産業用コネクタ

産業用コネクタとは産業用コネクタ

産業用コネクタとは産業用機器において電気を繋ぐためのコネクタです。電源を供給するために使用されるだけではなく、データのやり取りをはじめ電気的な情報を交換するために使用されています。
産業用コネクタは電気のやり取りにおいて優れた拡充性と利便性を誇ります。例えば、パソコンに記録媒体を設置したい場合、電気回路にハンダで回路を新設する方法もありますが、コネクタを介して記録媒体を接続した方が取り回しの良さがあります。

産業用コネクタの使用用途

産業用コネクタは様々な産業用機器で使用されています。パソコンではメモリソケット・プリント基板用コネクタ・インターフェイス用コネクタなどが利用されています。メモリソケットはパソコンの基盤とRAMメモリなどのパソコンに搭載されているメモリを繋げるためのコネクタです。インターフェイス用コネクタがパソコン自身と外付けハードディスクなどのパソコン外のメモリを繋げることと比較されます。プリント基板用コネクタは異なった役割を持つプリント基盤を繋げるために利用されています。産業用コネクタは産業用ロボットや工作機器、建築車両・鉄道、発電所や石油プラントなどでも利用されています。

産業用コネクタの原理

コネクタはコンタクト・ハウジング・シェル・アイレットなどで構築されています。コンタクトは接触子であり、コネクタ同士が通電した際の電気の流路になります。ハウジングは絶縁体で形成されており、コンタクトを保持するための部品です。シェルはコンタクトとハウジングを外力から保護するための仕組みであり、両部品を覆うように設置されます。アイレットはコネクタ同士を外側から留めるための部品です。不意の脱落を防ぎます。
またコレクタにはプラグとソケットの二種類に分かれており、用途が違います。プラグは突出したコンタクトを持ち、ソケットは陥没したコンタクトを持ちます。プラグのコンタクトがソケットのコンタクトに組合さることで通電します。プラグとソケットは違う規格のコネクタが間違って接続されないため、また確実な通電を行うために使用されています。

産業用コネクタ

1. 防水コネクタ

防水コネクタは、通常のコネクタと異なり、水の侵入を防ぐことが出来る特殊用途のコネクタです。この防水コネクタを必要とする用途は、雨が降り注ぐ車載用や噴霧器などによる水分が付着する恐れがある農機具や工場の産業用や屋外設置型の電気機械などにおいて、水の侵入を防いで、コネクタ端子部における水分侵入による回路ショートを防止することが、防水コネクタの主な要求仕様事項になります。

通常のコネクタは、単純にメス側端子とオス側端子があり、各々を接続することで、電気的な接続が出来る回路接続用コネクタになります。屋内で使用されて、水の侵入を考慮していない家電や事務機器や情報機器やゲーム機器などで汎用されています。しかし、水の侵入の可能性がある電気機器においては、通常のコネクタ機能に加えて、更に、水の侵入を防止する機能や構造を備え付けた防水コネクタが必要になります。

この防水機能の主な構造は、通常のコネクタに対して、更に防水用カバーを追加した仕様が最も一般的です。良くあるのが、コネクタ端子部に水分の侵入を遮断するためのキャップやカバーを追加したコネクタやストレーナ付きコネクタ等とも呼ばれる外部から侵入するゴミを除去する機構を持ったコネクタであったりします。いずれにせよ、その構造は通常のコネクタよりも複雑になるため、いわゆる産業用や高信頼性製品に採用されています。

2. 流体コネクタ

流体コネクタは、産業用コネクタの中でもかなり特殊なコネクタです。
その機能の特長は、先ず空気等のエアや不活性ガス等の気体及び液体窒素や液化天然ガスの様な液体と言った流体全般の通過を最優先に設計されています。
流体コネクタの通過を考慮した設計では、2種類のタイプがあり、1個目が気体もしくは液体のいずれかを通す樹脂製の単チューブ型です。
さらに2個目が液体もガスも制御信号も同じコネクタで通すことが出来る複合型があり、開閉バルブも付いています。
全てのタイプにおいても、その脱着機構は押して嵌め込み、引いて抜き取るプッシュプル機構が採用されています。
そのため、簡単に外れることはなく、逆に抜き差しが必要な際は作業が容易で、技術の進化と共に小型化も図られています。
さらに、流体コネクタは振動やネジレや衝撃にも強く、引張強度も十分に有り、過酷な環境にも耐え得るものであり、その信頼性は非常に高くなっています。
以上の事から、流体コネクタは、高信頼性を求める環境下にて流体制御を行う機器、特殊箇所で短時間の接続作業が必要な装置の他、各種医療機器や産業用機器にて採用されています。

参考文献
Anphenol  https://www.amphenol.co.jp/military/catalog/Industrial-Connector-Guide.pdf
JAE  https://www.jae.com/about-connectors/
オムロン  https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-connectors/part1-connector-from-the-beginning/basics/structure-and-principle
https://kurashi-no.jp/I0020106
https://www.harting.com/JP

パルス発生器

パルス発生器とは

パルス発生器

パルス発生器 (ジェネレータ) とは急速に発生・収束するパルスと呼ばれる電気信号を発生させる機器です。

パルス発生器ではパルスの周波数やパルス幅、電圧レベルの高低、発生タイミングのディレイを調節できます。パルス発生器にはパルスディレイ発生器、バースト発生器、ゲート発生器などがあり、用途によって使い分けます。

パルス発生器の使用用途

パルス発生器は産業用から民生品まで幅広く使用されます。
身近な製品としては、医療用ペースメーカーや自動車のエンジンなどです。これらの使用用途にはパルス発生器の高速で電気信号のパルスを入力できる特性が活かされています。
その他では、ストロボ制御や高速移動体の観察などに利用されます。

