テストインジケータ

テストインジケータとは

テストインジケータ

テストインジケータとは、部品の段差や高さ、厚さなどを測るための計測器の1つです。

測定子がてこのように上下したり、スピンドルが上下することによって段差などの変位を検出し、変位量をダイアルゲージで示します。他の呼び名は、てこ式ダイヤルゲージやピックテスト、ピックテスターなどです。

テストインジゲータは先端の測定子が変位に合わせて上下し、てこの原理を使って変位量を増幅させます。変位量は針の回転運動に変換され、ダイヤル目盛で指示値を読み取ります。

目盛の表示板の形状や向きによって、標準形、傾斜形、垂直形、横型など種類はさまざまです。ダイヤル目盛を任意の方向に向けることができるユニバーサル形もあります。ダイアルゲージの目盛は1目盛が0.01mm~0.001mmのものがあり、測定範囲も測定精度に応じて異なります。

テストインジケータの使用用途

テストインジケータは、さまざまな工業製品の製造現場で使われます。10μmの単位の測定が比較的容易にできるため、製造ラインや品質保証の測定室などでも広く用いられる測定器具です。

測定する項目は、段差のような寸法測定に用いることはもちろん、測定対象の平面上を数点測ることで、平面度や平行度を測ることも可能です。また、工作機械のスピンドルなどに取り付けることで、回転軸の振れを測ることもできます。

テストインジゲータを用いた測定は、回転部品の振れの数値から回転軸の芯出しをしたりと、さまざまな用途で使用することができます。テストインジケータは、目盛板の方向や測定子の長さなどメーカーのラインナップが様々あります。用途や状況に合わせて、最適なものを選定することが大切です。

テストインジケータの原理

テストインジケータは、本体フレームの内部にムーブメントと呼ばれる、ギアを組合わせた変位量の増幅機構を内蔵しています。増幅機構はムーブメントに取り付けられた測定子が段差にあわせて行う上下動を、変位量に変換して数値として読み取るための機構です。

測定子の変位量は、ムーブメント内でてこの原理を利用して増幅され、ギアの組合せで更なる増幅を繰り返しながら針の回転運動へと換えられます。増幅量はとても大きく、0.001mm単位の目盛量で、変位を測定することが可能です。しかし、増幅量が大きい分、測定できる範囲は1~2mm程度と小さく、それ以上は針が振り切れてしまいます。針が振り切れた状態で無理に変位を加えると、故障の原因になるため注意しなければなりません。

テストインジゲータは比較的簡単に扱える測定機器ですが、慎重に取り扱うことが大切です。また、測定子の長さも長短ラインナップがありますが、測定子の長さは機種と変位量に合わせて調整されているため、取り付け可能だからといってメーカーのラインナップにない組合せをしてしまうと、正しい測定値を表示できなくなります。

テストインジゲータのその他情報

テストインジゲータの応用機器

テストインジゲータは、てこやスピンドルの変位量を増幅し、ダイヤルゲージで読み取ることができる測定機器です。この原理を用いて、さまざまな応用測定器が発売されています。

1. シックネスゲージ
シックネスゲージはフィルムや紙類といった、非常に薄いものの厚さを測定に使う測定機器です。スピンドルとスピンドル先端の反対側に設けられた受け面との間に、測定物を挟むことによって厚さを測定します。

2. ダイヤルテンションゲージ
ダイヤルテンションゲージは、寸法ではなく引張力が作用している部品の生じている引張力やバネ圧の測定を行う測定機器です。

3. ダイヤルスナップゲージ
ダイヤルスナップゲージは、ダイヤルシックネスゲージ同様、スピンドルとスピンドルの相手側の受け面によって、測定物を挟み込んで厚さなどの寸法を測定します。測定面が比較的大きく、また測定範囲が大きいのが特徴です。

ダイヤルスナップゲージなら、300mm程度までの寸法を測定することができます。製造現場において、加工物の円筒の直径などの測定に用いられます。

参考文献
https://www.mitutoyo.co.jp/support/service/catalog/07_kogu/r284_4.pdf

チョークコイル

チョークコイルとは

チョークコイル

チョークコイルは、電気回路で用いられる素子であり、チョークという用途に最適化されたインダクタの一種です。

この場合におけるチョークの意味は、比較的高い特定の周波数より大きい交流電流を通さず、それ以下の電流を通しやすくする機能を指しており、電気回路上で実装されます。コイルの構造は、ケイ素銅などの鋼板の積層板をコア (鉄心) とし、その周りにらせん状に導線が巻かれたものが代表例です。

種類としては平滑用チョークコイル、アクティブフィルタ用チョークコイル、ノイズフィルタ用チョークコイル、および電源ライン用チョークコイルがあります。それぞれ、用途によって使い分けられます。

チョークコイルの使用用途

前述した通り、チョークコイルは用途によって大きく分けて4種類あります。

1. 平滑用チョークコイル

交流電流を平滑回路やAC/DCコンバータにより直流に変換した際の電流の歪みを軽減し、平滑させる時に使用されます。

2. アクティブフィルタ用チョークコイル

計測機器などアナログ信号の入力回路に用いられるアクティブフィルタにおいて、高周波対策として使用されます。

3. ノイズフィルタ用チョークコイル

ノイズの流入しやすい電源回路等に実装され、ノイズ対策用として使用されます。

4. 電源ライン用チョークコイル

RF用パワーアンプの負荷整合と電源ラインのインピーダンス抵抗や損失を低減させる時に使用されます。

チョークコイルの原理

チョークコイルは、ケイ素銅などの鋼板の積層板をコア (鉄心) とし、その周りにらせん状に導線が巻かれた構造を成します。また、一般に用いられるコイルに比べてインダクタンス値が高いことが特徴です。一般的なコイルとチョークコイルは下記のように性質が異なります。

