レーザー保護メガネ

レーザー保護メガネとは

レーザー保護めがね

レーザー保護メガネとは、レーザーを使用する際に目を保護するために必ず着用するものです。

着用しない場合、レーザー光により目に重大なダメージが入る可能性があります。レーザー保護メガネを選ぶ際は、使用するレーザーの波長や出力に合わせたものを選ばなくてはいけません。また、どれだけ光が透過するのかを示した光学濃度 (OD:Optical Density) を確認し、作業内容に合わせて適切なものを着用する必要があります。

レーザー保護メガネの使用用途

レーザー保護メガネは、レーザー加工機を使用する現場や、レーザー発振器を使用する場合に着用します。

  • レーザー発振器を搭載した加工機 (溶接、切断、彫刻、マーキングなど) を使用する際
  • 医療用レーザーやクリニックなどでレーザー治療を行う際
  • 研究などでレーザー発振器を使用する際

また、保護メガネを着用していても、レーザー光を直接のぞき込んではいけません。保護メガネに使用されているレンズは、レーザーの散乱光に対するものであり、直接の照射光を防ぐものではないためです。

レーザー保護メガネの原理

レーザー保護メガネは、レーザーの散乱光を吸収する特殊なレンズが使用され、特定の波長を透過しにくくしてあります。

レーザーの光は指向性、単一性が高く、そしてコヒーレンス性という特徴があり、色の混じり気がなくエネルギー密度の高い光です。溶接用などの出力の高いレーザーが体に当たった場合ももちろん危険ですが、出力の低い光であっても、上記の特徴から目にダメージを与えることがあります。

角膜など眼球の表層はもちろん、波長によっては網膜や視神経といった深い部分まで損傷するリスクもあるため、注意が必要です。そのため、保護メガネはレーザーの波長、出力、OD値を確認して適切なものを選びます。OD値は光の透過率をわかりやすくした数値で、1から10まであり、値が高くなるほど透過率が低くなります。

OD値が高ければ安全性も高まりますが、可視光も透過しにくくなるため、作業効率が落ちる場合があります。作業内容も考慮し、適当なOD値の保護メガネを選ぶことも大切です。

レーザー保護メガネの選び方

使用するレーザーの種類や発振波長、出力を確認し、その波長に合うレンズやフィルターを選ぶことが大切です。

レーザー保護メガネの形には、「ゴーグル形」「スペクタクル形」「フロント形」など、いくつか種類があります。スペクタクル形やフロント形には、サイドシールドが付いているものとないものがあります

作業性を上げるために使用レーザーの範囲だけ透過率が低く、それ以外の可視光線透過率が高いものを選ぶのがおすすめです。レーザー保護メガネのOD値が高くても、波長が合わないレンズでは保護できず重大な事故につながるので、必ず合うものを選択しましょう。

レーザー保護メガネを使用している状態でも、レーザー光が直接目に入ると防ぎきれません。紫外や赤外波長など目に見えないレーザー光もあるので注意が必要です。

レーザー保護メガネのその他情報

レーザー保護メガネのクラス

レーザー光は、その危険度ごとにクラス分けされています。

  • Class1:通常に使用していて安全なレーザー光です。
  • Class1M:約300~4,000nmの波長のレーザー光で、光学機器などを使用して見るのは危険です。
  • Class2:約400~700nmの波長のレーザー光で、目の瞬きによって保護できる程度のクラスです。
  • Class2M:Class2と同じようなレーザー光ですが、光学機器などを使用して見るのは危険です。
  • Class3R:約300nm~10mmのレーザー光で、直接見るのは危険です。
  • Class3B:直接見るのは危険ですが、拡散反射光は通常安全だとみなされています。
  • Class4:一時的でも直接見る、皮膚に曝すのは危険です。拡散反射光でも障害をもたらし、火災の原因にもなりえます。

レーザー保護メガネにはさまざまなクラスのレーザーに耐えられる性能を持ったものもあるので、危険性のあるレーザー光を取り扱う際にはこれらを使用すると安全です。

参考文献
https://xn--15qt0wqpvzsr.com/2016/02/13/post-12511/
https://www.lasercreate.com/useful/lineup/optical_density.html
https://monkey-laser.com/danger_eye.html
https://rikenoptech.com/column/2726/

スプリングバランサー

スプリングバランサーとは

スプリングバランサー

バランサーとは、現場での作業効率の向上のため、疲労を軽減や工具の安定のため、重要な設備として使用されています。固定型、走行型などがあり、使用目的にあったバランサーを使用する必要があります。

