傾きセンサー

傾きセンサーとは

傾きセンサ

傾きセンサーとは、対象物の傾き (傾斜角や勾配) を測定するセンサ-です。

角度センサー、スロープセンサー、チルトセンサー、インクリノメーターとも呼ばれます。重力を基準としており、水平に設置して傾きを測定します。

振動する環境で測定する場合でも、入出力を調整する電子機器を追加した傾きセンサーで、ダンピング効果により信頼性が高い計測結果を得ることが可能です。高耐衝撃性のある傾きセンサーは、移動機械、車両、航空機、建設機械内での加速度計測ができます。

傾きセンサーの使用用途

傾きセンサーは、傾きの調節が必要となるさまざまな用途で使用されています。

  • 自動車ヘッドライト
    ヘッドライトの照射角を自動で調整。
  • 建築構造物
    建築構造物の傾きなどの老朽化を検出。
  • 作業車
    リフトやクレーンなどの傾きを検出。
  • 輸送機器
    自動車や鉄道車両の輸送機器の傾きを検出して転倒を防止。
  • 作業台
    林業機械や建設機械の荷台の水平を維持。
  • 産業機械や光学装置、検査装置の補正
    航空機、建設機械の内部や、電子天びん等の傾きを補正。
  • スマートフォン
    画面の自動回転。

傾きセンサーの原理

傾きセンサーは、計測する方向に水平となるように設置して使用します。原理として、電解液式とMEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems) 式の2つがありますが、精度や応答時間の観点からMEMS式が主流です。

1. 電解液式 (静電容量方式)

液体の表面が水平になることを利用し、液体の傾きから静電容量の変化量として傾きを検出します。対になる電極を機器底面に設置し、導電性の液体を機器内部の空洞に封入します。電圧を極板間に印加すれば、電場が形成される仕組みです。

液体が流れると電場が変化し、回路の内部抵抗が変化するので、この変化量を計測して角度を測定します。ただし、応答時間が比較的遅く、液面が振動によって影響を受けやすいため注意が必要です。

2. MEMS式

微小電気機械システム技術を利用する方式です。重力によって部位がたわむことで傾斜を測定します。 固定・可動する電極2対が配置されています。

傾斜による電極位置関係の変化から、静電容量の変化量を計測して角度を測定するほか、ローパスフィルタによって衝撃などを減衰させ、誤差を抑える仕組みです。

傾きセンサーのその他情報

傾斜センサーと加速度センサー

傾きセンサーは、対象物の傾き (傾斜角や勾配) を検出するセンサーですが、傾きを測定できるセンサーには傾斜センサーや加速度センサーもあります。

1. 傾斜センサー
センサー出力自体が傾斜角の情報をもっています。周波数変動が低いため、ゆっくりした動きや静止状態の傾斜角測定には有効です。

傾斜センサーは傾いた状態の検出を行うので、建機などのクレーン車や建設車両の転倒防止などに有効です。

2. 加速度センサー
物体に加わる加速度を検出するセンサーです。重力の方向だけではなく、前後左右方向の動きも検出します。傾斜センサーと比較すると、周波数帯域が広く速い動きの測定もできます。

加速度センサーは、スマートフォンの縦横表示を使用環境に合わせて変更するアプリケーションなどに用いられています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E2700000000/E2704000000/E2704030000/
https://pac-tech.com/files/libs/1718/202007021532529007.pdf
https://www.jcmanet.or.jp/wp-content/uploads/2017/03/1fe60fa1769b5144036195f2b900813b-1.pdf http://www.tokugikon.jp/gikonshi/261/261techno.pdf

アンギュラ玉軸受

アンギュラ玉軸受とは

アンギュラ玉軸受

アンギュラ玉軸受とは、玉と内輪・外輪に接触角を持つ軸受のことです。

接触角をもつとは、内輪と玉との接点、玉と外輪との接点を結んだ線が、回転軸と直交しない (90°で交わらない) 状態を指します。通常のラジアル玉軸受は、内外輪と玉との2つの接点を結ぶ線は、軸受の回転軸と直交します。

アンギュラ (Angular) とは角度という意味を持ち、接触角があることによって、ラジアル荷重 (軸と垂直な荷重) と1方向のアキシアル荷重 (軸と水平な荷重) を一定量まで許容できる性質を持ちます。

アンギュラ玉軸受の使用用途

アンギュラ玉軸受は、一定量のラジアル荷重と1方向のアキシアル荷重を許容できることから、油圧ポンプや縦型ポンプ、コンプレッサ、エレベーター巻上機やベルトコンベアなどに使用されます。

また、2つ以上を繋げて組み付けることによって、両方向、またはさらに大きな1方向のアキシアル荷重を支えられるようになります。そのほか、ミクロン単位の芯ずれも許されない工作機械の主軸などでも利用される場合が多いです。2つ以上を組み付ける際は、支えたい方向の荷重をよく確認したうえで、一つ一つの軸受の向きを決めることが重要です。