  • 一般的なコイル
    直流電流を流しやすく交流電流を流しにくい。
  • チョークコイル
    直流電流と低い周波数の交流電流を流しやすく、高い周波数の交流電流を流しにくい。 

チョークコイルが上記のような性質を持つ理由として、インダクタンス値が高く、周波数の高い交流電流が流れた際に誘導起電力が発生し、電流が流れる方向とは逆向きの起電力が生じることで電流が流れにくくなるという現象が起こることが挙げられます。

アクティブフィルタ用やノイズ対策用として用いられる際、計測機器の入力端子や電源回路の電源端子から内部に流入しようとする外部ノイズは高周波数です。チョークコイルは高い周波数であるノイズを遮断できるため、そのような用途で使用されることが多くあります。

チョークコイルのその他情報

1. トロイダルコイルについて

チョークコイルはスマートフォン向けなどの超小型チップ部品でない場合、ドーナッツ型の磁性体コアに導線を巻いたタイプが多いです。これはトロイダルコイルと呼ばれ、磁束を閉ループの中に閉じ込める (右ねじの法則) ことができます。トロイダルコイルのメリットはこの閉じ込めた磁束を活用することで、小さいサイズでより大きなインダクタンスを実現できることです。

インダクタ特性に重要な因子としては、Q値や最大許容電流などがあげられます。昨今の小型高密度実装の要求に基づき、サイズをいかに小さくしながらこれらのインダクタ特性を向上させるかという点に、各メーカーはしのぎを削っています。

2. 磁性体コアの材料

チョークコイルの磁性体コアの材料には、鋼板の積層板など様々なものが用いられています。中でもよく使われている磁性体コアの材料に一つにフェライト材があり、ニッケル系とマンガン系に大別できます。

ニッケル系のフェライト材は絶縁性が非常に高いために、100MHz以上の高周波で使われることが多いです。マンガン系のフェライト材はコストが安く透磁率と飽和磁束密度が高い性質を有し、低周波の電源ライン用コモンモードチョーク等に多用されています。

参考文献
https://www.tamura-ss.co.jp/jp/products/electronic_components/category/choke_coils/index.html

タコジェネレータ

タコジェネレータとは

タコジェネレータとは、回転するシャフトなどに取り付けられ、回転数に応じて直流電圧信号を出力するセンサーです。

シャフトの回転速度検出に用いられ、TGなどと略して表記されます。タコジェネレータの「タコ」はギリシャ語で速度であるtakhosに由来し、エンジンなどの回転数を計測する機器をタコメーター (英: Tachometer) と呼びます。

また、「ジェネレータ」は発電機 (英: Generator) の意味で、電気を発生する機器です。タコジェネレータは回転数を計測する機能と発電機能を兼ね備えた機器であるため、このような名称がつけられたとされています。小型で信頼性が高く、精度の高い回転数計測が可能なため、幅広い分野で使用されています。

タコジェネレータの使用用途

タコジェネレータは主に移動機器などの回転検出に使用されます。

古くから自動車や船舶の回転計や速度計に使用されます。タコジェネレータをエンジンなどの回転軸に取り付けることで、回転数から速度を算出することが可能です。近年では安価で精度が高いパルス発生器を代替として使用することが多いです。

また、工作機械などにおいて回転数を制御するために使用されます。ロボットアームの位置決めなどにも使用されます。総じて、高精度な回転速度制御や位置制御が必要な機器に用います。

その他、汎用的な回転数計測用途に使用される場合があります。クレーンの移動速度検出や、アーム駆動速度検出に使用される場合があります。

タコジェネレータの原理

タコジェネレータは回転子、ブラシ、固定子・ケーシングなどから構成されます。

1. 回転子

回転子は回転するシャフトと共に回転する部品です。内部にはコイルが巻かれています。

コイルは回転子のコアに巻かれたワイヤーで、磁場の変化によって直流電圧を生成するために使用されます。回転子の回転に伴い、磁束がコイル内を通過することによって、コイルに誘導起電力が誘起されます。

軸の回転方向によって誘導起電力のプラス/マイナスの向きも反転するため、回転速度に加えて回転方向も判別することができます。

2. ブラシ (整流子) 

タコジェネレータの回転子と接触する部品です。コイルへ印可される電圧極性を切り替えるために使用されます。主にカーボンなど素材で構成されます。

長時間の使用によって摩耗が進むことがあり、定期的なメンテナンスや交換が必要になる場合があります。また、ブラシが不適切な位置に接触したり、汚れや錆によって接触が悪化すると、正確な回転数を検出できなくなる場合があります。

3. 固定子・ケーシング

固定子は回転子に磁場を提供する部品です。主に永久磁石が使用されます。

ケーシングは内部の回転子や永久磁石を保護し、外部の環境からの影響を受けにくくする役割を持ちます。一般的に金属製の筐体に収められ、軸受けで支持されています。

ケーシングはは耐久性が高く、耐熱性や耐腐食性などを有する材料で作られます。スチールやステンレスがその一例です。また、精密な加工が必要な場合もあるため、高精度の加工技術が要求される場合があります。