スプリングバランサーは、機械・装置を懸垂するための機器です。

吊り下げたい物の重さをゼロに近づけ、軽い力で上下操作できるようにします。任意の高さでバランスが取れるので、自由度が高くなります。スプリング(ゼンマイ)の張力を利用しており、動力はゼンマイとなります。

スプリングバランサーの使用用途

バランサーは様々なタイプがあり、固定型、走行型、クリーンルーム用など、使用用途に応じて適切に選定する必要があります。

スプリングバランサーは、主に吊り下げて使用する電動工具や芯出し作業に使用されます。ただし、荷物などの脱着作業には不向きなので、その場合はエアバランサがおすすめです。

クリーンルーム内では、クリーンルーム仕様のスプリングバランサーを使用します。半導体集積回路、液晶パネルなどの製造工程で使用するトルクドライバや、バキュームピンセット等の手動工具の懸垂に便利です。

スプリングバランサーの原理

上からフックでバランサーを吊り下げて、下のフックへ工具等を下げて使用します。

スプリングバランサーはスプリングのトルク変化(回転軸まわりに生じる力変化)を、テーパドラム(構造物の経・幅・厚みなどを先細りになっているドラム))にすることによりバランスが取れる機構にしたものです。

動力の供給源は、スプリング(ゼンマイ)の張力を使用しているので、電気や空気による動力は不要となります。

スプリングの調整にはラチェット式、ハンドル式等があります。

  • ラチェット式
    動作方向を一方に制限するための機構で、主に歯車あと歯止めを組み合わせ、歯を傾けることにより、一定の方向性をもたらしている。この調節により、吊り替えが多い場合などに便利で、空荷でもワイヤロープを任意の位置に停止できる。
  • ハンドル式
    ハンドル(つまみ)を左右に回して調節します。

クリーンルーム仕様のスプリングバランサーは密閉型のケースが粉塵の飛散を防止する仕様となっていたり、静電気対応済 ケースが導電性で、ワイヤを使ってアースを取ることが可能なものがあります。

参考文献
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/pdf/product/balancer/sb.pdf
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/product/balancer/index.html
http://www.palamatic.org/?yclid=YSS.EAIaIQobChMIz5fU1buN7QIVz6uWCh0KFwokEAAYAyAAEgKj8fD_BwE

スライドシャフト

スライドシャフトとは

スライドシャフト

スライドシャフトとは、機器の直線運動や上下運動を案内する目的で使用される機器部品です。

シャフトに軸受 (スライドボールベアリング・メタル軸受・樹脂メタルなど) を装着するので、シャフト自体がベアリングの内輪の役目を果たします。繰り返し運動する部分に取り付けられるため、耐摩耗性に優れています。他部品と組み合わせて使用するため、円筒度や真円度といった幾何公差の規格を十分に満たす必要があります。

NB (日本ベアリング株式会社) スライドシャフトはスライドブッシュと組み合わせて使用されます。

スライドシャフトの使用用途

油圧・空圧シリンダーのピストンロッド、油圧空圧機器、建設機械、成形機、特殊車両、各種FA機器など、幅広い分野で使用されています。各種産業機械やロボットなどの基幹部品として組み込まれます。

シャフトの材質やメッキ (非調質高強度鋼メッキ付き、ステンレスメッキ付き等) の種類、メッキの硬度、外径公差、表面粗さ、曲りなどを使用用途に応じて選定します

スライドシャフトのその他情報

1. スライドシャフトの特徴

  • 耐摩耗性に優れている
    均一でむらのない硬化層で摩耗を抑えます。
  • 特殊仕様
    図面にそった加工、SCM材、SKS材などの材質から熱処理、特殊表面処理などが可能です。
  • 表面の粗度
    精密研削加工で仕上げることが可能です。
  • 形が豊富
    ストレート形状、軽量かつ中空部を利用できるパイプ形状などバリエーションが豊富です。

2. スライドシャフトの加工種類

  • ストレート
  • メネジ・オネジ加工
  • 段付加工
  • 段付メネジ
  • リング溝加工
  • 段溝付加工
  • プレート溝加工
  • V溝加工
  • 同軸オネジ加工
  • 六角穴加工
  • 二つ穴タップ加工
  • オネジ逃げ加工
  • 母線上タップ加工
  • スパナ掛け追加工
  • 平削り追加工
  • キー溝加工