アンギュラ玉軸受の原理

軸受にもいくつか種類があり、「転がり軸受」と「滑り軸受」に分けられます。車や工業向け機械装置によく用いられるのは「転がり軸受」になります。主に、転がり軸受は次の3つの要素から構成されています。

  • 軌道輪 (玉やころが転がる内輪・外輪部分)
  • 転動体 (内輪・外輪に挟まれて転がる「玉」または「ころ」)
  • 保持器 (転動体同士が衝突したり、軌道輪から抜け落ちたりするのを防ぐ部分)

これに加えて、アンギュラ玉軸受は、軌道輪と転動体との間に接触角を持っています。この角度が大きくなるほど、許容出来るアキシアル荷重の大きさも大きくなっていきます。しかし、その分回転数を落とす必要が出てくる可能性もあるため、適正な角度のものを選ぶことが重要です。

回転軸にかかる荷重は、使用する機械の重さや動作などによっても変わってきます。軸受を設置する際は、軸にどのように荷重がかかり、どのように支えるのが的確かよく考えたうえで、用途や目的に合ったものを選びます。

アンギュラ玉軸受のその他情報

1. アンギュラ玉軸受の接触角

アンギュラ玉軸受の接触角には標準で15° , 30° , 40°があり、それぞれ「C」「A」「B」の記号で表します。接触角の大小によって、許容軸方向荷重や許容回転速度が異なります。

高速回転で使用する場合は、接触角が小さなもの、軸方向荷重が大きな時は接触角が大きなものを選定することが多いです。また、接触角があることで、2つのアンギュラ玉軸受を組み合わせて与圧をかけることも可能となり、回転精度や剛性の向上に繋がります。

2. アンギュラ玉軸受の与圧

与圧は軸受を対向で組み合わせ、内部隙間を管理することで、与圧量を決定します。与圧をかける時の組み合わせには、正面組合せと背面組合せがあり、「DF」「DB」の記号で表されます。その他、並列組合せ「DT」を対向させる組合せもあります。

与圧量には、「微与圧」「軽与圧」「中与圧」「重与圧」に分類され、使用条件によって選択することが大切です。各与圧量は軸受サイズで決まっており、各メーカーの技術資料に記載があります。また、与圧をかける場合は、取り付ける部品の寸法公差も若干変更するなど、与圧が大きくなりすぎないように注意が必要です。

与圧が大きい場合、剛性は上がりますが、回転の抵抗が大きくなるので、発熱が大きくなったり、軸受が変形するなどのトラブルの原因になります。与圧を与える方法はいくつかありますが、一般的には、定圧方式、定位置方式が採用されています。

  • 定圧方式
    バネなどを使用し、軸受に一定の力をかける方法で、軸受が摩耗しても与圧を一定に保つことができます。しかし、デメリットとして構造が複雑、バネ力の計算が必要である点が挙げられます。
  • 定位置方式
    2つの軸受間にスペーサを入れ、そのスペーサの厚みを管理することで与圧量を調整します。軸受が摩耗すると与圧量が変化してしまいますが、構造がシンプルなため、多く用いられる方式です。

アンギュラ玉軸受を精度良く使用するために与圧は欠かせないものですが、設計の際には使用条件に合わせて考慮しなければなりません。また、取付部品も高精度に仕上げる必要があります。

参考文献
https://koyo.jtekt.co.jp/2019/02/column01-04.html
https://koyo.jtekt.co.jp/products/type/angular-ball-bearing/
https://koyo.jtekt.co.jp/products/type/angular-ball-bearing/

配管Uボルト

配管Uボルトとは

配管Uボルト

配管Uボルトとは、配管やチューブなどを固定するために使用されるボルトです。

配管用Uボルトとも呼ばれます。U字型の形状を持っており、両端にねじが切ってある場合が多いです。配管UボルトはU字型の形状とねじの特性により、配管やチューブをしっかりと固定することができます。

これにより、配管やチューブが動いたり、ずれたりすることを防ぐことが可能です。また、配管Uボルトは比較的簡単に取り付けられます。配管やチューブをU字型の部分に挟み込み、ねじで締めるだけで固定されます。このシンプルな設計により、迅速な取り付けが可能です。

ただし、配管Uボルトを振動環境下で使用する場合は注意が必要です。振動による緩みやずれを防ぐために、適切な振動吸収材やナットの使用、または別途の振動対策を行います。

配管Uボルトの使用用途

配管Uボルトは、以下のような使用用途で広く活用されています。

1. 配管の取り付け

配管Uボルトは、配管を壁や床に固定するために使用されます。建築物や工場などでは、配管を安定させるためにUボルトが使用されることが多いです。

また、配管が支持される特定のポイントや接続点で、配管用Uボルトを使用して補強することがあります。これにより、配管が動かないように固定し、適切な位置に保持することが可能です。

