カメラモジュール

カメラモジュールとは

カメラモジュール

 

カメラモジュールとは民生機器である一眼レフカメラと同様の構造を持つ、産業用機器です。カメラモジュールはレンズとカメラに分けることができます。レンズとカメラを接続するマウントと呼ばれるパーツがあり、マウントの規格が同一であればレンズを交換することが可能です。カメラの撮影素子にはCMOSとCCDの二種類があります。また画像の切り出し方法にはグローバルシャッターとローリングシャッターの二種類があります。

カメラモジュールの使用用途

カメラモジュールは小型のものではスマートフォンやパソコンのカメラとして利用されます。ATMまた自販機や券売機の顔認証用として利用される場合もあります。比較的大型のものでは防犯カメラとしての利用や、車載用カメラ、検査・測定目的での産業用機器に搭載しての利用などがなされています。

カメラモジュールの原理

カメラモジュールではレンズから入行してきた光を撮影素子上で結像させ、電気信号に変化することで画像を取得します。
撮影素子はCMOSとCCDの2種類に大別されます。CMOSは低電力で作動することが可能であり、一方CCDは後述するグローバルシャッターを搭載しています。どちらのセンサーもフォトダイオードに入行した光を電気信号に変換し、フォトダイオード後方に設置されたCDS・AGC・ADSなどによりノイズを抑え、安定したデジタル信号に変換します。デジタル信号は画像処理エンジンにより画像データとして出力されます。

グローバルシャッターとローリングシャッターの違いについて説明します。グローバルシャッターでは無数のフォトダイオードに入行した光を同じタイミングで電気信号に変換することができます。ローリングシャッターでは渦巻き状に順々に電気信号に変換します。ローリングシャッターは原理上、素早く横切る被写体を撮影すると被写体が斜めに傾いて歪んで撮影されます。カメラモジュールで取得できる画像はカラーとモノクロのものがあります。カラーセンサーでは青・赤・緑の三色のうち単一色を判別できるフォトダイオードがベイヤーセンサーと呼ばれる入れ子状配列に並んでいます。単一のフォトダイオードでは単一色の色情報しか入手できませんが、周辺の他の色を担当するフォトダイオードからの情報を入手することで疑似的に一つのフォトダイオードで三色の情報を得ています。

カメラモジュールの市場

2020年時点での世界カメラモジュール市場は好調で、今後も高い成長率が見込まれています。

スマートフォンなどのモバイル端末のカメラは、2015年頃からマルチカメラ化が始まり、シングルからデュアル、トリプル、クアッドと進化を遂げています。

高画質化に加えて、AF、ズームや広角機能に加えて、ToFやLiDARなどのセンサーカメラモジュールの搭載により、暗所でのAF性能向上や顔認証精度向上、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)機能への活用など更なる拡大が見込まれています。

自動車市場においても、先進運転支援システム(ADAS)として車一台当たりのカメラ搭載台数が増加傾向にあります。

家電分野や産業分野においても、省人化、セキュリティ、リモート化のニーズからスマート製品や、アシスタントロボットやドローンへの搭載需要が拡大していくと予想されています。

カメラモジュールを構成するレンズの進化や新素材の活用、MEMS(微小電気機械システム)などの技術の発展が、カメラモジュールの価値を高めています。

車載用カメラモジュール

車載用カメラモジュールの需要は、従来のミラーに変わる周辺死角のモニタリング用途中心から、先進安全支援システム(ADAS)や自動運転の需要が拡大して、センシングを用途とするものに急速に変化してきています。

高度な光学、画像処理、通信技術と合わせて「安全、安心」な車社会の実現に向けて大きな役割を果たしています。

車載用カメラモジュールは次のように様々なものがあります。

  • 前方監視カメラモジュール
    車の進行方向の状況をモニタリングし、安全運転の支援を行います。
  • ドライブレコーダー用カメラモジュール
    走行中や停車中の前方や車内の状況を常時動画として記録するために用いられます。
  • ドライバーモニタリングカメラモジュール
    運転中のドライバーを監視し、よそ見や居眠りなどの危険予知システムに用いられます。
  • サラウンドビューカメラモジュール
    360度車の周辺死角をなくし安全確保のために配置されます。

参考文献
https://www.shikino.co.jp/products/embedded-cameras-for-industrial-use.php
https://jp.sharp/products/device/about/ic/ccd_cmos/imagesensor/index.html
http://optronics-media.com/news/20140930/26791/
https://www.kyocera.co.jp/prdct/camera/index.html

UV光源

UV光源とは

UV光源

UV光源とは、紫外線 (UV) を照射する器具です。

市販のUV光源装置は、紫外線を発生する光源部に加えて、冷却装置や紫外光を利用しやすいようにレンズを通して直線光にする光学系がセットになっているものがあります。種類ごとに発振される紫外線が異なります。

3種類の光源があり、365nm (ナノメートル) の波長の紫外線を発する「高圧水銀型」、200〜400nmの紫外線を発する「メタルハライド型」、254nm・185nmの波長を発振する「低圧水銀型のランプ」に区別されます。照射可能な紫外線の種類は機器の機能に大きく関わっており、目的に応じたUV光源の選択が必要です。

高強度のUV光源は、装置自体が高温となるため、冷却装置が付いています。使用時には異臭を伴うオゾンが発生したり、周囲の有機物を分解する可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

UV光源の使用用途

目的に応じて異なるUV光源を使用します。種類による使用用途は以下の通りです。

1. 高圧水銀型のランプ

UV樹脂・塗料の硬化に利用されることが多いです。

2. メタルハライド型のランプ

短波長の紫外線で硬化する樹脂・塗料に利用されます。高圧水銀型と比較してメタルハライド型のランプは、発振される紫外線が連続波長のため、UV樹脂・塗料の硬化時のトータルエネルギーが強いです。

3. 低圧水銀型のランプ

254nmの短波長を紫外線殺菌などに利用し、254nm/185nmの複数波長は殺菌のほか、水の抗酸化処理やUV洗浄に用います。また、オゾンも発生するため、シリコン基板などに付着した有機物洗浄にも利用できます。ただし長時間使用すると酸化膜が形成するため、潮位が必要です。

UV光源の原理

UV光源は、気体の水銀の放電により紫外線を放出する装置です。UV光源は、両端に電極が備え付けられたガラス管に水銀 (Hg) と希ガスを封入された構造になっています。

