クリーンロッカー

クリーンロッカーとは

クリーンロッカーとは、クリーンルームの環境を保つためのロッカーのことです。

クリーンルームは微粒子や微生物のコントロールが厳格に行われる特殊な空間であり、主に半導体製造、生物医薬品の製造、航空宇宙産業、光学機器の製造などで使用されます。

クリーンロッカーの使用用途

クリーンルームに出入りする際には、外部からの汚染物質を防ぐために特別な手順と厳格な衣服規定があるのが一般的です。理由として、クリーンルーム内では製品や素材の品質を保つために、微小な粒子や微生物を制御する必要があることが挙げられます。

さらに、作業者は専用のガウン (クリーンスーツ) やマスク、手袋を着用し、作業エリアに入る前に特殊な「クリーンルームエントリー」で粒子や微生物を除去します。クリーンロッカーはクリーンルームエントリーに設置され、クリーンルーム内で使用されるクリーンスーツに付着した汗や分泌物を取り除き、清浄に保つのが役割です。

作業者はクリーンルームに入る前にクリーンロッカーに保管されているクリーンスーツに着替え、作業が終わった後に再びクリーンロッカーにクリーンスーツを保管するのが基本です。これにより、作業者が発する汚染物質の影響を最小限に抑えることができます。なお、産業別の主な使用用途は以下のとおりです。

1. 研究室や工場のクリーンルーム

クリーンルーム内で作業する際に、人や物品を汚染から保護するために使用されます。

2. 製薬工場や医療機関

薬剤や医療機器の製造、取り扱い、調整などの作業時に、清浄さを保つために使用されます。

3. 食品加工業

食品製造工程で、衛生基準を満たすためにクリーンロッカーを利用します。

4. 研究施設や病院の実験室

感染を防ぎ、試験結果の信頼性を高めるために、クリーンロッカーを実験材料や実験器具の保管に使用します。

5. 半導体製造

微細な半導体の製造工程では、微粒子の侵入を防ぐためにクリーンルーム内で作業し、クリーンロッカーを使用して衣服や器具を管理します。

クリーンロッカーの原理

クリーンルームで使用されるクリーンロッカーの主な原理は、以下のとおりです。

1. 物理的な隔離

クリーンロッカーは密封度が高く、外部からの汚染が排除されるように構成されています。

2. 衛生管理

クリーンロッカーは、作業者が衣類を保管する空間や持ち込む持ち物を衛生的に保つことができます。クリーンロッカーでは、クリーンスーツに付着した分泌物を分解するために、オゾン分解、アンモニア分解、紫外線分解などの対策がとられます。

3. プレッシャー制御

クリーンルーム内の空気圧は、一般的に外部よりも高く保たれています。クリーンロッカーもこのプレッシャー制御の一部として、クリーンルーム内の空気圧よりも高いプレッシャーで構築されています。これにより、作業者がクリーンルームエントリーを通過する際に、外部の汚染物質がクリーンルームに入り込まなくなります。

4. エアフィルタリング

クリーンロッカーは、内部の空気を濾過してクリーンな状態を保ちます。通常、HEPA (高効率粒子捕集) フィルターやULPA (超高効率粒子捕集) フィルターが使用され、微粒子を99.97%以上捕集します。

クリーンロッカーの種類

クリーンルームで使用されるクリーンロッカーの主な種類は、以下のとおりです。

1. 衣服保管用ロッカー

主にクリーンスーツの保管用のクリーンロッカーです。クリーンスーツに付着した分泌物を分解するために、オゾン分解などの機能があります。

2. 持ち込み物保管用ロッカー

作業者がクリーンルームに持ち込む個人の持ち物 (例: 携帯電話、財布など) を保管するためのロッカーです。

3. 機器・部品保管用ロッカー

クリーンルーム内で使用する機器や部品、工具などを保管するためのロッカーです。

4. 汚染物保管用ロッカー

クリーンルーム内で使用したが、クリーンな状態を保てなくなったガウンやマスク、使用済みの器具などを保管するためのロッカーです。

参考文献
https://fujimak.meclib.jp/sterilization/book/index.html#target/page_no=18
http://www.nb-nichiban.co.jp/uv_story/story2.html
http://www.sunenergy-corp.jp/corner146/pg134.html
https://www.comany.co.jp/cleanroom/firstvisitor/beauty.html
http://www.ohnit.co.jp/about_ozone/
http://www.ace-cl.jp/product/filter-hepa 

摩擦圧接機

摩擦圧接機とは

摩擦圧接機 (英: friction welder) とは、2つの物体を摩擦熱によって加熱して圧力をかけて接合する機械です。

金属材料や樹脂の接合で使用されますが、非金属のチタンモリブデンは難しいとされています。摩擦圧接は、固相状態で接合するので異種金属の接合に適しています。とアルミ、アルミとステンレスの接合などの溶接では難しい接合も可能です。

また、アーク溶接やアルゴン溶接などのように溶接棒やフラックス、熱源を必要としない特徴があり、ガスやスパッタも出ないため、自然環境に優しい接合方法です。

摩擦圧接機の使用用途

摩擦圧接機の使用は、当初自動車業界における圧縮接手が目的でしたが、現在は航空機や機械部品、スポーツ用品から宇宙開発においても使用されています。

自動車部品では、ステアリングシャフト、エンジンバルブ、フロントドライブ部品などの用途です。工具類では、切削工具部品の電動ビット、ドリルやラチェットレンチ作成などで、摩擦圧接機が使用されます。

機械部品では、油圧シリンダのピストンロッドやボールネジの作成に使われます。その他の用途は、油圧空圧配管部品のジョイント部分の加工や電気配線部品の差動トランス、ゴルフクラブのアイアンヘッド加工などです。

また、印刷機や複写機のローラー製造、熱交換器の銅パイプとアルミパイプの接合、掘削機械のハンドル、変電設備の端子なども、摩擦圧接機が活用されます。

摩擦圧接機の原理

2つの圧接しようとする物体を突き合わせ、加圧と回転運動によって摩擦熱を発生させます。接合可能温度まで上昇させた後、運動を急停止し圧力をかけると接合が可能です。この動作を摩擦圧接機が行います。

