農業用フィルム

監修:東罐興産株式会社

農業用フィルムとは

農業用フィルム

農業用フィルムとは、農作物の成長を支え、栽培環境を整えるために使用されるフィルム資材です。

昨今はポリオレフィン系樹脂を原料に各種添加剤を配合して作られた「農POフィルム」や「POフィルム」と呼ばれるものが普及しています。

フィルムを多層構造にしたり、添加剤を付与することで、耐久性、保温性、光線選択性、防曇性、および防霧性などの複数の機能を備えたフィルムです。農業用フィルムは主にポリエチレン (PE) やポリ塩化ビニル (PVC) などの素材で作られ、耐久性、透光性、耐候性を持ちます。このようなフィルムを使用することで、作物を気候や害虫といった外部要因から保護し、温度や湿度の調整、水分の保持を可能にします。

農業の効率化や収穫の安定化を実現するために欠かせない資材です。

農業用フィルムの使用用途

1. ハウス栽培やトンネル栽培

農業用フィルムの最も一般的な用途が、ハウス栽培やトンネル栽培です。作物が外部環境から保護され、気温や湿度が制御可能になります。特に寒冷地や促成および抑制栽培において、その効果は顕著です。

2. マルチング (地面の覆い)

フィルムを地表に敷くことで、土壌温度の上昇や水分蒸発の防止、雑草抑制を実現します。また、根菜類や果物の直接的な汚れや傷みを防ぐためにも有効です。

農業用フィルム

3. 養液栽培や水耕栽培

特別なタイプのフィルムは、養液栽培や水耕栽培のシステムに使用されます。これにより、効率的な水分管理や栄養供給が可能です。

4. 雨よけ・防風・防寒用シート

雨・風や霜から作物を守るために、防風や防寒対策にも有効な資材です。寒冷期や風が強い地域でも、安定して作物を生産できます。

農業用フィルム

5. 貯水や防草

農業用フィルムは、貯水タンクや溜池のライナーとして使用されることもあります。また、防草シートとして雑草の抑制にも効果的です。

農業用フィルムの種類

農業用フィルムは用途や特性に応じて多くの種類が存在します。それぞれの特徴を理解することは、適切な選択をする上で重要です。

1. 透光フィルム

透明な農業用フィルムは、光を通すことで作物の光合成を促進します。主にハウス栽培やトンネル栽培に使用され、光透過率が重要な指標です。

2. 遮光フィルム

遮光フィルムは光を全部もしくは一部遮る事で短日処理や遮光・遮熱を求めます。ハウス栽培において外張り・内張りにて使用されます。

3. マルチフィルム

マルチフィルムは地温を高める透明マルチフィルム、遮光し雑草を抑える黒マルチフィルム、温度上昇を抑制する白黒マルチフィルム、害虫忌避効果のあるシルバーマルチフィルム等があります。どのマルチも水分蒸散を抑制し、作物定植前の準備・作物生育上で有効です。

4. 特殊機能フィルム

紫外線等一部の波長域をカットする事で特定の性能を持つフィルムです。作物の生育コントロールを目的とした商品や病害虫対策を目的とした製品などがあります。

農業用フィルムの選び方

農業用フィルムを選ぶ際には、以下のポイントを考慮する必要があります。

1. 用途に応じた選択

ハウス用、マルチング用、防草用など、使用目的に応じたフィルムを選ぶことが大切です。用途に適さない製品を使用すると、十分な効果を得られない可能性があります。

2. 地域や気候条件への適応

栽培地域の気候条件や土壌特性も重要な要素です。寒冷地では保温性の高いフィルム、暑い地域では遮熱性のあるフィルムが適しています。

3. 光透過率や紫外線カット性能

作物の種類によって必要な光量や紫外線の影響が異なるため、目的に応じた特性の製品を選ぶことが重要です。光透過率が高いフィルムは、光を必要とする作物に適しています。

4. 耐久性とコストパフォーマンス

農業用フィルムは気象条件等により劣化するため耐久性が求められます。一方でコストとのバランスを考慮し、耐用年数に応じたフィルムを選ぶことが大切です。

5. 環境への配慮

環境に優しい素材で作られたフィルムや、リサイクル可能な製品を選ぶことも、持続可能な農業の観点から重要です。

農業用フィルムは、適切に選び使用することで、収穫量や作業効率を向上させることができます。それぞれの用途や環境に最適なフィルムを選ぶことで、持続可能で効率的な農業経営につながります。

本記事は農業用フィルムを製造・販売する東罐興産株式会社様に監修を頂きました。

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