熱収縮チューブ

熱収縮チューブとは

熱収縮チューブ

熱収縮チューブとは、熱をかけると収縮するように加工されたチューブです。

成型された樹脂のチューブに放射線処理が施されていて、主に電線の保護や絶縁などを目的に広く利用されます。使い方は、電線を熱収縮チューブに通してヒートガンなどで熱をかけるだけです。処理が簡単で、作業環境を問わず使用できます。

熱収縮チューブの使用用途

熱収縮チューブはかぶせた電線に合わせて収縮させる部材で、主に電線や部品の保護・絶縁・防水・腐食防止を目的に利用されます。

具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 家電に使用される内部配線
  • 電子製品の内部配線
  • 産業機器の給電配線
  • 自動車用ワイヤーハーネス
  • 腹腔鏡手術の手術装置

熱収縮チューブの原理

熱収縮チューブは、ポリエチレンや各種エラストマといった高分子ポリマーが材料です。これらの材料は、柔軟性を保持したまま熱により収縮する性質を持ちます。

上記の高分子ポリマーに、チューブの製作段階で電子線を照射して架橋反応を起こします。架橋反応後のチューブを加熱して伸ばすと、チューブが伸びたまま固まり、再度加熱するとチューブが収縮して伸ばす前の大きさに戻ります。これが熱収縮チューブの原理です。

熱収縮チューブの種類

熱収縮チューブは構造の違いにより、一層熱収縮チューブと二層熱収縮チューブに大分されます。

熱を加えると直径方向に縮み、収縮率は2:1~3:1程度です。材質は、ゴム系、PE系、フッ素樹脂系、シリコン樹脂系などがあります。熱収縮チューブには多くの種類があるため、適切な選定が肝要です。

1. 一層熱収縮チューブ

一層熱収縮チューブは一般的な種類で、チューブの厚さで「薄肉」「中肉厚」「厚肉」に分けられます。一層熱収縮チューブの目的は、絶縁や部分的な保護保護です。チューブの色は各色販売されているので、識別に使用できます。

2. 二層熱収縮チューブ

二層熱収縮チューブは内層と外層の二層構造です。電気的絶縁や機械的保護を目的に使用されます。層が分厚いため、湿度や腐食環境からの保護に使用される場合もあります。一層熱収縮チューブと同様に各色販売されているため、識別に使用できます。

熱収縮チューブのその他情報

1. 熱収縮チューブの使い方

熱収縮チューブのサイズは、収縮後の内径が目的物よりも細くなるように選定します。長さも若干縮むので、多少長く選定・切断しましょう。素材によって収縮率も異なるため、作業前に加熱条件を確認します。切断する場合は、切断面の切れ目から破損することがあるので、切断面を綺麗にそろえることが肝要です。

一般的な熱収縮チューブは約120℃から収縮するため、加熱器具はヒートガンを使用します。低温タイプは約80℃から収縮するため、ヘアードライヤーでも作業可能です。また、小径で数量が少ない場合ははんだごてでも代用できます。その際、こて先などが周囲に触れないように注意が必要です。

2. 熱収縮チューブの注意点

熱収縮チューブでの作業では加熱器具を使用します。安全に使用するためには火傷に注意し、適切に器具を使用することが肝要です。特に、ガスバーナーなどの直火で加熱する場合は、過熱によりチューブが溶けてしまうため、適切なタイミングで火を止める必要があります。

また、金属など熱伝導の良いものを包む際は、加熱時の熱を奪われやすいため縮みにくく、普段よりも長時間熱を加えることで対処します。電解コンデンサ、二次電池などには、絶対に使用してはいけません。加熱により破裂する場合があるためです。したがって、これらの近くで作業をすることも極力避ける必要があります。

参考文献
https://electrictoolboy.com/media/31536/
https://kurashi-no.jp/I0017469
https://kurashi-no.jp/I0017469
https://electrictoolboy.com/media/31536/

ショックアブソーバ

ショックアブソーバとは

ショックアブソーバ

ショックアブソーバとは、機械や建築物の振動を軽減する装置です。

乗用車やバイクはサスペンションの他に、ショックアブソーバを用いて地面からの衝撃を軽減しています。ショックアブソーバに付属するスプリングが衝撃を吸収し、快適な乗り心地を実現します。

ショックアブソーバが経年劣化によって故障すると、衝撃吸収能力が低下してブレーキが効きづらくなるため大変危険です。また、コーナーが曲がりづらくなる場合もあります。

ショックアブソーバの使用用途

ショックアブソーバは主に乗り物に使用される装置です。以下はショックアブソーバの使用用途一例です。

  • 自動車やバスなどの乗用車
  • オートバイやマウンテンバイクなどの二輪車
  • 鉄道車両

これらの車両は地面を進む衝撃を吸収するためにショックアブソーバが搭載されています。乗用車用には伸縮式のシリンダー型ショックアブソーバが用いられますが、車高が低いモータースポーツ車にはスプリングの位置を可変できる車高調整式が用いられることがあります。

住宅などの制震には、オイルダンパーや免震ダンパーと呼ばれるショックアブソーバが使用される場合もあります。

ショックアブソーバの原理

ショックアブソーバには、回転式や伸縮式があり、乗り物には伸縮式が使用される場合が多いです。

伸縮式のショックアブソーバはスプリングの内側にショックアブソーバが内蔵されています。衝撃を受け振動するスプリングのエネルギーをシリンダが受けて、油圧内をゆっくり動くことで振動を吸収します。

