マグネットセパレータ

マグネットセパレータとは

マグネットセパレータ (英: magnet separator) とは、磁力を使って物体を分離する装置です。

マグネットセパレータは、研削盤の切削油に含まれる切粉やスラッジの除去、産業廃棄物からの材料選別、食品の異物分離などに使用されます。磁力を出す方式に、電磁式、永久磁石式などがあります。

マグネットセパレータの使用用途

1. 工作機械用

マグネットセパレータは、研削盤やシェービング盤、ホーニング盤、鋳物の切削加工を行う各種加工機などに設置されます。機械からクーラントタンクにクーラントが戻る際、マグネットセパレータを通すことで切粉を回収します。クーラントは、水溶性と油性の両方に使用可能です。

クーラントの種類の他に、クーラントの流量と排出される切粉の量などをもとにマグネットセパレータの処理能力サイズを選定します。また、切粉の種類などによって、マグネットドラムの磁石の種類や絞りローラーの材質を選定することが大切です。

2. 資材選別用

吊下型マグネットセパレータは、搬送コンベアの上から吊り下げ、缶・鉄片・鉄塊などの強磁性体を選別します。永久磁石を使用し、発熱せずランニングコストが低いセパレータです。

このセパレータは、産業廃棄物・粗大ごみからの金属回収、アルミ・タイヤ・木材チップ・飼料などの資源再生、鉱石・炉滓・石炭などの再生、鋳物砂・塵芥焼却炉からの鉄分回収などに使われます。

ドラム型マグネットセパレータは、ドラム回転式の磁選機です。搬送コンベアや機材の搬出口へ据え置いて使います。縦割り半円筒状のマグネットが回転し、自動的に鉄分を捕捉することが可能です。

製粉・製菓・フィッシュミールなどの金属除去、プラスチックペレット・ファインセラミック・カーボンなどの再生に使用されます。また、肥料・飼料・木材チップ・陶器・タイル・ガラスなどの異物除去なども用途の1つです。

マグネットセパレータの原理

工作機械用のマグネットセパレータは、マグネットドラムで切粉を吸い付けて、絞りローラーと挟み、水分を取って掻き板で掻き取ることで、研削かすなどの切粉や汚泥スラッジのみを回収します。マグネットドラムのマグネットは、主にフェライトと希土類が使用されます。

希土類は、フェライトの10倍の磁気エネルギーをもっています。しかし、その分価格が高いです。希土類のマグネットは、難磁性の材質や微粒子のスラッジ、油性のクーラントを使用している場合に選定されます。

SK材やFC材、焼入れ後の工作物は、磁石に吸着されにくいため、希土類のマグネットを選定することで効率的な回収が可能です。2次ろ過装置でフィルターを使用している場合、希土類のマグネットを選定することでフィルターの使用量を削減する効果が得られます。

機能を維持するため、マグネットドラムの表面にキズを付けないことが重要です。表面に硬化処理を施すことで対策する場合もあります。

マグネットセパレータの特徴

1. 工作機械用セパレータ

高いセパレート効率
マグネットセパレータには、約20~30μの弱磁性体を90%捕集可能な製品があります。希土類マグネットを採用して高磁束密度化を図っています。

低ランニングコスト
マグネットセパレータを使用することにより、ランニングコストが安く、フィルタなどの交換作業の手間が発生しません。微細な砥粒も捕集できるサイクロンを設置すれば、約5μまで捕集可能です。

設備清掃の頻度低減
クーラントタンク内に溜まる切粉が少ないため、設備清掃やクーラント液の交換頻度が減少します。

2. 永久磁石式セパレータ

安定した高磁力
電磁式で問題となるジュール熱発生がないため、安定して高磁力が得られます。また、電磁式と遜色ない磁場が可能です。

低維持コスト
構造が堅牢で維持が容易です。電気的なメンテナンスが不要です。

容易な取付け
取付け・取扱いが簡単です。電磁式に比べ、小型軽量の特徴があります。

参考文献
https://finemag.jp/products
https://www.bunri.com/products/
https://www.noritake.co.jp/products/eeg/subs/detail/48/

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