーター回転速度の制御を行います。

元来、同期モーターは速度制御が困難であり、通常の交流モーターが使用されてきましたが、近年では交流モーターと同等以上の速度制御が可能となってきたため、幅広く使用されるようになってきています。

同期モーターの原理

同期モーターは、固定子(stator)に流れる交流電源の周波数により回転磁界が発生し、この回転磁界によりローターの回転速度が決定します(回転磁界と回転子の回転速度は同じ)。

回転子側は、ブラシとスリップリングを通して送られてきたDC電源が、鉄片に巻かれたコイルへ流れることで鉄片が電磁石として作用します。この鉄片は極性(N極またはS極)を持ち、整流子の位置により極性が変わります。この極性と固定子側でできる回転磁界の極性とが反発(極性が同じ)する箇所と引き合う(極性が違う)箇所ができることで、ローター側が回転します。

ローターの回転速度Nは、120F/P で表すことができます。この時、通常のACモーターと異なり、固定子とローターの間にすべりは生じません。また、回転子側にDC電源を供給するために、スリップリングとブラシを設ける必要があります。ブラシは消耗部品であるため、定期的な交換が必要となります。

参考文献
https://speckjapan.com/pm-im

降圧レギュレータ

降圧レギュレータとは

降圧レギュレータとは、汎用的な直流の電圧を入力して、入力した電圧を降圧して、入力した電圧より低い直流の電圧を出力する電源回路です。

入力電圧が多少変動しても、一定の安定した直流電圧を生成し、出力します。降圧レギュレータは、汎用的な電圧から目的に合った特定の電圧を生成し、電子機器内の回路に任意の電圧を供給します。

降圧レギュレータの使用用途

降圧レギュレータは、電気回路に供給する出力電圧値を調整したい時に使用されます。一般家庭の電源コンセントは、交流電源の100Vですが、各種電子機器内の電気回路の多くは、直流電源で動作します。したがって、電源コンセントから供給した交流電源を直流電源 (DC) に変換する必要があります。

電子機器にマイコンやロジックICなどのICなどが搭載されている場合は、DC5VやDC3.3Vの電圧を各ICに供給する必要があるため、交流100Vから変換した直流電圧をさらに降圧させなければなりません。そのようなときに、降圧レギュレータが使用されます。

降圧レギュレータの原理

降圧レギュレータには、シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータがあります。

1. シリーズレギュレータ

シリーズレギュレータの構成ブロックは、制御素子、制御回路、基準電圧源の3つです。一般的に、制御素子はバイポーラトランジスタを使用し、電源入力部と電源出力部の間にレギュレータを直列接続し、入力電圧より低い出力電圧を生成します。

制御回路の目的は、レギュレータ内部の基準電圧源を基に、バイポーラトランジスタのコレクタ、エミッタ間の電圧を制御することです。トランジスタを制御することで、入力電圧の変動や出力電流の変動が発生しても、出力電圧を一定電圧にすることができます。

入力電圧と出力電圧の差分は、トランジスタが熱として消費します。トランジスタの消費電力は、コレクタ、エミッタ間の電圧とコレクタ電流の積になり、シリーズ方式のトランジスタの消費電力は、入出力電圧の差分と出力電流の積です。

シリーズレギュレータのメリットは、トランジスタをON/OFFスイッチしないためノイズが少ないことです。デメリットは、トランジスタの消費電力が大きくなり、発熱することと、出力電流を大きくできないことが挙げられます。

2. スイッチング方式

スイッチングレギュレータの構成ブロックは、出力をON/OFFするスイッチング素子、制御回路と電圧平滑回路です。一般的に、スイッチング素子はFET (Field Effect Transistor) を使用し、電圧平滑回路はインダクタとコンデンサを使用します。

制御回路の目的は、出力電圧が目標の電圧値になるように、スイッチング素子FETをON/OFFすることです。インダクタとコンデンサの目的は、ON/OFFされた出力電圧を平滑して安定した直流電圧にすることです。

一般的に、FETのスイッチングは、パルス幅変調方式を採用しています。FETのスイッチング周期は一定ですが、出力電圧の生成状態に応じて、FETをON/OFFする時間の比率を変更します。