このときに振動エネルギーを熱エネルギーに変換するため、ショックアブソーバは熱を持ちます。また、伸縮式のショックアブソーバはさらに単筒式と複筒式に分類できます。

1. 単筒式

単筒式は、複筒式よりも単純な構造です。一部オイルで満たされたシリンダの内部を、スプリングの振動を伝えるロッドによってピストンが上下します。ピストンには油圧がかかるので振動が減衰し、衝撃が吸収されます。

2. 複筒式

複筒式は、単筒式と仕組みはほぼ同じです。単筒式のシリンダの外側にオイル弁がついたシリンダがさらに設けられており、単筒式よりも丈夫な設計となります。複筒式は多くの乗用車に設置されています。

ショックアブソーバの劣化によるオイル漏れは走行距離や劣化速度に影響するため、定期的なメンテナンスが必要です。

ショックアブソーバの選び方

ショックアブソーバの選定の大まかな手順は以下です。

  • 使用条件を確認する
  • 条件に基づきショックアブソーバを仮選定する
  • 衝突の総エネルギーを算出する
  • 等価質量を計算する
  • 仮選定した製品の評価を行う

選定時に必ず確認すべき項目は、衝突物の最大質量と最大速度、そして最大推力です。特に自由落下やシリンダによる推力が生じる場合には、それを忘れずに総エネルギーに加算するよう注意が必要です。

等価質量は重量効果値とも言われ、各製品ごとに許容できる範囲が決まっています。許容範囲を超えてしまうとショックアブソーバのストローク終端で高い反力が発生し、衝撃吸収不良を起こします。等価質量が製品カタログ記載の許容範囲を超える場合には、別のショックアブソーバの検討が必要です。

ショックアブソーバのその他情報

ショックアブソーバの寿命

ショックアブソーバは、経年によって性能が低下します。自動車のショックアブソーバ性能が低下すると、タイヤやブレーキパッドの消耗が早くなります。そのまま走行を続けると、ショックアブソーバ本体が破損したりオイル漏れを起こしたりする恐れもあります。

車の足回りの耐久性は、10万kmまたは10年が一般的です。ショックアブソーバの交換目安は8万kmとも言われます。ただし、寿命は利用する道路や運転の仕方によっても異なります。

高速道路や山道は車への負荷が大きく、ショックアブソーバの劣化が進みやすい傾向にあります。走行距離と回転数に相関があるタイヤなどとは異なり、明確な交換時期が分かりづらいのもショックアブソーバの特徴です。そのため、時期を決めて定期的にメンテナンスを行うことが重要です。

参考文献
http://www.kybclub.com/shockabsorber/about.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td03/a0078.html
https://bestcarweb.jp/news/72593

水検出センサー

水検出センサーとは

水検出センサーとは、水分子に吸収される長波長の光を使用して、水を検出するセンサーのことです。

一般的な光電センサーは、液体を検知・検出することはできますが、透明な水では光が透過すると同時に光の減衰量が非常に小さく検知することが困難になります。また、色のついた水や色の濃度が異なる水などでは、減衰量が変わるため、更に検知が難しいです。

一方、この水検出センサーは、水分子に吸収される長波長の光を使用することで、透明な水、色のついた水、色の濃度が異なる水でも検知できます。

水検出センサーの使用用途

水検出センサーは、水分子に吸収される長波長の光を用いたセンサーであることから、水の存在そのものを検出する際に使用されています。例えば、水を使用する生産現場における水の監視や貯水タンクの液面検出、液面レベルの検出、ペットボトルやガラスの透明容器に液が充填されているかを検出する時などです。

また、霧状の水でも安定して検出できることから、水を使用する事業所でのスプレーによる水洗浄の監視等にも用いられています。

水検出センサーの原理

水検出センサーは、光電センサーと同様に光を投光装置で照射し、センサーで受光することで水の有無を検出します。1.45um (1450nm) の長波長の光を用いることで、水分子の吸収を促進している点が特徴です。

水検出センサーでは、水分子に吸収される長波長光を使用することで、透明な水、色のついた水、色の濃度が異なる水でも水分子に光が吸収し遮光されるため、安定して水を検知することができます。光電センサーでは誤動作しやすい水滴や気泡、小さな気泡が蓄積した泡などの液-成分に水が使用されている場合でも、水分子に光が吸収し遮光されるため検知可能です。

水検出センサーのその他情報

1. 光屈折式や静電容量検出での水検出センサー

水検出センサーは、その原理上投光部と受光部に分かれて動作するため、基本的には検出したい場所の両側に各々の機器を設置する必要があります。設置場所を確保可能な環境下では問題ありませんが、狭い空間のパイプや配管内の水を検出したいような場合には不向きです。

そのような場合には、コンパクトに設置可能な光屈折式の水検出センサーや静電容量検出方式の水検出センサーが適しています。光屈折式は、水の有無でLED光がパイプ内を通過するか反射するかの違いから水を検出する方式です。一方で、静電容量検出は液体の有無で誘電率の変化を読み取り検知する方式です。

共に、機器が1台のみでパイプや配管の片側にコンパクトに設置可能な特徴を有しており、長波長光のタイプで設置困難な環境下で使用可能な機種と言えます。

2. 水検出センサーと湿度センサーの違い

水検出センサーは、長波長の光を活用した水の所在を把握検出するセンサーですが、湿度センサーは感湿膜を用いて、櫛型の電極間の水滴による抵抗変化や静電容量の変化を電気的に検出し、湿度に補正します。

水検出センサーは、水の有無が主な検出目的ですが、湿度センサーはその構成上から微小な水滴を原理的に検出可能なため、大気中の水滴の割合を算出し湿度換算可能であるのが大きな違いです。