電極に流された電流によって内部で熱エネルギーが発生します。エミッタ (電子放射物質) が熱エネルギーにより電子を放出し、電子は電極の間で一方向に向かって移動します。この移動中に、電子は内部に存在するHg分子に衝突し、Hg分子はその衝撃により紫外線を放出するわけです。

紫外線はガラスを通過する際に塗装された蛍光物質に接触、吸収されることで波長が変化され、目的の波長の紫外線として照射されます。つまり、紫外線の波長を決定するのは、ガラスの材質やガラスに塗装された蛍光物質の違いです。

高圧Hgランプとメタルハライド型のランプでは石英ガラスが使用されることに対して、低圧Hgランプでは合成石英ガラスが使用されます。なお、低圧Hgランプでは内部にオゾンが封入されているかどうかによって更に波長を変化させることが可能です。

UV光源のその他情報

1. UV光源のLED化

一般の白熱灯や蛍光灯は、10年以上前からLEDへの置き換えが進んでいます。しかし、UV光源は前述したように、まだまだ水銀を使用したUV光源が一般的に広く使用されています。

UV光源のLED化を妨げている要因として、樹脂の硬化やインクや塗料の乾燥に使用するには、出力が低く、作業時間が長く掛かるということが挙げられます。しかし、各LED光源メーカーの努力もあり、最近では高出力のLED (UV) 光源も登場してきました。

通常のUV光源をLED光源に置き換えるとことで、消費電力の減少よって電気代削減を見込め、高寿命かつ電源のON/OFFによる劣化も少ないため、光源の交換が減るといったメリットがあります。また、UV光源である紫外線ランプは水銀を使用していることから、人体や環境に悪影響を及ぼす水銀使用量を削減するという視点からも、LED光源化へのメリットは非常に大きいです。

2. UV光源でUV硬化しない原因

UV光源の活用例として樹脂の硬化に用いられることがありますが、使用状況や環境、樹脂材料の組み合わせによっては樹脂が固まらないことがあります。主な原因を以下に挙げます。

湿度が高い
材料及び硬化剤の組み合わせによっては、高湿度の場合には著しく樹脂の硬化速度が低下する場合です。このような環境で作業が必要な場合には、添加剤を使用する事で改善する可能性があります。

波長が合っていない
材料や硬化剤毎に、硬化させるために照射する最適なUV波長が存在します。材料や硬化剤のスペックを確認し、最適な光源を使用しているか確認してください。

光源の出力が足りない
LED光源では出力が足りないために、部材の奥まで光が届かず硬化が行われないことがあります。水銀ランプと同様の設定ではうまく硬化しない可能性があるため、光源を変えた場合などには工夫が必要です。

参考文献
https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html
http://www.jatec.jp/uvlamp.html
https://www.sankyo-denki.co.jp/blank-15

地磁気センサ

地磁気センサとは

地磁気センサとは、地球の持つ磁気 (地磁気) を検出するためのセンサです。

電子コンパスと呼ばれることもあり、XY軸を検出できる2軸タイプとXYZ軸を検出できる3軸タイプに分かれています。平地で使用する場合は2軸タイプで問題はありません。

しかし、傾斜地などで使用する場合は、3軸タイプでなければ正確な地磁気を検出することは不可能です。

地磁気センサの使用用途

地磁気センサは、一般的に方角を検出するために利用されます。登山用GPS端末などに電子コンパスとして搭載されているほか、マップ上の端末の向きを測定するためにスマートフォンやカーナビゲーションに搭載されています。

自動車などに搭載されているのはXY軸を検出する2軸タイプですが、航空機などピッチ・ヨーといった三次元的な運動が可能な場合XYZを検出できる3軸タイプを搭載する必要があります。

地磁気センサの原理

地磁気センサではX軸、Y軸、3軸の場合Z軸の各軸方向の磁力を計測し、方位を計算します。地磁気センサは3種類に分かれます。ホールセンサ・MR (英: Magneto Resistance) センサ・MI (英: Magneto Impedance) センサが代表的です。

1. ホールセンサ

磁場の垂直成分である磁束がホール素子に起電力を与え、それを地磁気として感知します。ホール効果を用ることによって磁束密度を測定し、増幅回路を通過した後に、磁束密度に比例した電圧を出力します。使い勝手が良いことが特徴です。

2. MRセンサ

MRセンサでは磁場の水平成分である磁束がMR素子にオームを与え、それを地磁気として感知します。ホールセンサと異なる点としては、MR素子の電気抵抗が磁界によって変化するのを利用して地場の大きさを測定します。

ホールセンサに比べ感度が高く、消費電力も小さいため、使用頻度が多く、電子コンパスなどの地磁気検出用途やモータの回転、位置検出用途などに用いられることが多いです。

3. MIセンサ

MIセンサーでは、アモルフォスワイヤーと呼ばれる結晶状態を持たない特殊な物質で構成されたワイヤーを使用します。地磁気の存在下でパルス状の電流をアモルフォスワイヤーに通電するとMI 効果が発生し、その磁気インピーダンスの変化を利用して地磁気を検出します。ホールセンサに対して10,000倍以上も感度に優れているため、地磁気の微小な変化も高精度に測定が可能です。

MI効果とは、磁性体に表皮効果を生じさせる高周波電流を通電する際、インピーダンスが外部磁界で高感度に変化する現象です。MIセンサではアモルファスワイヤにパルス電流を流した際の外部磁気に対する反応を、周囲に巻いているピックアップコイルで検出しています。

表皮効果とは、高周波電流が導体を流れる時に電流密度が導体の表面付近で大きくなり、内部になるにつれて小さくなる効果のことです。

地磁気センサのその他情報

1. ホール素子

ホール素子とは、ホール効果を利用した磁気センサです。ホール効果とは物質を流れる電子に対して垂直方向に磁界を加えると、電流と磁界に垂直な方向に起電力が発生する現象を指します。

