重量センサー

重量センサーとは

重量センサーとは、対象物の重量を量るためのセンサーです。

現在は、主にロードセルが用いられています。ロードセルが主流になる前は、機械的なレバー式の秤が重量測定の主流でした。レバー式の秤では、正確な測定をおこなうために校正やメンテナンスなどの手間がかかっていました。

一方で、ロードセル式の秤は設計上可動部分や摩擦部分を持たないため壊れにくく、簡単なメンテナンスのみで長期間使用可能です。測定精度が高い、測定の際に温度の影響が少ないなど優れた特徴も持ち合わせており、広く普及しています。

重量センサーの使用用途

重量センサーは重量測定するための機器であり、あらゆる分野で活用されています。最も使用されるのが、重量の計測そのものです。具体的には、病院のベッドに設置して患者の体重を量ったり、生産現場で製品の重量をチェックしたりしています。

重量の検出に圧力を利用しているため、対象物にかかる負荷の測定も可能です。例えば、乗物のエンジンのトルクや車輪への負荷を知るためにも使用されています。

重量センサーの原理

重量センサーとしては、ロードセルが主流です。ここでは、ロードセルの原理を解説します。ロードセルは出力信号の違いから、油圧式ロードセル、空気圧式ロードセル、ひずみゲージロードセルの3種類に大別されます。なお、3種類の中で最も普及しているのは、ひずみゲージを用いたロードセルです。

1. 油圧式ロードセル

油圧式ロードセルは、ロードセルの内部に流体を充てんしたものです。ロードセルにかかる力が増加すると流体の圧力が上昇するように設計されており、流体の圧力の変化から重量を測定できます。

電子部品が使われていないため危険区域でも使用でき、タンクやホッパーの重量測定に用いられています。

2. 空気圧式ロードセル

空気圧式のロードセルは、空気圧を検出に利用したロードセルです。ダンピングチャンバーを複数用いることで、油圧式より測定精度が向上しています。油圧式のように液体を充てんしていないため、破損の際の汚染リスクを抑えられることが特徴です。

3. ひずみゲージロードセル

ひずみゲージロードセルは、ロードセルにかかった力を電気信号として捉えるものです。ひずみゲージに力がかかると変形が生じ、その結果ゲージの電気抵抗が変化します。

電気抵抗の変化はゲージの変形量、すなわちかかる力に比例するため、電気抵抗を検知して重量を測定しています。

重量センサーの種類

重量センサーとしてはロードセルが最も一般的ですが、その他にも種類があります。

1. 圧電素子

水晶やセラミックによる圧電素子は、力を加えることで圧電効果により電荷が生じます。電荷の変化を測定して物体に生じるひずみを測定して重量の有無に置き換えることができます。

2. 静電容量式

圧力に変化に応じて変形する、2つの膜の間の静電容量の変化を計測することで重量に置き換えます。

3. フィルム積層タイプ

シートタイプのスイッチを応用したもので、重量を検知する、物体が接触したことを検知するのに使われます。

4. シート・マットタイプ

重量の有無を検知するシート状やマット状のものも、重量センサーの1つです。別名で、感圧シートやマットスイッチなどとも呼ばれます。この重量センサーは、2枚の樹脂やゴムなどの重量や負荷により変形する素材を組み合わせており、組み合わせ面に圧電素子や静電容量素子、接点などを配した構造です。

シートもしくはマットに重量が印加されると、電気的な変化が出力され、その変化で重量の有無を検知します。自動ドアの扉や無人搬送機のバンパーに装着されており、人間との接触を検知します。

重量センサーのその他の情報

重量センサーとiot

iot関連には多種多様なセンサーが利用されており、重量センサーもその1つです。例として、自動化された搬送ラインで物の有無を検知する、自動倉庫で在庫の有無を検知するのに使われています。

また、重量を計測できるセンサーを使えば、在庫品の量や出荷数を重量で自動的にカウントすることが可能です。そのため、遠隔地からのリモートでも、倉庫管理システムシステムなどを運用できるため期待されています。

参考文献
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://www.jp.omega.com/prodinfo/loadcells.html
https://www.dewejapan.com/daq/load-cell.html 
http://www.marusan-name.co.jp/