ケーシングには、入出力用のコネクタが設置されることが多いです。これにより、タコジェネレータから出力される信号を取り出して外部へ供給します。また、ケーシングには取り付け用の穴やスリットが設けられており、機械的な固定や配線の通路としても使用されます。

タコジェネレータの選び方

タコジェネレータを選ぶ際は、回転速度範囲や出力電圧を考慮して選定します。

タコジェネレータは一定の範囲内での回転速度を信号出力します。したがって、対象機器の回転速度の範囲を確認することが重要です。その範囲内で使用するタコジェネレータを選択する必要があります。

また、出力電圧なども使用するシステムの要件に合わせて選択する必要があります。一般的にタコジェネレータの出力は直流電圧ですが、必要に応じて交流へ変換する回路を組み込むことも可能です。

参考文献
https://www.tamagawa-seiki.co.jp/

スリットノズル

スリットノズルとは

Fig1 スリットノズルとは

図1. スリットノズルとは

スリットノズルとは、直線状のスリットを持つ流体用ノズルです。

スリット幅全体にわたって、均一な流速分布での噴出が可能です。用途が多岐にわたるため製品ラインナップも豊富で、気体、液体どちらにも使用されます。

気体の場合は、エアーブロアーやエアーカーテンとして使用されることが多いです。液体の場合は水での洗浄や冷却のほか、薬液でのコーティングや表面処理が可能です。

オプションとしてノズルの吹込口側に熱風用ヒータを取り付けることによって、熱風のエアーカーテンや表面均一熱処理などにも使用できます。

スリットノズルの使用用途

スリットノズルは内部の流体が圧縮空気か、水・塗液なのかによって様々な用途があります。

  • 水切り (特に板状ワークの急速水切り) 、乾燥
  • ガラス基板、液晶部材等の洗浄
  • 鋼板、鋳物等の冷却
  • 紙、段ボールの調湿
  • 粉塵や切り粉、異物の除去・清掃
  • 外気、ガス、飛散ミスト、粉塵の遮断 (エアーカーテン)
  • エレクトロニクス産業における現像
  • エッチング、表面処理
  • 均一な薬液コート
  • エアーナイフとしての利用
  • 食品産業におけるコーティング、洗浄、水切り
  • 塗装工程における除水冷却、コーティング
  • 化学産業における樹脂フィルム表面の除塵、剥離

その他、電気電子、車両・運輸、鉄鋼などの分野においても活用されています。

スリットノズルの原理

Fig2スリットノズルの特徴

図2. スリットノズルの原理

スリットノズルは、スリット状の細い孔を儲けることで、吹き出す方向には大きな圧力損失が発生するため、マニホールドによって幅方向に広がり幅方向で均一に吐出する幅方向均一性が上昇します。その代わり特に圧空のノズルでは、圧力損失が大きいため、エネルギー消費が大きく吐出圧が大きく落ちてしまいます。

液体のノズルとして用いる場合には、十分な供給圧のある定量ポンプを用いることで、この問題は解決できます。ただし、液体の場合には、大きな圧力によってスリットノズルが変形してしまわないように設計する必要があります。

スリットノズルの特徴

スリットノズルは中を通る流体の流量・速度分布が均一になるように設計されています。

  • スリット幅 (スリット厚): 05~1.6mm程度
  • スリット長 (スリット幅): 50~4000mm程度

いずれも幅広いラインナップがされており、対象部材のサイズや用途に応じた選択が可能です。また、スリット幅が固定ではなくワークや風量に合わせて調整できるタイプもあります。メンテナンスが簡単なのは固定タイプですが、用途によっては調整タイプも選択できます。

材質もステンレス、PVC、アルミ、チタン、PPS樹脂など多種多様です。ブロワーエアー専用のものから、耐薬品性を有する材質のものなら液膜生成が可能なものまであります。

均一に薄膜状な噴霧が可能なので、薬液や純水にかかるコストの削減にも貢献します。また、噴出方向も上、下、横方向とバラエティ豊富で、製品サイズが小さいものを選べば細い隙間での使用も可能です。

スリットノズルの選び方

Fig3 スリットノズルの選定

図3. スリットノズルの選定

スリットノズルは、空気・ガス、水、薬剤など様々なものに用いられます。また、その用途も乾燥、冷却、洗浄用、エアカーテン、塗布など多岐にわたります。複数の用途を兼ねることもできますが、たとえば清掃用途には均一性よりも風圧、塗布の場合には均一性など求められる性能は異なるため、その用途に最も最適な設計がされたスリットノズルを選定するのが良いです。

各社が販売しているスリットノズルもある程度、想定用途を考慮して設計しているため確認することが大切です。圧空やガスを作動流体としているスリットノズルの場合には、衝突圧や騒音などがスペックとして記載されています。

スリットノズルにおいてはスリット幅や長さ、材質がまず基本の重要なスペックです。そして、それが決まればあとはメンテナンス性やスリット幅や長さを調整できる機能が必要かどうか、設置のしやすさなどがポイントになります。

また、塗布に用いるスリットノズルは先端の形状によって空気同伴やリビング現象が起こるか起こらないかが変わる場合があるので、塗液の粘度に応じて最適なものを試用するなどして確かめることを推奨します。