また、半導体レーザー(LD)の電源としての利用も一般的です。半導体レーザーは閾値を超えた電気が入力されることで発光します。レーザー光をパルス発光させる場合に、パルス発生器は必要になります。パルス発光したレーザー (パルスレーザー) は、主にレーザー加工や信号伝達に使用されます。

パルス発生器の原理

パルス発生器でパルスを発生させるには、商用の交流電流をトランジスタなどによって直流電流に変換することが必要です。さらに、直流電流はコンデンサなどの蓄電素子により高圧化されます。

高圧電流からパルス電流を発生させる方法は、集中定数回路を利用した方法が一般的です。集中定数回路ではギャップスイッチを利用します。ギャップスイッチでは閾値までコンデンサに電荷を蓄積させ、閾値になると放出させます。その繰り返しでパルスが発生します。

パルス発生器の種類

パルス発生器には用途や機能に応じて複数の種類があります。したがって、用途に応じて適切なものを選定することが必要です。主に使用されるパルス発生器はパルスディレイ発生器、バースト発生器、ゲート発生器の3種類です。

1. パルスディレイ発生器
時間的なディレイをパルスの発振に掛ける事ができます。また、受光側機器のタイミングをレーザー発振に合わせることができます。

2. バースト発生器
ゲートの有効/無効の判定基準はバーストトリガになります。したがって、リファレンスシグナルの入力有無とは関係なく、バーストトリガが発生器に入力されないとパルス出力しません。無線端末の評価などに用いられることが多いです。

3.ゲート発生器
ゲートトリガで出力パルスを制御できるパルス発生器です。ゲートトリガの入力中にリファレンスシグナルが入力されるとパルスを出力します。バーストトリガの場合は1回入力された以降のリファレンスシグナルをすべて受信しますが、ゲートジェネレーターはゲートトリガが無効であればリファレンスシグナルを受け入れません。

パルス発生器のその他情報

パルス発生器の価格

パルス発生器は高価なため、購入すると固定資産となります。その上、加工機用に内部に組み込まれている場合などを除き、使用用途は一時的なことが多いです。
そのため、レンタル・リースで調達されることが多くあります。
価格は性能により幅が大きく40,000~800,000円(月額)程度になります。英国の大手メーカー製の高性能パルス発生器は購入すると1,000,000円~5,000,000円になるものもあります。

参考文献
AKM https://www.akm.com/jp/ja/technology/technical-tutorial/basic-knowledge-magnetic-sensor/magnetic-sensor/
アルプスアルパイン https://go.alps.jp/l/506151/2018-09-03/sx9dz
https://www.klv.co.jp/technology/type-of-pulse-generator.html
https://tm.yrl.com/rental/measuring-device/search/?categoryId=53

交流電圧計

交流電圧計とは交流電圧計

交流電圧計は交流電源から供給される交流電圧を計測するために使用される装置です。
可搬式の場合、以前は交流電圧計としての機能のみを有した製品も多く販売されていましたが、近年はテスターとして多機能が製品が主流です。多機能製品にはアナログテスタとデジタルテスタの二種類が存在します。

アナログテスタは比較的内部抵抗が低いため、電力ロスを最小限にとどめることができます。また高精度かつ測定誤差が少ないというのが利点です。
デジタルテスタは内部抵抗が高抵抗なため高インピーダンスの回路を測定できます。

交流電圧計の使用用途

交流電圧計は交流電流が使用される製品検査や保守・保全分野で広く使用されます。以下が使用例です。

  • オーディオ機器の故障原因特定
  • キュービクルの受電電圧・送電電圧確認
  • 新幹線のコックピット内における各所電圧の確認
  • 排水用水中ポンプの状態確認
  • 非常用発電機の出力電圧確認
  • 発電所における発電電圧確認
  • 変電所における送電・受電電圧確認

交流電圧計を利用することで、電子回路間の固有電圧を明らかにすることが可能です。
また上記の通り、交流電圧計は機器電圧状態のモニタリングにも利用されます。

交流電圧計の原理

交流電圧計はアナログ電圧計とデジタル電圧計に大別されます。

アナログ電圧計では主に可動鉄片方式が用いられます。
可動鉄片式では、固定したコイルに入力電圧を印可し、そのコイルに発生する磁力によって鉄片を動かすことで指針を振らします。構造が簡単で安価なのが特徴です。

デジタル電圧計の原理は、まず入力された交流電圧をAC/DC変換器を介して直流電源に変換します。その後、倍率器によって電気抵抗を決定し、バイアス電流の電圧と交流電圧計固有抵抗の電圧により交流電圧計に流れる電流の量が決定されます。電気抵抗および電流が決定されることでオームの法則を利用し電圧を求めることが可能です。

交流電圧計の種類

交流電圧計には先述の通り種類があり、アナログ式とデジタル式の製品があります。また、電圧をロギングするデータロガーも販売中です。

アナログ交流電圧計

「交流電圧計」と聞くと、アナログの方を思い浮かべる人も多いと思います。前面に透明のアクリルカバーで覆われた電圧版と針があるタイプが一般的です。構造がシンプルな為、デジタルの交流電圧計に比べると故障も少なく信頼性が高いです。
比較的安価に入手することができ、通販サイトでも1,000円に満たない価格で販売しているものもあります。

