降圧レギュレータとは
降圧レギュレータとは、汎用的な直流の電圧を入力して、入力した電圧を降圧して、入力した電圧より低い直流の電圧を出力する電源回路です。
入力電圧が多少変動しても、一定の安定した直流電圧を生成し、出力します。降圧レギュレータは、汎用的な電圧から目的に合った特定の電圧を生成し、電子機器内の回路に任意の電圧を供給します。
降圧レギュレータの使用用途
降圧レギュレータは、電気回路に供給する出力電圧値を調整したい時に使用されます。一般家庭の電源コンセントは、交流電源の100Vですが、各種電子機器内の電気回路の多くは、直流電源で動作します。したがって、電源コンセントから供給した交流電源を直流電源 (DC) に変換する必要があります。
電子機器にマイコンやロジックICなどのICなどが搭載されている場合は、DC5VやDC3.3Vの電圧を各ICに供給する必要があるため、交流100Vから変換した直流電圧をさらに降圧させなければなりません。そのようなときに、降圧レギュレータが使用されます。
降圧レギュレータの原理
降圧レギュレータには、シリーズレギュレータとスイッチングレギュレータがあります。
1. シリーズレギュレータ
シリーズレギュレータの構成ブロックは、制御素子、制御回路、基準電圧源の3つです。一般的に、制御素子はバイポーラトランジスタを使用し、電源入力部と電源出力部の間にレギュレータを直列接続し、入力電圧より低い出力電圧を生成します。
制御回路の目的は、レギュレータ内部の基準電圧源を基に、バイポーラトランジスタのコレクタ、エミッタ間の電圧を制御することです。トランジスタを制御することで、入力電圧の変動や出力電流の変動が発生しても、出力電圧を一定電圧にすることができます。
入力電圧と出力電圧の差分は、トランジスタが熱として消費します。トランジスタの消費電力は、コレクタ、エミッタ間の電圧とコレクタ電流の積になり、シリーズ方式のトランジスタの消費電力は、入出力電圧の差分と出力電流の積です。
シリーズレギュレータのメリットは、トランジスタをON/OFFスイッチしないためノイズが少ないことです。デメリットは、トランジスタの消費電力が大きくなり、発熱することと、出力電流を大きくできないことが挙げられます。
2. スイッチング方式
スイッチングレギュレータの構成ブロックは、出力をON/OFFするスイッチング素子、制御回路と電圧平滑回路です。一般的に、スイッチング素子はFET (Field Effect Transistor) を使用し、電圧平滑回路はインダクタとコンデンサを使用します。
制御回路の目的は、出力電圧が目標の電圧値になるように、スイッチング素子FETをON/OFFすることです。インダクタとコンデンサの目的は、ON/OFFされた出力電圧を平滑して安定した直流電圧にすることです。
一般的に、FETのスイッチングは、パルス幅変調方式を採用しています。FETのスイッチング周期は一定ですが、出力電圧の生成状態に応じて、FETをON/OFFする時間の比率を変更します。
スイッチングレギュレータのメリットは、FETをON/OFFしている分、消費電力がシリーズ方式に比べて少ないので出力電流を大きくできることです。一方で、デメリットはFETをON/OFFした際に、発生するノイズが大きくなることです。
降圧レギュレータの選び方
1. 出力電流
シリーズレギュレータは、負荷電流と消費電力が比例するため、負荷電流を大きくすると、部品の発熱量も多くなります。一方、スイッチングレギュレータは、出力電圧の状態によってFETをON/OFFする動作のため、出力電流による発熱の影響が少ないです。出力電流を大きくしたい場合は、スイッチングレギュレータを選択します。
2. コスト
シリーズレギュレータよりも、スイッチング方式の方が回路動作が複雑です。外付け部品として、インダクタ、コンデンサやダイオード等が必要になります。回路規模も大きくなり、部品コストも高くなる点を考慮しなければなりません。コストを安く抑えたい場合は、シリーズレギュレータを選択します。
参考文献
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/dcdc/s-dcdc/02-s-dcdc/90