電流になる荷電粒子が磁場の影響でローレンツ力を受けることで、物質内に電荷の偏りが発生します。この時物質内で電位差が発生し、起電力が生じます。

2. MRセンサ素子

MRセンサ素子とは、磁気抵抗効果 (MR効果) を利用した磁気センサ素子です。MR効果は磁界を変化させると抵抗値が変化する現象のことを指し、磁性体に見られます。

電子はアップスピンとダウンスピンと呼ばれる2つのスピン状態を有します。電子が強磁性体の中を進む際、電子のスピン状態が上下に変化すると、磁化された物質内での散乱確率が変動します。これがMR効果を引き起こす要因です。

 参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what2
https://hakaru.jp/hakaru-tech/
http://uav.xenocross.net/hdg.html
https://www.akm.com/jp/ja/technology/technical-tutorial/basic-knowledge-magnetic-sensor/magnetic-sensor/
https://go.alps.jp/l/506151/2018-09-03/sx9dz

3Dプリンター

3Dプリンターとは

3Dプリンター

3Dプリンター (英: 3d printer) とは、3次元データを元に印刷された断面を積層していくことで立体物を生成する機器です。

3Dプリンターは「熱溶解積層メソッド (FDM: Fused Deposition Modeling) 」「光造形メソッド (SLA: Stereolithography) 」「粉末焼結積層造形メソッド (SLS: Selective Laser Sintering) 」「インクジェットメソッド」「インクジェット粉末積層メソッド」の5種類に大別されます。

家庭用としては、「熱溶解積層メソッド」「光造形メソッド」の2種類が使われることが多いです。

3Dプリンターの種類ごとの用途・原理・メリット

1. 熱溶解積層メソッド (FDM: Fused Deposition Modeling)

使用用途

フィギュアや模型などの制作

原理

熱可塑性樹脂を0.5mm前後の細いノズルから吐出することで印刷を行います。

メリット
  • 本体が安価
  • 材料が安価なため低価格で印刷可能
  • 一般的用途の3Dプリンターとして主流
デメリット
  • サポート材が必要
  • 印刷時に発生する積層痕による造形物の外観の悪化
印刷可能な材料

PLA樹脂、ABS樹脂等

図1 熱溶解積層メソッド

図1. 熱溶解積層メソッド

2. 光造形メソッド (SLA: Stereolithography)

使用用途

モックアップや舞台用小道具などの作成

原理

光硬化する液体樹脂に光を当てることで硬化させて印刷を行います。

メリット

造形後の加工が容易で、透明の印刷物を作成可能

デメリット
  • 印刷物は太陽光に弱い
  • 印刷物の後処理に手間がかかる
印刷可能な材料

エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等

図2 光造形メソッド

図2. 光造形メソッド

3. 粉末焼結積層造形メソッド (SLS: Selective Laser Sintering)

使用用途

工業機器の部品や医療用インプラント

原理

粉末状の材料を、選択的に加熱・焼結させることを一層ずつ繰り返すことで印刷します。

メリット

サポート材の必要なしに大規模で強度のある構造物を印刷可能

デメリット
  • プリンター本体を含め、設備が高価である
  • 印刷物の表面がざらざらである
印刷可能な材料

ナイロンチタンなどの金属材料等

図3 粉末熱結積層造形メソッド図3. 粉末熱結積層造形メソッド

4. インクジェットメソッド

使用用途

医療用部品・小ロットの製品製造

原理

紫外線硬化性の材料をあたかも普通のプリンターで印刷するように二次元上に配置したのちに紫外線を照射させ硬化させることで印刷を行います。

メリット

設置が容易で高分解能の印刷が可能

デメリット

印刷物は、脆く、太陽光に弱い

印刷可能な材料

エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等

図4 インクジェットメソッド

図4. インクジェットメソッド

5. インクジェット粉末積層メソッド

使用用途

医療用部品・小ロットの製品製造

原理

石膏上に接着材を配置し硬化させることで印刷を行います。着色剤を用いることでカラーでの構造物を作成できます。

メリット

設置が容易で高分解能の印刷が可能

デメリット

印刷物の強度が低い

印刷可能な材料

石膏、樹脂、金属、砂等

図5 インクジェット粉末積層メソッド

図5. インクジェット粉末積層メソッド

3Dプリンターの使い方

3Dプリンターは、樹脂を溶解することで設計した構造物を積層していくことができます。

準備の必要があるものと実際の手順をご説明します。

準備する必要のあるもの

  • パソコン
  • 3Dプリンター
  • 立体的なCAD図を設計するための3DCADソフト
  • スライスソフト
    • スライスソフトは、3次元データをツールパスデータに変換する機能を持っています。
  • フィラメント
    • フィラメントは積層する材料です。3Dプリンターの積層方法によって種類が異なりますが、PLA樹脂やABS樹脂などが初学者には多く利用されています。

3Dプリンターで構造物を積層するまでの手順

1. 構造物を積層するには3DCADソフトを利用することで3次元データを作成します。

2. 3Dプリンターが3次元データを読み込めるようにSTL形式のデータに変換します。

3. STL形式のデータをツールパスデータに変換します。

4. 3Dプリンター作動

5. 構造物に支持材として溶着している副材を取り除きます。

6. バリなどを表面処理することで滑らかな仕上がりになります。

図6 3DCADデータからツールパスデータへの変換

図6. 3DCADデータからツールパスデータへの変換

3Dプリンターのその他情報

取り扱えるフィラメントの材料

3Dプリンターは機器の種類や素材の溶解方式などによって取り扱える材料に制限があります。

たとえば樹脂に対応している3Dプリンターであれば、一般的な柔らかい樹脂から固い樹脂まで取り扱うことができます。そして、金属に対応しているタイプであれば金属の構造物を積層することが可能です。3Dプリンターの種類によっては幅広く材料を取り扱えるタイプもあります。

ここでは取り扱えるフィラメントの材料として樹脂と金属に焦点をあてて説明を行います。

樹脂製フィラメント

樹脂製フィラメント

3Dプリンター用フィラメント(PLA樹脂) – 画像出典元: Amazon

樹脂製のフィラメントの種類として初学者から上級者まで多く使用されている樹脂にはPLA樹脂やABS樹脂があります。

この他の樹脂材料にはナイロンや石膏、ゴム、エポキシ系などがあります。

1. PLA樹脂
トウモロコシなどを主成分としたポリ乳酸から構成されている再生材料から合成された樹脂です。

2. ABS樹脂
アクリロニトリルブタジエンスチレンから構成されている合成樹脂です。

金属製フィラメント

金属製のフィラメントの種類にはステンレスや真鍮、チタン、プラチナ、シルバー、ゴールドなどが挙げられます。

この他には特殊な素材として青銅が粉末として含有されたフィラメントなどがあります。

 