3. スマートフォンでの水検出センサー

昨今スマートフォンでUSB電源コードに水滴が付着すると、充電中に水滴による電極の腐食や劣化が懸念されるため、警告で知らせてくる機種があります。この原理も、電極間の抵抗ないしは容量変化を電気的な電圧変化に変換し検知しています。

ただし、このような実際に水分を検出するセンサー自体を有する機種はまだ多くはありません。一般のスマートフォン上でよく目にする温度や湿度の表示は、GPS機能からの現在の場所を特定することに基づき、その場所での温度湿度情報を入手して表示しているものが多いです。

参考文献
https://www.takex-elec.co.jp/bundles/takexelecpublic/pdf/library_wartersensor.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/sensor/photoelectric/ez-10/index.jsp

AC軸流ファン

AC軸流ファンとは

AC軸流ファン (英: AC axial-flow fan) とは、交流電源を使用した機器冷却用の軸流型送風機です。

機器内に発生した熱を外部に排出したり、反対に機器外の環境熱を内部に給気したりする目的で使用されます。機器内の温度を制御するのが主な役割です。

機器の稼働や駆動をさせることで発熱する電子部品の熱処理を放置すると、機器内の電子部品は最悪の場合、故障や破損する恐れがあります。この機器内で発生した熱を給気や排気をするため、AC軸流ファンが使用されます。

AC軸流ファンの使用用途

AC軸流ファンの主な使用用途は、制御盤や計測機器、OA機器、通信機器、電源装置、医療・理化学機器、遊戯機器、産業機器などです。また、自動販売機や冷蔵のショーケースなどの機器内のコンデンサやIC電子部品などの換気・冷却用にも使用されます。いずれも、機器を長期的に使用するのが目的です。

AC軸流ファンの原理

一般的なAC軸流ファンは、交流電源で駆動するモータに、羽根状の樹脂製や金属製クーリングファンが取り付けられた構成です。ファン前方から吸気し、後方に排気することで機器内部を冷却します。逆に、ファン後方から吸込み、前方に排気するものもあります。

軸流ファンはファンを使って風を送る方向が軸方向にあるファンで、ターボファンの中で最も効率がよく、発熱体の冷却用途として幅広く使用されています。抵抗物による風量の増減が比較的少ないことが、軸流ファンの特徴です。軸流ファンを装置に搭載する際は、ファンの動作点を最大風量側にすることで、装置の騒音や電力を下げることが可能です。

ファンの性能には、冷却対象の発熱量に対する必要風量が最も重要です。さまざまな環境下でファンによる冷却に対応するため、ファンの並列運転や直列運転、大型タイプや二重反転ファンなどを用いて、必要風量を得る場合もあります。

AC軸流ファンの選び方

AC軸流ファンの選定時は、まず装置内の発熱量Wを見積ります。発熱量は、機器類の消費電力を熱量に換算することにより、計算可能です。そして、装置内の許容温度上昇値ΔTを、機器類の許容温度とファンの吸込み最高温度との差として決定します。次に、許容温度上昇値ΔTを満たすための必要風量Qを計算します。

また、装置内の通風抵抗、または過去のデータによりシステム抵抗を推定します。最後に、軸流ファンの圧力P-風量Q特性を使用して、ファンを選定するという流れです。通風抵抗の推定が難しい場合は、最大風量が必要風量の1.3~2倍になるようにファンを選定します。

一方、ファンを使用することによって、冷却対象の機器内に埃などが長期間流入し続けるため、電子部品の故障や破損を招く恐れがあります。この場合、ファン前方の吸気側にフィルターを設けることで、機器内へ埃や異物の流入を防ぐことが可能です。この通気抵抗を加算する必要があります。

AC軸流ファンのその他情報

1. ACファンモーター

ACファンモーターは、交流電圧で駆動されるモーターです。ACファンモーターは固定子と回転子によって構成され、固定子に電流を流した際に発生する磁界の変化で、回転子に渦電流が発生して動力が発生します。

ACファンモーターには、交流電源が単相と3相の2種類があります。ACモーターは単相のみでは通常は動きません。したがって、単相ACファンモーターは位相を進角させるためのコンデンサを内蔵したものや隈取りと呼ばれる構造が使用されます。また、3相電源のモーターは、3種類の位相が存在するため、電源をそのまま印加すれば動き、誘導モーターとも呼ばれます。

回転速度制御が可能なDCファンモーターとは異なり、交流電源の周波数によって羽根の回転速度が固定されるのが一般的です。交流を直流に変える機能を持った特殊なACDCファンモーターもあります。

2. AC軸流ファンとDC軸流ファンの違い

AC軸流ファンとDC軸流ファンの違いは、ファンモーターの駆動電源です。DC軸流ファンは、直流電源駆動のファンです。一方、AC軸流ファンは、交流電源で駆動するファンを指します。

交流電源の周波数によって、ファンの回転速度が一定になるのに対して、DC軸流ファンはモーターの回路により回転速度を変えることが可能です。

参考文献
https://www.sanyodenki.com/archive/document/product/cooling/technical_material_jp.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/axialfan_tg_j_3_3.pdf
https://techcompass.sanyodenki.com/jp/training/cooling/fan_basic/008/index.html
https://fan-blower-soufuuki.com/handbook1_1/handbook1_9

DC軸流ファン

DC軸流ファンとはdc軸流ファン

DC軸流ファン (英: DC axial-flow fan) とは、直流電源を使用した機器冷却用の軸流型送風機です。

DC軸流ファンを設置する目的は、機器内で発生した熱を外部へ排出したり、反対に機器外部から内部へ熱を供給したりすることです。これにより、機器内の温度の制御が可能となります。