回転運動の急停止とアプセット圧力の瞬間的な付加が重要です。圧接部の回転減速によるねじり破損の防止と、アプセット過程の高温状態の維持が理由として挙げられます。

摩擦圧接機による圧接の方法は、以下の2つが代表的です。

1. 定速式摩擦圧接法

定速式摩擦圧接法は、2つの圧接したい物体を突き合わせ加圧し、一方または双方を回転させることで摩擦熱を発生させ、急停止とアプセットを行って接合する方法です。

2. 蓄勢式摩擦圧接法

蓄勢式摩擦圧接法は、回転軸となるはずみ車に回転エネルギーを蓄積します。そして、摩擦によってこのエネルギーを消費させ、停止時に圧接させる方法です。ブレーキ機構は備えていません。

摩擦圧接された部分は、元の素材部分より引張強さが強固になります。この現象は、原子間引力と呼ばれます。バリ取りは、圧接する2つの物体双方を回転させる2軸回転式の摩擦圧接法において、バリが発生する場所に刃物を設置し、摩擦発生中に高温切削させる仕組みを使います。

摩擦圧接機のその他情報

1. 摩擦圧接の長所

摩擦圧接は、アークやレーザーなどの他の溶接法と異なり、接合部に引け巣やブローホールなどの溶接欠陥の発生リスクがなく、さらに再現性が高い利点があります。従って、一度適正な加工条件が決まれば、高品質な接合部を安定的に作製することが可能です。

摩擦圧接に欠陥がほとんど生じない理由として、基本的に材料の融点以下の固相状態で接合するので、凝固収縮などの熱歪が少ないこと、シールドガスやフラックスなどの汚染要因の巻き込みがないことが挙げられます。

また、接合強度が高く、加工時間が短い長所があり、コスト低減や生産性向上が可能です。

2. 摩擦圧接の短所

摩擦圧接機には長所だけでなく、短所も存在します。

形状が限られている
摩擦圧接は、円筒などのシンプルな形状が望まれます。角の多い複雑な形状や、非対称なものは、他の接合方法を検討する必要があります。

高負荷
使用可能な材料は、高い摩擦熱と圧力で接合するため、高負荷に耐えられる材料の制約があります。破壊した場合に破片が飛散し、装置を破壊したり作業員が怪我をしたりするリスクがあるので注意が必要です。

後工程が必要
摩擦圧接部ではバリが生じるため、後工程で除去する必要があります。

3. 摩擦圧接機による異種金属接合

摩擦圧接機では、溶融を伴う溶接では困難だった鉄鋼とアルミニウム合金などの異種金属の接合も可能です。鉄鋼やアルミニウム合金はもちろん、ステンレスや銅、チタン合金まで多種類の金属材料の接合もできます。

異種金属の接合の長所は、部品に適材適所の性能を付与することができることです。例えば、強度が必要な部分は鉄鋼、その他の部分はアルミニウム合金を用いることで、全体として軽量化できます。特殊な材料の使用量を減らして、コストダウンする活用方法もあります。 

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/54/4/54_4_218/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/36/6/36_6_628/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/36/12/36_12_1275/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/41/1/41_1_8/_pdf
http://www.izumi-mfg.co.jp/fw/examples/index_2_1.html
https://engineer-education.com/production-engineering-36_friction-welding_machining-condition/
http://kinzoku-assetsu.net/

ピロー包装機

ピロー包装機とはピロー包装機

ピロー包装機とは、整袋充てん包装機のひとつで、食品や医薬品、機械部品などを包装 (パッケージ) する機械です。

包装された袋の形態が「枕」のような形をしているため、ピロー包装と呼ばれており、高速大量包装に向いています。

ピロー包装機の使用用途

ピロー包装機は、主に食品業界や医薬品などのまとめ包装に使用されています。なお、ピロー包装機には、縦型ピロー包装機と横型ピロー包装機があり、それぞれ異なる分野で使用されています。

1. 縦型ピロー包装機

上部から製品をフィルム内に落として包装する縦型ピロー包装機の使用用途は、小麦粉や飲料水、マヨネーズ、スナック菓子、もやし、機械の部品などの包装が代表的です。また、縦に連続で個包装されている菓子や、側面や底にマチがある包装も可能です。

2. 横型ピロー包装機

製品を横に流しながら包装する横型ピロー包装機はトレー容器、氷菓、チョコレート、乾麺、野菜、おもちゃ、文房具、医薬品のまとめ包装に使用されています。

ピロー包装機の原理

ピロー包装機には、縦型ピロー包装機と横型ピロー包装機があり、横型ピロー包装機はさらに正ピロー包装機と逆ピロー包装機に分けられます。

1. 縦型ピロー包装機

縦型ピロー包装機においては、シート状のフィルムをまず筒状に成形して送り出し、フィルムの下部をシールして接着し、これによりできた袋状の空間に製品を上から詰めます。続いて、詰め終わった上端をシールして接着したのち、切り離すことで包装を完了します。フィルムを筒状にし、重なり合った部分をシールし、製品を上から詰め、上部を横にシールし切り離します。

縦型ピロー包装機にはガス充填機や、包装のマチ作成、フィルムのズレ修正装置、製品の噛み込み防止、センサーにより空包装防止など目的に合わせて様々な機能を追加することが可能です。

2. 横型ピロー包装機

正ピロー包装機
横型ピロー包装機のうち、正ピロー包装機は、製品上部からフィルムが供給されて、製品を上から包み込むように筒状に巻き付け、重なり合った部分をシールします。製品ごとに両端をカットしシールで接着することで包装が完了です。

逆ピロー包装機
横型ピロー包装機のうち、逆ピロー包装機は、フィルムを機械の下から供給し、製品を下から包み込むように筒状に巻き付け、重なり合った部分をシールします。製品ごとに両端をカットしシールで接着することで包装が完了です。

逆ピロー包装機においては、製品を下から包みシールするため、巻き込み確認が容易な点がメリットで、重量物の包装に正ピロー包装機よりも適しています。また、製品をフィルムの上に置くため、水気多いものや長尺野菜の包装が可能で、コンベアなどの汚れが少ないこともメリットです。

