スリットノズルとは
図1. スリットノズルとは
スリットノズルとは、直線状のスリットを持つ流体用ノズルです。
スリット幅全体にわたって、均一な流速分布での噴出が可能です。用途が多岐にわたるため製品ラインナップも豊富で、気体、液体どちらにも使用されます。
気体の場合は、エアーブロアーやエアーカーテンとして使用されることが多いです。液体の場合は水での洗浄や冷却のほか、薬液でのコーティングや表面処理が可能です。
オプションとしてノズルの吹込口側に熱風用ヒータを取り付けることによって、熱風のエアーカーテンや表面均一熱処理などにも使用できます。
スリットノズルの使用用途
スリットノズルは内部の流体が圧縮空気か、水・塗液なのかによって様々な用途があります。
- 水切り (特に板状ワークの急速水切り) 、乾燥
- ガラス基板、液晶部材等の洗浄
- 鋼板、鋳物等の冷却
- 紙、段ボールの調湿
- 粉塵や切り粉、異物の除去・清掃
- 外気、ガス、飛散ミスト、粉塵の遮断 (エアーカーテン)
- エレクトロニクス産業における現像
- エッチング、表面処理
- 均一な薬液コート
- エアーナイフとしての利用
- 食品産業におけるコーティング、洗浄、水切り
- 塗装工程における除水冷却、コーティング
- 化学産業における樹脂フィルム表面の除塵、剥離
その他、電気電子、車両・運輸、鉄鋼などの分野においても活用されています。
スリットノズルの原理
図2. スリットノズルの原理
スリットノズルは、スリット状の細い孔を儲けることで、吹き出す方向には大きな圧力損失が発生するため、マニホールドによって幅方向に広がり幅方向で均一に吐出する幅方向均一性が上昇します。その代わり特に圧空のノズルでは、圧力損失が大きいため、エネルギー消費が大きく吐出圧が大きく落ちてしまいます。
液体のノズルとして用いる場合には、十分な供給圧のある定量ポンプを用いることで、この問題は解決できます。ただし、液体の場合には、大きな圧力によってスリットノズルが変形してしまわないように設計する必要があります。
スリットノズルの特徴
スリットノズルは中を通る流体の流量・速度分布が均一になるように設計されています。
- スリット幅 (スリット厚): 05~1.6mm程度
- スリット長 (スリット幅): 50~4000mm程度
いずれも幅広いラインナップがされており、対象部材のサイズや用途に応じた選択が可能です。また、スリット幅が固定ではなくワークや風量に合わせて調整できるタイプもあります。メンテナンスが簡単なのは固定タイプですが、用途によっては調整タイプも選択できます。
材質もステンレス、PVC、アルミ、チタン、PPS樹脂など多種多様です。ブロワーエアー専用のものから、耐薬品性を有する材質のものなら液膜生成が可能なものまであります。
均一に薄膜状な噴霧が可能なので、薬液や純水にかかるコストの削減にも貢献します。また、噴出方向も上、下、横方向とバラエティ豊富で、製品サイズが小さいものを選べば細い隙間での使用も可能です。
スリットノズルの選び方
図3. スリットノズルの選定
スリットノズルは、空気・ガス、水、薬剤など様々なものに用いられます。また、その用途も乾燥、冷却、洗浄用、エアカーテン、塗布など多岐にわたります。複数の用途を兼ねることもできますが、たとえば清掃用途には均一性よりも風圧、塗布の場合には均一性など求められる性能は異なるため、その用途に最も最適な設計がされたスリットノズルを選定するのが良いです。
各社が販売しているスリットノズルもある程度、想定用途を考慮して設計しているため確認することが大切です。圧空やガスを作動流体としているスリットノズルの場合には、衝突圧や騒音などがスペックとして記載されています。
スリットノズルにおいてはスリット幅や長さ、材質がまず基本の重要なスペックです。そして、それが決まればあとはメンテナンス性やスリット幅や長さを調整できる機能が必要かどうか、設置のしやすさなどがポイントになります。
また、塗布に用いるスリットノズルは先端の形状によって空気同伴やリビング現象が起こるか起こらないかが変わる場合があるので、塗液の粘度に応じて最適なものを試用するなどして確かめることを推奨します。
参考文献
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/products/spray/1ryutai/501
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/products/spray/2ryutai/920
http://www.systemlabo.co.jp/surittonozuru.htm
https://www.spray.co.jp/spray_nozzles/jp_slit_nozzles.aspx