機器を駆動させると、一般に熱が発生します。このまま放置すると、機器内の電子部品の温度が上り、最悪の場合、故障や破損が起こります。この場合、DC軸流ファンを使用すると、機器内で発生した熱が排出され、事故を未然に防止できます。

DC軸流ファンの使用用途

DC軸流ファンの主な使用用途は、ノート型パソコンやデスクトップ型パソコン、制御盤や計測機器、OA機器、通信機器、電源装置、医療・理化学機器の内にあるコンデンサやICなどの電子部品を冷却することです。

また、自動車の冷却ファン、エアコンのファンなどを長期的に安定して使用したり、温度を制御したりするためにDC軸流ファンが利用されます。

DC軸流ファンの原理

一般的なDC軸流ファンは、直流電源で駆動するモータに、羽根状の樹脂製や金属製クーリングファンが取り付けられた構成です。ファン前方から吸気し、後方に排気することで機器内部を冷却します。逆に、ファン後方から吸込み、前方に排気するものもあります。

軸流ファンは、ファンを使って風を送る方向が軸方向であるるファンです。ターボファンの中で最も効率がよく、発熱体の冷却用途として幅広く使用されます。抵抗物による風量の増減が比較的少ないことが、軸流ファンの特徴です。軸流ファンを装置に搭載する際は、ファンの動作点を最大風量側にすることで、装置の騒音や電力を下げられます。

さらに近年では、ノート型パソコンやデスクトップ型パソコンなどで使用されているDC軸流ファンのPWM (Pulse Width Modulation) コントロール機能の付いたファンは、ファンの回転速度を外部からコントロールする機能を備えています。環境温度を適切に制御することが可能です。

DC軸流ファンの選び方

DC軸流ファンを選定する際は、まず装置内の発熱量Wを見積ります。発熱量は機器類の消費電力を熱量に換算することにより、計算可能です。そして、装置内の許容温度上昇値ΔTを、機器類の許容温度とファンの吸込み最高温度との差として決定します。

次に、許容温度上昇値ΔTを満たすための必要風量Qを計算します。また、装置内の通風抵抗、または過去のデータによりシステム抵抗を推定します。最後に、軸流ファンの圧力P-風量Q特性を使用して、ファンを選定するという流れです。

通風抵抗の推定が難しい場合は、最大風量が必要風量の1.3~2倍になるようにファンを選定します。一方、ファンを使用することによって、冷却対象の機器内に埃などが長期間流入し続けるため、電子部品の故障や破損を招く恐れがあります。

この場合、ファン前方の吸気側にフィルターを設けることで、機器内へ埃や異物の流入を防ぐことが可能です。ただし、通気抵抗を加算する必要があります。

DC軸流ファンのその他情報

1. DCファンモーター

DC軸流ファンに使用されるDCファンモーターは、直流電源で作動するファン用の電動機です。DCモーターは産業用、一般用問わず広く用いられます。一般用としては、携帯して顔などを冷やすファンなどに使われるものです。構造が簡単で、電池により作動ができます。産業用は、自動車の冷却ファンやエアコンのファンなどに使用されます

DCファンモーターの構造は、一般的なブラシ型の場合だと、鉄心・巻線コイル・整流子から成る回転子、鉄心・巻線コイル又は永久磁石・ブラシから成る固定子です。ブラシ型DCファンモーターは、固定子で作られる磁界の中で、回転子の磁界が整流子の作用により回転磁界となり、駆動力が発生します。回転子の磁界の強さを変えることにより、回転速度の可変が容易です。

近年、多く使用されるようになったブラシレスDCファンモーターは、回転子に永久磁石を使用し、固定子の磁界発生回路により、回転速度を変える方式です。ブラシのメンテナンスが不要であることや、効率面のメリットから、採用が増加しています。

2. DC軸流ファンとAC軸流ファンの違い

DC軸流ファンとAC軸流ファンの違いは、ファンの駆動電源です。DC軸流ファンは、直流電源駆動ですが、AC軸流ファンは交流電源で駆動するファンとなっています。

DC軸流ファンは、モーターの回路により回転速度を変えることが可能です。一方、AC軸流ファンは交流電源の周波数によって、ファンの回転速度が一定になります。

参考文献
https://www.sanyodenki.com/archive/document/product/cooling/technical_material_jp.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/axialfan_tg_j_3_3.pdf
https://techcompass.sanyodenki.com/jp/training/cooling/fan_basic/011/index.html

ファイバユニット

ファイバユニットとは

ファイバユニットとは、ファイバセンサーを構成する装置で、測定対象物への投光部と測定対象物からの受光部として機能する装置です。

ファイバユニットは、いわゆる光ファイバをポリエチレンや塩化ビニルなどで被覆した構造です。

投光部として用いられる場合は、光源からの光を測定対象物に照射します。受光部として用いられる場合には、測定対象物から反射もしくは測定対象物を透過した光を受光し、受光した光をファイバセンサーの検出部に送ります。

ファイバユニットの使用用途

ファイバユニットは、ファイバセンサーを構成する装置として使用されます。ファイバセンサーは、光ファイバ形光電センサーとも呼ばれ、ファイバユニットは光ファイバユニットとも呼ばれています。

ファイバセンサーの使用分野は、以下のような分野があげられ、多岐にわたるものです。

  • 自動車
  • 食品
  • 医薬
  • 半導体
  • 化学

ファイバセンサーはこれらの分野での生産ラインで使用されており、製品または異物の検出・製品の異常検知などに使用されています。製品自体だけでなく、自動ラインで駆動するロボットなどの各機構の動作検出などにも利用されており、ファイバユニットも同様の使用用途で使用されます。