デジタル交流電圧計

前面がデジタル表示で電圧を示すようになっているタイプです。内部にFPGAなどの制御基板を搭載しており、アナログーデジタル変換回路などの機能を持っています。
デジタル表示で見やすく、基盤を制御するプログラムによって様々な機能を実現できるため高機能なものがあります。
価格は1,000円台で購入できるものから高性能な数十万円もするタイプまで価格帯にはばらつきがあります。
アナログに比べると構造が複雑なので、故障率も高くなる傾向です。

データロガー

交流電圧計の機能を持ちながら、その電圧計測結果をロギングしたり拡張ユニットを接続して温度などの様々な測定を
同時に実行できるタイプの機器です。

参考文献
marutsu  https://www.marutsu.co.jp/pc/static/large_order/mame/189
HIOKI  https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=42
モノタロウ  https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/testerkiso_0105/
Jstage J.IEEJapan Vol.121,No9 持永芳文  https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1994/121/9/121_9_629/_pdf
https://www.amazon.co.jp
https://www.keyence.co.jp/products/recorder/

レーザー光源

レーザー光源とは

レーザー光源とは、レーザー光を発する光源です。

レーザーは通常光と比較して、高い単一波長性、指向性に加え、優れたエネルギー密度を持ちます。レーザー光源は、プロジェクターの光源に適した半導体レーザーから物体の切断、加工に適したYAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザーなど、種類はさまざまです。

レーザーはその動作物質の形状から固体レーザー (YAG) 、半導体レーザー、気体レーザー (CO2レーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー、HeNeレーザー) に分けられます。HeNeレーザーは、632.8nmの波長の赤色のレーザーで、目的に照射する以外に、可視光波長領域外のレーザーのガイド光にも利用可能です。レーザーは単一波長性が高いのですが、原理上それ以外の波長の光も混在している場合があります。例えば、HeNeレーザーの場合、632.8nm付近の周りに別の波長の弱い光のサテライト構造があります。

レーザー光の純度を高めるため、レーザー波長だけを通す光学フィルタやその波長だけの光を反射するダイクロイックミラーなどの光学素子を利用できます。市販の光学素子の波長設計の多くは上記のレーザーに合わせているものが多いです。

レーザー光源の使用用途

レーザー光源は多様な手段に利用されています。種類によって使用用途は異なります。

1. 半導体レーザー

その長寿で取り回しのよい特性からプロジェクターの投影用光源として利用できます。

2. YAGレーザー

一般的な固体レーザーであるYAGレーザーは、金属やさまざまな物質の切断や穴あけに代表されるレーザー加工に利用されています。YAGレーザーは光という特性のため、透明な物質の加工には不向きです。

3. CO2レーザー

最も長波長なレーザー光を投影できます。YAGレーザーと対照的に透明な物質の加工に適していますが、金属の加工には適していません。

レーザー光源の原理

レーザー光源は、レーザー媒質の分子にエネルギーを与えることで励起される光を光源として使用します。レーザー光源に強力なエネルギーを与えると、レーザー媒質の原子の一定数が励起状態になります。

  • ポンピング
    励起状態の原子が増加すること。
  • 反転分布状態
    ポンピングにより励起状態の原子数が他の状態の原子数を超えた状態のこと。
  • 光増幅

    反転分布状態で励起光と同一波長の光を原子に照射すると、光を受けた原子はその光と同じ方向に同一波長の光を放出し、他の原子を励起させること。

レーザー光源は、光増幅を引き起こすための光源が設置されている側面にミラーを、レーザー光を放出する側に部分反射ミラーを設置した構造になっています。光増幅で励起された光は部分反射ミラーで反射され、レーザー光源の中を何度も光増幅を繰り返しながら反射し続け、最終的に部分反射ミラーの透過部を高エネルギーのレーザー光として通過します。

レーザー光源の特徴

レーザー光源には、指向性、単色性、エネルギー密度のほかに、位相 (光の波形) が揃っているため、物体に当たると干渉を起こしやすい性質があります。この特徴を利用したものがレーザー干渉計など、距離を測定する機器です。一般光はいろいろな光が混じっているため、位相もバラバラになっており、基本的に干渉が起きづらくなっています。

レーザー光源のその他情報

レーザー光源の波長

レーザー光源にはいろいろなものがありますが、それぞれ波長で分類することができます。エキシマレーザーは150~308nm、アルゴンレーザーは488nm、ルビーレーザーは694.3nm、YAGレーザーは1,064nm、CO2レーザーは10,600nmとそれぞれ異なる波長です。波長の違いは、対象物に照射した際の吸収率の違いになります。吸収率が異なると、温度が変わります。

上記のレーザーの基本波に対して、非線形光学結晶を用いることで、波長変換が可能です。例えば、YAGレーザーの基本波長は1,064nmで、非線形光学結晶を通すと第2高調波の532nm、第3高調波の355nm、第4高調波の266nmの波長の光を取り出すこともできます。また、波長可変のパラメトリック発振器を作成することも可能です。

参考文献
https://www.jpu.or.jp/useful/laser/
https://www.trust-ele.com/
https://www.laserfront.jp/learning/basic.html

カメラモジュール

カメラモジュールとは

カメラモジュール

 

カメラモジュールとは民生機器である一眼レフカメラと同様の構造を持つ、産業用機器です。カメラモジュールはレンズとカメラに分けることができます。レンズとカメラを接続するマウントと呼ばれるパーツがあり、マウントの規格が同一であればレンズを交換することが可能です。カメラの撮影素子にはCMOSとCCDの二種類があります。また画像の切り出し方法にはグローバルシャッターとローリングシャッターの二種類があります。