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp
https://www.jstage.jst.go.jp
https://www.ricoh.co.jp
https://3dprinter.co.jp
https://i-maker.jp
https://www.ricoh.co.jp

産業用レンズ

産業用レンズとは

産業用レンズ

産業用レンズとは、工場内の生産ラインでの監視や検査、防犯カメラなど、業務用途のカメラに使われるレンズです。

産業用レンズの構造は、民生機器である一眼レフカメラなどのレンズと基本的には同じですが、使用用途に応じてより高分解能であったり、低歪みであったりなど、求められる性能に特化した設計がなされています。また、産業用レンズは、民生カメラレンズと同じようにレンズと撮影エレメントを持つカメラをつなぐレンズマウントという構造を持ちます。

レンズマウントにはさまざまな種類がありますが、アダプタを介すると互換性を持たせることが可能です。しかし、各々のレンズマウントの間に互換性がないものもあるため注意が必要です。

産業用レンズの使用用途

産業用レンズは、産業用カメラとセットで使われます。産業用カメラはさまざまな工業製品の生産ラインで、幅広く用いられています。具体的には、半導体やIC、医療や製薬、農業や食品、自動車、金属加工、樹脂、セラミックス、フィルム製品の生産工場などの分野です。

私たちの身の回りでは、監視カメラ、防犯カメラに使われているレンズも産業用レンズです。自動車にも運転を支援したり自動運転のためにカメラが搭載されており、これらのカメラに使われているレンズも、産業用レンズと呼ぶことができます。

産業用レンズの原理

産業用レンズは、民生用カメラのレンズと同じであり、複数の凸レンズと凹レンズが組み合わされています。産業用レンズは特に低歪み性が求められることが多く、画像の周辺でも映像が歪まないための設計がなされているのが特徴です。また、テレセントリック光学系という設計が用いられたレンズもあります。

テレセントリック光学系とは、ピントを変化させても、対象物の大きさが変わらないレンズ構成のことです。たとえば、前面が凸レンズの場合、レンズに照射された光はレンズ後面に向かって収束するように光路が変化していきます。光路上に複数のレンズを設置することで光路の補正を行い、レンズ後面から他の部品に向かう光を平行光にしたレンズはテレセントリックレンズと呼ばれます。

民生用の一眼カメラ用のレンズでは、絞りとピントリングという機構が搭載されているのが一般的です。しかし、産業用レンズでは、絞りやピントは固定されたものもあります。これは使用環境が固定されているので、使われる条件に合わせて最適な設計を行なっているからです。なお、絞りの仕組みは人間の瞳孔と同様の原理であり、光路径の大きさを変えることでレンズから入ってくる光の量を調整しています。

また、これらの機能を備えていることで被写界深度と呼ばれるピントが合う範囲の調整を行うこともできます。ピントリングとは、被写体がレンズを通して撮影エレメント上で結像させるためにレンズ群を可動させるための機能です。

産業用レンズの種類

産業用レンズには、民生用レンズと同様に広角レンズ・標準レンズ・望遠レンズ、単焦点レンズ、ズームレンズなどがあります。そのほか、ラインセンサー用レンズという、非常に細長い領域に特化したレンズやテレセントリックレンズも、産業用レンズの1つです。

微小撮影用レンズ・対角・円周魚眼レンズという区分もあります。微小撮影用レンズは極端に近い距離にある被写体を映せるため、小さな物体の微細な損傷などを確認する検査に使用されます。

対角・円周魚眼レンズは、広角レンズよりもさらに広い範囲を映すことが可能です。取得された画像が大きくゆがんでしまう欠点がありますが、車載カメラなどの極端な広範囲を撮影する必要がある場合に利用されます。

参考文献
https://www.toshiba-teli.co.jp/products/industrial/info/t/t0004_Lens_Terminology_j.htm
https://www.tochigi-nikon.co.jp/products/lens/index.htm
https://www.canon-its.co.jp/column/detail/img_column01_04.html

加速度センサー

加速度センサーとは

加速度センサー

加速度センサーとは、加速度を測定する為のセンサーです。

加速度とは単位時間当たりの速度の増加を示しており、物理学において物体に力を及ぼすことのできるパラメーターとして加速度は重要になります。

加速度センサーは静電容量メソッド・圧電型 (ピエゾ抵抗) メソッド・熱感知メソッドに大別されます。各メソッドのセンサーには検知できる加速度に違いがあります。静電容量メソッドでは重力加速度を検知できますが、圧電型 (ピエゾ抵抗) メソッドでは重力加速度を検知することができません。

加速度センサーの使用用途

加速度センサーは単純に加速度を測定するほか、加速度を介して他のパラメーターを測定する際にも使用します。前者の利用方法としてはスマートフォンや携帯ゲーム機などに内蔵されているセンサー、車のエアバックを作動させるための衝撃検知用センサー、そのほかに地震計などのセンサーなどがあげられます。

後者の利用法としては、重力加速度を検知することができる静電容量メソッドの加速度センサーを利用した傾斜計や歩数計などがあげられます。

加速度センサーの原理

加速度センサーは静電容量メソッド・圧電型(ピエゾ抵抗)メソッド・熱感知メソッドに大別されます。各メソッドの基本的な原理は共通しており、センサーはフィックスパートとフレキシブルパートに分かれています。加速度センサーに加速度が負荷されるとフレキシブルパートが変形します。

フィックスパートとこの変形したフレキシブルパートとの差異をエレメントが検知することで、加速度を測定します。静電容量メソッドではフィックスパートとフレキシブルパートそれぞれに電極が存在します。電極をもつフィックスパートとフレキシブルパートが交互に櫛状に配列されているのがセンサーの構成です。

フィックスパートとフレキシブルパートの電極間の静電容量は加速度が負荷されることで変化するため、その変化量から加速度を求めることができます。加速度が負荷されていない状態 (重力加速度のみ負荷された状態) でも静電容量を持つため、重力加速度の測定が可能です。3軸加速度センサーによって重力加速度を検出する歩数計の例を、図1に示します。

3軸加速度センサー信号処理 (歩数計)