ランプヒータ

ランプヒータとはランプヒータ

ランプヒータはフィラメントに電力を印加し、その際に生じる近赤外線~遠赤外線領域の電磁波で対象物を加熱するヒータの総称です。
輻射加熱を利用したヒータで、可視領域の波長も含む為、赤~白く発光します。 広範囲の均一な加熱性能や熱を介する媒体が不要な為、高い応答性を有する事が特徴で、
フィラメントの種類や構造の違いによって複数の種類が存在します。 エネルギー効率の高い加熱方式であることから、近年需要が増えてきています。

ランプヒータの使用用途

輻射エネルギーの放射特性から、大面積を均一に加熱する事が得意なので、平面状の対象物を加熱する用途に多く用いられます。代表的な事例としては
半導体やフラットパネルディスプレイ等の生産工程内に於ける乾燥工程や印刷物のインク乾燥、インラインでの食品乾燥などに採用されます。
また、直接加熱する事が困難な腐食性薬液の加熱や、身近な所では暖房機器や食品の保温などにも採用されています。
近~遠赤外線を用いる為、それを透過してしまう透明体の加熱には向いていません。

ランプヒータの原理

フィラメントに電力を印加する事で近~遠赤外領域の電磁波を発生させ、そのエネルギーで非接触状態で対象物を加熱します。
フィラメントにはタングステンやカーボン、鉄クロムアルミニウム、ニッケルクロム(ニクロム)などを用い、フィラメント温度は2500~3000℃に達します。
フィラメントがこの様な降温領域で大気と接触していると急速な酸化反応が生じ、断線や減肉によって極めて寿命が短くなるので、真空或いは不活性ガス充填された
石英ガラス管の中に封止された構造となっています。 この様な構造から、細長い円筒形の製品が一般的ですが、ハロゲンランプを熱源とする裸電球形状のランプヒータもあります。

平面状の対象物を加熱する際には、複数のランプヒータを配列させ、輻射エネルギーがむらなく対象物を網羅する様設計する必要があります。
直接加熱や雰囲気加熱と異なり、輻射エネルギーが遮られる箇所が生じる形状、構造の場合、その影となる箇所は加熱されない為、加熱対象物の形状によっては不向きな場合も
あります。

対象物の加熱温度は最大1500℃程度まで加熱可能ですが、輻射エネルギーは500℃以下の低温域では低い為、エレメントを1000℃以上にする必要があります。
エネルギー効率は高いのですが、上述の理由で要求電力が大きい為、低電力で低温に加熱する用途にはあまり向いていません。
また、外装の石英管球に汚れ等が付着すると、その汚れを加熱してしまい、外装表面の温度分布が局所的に大きく変わってしまう為、破損の原因となります。

 

ラインフィルタ

ラインフィルタとは

ラインフィルタは機器の電源ラインに挿入することにより機器から発生するノイズおよび外部の機器から入ってくるノイズを除去する働きをするフィルタです。ノイズを除去する目的で使用されることからノイズフィルタとも言われます。

一般的にノイズを放射することをEMI(Electromagnetic Interference)と言い、外部の機器からノイズを輻射を受けることをEMS(Electro Magnetic Susceptibility:)と言います。更に各種機器は、自らノイズの発生を抑制するとともに周辺機器からのノイズによる影響を受けないような設計が求められます。これをEMC(ElectroMagnetic Compatibility:電磁両立性)を言います。

ラインフィルタはこのEMCを実現するために使用されるフィルタで機器内の電源ラインもしくは、機器外部に使用して使われます。

ラインフィルタの使用用途

ラインフィルタは一種のローパスフィルタです。主にデジタル機器におけるノイズは機器のプリント基板上に実装される各種デジタルICから発生する高周波が主たる成分だからです。

ラインフィルタは、ノイズを発生させる機器のできるだけ近傍に取り付けると効果的です。距離が離れるほど、その間でノイズが空間を伝搬してしまう可能性もあるからです。

また、ラインフィルタから出ているアース線は出来るだけ短くする必要があります。長くするとノイズ除去の効果が半減してしまう可能性があります。

ラインフィルタの原理

電子回路や電気回路から発生するノイズは、回路規模が大きくなり高機能化するに伴い、動作周波数はどんどん高くなっています。その結果、発生するノイズも高周波数化し、その除去も大変になってきています。

