摩擦圧接機とは
摩擦圧接機 (英: friction welder) とは、2つの物体を摩擦熱によって加熱して圧力をかけて接合する機械です。
金属材料や樹脂の接合で使用されますが、非金属のチタンやモリブデンは難しいとされています。摩擦圧接は、固相状態で接合するので異種金属の接合に適しています。銅とアルミ、アルミとステンレスの接合などの溶接では難しい接合も可能です。
また、アーク溶接やアルゴン溶接などのように溶接棒やフラックス、熱源を必要としない特徴があり、ガスやスパッタも出ないため、自然環境に優しい接合方法です。
摩擦圧接機の使用用途
摩擦圧接機の使用は、当初自動車業界における圧縮接手が目的でしたが、現在は航空機や機械部品、スポーツ用品から宇宙開発においても使用されています。
自動車部品では、ステアリングシャフト、エンジンバルブ、フロントドライブ部品などの用途です。工具類では、切削工具部品の電動ビット、ドリルやラチェットレンチ作成などで、摩擦圧接機が使用されます。
機械部品では、油圧シリンダのピストンロッドやボールネジの作成に使われます。その他の用途は、油圧空圧配管部品のジョイント部分の加工や電気配線部品の差動トランス、ゴルフクラブのアイアンヘッド加工などです。
また、印刷機や複写機のローラー製造、熱交換器の銅パイプとアルミパイプの接合、掘削機械のハンドル、変電設備の端子なども、摩擦圧接機が活用されます。
摩擦圧接機の原理
2つの圧接しようとする物体を突き合わせ、加圧と回転運動によって摩擦熱を発生させます。接合可能温度まで上昇させた後、運動を急停止し圧力をかけると接合が可能です。この動作を摩擦圧接機が行います。
回転運動の急停止とアプセット圧力の瞬間的な付加が重要です。圧接部の回転減速によるねじり破損の防止と、アプセット過程の高温状態の維持が理由として挙げられます。
摩擦圧接機による圧接の方法は、以下の2つが代表的です。
1. 定速式摩擦圧接法
定速式摩擦圧接法は、2つの圧接したい物体を突き合わせ加圧し、一方または双方を回転させることで摩擦熱を発生させ、急停止とアプセットを行って接合する方法です。
2. 蓄勢式摩擦圧接法
蓄勢式摩擦圧接法は、回転軸となるはずみ車に回転エネルギーを蓄積します。そして、摩擦によってこのエネルギーを消費させ、停止時に圧接させる方法です。ブレーキ機構は備えていません。
摩擦圧接された部分は、元の素材部分より引張強さが強固になります。この現象は、原子間引力と呼ばれます。バリ取りは、圧接する2つの物体双方を回転させる2軸回転式の摩擦圧接法において、バリが発生する場所に刃物を設置し、摩擦発生中に高温切削させる仕組みを使います。
摩擦圧接機のその他情報
1. 摩擦圧接の長所
摩擦圧接は、アークやレーザーなどの他の溶接法と異なり、接合部に引け巣やブローホールなどの溶接欠陥の発生リスクがなく、さらに再現性が高い利点があります。従って、一度適正な加工条件が決まれば、高品質な接合部を安定的に作製することが可能です。
摩擦圧接に欠陥がほとんど生じない理由として、基本的に材料の融点以下の固相状態で接合するので、凝固収縮などの熱歪が少ないこと、シールドガスやフラックスなどの汚染要因の巻き込みがないことが挙げられます。
また、接合強度が高く、加工時間が短い長所があり、コスト低減や生産性向上が可能です。
2. 摩擦圧接の短所
摩擦圧接機には長所だけでなく、短所も存在します。
形状が限られている
摩擦圧接は、円筒などのシンプルな形状が望まれます。角の多い複雑な形状や、非対称なものは、他の接合方法を検討する必要があります。
高負荷
使用可能な材料は、高い摩擦熱と圧力で接合するため、高負荷に耐えられる材料の制約があります。破壊した場合に破片が飛散し、装置を破壊したり作業員が怪我をしたりするリスクがあるので注意が必要です。
後工程が必要
摩擦圧接部ではバリが生じるため、後工程で除去する必要があります。
3. 摩擦圧接機による異種金属接合
摩擦圧接機では、溶融を伴う溶接では困難だった鉄鋼とアルミニウム合金などの異種金属の接合も可能です。鉄鋼やアルミニウム合金はもちろん、ステンレスや銅、チタン合金まで多種類の金属材料の接合もできます。
異種金属の接合の長所は、部品に適材適所の性能を付与することができることです。例えば、強度が必要な部分は鉄鋼、その他の部分はアルミニウム合金を用いることで、全体として軽量化できます。特殊な材料の使用量を減らして、コストダウンする活用方法もあります。
参考文献
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http://www.izumi-mfg.co.jp/fw/examples/index_2_1.html
https://engineer-education.com/production-engineering-36_friction-welding_machining-condition/
http://kinzoku-assetsu.net/