参考文献
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/products/spray/1ryutai/501
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/products/spray/2ryutai/920
http://www.systemlabo.co.jp/surittonozuru.htm
https://www.spray.co.jp/spray_nozzles/jp_slit_nozzles.aspx

ワンタッチジョイント

ワンタッチジョイントとは

ワンタッチジョイント

ワンタッチジョイント (英: one-touch joint) とは、ソケットにプラグを差し込むだけで接続固定ができる継手部品です。

ソケットのスリーブを動かすだけで、接続部分を簡単に取り外すことができます。チューブ同士を接続する場合のユニオン、片側がオネジで配管にネジ止めできるストレート、メネジになっているメスストレートなどの種類があります。

使用用途に応じて各部の材質も選択可能で、クリーン環境で使用できるものや静電気防止用のジョイントも用意されています。

ワンタッチジョイントの使用用途

ワンタッチジョイントは空気配管や水配管の接続の際に、チューブ同士を結合して流路を確保するために使用されます。具体的な使用場面は、工場などで圧縮空気を使用する器具などの着脱です。

自動車整備や木工機械、工作機械などで作業する際に使用されます。また、家庭菜園、洗車、シャワー、散水、農業ハウス、灌水などの給水も用途の1つです。多くの配管接続作業は工具が使用できるスペースが十分にない場合もありますが、ワンタッチジョイントは狭い場所でも有効的に活用できます。

農業、製薬、食品、化学、石油化学などの産業分野では、継手本体の静電気の防止や耐スパッタ性、耐腐食性が求められる場合があります。

ワンタッチジョイントの原理

従来の配管接続作業では、チューブを接続するためにスリーブナット式継手を使用することが主流でした。スリーブナット式継手では、本体にスリーブをはめてナットで締結することで、チューブを接続することができます。

スリーブにナットを締結するためにレンチなどの工具を使用する必要がありますが、ワンタッチジョイントではチューブをソケットに差し込むだけで簡単に締結することが可能です。また、スリーブを押しながらチューブを引き出すだけで取り外せます。

一般的に、流路の途中に段差などの障害物があると流れが妨げられ、流体が持つ圧力が低下します。ワンタッチジョイントでは、ジョイント内部の最小径がチューブ内径と同等です。そのため、途中に流体の通路が狭められることがなく、圧力損失を小さく抑えることができる特徴があります。

ワンタッチジョイントの特徴

1. ワンタッチ着脱

プラグをソケットに差し込むだけで、ワンタッチ配管接続が可能です。そして、ソケットのスリーブを動かすことでプラグが外れ、ソケット内部のバルブが閉まって、流体の漏れを防止します。スチールボール又は回転機構により、回転接手の働きがあるので、ホースの捩れがありません。

2. 使用材料

樹脂製のワンタッチジョイントは、本体にポリプレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどを使用し、非常に軽量です。スプリングはステンレスや樹脂を使い、シール材はニトリルゴムやフッ素ゴムを使用しています。

オール樹脂製は、錆や金属イオンの心配が不要です。耐薬品性に優れています。また、食品衛生法に適合が可能です。金属製のワンタッチジョイントは、本体に黄銅、ステンレス、アルミ合金、真鍮などを使用します。食品関連にも適しています。

3. その他

パージプラグが付いたタイプは、圧縮空気に使用した場合、プラグを外すときホース内の残圧により反動と不快音が発生するのを防止します。また、ロック機能が付いたソケットは、接続後ロックをかけることが可能です。不意に金具が外れることを防止します。

ワンタッチジョイントのその他情報

ワンタッチジョイントに使用するホース

ワンタッチジョイントには、各種ホースが使われます。ナイロンチューブ、ウレタンチューブ、架橋ポリエチレンチューブ、塩ビホース、水道用ポリブテン管、難燃性波付硬質合成樹脂管、フッ素樹脂管などです。使用条件から選定します。

参考文献
https://www.hagitec.co.jp/yy/ke-buru/wanntatuiti01.htm

ステンレスグレーチング

ステンレスグレーチングとは

ステンレスグレーチング

ステンレスグレーチングとは、ステンレス鋼を主材料として製造された、床や路面などに使用される格子状の金属製品のことです。

道路などの排水設備の側溝の蓋だけでなく、公衆浴場などの排水溝の蓋として使用されているものもグレーチングと呼ばれます。

ほとんどの場合、グレーチングは鉄やアルミを素材に製作されます。ステンレスグレーチングは耐食性や耐摩耗性が高く、優れた強度を持ちます。床や路面の補強や橋梁などの構造物に幅広く使用されています。

軽量でありながら強度があるため、施工が容易でメンテナンス性にも優れています。見た目が美しく高級感があるため、建物の外観にも利用されることがあります。

ステンレスグレーチングの使用用途

ステンレスグレーチングは材料がステンレスのため、鉄よりも錆や腐食に強くアルミより強度があります。したがって、ステンレスグレーチングは土木・建築物に広く使用されます。表面にキズがつきやすく、ある程度強度が必要な箇所に使用されます。

工場や倉庫、商業施設では床面の補強や補強板として幅広く使用されます。重量物を運搬するための通路や車両の走行面としても使用されます。沿岸の交通量が多い場所などに用いられます。