機器から発生するノイズには輻射ノイズと伝搬ノイズがあります。輻射ノイズは、回路上から発生する高周波信号がそのまま空中を伝搬し、他の機器に妨害を与えるタイプのノイズを言います。

伝搬ノイズは機器の電源ケーブルや信号線ケーブルを経由して他の機器に妨害を与えるタイプのノイズを言います。これらのノイズは、電子・電気機器の誤動作や最悪の場合、機器の破壊にもつながりかねません。

この様なノイズを除去するためのラインフィルタは、基本的にコイルやコンデンサ、フェライトコアなどから構成されています。

コイルやフェライトコアは、低周波の信号がこれらのデバイスを通過するときには無条件で通過させます。しかし、高周波の信号になるほど通過しにくくなるという特性があります。このコイルやフェライトコアを信号ラインに対して直結することで、ノイズの放射を抑止します。

コンデンサは逆に低周波の信号は通しません、高周波になるにつれて、信号が通過しやすくなる特性を持ちます。これを信号線とアースとの間に入れることにより、高周波信号をアース側に捨ててしまうことによりノイズの放射をコイル、フェライトコアと共に抑止します。

更にこのコイル、フェライトコアとコンデンサの組み合わせのローパスフィルタを複数、縦続接続することにより、一層、周波数の選択度を高めることができます。換言すれば、より一層、欲しい低周波数を通過しやすくして不要な高周波数を除去する働きを強めることができます。

参考文献
https://cend.jp/emc_primer/product/efilter.html
https://www.furutaka-netsel.co.jp/utility/elec_7
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/hatena/062
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-3
https://cend.jp/emc_primer/basic/emc.html

メタルシール

メタルシールとはメタルシール

メタルシールは、一般的に樹脂やゴム系素材が用いられるOリングなどに対して、より過酷な条件下での気密性能を発揮する為の金属製ガスケットです。
樹脂やゴム系素材のリング、ガスケットが使用に耐え得る状件以上の高温、極低温、高圧、超高真空環境で機密性能を維持、発揮させます。
メタルシールは断面形状や構造、素材に数多くの種類があり、使用する場合は封止構造や環境条件、要求仕様、接触する流体などを考慮し、慎重に選定する必要があります。

メタルシールの使用用途

ポリマー系Oリングやガスケットでは耐える事の出来ない条件下で用いられます。 ポリマー系では320℃程度の温度環境が上限となりますが、メタルシールの場合、1800℃近く
まで耐える事が出来ます。また、-270℃以下の極低温環境や、600MPaを超える超高圧環境、1×10^10Pa以下の超高真空環境などの過酷な条件下で使用されます。
超高真空設備、超臨界等の超高圧設備、ヘリウムや水素等の低分子ガスの保存設備等で用いられます。

メタルシールの原理

メタルシールは断面形状によって複数の種類があります。

  • C字型 : メタルCリング
  • O字型 ; メタルOリング
  • 平面型 ; メタルガスケット

    その他フレアチューブに用いるフレア型や、より高機密性能を持つ複雑な断面構造を有したレジリエントシール、ネジと相手側の気密に用いるボス型などがあります。
    メタルCリングや穴あきタイプのメタルOリングは流体圧力が内部まで働きかける為、より密着性が高まる効果を持っています。セルフシールタイプとも呼ばれます。
    また、コイルバネやC型のインサートが挿入された複合型や、外層に異なる素材をコーティングしたハイブリッドタイプもあります。

    メタルシールはポリマーシールと比較して優れた性能を持っていますが、その反面、メタル元素の漏出や、再利用が出来ない、相手側のシール面の平面粗度に高精度が要求される、
    耐薬品性、耐特殊ガス性が限られる、シール面積が大きい場合、均一な締め付けトルク管理が要求されるなど、運用面での注意点や制限も多くあります。

 

マグネットセパレータ

マグネットセパレータとは

マグネットセパレータ (英: magnet separator) とは、磁力を使って物体を分離する装置です。

マグネットセパレータは、研削盤の切削油に含まれる切粉やスラッジの除去、産業廃棄物からの材料選別、食品の異物分離などに使用されます。磁力を出す方式に、電磁式、永久磁石式などがあります。

マグネットセパレータの使用用途

1. 工作機械用

マグネットセパレータは、研削盤やシェービング盤、ホーニング盤、鋳物の切削加工を行う各種加工機などに設置されます。機械からクーラントタンクにクーラントが戻る際、マグネットセパレータを通すことで切粉を回収します。クーラントは、水溶性と油性の両方に使用可能です。