スイッチングレギュレータのメリットは、FETをON/OFFしている分、消費電力がシリーズ方式に比べて少ないので出力電流を大きくできることです。一方で、デメリットはFETをON/OFFした際に、発生するノイズが大きくなることです。

降圧レギュレータの選び方

1. 出力電流

シリーズレギュレータは、負荷電流と消費電力が比例するため、負荷電流を大きくすると、部品の発熱量も多くなります。一方、スイッチングレギュレータは、出力電圧の状態によってFETをON/OFFする動作のため、出力電流による発熱の影響が少ないです。出力電流を大きくしたい場合は、スイッチングレギュレータを選択します。

2. コスト

シリーズレギュレータよりも、スイッチング方式の方が回路動作が複雑です。外付け部品として、インダクタ、コンデンサやダイオード等が必要になります。回路規模も大きくなり、部品コストも高くなる点を考慮しなければなりません。コストを安く抑えたい場合は、シリーズレギュレータを選択します。

参考文献
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/dcdc/s-dcdc/02-s-dcdc/90

てこ式ダイヤルゲージ

てこ式ダイヤルゲージとは

てこ式ダイヤルゲージ

てこ式ダイヤルゲージは、小さな寸法の変位を測定するときに用いられる測定器です。測定にはてこの原理を応用するので、正確に微小な変化を測定することが可能です。したがって、特に高精度に寸法計測を行う必要がある場合に利用されることが多いです。

てこ式ダイヤルゲージは、通常スタンドに取り付けて使用されます。工場現場において、様々な精密機器に直接取り付けてその変位を測定し、品質管理やプロセスの検証に利用されることもあります。

てこ式ダイヤルゲージの使用用途

てこ式ダイヤルゲージは、ゲージの先端の測定子を対象に接触させるだけで、簡単に寸法の計測ができることから、製造した部品の簡便な検査に適用することができます。例えば、まず完成品でスタンドに固定したてこ式ダイヤルゲージの位置を決定しておけば、製造した部品を設置していくだけで、完成品とのサイズの差がわかります。

またてこ式ダイヤルゲージを用いて、回転物のひずみを検出することもできます。例えば、スタンドなどにてこ式ダイヤルゲージを固定して、それに接触させた状態で検査したい部品を回転させると、部品のゆがみを簡単に検出することができます。

旋盤作業における工作物の芯だし作業や、フライス盤作業におけるバイス取り付けの際にも、その高い分解能をいかして用いられています。

てこ式ダイヤルゲージの原理

てこ式ダイヤルゲージで寸法の変位を測定するには、まずゲージ先端に設置された測定子で変位を検出します。次にその変位に連動して動いた、てこの角度によって、反対側にある歯車が回転して微細な変位を計測します。

てこ式ダイヤルゲージは、数マイクロメートル単位の非常に高い分解能を有します。しかし測定範囲は小さく、また寸法の変化分がてこの回転運動になることから、寸法の変動が大きいと誤差が生じやすい、という問題があります。しかし、測定可能な範囲を超えた大きな負荷や動きが測定子にかかったとしても、優れた軸受構造をもつため壊れにくい、という長所もあります。実際に現場で使う場合、壊れにくい構造であることは非常に大きなメリットとなります。

マイクロメートルという微細な変位を正確に測定するダイヤルゲージは、通常その本体のみで使用することは難しく、固定する道具を必要とします。てこ式ダイヤルゲージは、通常アリ溝を挟む専用の爪を備えたスタンドで固定して使用されます。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/measurement-selection/type/dial-gauge.jsp
http://www.tukaikata-labo.com/content/3730
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/sokuteikougukisokouza_0301/

パワーオーバーイーサネット

パワーオーバーイーサネットとは

パワーオーバーイーサネット

パワーオーバーイーサネット (英: Power over Ethernet、PoE) とは、一般的にEthernetケーブルを通じてデータ通信と電力供給を同時に行う技術のことです。

これにより、データ通信と電力供給を分けて行っていた従来の方法から、1つのケーブルで双方を実現できるようになり、インフラ設備の簡素化やコスト削減が可能となりました。また、電源供給装置から離れた場所にも簡単にネットワークデバイスを配置できるなど、設置の自由度も向上します。PoEは監視カメラや無線LANアクセスポイント、VoIP電話など、さまざまなデバイスで利用されています。