カメラモジュールの使用用途

カメラモジュールは小型のものではスマートフォンやパソコンのカメラとして利用されます。ATMまた自販機や券売機の顔認証用として利用される場合もあります。比較的大型のものでは防犯カメラとしての利用や、車載用カメラ、検査・測定目的での産業用機器に搭載しての利用などがなされています。

カメラモジュールの原理

カメラモジュールではレンズから入行してきた光を撮影素子上で結像させ、電気信号に変化することで画像を取得します。
撮影素子はCMOSとCCDの2種類に大別されます。CMOSは低電力で作動することが可能であり、一方CCDは後述するグローバルシャッターを搭載しています。どちらのセンサーもフォトダイオードに入行した光を電気信号に変換し、フォトダイオード後方に設置されたCDS・AGC・ADSなどによりノイズを抑え、安定したデジタル信号に変換します。デジタル信号は画像処理エンジンにより画像データとして出力されます。

グローバルシャッターとローリングシャッターの違いについて説明します。グローバルシャッターでは無数のフォトダイオードに入行した光を同じタイミングで電気信号に変換することができます。ローリングシャッターでは渦巻き状に順々に電気信号に変換します。ローリングシャッターは原理上、素早く横切る被写体を撮影すると被写体が斜めに傾いて歪んで撮影されます。カメラモジュールで取得できる画像はカラーとモノクロのものがあります。カラーセンサーでは青・赤・緑の三色のうち単一色を判別できるフォトダイオードがベイヤーセンサーと呼ばれる入れ子状配列に並んでいます。単一のフォトダイオードでは単一色の色情報しか入手できませんが、周辺の他の色を担当するフォトダイオードからの情報を入手することで疑似的に一つのフォトダイオードで三色の情報を得ています。

カメラモジュールの市場

2020年時点での世界カメラモジュール市場は好調で、今後も高い成長率が見込まれています。

スマートフォンなどのモバイル端末のカメラは、2015年頃からマルチカメラ化が始まり、シングルからデュアル、トリプル、クアッドと進化を遂げています。

高画質化に加えて、AF、ズームや広角機能に加えて、ToFやLiDARなどのセンサーカメラモジュールの搭載により、暗所でのAF性能向上や顔認証精度向上、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)機能への活用など更なる拡大が見込まれています。

自動車市場においても、先進運転支援システム(ADAS)として車一台当たりのカメラ搭載台数が増加傾向にあります。

家電分野や産業分野においても、省人化、セキュリティ、リモート化のニーズからスマート製品や、アシスタントロボットやドローンへの搭載需要が拡大していくと予想されています。

カメラモジュールを構成するレンズの進化や新素材の活用、MEMS(微小電気機械システム)などの技術の発展が、カメラモジュールの価値を高めています。

車載用カメラモジュール

車載用カメラモジュールの需要は、従来のミラーに変わる周辺死角のモニタリング用途中心から、先進安全支援システム(ADAS)や自動運転の需要が拡大して、センシングを用途とするものに急速に変化してきています。

高度な光学、画像処理、通信技術と合わせて「安全、安心」な車社会の実現に向けて大きな役割を果たしています。

車載用カメラモジュールは次のように様々なものがあります。

  • 前方監視カメラモジュール
    車の進行方向の状況をモニタリングし、安全運転の支援を行います。
  • ドライブレコーダー用カメラモジュール
    走行中や停車中の前方や車内の状況を常時動画として記録するために用いられます。
  • ドライバーモニタリングカメラモジュール
    運転中のドライバーを監視し、よそ見や居眠りなどの危険予知システムに用いられます。
  • サラウンドビューカメラモジュール
    360度車の周辺死角をなくし安全確保のために配置されます。

参考文献
https://www.shikino.co.jp/products/embedded-cameras-for-industrial-use.php
https://jp.sharp/products/device/about/ic/ccd_cmos/imagesensor/index.html
http://optronics-media.com/news/20140930/26791/
https://www.kyocera.co.jp/prdct/camera/index.html

UV光源

UV光源とは

UV光源

UV光源とは、紫外線 (UV) を照射する器具です。

市販のUV光源装置は、紫外線を発生する光源部に加えて、冷却装置や紫外光を利用しやすいようにレンズを通して直線光にする光学系がセットになっているものがあります。種類ごとに発振される紫外線が異なります。

3種類の光源があり、365nm (ナノメートル) の波長の紫外線を発する「高圧水銀型」、200〜400nmの紫外線を発する「メタルハライド型」、254nm・185nmの波長を発振する「低圧水銀型のランプ」に区別されます。照射可能な紫外線の種類は機器の機能に大きく関わっており、目的に応じたUV光源の選択が必要です。

高強度のUV光源は、装置自体が高温となるため、冷却装置が付いています。使用時には異臭を伴うオゾンが発生したり、周囲の有機物を分解する可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

UV光源の使用用途

目的に応じて異なるUV光源を使用します。種類による使用用途は以下の通りです。

1. 高圧水銀型のランプ

UV樹脂・塗料の硬化に利用されることが多いです。

2. メタルハライド型のランプ

短波長の紫外線で硬化する樹脂・塗料に利用されます。高圧水銀型と比較してメタルハライド型のランプは、発振される紫外線が連続波長のため、UV樹脂・塗料の硬化時のトータルエネルギーが強いです。

3. 低圧水銀型のランプ

254nmの短波長を紫外線殺菌などに利用し、254nm/185nmの複数波長は殺菌のほか、水の抗酸化処理やUV洗浄に用います。また、オゾンも発生するため、シリコン基板などに付着した有機物洗浄にも利用できます。ただし長時間使用すると酸化膜が形成するため、潮位が必要です。