ファイバユニットの原理

ファイバユニットは、光ファイバをポリエチレンや塩化ビニルなどで被覆した構造です。光ファイバは、主に石英ガラスやプラスチックなどによって細く形成された屈折率の高い中心部のコアと、その周囲を覆う屈折率の低いクラッドの二重構造をなします。

光ファイバ内を光が全反射する現象を利用して、光をファイバの一端部から他端部へと光を透過させる仕組みです。投光部として機能する場合は、光源からの光を透過して測定対象物に光を照射しています。逆に受光部として機能する場合は、測定対象物から反射または透過した光を受光して、受光した光をファイバセンサーの検出部に送ります。

一般的にファイバユニット単体で使用されることはなく、検出機構を備えたファイバアンプと組み合わせてファイバセンサーとして機能し、測定対象物の測定や検出が可能です。

ファイバユニットのその他の情報

1. ファイバユニットの種類

ファイバユニットには、投光部あるいは受光部として機能するべく、光ファイバが1本だけ通っているものと、投光部および受光部が一体化され光ファイバが2本通っているものがあります。

また、コアに石英ガラスを用いたガラスタイプとアクリル系樹脂を用いたプラスチックタイプがあります。石英ガラスタイプは耐熱性が高く、プラスチックタイプは軽量で折れにくいなどが特徴です。そのため、検出環境に合わせて選択可能です。

なお、ファイバユニットの光ファイバを単体で使用すると、端面から照射される光は約60度の角度で広がります。この照射角や集光率を変化させる目的で、ファイバユニットの先端、すなわち光ファイバの先端にはセンサーヘッドが取り付けられています。また、センサーヘッドは、ファイバユニット端面の保護とファイバユニット端面の固定をする目的も兼ねています。

2. ファイバセンサーの種類

ファイバセンサーには、透過型・拡散反射型・限定反射型・回帰反射型の4つの受光方式があります。ファイバユニットには、この各方式に応じたものがあります。

3. ファイバユニットの選定における重要項目

ファイバユニットには、選定する際に重要な6つの項目があります。

  1. ファイバ長
    ファイバユニットの長さを示します。当然、長いほど、ファイバアンプと離して設置可能で、厳しい環境下などの測定に有用です。
  2. 使用周囲温度
    ファイバユニットを使用できる温度の範囲を示しています。通常の環境下ではあまり重要ではありませんが、特に周囲温度が高い環境下では重要な項目です。測定精度や耐久性を鑑みて、耐熱タイプを選定するのが望ましいです。
  3. 曲げ半径
    ファイバユニットを屈曲させて使う場合の目安になります。曲げ半径が小さいものほど、屈曲させられるので取り回しが難しい環境には曲げ半径の小さいものが好適です。
  4. 検出距離
    検出距離が長いほど長距離で検出できます。
  5. 光軸経
    主に透過型のファイバセンサーに使用されるファイバユニットで重要な項目です。透過型のファイバセンサーに使用する場合、光軸を全遮光できないと確実に存在の有無を検知できません。そこで、光軸を完全に遮断できる大きさものを標準的な測定対象物としています。
  6. 最小検出物体
    ファイバユニットが検出できる最小のサイズを示しています。

参考文献
http://www.phosc.jp/cms/article/000008.html
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/fibersensor_tg_j_1_2.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/glossary/sensor/photo_fiber_proximity/index.jsp

ファイバセンサー

ファイバセンサーとは

ファイバセンサー

ファイバセンサーとは、樹脂や石英ガラスから作られた細い繊維状の光ファイバーの内部を光導波路とし、これを利用して製造現場での様々なセンシングを行うものです。

ファイバセンサーは、柔軟で細いケーブルと小型のセンサヘッドにより狭い場所での検出や小さな物体の検出ができる上、電磁的な影響を受けないため幅広い環境下での検出に適する等の特徴があります。光ファイバーの被膜カバーの素材により、高温な環境や、油や薬品のある現場での使用も可能です。

ファイバセンサーの使用用途

ファイバセンサーの主な用途は物体の検出です。光が照射される検出領域の物体の有無、通過、移動速度などを検出することができます。

光の遮光や反射で検出するため、金属だけでなく木材や樹脂のような一般的な固体の有無と色に加え、透明なガラスなども検出が可能で、非接触での一般的な製品検出から狭小スペースでの極小製品の検出や位置決め等、さまざまな製造現場で幅広く利用されます。

さらに固体だけでなく液体の検出や、歪み、温度を検出することもできる他、導体に流れる電流値を非接触で測定する電流センサも実用化されています。

ファイバセンサーの構造

ファイバセンサーは、光を通しながら照射するケーブル状のファイバユニット部と光源や光増幅機能を有するファイバアンプ部から成る発光部と、これを受け取る受光部で構成されます。

ファイバユニットの中心となる光ファイバーは、主に石英ガラスやプラスチックなどによって細く形成された屈折率の高い中心部のコアと、その周囲を覆う屈折率の低いクラッドの2重構造から形成され、このファイバ内を光が全反射する現象を利用して光導波路として用いられます。

ファイバアンプは、主に投光素子と受光素子の間の光増幅器と検出回路を備えた構造であり、最も重要な光増幅媒体には希土類のドープファイバが用いられ、励起光の誘導放出により入射光を増幅することで検出しています。これらの機能によって、感度調整やしきい値の設定や変更機能を備える製品もあります。