ピロー包装機その他情報

1. ピロー包装機のトラブル

ピロー包装機を用いた作業時に発生するトラブルとして、フィルムの蛇行が挙げられます。原因としては、フィルム自体の問題、包装機側の問題があり、その都度、原因に応じた対策が必要です。代表的なフィルム蛇行の原因と対策は以下の通りです。

  • フィルムの厚みのばらつき
    包装機のローラー部分にガイドを取り付ける、巻取のブレーキを強くする、巻取を交換するなどの方法があります。
  • フィルムの滑りが良すぎる
    包装機にガイドを取り付ける、ローラー部分に滑り止めのテープを巻くなどが効果的です。
  • フィルムの滑りが悪い
    パウダーを散布する方法が適しています。
  • 印刷が偏っている
    巻の硬さを調節する方法が適しています。
  • 包装機のローラーの取り付けや回転が歪んでいる
    包装機のローラーを調整する必要があります。

2. ピロー包装機のフィルム素材

ピロー包装機では、一枚のフィルムが背中合わせでシールされ、筒状に包装されます。シール不良 (接着不良) を避けるため、それぞれのフィルム素材の特徴を考慮して、適切なシール温度を選択する必要があります。

  • 低密度ポリエチレン (LDPE)
    耐水性に優れ、耐酸性/アルカリ性、ヒートシール性、耐衝撃性などにも優れる素材です。一方で、耐有機溶剤性や耐熱性には劣る傾向があります。
  • 無延伸ポリプロピレン (CPP)
    LDPEよりも、防湿性や透明性に優れた素材です。一方で、柔軟性や耐衝撃性ではLDPEよりも劣る傾向があります。
  • 二軸延伸ポリプロピレン (OPP)
    CPPフィルムを伸ばして加工したフィルムです。CPPに比べて伸びにくく、引張強度、防湿性、透明性に優れます。
  • ポリ塩化ビニリデンコートOPP (KOP)
    OPPフィルムポリ塩化ビニリデンをコートしたフィルムです。防湿性、ガス遮断性、保香性などに優れています。

参考文献
https://www.orikane.co.jp/orikanelab/2102/
https://www.jpml.jp/expert/knowledge/
https://www.sanko-shoji.jp/pg128016.html
https://www.sanko-shoji.jp/lecture/cn8/pg128387.html
https://www.yagihiro.co.jp/

RFIDシステム

RFIDシステムとは

rfidシステム

RFID (Radio Frequency Identification) システムとは、電波や電磁波を用いて製品に取り付けられたRFIDタグ、またはスマートラベルと呼ばれるタグ内の情報を認識し、データを読み書きするシステムです。

RFIDシステムのメリットは、離れた場所で同時に複数のタグを読み取り可能、データの修正が容易、汚れても読み取り可能なことです。情報を認識する他のシステムとしてバーコードが挙げられますが、バーコードでは対応できない場面でも使用できます。

RFIDシステムの使用用途

RFIDシステムは、一連の流れが確認できるため、製造工程や物流でよく用いられています。工場で製品を作る際は品質を一定にする必要があります。しかし、原材料のロットや作業者が異なる場合、品質に差が出ることも多いです。

RFIDを導入すれば、作成条件と品質をデータで結び付けることができるため、トラブルが生じた際に役立てられます。物流では入荷時の検品で使用されます。入荷された製品は梱包状態によっては中身が見えない場合もありますが、RFIDは中身が見えなくても一度に検品することが可能です。

RFIDシステムの原理

RFIDシステムは、リーダライタ、RFタグ、データ処理機器で構成されています。

1. リーダライタ

まずリーダライタから、情報をもった電波や電磁波が送信RFタグに向けて送信されます。RFタグが受信すると、タグ内で発生した電力により処理が行われ、今度はタグから情報をもった電波や電磁波が発信されます。リーダライタが情報を読み取り、データ処理機器へ転送されます。

2. RFタグ

RFタグにはアンテナとマイクロチップが含まれているため、タグに格納された情報を非接触で読み書きすることができます。RFタグは小さくて安価なものから、より高度な機能を備えた大型のものまで、サイズや形状はさまざまです。

3. データ処理機器

データ処理機器にはPC、マシンオートメーションコントローラ、アンテナクーラなどがあります。アンテナクーラは、RFIDアンテナの過熱を防ぐ機能があるため、長時間使用することができます。

 

RFIDは使う電波や電磁波の周波数により分類されています。高い周波数では、情報伝達の高速化につながります。一方、低い周波数では遠くまで安定して情報を伝えることが可能です。

それぞれ特徴が異なるため、目的に合わせて周波数を使い分けることが大切です。近年は5Gのように情報伝達の速さが重視されていて、高周波帯であるUHF帯が多く用いられています。

RFIDシステムのその他情報

1. RFIDの使用上の注意点

RFIDシステムは電波や電磁波を利用しているため、下記のことに注意する必要があります。

金属から離す
特に高周波帯では電波や電磁波によって金属が熱を発生することがあります。熱による悪影響も考えられるので、近づけない方が望ましいです。

RFタグを重ねない
タグ同士が重なると干渉してしまい、正しく読み取りができないことがあります。

RFタグとリーダーを離し過ぎない
RFタグとリーダーの距離が離れると読み取り精度が低下するため、品質が落ちます。適切な距離に設置することが必要です。

周波数帯の調整を行う
RFIDシステムには、異なる周波数帯やプロトコルが存在するため、互換性に関する問題が生じることがあります。周波数帯を標準化することで、異なるシステム間でのデータのやりとりが容易になります。

2. RFIDシステムの活用事例

小売業での活用
日本を代表するアパレルブランドでは、運営するブランドショップの各内外2,000店舗全店でRFIDシステム (RFIDタグ) を導入しました。初期導入コストは数百億になるとも言われていますが、在庫管理の時間短縮や、会計の待ち時間、欠品数を減らすなど、複数のメリットが得られたため費用対効果は絶大だとされています。

