ブレーキモーター

ブレーキモーターとは

ブレーキモーターとは、ブレーキシステムを付属したモーターです。

ブレーキ付モーターとも呼ばれます。通常のモーターは停止しても惰性で回転しますが、ブレーキモーターはブレーキによって制動することが可能です。

モーターとブレーキが一体化されているため、装置全体の設計においてスペースを節約することができます。特に、制動機構が制約されるような狭いスペースにおいて有利です。

また、制動力の発生と制動の解除を迅速に行うことができます。そのため、機械装置の制御や操作のレスポンスが向上し、よりスムーズな運動制御が可能です。

ブレーキモーターの使用用途

ブレーキモーターは、さまざまな用途に使用されます。以下は、ブレーキモーターの使用用途一例です。

1. エレベーター

エレベーターキャビンの上昇や下降を制御するために使用されます。ブレーキモーターは、エレベーターコントロールシステムと連動して運転されます。ブレーキモーターは制動力を発生させ、必要な場合にエレベーターキャビンを停止させる役割です。

エレベータにおいて制動は、人命にも直結する重要な要素です。ブレーキモーターを使用することで、停電時などにも確実に停止させることができます。

2. 産業機械

産業機械においても、ブレーキモーターは制動や運動制御に使用されます。制動性能が高いため、正確な位置決めが必要なロボットアームなどに有利です。また、惰性での運動を許容できない製造ラインの機械などに広く使用されています。

また、コンベヤシステムにおいても物体の運搬や停止を制御するためにブレーキモーターが使用されます。ブレーキモーターはコンベヤベルトやローラーを制動し、物体の正確な位置への停止を実現可能です。これにより、突発停電時などの荷物渋滞などを防止することができます。

3. 鉄道車両

鉄道車両においては、ブレーキモーターが制動力の制御に使用されます。電車はブレーキモーターが駆動力を制御し、列車の速度調整・停止の役割を果たすことが多いです。

ブレーキモーターは電気制動システムと連動して運転され、高い制動性能と制御性を提供します。なお、近年では回生ブレーキなどの高度ブレーキシステムが使用される場合もあります。

ブレーキモーターの原理

ブレーキモーターは、電磁ブレーキを付属して制動機能を有する場合が多いです。電磁ブレーキは励磁コイル、コイルスプリング、ブレーキハブ、ブレーキライニング、アーマチュアなどから構成されています。

励磁コイルに電圧を加えると、コイルスプリングに抵抗して電磁石にアーマチュアが吸引されます。このとき、ブレーキが開放されてモーター軸が自由になり、回転することが可能です。電圧を印加しない状態ではアーマチュアが解放されて、コイルスプリングによってブレーキライニングがブレーキハブを押し付けてモーター軸が固定されます。

モーターには、誘導電動機が使用される場合が多いです。誘導電動機は固定子と回転子から構成され、電磁誘導を利用して回転します。固定子から提供される回転磁界が回転子に電流が流れ、磁界と電流の相互作用で軸にトルクが生じます。

ブレーキモーターの選び方

ブレーキモーターを選ぶ際に考慮すべき要素は、取付方法、電源電圧・出力容量、ブレーキ構造などです。

1. 取付方法

モーターの負荷装置に合わせて取付方法を選定します。取付方法には、脚取付やフランジ取付が採用されることが多いです。大型機器の場合は、モーター自体の重量も大きくなるため脚取付が多く採用されます。

2. 電源電圧

電源電圧はモーターやブレーキに使用される電圧であり、供給可能な電圧を選定します。ただし、モーターの出力容量が大きくなるにつれて、単相の選定が困難となったり、高電圧化したりすることが多いです。出力容量は回転数とトルクによって決定され、ワット (W) で表記されます。

3. ブレーキ構造

ブレーキ構造は、付属するブレーキの種類です。励磁ブレーキと無励磁ブレーキなどの種類があります。無励磁ブレーキは非通電状態で制動し、励磁ブレーキは通電状態で制動します。

参考文献
https://www.mikipulley.co.jp/JP/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/ac_motor03/

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