参考文献
https://www.kyoei-honing.jp/products/slide_shaft
https://www.toyoshaft.co.jp/products/slide-shaft/

スライドシフター

スライドシフターとは

スライドシフター

スライドシフターとは、滑り式のリニアガイドです。

リニアガイドとは、耐摩耗性、耐荷重性、耐異物性に優れた直線往復動ガイドユニットです。ボールとレールの接触面積が広いため、小さくても大きな荷重が受けられます。また、荷重を受けながら運動させることも可能です。似たものにリニアブッシュがあります。両者の違いは、ボールの接触面積です。面で接触するものがリニアガイド、点で接触するものがリニアブッシュです。

スライドシフターは、ガイド (案内) 部品のため単独では使用できません。ボールネジ、モーター、シリンダなどと組み合わせて使用します。

スライドシフターの種類

旋盤研削盤、検査機、供給装置など産業分野の様々な装置に使用されています。ガイドレールタイプ、ガイドシャフトタイプ、シフトテーブル・ガイドシャフト・シャフトホルダーを一体型にしたユニットタイプなど様々なタイプがあります。

  • ガイドシャフトタイプ
    水平・垂直など、どの方向でも使用できます。
  • ユニットタイプ
    ガイドシャフトやシフトテーブル、シャフトホルダー等を一体型にしたユニットです。

スライドシフターのその他情報

スライドシフターの特徴

  • 精密に加工された面を球が転がり、リターンキャップによって循環
  • サイドシールがあるので、ブロック内部への外部からの異物侵入を防止
  • コンパクトタイプは軌道面と4点で接触する球を2条列に配置した構造
  • 中・重荷重タイプは軌道面と2点で接触する球を4条列に配置した構造
  • ブロックに作用する4方向 (ラジアル方向、逆ラジアル方向、横方向) に対し、同一の定格荷重になる

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/special/linearguide/about/

スライドブッシュ

スライドブッシュとは

スライドブッシュ

スライドブッシュとは、機器のスライド部でシャフトなどに沿って直線運動を行う円筒状の機器部品です。

鋼球の転がりを利用するため、低摩擦で高精度な直線運動が可能です。リニアブッシュとも呼ばれます。ブロック形、開放形、トリプル二面フランジ形、グリースニップル形など様々な形があります。ブッシュとは、軸や筒状の部材等にはめ込み、緩衝や隙間を埋める目的で使用する機構部品です。

スライドブッシュの使用用途

自動記録装置、測定器、OA機器その周辺機器、精密機器、食品機器、工具研削盤、自動ガラス切断機など様々な分野で幅広く使用されます。

負荷ボールとシャフトが点接触のため、摩擦が軽く精度も高いです。

スライドブッシュのその他情報

1. NBスライドブッシュの利点

日本ベアリング社製 (NB) のスライドブッシュは、丸軸を案内に使用してボールの転がり運動を利用した直線運動の機構です。利点としては下記の6点です。

  1. 空間の有効利用でコンパクトな機構
    丸軸を案内にしているため、空間の有効活用ができます。
  2. 多彩な形状と取り付け方法
    標準形、開放形、フランジ形など様々な形状があるため、多様な用途に対応可能です。
  3. 環境にあわせた選択が可能
    耐食仕様、スチール製、樹脂製などの組み合わせから最適なものを選択できます。
  4. 互換性
    シャフトとランダムに組み合わせが可能です。
  5. 防塵性
    ダブルリップシールにより、グリス漏れの低減だけではなく高い防塵性が期待できます。
  6. 低摩擦
    軌道面は精密研削加工で滑らかで、ボールとの接触面積が小さいことから、他の直線運動機構に比べて低摩擦になっています。

2. NBスライドブッシュの特徴

GMシリーズ
SM形と比較すると、質量が50~30%軽減されています。静音を実現するため、ボールリターン部を樹脂で構成しています。

ブリックシリーズ
ハウジングにスライドブッシュを組み込んでおり、取り付けに応じたブロック形状を選択することが可能です。精密に加工されたブロックにより、装置や機械の高精度化に役立ちます。

FITシリーズ
がたつきが少なくスムースな動きが可能です。

3. NBスライドシャフト

円筒シャフトとペアで使用する直動システムです。最小の摩擦抵抗で直線運動するため、滑らかで高精度な運動が可能です。案内が丸軸のため、空間の有効利用とコンパクトな機械設計ができます。標準仕様から耐食仕様などもあり、組み合わせの中から、使用条件に合わせたものを選択できます。