イベントでの活用
イベントでは店舗や販売会場の前で長蛇の列が生まれるということも多いですが、トラブルの発生を防ぐのにRFIDシステムが役立ちます。RFIDタグが導入されたチケットやリストバンドなどをあらかじめ配布することで、行列の発生を抑えながら購入機会の損失を防げます。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/47/219/index.html
https://www.toshibatec.co.jp/products/rfid_totalsolution.html
https://www.nif.or.jp/glossary/ロット違い
https://artfinex.co.jp/case/case-category/stock/
https://www.denso-wave.com/ja/adcd/fundamental/rfid/rfridtec/index.html
http://www.fujidempa.co.jp/technology/mili/
https://ec-orange.jp/ec-media/?p=10839
https://rfid.tss21.co.jp/product/price.html

駆動チェーン

駆動チェーンとは

駆動チェーン

駆動チェーンとは、距離が離れた回転軸に動力を伝達するために用いられるためのチェーンです。

駆動チェーンの多くは、金属製のローラチェーンが使われています。ローラチェーンではスプロケットと呼ばれる薄型の歯車と組み合わせることにより、入力軸からの動力を出力軸へと伝達する働きがあります。

駆動側と駆動される側のスプロケットの歯数を変えることによって、回転数を増やしたり減らしたりすることも可能です。なお、駆動チェーン以外には、工場などの生産ラインで製品を運ぶ搬送用チェーンなどがあります。

駆動チェーンの使用用途

駆動チェーンは、自転車やオートバイの車輪の駆動、自動車用エンジンやトランスファ、産業用機械などに用いられています。自転車用の駆動チェーンは、私たちの日常生活で最も身近な使用例です。

ロードバイクやマウンテンバイクといったスポーツ用自転車に使われる駆動チェーンは、単に動力伝達だけでなく、さまざまな変速に対応しなければなりません。私たちがペダルを漕いで駆動させるチェーンリングや、後輪には複数の歯数が異なるスプロケットが並んでおり、それぞれを掛け替えることによって複数の変速比を作り出します。

駆動チェーンは、掛け替えられえるスプロケットの位置によって左右に位置がズレるため、ガタが大きくなるように設計されているのが特徴です。自動車ではエンジンのタイミングチェーン・4輪駆動車のトランスファ (前後輪に駆動力を伝達するもの) ・バイクのトランスミッションー駆動輪間の動力伝達・チェンソーやフォークリフトのフォーク上昇時等に用いられています。

駆動チェーンの原理

駆動チェーンは、駆動するスプロケットの歯が駆動チェーンのローラを押してチェーンを引っ張ることによって、駆動される側のスプロケットに動力を伝達します。ローラはブッシュを介してピンで固定されており、ピンの両側に取り付けられているのがプレートです。

プレートにはもう1つのピン、ブッシュ、ローラがリンクしており、連続して動力を伝えています。このように駆動チェーンではチェーンを引っ張りながら、動力を伝達しています。

駆動チェーンの構造

駆動チェーンは大きくピン、ブッシュ、ローラ、プレートの4つの部品で構成されています。

1. ピン

ピンはスプロケットから動力を直接受けるローラを支え、プレート同士を連結しています。動力伝達時にはローラーとプレートとの間で大きなせん断応力に耐える強度が必要です。

2. ブッシュ

ブッシュはピンとローラとの摺動を滑らかにします。ローラがスプロケットと噛み合う際には、ローラとピンは強く押し付けられながら摺動しなければなりません。ブッシュはピンとローラの摩擦と摩耗を低減させる役割をになっています。

3. プレート

プレートはピンによって連結しており、動力伝達時には引っ張り荷重を受けながら動力を伝達する部品です。プレートには2種類あり、内プレートと外プレートが交互に並んでいます。チェーンを接続する際には、同じ種類のプレート同士は接続できず、必ず内プレートと外プレートで接続しなければなりません。

4. シールリング

一部の駆動チェーンにはシールリングがあり、ブッシュの潤滑を行うグリスを保持しているものがあります。

駆動チェーンのその他情報

1. 駆動チェーンの規格

駆動チェーンは、国内外の工業規格によって規格化されています。日本産業規格ではJIS B1801:2020 「伝達用ローラチェーン及びブシュチェーン」です。

サイズ表記にはインチ表式が用いられ、呼び番号では3桁の数字で表記されます。例えば、「1コマ間のピッチが5/8インチ・内側ピン幅が2.0/8インチ」の場合、チェーンサイズは「520」となります。

2. 駆動チェーン以外の動力伝達要素

駆動チェーン以外に動力を伝達するものとして、ゴムベルトや歯車、シャフトを用いたものがあります。しかし、駆動チェーンはこの中でも「信頼性」と「コスト」のバランスが比較的優れているため、自動車やオートバイのような日常生活で使用される製品に多く用いられる傾向にあります。

また、自動車用のCVT (無段変速機) で多く用いられているのは金属製ベルトですが、一部に金属製チェーンが採用されています。しかし、CVTに用いられるチェーンはローラチェーンではありません。

スプロケットの代わりにプーリーが組み合わされており、プーリーでピンを挟み込んで摩擦力で動力を伝達します。金属ベルトに比べて大きなトルクでも効率よく伝達できるのが特徴です。ただし、比較的ノイズが大きい傾向があるため、採用はごく一部に限られています。

参考文献
http://didmc.com/basic/
http://ns.did-daido.co.jp/documents/jp/catalog/dendou11.pdf
https://www.juntsu.co.jp/qa/qa2177.php

角槽

角槽とは

角槽(Square tank)とは、四角い箱の形をしている槽です。一般的に衝撃に強く環境に優しいポリエチレン(PE)製が多く、さびたり、くさったりせず、長く使用できます。容量や深さも様々で、キャスター付タイプ、排水栓付タイプ、フォークリフトで運搬作業ができる深いタイプ、ホース止めや蓋付きタイプ、積上げ可能タイプなどバリエーションが豊富です。大きいサイズの角槽は底面が中央に傾斜していて、排水がスムーズにできる底部傾斜構造のものもあります。
中には手頃な価格のポリプロピレン素材の槽やFRP製ポリエチレンとPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)素材の高価な槽もあるので、用途に合わせて選択できます。

