UV光源

UV光源とは

UV光源

UV光源とは、紫外線 (UV) を照射する器具です。

市販のUV光源装置は、紫外線を発生する光源部に加えて、冷却装置や紫外光を利用しやすいようにレンズを通して直線光にする光学系がセットになっているものがあります。種類ごとに発振される紫外線が異なります。

3種類の光源があり、365nm (ナノメートル) の波長の紫外線を発する「高圧水銀型」、200〜400nmの紫外線を発する「メタルハライド型」、254nm・185nmの波長を発振する「低圧水銀型のランプ」に区別されます。照射可能な紫外線の種類は機器の機能に大きく関わっており、目的に応じたUV光源の選択が必要です。

高強度のUV光源は、装置自体が高温となるため、冷却装置が付いています。使用時には異臭を伴うオゾンが発生したり、周囲の有機物を分解する可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

UV光源の使用用途

目的に応じて異なるUV光源を使用します。種類による使用用途は以下の通りです。

1. 高圧水銀型のランプ

UV樹脂・塗料の硬化に利用されることが多いです。

2. メタルハライド型のランプ

短波長の紫外線で硬化する樹脂・塗料に利用されます。高圧水銀型と比較してメタルハライド型のランプは、発振される紫外線が連続波長のため、UV樹脂・塗料の硬化時のトータルエネルギーが強いです。

3. 低圧水銀型のランプ

254nmの短波長を紫外線殺菌などに利用し、254nm/185nmの複数波長は殺菌のほか、水の抗酸化処理やUV洗浄に用います。また、オゾンも発生するため、シリコン基板などに付着した有機物洗浄にも利用できます。ただし長時間使用すると酸化膜が形成するため、潮位が必要です。

UV光源の原理

UV光源は、気体の水銀の放電により紫外線を放出する装置です。UV光源は、両端に電極が備え付けられたガラス管に水銀 (Hg) と希ガスを封入された構造になっています。

電極に流された電流によって内部で熱エネルギーが発生します。エミッタ (電子放射物質) が熱エネルギーにより電子を放出し、電子は電極の間で一方向に向かって移動します。この移動中に、電子は内部に存在するHg分子に衝突し、Hg分子はその衝撃により紫外線を放出するわけです。

紫外線はガラスを通過する際に塗装された蛍光物質に接触、吸収されることで波長が変化され、目的の波長の紫外線として照射されます。つまり、紫外線の波長を決定するのは、ガラスの材質やガラスに塗装された蛍光物質の違いです。

高圧Hgランプとメタルハライド型のランプでは石英ガラスが使用されることに対して、低圧Hgランプでは合成石英ガラスが使用されます。なお、低圧Hgランプでは内部にオゾンが封入されているかどうかによって更に波長を変化させることが可能です。

UV光源のその他情報

1. UV光源のLED化

一般の白熱灯や蛍光灯は、10年以上前からLEDへの置き換えが進んでいます。しかし、UV光源は前述したように、まだまだ水銀を使用したUV光源が一般的に広く使用されています。

UV光源のLED化を妨げている要因として、樹脂の硬化やインクや塗料の乾燥に使用するには、出力が低く、作業時間が長く掛かるということが挙げられます。しかし、各LED光源メーカーの努力もあり、最近では高出力のLED (UV) 光源も登場してきました。

通常のUV光源をLED光源に置き換えるとことで、消費電力の減少よって電気代削減を見込め、高寿命かつ電源のON/OFFによる劣化も少ないため、光源の交換が減るといったメリットがあります。また、UV光源である紫外線ランプは水銀を使用していることから、人体や環境に悪影響を及ぼす水銀使用量を削減するという視点からも、LED光源化へのメリットは非常に大きいです。

2. UV光源でUV硬化しない原因

UV光源の活用例として樹脂の硬化に用いられることがありますが、使用状況や環境、樹脂材料の組み合わせによっては樹脂が固まらないことがあります。主な原因を以下に挙げます。

湿度が高い
材料及び硬化剤の組み合わせによっては、高湿度の場合には著しく樹脂の硬化速度が低下する場合です。このような環境で作業が必要な場合には、添加剤を使用する事で改善する可能性があります。

波長が合っていない
材料や硬化剤毎に、硬化させるために照射する最適なUV波長が存在します。材料や硬化剤のスペックを確認し、最適な光源を使用しているか確認してください。

光源の出力が足りない
LED光源では出力が足りないために、部材の奥まで光が届かず硬化が行われないことがあります。水銀ランプと同様の設定ではうまく硬化しない可能性があるため、光源を変えた場合などには工夫が必要です。

参考文献
https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html
http://www.jatec.jp/uvlamp.html
https://www.sankyo-denki.co.jp/blank-15