参考文献
https://toolnavi.jp/convenient/knowledge/what-1

セラミックフィルタ

セラミックフィルタとは

セラミックフィルタ

セラミックフィルターはセラミック製のフィルターを指します。フィルターには、精製濾過用とノイズ除去用の2種類があります。前者は化学原料などから不純物をろ過する部品です。後者は特定周波数のエネルギーを遮断させる電子部品です。セラミックフィルタは両方使用されます。

濾過精製用セラミックフィルタは、主に原料の分離や濃縮などに使用されます。ノイズ除去用セラミックフィルタは、AV機器や通信機器のノイズ除去に使用されます。 

セラミックフィルタの使用用途

ノイズ除去用セラミックフィルタは、LCフィルタと比較して小型かつ軽量であるため、機器の小型化におすすめです。AV機器や通信機器の中間周波数をフィルタ処理するために用いられます。以下に使用製品を列挙します。

  • ホームオーディオやポータブルオーディオ
  • テレビ/VTR
  • 無線データ通信やスマートフォン
  • 業務用無線

音声データをクラウド上へアップロードする際は、ノイズを除去しつつデータ容量を圧縮可能です。クラウド化の進む現代では重宝される存在です。

また、精製濾過用のセラミックフィルタは耐熱性などに優れており、長寿命です。以下に使用例を列挙します。

  • 排水・廃水処理や純水装置の前処理
  • レンズ・ガラスの研磨
  • 食品の精製・除濁・除菌
  • 化学薬品の濃縮回収、精製
  • 薬品の高純度化
  • 廃油・廃液再生
  • 自動車工場(水溶性クーラントの再生、作動油・潤滑油再生)

食品の使用例としては、コーヒーフィルタにも使用されます。コーヒーの雑味や塩味を除去して、クリアな味わいにするためおすすめです。

セラミックフィルタの特徴

1. ノイズ除去用セラミックフィルタ

ノイズ除去用セラミックフィルタには以下の特徴があります。

  • 無調整
    圧電セラミックスを利用したフィルタなので、電気機械を同一素子内組み込み可能です。高調波に対する耐性があり、周辺付加回路にほとんど影響されません。圧電セラミックスの材料は、チタン酸バリウム磁器やチタン酸ジルコン酸鉛磁器などです。
  • 軽量・小型
    LCフィルタに比べ小型になります。省スペースに貢献します。
  • 集中フィルタ
    アンプにICを利用した場合、一段あたりの利得が大きくなるので、LCで組むより簡単に集中フィルタを作成可能です。

2. 精製濾過用セラミックフィルタ

精製濾過用セラミックフィルタには、以下のような特徴があります。

  • 濾過精度
    高純度のアルミナセラミックス製のため、膜面の細孔分布が均一になっています。そのため、濾過の精度が高くなります。
  • 高耐食性・耐熱性・高強度・耐摩耗性
    薬品洗浄が繰り返しできます。また、120℃程度の蒸気殺菌が可能です。高粘性液やスラリーの濾過も有効です。
  • 逆洗再現性
    背圧による逆圧洗浄が可能なため、安定した濾過流速で長時間使用できます。
  • ポアサイズが豊富
    要望に応じた膜を選択することが可能です。

セラミックフィルタのその他情報

1. 集塵用セラミックフィルタ

バグフィルタ式集塵設備は濾布の種類によっての耐熱温度に限界があります。耐熱温度を超過すると、燃焼灰は炭素が主成分のため火災の危険性が高いです。布繊維からセラミックフィルタへ濾材を変更すると、集塵設備の耐熱温度を高く設計できるため、燃焼炉への投入量を増やせます。

また、硫酸ガスの酸露点以上で運転管理すれば、腐食や燃焼灰堆積を防止でき、操業時間を延長できます。布繊維と比較してセラミックフィルタは、バグフィルタへの導入を推奨できる濾材です。

2. 集塵用セラミックフィルタの問題点 

集塵器のセラミックフィルタは、布繊維の濾布とは異なり、柔軟性がありません。ガスの流れによって破損し脱落することがあります。また、地震の揺れによって折損し脱落する可能性もあります。布繊維の濾布でも脱落によるトラブルは発生しますが、セラミックフィルタの場合は、燃焼灰排出ホッパーを閉塞させます。