クーラントの種類の他に、クーラントの流量と排出される切粉の量などをもとにマグネットセパレータの処理能力サイズを選定します。また、切粉の種類などによって、マグネットドラムの磁石の種類や絞りローラーの材質を選定することが大切です。

2. 資材選別用

吊下型マグネットセパレータは、搬送コンベアの上から吊り下げ、缶・鉄片・鉄塊などの強磁性体を選別します。永久磁石を使用し、発熱せずランニングコストが低いセパレータです。

このセパレータは、産業廃棄物・粗大ごみからの金属回収、アルミ・タイヤ・木材チップ・飼料などの資源再生、鉱石・炉滓・石炭などの再生、鋳物砂・塵芥焼却炉からの鉄分回収などに使われます。

ドラム型マグネットセパレータは、ドラム回転式の磁選機です。搬送コンベアや機材の搬出口へ据え置いて使います。縦割り半円筒状のマグネットが回転し、自動的に鉄分を捕捉することが可能です。

製粉・製菓・フィッシュミールなどの金属除去、プラスチックペレット・ファインセラミック・カーボンなどの再生に使用されます。また、肥料・飼料・木材チップ・陶器・タイル・ガラスなどの異物除去なども用途の1つです。

マグネットセパレータの原理

工作機械用のマグネットセパレータは、マグネットドラムで切粉を吸い付けて、絞りローラーと挟み、水分を取って掻き板で掻き取ることで、研削かすなどの切粉や汚泥スラッジのみを回収します。マグネットドラムのマグネットは、主にフェライトと希土類が使用されます。

希土類は、フェライトの10倍の磁気エネルギーをもっています。しかし、その分価格が高いです。希土類のマグネットは、難磁性の材質や微粒子のスラッジ、油性のクーラントを使用している場合に選定されます。

SK材やFC材、焼入れ後の工作物は、磁石に吸着されにくいため、希土類のマグネットを選定することで効率的な回収が可能です。2次ろ過装置でフィルターを使用している場合、希土類のマグネットを選定することでフィルターの使用量を削減する効果が得られます。

機能を維持するため、マグネットドラムの表面にキズを付けないことが重要です。表面に硬化処理を施すことで対策する場合もあります。

マグネットセパレータの特徴

1. 工作機械用セパレータ

高いセパレート効率
マグネットセパレータには、約20~30μの弱磁性体を90%捕集可能な製品があります。希土類マグネットを採用して高磁束密度化を図っています。

低ランニングコスト
マグネットセパレータを使用することにより、ランニングコストが安く、フィルタなどの交換作業の手間が発生しません。微細な砥粒も捕集できるサイクロンを設置すれば、約5μまで捕集可能です。

設備清掃の頻度低減
クーラントタンク内に溜まる切粉が少ないため、設備清掃やクーラント液の交換頻度が減少します。

2. 永久磁石式セパレータ

安定した高磁力
電磁式で問題となるジュール熱発生がないため、安定して高磁力が得られます。また、電磁式と遜色ない磁場が可能です。

低維持コスト
構造が堅牢で維持が容易です。電気的なメンテナンスが不要です。

容易な取付け
取付け・取扱いが簡単です。電磁式に比べ、小型軽量の特徴があります。

参考文献
https://finemag.jp/products
https://www.bunri.com/products/
https://www.noritake.co.jp/products/eeg/subs/detail/48/

ポテンショスタット

ポテンショスタットとは

ポテンショスタットとは、電位や電流の制御、電位の計測などを行う装置のことです。

電解液中の作用極、対極、参照極から成る3電極系において、作用極-参照極間の電圧を制御し、作用極-対極間に流れる電流を測定します。電気化学測定で用いられ、ガルバノスタットファンクションジェネレータとともに用いられるケースが多いです。

ガルバノスタットが電極を流れる電流を正確に制御し、電気反応化学速度を任意に規制するのに対し、ポテンショスタットは電極の電位を制御し、その時に電極に流れる電流を測定します。1つの機器でガルバノスタット/ポテンショスタットを切り替え可能な機種も多く市販されています。