図1. 3軸加速度センサー信号処理 (歩数計)

(a) は、センサーが直接測定するデータであり、歩数計が歩行者の適切な位置に取り付けられている場合、身体重心の加速度の時系列データを表します。このデータには、低周波 (DC) 成分として重力加速度が含まれており、ローパスフィルタを適用することで、データ (b) のように重力加速度のみが抽出されます。

同時に、データ (a) に対してバンドパスフィルタを適用することで、低周波の重力加速度成分および高周波のノイズ成分を除去したデータ (c) が取得されます。データ (b) および (c) は、それぞれ3軸 (x,y,z) の時系列データであり、歩行中 (測定中) にセンサーの向きが変われば、各軸で検出される数値も変動することになります。

ここで、各時刻において (b) と (c) のデータの内積 (すなわち3次元ベクトルの内積) をとることによって、データ (d) のような身体重心加速度の重力方向成分 (1軸) の時系列データを得ることが可能です。

このようにして、センサーの向きによらず、重力加速度に対して正射影した、つまりベクトル量をスカラー量に変換した、歩行者の加速度の重力方向成分が得られ、このデータ (d) に基づいて、歩行ピッチや歩数の算出が可能となります。

圧電型 (ピエゾ抵抗) メソッドでは圧電エレメントを用いて加速度を測定します。圧電エレメントは加速度が加わり変形することで電流を発生させます。発生した電流を加速度として測定します。

加速度センサーのその他情報

1. 加速度センサーとジャイロセンサーの違い

加速度センサーと似た性能を持つセンサーの一つが、「ジャイロセンサー」です。ここでは、加速度センサーとジャイロセンサーの違いについて解説していきます。

加速度センサーはその名のとおり、「加速度」を測定するためのセンサーです。一方で、ジャイロセンサーは「角速度」を測定するためのセンサーなので、両者は検出対象となる物理量が異なるということになります。

ジャイロセンサーではコリオリ力を利用して対象物の向きや姿勢を検知し、それを電気信号として出力します。物体の傾きを測る場合などに利用されており、カーナビや手振れ補正付きデジタルカメラ、スマートフォンやゲーム機など、様々な電子機器に搭載されています。

また、加速度センサーとジャイロセンサーを組み合わせることで、物体の運動の様子をより詳しく測定することも可能です。たとえば、車載用品の一つであるカーナビにも両センサーを組み合わせ複合式センサーの技術が利用されています。

これによって、ジャイロセンサーでは自動車の向きを、加速度センサーによって移動距離をすることができ、トンネル内のような電波が届きにくい場所でも現在地を正確に表示することが可能となります。

2. 加速度センサーの使い方

加速度センサーを用いて目的のアプリケーションを実現させるためには、必要な測定範囲または周波数帯域などを事前に確認しておく必要があります。たとえば、ゲーム機のコントローラーに加速度センサーを搭載する場合、使用者がコントローラーを振って操作することを想定したうえで、必要な測定範囲以上のもの使用しなくてはなりません。

測定対象に適した加速度センサーが決まったら、実際にセンサーを配線し、測定プログラムを作成していきます。この時に重要となるのが、「パラメータ設定」です。パラメータ設定ではセンサーの感度や0g(重力加速度が0の時)出力レベルなどを変更できます。これらを適切に設定しなければ、目的のアプリケーションを実現させることは困難になります。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what5
https://www.cqpub.co.jp/DWM/CONTENTS/0126/dwm012600970.pdf
https://ednjapan.com/edn/articles/1205/16/news110.html

オシロスコープ

オシロスコープとは

オシロスコープ

オシロスコープとは電気信号を波形として画面上に出力する機器で、時間経過による信号の変化を二次元的に観察できることが特徴です。

オシロスコープはアナロオシロスコープとデジタルオシロスコープに大別されます。

1. アナログオシロスコープ

入力信号をブラウン管の管面上に電子ビームを走査して波形を描き、それを観測するオシロスコープを指します。オシロスコープへの入力信号は、わずかの遅延時間で直ちに波形が表示されます。

2. デジタルオシロスコープ

入力信号をA/D変換器でデジタルデータに変換し、そのデータをメモリに一旦保存してから、ディスプレイで波形を表示するオシロスコープを指します。アナログオシロスコープとは異なり、離散的なデータの集まりなので、各データ間を補完して滑らかな曲線で表示させます。

オシロスコープの使用用途

オシロスコープは電気信号を波形として観察するため、電子回路の動作を視覚的に確認することができます。オシロスコープを利用することで、電子回路内の信号波形を確認し、設計の狙い通り動作しているかの検証が可能です。

高速デジタル回路の動作検証では、デジタル信号の変動(ジッター)に影響されない確実なタイミングで信号を取り込むことが求められますが、そのタイミングの設定にオシロスコープが使用されます。

また、機器の故障原因が電子回路にある場合、その電子回路の各部の信号波形を追跡することで故障部位を突き止められるため、電子機器の修理にも有効な測定器です。

オシロスコープの原理

従来のアナログオシロスコープでは、プローブから入力した信号はオシロスコープの垂直増幅回路に伝えられます。垂直増幅回路で信号は減衰もしくは増幅され、その後ブラウン管の垂直偏向板に伝わります。

垂直偏向板に印加された電圧によって電子ビームは上下に走査されます。この一連の流れがオシロスコープの原理です。入力した信号は同時にトリガ回路にも伝わりますが、その信号が設定されたトリガ条件に一致した瞬間から電子ビームは水平方向への走査を開始します。

デジタルオシロスコープでは、入力した信号をA/D変換器でデジタルデータに変換し、そのデータをメモリに順次保存します。そして入力信号がトリガ条件を満たした時点から所定時間経過後、新たなデータの保存を停止します。

その結果、上記メモリにはトリガ条件に一致したタイミング前後の信号が記録されているので、その信号をディスプレイで波形として表示します。即ち、トリガ以前の信号波形も観測可能です。

また、メモリ内のデータを使って、波形解析、例えばFFT演算による信号の周波数分析も行えます。さらには、そのデータをメモリカードなどに出力して、PCによる解析やデータの保存もできます。

オシロスコープの選び方

機種選定時には、測定内容に対して十分なスペックを備えたオシロスコープであることが重要なポイントです。具体的には、周波数特性、サンプリングレート、チャンネル数、メモリ長、利用可能なプローブの種類などの検討が必要となります。