ファイバセンサーは、ファイバユニットとファイバアンプが別々のタイプと内蔵されたタイプに大別され、その検出方式も透過型、反射型、回帰反射型、限定反射型があり、更にセンサーヘッドの様々な形状によって幅広い検出を可能にしています。

ファイバセンサ―の原理

ファイバセンサは、発光部から照射した光の情報 (波長、光量) と、受光部で受け取った光の情報を元に様々な検出を行います。

1. 一般的な物体の検出

発光部から受光部への光が遮られたことで物体の有無を検出する、最も基本的な検出原理です。短時間の遮断で通過であることを検出したり、発光部側に受光手段も備えることで反射時間を計測し、物体の移動速度を計測することもできます。

ガラスなどの透明な物体は光が透過してしまうため検出が困難となりますが、表面での屈折率の変化 (空気⇔ガラス) による光量の変化を高精度で測定することで検出が可能です。

2. 液体の検出

ファイバセンサーは、液体が光を屈折させる特性を利用することで固体だけでなく液体の検出にも用いられ、チューブ取付タイプや接液式が実用化されています。

チューブ取付タイプはチューブの壁面から光を投光します。チューブ内に液体が無い場合には光は直進し、液体がある場合には屈折して受光側に光が入射します。これにより液体の有無を検知します。このタイプは透明液体は検出できますが、光を通さない不透明液体は検出できません。

接液式は、先端が円錐状の樹脂チューブ内に投光器と受光器が平行に設置されており、接液していない時は円錐部で光が屈折し、受光側に戻ってくるようになっています。接液時は屈折率が変化し、光が戻ってきません。これにより接液を検知します。

このように、ファイバセンサを用いて液体の存在や液面の検出、漏水の検出を行います。液体の検出では樹脂チューブの材質はテフロン系が多く、薬液や高温水にも使用できるようになっており、幅広い用途に適用されます。

3. 色の検出

物体の色は、照射された光の波長 (色) に対する反射率や屈折率に応じた反射光の波長分布にによって決まります。これを利用してファイバセンサで色を検出することができます。

4. 温度、歪みの検出

光ファイバーは径方向に対してコア部とクラッド部の二重構造を持ちますが、製造工程において特殊な紫外光を照射することで部分的に屈折率の異なる領域を軸方向に対して一定間隔で生成することができ、これをファイバ・ブラッグ・グレーティング (FBG) と呼びます。この際の光ファイバーのイメージとしてはFBGを両端とする円柱を直列に並べたものとなります。

FBGは生成された間隔と屈折率に応じて特定の波長のみを反射するため、温度変化によって光ファイバーが伸縮すると、反射される光の波長と反射光が返ってくる時間が変化します。これにより温度センサとして用いることができます。

また、構造物に設置することで構造物の歪みに伴ってファイバー長が変化するため、歪みセンサとしても利用することができます。大型の建造物やトンネル、パイプラインなどの他、再生エネルギーの一つである洋上風力発電のような常に外部からの力が加わる構造物に適用されます。おもりを接続するとおもりが動いた時に加わる加速力によって光ファイバーの長さが変化するため、加速度センサとしての利用も可能です。

5. 電流値の検出

ファイバセンサによる電流値検出ではファラデー効果を利用します。導体に電流が流れると右ねじの法則に従って同心円状の磁界が発生します。この磁界に沿って光ファイバーを通過する光の偏光面が磁界の強度に応じて回転する現象がファラデー効果です。この偏光面の回転角を測定することで電流値を検出します。

ファイバセンサ―のその他情報

ファイバアンプについて

ファイバセンサーは一般的にLED光を使用しており、その光を光ファイバーで検出部まで運び、レンズなどを使い照射します。このセンサーで多いトラブルにLED光の経年劣化や、レンズへの汚れの付着があります。このような状態になると照射光の光量が低下し、誤検出の原因となり設備トラブルに繋がるため、ファイバアンプが用いられます。

ファイバアンプの機能は、光量低下を自動的に検出し、自動的に補正する機能を持ったもので、LED光の経年変化を検出し、それに合わせて出力を上げることで光量を一定に保ちます。また、物体検出を光量の低下量ではなく低下率で設定するもので、発光と受光の相対的な光量比率で判定することで自動補正します。

このようにファイバセンサーの欠点を補う製品や機能が次々と開発されており、うまく活用することでトラブルを防止します。

参考文献
https://www.newglass.jp/mag/TITL/maghtml/82-pdf/+82-p047.pdf
http://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2006_10_04.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/fibersensor_tg_j_1_2.pdf

温度調節器

温度調節器とは温度調節器

温度調節器とは、測定温度と設定温度を比較して温度制御する装置です。

熱電対やサーミスタなどのセンサーで検出した温度を取り込み、設定温度と比較演算して電気信号を出力します。そして、出力信号によってヒーターや冷却装置を制御することで設定温度を保ちます。家庭用では給湯器やエアコンに使用され、産業用では屋外貯蔵タンクの保温などに使用されることが多いです。

温度調節器の使用用途

温度調節器は液体や気体の温度調整や管理に使用されます。

産業用にはプロセスの温度管理に使用されることが多いです。温度調整器を用いて自動制御することで、蒸気や電気の使用量を最小化し、省エネルギーに貢献します。

また、一般家庭製品での使用用途としては、熱帯魚用水温調整器や給湯器、エアコンや冷蔵庫などの空冷機器に使用されます。

温度調節器の原理

温度調節器は、主に測定温度と設定温度を比較演算し、ヒーターや冷却装置で制御します。温度を制御したい系統に対して、温度測定センサー、温度調節器、加熱・冷却機器という構成になるのが一般的です。