角槽の使用用途

多目的に使える角槽は食品加工、水産、漁業、繊維、工業、機械、装置、薬品、物流、土木、建築、セメント工場、製鉄所、火力発電所などあらゆる分野で使われています。

具体的例には以下どおりです。

  • 建築材の配合 、材料入れ
  • 工業用コンテナ、包装作業
  • 食品の水洗い作業や仕込み
  • 部品・工具などの保管や工場内での廃棄物分別容器
  • 粉体などの保管容器
  • 水産物の水揚げー仕分け・貯蔵から水産加工、魚市場などの活魚セリ用水槽など
  • 配送作業
  • 工場内での運搬、整理、保管
  • 汚水受け

その他幅広い用途で使用されています。

角槽の原理

角槽に主に使われる素材はポリエチレンですが、ポリプロピレン、FRP製ポリエチレン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などを使った槽も
あります。各素材別特徴は以下の通りです。

  •  ポリエチレン : 合成樹脂の中で生産量が一番多い素材で、多目的角槽に一般的に使われる素材です。
    耐蝕性に優れ、衝撃にも強く、リサイクルが簡単にできる素材です。汚れも水洗いすることで簡単に落とせます。
  • ポリプロピレン(PP) : プラスチック たらいと呼ばれる角槽を作る素材で、加工性が良く、安価に大量生産しやすいので、
    50L~150Lの小容量角槽によく使われます。対候性が悪く、直射日光など紫外線に弱いです。 

  • FRP製ポリエチレン : 耐候性、耐久性があり、耐熱温度は80℃です。、アルカリ成分の薬品にも使えます。
    衝撃に強いので製鉄所や火力発電所でも作業しやすいです。セメント工場では使用後、燃やしてセメントと混ぜれば完全リサイクルされます。
    1000~3000L位の大容量で高価の角槽に主に使用される素材です。
  • PTFE(ポリテトラフルオロエチレン) : フッ素樹脂の耐薬品に優れた特長やその純粋性を活かして、半導体製造装置内などで使用される高純度薬液の
    貯蔵や混合時の槽として使用されています。高い耐熱性を持ち、 -240℃~260℃で使用できます。
     

参考文献
https://www.kensetsu-shizai.com/products/list.php?category_id=261
https://www.dailite.co.jp/01_products/san-kaku/index.html
https://www.dailite.co.jp/01_products/type-FRP-kaku/index.html
https://www.nichias.co.jp/products/product/fluorine/semiconductor/container01.html

袋縫いミシン

袋縫いミシンとは

袋縫いミシンとは、産業上強度を(上げる)保てる袋縫いをするには面倒な縫合手順が必要
ですが、袋口縫製を一回の縫製操作で仕上げられる業務用の専用ミシン総称です。

野外の現場で主に使われるハンドタイプ、置き型で縫製のついでに荷重の計測ができるものや作業台でタグやラベル付け作業ができる便利なものも出回っています。種類は1本糸、2本糸のセッティングのものがありますが、違いは裏糸の縫い代が作る強度の差です。

袋縫いミシンの使用用途

主な用途は農業畜産分野での飼料袋や穀物袋などです。30kg~50kgの重量の麻袋やポリエステル素材の充填後の口縫いに使用されています。身近なところだと紙製30kg米袋などは周知の通りです。海外からの輸入仕入れで麻製のコーヒー豆袋などにも使用されています。

その他、人工芝生の縫製、帆布の自由縫合、テントの仮補修など自由な機動力を活かした縫製が可能です。

文化的な用途では茶道の「口切りの茶壺」です。正式濃茶用茶葉袋を真ん中に置き、後は薄茶用の茶葉が充填されているのですが、近年簡略化され袋入りの薄茶で濃茶袋を囲むことがあります。茶葉袋に袋縫いミシンの仕事をみることができます。

袋縫いミシンの原理

特徴は、機械形状として概ね「大型ハンドミシンタイプ」と「卓上(設置型)ミシン」のタイプに別れています。また縫製能力、用途により、表糸1本で裏縫いもかねる1本糸タイプと表糸、裏糸それぞれにダブルチェーンを作り出せる二重縫合が可能な2本糸タイプのものがあります。

ハンドミシンタイプはそのポータブルな利便性が人気です。一度荷積みした袋から内容品の検品をしたいときなど荷を下ろさずに開封口を再び閉じることができます。また必要に応じ、機材を好きな角度で扱えるため荷材を動かす手間が省けます。

糸がけも1本糸、2本糸タイプの両方が製品として出荷されています。性能的にもコーヒー豆の厚手麻袋を縫いきれるほど厚みにも強い上位機種も市販されています。安価なもので2万円程度~12万円前後の機種があります。

荷台付き、または卓上付きの袋縫いミシンは荷重の計量や検品をしたいとき適しています。作業台として合わせてラベル、タグ縫いなどを同時に行えるのが魅力です。安定感があるので美しい縫い代が必要なもの、正確さが求められる大量な縫合作業に適しています。

参考文献
https://www.webshiro.com/p02housoukikai-19kougyouyoumishin.html

絶縁カバー

絶縁カバーとは

絶縁カバー

絶縁カバー(Insulation cover)は、器具の充電部や結線部、高圧架空配電線の引留クランプ部の露出充電部などを絶縁保護するために使う安全保護用カバーです。
コンセントなどに押し込むワンタッチプッシュタイプ、電線を通らせてはめ込むタイプ、器具の充電部に覆いかぶせて、ドライヤーなどで収縮させる熱収縮タイプ、
端子台の長さに合わせて切って使用するタイプなど様々です。

安全・保護用品なので、材質、端子台の規格、適用電線の外径、使用電圧や 絶縁耐力などを考慮して、適用箇所に適したカバーを選ぶことが大切です。

絶縁カバーの使用用途

電気工事、機械修理、建機や機械の整備、通信機器、家電製品、自動車、オートバイなど、広く使用されています。

使用例は以下の通りです。

  • ソーラーパネルの設置
  • 裸圧着端子での配線
  • 走行充電器の配線
  • ケーブルのメンテナンス
  • 盤内配線作業
  • 小形基本スイッチの接続部分保護
  • 家電、電子回路、機械などの結線
  • 腕金、HCF等に取付けて接地感電事故を防止
  • 低圧用開閉器保護
  • 延線グリップ保護

絶縁カバーの原理

ABS樹脂やポリオレフィンなどの絶縁カバーはコンセント用ワンタッチプッシュタイプや簡単な構造の充電部、ジョイント部、ボルト部、支持がいし接続部など電圧300V以下のミディアムボルテージの電源接続部、導体接続部などに使用します。