2. 配管の吊り下げ

長い配管やチューブを天井や梁に吊り下げるために、配管Uボルトが使用されます。これにより、配管を支持し、安定した状態で保持することが可能です。

3. 振動対策

振動環境下での配管系統では、振動によるずれや緩みを防ぐために、配管Uボルトが使用されることが多いです。振動吸収材やクッション材を併用し、振動による損傷や故障を防止します。また、長大な配管系統でも支持構造を作るために、配管用Uボルトが使用されます。

配管Uボルトの原理

配管Uボルトの原理は、U字型の形状とねじの力学的特性に基づいています。配管Uボルトは、U字型の形状をしています。この形状により、Uボルトの両端が配管やチューブを挟み込むことが可能です。U字型の弧状部分は配管の周りにフィットし、安定性を提供します。

また、配管Uボルトの両端にはねじが切っており、これを締めることによって配管を固定することが可能です。ねじによって加えられる力はトルクとして伝えられ、Uボルトが配管を締めつける力となります。適切なトルクを与えることで、Uボルトは配管を確実に保持します。

配管Uボルト自体は、SS400に亜鉛メッキを施したものやSUSが多いです。ただし、相手の配管材質は塩ビのような樹脂からSUSまで幅広く使用されます。

配管Uボルトの選び方

配管Uボルトを選ぶ際には、以下のような要素を考慮することが重要です。

1. 配管サイズ

配管の外径または直径を正確に測定し、適切なサイズのUボルトを選ぶことが重要です。Uボルト内側のU字型部分は、配管にぴったりと合わせる必要があります。

2. 荷重

配管が支える荷重や使用環境に応じて、適切な強度のUボルトを選びます。大きな荷重や過酷な環境下では、強固で耐久性のある素材や仕上げが必要です。

3. 環境条件

Uボルトが使用される環境条件にも、留意する必要があります。湿度や腐食の可能性があるかなどを考慮し、素材や防錆処理を検討することが大切です。

配管Uボルトのその他情報

配管Uボルトの使い方

配管を固定する方法としては吊りバンドなどによる固定方法もありますが、重量の重い配管には不向きです。振動などに対してもそれほど固定効果が望めないため、プラント配管などではUボルトが使用される場合がほとんどです。

しかし、配管Uボルトは強固に固定できるという面で、反対に注意が必要になります。相手が樹脂製の配管の時は、強固に締め付けると配管が割れる可能性があるためです。また、蒸気配管のように熱により膨張・伸縮する配管に対しては、その伸びを固定しないように締め付けなければなりません。

また、SUS製のサポートや配管に鉄製の配管Uボルトを使用すると異種金属腐食が発生する恐れがあります。

参考文献
http://teiketsu.jp/products/material_size.php?product_id=590
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element17.html

排水マス

排水マスとは

排水マス

排水マスとは下水設備の詰まりを防止するために設置されているマス状の構造物のことを指します。

通常、下水用の配管は地中、しばしば建造物の下に埋め込まれており、詰まった際にそれを掘り起こして清掃することは非現実的ですが、蓋を開けて清掃可能な排水マスを途中に設置し、排水マス内に固形成分を溜め込むことでリスクを未然に防ぐことができます。

排水マスには大きく分けて雨水を溜め込む雨水マスと排水を溜め込む汚水マス、また、道路の側溝に設けられている集水マスが存在します。

排水マスの使用用途

排水マスは主に一般の住宅に降り注ぐ雨や生活排水の処理に使用されています。

雨水マスは住宅の雨樋と繋がっており、雨水を一度マスで受けて敷地外に繋がる排水管に流す、もしくは地中に雨水を浸透させるために使用されます。

一方、汚水マスは住宅の排水溝と繋がっており、生活排水を一度汚水マスで受けることにより配管を詰まらせるような物質が下水道に流れることを防ぐ、もしくはマスにより流量を調整し、処理能力を超えた排水が下水道に流れないようにするために使用されます。

マスの点検、清掃の際は上部に設置したマンホールを開けることによって容易に清掃可能です。

排水マスの原理

汚水マスの原理は種類によらずほぼ共通で、雨水や排水が流れ込む配管、排水を貯め込むトラップマス(コンクリート製もしくは塩ビ製)、排水管及び清掃用のマンホールから構成されています。排水管は家庭用の場合、下水道もしくは浄化槽へと接続されます。

マスの部分は流れ込む配管や排水管よりも低い位置に設置されており、雨水や汚水と一緒に排出されたごみ等はそのまま排出されずトラップマスの部分に堆積するため、配管の詰まりを防ぐことができます。また、トラップマスの部分で一度水を貯め込むことにより、一度に大量の排水が排出されることを防ぎます。

雨水を処理する場合、マスやマンホールの部分に目的に応じた工夫が施されています。地中に雨水を浸透させる目的で使用される場合は塩ビ製のトラップマスに穴を開けたものが使用されており、また、道路の排水に用いられる集水マスではマンホールに穴を開け、直接雨水を取り入れることにより、排水機能を向上させています。

