タコジェネレータとは
タコジェネレータとは、回転するシャフトなどに取り付けられ、回転数に応じて直流電圧信号を出力するセンサーです。
シャフトの回転速度検出に用いられ、TGなどと略して表記されます。タコジェネレータの「タコ」はギリシャ語で速度であるtakhosに由来し、エンジンなどの回転数を計測する機器をタコメーター (英: Tachometer) と呼びます。
また、「ジェネレータ」は発電機 (英: Generator) の意味で、電気を発生する機器です。タコジェネレータは回転数を計測する機能と発電機能を兼ね備えた機器であるため、このような名称がつけられたとされています。小型で信頼性が高く、精度の高い回転数計測が可能なため、幅広い分野で使用されています。
タコジェネレータの使用用途
タコジェネレータは主に移動機器などの回転検出に使用されます。
古くから自動車や船舶の回転計や速度計に使用されます。タコジェネレータをエンジンなどの回転軸に取り付けることで、回転数から速度を算出することが可能です。近年では安価で精度が高いパルス発生器を代替として使用することが多いです。
また、工作機械などにおいて回転数を制御するために使用されます。ロボットアームの位置決めなどにも使用されます。総じて、高精度な回転速度制御や位置制御が必要な機器に用います。
その他、汎用的な回転数計測用途に使用される場合があります。クレーンの移動速度検出や、アーム駆動速度検出に使用される場合があります。
タコジェネレータの原理
タコジェネレータは回転子、ブラシ、固定子・ケーシングなどから構成されます。
1. 回転子
回転子は回転するシャフトと共に回転する部品です。内部にはコイルが巻かれています。
コイルは回転子のコアに巻かれたワイヤーで、磁場の変化によって直流電圧を生成するために使用されます。回転子の回転に伴い、磁束がコイル内を通過することによって、コイルに誘導起電力が誘起されます。
軸の回転方向によって誘導起電力のプラス/マイナスの向きも反転するため、回転速度に加えて回転方向も判別することができます。
2. ブラシ (整流子)
タコジェネレータの回転子と接触する部品です。コイルへ印可される電圧極性を切り替えるために使用されます。主にカーボンなど素材で構成されます。
長時間の使用によって摩耗が進むことがあり、定期的なメンテナンスや交換が必要になる場合があります。また、ブラシが不適切な位置に接触したり、汚れや錆によって接触が悪化すると、正確な回転数を検出できなくなる場合があります。
3. 固定子・ケーシング
固定子は回転子に磁場を提供する部品です。主に永久磁石が使用されます。
ケーシングは内部の回転子や永久磁石を保護し、外部の環境からの影響を受けにくくする役割を持ちます。一般的に金属製の筐体に収められ、軸受けで支持されています。
ケーシングはは耐久性が高く、耐熱性や耐腐食性などを有する材料で作られます。スチールやステンレスがその一例です。また、精密な加工が必要な場合もあるため、高精度の加工技術が要求される場合があります。
ケーシングには、入出力用のコネクタが設置されることが多いです。これにより、タコジェネレータから出力される信号を取り出して外部へ供給します。また、ケーシングには取り付け用の穴やスリットが設けられており、機械的な固定や配線の通路としても使用されます。
タコジェネレータの選び方
タコジェネレータを選ぶ際は、回転速度範囲や出力電圧を考慮して選定します。
タコジェネレータは一定の範囲内での回転速度を信号出力します。したがって、対象機器の回転速度の範囲を確認することが重要です。その範囲内で使用するタコジェネレータを選択する必要があります。
また、出力電圧なども使用するシステムの要件に合わせて選択する必要があります。一般的にタコジェネレータの出力は直流電圧ですが、必要に応じて交流へ変換する回路を組み込むことも可能です。