現在のオシロスコープは波形を観測するという基本的な用途に加えて、タイミング検証や波形解析、コンプライアンステストなどへと用途が拡大しており、それに伴い測定範囲の拡大や高機能化が進んでいます。そのため、使用目的に合った機能を有する機種の選定が求められています。

オシロスコープの使い方

オシロスコープは、電圧の時間変化の観測に加えて、繰り返し信号の周波数測定やリサージュ曲線の描画なども可能です。電子回路の評価試験、ビデオや音声信号の波形観測、パワーデバイスの応答特性の試験、高速デジタル回路のタイミング余裕の測定、メカトロニクス製品における評価など幅広く利用されています。

測定する前準備としては、プローブの位相調整とプローブ間のスキュー調整があります。特にカレントプローブと電圧プローブを併用する場合、カレントプローブの遅延時間が大きいので、スキュー調整は必須です。また、電源投入後30分程度待ってから測定することも、十分な測定精度の確保のために欠かせません。

実際に所望の波形を観測するコツは、トリガ調整が必要になります。アナログオシロスコープでは、スロープの選択とトリガレベル、トリガディレイしか調整要素はありませんが、デジタルオシロスコープでは、それらに加えてパルス幅や間隔など様々なトリガ条件が設定できるようになりました。

さらに、複数のトリガ条件が成立したときに信号を取り込むシーケンシャルトリガも利用可能です。これらを活用し、観測する信号を取り込むテクニックが求められます。

オシロスコープのその他情報

1. アナログオシロスコープとデジタルオシロスコープの特徴と相違点

両者の特徴を纏めると次の様になります。

アナログオシロスコープ

  • リアルタイム性に優れていて、新たな信号を取り込んで表示するまでのデッドタイムが短い
  • 信号の明るさで、同一波形の発生頻度が判断できる
  • 単発現象や繰り返し頻度の少ない現象観測には不向き
  • 観測結果の保存には写真撮影機材などを用意する必要がある
  • 波形を使った解析はできない

デジタルオシロスコープ

  • 単発現象を補足して表示することが可能
  • 観測結果は、電子データとして扱えますので、保存が容易
  • 波形をデジタル・データとして扱い、プロセッサによる解析が可能
  • 信号処理にかかるデッドタイムが長いため、実際に観測できる時間が相対的に短くなる
  • 繰り返し波形における波形の頻度情報が失われる

今現在、工業計測の用途に限れば、入手可能なアナログオシロスコープは存在せず、ほぼ100%デジタルオシロスコープが選択されています。

<p.これは、高速A/Dコンバータや波形処理用のプロセッサが広く供給されていることや、デジタルオシロスコープの欠点を補う技術面の進歩などにより、比較的低価格でも高機能な製品が販売されるようになったのが理由です。

2. オシロスコープの注意点

オシロスコープで正しい波形を観測するためには幾つか注意すべき点がありますが、特に測定したい周波数帯域を充分カバーする周波数特性を持った機種を選定することが重要です。

オシロスコープの周波数特性は振幅が-3dBになる周波数で定義されますので、正確な振幅測定には被測定信号の周波数の5倍程度の周波数特性の機種を選定すべきです。

またデジタルオシロスコープでは、データサンプリング周波数に関しても注意しなければなりません。サンプリング周波数が被測定信号の2倍以下になると、エイリアシングを起こして偽波形が表示されてしまうためです。

参考文献

https://jp.tek.com/oscilloscope
https://www.iti.iwatsu.co.jp/ja/support/05_07.html
https://www.cqpub.co.jp/column/books/2001a/11891osiro/
https://electrictoolboy.com/media/1353/
https://www.keysight.com/jp/ja/assets/7018-05607/ebooks/5992-2095.pdf

交流電源

交流電源とは

交流電源とは、周波数を持って向きと大きさを変える交流電力のことを指します。

電力会社から一般家庭へ供給される電力は全て交流電源です。エアコン、冷蔵庫、照明器具などのコンセントに刺す家電は全て交流電源で動きます。

産業用途では、直流を交流へ変換する装置を交流電源装置と呼ぶこともあり、幅広く用いられています。

交流電源の使用用途

交流電源は一般家電から産業機器まで幅広く用いられます。

家庭用機器としては、ドライヤー、エアコン、電子レンジなど多くの家電が交流電源で動きます。産業用機器としては、業務用冷凍機や、排気用換気ブロワ、工業用水汲み上げポンプなどの電力源はほとんどが交流電源です。

IT業界などでは、重要なデータサーバーやデータストレージを保護するために無停電電源装置が使用されます。無停電電源装置とは、通常時は商用電源でバッテリーを充電しつつ交流電源を給電し、商用電源が切れたらバッテリーから電源を供給する商品です。交流電源装置と言った場合には、この無停電電源装置を指すこともあります。

データサーバなどは重要かつ精密機器です。交流電源のわずかな乱れによって故障する危険もあります。無停電電源装置は、これら精密機器に乱れのない交流電源を供給する目的でも使用されます。

また、意図的に交流電源の乱れを生み出すことで電気機器に故障が発生しないかを試験するためのシュミレーターも販売されています。

交流電源の原理

商用の交流電源は、主に同期発電機によって供給されます。同期発電機は、電磁誘導作用を利用して電力を供給します。

電磁誘導作用とは、巻銅線に磁石を近づけたり離したりすると電圧が発生する原理です。同期発電機は、内部で強力な磁場を発生させつつ巻線を高速回転させることで発生する電圧によって電力を生み出しています。

IT業界における交流(安定化)電源装置はACスタビライザ方式(AVR)と周波数コンバータ方式(CV・CF)の2つに大別されます。

1. ACスタビライザ方式

ACスタビライザ方式には出力電圧・波形を安定させる目的があり、周波数コンバータ方式にはそれに加え、周波数を安定化させる目的があります。

ACスタビライザ方式は、スライダック方式とタップ切り替え方式に大別されます。スライダック方式は、サーボモーターなどで変圧器のタップを連続的に切り替えることで交流電圧を一定に保つ方式です。