パワーオーバーイーサネットの使用用途

パワーオーバーイーサネット (PoE) の代表的な使用用途は、IPベースの監視カメラシステムです。電力とデータ通信を1つのケーブルで行うため、カメラを設置する場所に電源がなくても問題ありません。

これにより、監視範囲を広げやすく、セキュリティの強化に寄与しています。そのほか、以下のような用途もあります。

1. 無線ネットワーク設備

無線LANアクセスポイントも、PoEの重要な使用例です。建物全体にワイヤレス接続を提供する際、PoEを用いることで柔軟にデバイスを配置できます。電源供給が必要な場所に制限されず、最適な場所にアクセスポイントの設置が可能となります。

2. VoIP電話

電話とデータを同一のケーブルで送信するため、電話の設置や移動が容易になります。また、電源の停止時でも電話が利用可能であり、非常時のコミュニケーション手段としても優れています。

3. IoTデバイス

IoTデバイス、特にスマートビルディングやスマートホームで使用されるセンサーやアクチュエーターの電力供給にPoEが利用されます。これによって電源供給とデータ通信が1つのケーブルで可能となり、設置と管理が大幅に容易になります。

4. ネットワークスイッチ

PoE対応のネットワークスイッチを使用すると、スイッチ経由で電力を供給できるデバイスが増えます。これにより、ケーブル管理が一層容易になり、効率的なネットワーク構築が可能となります。

パワーオーバーイーサネットの原理

Ethernetケーブルは通常、8本の銅線が束ねられたもので、これらの銅線がデータ通信と電力供給を担当します。PoEの基本的な原理は、これらの銅線を使ってデータと電力を同時に送信可能にあります。

この際に、電力を供給する方法として、PoEではオルタナティブAとオルタナティブBの2つのモードが存在します。

1. オルタナティブA

オルタナティブAは、データ通信と電力供給が同じペアのケーブル (1,2ペアまたは3,6ペア) を使用して行われます。これは「エンドスパン」とも呼ばれます。

2. オルタナティブB

オルタナティブBは、電力供給とデータ通信が異なるペアのケーブルを使用します (4,5ペアと7,8ペアが電力供給に使用されます) 。これは「ミッドスパン」または「インジェクター」方式とも呼ばれます。

3. PSEとPD

PoEシステムには、PSE (Power Sourcing Equipment) とPD (Powered Device) の2つの主要なコンポーネントがあります。PSEは電力を供給する装置 (ネットワークスイッチやインジェクターなど) で、PDは電力を受け取るデバイス (IPカメラや無線LANアクセスポイントなど) を指します。

PSEはPoE対応のデバイスが接続されているかどうかを検出し、適切な電力を供給するものです。これにより、非PoEデバイスが誤って接続されても安全に保護ができます。また、PDが必要とする電力量を正確に計測し、過剰または不足なく供給する機能も持っています。

パワーオーバーイーサネットの種類

パワーオーバーイーサネット (PoE) にはいくつかの異なる規格があり、それぞれが異なる電力レベルをサポートしています。PoE、PoE+、PoE++の違いは以下の通りです。

1. PoE (IEEE 802.3af)

この規格は最初のPoE規格で、最大15.4ワットの電力を供給する能力があります。これは、IPカメラ、VoIP電話、一部の無線アクセスポイントなど、低電力のデバイスに適しています。

2. PoE+ (IEEE 802.3at)

この規格はPoEの強化版で、最大30ワットの電力を供給する能力があります。これにより、高電力のデバイス、例えば、パノラマIPカメラやWi-Fi 6のような高性能な無線アクセスポイントなどに対応可能です。

3. PoE++ (IEEE 802.3bt)

この規格はさらに強化されたもので、最大60ワット (Type3) または99ワット (Type4) の電力を供給できます。これにより、パワーオーバーイーサネット経由で電力を供給する必要がある最も電力を消費するデバイスに対応可能です。例えば、デジタルサイネージ、高性能Wi-Fiアクセスポイント、一部のラップトップなどが対象となります。