温度測定センサーでは制御対象の温度を測定します。測温抵抗体やサーミスタが使用されます。温度調節器は制御用電子装置です。温度をフィードバックして出力を制御します。加熱・冷却機器には、空調機やヒーターが使用されます。空調機は冷媒を圧縮機で圧縮し、加熱も冷却も可能な機器です。

温度調節器の制御方式

温度調整器の演算出力には、連続制御とON-OFF制御の2種類があります。

1. 連続制御

連続制御の代表例がPID制御です。PID制御とは、比例、積分、微分 (Proportional、Integral、Derivativeの略) 要素で入力信号を演算する制御方法で、多くの場合、比例成分と積分成分のみで温度調節が可能です。

オーバーシュートが許容できないシビアなプロセスでは微分制御で微調整します。比例制御、積分制御、微分制御の英字頭文字を用いてP制御、I制御、D制御と略します。

  • P制御
    温度測定センサーの入力値と温度設定値の偏差に比例した制御を行います。
  • I制御
    温度測定センサーの入力値と温度設定値の偏差を無くす制御を行います。
  • D制御
    外的要因による温度変化の差を微調整する制御を行います。

2. ON-OFF制御

測定温度と設定温度を比較して、冷熱機器をON-OFFさせる制御をON-OFF制御と言います。連続制御と比較して簡単なため、低コストで導入可能です。

温度調節器のその他情報

1. サーモスタットと温度調節器

サーモスタットは、古くからある簡易的な温度調節器です。金属または液体の温度による膨張-収縮を利用して接点や弁をON-OFFし、温度の制御を行います。自動車などのラジエータへの冷却水の調整弁、電気こたつの温度制御に使用されることが多いです。サーモスタットは、金属タイプや液体膨張タイプなどがあります。

  • 金属タイプのサーモスタット
    金属タイプのサーモスタットは、バイメタルと呼ばれる温度センサーを使用します。これは熱膨張率が違う2種類の金属を貼り合わせた板で、熱による膨張変形を電気接点として使用します。
  • 液体膨張タイプのサーモスタット
    液体膨張タイプのサーモスタットは、容器に封入された液体が温度により膨張-収縮する力を電気接点として使用します。液体膨張タイプは電気容量を大きくすることができるという特徴があります。また、サーモスタットは、どちらのタイプも制御を行うための電源が不要です。

2. 温度調節器とヒーター

温度調節器は常温 (室温) より高い温度帯で温度制御をする場合、ヒーター (加熱装置) への制御指令で制御を行います。温度調節器には、制御可能な電力容量がそれぞれ決まっているため、大容量の加熱装置を使用する場合には、電磁開閉器などの駆動装置を別途設けなければなりません。

常温 (室温) より低い温度を制御する場合には、チラーなどの冷却装置を稼働させます。温度調節器、ヒーター、冷却装置ともに 目的に合った仕様、容量を用意する必要があります。温度制御を行うために温度センサーも同時に必要になります。

3. 指示調節計と温度調節器

温度調節器は指示調節計の一種です。指示調節計は温度に限らず、湿度、流量、圧力など様々な要素を制御します。指示調節計も温度調節器もあくまで演算装置であり、センサーや冷熱機器は別途必要です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/53/103/index.html
https://www.motoyama.co.jp/engineer/engi106.htm
https://www.chino.co.jp/products_cate/controllers/

圧力スイッチ

圧力スイッチとは

圧力スイッチ

圧力スイッチとは空気や液体などの流体による圧力を検出するセンサの一種です。圧力の絶対値の大小によってスイッチを動作させたり、任意の圧力値に対する変化量の大きさでスイッチを動作させたりします。

圧力スイッチのセンサには内蔵された圧電素子に流れる電流量、電圧の変化を元に圧力変化を検知する半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサと、可動極がついたコンデンサが内蔵されており外部からの圧力によるコンデンサの静電容量の変化から圧力変化を検知する静電容量形圧力センサがあります。

圧力スイッチの使用用途

圧力スイッチは様々な用途で用いられます。プレス機械や成形機器などの制御に用いられるほか、自動車のエンジンオイルであったり、電車のブレーキ圧の制御にも用いられます。

また、腐食性、毒性がある化学物質に接触する過酷な場所でも圧力スイッチは使用可能です。その他、可燃性物質を扱う場所で用いる防爆型の圧力スイッチも販売されています。化学業界、石油、ガス業界といった化学物質を日常的に扱う現場においてこれらの圧力スイッチは使用されます。

その他、エアコンのコンプレッサや冷却ガス、掃除機の吸込みなどの風量管理、生産装置におけるポンプやコンプレッサの圧力管理などにも圧力スイッチは利用されています。

圧力スイッチの原理

圧力スイッチの原理

圧力スイッチは圧力の変化を電気信号に変換します。圧力の変化の表し方は3つあり、1つ目は大気圧を基準として正・負圧として表記する方法、2つ目は圧力の絶対値で表記する方法、3つ目は任意の圧力に対する変化である差圧として表記する方法です。

圧力を電気信号に変換する方法は2種類で、1つ目は半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサです。これは特定の物質に圧力を加えることで電圧が発生する「圧電効果」を利用したもので、圧力の変化量の大きさで電圧の変化量も決まるため、電圧変化から圧力の変化量を求めることが出来ます。2つ目の変換方法は静電容量形圧力センサで、センサの中に可動極がついたコンデンサが入っています。このセンサに圧力を加えると可動極が変形するため、コンデンサの静電容量が変化します。この変化量から圧力の変化量を求めることが出来ます。