タップ切り替え方式では入力された交流電流の電圧を基準となる電圧と比較し、誤差を修正し出力する方式です。

2. 周波数コンバータ方式

周波数コンバータ方式はリニアアンプ方式とインバータ方式に大別されます。どちらの方式でも交流電流を一度直流電流に変換します。

その後、リニアアンプ方式ではリニアアンプを、インバータ方式ではDC/ACインバータを用いて出力電圧・周波数の補正を行い、交流電源として出力します。

交流電源のメリット

交流電源のメリットは大きく分けて2つあります。

1. 変圧が容易

交流電源は、変圧器の巻線比に応じて変圧を容易に行えます。長距離送電は高電圧で行うことで損失を少なくでき、需要場所に変圧器を置くことで容易に電力を取り出せます。

直流電源を用いても電圧を変換することは可能なのですが、コンバータ本体のコストや変換時の時間がかかってしまいます。この電圧を調整する方法により、送配電の設備コストを抑えることができるというのが交流電源の最大のメリットです。

2. 回路の遮断が容易

プラス電圧とマイナス電圧を交互に繰り返すというのが交流電源の特徴です。もし事故や災害の時に電流を一時的に止めたい場合、電流ゼロの瞬間を利用して遮断することで電気系統や遮断器本体に与えるダメージを抑えることができます。

交流電源のその他情報

交流電源の発明

交流電源を発明者した人物は、ニコラ・テスラという発明家です。テスラは現在のクロアチア共和国で生まれ、幼少期から数学が得意でした。

グラーツ工科大学在学中に「グラム発電機(発電機とモーターの両方機能を持つ直流電流の発電装置)」を目にしたテスラは、発電方法の改善について考えることになります。その5年後に、世界ではじめての交流電流の発電装置「二相交流モーター」の発明に成功しました。

その後テスラは交流電流の考えを発展させていき、直流電流で有名なトーマス・エジソンのもとで働くことになりました。しかし、直流電流の発明者であるエジソンは、テスラの発明した交流電流に対して否定的でした。

両者とも自身の発明した電流の有用性や安全性をアピールし、後に「直流電流のエジソンvs交流電流のテスラ」という構図が出来上がりました。この対立の末テスラの交流電流が世間的に認められ、現代では、交流電流はなくてはならないものになっています。

参考文献
OJO  http://kojo-seiko.co.jp/technology/001.html
エヌエフ回路設計ブロック  http://www.nfcorp.co.jp/techinfo/dictionary/055.html
KIKUSUI  https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply2&p=3
https://electric-facilities.jp/denki1/souden.html

直流電源

直流電源とは

直流電源

直流電源とは直流電源を供給する電源装置です。

電源には直流電源と交流電源の2種類があります。直流電源とは電流・電圧の向きが常に一方向である電源です。交流電源は、電流・電圧の向きが周期的に切り替わる電源を指します。

電力会社から供給される商用電源は、電圧変更と電源遮断が容易な交流電源が一般的です。対して、半導体の動作には直流電源が必要なため、電子製品へ供給する電源は直流でなければなりません。

したがって、直流電源は主に電子製品の動作に使用されます。

直流電源の使用用途

直流電源は身近な製品から産業分野の巨大装置まで幅広い用途で使用されます。以下が使用例です。

  • PC・スマートフォン充電用ACアダプタ
  • 路面電車用の電源供給装置
  • LED照明の電源供給装置
  • 空調機や冷蔵庫の制御基盤内部
  • 電解工場・メッキ工場用の電源供給装置
  • 直流を用いた電気炉の電源

家電製品でも多くは直流電源を内部に持ちますが、扇風機や白熱電球などの一部の家電は交流電源を直接使用するため、直流電源装置を持ちません。

直流電源の原理

直流電源装置 (AC-DC電源) は交流電源を整流・安定化させて直流電源にします。

直流化の方法によって大別すると、シャントレギュレーション方式・シリーズレギュレーション方式・スイッチングレギュレーション方式の三種類です。

1. シャントレギュレーション方式

シャントレギュレーション方式では入出力の間にダイオードと抵抗を直列に接続します。
交流電源がダイオードを一定の方向でしか通過できないため、出力端では直流電源が出力されます。
構造が簡単な代わりに抵抗による熱損失が大きいため、三方式の中で最低効率です。

2. シリーズレギュレーション方式

シリーズレギュレーション方式では入出力の間にトランジスタなどの素子を直列に接続します。
交流電源は一定の方向でしかトランジスタを通過することができないので、出力端では直流電源が出力されます。

3. スイッチングレギュレーション方式

スイッチングレギュレーション方式では交流電源を、スイッチング素子で電流・電圧の向きを切り替えます。その結果、一定方向かつ平均化された直流電源が出力されます。

直流電源のその他情報

1. 直流電源と交流電源の違い

先述した通り、電源には直流電源と交流電源があります。直流電源と交流電源の特徴を以下に列挙します。

直流電源の特徴

  • 乾電池や鉛蓄電池などの化学反応から取り出すことが可能
  • 半導体の動作には直流電源が必要
  • 長距離送電時にはリアクタンスによる損失がない
  • 誘導電磁波が発生しない
  • 変圧・遮断用装置が高価

交流電源の特徴

  • 同期発電機などの回転機器から電源を取り出すことが可能
  • 変圧器によって容易に変圧可能
  • 電流が0となるタイミングで容易に遮断が可能
  • 誘導による電磁波対策が必要
  • 力率や過渡安定度の考慮が必要

以上の特徴から、大型電源化に向いているため電力会社の商用電源は交流電源です。
ただし、近年は過渡安定度の考慮が不要で損失が少ない直流による大電力送電も検討されています。

2. 直流電源の使い方

直流電源は種類も規模もさまざまですが、いずれにおいても定電圧もしくは定電流でのモードで作動します。

・定電圧モード

定電圧モードは一定の電圧で動作するように作られたモードです。一定電圧で使用する電子回路の製品確認などに使用されます。定電圧モード一定の製品として、パワーサプライは広く産業に使用されます。

・定電流モード

定電流モードは一定の電流で動作するように作られたモードです。アナログ信号の電送や、LEDライトの調光装置に使用されます。

製品に内蔵された直流電源装置にはどちらかのモードのみで動作する場合が多いです。試験用直流電源装置などは各モードを手動で切り替えられる装置が多いため、用途に応じてモードを変更可能です。