また、排水口や換気口などのカバーとして使用されます。これらの設備は建物周辺の水・湿気や異臭などを除去するために必要です。ステンレスグレーチングによって、歩行可能かつ排水・排気が可能です。

橋梁の補強材として使用される場合もあります。橋梁には車両や歩行者が通行するために使用されるため、ステンレスグレーチングによって強度を確保します。また、金属製品としての美しさや高級感を活かして、建物の外観の意匠やデザインに活用される場合もあります。

ステンレスグレーチングの原理

ステンレスグレーチングは、格子状に形成された鋼材が交差して作られた板状の構造物で、その原理は力の分散にあります。ステンレスグレーチングには水や重量物などが通過することができますが、グレーチングがその荷重を均等に分散することで荷重を支えることが可能です。

ステンレスグレーチングには格子状の開口部が多数あり、通気性や排水性を高めています。これにより、排水路や換気口などに適した構造物です。ステンレス鋼を使用しているため、耐食性や耐摩耗性が高く、長期間の使用に耐えることができます。そのため、機能性や耐久性が求められる建物や施設などに広く利用されています。

ステンレスグレーチングの種類

ステンレスグレーチングは製作方式によりさまざまな種類があります。以下はステンレスグレーチングの種類一例です。

1. ステンレス溶接グレーチング

ステンレス鋼板を加工して作られた一体型の溶接グレーチングです。強度が高く、広い面積を支えることができます。また、横方向の溝が深く、防滑性があります。

2. プレスロックグレーチング

ステンレス鋼板を加工して、互い違いに噛み合った構造にしたプレスロックグレーチングです。滑り止め効果があり足場として安全性が高いため、屋内外の施工現場や屋上などに使用されます。

3. ハニカムグレーチング

蜂の巣状の構造をしたグレーチングです。軽量でありながら強度がある点が特徴です。排水効果が高いため、雨水の排水路などに使用されます。

ステンレスグレーチングの選び方

ステンレスグレーチングは沿岸部などの腐食に耐える必要がある場合や、光沢による美観・景観を保つ必要がある場合などに選定します。また、ステンレスグレーチングは荷重や格子幅、防滑性などの観点から選びます。

使用する場所や目的に応じて、適切な荷重を選ぶ必要があります。荷重を超えた場合、グレーチングが変形したり破損したりすることがあるため、適切な荷重を選ぶことが重要です。

また、格子の幅を変えることで通過物の大きさを変えることができます。格子の幅はカートなどの車輪が脱落するおそれがある場所などでは細目が用いられています。JIS規格などで使用される溝幅に合わせたサイズや目のあらさが規定されているため、メーカを問わず溝に合わせた使用が可能です。

屋外や湿気の多い場所では防滑性の高いグレーチングを選ぶことが重要です。表面の形状を変えることで滑りを防止することが可能です。

参考文献
https://www.takara-kizai.com/information_grating/

ワイヤロープスリング

ワイヤロープスリングとは

ワイヤロープスリング

ワイヤロープスリングとは、重い貨物や物体を持ち上げて吊るすために使用される鋼鉄製ワイヤー吊り具です。

一般的に鋼のワイヤーロープが複数本組み合わさって作られており、その中に留め金や端末フィッティングが取り付けられています。ワイヤーロープスリングはその強度および柔軟性のために、重い荷物を安全かつ確実に持ち上げ、移動するのに適した工具です。

鋼のワイヤーロープは高温に対しても耐性があり、また腐食にも強いため、さまざまな環境で使用することができます。これは岸壁や海上における作業において有利に働く利点です。また、摩耗に対しても強いため、長期間の使用に耐えます。

ただし、ワイヤーロープスリングの正しい取り扱いと適切な訓練が必要です。荷重制限を超えないように使用することが重要であり、過度な負荷をかけると事故や損傷の危険性が高まります。

ワイヤロープスリングの使用用途

ワイヤーロープスリングは、その強度と耐久性のためにさまざまな用途で使用されます。以下は、ワイヤーロープスリングの主な使用用途です。

1. 建設現場

建設プロジェクトでは、建材や構造部品の持ち上げや配置にワイヤーロープスリングが利用されます。鉄骨やコンクリートブロックなど、重量のある物品の楊重に有利です。これにより、建物の建設や大規模な構造物の組み立てが効率的に行われます。

2. 製造業

製造工場では重い機械や設備の設置・移動にワイヤーロープスリングが用いられることも多いです。これにより、生産ラインの改装や新しい機械の導入が可能です。また、機械装置の整備作業などにも使用されます。

3. 船舶

船舶では、錨の操作や保守作業にワイヤーロープスリングが使われます。このスリングを使って錨を持ち上げ、安全に収納することが可能です。また、港湾や物流センターでは貨物コンテナの取り扱いにワイヤーロープスリングが利用され、コンテナの移動や積み降ろしが効率的に行われます。

ワイヤロープスリングの原理

ワイヤーロープスリングの構造は、複数本の鋼ワイヤーロープが組み合わさり、留め金や端末フィッティングによって連結される形状です。したがって、ワイヤーロープスリングの構成部品はワイヤーロープ、留め具、エンドループなどで構成されます。

1. ワイヤーロープ

ワイヤーロープはワイヤーロープスリングの主要な構成要素であり、高強度の鋼材が使用されます。これらのワイヤーロープは荷物の持ち上げに使用され、複数本のワイヤーロープが平行に組み合わさせて用いることが多いです。ワイヤーロープの強度や直径は、使用用途に応じて選択することが多いです。