UV光源の原理

UV光源は、気体の水銀の放電により紫外線を放出する装置です。UV光源は、両端に電極が備え付けられたガラス管に水銀 (Hg) と希ガスを封入された構造になっています。

電極に流された電流によって内部で熱エネルギーが発生します。エミッタ (電子放射物質) が熱エネルギーにより電子を放出し、電子は電極の間で一方向に向かって移動します。この移動中に、電子は内部に存在するHg分子に衝突し、Hg分子はその衝撃により紫外線を放出するわけです。

紫外線はガラスを通過する際に塗装された蛍光物質に接触、吸収されることで波長が変化され、目的の波長の紫外線として照射されます。つまり、紫外線の波長を決定するのは、ガラスの材質やガラスに塗装された蛍光物質の違いです。

高圧Hgランプとメタルハライド型のランプでは石英ガラスが使用されることに対して、低圧Hgランプでは合成石英ガラスが使用されます。なお、低圧Hgランプでは内部にオゾンが封入されているかどうかによって更に波長を変化させることが可能です。

UV光源のその他情報

1. UV光源のLED化

一般の白熱灯や蛍光灯は、10年以上前からLEDへの置き換えが進んでいます。しかし、UV光源は前述したように、まだまだ水銀を使用したUV光源が一般的に広く使用されています。

UV光源のLED化を妨げている要因として、樹脂の硬化やインクや塗料の乾燥に使用するには、出力が低く、作業時間が長く掛かるということが挙げられます。しかし、各LED光源メーカーの努力もあり、最近では高出力のLED (UV) 光源も登場してきました。

通常のUV光源をLED光源に置き換えるとことで、消費電力の減少よって電気代削減を見込め、高寿命かつ電源のON/OFFによる劣化も少ないため、光源の交換が減るといったメリットがあります。また、UV光源である紫外線ランプは水銀を使用していることから、人体や環境に悪影響を及ぼす水銀使用量を削減するという視点からも、LED光源化へのメリットは非常に大きいです。

2. UV光源でUV硬化しない原因

UV光源の活用例として樹脂の硬化に用いられることがありますが、使用状況や環境、樹脂材料の組み合わせによっては樹脂が固まらないことがあります。主な原因を以下に挙げます。

湿度が高い
材料及び硬化剤の組み合わせによっては、高湿度の場合には著しく樹脂の硬化速度が低下する場合です。このような環境で作業が必要な場合には、添加剤を使用する事で改善する可能性があります。

波長が合っていない
材料や硬化剤毎に、硬化させるために照射する最適なUV波長が存在します。材料や硬化剤のスペックを確認し、最適な光源を使用しているか確認してください。

光源の出力が足りない
LED光源では出力が足りないために、部材の奥まで光が届かず硬化が行われないことがあります。水銀ランプと同様の設定ではうまく硬化しない可能性があるため、光源を変えた場合などには工夫が必要です。

参考文献
https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html
http://www.jatec.jp/uvlamp.html
https://www.sankyo-denki.co.jp/blank-15

地磁気センサ

地磁気センサとは

地磁気センサとは、地球の持つ磁気 (地磁気) を検出するためのセンサです。

電子コンパスと呼ばれることもあり、XY軸を検出できる2軸タイプとXYZ軸を検出できる3軸タイプに分かれています。平地で使用する場合は2軸タイプで問題はありません。

しかし、傾斜地などで使用する場合は、3軸タイプでなければ正確な地磁気を検出することは不可能です。

地磁気センサの使用用途

地磁気センサは、一般的に方角を検出するために利用されます。登山用GPS端末などに電子コンパスとして搭載されているほか、マップ上の端末の向きを測定するためにスマートフォンやカーナビゲーションに搭載されています。

自動車などに搭載されているのはXY軸を検出する2軸タイプですが、航空機などピッチ・ヨーといった三次元的な運動が可能な場合XYZを検出できる3軸タイプを搭載する必要があります。

地磁気センサの原理

地磁気センサではX軸、Y軸、3軸の場合Z軸の各軸方向の磁力を計測し、方位を計算します。地磁気センサは3種類に分かれます。ホールセンサ・MR (英: Magneto Resistance) センサ・MI (英: Magneto Impedance) センサが代表的です。

1. ホールセンサ

磁場の垂直成分である磁束がホール素子に起電力を与え、それを地磁気として感知します。ホール効果を用ることによって磁束密度を測定し、増幅回路を通過した後に、磁束密度に比例した電圧を出力します。使い勝手が良いことが特徴です。

2. MRセンサ

MRセンサでは磁場の水平成分である磁束がMR素子にオームを与え、それを地磁気として感知します。ホールセンサと異なる点としては、MR素子の電気抵抗が磁界によって変化するのを利用して地場の大きさを測定します。

ホールセンサに比べ感度が高く、消費電力も小さいため、使用頻度が多く、電子コンパスなどの地磁気検出用途やモータの回転、位置検出用途などに用いられることが多いです。

3. MIセンサ

MIセンサーでは、アモルフォスワイヤーと呼ばれる結晶状態を持たない特殊な物質で構成されたワイヤーを使用します。地磁気の存在下でパルス状の電流をアモルフォスワイヤーに通電するとMI 効果が発生し、その磁気インピーダンスの変化を利用して地磁気を検出します。ホールセンサに対して10,000倍以上も感度に優れているため、地磁気の微小な変化も高精度に測定が可能です。

MI効果とは、磁性体に表皮効果を生じさせる高周波電流を通電する際、インピーダンスが外部磁界で高感度に変化する現象です。MIセンサではアモルファスワイヤにパルス電流を流した際の外部磁気に対する反応を、周囲に巻いているピックアップコイルで検出しています。

