直流電源とは
直流電源とは直流電源を供給する電源装置です。
電源には直流電源と交流電源の2種類があります。直流電源とは電流・電圧の向きが常に一方向である電源です。交流電源は、電流・電圧の向きが周期的に切り替わる電源を指します。
電力会社から供給される商用電源は、電圧変更と電源遮断が容易な交流電源が一般的です。対して、半導体の動作には直流電源が必要なため、電子製品へ供給する電源は直流でなければなりません。
したがって、直流電源は主に電子製品の動作に使用されます。
直流電源の使用用途
直流電源は身近な製品から産業分野の巨大装置まで幅広い用途で使用されます。以下が使用例です。
- PC・スマートフォン充電用ACアダプタ
- 路面電車用の電源供給装置
- LED照明の電源供給装置
- 空調機や冷蔵庫の制御基盤内部
- 電解工場・メッキ工場用の電源供給装置
- 直流を用いた電気炉の電源
家電製品でも多くは直流電源を内部に持ちますが、扇風機や白熱電球などの一部の家電は交流電源を直接使用するため、直流電源装置を持ちません。
直流電源の原理
直流電源装置 (AC-DC電源) は交流電源を整流・安定化させて直流電源にします。
直流化の方法によって大別すると、シャントレギュレーション方式・シリーズレギュレーション方式・スイッチングレギュレーション方式の三種類です。
1. シャントレギュレーション方式
シャントレギュレーション方式では入出力の間にダイオードと抵抗を直列に接続します。
交流電源がダイオードを一定の方向でしか通過できないため、出力端では直流電源が出力されます。
構造が簡単な代わりに抵抗による熱損失が大きいため、三方式の中で最低効率です。
2. シリーズレギュレーション方式
シリーズレギュレーション方式では入出力の間にトランジスタなどの素子を直列に接続します。
交流電源は一定の方向でしかトランジスタを通過することができないので、出力端では直流電源が出力されます。
3. スイッチングレギュレーション方式
スイッチングレギュレーション方式では交流電源を、スイッチング素子で電流・電圧の向きを切り替えます。その結果、一定方向かつ平均化された直流電源が出力されます。
直流電源のその他情報
1. 直流電源と交流電源の違い
先述した通り、電源には直流電源と交流電源があります。直流電源と交流電源の特徴を以下に列挙します。
直流電源の特徴
- 乾電池や鉛蓄電池などの化学反応から取り出すことが可能
- 半導体の動作には直流電源が必要
- 長距離送電時にはリアクタンスによる損失がない
- 誘導電磁波が発生しない
- 変圧・遮断用装置が高価
交流電源の特徴
- 同期発電機などの回転機器から電源を取り出すことが可能
- 変圧器によって容易に変圧可能
- 電流が0となるタイミングで容易に遮断が可能
- 誘導による電磁波対策が必要
- 力率や過渡安定度の考慮が必要
以上の特徴から、大型電源化に向いているため電力会社の商用電源は交流電源です。
ただし、近年は過渡安定度の考慮が不要で損失が少ない直流による大電力送電も検討されています。
2. 直流電源の使い方
直流電源は種類も規模もさまざまですが、いずれにおいても定電圧もしくは定電流でのモードで作動します。
・定電圧モード
定電圧モードは一定の電圧で動作するように作られたモードです。一定電圧で使用する電子回路の製品確認などに使用されます。定電圧モード一定の製品として、パワーサプライは広く産業に使用されます。
・定電流モード
定電流モードは一定の電流で動作するように作られたモードです。アナログ信号の電送や、LEDライトの調光装置に使用されます。
製品に内蔵された直流電源装置にはどちらかのモードのみで動作する場合が多いです。試験用直流電源装置などは各モードを手動で切り替えられる装置が多いため、用途に応じてモードを変更可能です。
参考文献
https://www.nfcorp.co.jp/techinfo/keisoku_kouza/dc/dc01/index.html
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply1
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=powersupply2
https://www.matsusada.co.jp/column/column-dc-power.html
https://www.matsusada.co.jp/column/constant.html
https://www.keisokuten.jp/static/dn03_kikusui.html?ref=top_slider