2. 留め金

留め金はワイヤーロープスリングの端に取り付けられ、荷物にアタッチメントポイントを提供します。一般的な留め金のタイプにはアイフックやスリングフックなどがあります。留め金は荷物を安全に吊り下げるために必要な部品であり、荷物の形状やサイズに合わせて選択されることが多いです。

3. エンドループ

エンドループはワイヤーロープスリングの一方の端に取り付けられ、クレーンのフックなどに接続するためのループ状の構造です。多くの場合は、スリーブなどによって固定されています。

ワイヤーロープスリングの選び方

ワイヤーロープスリングを選ぶ際は、さまざまな要素を考慮する必要があります。

1. スリーブの材質

スリーブの材質とは、ワイヤーロープスリングの端末処理に使用される部分です。これはワイヤーロープの耐摩耗性や耐腐食性を向上させる役割を果たします。選択肢にはアルミや銅などが使用されることが多いです。

2. ロープの材質

ロープの材質は、ワイヤーロープ自体の素材です。通常は鋼ワイヤーロープが使用されますが、異なるグレードや合金が存在します。荷重要件や環境条件に合わせて適切な鋼材を選択します。

3. 使用荷重

ワイヤーロープスリングの選択において最も重要な要因の1つが使用荷重です。荷物の重さや持ち上げる荷重に応じて、適切な設計荷重容量を持つワイヤーロープスリングを選びます。安全性を確保するために、最小設計荷重容量を超えないように注意します。

ワイヤーロープスリングのその他情報

端末加工法の種類

さつま加工
さつま加工では、さつま編みと呼ばれる方法により、ロープのストランドを編み込みます。巻き差しやかご差しがあり、ロープのストランドに沿って編み込んでいくのが巻き差しで、ストランドが交差してかご編みのように見えるのがかご差しです。

ロック止め加工
ロック止め加工では、楕円状のアルミ管にロープを差し込み、プレス機により圧縮することでロープの端末の締結することができます。

クリップ法
クリップ法では、ロープを折り曲げて2本を重ね合わせ、ワイヤクリップで圧縮することで締結します。増し締めが必要ですが、容易に締結することができます。

参考文献
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaihatu/kikai/attach/pdf/jigyo-2.pdf
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2017/98-column-1.html

コンフォーカル顕微鏡

コンフォーカル顕微鏡とはコンフォーカル顕微鏡

コンフォーカル顕微鏡は、検出器の手前の焦点面にピンホールを設置することで焦点から外れた光をカットする機構を持ち、ボケのないシャープな画像を取得することができる顕微鏡です。

光学顕微鏡の一種で、ボケのない画像を異なる深さで取得し、再構築することで対象物の三次元の全焦点画像を得ることができます。

なお、コンフォーカル顕微鏡は、共焦点顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡 (CLSM) 、レーザー走査式共焦点顕微鏡などとも呼ばれます。

コンフォーカル顕微鏡の使用用途

コンフォーカル顕微鏡は、高感度かつ得られる三次元画像が高解像度という特徴があり、観察対象の形状測定や形状解析に活用されています。レーザーを用いて非接触で測定でき、柔らかいものや傷つけたくない物を測定することに適しています。また、レーザーの先端径が小さく、微細な凹凸形状を観察することが可能です。

コンフォーカル顕微鏡は、工業分野において検査用途で、生命科学などの研究分野で細胞や生物を観察用途で用いられます。

1. 工業分野での利用

画像上の領域内の平均高さや、基準領域との段差、最大高さや最小高さ、平面度や平坦度などを測定することが可能です。画像処理によってカラーの三次元画像を得られるので、直感的に表面の状態を観察でき、表面粗さを測定できます。

得られた三次元画像を利用すると、領域を任意に指定して、その面積や体積を測定でき、傷やへこみを体積で数値化することや、表面積の増加の度合により製品の特性を見極めることが可能です。

良品と不良品の差を確認する検査を行うことで、作業全体の段取りを向上させることができます。プリント基板や大型液晶パネルの検査などに用いられています。

2. 生命科学分野での利用

生命科学分野では、細胞や組織を三次元的に捉えて、可視化するために活用されています。細胞や器官を生きたままリアルタイムで経時変化を記録することができ、機能の解明や探索にも用いられています。

3. 測定装置への応用

コンフォーカル顕微鏡の原理を応用した測定装置も多く、物質の同定等に利用されるラマン顕微鏡や、コンフォーカル顕微鏡に比べ、より深部の観察に向いている多光子励起顕微鏡など様々な装置が開発・販売されています。

コンフォーカル顕微鏡の原理

1. コンフォーカル顕微鏡の構造

図1-コンフォーカル顕微鏡と光学顕微鏡の構造

図1. コンフォーカル顕微鏡と光学顕微鏡の構造

コンフォーカル顕微鏡は主に、レーザー光などの光源、ビームスプリッター、レンズ、ピンホール、検出部から構成されます。

光源から照射された光は、照明レンズを通してビームスプリッターへ導かれ反射し、試料へ照射されます。試料から返る光が再び対物レンズからビームスプリッターへ導かれ透過します。結像レンズとピンホールを通して検出部へと光が導かれます。