表皮効果とは、高周波電流が導体を流れる時に電流密度が導体の表面付近で大きくなり、内部になるにつれて小さくなる効果のことです。

地磁気センサのその他情報

1. ホール素子

ホール素子とは、ホール効果を利用した磁気センサです。ホール効果とは物質を流れる電子に対して垂直方向に磁界を加えると、電流と磁界に垂直な方向に起電力が発生する現象を指します。

電流になる荷電粒子が磁場の影響でローレンツ力を受けることで、物質内に電荷の偏りが発生します。この時物質内で電位差が発生し、起電力が生じます。

2. MRセンサ素子

MRセンサ素子とは、磁気抵抗効果 (MR効果) を利用した磁気センサ素子です。MR効果は磁界を変化させると抵抗値が変化する現象のことを指し、磁性体に見られます。

電子はアップスピンとダウンスピンと呼ばれる2つのスピン状態を有します。電子が強磁性体の中を進む際、電子のスピン状態が上下に変化すると、磁化された物質内での散乱確率が変動します。これがMR効果を引き起こす要因です。

 参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what2
https://hakaru.jp/hakaru-tech/
http://uav.xenocross.net/hdg.html
https://www.akm.com/jp/ja/technology/technical-tutorial/basic-knowledge-magnetic-sensor/magnetic-sensor/
https://go.alps.jp/l/506151/2018-09-03/sx9dz

3Dプリンター

3Dプリンターとは

3Dプリンター

3Dプリンター (英: 3d printer) とは、3次元データを元に印刷された断面を積層していくことで立体物を生成する機器です。

3Dプリンターは「熱溶解積層メソッド (FDM: Fused Deposition Modeling) 」「光造形メソッド (SLA: Stereolithography) 」「粉末焼結積層造形メソッド (SLS: Selective Laser Sintering) 」「インクジェットメソッド」「インクジェット粉末積層メソッド」の5種類に大別されます。

家庭用としては、「熱溶解積層メソッド」「光造形メソッド」の2種類が使われることが多いです。

3Dプリンターの種類ごとの用途・原理・メリット

1. 熱溶解積層メソッド (FDM: Fused Deposition Modeling)

使用用途

フィギュアや模型などの制作

原理

熱可塑性樹脂を0.5mm前後の細いノズルから吐出することで印刷を行います。

メリット

  • 本体が安価
  • 材料が安価なため低価格で印刷可能
  • 一般的用途の3Dプリンターとして主流

デメリット

  • サポート材が必要
  • 印刷時に発生する積層痕による造形物の外観の悪化

印刷可能な材料

PLA樹脂、ABS樹脂等

図1 熱溶解積層メソッド

図1. 熱溶解積層メソッド

2. 光造形メソッド (SLA: Stereolithography)

使用用途

モックアップや舞台用小道具などの作成

原理

光硬化する液体樹脂に光を当てることで硬化させて印刷を行います。

メリット

造形後の加工が容易で、透明の印刷物を作成可能

デメリット

  • 印刷物は太陽光に弱い
  • 印刷物の後処理に手間がかかる

印刷可能な材料

エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等

図2 光造形メソッド

図2. 光造形メソッド

3. 粉末焼結積層造形メソッド (SLS: Selective Laser Sintering)

使用用途

工業機器の部品や医療用インプラント

原理

粉末状の材料を、選択的に加熱・焼結させることを一層ずつ繰り返すことで印刷します。

メリット

サポート材の必要なしに大規模で強度のある構造物を印刷可能

デメリット

  • プリンター本体を含め、設備が高価である
  • 印刷物の表面がざらざらである

印刷可能な材料

ナイロンチタンなどの金属材料等

図3 粉末熱結積層造形メソッド図3. 粉末熱結積層造形メソッド

4. インクジェットメソッド

使用用途

医療用部品・小ロットの製品製造

原理

紫外線硬化性の材料をあたかも普通のプリンターで印刷するように二次元上に配置したのちに紫外線を照射させ硬化させることで印刷を行います。

メリット

設置が容易で高分解能の印刷が可能

デメリット

印刷物は、脆く、太陽光に弱い

印刷可能な材料

エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等

図4 インクジェットメソッド

図4. インクジェットメソッド

5. インクジェット粉末積層メソッド

使用用途

医療用部品・小ロットの製品製造

原理

石膏上に接着材を配置し硬化させることで印刷を行います。着色剤を用いることでカラーでの構造物を作成できます。

メリット

設置が容易で高分解能の印刷が可能

デメリット

印刷物の強度が低い

印刷可能な材料

石膏、樹脂、金属、砂等

図5 インクジェット粉末積層メソッド

図5. インクジェット粉末積層メソッド

3Dプリンターの使い方

3Dプリンターは、樹脂を溶解することで設計した構造物を積層していくことができます。

準備の必要があるものと実際の手順をご説明します。

準備する必要のあるもの

  • パソコン
  • 3Dプリンター
  • 立体的なCAD図を設計するための3DCADソフト
  • スライスソフト
    • スライスソフトは、3次元データをツールパスデータに変換する機能を持っています。
  • フィラメント
    • フィラメントは積層する材料です。3Dプリンターの積層方法によって種類が異なりますが、PLA樹脂やABS樹脂などが初学者には多く利用されています。