ポテンショスタットの使用用途

ポテンショスタットの使用用途は主に電気化学測定です。実際にはポテンショスタットのみで用いられることは少なく、ガルバノスタットとファンクションジェネレータとセットで使われることがほとんどです。

ポテンショスタット単独では定電圧制御しか行うことはできませんが、これら機器と組み合わせることで電圧の掃引操作やパルス出力などを行うことができ、その応答を測定することで対象の電気化学特性をより深く知ることができます。

ポテンショスタットの原理

ポテンショスタットの原理のポイントは、オペアンプを用いたネガティブ・フィードバック制御を行っていることです。

オペアンプは図1に示す回路記号で表され、特徴は以下の2点です。

  1. 内部インピーダンスが非常に大きい
  2. プラス端とマイナス端の入力端子の電圧は同じとみなせる  (VIN1=VIN2) 

図1. オペアンプの回路記号

オペアンプを用いた回路により、ポテンショスタットの以下の主要な機能を実現しています。

  • 参照極に電流が流れるのを防ぐ
  • 参照極を基準とした作用極の電位を制御する
  • 作用極-対極間に流れる電流を測定する

内部インピーダンスが高いため参照極に電流が流れるのを防ぎ、プラス端とマイナス端の電圧が同じになることから、設定電圧をそのまま参照極の電圧とすることが可能です。

オペアンプは流れる電流に応じた電圧を出力することから、電流を測定することができます。

ポテンショスタットのその他情報

1. 電気化学測定とは

図2. ボルタモグラムの例

電気化学測定とは、特定のサンプルに対して電源や別の回路から電気的な信号を加えることで、化学反応を引き起こすこと、応答信号から内部で起きている化学反応を評価する測定手法です。

一般的な例として、水の電気分解が挙げられます。水にポテンショスタットと接続した電極を挿入し、外部回路から電気エネルギーを加えることで、作用極上で水の分解反応を進めたり、逆転させたりすることができます。水の電気分解を促進する触媒の開発などに生かすことができます。

また、ボルタモグラム測定ではパソコンを用いて、制御した電極電位をコンピュータからデジタル信号をアナログ信号に変換し、ポテンショスタットにより測定した電解電流をデジタル化し、コンピュータによって読み取ります。こうすることで、電圧変化に対してどれくらい電流が流れたかを調べることができます。

ボルタモグラムからは、各電位において作用極でどのような酸化/還元反応が起こっているのかが考察できます。

2. 3電極系を用いる理由

図3. ポテンショスタットと3電極系の模式図

電気化学測定においては、電極で起こる反応の電位を正確に知ることが必要です。2電極系で電気化学測定を行うと、作用極も対極も電流が流れているため、分極という現象が生じて電位を正確に測定することができません。分極とは、回路に電流が流れることで電極電位がずれることを指します。

そこで、第3の電極として参照極を加え作用極/対極/参照極から成る3電極系を構成します。参照極には電流を流さないようにし、作用極-参照極の電位差を測定することで作用極の電位を正確に測定することができるようになります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/68/5/68_270/_pdf/-char/ja
https://www.bas.co.jp/xdata/mnews/series_ps_1.pdf

ホッパースケール

ホッパースケールとは

ホッパースケールとは、さまざまな粉末状や顆粒状の材料を正確に計量するために使用される装置です。

ホッパースケールには、重量計と材料を収容するための受け皿があります。材料は受け皿に置かれ、重量計によって正確に計量されます。

ホッパー (Hopper) は、英語で「投入口」や「収容器」、スケール (scale) は「はかり」という意味です。つまり、ホッパースケールは、材料を収容するための容器とはかりを組み合わせた装置と言えます。

主に産業用の設備で計量器として使われており、ホッパー内に入った材料の計測を自動で行います。材料を均等に計量することで、製品の品質を一定に保つことができます。また、一度に多量の材料を計量できるため、作業効率の向上にもつながります。

ホッパースケールの使用用途

ホッパースケールは、さまざまな産業の原材料重量を計測するために使用されます。以下はホッパースケールの使用用途一例です。

1. ビール醸造

麦芽を正確に計量するために使用されます。麦芽を適切な量で投入することで、ビールの味や色などの品質を調整可能です。また、麦芽を均一にかつ正確に計量することで、一貫性のある醸造プロセスになります。