排水マスの仕組み

排水マスは、点検口の総称です。

まず、排水マスに含まれている汚水マスの仕組みを説明します。汚水マスは、インバートマスとも呼ばれ、家庭にある水回りの各所に設置されており、排水を貯めて浮遊物と沈殿物に分離する機能を持っています。家庭から出た生活排水は、排水管から汚水マスに流入されます。そして、水に浮く浮遊物や水の底に沈む沈殿物は、下水道に流入しないようにマスの中間の位置で排水を行います。よって、水位が一定の位置に上昇してこなければ排水は行われないようになっています。

下水道に繋がっている排水管は、直管や直管にエルボー継手が接続されたタイプがあります。汚水マスは、こびり付いた汚れを自浄する作用が小さいため定期的に清掃をする必要があります。特にエルボ継手が接続されているタイプは、沈殿物が多くなると下水道に排水することができなくなりやすいため注意が必要です。

排水マスの種類

排水マスには、汚水マスの他にも様々な種類があります。

まず、雨水マスです。

雨水マスは、円筒形のバケツ形状をしており、雨水を貯めて排水する機能を持っています。住宅周りの雨樋に沿って設置されており、屋根や敷地内の排水量を計算して設置する個数を決めています。雨水をどのように排水するかは自治体によって取り決めが違うことが多いです。外溝に排水しない場合は、雨水管に排水する方法と浸透マスを設置して地面に吸水させる方法があります。雨水管を使用する場合には、下水道の処理に分流式が取り入れられており、汚水と雨水を別々の管で集合させてそれぞれを処理施設に運ぶため接続には注意が必要です。

つぎに会所マスや公共マスがあります。

会所マスは、汚水マスや雨水マスなどを詰まりにくくするために各要所に配置したり排水管の方向転換を行う場合に設置されます。

公共マスは、住宅側と公道側で下水道に接続する前の最終集合マスになっています。一般的に公共マスの設置は、下水道管理者が行います。

最後に泥溜マスやドロップマスがあります。

泥溜マスは、公道沿いにある集水マスに似た構造になっています。雨水などの通路の途中に設置することでゴミや泥などを沈殿させて管のつまりを解消しています。

ドロップマスは、適切な勾配を取るために設置するマスです。排水を行う際に一定の勾配から外れてしまうと排水ができないため角度の調整を行うために設置します。

参考文献
https://xn--yyv.com/type.html
https://xn--yyv.com/shusui.html
https://iekoma.com/part/sanitary/drainagepipe/htsadmin-836/
https://iekoma.com/part/sanitary/drainagepipe/htsadmin-836/
https://sq.jbr.co.jp/library/1235
https://bikensya.com/faq/post-4204/
https://www.city.kasama.lg.jp/sp/page/page010556.html
https://www.takiron-ci.co.jp/product/product_03/usuishintoumasu/
https://www.maboko.net/advice-01/
https://www2.city.kanazawa.ishikawa.jp/sewer/use02/masu/
https://iekoma.com/part/sanitary/drainagepipe/htsadmin-836/
https://w-wallet.com/page731.html

ステンレス管

ステンレス管とは

ステンレス管

ステンレス管とは、材質がステンレスの配管です。

特に指定がない場合は、金額面の観点から鉄製配管が用いられますが、錆を防止したい場合はステンレス管が用いられます。ステンレスの中にも種類があるため、細かい用途や予算に応じた選定が必要です。

主に構造用、配管用、熱伝導用の3種類のステンレス管が存在します。それぞれJISの規格番号は異なり、その中でも薄肉と厚肉、シームレス管と溶接管などそれぞれ種類が存在します。

ステンレス管の使用用途

ステンレス菅は錆に強いことから、錆びやすい場面で多く用いられます。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 発電用蒸気ボイラーの給水配管
  • 石油化学コンビナートの冷却海水配管
  • 排煙脱硫装置の循環液配管
  • 化学薬品や純水・上水の移送配管

ただし、ステンレス製でも錆びることはあります。錆びないのではなく、錆にくい点に注意が必要です。

ステンレス管の原理

ステンレス管はクロムニッケルと鉄を混ぜ合わせた合金です。そもそも、錆は鉄が空気中の酸素と反応し酸化鉄になることが原因で発生します。

ステンレスはクロムを含有するため、鉄より先にクロムが酸素と結合して錆を防止します。クロムが酸化すると、表面に数ナノメートル程度の不動態膜を形成しています。不動態膜は化学変化しづらいことが特徴です。したがって、鉄と酸素が結合するのを防ぐ役割を果たします。

ステンレスに傷がつくと不動体膜が剥がれる場合もありますが、すぐにクロムが酸化して新たな不動体膜を形成します。

ステンレス管の種類

ステンレス種類の表記は、SUS (StainLess Steel) の後に数字がきます。耐薬品性が低い順に、SUS430→SUS304→SUS316→SUS316Lです。

