セラミックフィルタとは
セラミックフィルターはセラミック製のフィルターを指します。フィルターには、精製濾過用とノイズ除去用の2種類があります。前者は化学原料などから不純物をろ過する部品です。後者は特定周波数のエネルギーを遮断させる電子部品です。セラミックフィルタは両方使用されます。
濾過精製用セラミックフィルタは、主に原料の分離や濃縮などに使用されます。ノイズ除去用セラミックフィルタは、AV機器や通信機器のノイズ除去に使用されます。
セラミックフィルタの使用用途
ノイズ除去用セラミックフィルタは、LCフィルタと比較して小型かつ軽量であるため、機器の小型化におすすめです。AV機器や通信機器の中間周波数をフィルタ処理するために用いられます。以下に使用製品を列挙します。
- ホームオーディオやポータブルオーディオ
- テレビ/VTR
- 無線データ通信やスマートフォン
- 業務用無線
音声データをクラウド上へアップロードする際は、ノイズを除去しつつデータ容量を圧縮可能です。クラウド化の進む現代では重宝される存在です。
また、精製濾過用のセラミックフィルタは耐熱性などに優れており、長寿命です。以下に使用例を列挙します。
食品の使用例としては、コーヒーフィルタにも使用されます。コーヒーの雑味や塩味を除去して、クリアな味わいにするためおすすめです。
セラミックフィルタの特徴
1. ノイズ除去用セラミックフィルタ
ノイズ除去用セラミックフィルタには以下の特徴があります。
- 無調整
圧電セラミックスを利用したフィルタなので、電気機械を同一素子内組み込み可能です。高調波に対する耐性があり、周辺付加回路にほとんど影響されません。圧電セラミックスの材料は、チタン酸バリウム磁器やチタン酸ジルコン酸鉛磁器などです。 - 軽量・小型
LCフィルタに比べ小型になります。省スペースに貢献します。 - 集中フィルタ
アンプにICを利用した場合、一段あたりの利得が大きくなるので、LCで組むより簡単に集中フィルタを作成可能です。
2. 精製濾過用セラミックフィルタ
精製濾過用セラミックフィルタには、以下のような特徴があります。
- 濾過精度
高純度のアルミナセラミックス製のため、膜面の細孔分布が均一になっています。そのため、濾過の精度が高くなります。 - 高耐食性・耐熱性・高強度・耐摩耗性
薬品洗浄が繰り返しできます。また、120℃程度の蒸気殺菌が可能です。高粘性液やスラリーの濾過も有効です。 - 逆洗再現性
背圧による逆圧洗浄が可能なため、安定した濾過流速で長時間使用できます。 - ポアサイズが豊富
要望に応じた膜を選択することが可能です。
セラミックフィルタのその他情報
1. 集塵用セラミックフィルタ
バグフィルタ式集塵設備は濾布の種類によっての耐熱温度に限界があります。耐熱温度を超過すると、燃焼灰は炭素が主成分のため火災の危険性が高いです。布繊維からセラミックフィルタへ濾材を変更すると、集塵設備の耐熱温度を高く設計できるため、燃焼炉への投入量を増やせます。
また、硫酸ガスの酸露点以上で運転管理すれば、腐食や燃焼灰堆積を防止でき、操業時間を延長できます。布繊維と比較してセラミックフィルタは、バグフィルタへの導入を推奨できる濾材です。
2. 集塵用セラミックフィルタの問題点
集塵器のセラミックフィルタは、布繊維の濾布とは異なり、柔軟性がありません。ガスの流れによって破損し脱落することがあります。また、地震の揺れによって折損し脱落する可能性もあります。布繊維の濾布でも脱落によるトラブルは発生しますが、セラミックフィルタの場合は、燃焼灰排出ホッパーを閉塞させます。
長尺のセラミックフィルタは、脱落トラブルが頻発するため導入に適さないことが多いです。短くすると脱落は少なくなりますが、集塵効率が悪くなります。使用済みセラミックフィルタの廃棄処分も困難です。不燃物であるセラミックと燃焼灰の混合物になるため、溶融処理または埋立処理になります。ただし、燃焼灰には水銀が含まれることがあり、溶融処理と埋立処理共に受入可能業者はほとんどありません。
参考文献
https://www.noritake.co.jp/products/support/detail/15/
https://www.isolite.co.jp/products/ceramics/isofil/
https://www.ngk.co.jp/product/industrial/dustcollector/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/20/1/20_1_26/_pdf/-char/en