2. パン作り

小麦粉や砂糖、塩、スパイスなどの材料を正確に計量するために使用されます。材料を正確に計量することで、パンの風味や食感を調整可能です。また、均一な配合で材料を投入することで、生地の品質安定にもつながります。

3. 鉱業

鉱石の取引などで、鉱石を計量するために使用されます。工業における鉱石は数百トン単位となることも多く、自動測定が必要です。ホッパースケールを用いて、販売者と購入者が取引鉱石量を確認します。

また、鉱石粉砕にも使用されます。鉱石を均一に投入することで、粉砕プロセスを安定化させ、品質を向上させることができます。

4. 化学工業

炭素ブラックやゴムなどの製造において、原材料を正確に計量するために使用されます。原材料を均一に投入することで、製品の品質や性能を向上させることができます。また、原材料を正確に計量することで不必要な材料の使用を防ぎ、コストの削減も可能です。

ホッパースケールの原理

ホッパースケールは、重力を利用して材料を計量します。材料を収容するための受け皿は、固定された梁の上に取り付けられます。梁にはロードセルという計測装置が数か所設置されており、これによってスケール内の重量を計測しています。

ロードセルにはひずみゲージが備えられているため、原材料の重量が加わってひずみが生じることで、その時の抵抗値を元にスケール内の重量を計測する仕組みです。ホッパースケールには一般的に、デジタル表示装置が付属しています。

この表示装置によって、材料の重量が数字で表示されます。また、計量の範囲や計量精度などはホッパースケールの機種によって異なります。ホッパースケールの計測方法は定量計測方式、実計量方式、正味演算計量方式、累積計量方式、排出計量方式の5種類です。目的に応じて、方法を使い分けます。

ホッパースケールの種類

ホッパースケールは、測定方法に応じて機械式と電子式があります。多様な接続方法を持っており、計量データを自動的に他の装置と共有することも可能です。

1. 機械式

機械式のホッパースケールは、バネを使用して重量を計測します。手動でノブを回してバネの弾性変形量を計測するため、正確な計量が必要な場合には向いていません。また、設定値よりも過剰な材料を投入することができるため、オペレータの腕によっては計量精度が低下する場合があります。

2. 電子式

電子式のホッパースケールは、ロードセルを使用して材料の重量を正確に計測します。デジタル表示装置が内蔵されており、計量範囲や計量精度も高い特徴があります。扱いやすく精度が高いため、広く使用されています。

参考文献
https://www.kamacho.co.jp/blog/archives/378
https://www.econmw.co.jp/80/
https://www.aandd.co.jp/products/loadcell/introduction/cell_intro02.html

プルボックス

プルボックスとは

プルボックス

プルボックスとは、配線や回路の接続部分を保護するための箱状の部品です。

一般的に屋外に設置され、雨水や塵埃から配線や回路を保護することができます。また、プルボックスには通気孔が設けられており、過熱や雨水の満水を防止します。プルボックスは配線を通すための穴が設けられており、配線をきれいに整理することが可能です。

また、配線や回路を保護するだけでなく、安全性も高めるためにも使用されます。電線管内で電線同士を接続してはならないという決まりが電気設備技術基準で定められています。電源を分岐させたい場合は、プルボックスなどを用いて結線部を保護する必要があります。

また、類似品にアウトレットボックスというJIS規格でサイズの決まった製品がありますが、プルボックスにはJIS規格が定められていません。したがって、多種多様なサイズの製品を施工個所に応じて選択可能です。

プルボックスの使用用途

プルボックスは、配線や回路の接続を保護するために使用されます。配線や回路の接続部分を外部環境から保護するのが目的です。屋外などでは水や湿気によって、回路が短絡してしまうことがあります。

プルボックスを使用することで雨水の侵入を防止し、保護することが可能です。また、電気機器と配線の接続にも使用される場合があります。広い工場の配線は電圧降下を考慮して、推奨より太い配線が使用されるケースも多いです。

このままでは電気機器のリードボックスなどに収まらないことがあるため、前段にプルボックスを設置して細い配線と接続する場合があります。また、ボックス内にブレーカ端子台といった器具が納められている場合があります。

プルボックスの原理

プルボックスは配線や回路を収める箱状の構造をしており、外部からの影響を受けにくいように作られています。通気孔が設けられており、配線の接続や通気・水抜きに配慮されています。