1. SUS430

13%のクロムを含有する合金です。耐食性は他より低い反面、安価で加工性にも優れています。

2. SUS304

配管用途以外も含めて一般的なのはSUS304です。SUS304はクロム18%、ニッケル8%が含有しています。18-8ステンレスとも呼ばれます。ニッケルは、不動体膜を更に形成しやすくする効果があるため、SUS430と比較して優れた耐食性を有します。

3. SUS316

SUS304に比べて更にニッケルを増量し、モリブデンを追加したステンレスがSUS316です。モリブデンの効果により不動体膜が厚くなることで耐食性を増加します。化学薬品や海水などを扱う場合は、更に耐薬品性のあるSUS316を用います。

4. SUS316L

SUS316をより強力にしたものがSUS316Lです。炭素含有量を減らしたことで、溶接部分の腐食性を低下させる性能があります。医薬品や化粧品などではSUS316Lが用いられます。

ステンレス管のその他情報

1. ステンレス管の曲げ

ステンレス管は家庭内の配管など、さまざまな場所で使用されます。ステンレス管を使用するためには、用途に応じた形状に曲げ加工が必要です。ステンレスは加工が難しい素材ですが、曲げ加工の手法はいくつかあります。

パイプベンダ方式
最も一般的な加工方法です。専用の器具・機械を用いてを屈曲させます。曲げた際の歪みなどの変形がほとんどなく、高い精度で仕上げることが可能です。さらに、シンプルな加工方法のため、安価に行うことができます。

ガス炙り手曲げ方式
ガス炙り手曲げ方式は、ガス火でステンレス管を炙って柔らかくした後に曲げる加工方法です。複雑で難易度の高い曲げ加工を行うことが可能です。

2. ステンレス管のねじ切り

ステンレス管のねじ切りは、ガス管や水道管などの用途で行われる加工です。ねじ切り加工ねじ切り機で行います。ねじ切り機は、ダイヘッド、チェーザーなどの部品から構成されます。

ダイヘッドは、ねじ切りの長さやねじ径によりさまざまな種類があり、用途に応じて交換されます。チェーザーはねじ切り用の加工刃です。ねじ切りの長さやねじ径によりさまざまな種類があります。ステンレス管は硬いため、使用するチェーザーはステンレス管用の部品を使用します。

参考文献
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sus-rust/
https://www.nitto-kinzoku.jp/archives/technic/sus316l/
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/haikankoujikisokouza_0204/
https://www.bildy.jp/mag/pipemachine-guide/#ABOUT
https://haikanko.net/category/%e7%ae%a1%e7%a8%ae%e5%88%a5/sus%e7%ae%a1

ライトカーテン

ライトカーテンとは

ライトカーテン (Light Curtains) とは、人や物体が機械装置の危険領域へ侵入したことを検知する安全確認用のセンサです。

ライトグリッド (Light Grid) とも呼ばれる場合があります。機械装置の扉のない出入り口で、光軸を遮ったことを検知して停止するまでの時間を確保し、人や物体が危険物に接しない距離を決めて設置するものです。

機器によって最小検出体の大きさが異なるため、遮光する物の大きさや安全距離、設置場所の高さなどを考慮した上で、適切なものを選ぶ必要があります。ライトカーテンの光源は、波長400nm~1,500nmの範囲と規定されているため、波長が900nm程度の赤外線を出力するLEDが主に用いられます。

ライトカーテンの使用用途

ライトカーテンは 金属加工、薬品、食品、包装、半導体、液晶製造、搬送、 自動車など、自動化された生産設備のある製造現場で、作業者への安全対策を目的として使われる場合が多いです。

自動組立機、実装機、包装装置、印刷機械やラインコンベア設備など、稼働する危険な領域にパーテーションや扉の設置ができない時、作業者の手や指、腕、足など人体一部、遮蔽物の侵入がないかを監視します。

ライトカーテンの原理

ライトカーテンは、投光器と受光器を組み合わせて、1セットとして構成されます。投光器には直線に並んだ投光素子があり、受光器には直線に並んだ投光素子があります。投光側から投光された複数の平行な光を受光側で受光するように平行に設置します。

投光器側が放つ複数の光を受光器側が全て受け取ると異常なしと見なし、機械装置の運転を許可します。作業者の手足など遮蔽物の侵入により、光軸が一部でも遮られると危険な状態と判断し機械装置の運転を停止する仕組みです。

ワーク通過時と人体侵入時を区別して、検出エリア内をワークなどが通過する際は工程を保持させるミューティング機能や一定の範囲だけを無効化できるブランキング機能なども設けられています。

ライトカーテンの選び方

ライトカーテンは各メーカーにより様々なラインナップがあります。そのため、以下のポイントを考慮した上で、選定すると良いです。

1. ライトカーテンの長さ

ライトカーテン本体の長さは、実際に使う生産現場に合ったものを選びます。短すぎると作業員の身体の一部が危険な領域に侵入しても検出できず、事故につながるためです。反対に、長すぎるとライトカーテンを設置できなくなってしまいます。