器具の充電部や結線部が露出しない様に覆いかぶせてから、ガストーチ、工業用ドライヤー等で熱を加え収縮させる熱収縮チューブ仕様のものもあります。
熱収縮チューブ仕様の適用可能電流は100A、電圧は600Vで、埋込コンセント、フランジコンセント、防水形パネルコンセント、フランジインレットなどに使います。

ターミナル付き電源ケーブル等の先端部を短絡から保護する絶縁カバーは0.4mm厚ポリウレタンを二重化構造で強固な容着処理をした素材を使用します。
硬すぎず、軟らかすぎず、絶妙な硬度ですので使用感もよく、透明でケーブルの極性や相などの確認ができます。

バッテリー端子絶縁ゴムカバーなど端子絶縁カバーは柔軟なPVC素材で作られています。赤と黒で区別できるようになっているので、偶発的な短絡を防ぎ、配線の外観も改善できます。通信機器、家電製品、自動車、オートバイなどに広く使用されています。

その他、送電線を鉄塔、高圧架空配電線の引留クランプ部、スリーブ及びコネクタの接続箇所、低圧架空配電線の分岐、柱上変圧器2次側端子の電線接続部など高電圧配電線の絶縁カバーには絶縁性、柔軟性が高く、耐久性、耐候性があるポリエチレンを主に使用します。

各使用部位に合った形状や構造で設計されたカバーを使用し、作業効率を高めることができます。

参考文献
https://www.americandenki.co.jp/products/a0acsr/65iscv/
https://www.nichian.co.jp/products/p_01_zetsuen.html
https://kowaelec.jp/product/cat/powerdistribution04/
http://www.eishin.intl.co.jp/products/index.php/search?cell003=%E7%B5%B6%E7%B8%81%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%BC&label=1

管フランジ

管フランジとは

管フランジ

管フランジ (英: Pipe Flange) とは、配管 (パイプ) や装置などに取り付けられた平面の 「つば」 状の板で配管継手の1種です。

配管のパイプ同士の接合、装置とパイプの接合に使用される部品です。パイプの接合以外に使用されるフランジもあり 「管」 をつけて区別していますが、一般的に 「管」 を省略して 「フランジ」 と呼ばれることも多くあります。

管フランジの特徴は、取り外しの容易さと高い密閉性です。メンテナンス時に、管フランジ同士を締結しているボルト・ナットを緩めて取り外すことで、容易に接合を解除でき、配管内の清掃や洗浄などを実施できます。

配管全てを溶接管で施工している場合は、パイプを切断しなければメンテナンスを行うことはできません。

管フランジの使用用途

管フランジ_図1

図1. 管フランジの使用例

管フランジは、多くの配管施工の際に使用されています。配管内の流体は、空気・ガス・水・薬品・食品・蒸気・油などさまざまです。

管フランジは、他の配管継手と比べて、繰り返し使用可能で、高い密閉性を確保することができます。また、容易に分解組み立てができることから、船舶、鉄道、工場で使用される配管の接合には多く管フランジが使用されています。

特に、配管内を流れる流体が、高温、低温、高圧、真空など特殊な条件で使用する場合の多くは、管フランジを使用しパイプが接合されています。

管フランジの原理

管フランジは、通常管フランジ同士もしくは管フランジと装置などのフランジとの接合に使用されます。パイプ同士を接合する場合の管フランジは、2枚の管フランジの間にガスケット  (シール材) を挟み込み、ボルト・ナットで2枚の管フランジを締め付けて使用します。

パイプと装置などの接合の場合も同様で、管フランジと装置のフランジの間にガスケットを挟み込み、ボルト・ナットで締め付けます。管フランジの接合 (組み立て) は、図2を参照してください。

管フランジ_図2

図2. 管フランジの接合 (組み立て)

ガスケットを挟み込みことで、フランジ接合面の密閉性を向上させます。ガスケットは、パッキンやシートパッキンと呼ばれることもありますが、機能上は同じものを示しています。

管フランジを締め付けるボルト・ナットの本数は、管フランジの呼び径 (フランジの大きさを示す指標でパイプのサイズと同じ指標) や呼び圧力 (管フランジの圧力定格) によって規格で規定されています。

管フランジに使用するガスケットの種類はさまざまです。また、使用する流体の温度や圧力に応じて、適切なガスケットを選定する必要があります。

管フランジの種類

管フランジの種類として、パイプ同士を接続するフランジの 「JIS B2220 鋼製管フランジ」を説明します。管フランジは、主に形状、使用流体圧力、パイプとの接続方法、ガスケットの種類などにより、フランジの種類が分かれており、その中から適切な仕様のものを選定します。

下記に管フランジの種類の一例を示します。

1. 差し込み溶接式フランジ (SOH)

管フランジ_図3

図3. 差し込み溶接式フランジ (SOH)

差し込み溶接フランジは、スリップオンフランジとも呼ばれ、パイプをフランジ穴に差し込み、フランジ上面とパイプ外面、フランジ穴下部とパイプ外面をすみ肉溶接して取り付け固定します。一般的に多く使用されているフランジです。

2. ソケット溶接式フランジ (SW)

管フランジ_図4

図4. ソケット溶接式フランジ (SW)

ソケット溶接式フランジは、ソケットウェルドフランジとも呼ばれ、パイプをフランジ穴の奥の段差部分まで差し込み、フランジ上面とパイプ外面をすみ肉溶接して取り付け固定します。使用する流体の温度が高い場合は、フランジ穴の段差とパイプ端面に、熱膨張でパイプが伸びる寸法より大きめの隙間を設けて溶接します。

こうすることで、流体の熱でパイプが膨張し伸びても、フランジ穴の段差に当たり、その反力で溶接部が損傷することを防止します。

3. 突き合わせ溶接式フランジ (WN)

管フランジ_図5

図5. 突き合わせ溶接式フランジ (WN)

突き合わせ溶接式フランジは、ウェルドネックフランジとも呼ばれ、強度にも優れていることからパイプ径の太い (例えば2-1/2B以上) 場合に多く使用されます。パイプとフランジを真っ直ぐ同心で固定し溶接接合するのは簡単ではありませんが、信頼性の高い接合方式のフランジ種類です。