長尺のセラミックフィルタは、脱落トラブルが頻発するため導入に適さないことが多いです。短くすると脱落は少なくなりますが、集塵効率が悪くなります。使用済みセラミックフィルタの廃棄処分も困難です。不燃物であるセラミックと燃焼灰の混合物になるため、溶融処理または埋立処理になります。ただし、燃焼灰には水銀が含まれることがあり、溶融処理と埋立処理共に受入可能業者はほとんどありません。

参考文献
https://www.noritake.co.jp/products/support/detail/15/
https://www.isolite.co.jp/products/ceramics/isofil/
https://www.ngk.co.jp/product/industrial/dustcollector/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/20/1/20_1_26/_pdf/-char/en

セラミック基板

セラミック基板とは

セラミック基板とは、セラミックでできた基板のことで、プリント配線板の配線を形成する若しくは部品を載置する絶縁板のことです。

なお、配線パターンなどが形成された状態のものをセラミック基板と称する場合もあります。

セラミック基板の使用用途

セラミック基板は、高温環境下での使用やプリント配線板の小型化に伴い、放熱製品や高周波計測器などに組み込まれるプリント配線板に使用されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 放熱製品
    ハイパワーLED照明機器、レーザー加工機器、深紫外照射機器
  • 衛星通信機器・高周波計測器
    基地局アンテナ、ETC、RFモジュール、各種レーダー
  • 自動車製品
    車載用LEDランプ、自動車制御部品
  • 電子部品
    ペルチェ素子、圧電センサー、LED、レーザーダイオード、GANモジュール、高温・加速・サイクル・SiCパワー半導体
  • 高周波移動体通信機器
    IoT通信機器、アンテナ・フィルター、電圧制御発振器 (VCO) 、温度補償水晶発振器 (TCXO)

セラミック基板の特徴

セラミック基板はセラミックよりなるため、その特性はセラミックと同様です。セラミック基板を形成する代表的なセラミックとして、アルミナ基板、アルミナジルコニア基板、窒化アルミニウム (AlN) 、窒化ケイ素 (Si3N4) などが挙げられます。

これらは、機械的強度、電気絶縁性、耐食性、耐熱性、熱伝導性に優れた材料で、基板も同じ特性を持ちます。

セラミック基板の種類

セラミックよりなる絶縁基板の上に配線パターン等を形成したプリント配線板としては、「高温セラミック基板」「低温セラミック基板」「厚膜セラミック基板」の3種類があります。

1. 高温セラミック基板

高温セラミック基板は、高温同時焼成セラミックス (HTCC) 回路が形成された基板です。まず、高温用に配合されたセラミック原料を用いて基台となる絶縁板を製造します。次に、絶縁板の上にタングステンモリブデンなど金属の回路を形成し、積層後の基板を高温で焼成して高温セラミック基板となります。

2. 低温セラミック基板

低温セラミック基板は、LTCC (Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス) を使用した基板です。基台となる絶縁板にセラミックとガラス系材料を含むのが特徴で、通常多層基板として製造されています。

まずは、セラミックス粉末とガラス、バインダーなどを混合し、シート状にします。必要箇所に複数層間を接続するための貫通穴を設けるとともに、配線パターンを印刷形成して1層を作成します。異なる配線パターンを数層作成し、積層した後、焼成工程を経てLTCC配線基板の完成です。

3. 厚膜セラミック基板

厚膜セラミック基板は、絶縁基板に導体や抵抗体のペーストを印刷し、電気回路を形成した基板で、導電体の膜厚が比較的厚いことが特徴です。

セラミック基板のその他情報

1. 高純度アルミナ材料を使用したセラミック基板

セラミック基板は、熱伝導性セラミック粉末と有機質粘結剤などを混合して焼成して製作されます。このとき、高純度アルミナ材料を使用すると、アルミナ材料が微細粒子であることから、焼成物のセラミックには気孔が少なく、表面は非常に平滑です。

このため、厚膜や薄膜材料との密着性がとても優れ、プリント配線板とした時には安定した特性を持ちます。また、微細粒子であることから焼成によりサイズが変わらず、外形等の寸法のバラツキや反りや曲がりなどの外形特性も非常に良好です。また、高放熱性および耐熱性があり、高熱環境下でも物理的にも化学的にも安定しています。

2. セラミック基板を用いた半導体パッケージ

半導体素子の高集積化に伴う発熱は、重要な課題であり、放熱性の高いアルミナセラミック基板を使用しています。しかし、昨今の高い要求特性に対しては不十分となる場合が生じてきました。そこで、近年ではアルミナセラミック基板にとってかわる半導体パッケージ用の新しいセラミック材料として、窒化アルミニウムおよび炭化ケイ素が注目されています。