2. コンフォーカル顕微鏡の原理

図2-コンフォーカル顕微鏡の原理

図2. コンフォーカル顕微鏡の原理

コンフォーカル顕微鏡は、点状に集光したレーザー光をサンプル上を走査させながらサンプルから返ってくる光を検出することによって像を作ります。

コンフォーカル顕微鏡では、焦点位置の光だけがピンホールを通過して検出されます。焦点位置以外の光はピンホールでカットされるため、深さ方向にも分解能が生じます。一方で、光学顕微鏡では焦点外、特に深さ方向からも光も検出され、焦点外からの光がいわゆるボケとして観察されます。

このように、コンフォーカル顕微鏡は、通常の光学顕微鏡と比べ分解能が高く、光学顕微鏡では得られない光学的断層像を得ることができます。

コンフォーカル顕微鏡の種類

図3-コンフォーカル顕微鏡の種類

図3. コンフォーカル顕微鏡の種類

コンフォーカル顕微鏡には、大きく分けて1点走査型と多点走査型があります。

1点走査型ではX方向とY方向に対応する2枚のミラーで構成されるガルバノスキャナによって走査し、検出器である光電子倍増管の手前に設置されたピンホールでボケを取り除きます。一点のみで走査するため、1枚の像をつくるのに時間がかかるという欠点があります。音響光学偏向素子 (AOD) や共振型ガルバノミラーなどを用いて走査を高速化させることも可能です。

多点走査型では、多数のピンホールを渦巻状に配置した円板を利用し、円板を高速で回転させながら光を照射することで、走査点が試料上を万遍なく移動して走査します。 試料から返ってくる光を、もう一枚の回転を同期させた円盤によってボケを除いた後、CCDカメラCMOSカメラで検出します。

一般的に、多点走査型のほうが1点走査型よりも走査速度が早く、1枚の画像内の時間差はほとんどないため、高速に起こる現象や経時変化を観測することに向いています。また、ピンホールの代わりにスリットを用いることで、線状に測定するライン走査型も開発されています。

参考文献
https://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/06/023/
https://www.yokogawa.co.jp/library/documents-downloads/technical-information/what-is-confocal-microscopy/
https://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/06/023/
https://www.thorlabs.co.jp/tutorials.cfm?tabID=8ED9F76D-3BBD-4E6C-B2F5-F6A89A2C4FC9
https://www.cybernet.co.jp/optical/course/word/t10.html
https://www.keyence.co.jp/ss/3dprofiler/keijou/laser/site/
https://www.keyence.co.jp/ss/3dprofiler/keijou/laser/method/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/72/11/72_11_1331/_pdf
https://www.cybernet.co.jp/optical/course/optics/opt04/ 

ケーブルグランド

ケーブルグランドとは

ケーブルグランド

ケーブルグランド(英語:Cable Gland)は、ケーブル(電気、制御システムで使用する絶縁体と被覆で構成された電線)を制御盤操作盤の筐体、機器内へ挿入し確実に固定するための器具です。

ケーブルグランドの主な機能は、下記の通りになります。

  • 外的環境保護: 制御盤などの筐体の開口部から、外部環境のほこり、粉塵、湿気の侵入を防止します。
  • 保持力: ケーブルを確実に固定し、外部からの機械的な引張力や振動で緩むことを防止します。
  • 密閉性: 外部からケーブル外面を伝ってくる粉塵、水の侵入を防止します。

ケーブルグランドの規格として JIS F8801 舶用電線貫通金物 があります。

ケーブルグランドの規格

図1. ケーブルグランドの規格

ケーブルグランドの使用用途

ケーブルグランドの使用用途は、別名で「電線貫通金物」とも呼ばれるように、制御盤などの筐体にあけられたケーブル取込口(接続用穴)に取り付け、筐体壁面を貫通しケーブルを貫通させるために使用します。ケーブルグランドは、電気・制御機器の屋内外配線のさまざまな箇所で使用されています。

制御盤や操作盤の筐体、機器内へ粉塵や水を侵入させることなく、また振動や引っ張られることで抜けることを防止し確実にケーブルを確実に固定し引き込みことができます。

ケーブルグランドの実際の使用例として、コントロールボックス(操作箱)に設置した場合を下図に示します。

ケーブルグランドの使用例

図2. ケーブルグランドの使用例

特に、JIS C60079-10 爆発性雰囲気で使用する電気機械器具 第10部:危険区域の分類で指定された、可燃性ガスまたは蒸気によって爆発や火災のリスクのある危険個所で使用場合は、下記規格に適合し検定合格した機器を使用する必要があります。

  • JNIOSH-TR-46 工場電気設備防爆指針
  • IEC 60079 Explosive Atmospheres IEC

ケーブルグランドの材質は、JIS F8801 舶用電線貫通金物の場合を下記に示します。

  1. 締付グランド: 黄銅またはアルミニウム合金鋳物(JIS H5202 AC7A-F)
  2. ボディ(体): 黄銅、鋳鉄、棒鋼またはアルミニウム合金鋳物(JIS H5202 AC7A-F)
  3. ナット: 黄銅またはアルミニウム合金鋳物(JIS H5202 AC7A-F)
  4. 座金: 黄銅またはアルミニウム及びアルミニウム合金の板(JIS H4000)
  5. ガスケット(ブッシング): 合成ゴムなど
  6. ガスケット: 張合せ帆布など