プルボックスの主な機能は、配線の保護と配線の整理です。配線は外部の環境によって損傷を受けたり、人為的な操作によって接触不良を起こしたりすることがあります。プルボックスは配線を箱状の構造で包み、外部からの影響を防止することで配線を保護します。

また、配線を収めるための端子台が設けられている場合があり、配線の接続を簡単に行うことができる製品も販売されています。プルボックスは配線の整理にも有用です。

複数の配線が乱雑に配線されていると、配線同士がこすれる場合があります。プルボックスを使用することで配線を整理し、安全に管理できます。

プルボックスの種類

プルボックスには樹脂製と金属製があり、設置したい場所の環境によって使い分けられます。

1. 樹脂製のプルボックス

樹脂製はFRP樹脂、塩化ビニル樹脂などが使用されます。直射日光には弱いため、屋外の日差しの強い箇所には不向きです。金属製の物と比べて錆や腐食の心配はありません。屋内や腐食環境に使用します。

2. 金属製   

金属製には鉄やステンレスが使用されます。鉄製の場合は溶融亜鉛などでメッキされていることが多いです。衝撃に強く頑丈であるという特徴があります。

樹脂製と比べて耐熱性にも優れるため、日差しの強い箇所にも適しています。ただし、鉄製の場合は錆びや腐食が発生する場合があるため、水気の多い海辺や温泉街には不向きです。万が一、漏電していた場合に電気を通してしまうというデメリットもあります。

プルボックスの選び方

プルボックスを選ぶ際は、材質やサイズなどに注意します。

1. 材質

使用環境などに合わせて材質を選定します。腐食環境などの場合は、ステンレス製や樹脂製を使用することが好ましいです。ただし、一般環境や屋内などでは安価な鉄製を選択します。

2. サイズ

配線の入線数や配線太さに応じて、サイズを選定します。後日増設工事を実施する可能性もあるため、少しおおきめの製品を選定するのが望ましいです。小さいサイズを選定すると、内部で配線がこすれたりする場合もあります。

3. 色

塗装色や本体色も周囲に合わせて目立たないように選定します。用途に応じて、端子台付きの製品などを選択する場合もあります。

参考文献
https://www.takex-elec.co.jp/bundles/takexelecpublic/pdf/library_wartersensor.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/sensor/photoelectric/ez-10/index.jsp

ブラケット

ブラケットとは

ブラケット

ブラケット(bracket)とは、構造物を支持するためのL字型の金具です。腕木と呼ばれたり建築用語としては持送りと呼ばれたりする場合もあります。

壁や柱などの垂直面とそこから水平方向に突き出るように配置された部材に対して、ボルトなどを用いて固定することで使用されます。

ブラケットで水平部材を支持することにより、部材が変形あるいは破損することなく耐えることができる重量である耐荷重を大きく設定することができるため、重量物や長手部材の固定に使用されます。

ブラケットの使用用途

ブラケットをL字型の片方の面を壁面や柱と固定しもう一方の面を構造物に固定することで、これらの部材は固定・支持されます。

ボルトを用いて固定するだけで簡単にベースとなる部材に対して垂直方向に構造物を固定することができるため、住宅やオフィスなどの内装や工場内の各種機械や梁の固定、足場の固定など多くの構造物に使用されています。

固定する構造物の重量や要求される耐荷重、荷重が負荷される位置などによって、十分な強度となるように適切なブラケットが選定されます。

ブラケットの原理

重い部材や大きな重量が加えられる部材に対して両端あるいは片側のみを壁面に固定した状態では、固定部に負荷が集中するため壁面が破壊され部材が落下する可能性があります。

また、長い棒や薄い板などの曲がりやすい部材を固定する場合には、端部のみで局所的に固定するとたわみ量が大きくなるため部材の中央部が曲げ応力に耐えられずに破壊されるといった危険性が高くなります。

そこでブラケットを用いて部材を固定することで、部材の端部から一定の距離まで固定部分が広がるため、壁面や部材が破壊されるリスクを軽減することができます。モーターの駆動などによる振動源がある場合には、部材の剛性が上がるために振動の伝播を軽減する硬化もあります。

加えて、壁面に直接ボルトを用いて固定した場合にはボルトにせん断方向の負荷が加えられるのに対して、ブラケットを用いて固定した場合にはボルトには垂直方向の力のみ加わるため、ボルトが破損も防ぐことが可能です。