窒化アルミニウムは天然のセラミック材料ではなく、理論値が320W/m・Kという優れた熱伝導性を有する材料です。現実には、原料の改良、焼結助剤の選択、焼結条件の検討を行い、結果熱伝導率が180W/m・K程度のものの実用化が進んでいます。

炭化珪素セラミックスにおいては、焼結助剤として酸化ベリリウムを使用すれば高熱伝導性の絶縁体になることが明らかとなり、基板材料として注目されるようになりました。

参考文献
http://kousyuha-kiban.com/zais-3.html
https://www.kansaidenshi.com/product/ceramic/
https://www.kyocera.co.jp/prdct/fc/product/pdf/electronic.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1986/9/7/9_7_531/_pdf
https://www.chip1stop.com/sp/knowledge/069_types-and-features-of-printed-circuit-boards

ソーラータイムスイッチ

ソーラータイムスイッチとは

ソーラータイムスイッチとは、日の出・日の入りに合わせて電灯などの機器を自動で制御する装置です。

照明回路などの自動点滅を目的に使用されます。照明回路を自動的に点灯・消灯したい場合は、タイムスイッチや自動点滅器が使用されます。タイムスイッチは時刻のみで点灯・消灯させるため、夏季・冬季の切り替わりの際は設定変更が必要です。

また、自動点滅器は周辺照度を基に入・切するため、不要動作や誤不動作する場合があります。ソーラータイムスイッチの最大の特徴は、あらかじめ地区ごとの日出・日入時刻が記録されている点です。

設置地区と時間を設定するだけで、日照の時間に合わせて照明回路を動作させます。これにより、設定変更などをせずに運用することが可能です。

ソーラータイムスイッチの使用用途

ソーラータイムスイッチはさまざまな用途で使用される部品です。以下はソーラータイムスイッチの使用用途一例です。

1. 広告看板

ソーラータイムスイッチは、屋外の広告看板や表示板の制御に使用されます。夜間になると自動的に看板を照らし、明るくなると自動的に消灯するように設定することが可能です。

これにより、看板の視認性を向上させると同時に、昼間の日光の下では不要な電力消費を避けることができます。

2. 街路灯

街路灯の制御にも使用されることが多いです。街路灯は夜間に点灯する必要があります。そのため、ソーラータイムスイッチは夜間になると自動的に街路灯を点灯させ、日の出時に自動的に消灯するように設定します。

これにより、電力の節約と運用の効率化が可能です。ソーラータイムスイッチはタイムスイッチよりも、屋外照明用途に特化しています。

3. 防犯照明

ソーラータイムスイッチは、防犯目的で使用される照明装置の制御にも有利です。暗くなると自動的にライトを点灯させ、明るくなると自動的に消灯するように設定します。これにより、セキュリティを向上させ、不正侵入や犯罪行為を抑止することが可能です。

4. 屋外装飾照明

屋外のイベントや季節の装飾照明の制御にも適しています。特定の時間帯に自動的に装飾照明を点灯させ、指定した時間に自動的に消灯するように設定すること可能です。

手動でスイッチを操作する手間を省きつつ、イベントや季節に応じた装飾効果を提供します。

ソーラータイムスイッチの原理

構造としては、タイマー・制御回路、スイッチ、表示部などで構成されることが多いです。

1. タイマー・制御回路

ソーラータイムスイッチには、内部に組み込まれたタイマーや制御回路があります。日の出・日の入時刻が設定されており、指定された時刻基づいてスイッチの動作を制御する回路です。

タイマー機能によって、特定の時間帯に自動的にオンまたはオフになるように設定することが可能です。

2. スイッチ

制御回路の内部には、電灯制御用のスイッチまたはリレーが組み込まれています。スイッチには一般的に有接点リレーが使用されます。これにより、照明回路とソーラータイムスイッチの回路を絶縁することが可能です。

3. 表示部

操作や設定のためのボタンやインジケータが装備されています。これにより、設定を行ったり、現在の動作状態を確認したりすることが可能です。これらの表示部は基本的には小さなディスプレイと押ボタンなどで構成されます。

