地磁気センサとは
地磁気センサとは、地球の持つ磁気 (地磁気) を検出するためのセンサです。
電子コンパスと呼ばれることもあり、XY軸を検出できる2軸タイプとXYZ軸を検出できる3軸タイプに分かれています。平地で使用する場合は2軸タイプで問題はありません。
しかし、傾斜地などで使用する場合は、3軸タイプでなければ正確な地磁気を検出することは不可能です。
地磁気センサの使用用途
地磁気センサは、一般的に方角を検出するために利用されます。登山用GPS端末などに電子コンパスとして搭載されているほか、マップ上の端末の向きを測定するためにスマートフォンやカーナビゲーションに搭載されています。
自動車などに搭載されているのはXY軸を検出する2軸タイプですが、航空機などピッチ・ヨーといった三次元的な運動が可能な場合XYZを検出できる3軸タイプを搭載する必要があります。
地磁気センサの原理
地磁気センサではX軸、Y軸、3軸の場合Z軸の各軸方向の磁力を計測し、方位を計算します。地磁気センサは3種類に分かれます。ホールセンサ・MR (英: Magneto Resistance) センサ・MI (英: Magneto Impedance) センサが代表的です。
1. ホールセンサ
磁場の垂直成分である磁束がホール素子に起電力を与え、それを地磁気として感知します。ホール効果を用ることによって磁束密度を測定し、増幅回路を通過した後に、磁束密度に比例した電圧を出力します。使い勝手が良いことが特徴です。
2. MRセンサ
MRセンサでは磁場の水平成分である磁束がMR素子にオームを与え、それを地磁気として感知します。ホールセンサと異なる点としては、MR素子の電気抵抗が磁界によって変化するのを利用して地場の大きさを測定します。
ホールセンサに比べ感度が高く、消費電力も小さいため、使用頻度が多く、電子コンパスなどの地磁気検出用途やモータの回転、位置検出用途などに用いられることが多いです。
3. MIセンサ
MIセンサーでは、アモルフォスワイヤーと呼ばれる結晶状態を持たない特殊な物質で構成されたワイヤーを使用します。地磁気の存在下でパルス状の電流をアモルフォスワイヤーに通電するとMI 効果が発生し、その磁気インピーダンスの変化を利用して地磁気を検出します。ホールセンサに対して10,000倍以上も感度に優れているため、地磁気の微小な変化も高精度に測定が可能です。
MI効果とは、磁性体に表皮効果を生じさせる高周波電流を通電する際、インピーダンスが外部磁界で高感度に変化する現象です。MIセンサではアモルファスワイヤにパルス電流を流した際の外部磁気に対する反応を、周囲に巻いているピックアップコイルで検出しています。
表皮効果とは、高周波電流が導体を流れる時に電流密度が導体の表面付近で大きくなり、内部になるにつれて小さくなる効果のことです。
地磁気センサのその他情報
1. ホール素子
ホール素子とは、ホール効果を利用した磁気センサです。ホール効果とは物質を流れる電子に対して垂直方向に磁界を加えると、電流と磁界に垂直な方向に起電力が発生する現象を指します。
電流になる荷電粒子が磁場の影響でローレンツ力を受けることで、物質内に電荷の偏りが発生します。この時物質内で電位差が発生し、起電力が生じます。
2. MRセンサ素子
MRセンサ素子とは、磁気抵抗効果 (MR効果) を利用した磁気センサ素子です。MR効果は磁界を変化させると抵抗値が変化する現象のことを指し、磁性体に見られます。
電子はアップスピンとダウンスピンと呼ばれる2つのスピン状態を有します。電子が強磁性体の中を進む際、電子のスピン状態が上下に変化すると、磁化された物質内での散乱確率が変動します。これがMR効果を引き起こす要因です。
参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what2
https://hakaru.jp/hakaru-tech/
http://uav.xenocross.net/hdg.html
https://www.akm.com/jp/ja/technology/technical-tutorial/basic-knowledge-magnetic-sensor/magnetic-sensor/
https://go.alps.jp/l/506151/2018-09-03/sx9dz