参考文献
https://wa3.i-3-i.info/word16037.html

eSIM

eSIMとは

ESIM

eSIM (英:Embedded SIM) とは、物理的なSIMカードをデジタル化した技術です。

スマートフォンやタブレット、スマートウォッチなどのデバイスに事前に組み込まれ、遠隔でプログラムの操作が可能です。そのため、ユーザーは手元のデバイスをそのまま利用しながら、通信会社のサービスを自由に切り替えることができます。

eSIMはローミングや複数の通信プロバイダーを必要とするユーザーにとって大きな利便性をもたらし、またIoTデバイスなどにも対応可能なため、その応用範囲は非常に広いです。

eSIMの使用用途

SIMの柔軟性と遠隔操作可能な特性は、様々なデバイスとシチュエーションでの使用を可能にしています。

1. スマートフォンやタブレット

従来のSIMカードからeSIMへの移行は、主にスマートフォンやタブレットの領域で進んでいます。ユーザーは通信会社を自由に切り替えることが可能で、国際ローミング時に新たなSIMを入手する必要がなくなります。

2. ウェアラブル端末

eSIMはスマートウォッチなどのウェアラブル端末にも利用されています。小型端末のため、eSIMは理想的な選択肢です。これにより、端末はスマートフォンと独立して通信可能となり、ユーザーの自由度を増やしています。

3. ノートPC

携帯性を重視したモバイルノートPCでもeSIMの採用が進んでいます。microSIMスロット不要のため、小型軽量化に寄与します。

4. 車載システム

車載システムでは、eSIMの利用により、リアルタイムのナビゲーション情報やエンターテイメントサービスを提供できます。また、車両の遠隔管理や緊急時の通信などにも使用されています。

5. IoTデバイス

IoTデバイスの領域では、eSIMの導入により、大量のデバイスを効率的に管理し、必要に応じて通信プロバイダーを切り替えることが可能となります。

eSIMの原理

eSIMの動作原理はnano-SIMと同様ですが、端末のマザーボード上に直接搭載されている点が異なります。eSIMには固有のIDが書き込まれており、これに基づき認証や契約管理が行われます。

ネットワーク事業者は、OTA (英: Over-The-Air) でeSIMのプロファイルを遠隔操作が可能です。ユーザーはeSIM上のプロファイルを切り替え、気軽に通信事業者を変更できます。

eSIMの種類

eSIMには大きく分けて、M2Mモデルとコンシューマモデルがあります。

1. M2Mモデル

IoTデバイスに組み込むことを目的とした仕様です。対象となるデバイは実装上の理由から機能が制限される端末が多いため、eSIMは特定のサーバのみの通信を前提として簡素化しています。

2. コンシューマモデル

対象となる端末が、エンドユーザによって操作されることを前提としています。全ての操作をエンドユーザが操作する端末から行うことを想定しています。

eSIMのその他情報

1. SIMとeSIMの違い

SIMカードとeSIMはどちらもモバイルデバイスがネットワークに接続するために必要な技術ですが、形状や使用方法、ユーザーに対する利点で大きく異なります。従来のSIMカードは物理的なプラスチックカードで、ユーザーがデバイスに直接挿入する必要がありました。

これに対して、eSIMは物理的なカードを必要とせず、デバイスに組み込まれています。これにより、ユーザーは新たな通信プロバイダーに切り替える際に、物理的なSIMカードの交換は不要です。

また、SIMカードは通常、特定の通信プロバイダーに固定されていますが、eSIMはデバイスがアクティベートされた後でも、その情報をリモートで書き換えることができます。このため、eSIMを利用するユーザーは通信プロバイダーを簡単に変更可能で、特に国際ローミングや複数のプロバイダーを切り替える必要があるユーザーにとっては大きな利点となります。

2. eSIMのメリットとデメリット

メリット

  • フレキシビリティ
    eSIMはプロバイダーの変更が容易であるため、ユーザーは新たなプロバイダーに対応する物理的なSIMカードを取得する必要がありません。
  • デバイスの小型化
    物理的なSIMカードを必要としないため、デバイスの設計者はより小型のデバイスを設計が可能となります。
  • IoTとの連携
    eSIMはIoTデバイスにも使用できるため、大量のIoTデバイスを効率的に管理が可能となります。