ソーラータイムスイッチの選び方

ソーラータイムスイッチは、動作周期、取り付け方法、回路数などを考慮して選定することが必要です。

1. 動作周期

動作周期は、タイマーが動作するタイミングです。毎日動作する製品や、曜日によって動作する製品などが存在します。用途に応じて選択することが可能です。

2. 取付方法

ソーラータイムスイッチを取り付ける方法は、パネル取付やレール取付などの種類が存在します。設置場所に応じて選択することが必要です。

3. 回路数

回路数は制御できる回路の数です。複数回路を自動点滅させたい場合には、2回路の製品などを選定します。ただし、3回路以上の製品は珍しいため、制御する回路数が多い場合は複数個使用することで実現が可能です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/19/89/#4
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/denro/time_switch/lineup/sunrise_sunset.html#merit

タービン流量計

タービン流量計とは

タービン流量計

タービン流量計とは、配管内部に設置した羽根車の回転を基に流量を測定する流量計です。

基本的には液体に適用する場合が多いです。主に産業やプロセス制御の分野で使用されます。タービン流量計は一般的に高い測定精度を持つ点が特徴です。特に中程度から高い流量範囲で優れた性能を発揮します。

また、流量計の最小および最大流量範囲は比較的広く、さまざまな流量条件で使用可能です。一般的に耐久性があり、長寿命です。多くのモデルは、さまざまな種類の流体や環境条件に対して耐久性を持っており、長期間にわたって正確な測定を提供します。

ただし、粘性の高い流体や固形物を含む流体には適していません。これは、タービンの回転子が固着したり、正確な測定が妨げられたりする可能性があるためです。また、大流量の製品は重量が大きくなる場合があります。

タービン流量計の使用用途

タービン流量計は、さまざまな産業や分野で使用されます。以下はタービン流量計の使用用途一例です。

1. 石油業界

タービン流量計は石油や天然ガスの流通および精製プロセスで広く使用されています。タービン流量計の高精度な特徴から、取引などに使用されることが多いです。

原油の計量には、パイプラインやターミナルでの流量計測が重要です。また、ガスパイプラインやガスメータリングステーションでのガスの流量測定もタービン流量計が使用される典型的な用途です。さらに、石油精製プロセスでの流体の計量や制御にも利用されます。

2. 食品・飲料業界

タービン流量計は、食品加工や飲料製造において重要な役割を果たす流量計です。飲料製造業では、飲料製品の充填ラインでの流量計測が行われます。

また、食品加工においては、液体や食品原料の計量や混合プロセスの制御にも使用されます。さらに、食品添加剤の投入プロセスなどでもタービン流量計が利用されることも多いです。

3. 冷暖房・空調業界

タービン流量計は、建物や施設の暖房や冷却システムで使用されます。水や冷媒の流量を測定し、適切な熱交換を確保します。これにより、快適な室温やエネルギー効率の向上が可能です。

タービン流量計の原理

タービン流量計は、流路に羽根車を置いて流体の力によって羽根車を回転させる原理です。その回転数から体積流量を算出することができます。

回転速度は、センサーや磁気素子によって検出可能です。タービンに取り付けられたマグネットや反射板が、センサーや磁気素子によって検出されます。

タービンの回転速度は、流体の流量と関連しています。流体の流量が増えるとタービンの回転速度も増加し、逆に流量が減ると回転速度も減少するのが普通です。

なお、回転速度データは、コンピュータや表示装置に送信されます。コンピュータは回転速度データを流量に変換し、必要に応じて合計化や制御処理を行う装置です。また、表示装置では流量値が表示されます。

タービン流量計の種類

タービン流量計は羽根車の形式から、大きく分けて軸流羽根車式と接線流羽根車式の2つがあります。

1. 軸流羽根車式

流体が軸方向に、タービンの羽根を通過する構造を持つタービン流量計です。タービンの羽根は軸周りに回転するため、流体の速度ベクトルとほぼ平行な方向に力を受けます。軸流羽根車式は一般に小型であり、高い測定精度と応答性が特徴です。

2. 接線流羽根車式

タービンの羽根車が円弧状に配置されており、流体は羽根車に対して接線方向に流れるタービン流量計です。この構造により、流体の運動エネルギーが羽根車に伝わり、回転力が発生します。接線流羽根車式は高い流量範囲で使用されることが多く、堅牢で耐久性がある点が特徴です。

流体がタービンの羽根車を通ると、接線方向の速度成分により羽根車が回転します。回転速度は流体の流量に比例し、回転速度の測定によって流量を計測します。接線流羽根車式では、一般的に光センサーやホール効果センサーによって回転速度を検出することが多いです。

参考文献
https://www.oval.co.jp/products/turbine_index.html
https://www.tokyokeiso.co.jp/techinfo/magazine/pdf/flow10.pdf
https://www.jp.endress.com/

