ワイヤロープスリング

ワイヤロープスリングとは

ワイヤロープスリング

ワイヤロープスリングとは、重い貨物や物体を持ち上げて吊るすために使用される鋼鉄製ワイヤー吊り具です。

一般的に鋼のワイヤーロープが複数本組み合わさって作られており、その中に留め金や端末フィッティングが取り付けられています。ワイヤーロープスリングはその強度および柔軟性のために、重い荷物を安全かつ確実に持ち上げ、移動するのに適した工具です。

鋼のワイヤーロープは高温に対しても耐性があり、また腐食にも強いため、さまざまな環境で使用することができます。これは岸壁や海上における作業において有利に働く利点です。また、摩耗に対しても強いため、長期間の使用に耐えます。

ただし、ワイヤーロープスリングの正しい取り扱いと適切な訓練が必要です。荷重制限を超えないように使用することが重要であり、過度な負荷をかけると事故や損傷の危険性が高まります。

ワイヤロープスリングの使用用途

ワイヤーロープスリングは、その強度と耐久性のためにさまざまな用途で使用されます。以下は、ワイヤーロープスリングの主な使用用途です。

1. 建設現場

建設プロジェクトでは、建材や構造部品の持ち上げや配置にワイヤーロープスリングが利用されます。鉄骨やコンクリートブロックなど、重量のある物品の楊重に有利です。これにより、建物の建設や大規模な構造物の組み立てが効率的に行われます。

2. 製造業

製造工場では重い機械や設備の設置・移動にワイヤーロープスリングが用いられることも多いです。これにより、生産ラインの改装や新しい機械の導入が可能です。また、機械装置の整備作業などにも使用されます。

3. 船舶

船舶では、錨の操作や保守作業にワイヤーロープスリングが使われます。このスリングを使って錨を持ち上げ、安全に収納することが可能です。また、港湾や物流センターでは貨物コンテナの取り扱いにワイヤーロープスリングが利用され、コンテナの移動や積み降ろしが効率的に行われます。

ワイヤロープスリングの原理

ワイヤーロープスリングの構造は、複数本の鋼ワイヤーロープが組み合わさり、留め金や端末フィッティングによって連結される形状です。したがって、ワイヤーロープスリングの構成部品はワイヤーロープ、留め具、エンドループなどで構成されます。

1. ワイヤーロープ

ワイヤーロープはワイヤーロープスリングの主要な構成要素であり、高強度の鋼材が使用されます。これらのワイヤーロープは荷物の持ち上げに使用され、複数本のワイヤーロープが平行に組み合わさせて用いることが多いです。ワイヤーロープの強度や直径は、使用用途に応じて選択することが多いです。

2. 留め金

留め金はワイヤーロープスリングの端に取り付けられ、荷物にアタッチメントポイントを提供します。一般的な留め金のタイプにはアイフックやスリングフックなどがあります。留め金は荷物を安全に吊り下げるために必要な部品であり、荷物の形状やサイズに合わせて選択されることが多いです。

3. エンドループ

エンドループはワイヤーロープスリングの一方の端に取り付けられ、クレーンのフックなどに接続するためのループ状の構造です。多くの場合は、スリーブなどによって固定されています。

ワイヤーロープスリングの選び方

ワイヤーロープスリングを選ぶ際は、さまざまな要素を考慮する必要があります。

1. スリーブの材質

スリーブの材質とは、ワイヤーロープスリングの端末処理に使用される部分です。これはワイヤーロープの耐摩耗性や耐腐食性を向上させる役割を果たします。選択肢にはアルミや銅などが使用されることが多いです。

2. ロープの材質

ロープの材質は、ワイヤーロープ自体の素材です。通常は鋼ワイヤーロープが使用されますが、異なるグレードや合金が存在します。荷重要件や環境条件に合わせて適切な鋼材を選択します。

3. 使用荷重

ワイヤーロープスリングの選択において最も重要な要因の1つが使用荷重です。荷物の重さや持ち上げる荷重に応じて、適切な設計荷重容量を持つワイヤーロープスリングを選びます。安全性を確保するために、最小設計荷重容量を超えないように注意します。

ワイヤーロープスリングのその他情報

端末加工法の種類

さつま加工
さつま加工では、さつま編みと呼ばれる方法により、ロープのストランドを編み込みます。巻き差しやかご差しがあり、ロープのストランドに沿って編み込んでいくのが巻き差しで、ストランドが交差してかご編みのように見えるのがかご差しです。

ロック止め加工
ロック止め加工では、楕円状のアルミ管にロープを差し込み、プレス機により圧縮することでロープの端末の締結することができます。

クリップ法
クリップ法では、ロープを折り曲げて2本を重ね合わせ、ワイヤクリップで圧縮することで締結します。増し締めが必要ですが、容易に締結することができます。

参考文献
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kaihatu/kikai/attach/pdf/jigyo-2.pdf
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2017/98-column-1.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です