4. ねじ込み式フランジ (TR)

管フランジ_図6

図6. ねじ込み式フランジ (TR)

ねじ込み式フランジは、スレデッドフランジとも呼ばれ、先端に管用ねじ加工を施工したパイプをフランジにねじ込み取り付け固定します。配管施工の作業は容易ですが、使用する流体の圧力が高い場合は、ねじ部からの漏洩する可能性もあります。比較的に小口径で、使用流体が低圧で温度の低い場合に使用します。

5. 遊合形フランジ (LJ)

管フランジ_図7

図7. 遊合形フランジ (LJ)

遊合形フランジは、ルーズフランジ、ラップジョイントフランジとも呼ばれ、配管端部をスタブエンドと呼ばれる「つば」加工を施したパイプをフランジ穴にはめ込み取り付け固定します。パイプはフランジのナットを緩めれば、パイプの向きを変更することができるのが特徴です。

配管施工の作業は容易ですが、シール性は比較的高くないことから、使用する流体は低圧で温度の低い場合に使用します。

6. 閉止フランジ (BL)

管フランジ_図8

図8. 閉止フランジ (BL)

閉止フランジは、ブラインドフランジとも呼ばれ、配管末端で流体を閉止する場合やフランジの締結を一時的に取り外した場合に、流体が漏洩しないよう閉止フランジを取り付けます。

7. はめ込み形フランジ (MF) 

管フランジ_図9

図9. はめ込み形フランジ (MF)

はめ込み形フランジは、メールおよびフィーメルフランジとも呼ばれ、「メール座 (MF-M) 」と「フィーメール座 (MF-F) 」の2種類の座面形状フランジを組み合わせて使用します。フランジの溝同士がはまり込むことで、心出しが正確に行える特徴があります。

8. 溝形フランジ (TG)

管フランジ_図10

図10. 溝形フランジ  (TG)

溝型の凸部の 「タング座 (TG-T) 」 と凹部 「グルーブ座 (TG-G) 」 の座面形状フランジを組み合わせて使用します。密閉性に優れているのが特徴です。

管フランジの選び方

管フランジ選定時の応力計算基準については、「JIS B2205 管フランジの計算基準」として、リングガスケットを用いるボルト締め管フランジの応力計算基準について規定されています。ただし、一般的に管フランジの選定は、上記計算に基づき計算し検証するのではなく、使用する流体の最高使用圧力および温度により、表から選定される呼び圧力(レーティング) のフランジを使用します。

JIS規格では、呼び圧力は、K (キロ) が使用されており、kgf/cm2の略称で示されています。したがって、呼び圧力が10Kのときは、10kgf/cm2を示しています。

管フランジのその他情報

1. ガスケットの種類

ジョイントシートガスケット
炭素繊維などにゴムを充填し平板シート状に成形したガスケットで、管フランジの座面寸法に合わせて切断して使用します。

うず巻形ガスケット
V字形断面の金属フープとフィラー  (緩衝材) を重ね合わせ、うず巻状に巻き成型したガスケットで、高温、高圧流体に使用されることが多く、密閉性 (シール性) が高いのが特徴です。

リングジョイント
断面がオーバルとオクタゴナルの2種類の形状で、軟鋼、ステンレス鋼、モネルなどの材質でできたメタルガスケットです。主に、石油工業界のJPI規格で使用されています。

2. 管フランジの規格

管フランジの代表的なJIS、ANSI/ASMEなどの規格を下記に示します。

  • JIS B2220 鋼製管フランジ
  • JIS B2202 管フランジのガスケット座寸法
  • JIS B2239 鋳鉄製管フランジ
  • JIB B2240 銅合金製管フランジ
  • JIB B2241 アルミニウム合金製管フランジ
  • JIB B2290 真空装置用フランジ
  • JPI-7S-15 石油工業用フランジ
  • JPI-7S-43 石油工業用大口径フランジ
  • ANSI/ASME B16.5 Pipe Flanges and Flange Fittings
  • ANSI/ASME B16.47 Large Diameter Steel Flanges
  • ISO 7005-1 Pipe flanges — Part 1: Steel flanges for industrial and general service piping systems

日本国内では、主にJIS規格やJPI (The Japan Petroleum Institute 日本石油学会) 規格が適用されています。JPI規格は、主に石油精製や石油化学業界で適用される規格です。JPI規格のフランジは、ASME/ANSIをもとに制定されているため、ほとんどの仕様が同じです。

3. 管フランジのガスケット座形状

ガスケット座の形状は、全面座 (FF) と平面座 (RF) の2種類があります。全面座は呼び圧力が10K以下などのフランジで使用され、平面座は一般的に使用されている座面形状です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/506/
https://www.watanabe-electric.co.jp/sensor/faq/hogokan/05.html
https://ryutai.co.jp/shiryou/flange/jis/jis-flange-B2220-2012-01.htm
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrDataBaseSearch.html
https://sekiyu-gakkai.or.jp/jp/kankou/kikaku/f.html
https://faq.teral.net/category/show/917?site_domain=public
https://www.hik.shiga-irc.go.jp/info/instructions/valve_iroha/valve-1/

手動バルブ

手動バルブとは

手動バルブ

手動バルブ (Manual Valve, Manual Operated Valve, Hand Operated Valve) とは、人的な操作 (手動操作) によって、開閉もしくは開度調整を行うバルブです。

一般的に手動バルブは、構造によってグローブバルブボールバルブゲートバルブバタフライバルブダイヤフラムバルブなどの種類があります。バルブは流路の開閉によって流体を遮断し、「流す」「止める」を行い、また流量を調節するために用いられます。

手動バルブの使用用途

手動バルブ_図1

図1. 手動バルブの使用例

手動バルブの使用用途は、一般的に流体の遮断または流量・圧力の調整です。流体の遮断を行う場合は、ボールバルブやゲートバルブを使用します。一般的には、構造上の強度が高く、流路に弁体 (ボール、ディスク) が残らず、簡単に開閉できるため、こボールバルブが使用されています。