デメリット

  • 提供元の制限
    現時点では、全ての通信プロバイダーがeSIMのサポートを提供しているわけではありません。このため、eSIMを利用するためにはまず適応したプロバイダーを見つける必要があります。
  • 技術的な問題
    eSIMには物理的なカードがないため、デバイスの問題が発生した場合には、新しいデバイスに情報を移行が困難になる可能性があります。

参考文献
https://www.qtmobile.jp/beginner/simcard/
https://umobile.jp/magazine/kno022/
https://mobile.line.me/guide/article/20190607-0002.html
https://toyokeizai.net/articles/-/260620
https://www.ntt.com/bizon/glossary/e-e/esim.html

オゾン発生装置

オゾン発生装置とは

オゾン発生装置

オゾン発生装置(英語:ozone generator)とは、気体のオゾンを発生させ、消臭・除菌や感染対策に利用する機器です。オゾン発生器やオゾナイザともいいます。

オゾンは、酸素原子3個からなる酸素の同素体の気体です。非常に不安定な分子で、常温では徐々に分解して酸素になります。比重は空気の1.54倍、酸素の3倍と重く、水への溶解度は、酸素の約10倍です。

オゾンの効果は殺菌・脱臭・脱色・酸化など多岐にわたり、酸化力は自然界中ではフッ素に次いで高く、空気中では塩素の約1.65倍、水中では約7倍といわれています。

オゾンは、独特の臭気をもつ毒性ガスで、濃度により人体へ悪影響があることが確認されています。日本産業衛生学会では、作業環境基準としての許容濃度を0.1ppm(0.2mg/m3)と定めています。

オゾン発生装置の使用用途

オゾンは酸化力の強い気体であるため、オゾン発生装置はかびや細菌・ウィルス・有機物などの除去に使われています。水への溶解度が高く、溶解しても殺菌・脱臭効果があるため、水処理に利用されています。

オゾンは自己分解で酸素分子になるため残留しにくく、原料が空気または酸素であるので、どのような場所でも利用可能であるという利点があります。そのため、オゾン発生装置は、上・下水処理や医療・居住域・食品製造工程での殺菌・脱臭・食品の原材料の処理・貯蔵など各種工業分野でその効力を発揮しています。

オゾン発生装置の原理

オゾン発生装置は、放電式・紫外線式・電気分解式などの方法でオゾンを生成します。そのうち、工業的用途で最も一般的な方法は放電式の一種である無声放電方式です。

1. 放電式

放電式オゾン発生装置は、酸素を含む気体を充填させて放電を行い、生じる電子によって酸素をオゾンに変換させます。酸素分子に電子が衝突して酸素原子に分解し、分解した原子同士が結合することでオゾンが生成します。

放電式オゾン発生装置には、無声放電式・コロナ放電式・沿面放電式などがあります。大小種々あり様々な場面で用いられています。

無放電によるオゾン生成の仕組み

図1. 無放電によるオゾン生成の仕組み

無声放電式は、既存のオゾン発生装置の中ではエネルギー効率が最も高く、大型のオゾン発生装置の大部分はこの方式です。また、コロナ放電式と呼ばれるタイプは、オゾン発生効率が低く、一般に小規模のオゾン発生器に用いられます。

2. 電解分解式

電解分解式は、高分子電解質膜を電極間に設置して水の電気分解を行うことでオゾンを発生させます。陽極側の電極に二酸化鉛(β型)を用いて、酸素の発生と高濃度のオゾンの生成が行われます。

この手法では、15~20重量%といった高濃度のオゾンを生成します。ただしオゾン発生効率は放電式の方がよいため大規模生成には不向きです。

3. 紫外線式

紫外線式は、酸素を含む気体に紫外線を照射してオゾンを発生させる装置です。紫外線の中でも波長の短いオゾン発生線を酸素分子に照射すると、酸素分子が解離して酸素原子が生じ、その酸素原子が他の酸素分子と結合してオゾンが生成します。

紫外線式によるオゾン発生では、オゾン分解反応が並列して起こったり、分解反応で生じた酸素原子がオゾンと反応してオゾンを壊したりします。そのため、オゾンの発生効率や発生量が低く、小規模な殺菌に用いられます。