2. 耐水性・耐油性

生産現場では埃等が舞っており、ライトカーテンの投光器、受光器の表面に付着すると、投光器の光を受光器が正常に検出できなくなります。その結果、危険だと誤検知する可能性があります。したがって、ライトカーテンを洗う必要があるため、耐水性が高いものを選ぶとメンテナンスが楽になります。

3. 同期方式

ライトカーテンの投光器が光を投光するタイミングと受光器が光を受光するタイミングが同期されていないと、ライトカーテンは安全な状態を監視できているかどうかが分かりません。同期方式には、投光器と受光器を同期線で接続する有線同期方式と光同期方式があります。

光同期方式の方が省配線で取り回しがよくなりますが、別のライトカーテンからの投光器から投光された光を誤って検出すること (干渉) を防止するために、一般的には同期をとるライトカーテンの数は、光同期方式の方が有線同期方式よりも少ないです。

4. 光軸合わせのしやすさ

ライトカーテンは、投光器から出てきた複数の光を受光器で全て受光する必要があります。全て受講できるように投光器と受光器との設置の位置・角度を調整することを光軸合わせと言います。光軸合わせがしやすいか、具体的には受光器のどの部分の受光量がどの程度かをライトカーテンで表示されるか、またライトカーテン本体がねじれ等に強いかという点も重要なポイントです。

参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/sensor/safety/index.jsp#ANCHOR01
https://www.keyence.co.jp/products/safety/
https://www.fa.omron.co.jp/
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20130408/275482/?P=3

絞り弁

絞り弁とは

絞り弁

絞り弁とは、配管内部の流体を制御するために使用される機器です。

流体が通るパイプラインや管路に取り付けられ、内部の通路を狭めたり広げたりすることで、流体の流れを調整します。絞り弁は開度を変えることで、必要な流量を確保・制御することが可能です。これにより、プロセスの効率化や流体システムの安定性を向上させることができます。

また、一般的にシンプルな構造を持ち、操作が比較的容易です。開度を変えるための操作手段はさまざまで、ハンドルや電動アクチュエータなどが存在します。これらの操作手段を使用することで、簡単に制御することが可能です。

ただし、絞り弁は流体の通路を制限するため、通過する流体に対して圧力損失が発生します。弁が閉じられるほど圧力損失は増加し、流体移送の効率性に影響を及ぼす場合も多いです。高速で流れる流体が絞り弁を通過する際に局所的な圧力低下が発生し、キャビテーションが起こることもあります。

絞り弁の使用用途

絞り弁は、さまざまな産業や分野で使用されます。以下は絞り弁の使用用途一例です。

1. 自動車

自動車用エンジンは常に最適な燃焼を実現するため、燃料の供給量に対して理想的な空気の量を計算しています。空気の供給量を調整するツールとして絞り弁を使用されることが多いです。アクセルの踏み込みに応じて絞り弁が開放され、燃焼室内により多くの空気が供給されます。

これにより、多くの燃料を燃焼させ、高い出力を得ることが可能です。また、近年では絞り弁の開度を自動制御することにより、車速をコントロールする技術も取り入れられています。

2. プラント

化学プラントにおいて、液体や気体の供給や排出、反応プロセスの制御に使用されます。一例としては、反応器内の圧力や流量を制御するために使用されることが多いです。石油精製所でも、原油の流量や精製プロセスでの圧力制御などに使用されます。

3. 発電所

絞り弁は、発電所においても重要な役割を果たす装置です。発電所の蒸気タービンでは、絞り弁が蒸気の流量と圧力を制御し、発電量やタービンの効率を最適化します。また、発電所では使用される冷却水の流量を制御し、熱交換プロセスを効率化するために使用されることも多いです。

絞り弁の原理

絞り弁の基本的な原理は、弁体の開度によって流体の通路を制限することで、流量や圧力を制御するという仕組みです。具体的な原理は、絞り弁の種類によって異なります。

ただし、多くの絞り弁は弁体の開度によって流体の通路を制限します。弁体の開度を変化させることで、通路の断面積を調節して流体の流れを制御することが可能です。

弁体を閉じることで通路が狭くなり流体の流れが制約され、弁体を開くことで通路が広がり流体の流れが良くなります。弁体が閉じられるほど、圧力損失が増加する場合がほとんどです。この圧力損失は、絞り弁の設計や特性によって異なります。

絞り弁の種類

絞り弁にはいくつかの種類が存在します。以下は絞り弁の種類一例です。

1. グローブ弁

円柱状の弁体を上下に移動させることで、流体の流れを制御する絞り弁です。無段階での流量調整が可能なため、広く利用されています。ただし、圧力損失が多くなることが課題です。

2. バタフライ弁

円盤状の弁体を回転させることで、開閉する絞り弁です。軽量でコンパクトな構造を持ち、比較的低い圧力損失が比較的低いです。開閉に必要な力も少ないといった長所があり、主に中程度の流量制御に使用されます。