3Dプリンターで構造物を積層するまでの手順

1. 構造物を積層するには3DCADソフトを利用することで3次元データを作成します。

2. 3Dプリンターが3次元データを読み込めるようにSTL形式のデータに変換します。

3. STL形式のデータをツールパスデータに変換します。

4. 3Dプリンター作動

5. 構造物に支持材として溶着している副材を取り除きます。

6. バリなどを表面処理することで滑らかな仕上がりになります。

図6 3DCADデータからツールパスデータへの変換

図6. 3DCADデータからツールパスデータへの変換

取り扱えるフィラメントの材料

3Dプリンターは機器の種類や素材の溶解方式などによって取り扱える材料に制限があります。

たとえば樹脂に対応している3Dプリンターであれば、一般的な柔らかい樹脂から固い樹脂まで取り扱うことができます。そして、金属に対応しているタイプであれば金属の構造物を積層することが可能です。3Dプリンターの種類によっては幅広く材料を取り扱えるタイプもあります。

ここでは取り扱えるフィラメントの材料として樹脂と金属に焦点をあてて説明を行います。

樹脂製フィラメント

樹脂製フィラメント

3Dプリンター用フィラメント(PLA樹脂) – 画像出典元: Amazon

樹脂製のフィラメントの種類として初学者から上級者まで多く使用されている樹脂にはPLA樹脂やABS樹脂があります。

この他の樹脂材料にはナイロンや石膏、ゴム、エポキシ系などがあります。

1. PLA樹脂

トウモロコシなどを主成分としたポリ乳酸から構成されている再生材料から合成された樹脂です。

2. ABS樹脂

アクリロニトリルブタジエンスチレンから構成されている合成樹脂です。

金属製フィラメント

金属製のフィラメントの種類にはステンレスや真鍮、チタン、プラチナ、シルバー、ゴールドなどが挙げられます。

この他には特殊な素材として青銅が粉末として含有されたフィラメントなどがあります。

 

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp
https://www.jstage.jst.go.jp
https://www.ricoh.co.jp
https://3dprinter.co.jp
https://i-maker.jp
https://www.ricoh.co.jp

産業用レンズ

産業用レンズとは

産業用レンズ

産業用レンズとは、工場内の生産ラインでの監視や検査、防犯カメラなど、業務用途のカメラに使われるレンズです。

産業用レンズの構造は、民生機器である一眼レフカメラなどのレンズと基本的には同じですが、使用用途に応じてより高分解能であったり、低歪みであったりなど、求められる性能に特化した設計がなされています。また、産業用レンズは、民生カメラレンズと同じようにレンズと撮影エレメントを持つカメラをつなぐレンズマウントという構造を持ちます。

レンズマウントにはさまざまな種類がありますが、アダプタを介すると互換性を持たせることが可能です。しかし、各々のレンズマウントの間に互換性がないものもあるため注意が必要です。

産業用レンズの使用用途

産業用レンズは、産業用カメラとセットで使われます。産業用カメラはさまざまな工業製品の生産ラインで、幅広く用いられています。具体的には、半導体やIC、医療や製薬、農業や食品、自動車、金属加工、樹脂、セラミックス、フィルム製品の生産工場などの分野です。

私たちの身の回りでは、監視カメラ、防犯カメラに使われているレンズも産業用レンズです。自動車にも運転を支援したり自動運転のためにカメラが搭載されており、これらのカメラに使われているレンズも、産業用レンズと呼ぶことができます。

産業用レンズの原理

産業用レンズは、民生用カメラのレンズと同じであり、複数の凸レンズと凹レンズが組み合わされています。産業用レンズは特に低歪み性が求められることが多く、画像の周辺でも映像が歪まないための設計がなされているのが特徴です。また、テレセントリック光学系という設計が用いられたレンズもあります。

テレセントリック光学系とは、ピントを変化させても、対象物の大きさが変わらないレンズ構成のことです。たとえば、前面が凸レンズの場合、レンズに照射された光はレンズ後面に向かって収束するように光路が変化していきます。光路上に複数のレンズを設置することで光路の補正を行い、レンズ後面から他の部品に向かう光を平行光にしたレンズはテレセントリックレンズと呼ばれます。

民生用の一眼カメラ用のレンズでは、絞りとピントリングという機構が搭載されているのが一般的です。しかし、産業用レンズでは、絞りやピントは固定されたものもあります。これは使用環境が固定されているので、使われる条件に合わせて最適な設計を行なっているからです。なお、絞りの仕組みは人間の瞳孔と同様の原理であり、光路径の大きさを変えることでレンズから入ってくる光の量を調整しています。

また、これらの機能を備えていることで被写界深度と呼ばれるピントが合う範囲の調整を行うこともできます。ピントリングとは、被写体がレンズを通して撮影エレメント上で結像させるためにレンズ群を可動させるための機能です。

産業用レンズの種類

産業用レンズには、民生用レンズと同様に広角レンズ・標準レンズ・望遠レンズ、単焦点レンズ、ズームレンズなどがあります。そのほか、ラインセンサー用レンズという、非常に細長い領域に特化したレンズやテレセントリックレンズも、産業用レンズの1つです。

微小撮影用レンズ・対角・円周魚眼レンズという区分もあります。微小撮影用レンズは極端に近い距離にある被写体を映せるため、小さな物体の微細な損傷などを確認する検査に使用されます。

対角・円周魚眼レンズは、広角レンズよりもさらに広い範囲を映すことが可能です。取得された画像が大きくゆがんでしまう欠点がありますが、車載カメラなどの極端な広範囲を撮影する必要がある場合に利用されます。

参考文献
https://www.toshiba-teli.co.jp/products/industrial/info/t/t0004_Lens_Terminology_j.htm
https://www.tochigi-nikon.co.jp/products/lens/index.htm
https://www.canon-its.co.jp/column/detail/img_column01_04.html