どちらのバルブも、途中開度で利用することはできません。途中開度のまま弁体を全開にしない状態で使用すると、キャビテーションが発生するため注意が必要です。

なお、キャビテーションとは、液体が低圧状態になり気化して気泡が発生する現象です。キャビテーションが発生すると、振動・騒音・流れの脈動が増大し、配管や機器の損傷にいたる可能性があります。

流量・圧力の調整を行う場合は、グローブバルブやバタフライバルブを使用します。一般的には、ハンドル操作で流量・圧力調整が容易なグローブバルブが使用されています。しかし、グローブバルブは弁箱 (ボディ) 内の流路が入り組んだ構造をしているため、流体の圧力損失が大きくなります。

手動バルブの原理

手動バルブは、弁箱 (ボディ) 内に弁体 (ボール、ディスクなど) を備え、弁体を上下・回転させることで、弁体が弁箱内の弁座に密着し流路を遮断します。弁体を上下・回転させるための操作を手動で行うのが手動バルブです。

流体がバルブを通過する際の圧力損失は、バルブの構造によって異なります。圧力損失はバルブ選定において重要な要因です。圧力損失の計算は、下記のファニングの式を用いて計算します。

ΔP=4f (ρμ2L/2d)

ΔP:圧力損失 (Pa)、f:摩擦係数、ρ:流体の密度 (kg/m3)、μ:流体の平均速度 (m/sec)、L:配管長さ (m)、d:内管内径 (m)

手動バルブの種類

手動バルブの種類は、構造や機能によって幾つかあります。手動バルブを選定する際は、使用流体の種類 (水、蒸気、空気、ガス、薬品など) 、流体の圧力・温度、腐食性の有無、および使用目的 (閉止、流量・圧力調整など) を考慮することが大切です。

1. グローブバルブ

手動バルブ_図2

図2. グローブバルブ

グローブバルブは、玉形弁とも呼ばれています。流体の遮断と流量・圧力調整に優れているため、止弁や絞り弁として使用されます。

弁箱 (ボディ) 部分が丸みを帯びていて、内部の流路は曲線を描いています。弁箱内の弁体 (ディスク) は、弁軸 (ステム) に取り付けられたハンドルを回転させ上下動します。

これにより弁体が弁座に密着し流体を遮断します。ハンドルを回転させる程度で、弁体と弁座の距離で変わり、流量・圧力調整を行うことが可能です。流量・圧力調整が必要な蒸気、冷却水、温水、圧縮空気、真空ラインなどユーティリティの量を調整する弁として用いられます。

2. ボールバルブ

手動バルブ_図3

図3. ボールバルブ

ボールバルブは、弁箱 (ボディ) 内の弁体 (ディスク) が球状 (ボール形) であることが特徴です。弁体は弁軸 (ステム) に取り付けられたハンドルを90度回すことで、弁体が回転し流路の遮断を行います。ボールバルブは、開弁中に弁体が流路に残らないため、圧力損失が小さくなります。

基本的には、途中開度では使用せず、流量・圧力調整には使用しません。比較的コンパクトで安価なものも多く、ハンドルを90度回転させるだけで閉弁できるため、小型の止弁として多く使用されています。

3. ゲートバルブ

手動バルブ_図4

図4. ゲートバルブ

ゲートバルブは、流体の遮断に特化して使用されるバルブです。弁箱 (ボディ) 内の弁体 (ディスク) は、弁軸 (ステム) に取り付けられたハンドルを回転させ上下動します。

これにより弁体が弁座に密着し流体を遮断します。弁箱内の流路が真っすぐで圧力損失が小さくなります。途中開度では使用せず、開弁・閉弁で使用するため、止弁として使用します。

4. バタフライバルブ

手動バルブ_図5

図5. バタフライバルブ

バタフライバルブは、弁箱 (ボディ) 内の弁体 (ディスク) が円盤状であることが特徴です。弁体は弁軸 (ステム) に取り付けられたハンドルを回すことで、弁体が回転し流路の遮断を行います。

また、弁体が半円状で蝶の羽のように回転する形のものあります。バタフライバルブは、弁体の回転角度を調整することで、流量・圧力調整が可能です。

5. ダイヤフラムバルブ

手動バルブ_図6

図6. ダイヤフラムバルブ

ダイヤフラムバルブは、ゴムやフッ素樹脂などの隔膜 (ダイヤフラム) で流路を遮断します。弁箱 (ボディ) 内の弁体 (ダイヤフラム) は、弁軸 (ステム) に取り付けられたハンドルを回転させ、ダイヤフラムが上下に変形します。これにより弁体が弁座に密着し流体を遮断します。

他のバルブに比べて構造がシンプルで、流路と駆動部分がダイヤフラムで隔離されているため、腐食性の高い流体に優れています。そのため、薬品・食品・医療などの分野使用される場合が多いです。また、高圧流体では使用できず、主に0.5 MPa以下の低圧で使用します。

手動バルブの選び方

目的や圧力損失、コストなどを考えて適したバルブを選択します。手動バルブは、駆動装置用の電気配線や空気配管が不要で、より低コストにバルブ操作を行うことができます。

手動バルブに対して自動バルブがあり、駆動装置 (アクチュエータ) によって遠隔もしくは規則で開閉もしくは開度調整を行います。駆動装置 (アクチュエータ) は、圧縮空気や電気駆動で行われます。

圧縮空気駆動の場合は、開動作のみ空気駆動で閉動作をスプリングなどで行う単動式と、開閉動作どちらも空気駆動で行う複動式があります。電気駆動の場合は、電動機 (モーター) 付きスクリュージャッキや、電磁コイルで開閉動作を行うものがあります。

手動バルブのその他情報

手動バルブの記号

手動バルブを使用するとき、非常に大きい設備や広範囲な場所になることが多いです。そのため、図面などはとても複雑なものとなります。

通常は、図面に手動バルブの完全な形状を書かずに、手動バルブの記号を記入します。

手動バルブの記号は、下記JIS規格に示されています。

  • JIS Z8204 計装用記号
  • JIS Z8207 真空装置用図記号
  • JIS Z8209 化学プラント用配管図記号

参考文献
https://j-valve.or.jp/valve/automatic/
https://j-valve.or.jp/valve/letslearn/
https://kenchiku-setsubi.biz/valve-kigo/