3. ニードル弁

ニードル弁は、細長い錐状の弁体を使用して、精密な流量制御を行う絞り弁です。微細な開度制御が必要な場合に使用され、高精度に流体を制御することができます。

4. ボール弁

球体の弁体を回転させることで開閉する絞り弁です。スムーズなオン/オフ制御や流量制御に適しており、高いシャットオフ能力を持ちます。短い回転ストロークで操作できるため、迅速な制御が可能です。

参考文献
https://www.fujikin.co.jp/support/basic/standard.html
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1310/10/news007_3.html
https://www.tomoevalve.com/guide/kind/#3
https://www.kitz-valvesearch.com/kiso/intro.html
http://www.crane-club.com/study/mobile/control.html
https://www.tlv.com/ja/steam-info/steam-theory/other/0705genatuben/
https://www.tokyokeiki.jp/products/detail.html?pdid=54
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/technique/pressureloss.jsp
https://www.monotaro.com/g/00001013/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/diaphragm.jsp

注油器

注油器とは

注油器

注油器とは機械の所定の部分に潤滑油を供給するために使用される機器のことを指します。

潤滑油は自然滴下によって供給される場合もありますが、粘性が高い場合は滴下不良を起こすため、圧力を加えて送り込む必要があります。また、用途に応じて滴下量を調整する必要があります。

圧力を加え滴下量を調整するための手段として、容器上面に圧力を加えて潤滑油を滴下させるグリースカップや手動もしくは電動、空気圧等で潤滑油を注入するグリースガンなどが開発され、使用されています。また、潤滑油の粘性が低く連続供給が必要なものに関しては安定供給するための機械が開発されています。

注油器の使用用途

注油器は動作する機械の駆動部分で発生する摩擦を潤滑油の供給によって軽減し、機械の性能を維持するため、あるいは注油によって対象部分の洗浄や冷却を行うために幅広く使用されています。

用いられる注油器の種類は注油する油の種類によって異なり、摩擦の軽減やメンテナンスフリーの目的でグリースを用いる場合はグリースカップやグリースガン、摩擦の軽減よりはむしろ洗浄や冷却を目的として、粘性の少ない潤滑油を必要とする場合は装置による連続供給を用います。

注油器の原理

注油のために用いられているグリースカップは本体と蓋で成り立っており、カップ本体にグリスを注入して蓋を締めることにより、蓋を閉めた圧力の度合いに応じて対象部分にグリスを供給します。また、グリースより粘性の低い油を使用する場合は一度の滴下を防ぐため、カップに紐が内蔵されており(この形状はオイルカップと呼ばれています)、紐を伝わるような形でオイルを滴下させる工夫がされています。グリースカップ、オイルカップを用いる方法は安価で量の調整が可能ですが、圧力を定期的にかける必要があるためやや管理が煩雑です。

グリースガンはその油筒部分に油を入れ、圧力を加えることによって先端のニップル部分を対象部分に密着させ、機械に供給します。圧力供給方法としては手で容器を押す、もしくはレバーを引く形のものが多く用いられていますが、電動もしくは空気圧で供給するものも販売されています。グリースガンも安価に利用することができ、高圧での注油が可能ですが、注入量の調整がやや難しく漏れることがあるため注意が必要です。

参考文献
http://www.cup-kurita.co.jp/lib/index.html#l01

https://www.juntsu.co.jp/tribology-doc/feature-lubricator.php

サージプロテクタ

サージプロテクタとは

サージプロテクタ

サージプロテクタとは、落雷などにより生じる瞬時の非常に大きな高電圧・高電流から機器を守るための保護機器のことです。

サージとは、落雷・雷雲や工業機械などから発生する数千ボルトの電圧のことを指します。自然災害では雷がありますが、スポット溶接プラズマ切断など高電圧による作業は、放電の瞬間に極度の高電圧 (スパイク) 高電流 (サージ) を発生し、電子機器・コントローラー回路などに破損の影響を与える場合があります。

サージプロテクタはそれらによる事故を軽減、保護するためのデバイスです。サージ被害が発生した場合、被害がないと思われる器具にも損傷がある可能性があるため、器具を設置したと同時にサージプロテクタの取り付けを行う必要があります。

サージプロテクタの使用用途

サージプロテクタは、落雷や放電による高電圧、高電流での機器の破壊が懸念される箇所へ使用されています。サージプロテクタの具体的な使用場所は、以下のとおりです。

  • 直撃雷発生時の避雷針等からの誘導雷 (異常高電圧) 付近
  • 雷の影響から静電誘導による間接的な大電流が流れる近傍の場所
  • 高圧電流の流れる送電線および鉄塔付近
  • 高電圧・大電流が発生するモーター動力機器の近くや工場 (自動車修理など)
  • アーク溶接機近くのアーク発生時にノイズを放射する場所や取扱い工場
  • ネオン看板などの高電圧を放電する近傍

