オゾン発生装置

オゾン発生装置とは

オゾン発生装置

オゾン発生装置(英語:ozone generator)とは、気体のオゾンを発生させ、消臭・除菌や感染対策に利用する機器です。オゾン発生器やオゾナイザともいいます。

オゾンは、酸素原子3個からなる酸素の同素体の気体です。非常に不安定な分子で、常温では徐々に分解して酸素になります。比重は空気の1.54倍、酸素の3倍と重く、水への溶解度は、酸素の約10倍です。

オゾンの効果は殺菌・脱臭・脱色・酸化など多岐にわたり、酸化力は自然界中ではフッ素に次いで高く、空気中では塩素の約1.65倍、水中では約7倍といわれています。

オゾンは、独特の臭気をもつ毒性ガスで、濃度により人体へ悪影響があることが確認されています。日本産業衛生学会では、作業環境基準としての許容濃度を0.1ppm(0.2mg/m3)と定めています。

オゾン発生装置の使用用途

オゾンは酸化力の強い気体であるため、オゾン発生装置はかびや細菌・ウィルス・有機物などの除去に使われています。水への溶解度が高く、溶解しても殺菌・脱臭効果があるため、水処理に利用されています。

オゾンは自己分解で酸素分子になるため残留しにくく、原料が空気または酸素であるので、どのような場所でも利用可能であるという利点があります。そのため、オゾン発生装置は、上・下水処理や医療・居住域・食品製造工程での殺菌・脱臭・食品の原材料の処理・貯蔵など各種工業分野でその効力を発揮しています。

オゾン発生装置の原理

オゾン発生装置は、放電式・紫外線式・電気分解式などの方法でオゾンを生成します。そのうち、工業的用途で最も一般的な方法は放電式の一種である無声放電方式です。

1. 放電式

放電式オゾン発生装置は、酸素を含む気体を充填させて放電を行い、生じる電子によって酸素をオゾンに変換させます。酸素分子に電子が衝突して酸素原子に分解し、分解した原子同士が結合することでオゾンが生成します。

放電式オゾン発生装置には、無声放電式・コロナ放電式・沿面放電式などがあります。大小種々あり様々な場面で用いられています。

無放電によるオゾン生成の仕組み

図1. 無放電によるオゾン生成の仕組み

無声放電式は、既存のオゾン発生装置の中ではエネルギー効率が最も高く、大型のオゾン発生装置の大部分はこの方式です。また、コロナ放電式と呼ばれるタイプは、オゾン発生効率が低く、一般に小規模のオゾン発生器に用いられます。

2. 電解分解式

電解分解式は、高分子電解質膜を電極間に設置して水の電気分解を行うことでオゾンを発生させます。陽極側の電極に二酸化鉛(β型)を用いて、酸素の発生と高濃度のオゾンの生成が行われます。

この手法では、15~20重量%といった高濃度のオゾンを生成します。ただしオゾン発生効率は放電式の方がよいため大規模生成には不向きです。

3. 紫外線式

紫外線式は、酸素を含む気体に紫外線を照射してオゾンを発生させる装置です。紫外線の中でも波長の短いオゾン発生線を酸素分子に照射すると、酸素分子が解離して酸素原子が生じ、その酸素原子が他の酸素分子と結合してオゾンが生成します。

紫外線式によるオゾン発生では、オゾン分解反応が並列して起こったり、分解反応で生じた酸素原子がオゾンと反応してオゾンを壊したりします。そのため、オゾンの発生効率や発生量が低く、小規模な殺菌に用いられます。

オゾン発生装置のその他情報

1. オゾン発生装置の危険性

オゾンは除菌や除染効果があり、家庭でも発生装置の導入を検討することが増えています。一方で、オゾンは空気中の濃度によって人体に悪影響を及ぼす危険性があるため、発生装置の使用には注意が必要です。

オゾン発生装置の危険性として一番注意すべき点は、規定されている適用範囲外で使用し、室内のオゾン濃度が高まることによって人体に悪影響が出ることです。特に専門知識が不足しがちな家庭での利用では、知らないうちに危険性の高い使い方をしている場合があります。

また、想定濃度自体は部屋中にオゾンが行き渡った場合を想定しているので、例えば噴霧口の近くであれば濃度が非常に高くなっているのでその分だけ有毒性が高まる危険性があります。

2. オゾン発生装置導入における注意点

オゾン発生装置は、業務用と家庭用とに明確に分けられています。業務用と家庭用では、オゾン発生量・風量・使用環境などが、全く異なります。オゾン発生装置を選ぶ場合は、この違いを十分注意する必要があります。

業務用と家庭用とで大きく異なる点が2つあります。1つは、オゾン発生量であり、業務用は200mg/h以上で、家庭用の0.3〜5.0mg/hと比べると、数十倍〜数百倍あります。

もう1つは、使用環境で、業務用が無人環境で使用するのに対し、家庭用は有人環境で使うことを前提にしており、室内のオゾン濃度が危険なレベルに達することがないように設定されています。

知らずに業務用オゾン発生装置を家庭内で使うと、オゾン濃度が高くなり、非常に危険です。使用する状況に合った機種を選定する必要があります。

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