上記以外にも、ステンレス鋼やポリアミド樹脂(PA)などの材質を使用したケーブルグランドがあります。特に屋外で使用する場合は耐候性、油がかかる環境であれば耐油性、高温雰囲気では耐熱性など、使用環境に適した材質を選定することが重要です。

なお、制御盤などの筐体にケーブルを引き込むための器具としては、ケーブルグランド以外にもケーブルクランプがあります。ケーブル1本毎に引き込む場合はケーブルグランドを使用し、ケーブル複数本をまとめて引き込む場合はグランドクランプを使用します。

ケーブルグランドの原理

ケーブルグランドの構造は、JIS F8801 舶用電線貫通金物の場合は図1に示したような部品で構成されています。

ケーブルグランドのサイズ選定に際しては、使用するケーブルの仕上がり外径と、取り付け穴の開口寸法に適したサイズを選定します。特に、➄ ガスケット(ブッシング)は、”a”~”c”と、穴径をユーザー自身で加工して使用する”f”があり、ケーブルの仕上がり外径に適したサイズを選定します。

➁ ボディ(体)は円柱型の形状で、オスねじ側を ⑥ ガスケット を間に挟み込み制御盤などの筐体にあけられた取付穴に差し込み、➂ ナットで締め付けて固定します。

ケーブルは、① 締付グランド をねじ込み締め付けることで、➄ ガスケット(ブッシング)が押されケーブル外面をしっかり固定し密閉します。

JIS F8801 舶用電線貫通金物以外のケーブルグランドに関しても、基本的には同じような構造と原理となっています。ただし、JIS F8801 舶用電線貫通金物のねじ規格がJIS B0202 管用平行ねじに対して、JIS B0205 一般用ねじになっている場合が多いため、選定に際しては注意が必要です。

クレーンスケール

クレーンスケールとは

クレーンスケール

クレーンスケールとは、ホイストスケールとも呼ばれ、クレーンのフックにかけて質量を計測したいときに使用される「吊りはかり」のことです。

主に、計測したい対象物が長く、台はかりからはみだして乗らないサイズのものや台はかりの上で転がってしまい計測しにくいものなどをはかるときに使われます。クレーンスケール本体に軽量表示があるため、すぐに把握することができます。

無線式クレーンスケールの場合、高いところや遠いところで軽量したものを手元の無線指示計で表示することも可能ですが、パソコンなどにデータを取り込む場合は無線式が必要です。

クレーンスケールの使用用途

クレーンスケールは、台はかりではかるのが難しいもの (長尺のものや、はかり台の上で転がるといった安定しないもの) に対して使用されます。また、トラックに積み込みや運搬をしながら計量することができるため、作業の効率化のためには必要不可欠なはかりです。製造業などでは製品を出荷する際に計量し、積荷の重量を同時に計測することで書類の作成がスムーズに行われています。

その他にも、養殖業やスクラップなどを行ったあとの金属類などを計量し、金額計算を同時に行うことが可能です。金額計算には計測物の重量単位の単価を事前に決めておく必要があります。そのため、計量時に異なる種類の計量物が含まれていないことを確認しておき、金額計算に影響がないよう準備しておくことが重要です。

クレーンスケールの原理

クレーンスケールは、移動と計量を同時に行える特徴があります。計量測定が終わったら計量物をひっかけたまま移動できるため、作業の効率が上がります。クレーンスケールの場合、地面が水平でないところや安定しないようなところでも計測が可能で、計測する場所を選びません。

本体の大きさが台はかりに比べて小さく、持ち運びが容易です。クレーンスケールの場合、吊るす場所さえあれば広い場所がなくても使用できます。台はかりと比べると揺れるなどの外的な力が加わりやすいため、クレーンスケールの方が精度は落ちる傾向にあります。また、屋外で使用する際は風が吹いていると正しく測れない場合もあるため、注意が必要です。

その他、天井やクレーンなどの強度が計量物の重量に耐えられるものがないと、計量物が落下する危険性が考えられます。必ず使用する際に、耐重量を確認することが重要です。

クレーンスケールの選び方

1. 荷物の重量範囲

クレーンスケールを選ぶ際には、計測する荷物の重さの範囲を考慮する必要があります。スケールの最大容量が、計測する荷物の最大重量よりも大きくなければなりません。最大重量よりも小さいものを選択すると、クレーンスケールの故障や事故に繋がるケースもあるため注意が必要です。

2. 分解能・精度

クレーンスケールの分解能は、小さな重量の変化を検出する能力を示します。正確な計測が必要な場合は、高い分解能のスケールを選ぶことが重要です。

特に厳密な品質管理や安全性が必要な場合は、高精度であることが求められるため、どういったケースでクレーンスケールを使用するか事前に把握しておくことが必要です。

3. 環境条件・耐久性

屋内、屋外、高温、低温などの要因がスケールの性能に影響を与える可能性があります。また、長期間にわたって頻繁に使用されるため、耐久性も重要です。堅牢な設計と材料で作られたスケールを選ぶことで、長寿命と安定性を確保できます。

4. インターフェースとデータ管理

デジタル表示、データ記録、通信オプションなど、データ管理の要件に合ったスケールを選ぶことが重要です。パソコンで管理する場合はパソコンとの通信方法、クレーンスケール内にデータを貯めておく場合はどのくらい貯めておけるかなどの考慮が必要です。また、測定した数値を何に使うか明確にしておく必要があります。

参考文献
https://hakari-shouten.com/html/wp/column/3144/