オゾン発生装置のその他情報

1. オゾン発生装置の危険性

オゾンは除菌や除染効果があり、家庭でも発生装置の導入を検討することが増えています。一方で、オゾンは空気中の濃度によって人体に悪影響を及ぼす危険性があるため、発生装置の使用には注意が必要です。

オゾン発生装置の危険性として一番注意すべき点は、規定されている適用範囲外で使用し、室内のオゾン濃度が高まることによって人体に悪影響が出ることです。特に専門知識が不足しがちな家庭での利用では、知らないうちに危険性の高い使い方をしている場合があります。

また、想定濃度自体は部屋中にオゾンが行き渡った場合を想定しているので、例えば噴霧口の近くであれば濃度が非常に高くなっているのでその分だけ有毒性が高まる危険性があります。

2. オゾン発生装置導入における注意点

オゾン発生装置は、業務用と家庭用とに明確に分けられています。業務用と家庭用では、オゾン発生量・風量・使用環境などが、全く異なります。オゾン発生装置を選ぶ場合は、この違いを十分注意する必要があります。

業務用と家庭用とで大きく異なる点が2つあります。1つは、オゾン発生量であり、業務用は200mg/h以上で、家庭用の0.3〜5.0mg/hと比べると、数十倍〜数百倍あります。

もう1つは、使用環境で、業務用が無人環境で使用するのに対し、家庭用は有人環境で使うことを前提にしており、室内のオゾン濃度が危険なレベルに達することがないように設定されています。

知らずに業務用オゾン発生装置を家庭内で使うと、オゾン濃度が高くなり、非常に危険です。使用する状況に合った機種を選定する必要があります。

デジタルゲージ

デジタルゲージとは

デジタルゲージ

デジタルゲージとは測定機器の一種で、ある地点を基準とした場合の別地点の高さや傾き、深さ等の微細な変化を測るために使用されます。

ゲージ単体では利用ができないため、目的に応じて機器に固定して使用します。

デジタルゲージは発売元によって呼び方が異なる場合があり、デジマチックインジケータ等の名称で呼ばれることもあります。また、ダイヤル式のものはダイヤルゲージと呼ばれ、構造が簡単で衝撃にも強いのですが、精度ではデジタルゲージに及びません。

デジタルゲージの使用用途

デジタルゲージは各種製品の生産現場において精度の確保や各種の試験のため幅広く用いられています。ゲージの数字を直接読み取ることも可能ですが、数字の変化量から目的となる変化の割合を導き出す目的で主に使用されます。

デジタルゲージではμm単位の変位の測定が可能なため、部品の表面段差や穴の深さ、厚みといった細かい量の測定に用いられる一方で、建材や自動車等部品等に圧力を掛けた際の歪みの測定等、目に見えるような大型の変化の測定にも利用可能です。

デジタルゲージの原理

デジタルゲージには幾つかの方式が採用されていますが、最も用いられているものがスピンドル式と光電式です。

スピンドル式は測定対象の表面にスピンドルを接触させ、対象物の形状変化に合わせた先端部の上下を測定結果として出力する方式です。ダイヤルゲージでもよく用いられている方法で、変化量の大きなものに向きますが、運動を直接測定するといった原理上、1μm以下の測定にはやや不向きです。

光電式はスピンドル式と同様の接触部を持ちますが、動きを直接測定結果として出力するのではなく、光源から発生した光が2枚のスリット(スピンドルに連動する移動スリットと固定されたスリット)を通して受光素子へと届く際の位相の変位(移動スリットの動きに応じて三角関数で変化します)を測定し、変換することによって出力します。変位を細かく確認できるためスピンドル式よりも微小な変化の測定に向きますが、光学的な精密機器を測定に用いるため、衝撃等にやや弱く、取り扱いには注意が必要です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/sokuteikougukisokouza_0301/
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/gage2.htm

