ラインフィルタ

ラインフィルタとは

ラインフィルタは機器の電源ラインに挿入することにより機器から発生するノイズおよび外部の機器から入ってくるノイズを除去する働きをするフィルタです。ノイズを除去する目的で使用されることからノイズフィルタとも言われます。

一般的にノイズを放射することをEMI(Electromagnetic Interference)と言い、外部の機器からノイズを輻射を受けることをEMS(Electro Magnetic Susceptibility:)と言います。更に各種機器は、自らノイズの発生を抑制するとともに周辺機器からのノイズによる影響を受けないような設計が求められます。これをEMC(ElectroMagnetic Compatibility:電磁両立性)を言います。

ラインフィルタはこのEMCを実現するために使用されるフィルタで機器内の電源ラインもしくは、機器外部に使用して使われます。

ラインフィルタの使用用途

ラインフィルタは一種のローパスフィルタです。主にデジタル機器におけるノイズは機器のプリント基板上に実装される各種デジタルICから発生する高周波が主たる成分だからです。

ラインフィルタは、ノイズを発生させる機器のできるだけ近傍に取り付けると効果的です。距離が離れるほど、その間でノイズが空間を伝搬してしまう可能性もあるからです。

また、ラインフィルタから出ているアース線は出来るだけ短くする必要があります。長くするとノイズ除去の効果が半減してしまう可能性があります。

ラインフィルタの原理

電子回路や電気回路から発生するノイズは、回路規模が大きくなり高機能化するに伴い、動作周波数はどんどん高くなっています。その結果、発生するノイズも高周波数化し、その除去も大変になってきています。

機器から発生するノイズには輻射ノイズと伝搬ノイズがあります。輻射ノイズは、回路上から発生する高周波信号がそのまま空中を伝搬し、他の機器に妨害を与えるタイプのノイズを言います。

伝搬ノイズは機器の電源ケーブルや信号線ケーブルを経由して他の機器に妨害を与えるタイプのノイズを言います。これらのノイズは、電子・電気機器の誤動作や最悪の場合、機器の破壊にもつながりかねません。

この様なノイズを除去するためのラインフィルタは、基本的にコイルやコンデンサ、フェライトコアなどから構成されています。

コイルやフェライトコアは、低周波の信号がこれらのデバイスを通過するときには無条件で通過させます。しかし、高周波の信号になるほど通過しにくくなるという特性があります。このコイルやフェライトコアを信号ラインに対して直結することで、ノイズの放射を抑止します。

コンデンサは逆に低周波の信号は通しません、高周波になるにつれて、信号が通過しやすくなる特性を持ちます。これを信号線とアースとの間に入れることにより、高周波信号をアース側に捨ててしまうことによりノイズの放射をコイル、フェライトコアと共に抑止します。

更にこのコイル、フェライトコアとコンデンサの組み合わせのローパスフィルタを複数、縦続接続することにより、一層、周波数の選択度を高めることができます。換言すれば、より一層、欲しい低周波数を通過しやすくして不要な高周波数を除去する働きを強めることができます。

参考文献
https://cend.jp/emc_primer/product/efilter.html
https://www.furutaka-netsel.co.jp/utility/elec_7
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/hatena/062
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-3
https://cend.jp/emc_primer/basic/emc.html

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