2軸ステージ

2軸ステージとは

2軸ステージ

2軸ステージ (XY軸ステージ) とは、左右方向の移動を行うX軸と前後方向の移動を行うY軸の2つの軸を持った位置決めステージのことです。

2つの軸の使用によって位置決めしやすくなる点が、2軸ステージの利点として挙げられます。2軸ステージは、一般的にそれぞれの軸方向に動くステージを重ねる形で構成されています。

ステージを案内するガイド機構やステージを移動させる送り機構の違いなどで、2軸ステージの精度や特長は異なります。

2軸ステージの使用用途

2軸ステージは、位置決めが必要となる様々な装置で使用されます。例えば、ワークの位置決めが必要となる半導体製造装置や試料の位置決めが必要になる顕微鏡などです。

ガイド機構や送り機構の違いによって低精度なものから高精度なものまで、様々な2軸ステージが存在します。また、ガイド機構や送り機構の違いによって特長も異なります。そのため、使用用途に応じた適切な精度と特長を持つ2軸ステージの選択が必要です。

2軸ステージの原理

2軸ステージは、ステージのガイド機構と送り機構を備えています。以下、それぞれの機構の代表的な方式を説明します。

1. ガイド機構

アリ溝方式
台形状のアリ溝とアリ溝に収まるアリほぞを利用したガイド機構です。アリ溝の中でアリほぞが摺動します。摩擦係数が高いため、精度の高い位置決めには不向きとなります。一方で、コストが抑えられるため、簡単な位置決めを行う用途では最適です。

クロスローラー方式
ローラーが内蔵されるスライダーとV溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。レールに沿ってスライダーが移動するときに、V溝の側面に線接触するローラが転がります。剛性が高いのが特長です。また、低摩擦で微小な送りが可能なため、正確な位置決めにも適しています。

ボール方式
ボールが内蔵されるスライダーと、円弧状のR溝が形成されるレールを利用したガイド機構です。レールに沿ってスライダーが移動するときに、R溝の側面に接触するボールが転がります。

R溝とボールとの接触が良く、あらゆる方向の荷重に対して安定した負荷能力がある点が特長です。移動精度もクロスローラー方式と大きな差はなく、正確な位置決めにも適しています。

2. 送り機構

ラック&ピニオン
ラックギアが形成されるレールとピニオンと呼ばれる歯車を利用した送り機構です。素早くステージを送ることができるのが特長ですが、高精度な位置決めには不向きです。

送りねじ
おねじとめねじを利用したねじ方式の送り機構です。例えば、ボールねじがこの送り機構に該当します。ねじのピッチの分解能でステージを送ることができるので、細かな送りが可能ですが、送りの速度は遅く、長いストロークでの位置決めには不向きです。

マイクロメータ
送りねじよりも細かな精度での送りが可能なねじ方式の送り機構です。内部の構造は送りねじとほぼ同じです。目盛りがついているため、正確な移動量を把握できます。こちらも送りの速度は遅いため、長いストロークでの位置決めには不向きです。

 

上記のようなガイド機構と送り機構から、用途に合わせた組み合わせを選択して、2軸ステージを構成します。2軸ステージは、手動で操作するものに限らず、各軸の駆動をモーターで行うものもあります。

この場合、位置決めの精度は、送り機構の精度と駆動用のモーターの分解能によって決まるため、モーターの仕様選定も重要です。一般的に、精密な位置決めが必要となる場合には、サーボモーターもしくはステッピングモーターが使用されます。

2軸ステージの構造

2軸ステージは、一般的にベースとX軸のステージとY軸のステージを持っています。Y軸のステージはベースに対してY方向 (前後方向) に移動可能で、X軸のステージはY軸のステージに対してX方向 (左右方向) に移動可能です。

例えば、送り機構が送りねじである場合、Y軸の送り機構のおねじはベースに取り付けられ、Y軸の送り機構のめねじはY軸のステージに取り付けられています。また、X軸の送り機構のおねじはY軸のステージに取り付けられ、X軸の送り機構のおねじはX軸のステージに取り付けられています。

Y軸の送り機構によってベースに対してY軸のステージがY方向に送られると、X軸のステージも一緒にY方向に移動する仕組みです。X軸の送り機構によってY軸のステージに対してX軸のステージがX方向に送られると、X軸のステージのみがX方向に移動します。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/product/xy/faq/faq01.html
https://www.shodensha-inc.co.jp/solution/what-is-xy-stage/