ブレーキモーター

ブレーキモーターとは

ブレーキモーターとは、ブレーキシステムを付属したモーターです。

ブレーキ付モーターとも呼ばれます。通常のモーターは停止しても惰性で回転しますが、ブレーキモーターはブレーキによって制動することが可能です。

モーターとブレーキが一体化されているため、装置全体の設計においてスペースを節約することができます。特に、制動機構が制約されるような狭いスペースにおいて有利です。

また、制動力の発生と制動の解除を迅速に行うことができます。そのため、機械装置の制御や操作のレスポンスが向上し、よりスムーズな運動制御が可能です。

ブレーキモーターの使用用途

ブレーキモーターは、さまざまな用途に使用されます。以下は、ブレーキモーターの使用用途一例です。

1. エレベーター

エレベーターキャビンの上昇や下降を制御するために使用されます。ブレーキモーターは、エレベーターコントロールシステムと連動して運転されます。ブレーキモーターは制動力を発生させ、必要な場合にエレベーターキャビンを停止させる役割です。

エレベータにおいて制動は、人命にも直結する重要な要素です。ブレーキモーターを使用することで、停電時などにも確実に停止させることができます。

2. 産業機械

産業機械においても、ブレーキモーターは制動や運動制御に使用されます。制動性能が高いため、正確な位置決めが必要なロボットアームなどに有利です。また、惰性での運動を許容できない製造ラインの機械などに広く使用されています。

また、コンベヤシステムにおいても物体の運搬や停止を制御するためにブレーキモーターが使用されます。ブレーキモーターはコンベヤベルトやローラーを制動し、物体の正確な位置への停止を実現可能です。これにより、突発停電時などの荷物渋滞などを防止することができます。

3. 鉄道車両

鉄道車両においては、ブレーキモーターが制動力の制御に使用されます。電車はブレーキモーターが駆動力を制御し、列車の速度調整・停止の役割を果たすことが多いです。

ブレーキモーターは電気制動システムと連動して運転され、高い制動性能と制御性を提供します。なお、近年では回生ブレーキなどの高度ブレーキシステムが使用される場合もあります。

ブレーキモーターの原理

ブレーキモーターは、電磁ブレーキを付属して制動機能を有する場合が多いです。電磁ブレーキは励磁コイル、コイルスプリング、ブレーキハブ、ブレーキライニング、アーマチュアなどから構成されています。

励磁コイルに電圧を加えると、コイルスプリングに抵抗して電磁石にアーマチュアが吸引されます。このとき、ブレーキが開放されてモーター軸が自由になり、回転することが可能です。電圧を印加しない状態ではアーマチュアが解放されて、コイルスプリングによってブレーキライニングがブレーキハブを押し付けてモーター軸が固定されます。

モーターには、誘導電動機が使用される場合が多いです。誘導電動機は固定子と回転子から構成され、電磁誘導を利用して回転します。固定子から提供される回転磁界が回転子に電流が流れ、磁界と電流の相互作用で軸にトルクが生じます。

ブレーキモーターの選び方

ブレーキモーターを選ぶ際に考慮すべき要素は、取付方法、電源電圧・出力容量、ブレーキ構造などです。

1. 取付方法

モーターの負荷装置に合わせて取付方法を選定します。取付方法には、脚取付やフランジ取付が採用されることが多いです。大型機器の場合は、モーター自体の重量も大きくなるため脚取付が多く採用されます。

2. 電源電圧

電源電圧はモーターやブレーキに使用される電圧であり、供給可能な電圧を選定します。ただし、モーターの出力容量が大きくなるにつれて、単相の選定が困難となったり、高電圧化したりすることが多いです。出力容量は回転数とトルクによって決定され、ワット (W) で表記されます。

3. ブレーキ構造

ブレーキ構造は、付属するブレーキの種類です。励磁ブレーキと無励磁ブレーキなどの種類があります。無励磁ブレーキは非通電状態で制動し、励磁ブレーキは通電状態で制動します。

参考文献
https://www.mikipulley.co.jp/JP/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/ac_motor03/

リフロー炉

リフロー炉とは

リフロー炉

リフロー炉とは、ユニット基板製作において、プリント基板と電子部品をはんだで接着させるための加熱炉のことを言います。リフロー装置において全体のほとんどをリフロー炉が占めることから、リフロー炉をリフロー装置と呼ばれることもあります。