参考文献
https://www.nfcorp.co.jp/techinfo/keisoku_kouza/dc/dc01/index.html
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply1
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply2
https://www.matsusada.co.jp/column/column-dc-power.html
https://www.matsusada.co.jp/column/constant.html
https://www.keisokuten.jp/static/dn03_kikusui.html?ref=top_slider

温湿度センサー

温湿度センサーとは

温湿度センサー

温湿度センサーとは、温度と湿度を測定するための機器です。

温度センサー湿度センサーで構成されています。1台で温度と湿度の2項目を計測できるため、設置の手間がかからず、設置スペースも必要ありません。

温湿度センサーの使用用途

温湿度センサーは温度および湿度を測定するために使用されるものであり、例えば以下のような分野で使用されています。

  • 外気温・湿度の測定
  • エアコンや暖房器具などの空調機器のセンサー
  • 自動車のエンジンを管理するセンサー
  • スマートフォンやパソコンなどのセンサー
  • 工業的な検査

温湿度センサーの原理

温湿度センサーは、温度センサーと湿度センサーにより構成されています。温度センサーは、測温抵抗体 (RTD) ・リニア抵抗器・サーミスタの3種類に大別され、湿度センサーは抵抗変化型と静電容量変化型の2つに大別されます。順番に解説します。

1. 温度センサー

測温抵抗体 (RTD)
温度センサーの1種である測温抵抗体 (RTD) は、電気抵抗値を測定することで温度が分かる仕組みです。白金、ニッケル、銅等の金属や金属酸化物、半導体の電気抵抗が温度の上昇とともに上がる性質を利用しており、電気抵抗値を測定することで温度を測定しています。

リニア抵抗器
リニア抵抗器は、ニッケルニッケルやパラジウムの合金を使用した測温抵抗体で、温度と抵抗がほぼ直線に増加する特性を利用しています。白金等を利用した測温抵抗体ほど精度は高くありません。

サーミスタ
サーミスタは、温度により抵抗値が変化する素子です。これを用いた温度センサーでは、素子の温度と抵抗の相関性を利用して温度を測定します。サーミスタは、温度の上昇により抵抗が高くなるPTCサーミスタ (正特性) と温度の上昇により抵抗が低くなるNTCサーミスタ (負特性) の2種類があります。

PCTサーミスタは、ある温度で抵抗が急上昇することが特徴で、半導体が熱暴走した際の過電流保護用などに好適です。一方のNCTサーミスタは、常温での抵抗値が高く、温度上昇による抵抗値変化が大きい特性を持ちます。そのため、温度での回路保護などが一般的な使用方法です。なお、通常サーミスタと言うと、NCTサーミスタを指します。

2. 湿度センサー

抵抗変化型
抵抗変化型の温度センサーは、抵抗値の変化から湿度を導き出すセンサーです。センサーに内蔵されたくし型の回路のくし歯の間を高分子よりなる感湿膜で橋渡しした構造を持つことが特徴です。

湿度が上昇して感湿膜が吸湿すると感湿膜内の可動イオンが増えることから感湿膜の抵抗値が下がり、逆に湿度が下がると抵抗値が上がることを利用しています。つまり、抵抗変化型の温度センサーでは、抵抗値の変化から湿度を導き出しています。

静電容量型
静電容量型の温度センサーは、静電容量の変化を湿度に換算する仕組みのセンサーです。2つの電極で高分子よりなる感湿膜を挟み込んだ構造を持つことが特徴です。湿度が上昇すると感湿膜内の可動イオンが増えるため、電極間の静電容量は増えます。

一方、湿度が下がると感湿膜の可動イオンが減ることから電極間の静電容量が減ります。すなわち、静電容量型の温度センサーは、静電容量の変化を湿度に換算する仕組みです。

温湿度センサーの種類

温湿度センサーは、形状でも分類され、ICチップに組み込まれたICタイプ温湿度センサーやIoT (Internet of Things) に利用されるワイヤレスタイプ温湿度センサーなどがあります。

1. ICタイプ温湿度センサー

ICタイプ温湿度センサーは、センサー素子とA/D変換などの計測回路が集積されて1つのチップとされた構成です。センサー素子単体をそれぞれ使う場合には、用途に応じて周辺の回路設計が必要であり時間とコストがかかります。

しかし、一体型のICタイプ温湿度センサーではこのような手間がなく、手軽に使用できます。また、基板に実装する際の必要な実装面積を小さくでき、小型化、低消費電力、低コストが実現可能です。

2. ワイヤレス温湿度センサー

近年では、パソコンやスマートフォンだけでなく、様々な機器がインターネットに繋がり連携できるようになってきました。いわゆるIoT (Internet of Things) と呼ばれる技術で、もの同士の間で情報を交換する、遠隔操作する、データを収集するなどが可能となり、さまざまなサービスで活用されています。

特に遠隔で物品の状態を監視する、異常を検知するなどのサービスや仕組みでは、センサーの役割は重要です。そこで、IoTセンサーと呼ばれるWi-FiやBluetoothなどのワイヤレス通信手段でデータを転送するセンサーが登場しています。

ワイヤレス温湿度センサーもその中の1つで、ワイヤレス温湿度センサーを活用することで、遠隔地の温度湿度の確認およびモニタリングを行うシステムが構築可能です。具体的には、データセンターや製造ライン、冷房設備、倉庫、ビニールハウスなど、常時人がいない場所や見えない場所の温湿度管理や異常検知に活用されています。

また、応用事例として、窓やドアの開閉感知、人や動物の動きを検知するセンサーや、家電と連携させたホームセキュリティサービスや、高齢者向けの見守りサービスなど、様々な用途、場面で活用されています。

参考文献
https://product.tdk.com/info/ja/products/sensor/sensor/humidity/technote/tpo/index.html
https://www.koaglobal.com/product/library/sensor/basic
https://www.ni.com/ja-jp/innovations/white-papers/06/overview-of-temperature-sensors.html
https://www.okazaki-mfg.com/Tech_info/resistance_thermometer.html
https://www.murata.com/ja-jp/products/thermistor/ntc/basic/thermistor
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/situdo/note/arekore10/
https://www.jp.omega.com/prodinfo/Integrated-Circuit-Sensors.html
https://emb.macnica.co.jp/articles/5007/
https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/iot/iot-sensor.html
https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/UNI-01-C003