サージプロテクタの原理

サージプロテクタは、高電圧・電流のサージの印加時に、内蔵の非線形素子が低抵抗な状態となり、接地側 (グランド側:GND) へ回路的にサージを逃がす働きを活用します。サージプロテクタに接続された様々な電子・電気機器を破壊から保護するのが役割です。

サージプロテクタは、サージ電流を分流させ過電圧を制限するため、1個以上の非線形素子 (電圧をかけたとき、素子に流れる電流が電圧と比例しない素子) を内蔵しています。この素子は雷サージ吸収素子とも呼ばれます。

サージプロテクタの通常時は、電気を通さない絶縁物と同等の状態で、電源電圧に対して高抵抗です。サージが発生したときに、内蔵の非線形素子の働きにより、瞬時に高抵抗から低抵抗となります。

そして、サージ電流を接地側に流すと同時に雷サージの電圧を抑制し、その後に元の高抵抗に戻るので、電流が流れ続けることはありません。サージプロテクタを選定するポイントは、通常にサージ処理した時の残留電圧に基づく電圧防護レベル (最大サージ電圧) です。

サージプロテクタのその他情報

1. 電源タップのサージプロテクタ

家庭用や職場オフィスで頻繁に活用される電源コンセントのタップにおいても、サージプロテクタが内蔵されているものがあります。この場合のサージプロテクタ用途に用いられているデバイスは、雷サージ吸収素子であり、通称「バリスタ」と呼ばれています。

バリスタは「Voltage Variable Resistor」の略称であり、一般には積層チップセラミックスが用いられ、ある閾値電圧を超えると量子力学的なトンネル効果により大電流を流せる素子です。

順逆ダイオードと並列容量で同様の機能の回路構成は可能ですが、面積面で不利なため、通常バリスタが用いられています。バリスタを用いた保護回路は電源タップに限らず、様々な電子・電気機器で活用されている状況です。

2. サージプロテクタの性能指標

サージプロテクタの性能指標の一つに、最大サージ電圧があげられますが、この電圧は測定方法も含め、公の規格で規定されています。

例えば、国際試験規格となるIEC61000-4-5は、JEC210/212規格 (国内試験規格) に比べて、同じクラスの製品においても最大サージ電圧の値が低くなりますが、これは測定方法の違いによります。

参考文献
https://www.otowadenki.co.jp/basic2/

バルブアクチュエータ

バルブアクチュエータとは

バルブアクチュエータ

バルブアクチュエータとは化学プラントや空調設備等の自動制御の一環として行われるコントロールバルブの開閉を自動で行い、流体の流量を調整するために用いられる装置です。

また、この装置を駆動部として利用したバルブのことを自動弁、電気で動くものを電動弁と呼ぶことがあります。

バルブアクチュエータには駆動方式として空気圧、電気、油圧等を利用したものが存在しますが、構造が簡単で大出力が可能な空気圧式が最も用いられています。

バルブアクチュエータの使用用途

バルブアクチュエータは流体の自動制御を必要とする機械に幅広く使用されています。

代表的な例としては自動車エンジンに搭載されている可変バルブリフト機構で、エンジンの回転数に合わせて吸気バルブの開閉状態を調整することにより、エンジン内の空気量等を調整し、着火性の向上や以上燃焼の防止による環境負荷の軽減や燃費の向上をはかっています。

一方、オン、オフのみの単純な機能を持つものも存在し、センサーに合わせて作動する洗面所の自動水栓等に利用されています。

バルブアクチュエータの原理

空気圧式のバルブアクチュエータはアクチュエータ内に存在するピストンをエアーにより加圧して動かし、ピストンの運動をドライブシャフトの回転運動もしくは上下運動に変換することによってバルブを開閉し、流量の制御を行います。また、バルブを逆方向に動かしたい場合は圧力を取り除いた際にピストンが元に戻ろうとする力を利用します。空気の圧力調整にはポジショナと呼ばれる機械を使用します。

簡単な構造で制御項目も少なく繰り返しの使用にも耐えますが、やや細かい制御を苦手としています。また、機械を動かすために高圧空気が必要になります。

電気式のバルブアクチュエータは電気エネルギーをアクチュエータの回転運動、上下運動に変換することによってバルブを開閉しますが、空気圧式との相違点として、アクチュエータ自身が位置の制御を行っていること、また、逆方向に動かしたい場合は逆向きの電圧をかけること等が挙げられます。

電気でバルブの開閉を直接制御できるため、空気圧式と比較して精密な制御が可能で、また電源のみでの利用が可能ですが、制御項目が多く構造が複雑で、耐久性にやや劣ります。

参考文献
https://www.m-system.co.jp/mstoday/backnum/2006/07/mame/index.html

http://energy-kanrishi.com/cv/

https://www.hisaka.co.jp/valve/cgi-other/item/64/pdf1.pdf