ブラインドナット

ブラインドナットとは

ブラインドナットとは、薄板に対してねじ穴を設けることができる埋め込み型のナットです。

通常、ねじ穴を設ける場合にはタップなどを用いて母材を切削加工するため、母材にはねじ穴の深さ以上の厚みが必要です。一方で、ブラインドナットを用いれば、薄板部品にもねじ穴を設けることができます。

ブラインドナットは内側に雌ねじが形成されたナットを、リベットのように母材に圧入します。タップを使用して雌ねじを掘ることができない薄板やパイプにもねじ穴を施工可能で、薄物部材の組付けの幅を広げられます。

ブラインドナットの使用用途

ブラインドナットは、鉄鋼材料の薄板やパイプなどに雌ねじを設ける場合に使用されています。特に製品の組み立て工程で重宝されるナットです。

部材に切削加工によってねじ穴を設ける場合には、ねじ穴の深さ以上の材料厚さが必要になります。しかし、部材の厚さは求められる強度や剛性から決まる場合が一般的であるため、必ずしもねじの噛み合い長さよりも厚いとは限りません。

ブラインドナットはこのような場合に、材料の薄肉化によるコスト削減・軽量化・省スペース化や施工工数の削減を目的として使用されます。

ブラインドナットの原理

ブラインドナットは、母材に設けられた穴に対してナットの頭 (上端) 部分をかしめる (圧着する) ことによって固定されます。ブラインドナットの頭はフランジ状になっており、穴に通した際にフランジ部で止まります。したがって、ブラインドナットの外径によって決められた穴を開けなければなりません。

ブラインドナットをかしめて固定するための専用工具がナッターです。まず、穴に挿したブラインドナットに対してナッターを正転させて、マンドレル (シャフト) のねじ部分をナットにねじこみます。その後、マンドレルを動力によって引っ張ることによりナットが変形し、フランジ部と変形した部分で母材を挟み込んで固定されます。

ブラインドナットの種類

ブラインドナットは、どこに施工するかによってその材質や形に違いがあります。それぞれにメリットやデメリットが異なるので、適切に使い分けることが大切です。ブラインドナットの材質には、主に以下の種類があります。

1. アルミ合金

ホームセンターなどで容易に入手できます。とても扱いやすいですが、あまり強度はありません。

2. 鉄鋼材 

アルミ合金より強度があり、比較的入手しやすいです。風雨に曝されると錆びるので、施工する場所を選びます。

3. ステンレス 

アルミ合金や鉄鋼材よりも強度が一番高く、硬いためカシメのときには強い力を必要とします。ステンレスは錆に強いので風雨にも耐えられますが、アルミ合金や鉄鋼材に比べてコストが高くなります。

ブラインドナットのその他情報

1. ブラインドナットの使い方

ブラインドナットを使う前に、ブラインドナットを通すための規格に合う穴を開けなければなりません。穴はブラインドナットのボディより、ひと回り大きいサイズが目安です。また、ブラインドナットには、フランジ部分に厚みがあるものと、かしめた後には段差がなくなり平面になるものがあります。

厚みを持つものを平面にしたい場合は、フランジが入り込めるように面取りが必要です。ブラインドナットをかしめるナッターは手動で使用するハンドナッターの他、電気ナッターやエアナッターなどがあり、使用する現場によって使い分けられています。

また、マンドレルのねじ部はかしめ作業の際の衝撃に弱く破損しやすいため、ナッターの使用時には潤滑油をねじ部に塗布する必要があります。

2. ブラインドナットの外し方

ブラインドナットは鉄板などを挟み込むようにかしめられているので、普通には取り外せません。ブラインドナットを取り外す際には、サンダーなどでブラインドナットの頭を削り落とす必要があります。頭を削り落とし、ブラインドナットの残っている部分を押し込むと、反対側に抜け落ちます。

サンダーで削り落とした際、ブラインドナットはかなり発熱しているので、素手では触われません。また、サンダーの種類によってはブラインドナット以外も削ってしまうため、注意が必要です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/269/
http://www.forming.co.jp/products/spank.html
https://omosire-ya.club/archives/3769
https://www.send-freedom.com/entry/2020/06/08/100307

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