圧力スイッチの種類

圧力スイッチは設置する環境、接触する流体の種類、検出したい圧力の大きさによって用いる機器が変わります。流体が空気の場合、空気用の圧力スイッチを用い、流体が液体の場合は汎用流体用の圧力スイッチを用います。また、有機溶媒、天然ガスのような可燃性物質と接触する環境においては防爆型圧力スイッチを用います。

その他、腐食性、毒性が高い物質と接触する環境では薬品耐性がある圧力スイッチを用います。有害性の高い物質が存在する場所で使用する場合、センサの中のみならず、スイッチの各部品の薬品耐性もあるか確認することを推奨します。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/pressure_tg_j_3_3.pdf
https://www.smcworld.com/products/pickup/ja-jp/switch_sensor/pressure_sensor.html

半導体製造装置

半導体製造装置とは

半導体製造装置 (英: semiconductor manufacturing equipment) とは、トランジスタや集積回路などに用いられる半導体を製造するための装置です。

半導体はパソコンやスマートフォンだけでなく、クラウドサービスやデータセンターなど多くの電子機器に使用されます。半導体による情報記憶や数値計算、論理値演算、これらの処理速度の速さや省エネ性、省スペース化の観点を踏まえながら、半導体の技術革新が進んでいます。

この半導体を製造する装置は、半導体の高性能化や技術革新に伴って、飛躍的進歩が不可欠です。

半導体製造装置の使用用途

半導体製造装置は、その名の通り、半導体を製造する際に使用されます。主な半導体部品として、機器の電気の流れや方向など電気的な制御に用いられる素子単体のトランジスタやダイオード、機器のプログラムなどのデータの演算処理を司るCPU、プログラムなどのデータを記憶するメモリなどが挙げられます。

また、カメラに使用するCMOSイメージセンサなどがあり、半導体製造装置はこれらを製造する際に重宝されています。

半導体製造装置の原理

半導体製造装置の基本動作は、回路設計・パターン設計、フォトマスク作成、前工程、後工程に分類できます。

1. 回路設計・パターン設計

回路設計・パターン設計は、必要な機能を実現する回路を設計し、シミュレーションを何回も行って効率的なパターンを検討します。半導体装置のパターン設計は、専用のCADソフトを使用します。

2. フォトマスク作成

フォトマスク作成は、半導体ウェーハに回路パターンを転写するための原版を作成することです。半導体ウェーハ表面のトランジスタや配線は非常に細かく、透明なガラス板の表面に拡大して回路パターンを描きます。

3. 前工程

前工程は、シリコンウェハにチップ作るまでです。洗浄、フォトリソグラフィ、エッチング、成膜、イオン注入、平坦化などの工程があり、この一連の動きを何度も繰り返します。

4. 後工程

後工程は、シリコンウェハ上に作られた半導体チップを細分してチップを完成させるまでです。ダイシング、ダイボンディング、ワイヤボンディング、モールド、検査などの各工程があります。

半導体製造装置の種類

半導体製造装置は大きくわけて、半導体設計用装置、フォトマスク製造装置、ウェーハ製造装置、ウェーハプロセス用処理装置、組立装置、検査装置、半導体製造装置用関連装置などに分類できます。

1. 半導体設計用装置

回路設計・パターン設計用として、専用のCADソフトが開発されています。

2. フォトマスク製造装置

フォトマスクは、ガラス乾板とも呼ばれ、ガラスや石英の板に、電子回路部品の製造工程で使用されるパターン原版を形成したものです。フォトマスク製造装置は、ガラス基板にクロムなどの遮光幕を蒸着し、レーザーや電子ビームを使用して回路パターンを描画する装置です。現像装置やドライエッチング装置、検査装置も使われます。

3. ウェーハ製造装置

まず、超高純度に生成されたシリコン単結晶インゴットをダイヤモンドブレードを使用する切断装置により、所定の厚さに切断します。これがシリコンウェハです。次に、ウェーハの表面を研磨し、高温の酸化炉に入れて、酸化皮膜を作ります。さらに、フォトレジストという感光剤をレジスト塗布現像装置を使ってウェーハの表面に塗布します。

ウェーハの表面にフォトマスクの画像を縮小焼付して、回路パターンを形成します。この際に使うのが半導体露光装置です。さらに、エッチング・剥離装置により、不要な酸化膜やレジストを除去します。

イオン注入・アニール装置を使って、ボロンやリンなどをウェーハに注入して半導体化を行います。プラズマ装置に入れて、不活性ガスプラズマにより、ウェーハ表面に電極配線用のアルミ金属膜を形成します。最後に、検査装置でウェーハをチップごとに試験し、良品・不良品の判定を行ったら前工程は終了です。

4. ウェーハプロセス用処理装置

後工程は、最初にウェーハをダイシングソー装置により、切断して個々のチップへ分離します。そして、チップをリードフレームの所定の位置に固定します。

5. 組立装置

まず、ダイボンダー装置を使用して、チップとリードフレームをボンディングワイヤーでつなぎます。次に、チップをモールディング装置を使って、樹脂でパッケージします。保護のためです。また、金型にて、リードフレームから個々の半導体製品を切断・分離し、外部リードを所定の形状に成型します。

6. 検査装置

初期不良を除くため、ファンクションテストを行いながら、バーンインと呼ばれる温度電圧ストレスの加速試験を行います。最後に、電気的特性検査、外観構造検査などを行い不良品を取り除き、環境試験、長期寿命試験などの信頼性試験も必要です。

参考文献
https://www.ave.nikon.co.jp/semi/technology/story02.htm
https://www.seaj.or.jp/semi/proc/
https://www.seaj.or.jp/file/process01.pdf
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000182.pdf