加速度センサー

加速度センサーとは

加速度センサー

加速度センサーとは、加速度を測定する為のセンサーです。

加速度とは単位時間当たりの速度の増加を示しており、物理学において物体に力を及ぼすことのできるパラメーターとして加速度は重要になります。

加速度センサーは静電容量メソッド・圧電型 (ピエゾ抵抗) メソッド・熱感知メソッドに大別されます。各メソッドのセンサーには検知できる加速度に違いがあります。静電容量メソッドでは重力加速度を検知できますが、圧電型 (ピエゾ抵抗) メソッドでは重力加速度を検知することができません。

加速度センサーの使用用途

加速度センサーは単純に加速度を測定するほか、加速度を介して他のパラメーターを測定する際にも使用します。前者の利用方法としてはスマートフォンや携帯ゲーム機などに内蔵されているセンサー、車のエアバックを作動させるための衝撃検知用センサー、そのほかに地震計などのセンサーなどがあげられます。

後者の利用法としては、重力加速度を検知することができる静電容量メソッドの加速度センサーを利用した傾斜計や歩数計などがあげられます。

加速度センサーの原理

加速度センサーは静電容量メソッド・圧電型(ピエゾ抵抗)メソッド・熱感知メソッドに大別されます。各メソッドの基本的な原理は共通しており、センサーはフィックスパートとフレキシブルパートに分かれています。加速度センサーに加速度が負荷されるとフレキシブルパートが変形します。

フィックスパートとこの変形したフレキシブルパートとの差異をエレメントが検知することで、加速度を測定します。静電容量メソッドではフィックスパートとフレキシブルパートそれぞれに電極が存在します。電極をもつフィックスパートとフレキシブルパートが交互に櫛状に配列されているのがセンサーの構成です。

フィックスパートとフレキシブルパートの電極間の静電容量は加速度が負荷されることで変化するため、その変化量から加速度を求めることができます。加速度が負荷されていない状態 (重力加速度のみ負荷された状態) でも静電容量を持つため、重力加速度の測定が可能です。3軸加速度センサーによって重力加速度を検出する歩数計の例を、図1に示します。

3軸加速度センサー信号処理 (歩数計)

図1. 3軸加速度センサー信号処理 (歩数計)

(a) は、センサーが直接測定するデータであり、歩数計が歩行者の適切な位置に取り付けられている場合、身体重心の加速度の時系列データを表します。このデータには、低周波 (DC) 成分として重力加速度が含まれており、ローパスフィルタを適用することで、データ (b) のように重力加速度のみが抽出されます。

同時に、データ (a) に対してバンドパスフィルタを適用することで、低周波の重力加速度成分および高周波のノイズ成分を除去したデータ (c) が取得されます。データ (b) および (c) は、それぞれ3軸 (x,y,z) の時系列データであり、歩行中 (測定中) にセンサーの向きが変われば、各軸で検出される数値も変動することになります。

ここで、各時刻において (b) と (c) のデータの内積 (すなわち3次元ベクトルの内積) をとることによって、データ (d) のような身体重心加速度の重力方向成分 (1軸) の時系列データを得ることが可能です。

このようにして、センサーの向きによらず、重力加速度に対して正射影した、つまりベクトル量をスカラー量に変換した、歩行者の加速度の重力方向成分が得られ、このデータ (d) に基づいて、歩行ピッチや歩数の算出が可能となります。

圧電型 (ピエゾ抵抗) メソッドでは圧電エレメントを用いて加速度を測定します。圧電エレメントは加速度が加わり変形することで電流を発生させます。発生した電流を加速度として測定します。

加速度センサーのその他情報

1. 加速度センサーとジャイロセンサーの違い

加速度センサーと似た性能を持つセンサーの一つが、「ジャイロセンサー」です。ここでは、加速度センサーとジャイロセンサーの違いについて解説していきます。

加速度センサーはその名のとおり、「加速度」を測定するためのセンサーです。一方で、ジャイロセンサーは「角速度」を測定するためのセンサーなので、両者は検出対象となる物理量が異なるということになります。

ジャイロセンサーではコリオリ力を利用して対象物の向きや姿勢を検知し、それを電気信号として出力します。物体の傾きを測る場合などに利用されており、カーナビや手振れ補正付きデジタルカメラ、スマートフォンやゲーム機など、様々な電子機器に搭載されています。

また、加速度センサーとジャイロセンサーを組み合わせることで、物体の運動の様子をより詳しく測定することも可能です。たとえば、車載用品の一つであるカーナビにも両センサーを組み合わせ複合式センサーの技術が利用されています。

これによって、ジャイロセンサーでは自動車の向きを、加速度センサーによって移動距離をすることができ、トンネル内のような電波が届きにくい場所でも現在地を正確に表示することが可能となります。

2. 加速度センサーの使い方

加速度センサーを用いて目的のアプリケーションを実現させるためには、必要な測定範囲または周波数帯域などを事前に確認しておく必要があります。たとえば、ゲーム機のコントローラーに加速度センサーを搭載する場合、使用者がコントローラーを振って操作することを想定したうえで、必要な測定範囲以上のもの使用しなくてはなりません。

測定対象に適した加速度センサーが決まったら、実際にセンサーを配線し、測定プログラムを作成していきます。この時に重要となるのが、「パラメータ設定」です。パラメータ設定ではセンサーの感度や0g(重力加速度が0の時)出力レベルなどを変更できます。これらを適切に設定しなければ、目的のアプリケーションを実現させることは困難になります。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what5
https://www.cqpub.co.jp/DWM/CONTENTS/0126/dwm012600970.pdf
https://ednjapan.com/edn/articles/1205/16/news110.html