参考文献
https://www.hase-metal.com/glossary/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88/
https://suumo.jp/yougo/h/bracket/

ブラインドナット

ブラインドナットとは

ブラインドナットとは、薄板に対してねじ穴を設けることができる埋め込み型のナットです。

通常、ねじ穴を設ける場合にはタップなどを用いて母材を切削加工するため、母材にはねじ穴の深さ以上の厚みが必要です。一方で、ブラインドナットを用いれば、薄板部品にもねじ穴を設けることができます。

ブラインドナットは内側に雌ねじが形成されたナットを、リベットのように母材に圧入します。タップを使用して雌ねじを掘ることができない薄板やパイプにもねじ穴を施工可能で、薄物部材の組付けの幅を広げられます。

ブラインドナットの使用用途

ブラインドナットは、鉄鋼材料の薄板やパイプなどに雌ねじを設ける場合に使用されています。特に製品の組み立て工程で重宝されるナットです。

部材に切削加工によってねじ穴を設ける場合には、ねじ穴の深さ以上の材料厚さが必要になります。しかし、部材の厚さは求められる強度や剛性から決まる場合が一般的であるため、必ずしもねじの噛み合い長さよりも厚いとは限りません。

ブラインドナットはこのような場合に、材料の薄肉化によるコスト削減・軽量化・省スペース化や施工工数の削減を目的として使用されます。

ブラインドナットの原理

ブラインドナットは、母材に設けられた穴に対してナットの頭 (上端) 部分をかしめる (圧着する) ことによって固定されます。ブラインドナットの頭はフランジ状になっており、穴に通した際にフランジ部で止まります。したがって、ブラインドナットの外径によって決められた穴を開けなければなりません。

ブラインドナットをかしめて固定するための専用工具がナッターです。まず、穴に挿したブラインドナットに対してナッターを正転させて、マンドレル (シャフト) のねじ部分をナットにねじこみます。その後、マンドレルを動力によって引っ張ることによりナットが変形し、フランジ部と変形した部分で母材を挟み込んで固定されます。

ブラインドナットの種類

ブラインドナットは、どこに施工するかによってその材質や形に違いがあります。それぞれにメリットやデメリットが異なるので、適切に使い分けることが大切です。ブラインドナットの材質には、主に以下の種類があります。

1. アルミ合金

ホームセンターなどで容易に入手できます。とても扱いやすいですが、あまり強度はありません。

2. 鉄鋼材 

アルミ合金より強度があり、比較的入手しやすいです。風雨に曝されると錆びるので、施工する場所を選びます。

3. ステンレス 

アルミ合金や鉄鋼材よりも強度が一番高く、硬いためカシメのときには強い力を必要とします。ステンレスは錆に強いので風雨にも耐えられますが、アルミ合金や鉄鋼材に比べてコストが高くなります。

ブラインドナットのその他情報

1. ブラインドナットの使い方

ブラインドナットを使う前に、ブラインドナットを通すための規格に合う穴を開けなければなりません。穴はブラインドナットのボディより、ひと回り大きいサイズが目安です。また、ブラインドナットには、フランジ部分に厚みがあるものと、かしめた後には段差がなくなり平面になるものがあります。

厚みを持つものを平面にしたい場合は、フランジが入り込めるように面取りが必要です。ブラインドナットをかしめるナッターは手動で使用するハンドナッターの他、電気ナッターやエアナッターなどがあり、使用する現場によって使い分けられています。

また、マンドレルのねじ部はかしめ作業の際の衝撃に弱く破損しやすいため、ナッターの使用時には潤滑油をねじ部に塗布する必要があります。

2. ブラインドナットの外し方

ブラインドナットは鉄板などを挟み込むようにかしめられているので、普通には取り外せません。ブラインドナットを取り外す際には、サンダーなどでブラインドナットの頭を削り落とす必要があります。頭を削り落とし、ブラインドナットの残っている部分を押し込むと、反対側に抜け落ちます。

サンダーで削り落とした際、ブラインドナットはかなり発熱しているので、素手では触われません。また、サンダーの種類によってはブラインドナット以外も削ってしまうため、注意が必要です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/269/
http://www.forming.co.jp/products/spank.html
https://omosire-ya.club/archives/3769
https://www.send-freedom.com/entry/2020/06/08/100307