リフロー炉は基板実装時に150℃~230℃程度まで昇温されます。また、はんだには、鉛が入っているものと入っていないものがあり、使うはんだによって使用温度の範囲が変わります。

リフロー炉の使用用途

リフロー炉はユニット基板製作においてプリント基板と電子部品をはんだで接着させるための加熱炉として使用されます。主にリフロー装置にてメインの機能として使用されます。

プリント基板に部品をはんだ付けする際、実際に人の手ではんだこてを用いて電子部品を接着させる方法がありますが、部品点数が多い場合や接着させる電子部品との接着面が極めて小さい場合は非常に難しい作業となります。近年は回路の高集積化により実装部品の小型化、実装部品の密集化が進み、人の手ではんだ付けすることで接着不足やショートが起こることも懸念されています。そのため、精密な表面実装が可能なリフロー装置を利用することで、確実な基板組み立てが可能になります。

リフロー炉の原理

まず、リフロー炉内の温度が昇温される原理について説明します。リフロー炉は炉内に熱風を流入することで温度を上げています。また、熱風の流入にはさまざまな方式がありますが、リフロー炉の昇温には衝突噴流というやり方で熱風を吹き付けます。基板に対して垂直な方向から熱風を吹き付けることで、基板に衝突した温度の高い空気と動きの止まっている空気が摩擦を起こし基板の温度が昇温されるというメカニズムです。

続いて、リフロー炉にて基板と電子部品が接着される原理について説明します。リフロー炉を加熱する際、まず基板上にはんだが載り、さらにその上に電子部品が載った状態となっています。その状態からリフロー炉を昇温することではんだが溶けていき、はんだの上に載った部品が沈むように基板に密着していきます。基板上の全ての部品が基板に密着した後、リフロー炉の温度が降温され、はんだが固体化し、基板と電子部品が接着されるという原理です。

その他のリフロー炉の情報

1. フロー炉とリフロー炉の違い

フロー炉は、フローハンダを行う際に用いる装置です。 フローハンダは溶融したはんだが格納されたはんだ槽に、その上を基板を通過させることではんだ付けを行うフロー方法です。フローハンダを行うためにははんだ槽が必要となり、結果的に装置が大型化しやすい傾向があります。

一方、リフローハンダははんだ槽を必要としません。予め基板表面または部品裏面にクリームハンダと呼ばれるペースト状のハンダを塗布しておきます。クリームハンダを塗布した状態で、基板をリフロー炉を通すことで、ペースト状だったハンダが、金属化し部品と基板を接合します。クリームハンダは一見、溶けているはんだに見えますが、実体は数ミクロンの細かいはんだとフラックスが混ざった状態のものです。これをメタルマスクを介して基板上に塗布し、加熱することで初めてハンダ同士が接合され、金属化します。

フロー炉とリフロー炉では工程も違えば必要とするはんだのタイプも異なります。

2. リフロー炉内をN2ガスで充填する

炉内に多くの酸素が存在すると、加熱された酸素がハンダペーストと接触します。ペーストに含まれているロジンと呼ばれる物質は酸化されやすく、ロジンが酸化されるとペースト中のハンダ粉末、ひいては部品のリードや基板のパッドも酸化されてしまいます。そこで、炉内に窒素ガス(N2)を充填することで、炉内の酸素濃度を下げるという選択肢があります。

しかし、窒素ガスを用いることで、仮にはんだとリード間の接合が不十分であってもO2濃度低下作用による、表面的にはきれいなフィレット外観のために検査をすり抜けてしまうこともあり、窒素を使うかどうかは製造部門と設計部門、場合によっては委託業者と協議のうえ決定する必要があります。

3. 卓上リフロー炉で自宅でもリフローが可能に

従来の卓上リフロー炉は卓上型とはいえまだまだ大物ばかりで、スペース的な制約条件や価格面から自宅に置くことが困難でした。

しかし、近年の卓上リフロー炉の需要の高まりから、外形W110×D127×H16の小型卓上リフロー炉が登場していることをご存知でしょうか。価格面も従来品とは異なり安価で提供されており、最小の卓上リフロー炉であれが税抜き価格で10万円を下回るものも登場しています。

参考文献
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5336.html
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5336.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000034568.html