レーザー加工機

レーザー加工機とは

レーザー加工機

レーザー加工機とは、レーザーで切断や溶接、彫刻、マーキング、穴あけなど様々な加工を行う機械の総称です。

この加工機では主にCO2レーザー、YAGレーザーファイバーレーザー、半導体レーザーが使用されています。レーザー加工機は刃物などを用いずに加工できる非接触加工型なので応力や圧力による素材の変形、歪みが生じにくいです。

また、用いる消耗品が少なくメンテナンスが容易などの特徴があります。最近は家庭での使用を想定した安価で小型のシステムも販売されています。

レーザー加工機の使用用途

レーザー加工機は多種多様なものが販売されていますが、中でも以下の加工機がメインとなります。

1. CO2レーザー加工機

最大で数百W出力となるCO2レーザーは溶接、切断、彫刻に使用されます。自動車のフレームから電子部品への微細加工まで溶接可能です。厚さのあるアクリル板や木材などの切断、石材や皮革への彫刻、紙や布地の裁断にも使用されます。

出力波長の10.6μmはガラスも吸収する波長であるため、ガラスの加工もできます。他のレーザーと比べると対応できる素材が多く価格も安価なため、最もスタンダードなレーザー加工機となります。

2. YAGレーザー加工機

CO2レーザーとよく比較されるYAGレーザーは波長が1.06μm (1060nm) のため、CO2レーザーとは相性が悪い素材でも加工できます。またファイバーを光路に使えるため、システムをコンパクトに設計できます。

3. ファイバーレーザー

ファイバーレーザーは、他のレーザーが反射して加工しにくいアルミ、、真鍮などの金属が加工できます。またCO2レーザーはレーザー媒体の二酸化炭素の補充が必要ですが、ファイバーレーザーはほとんどメンテナンスが必要ありません。ビームが集光しやすく小さなスポット径にできるため、微細な加工にも対応しています。

レーザー加工機の原理

レーザー光は指向性、単色性が高く、コヒーレンスな光であり、集光されるとエネルギーは更に増します。加工機では通常、専用のレンズを使用して集光します。集光されてエネルギー密度が上がった光は照射された加工物の表面を急激に熱します。これは材料に光が当てるとその中の原子や分子が急激に振動して熱を発するためです。

この現象を利用して材料を瞬時に溶解し、加工しています。金属などの加工の際には粉塵が飛ぶため、アシストガスや集塵機で粉塵を飛ばしながら加工面に支障が出ないようにします。

レーザー加工機の構造

レーザー加工機は基本的にレーザー発振器、光路、集光光学系、駆動系で構成されています。レーザー発振器には前述したレーザーが使用されます。光路はレーザーから集光光学系まで光を伝送する道筋で、ミラーや光ファイバーなどが用いられます。集光光学系は光を集光、照射させる部分です。駆動系は加工したい材料を載せるステージや治具などを指します。

材料の加工やレーザーの発振スピードなどに合わせて、適切なものを設計します。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/processing/system.jsp
https://www.gendai-press.co.jp/archives/3833

レーザー保護メガネ

レーザー保護メガネとは

レーザー保護めがね

レーザー保護メガネとは、レーザーを使用する際に目を保護するために必ず着用するものです。

着用しない場合、レーザー光により目に重大なダメージが入る可能性があります。レーザー保護メガネを選ぶ際は、使用するレーザーの波長や出力に合わせたものを選ばなくてはいけません。また、どれだけ光が透過するのかを示した光学濃度 (OD:Optical Density) を確認し、作業内容に合わせて適切なものを着用する必要があります。

レーザー保護メガネの使用用途

レーザー保護メガネは、レーザー加工機を使用する現場や、レーザー発振器を使用する場合に着用します。

  • レーザー発振器を搭載した加工機 (溶接、切断、彫刻、マーキングなど) を使用する際
  • 医療用レーザーやクリニックなどでレーザー治療を行う際
  • 研究などでレーザー発振器を使用する際

また、保護メガネを着用していても、レーザー光を直接のぞき込んではいけません。保護メガネに使用されているレンズは、レーザーの散乱光に対するものであり、直接の照射光を防ぐものではないためです。

レーザー保護メガネの原理

レーザー保護メガネは、レーザーの散乱光を吸収する特殊なレンズが使用され、特定の波長を透過しにくくしてあります。

レーザーの光は指向性、単一性が高く、そしてコヒーレンス性という特徴があり、色の混じり気がなくエネルギー密度の高い光です。溶接用などの出力の高いレーザーが体に当たった場合ももちろん危険ですが、出力の低い光であっても、上記の特徴から目にダメージを与えることがあります。

角膜など眼球の表層はもちろん、波長によっては網膜や視神経といった深い部分まで損傷するリスクもあるため、注意が必要です。そのため、保護メガネはレーザーの波長、出力、OD値を確認して適切なものを選びます。OD値は光の透過率をわかりやすくした数値で、1から10まであり、値が高くなるほど透過率が低くなります。

OD値が高ければ安全性も高まりますが、可視光も透過しにくくなるため、作業効率が落ちる場合があります。作業内容も考慮し、適当なOD値の保護メガネを選ぶことも大切です。

レーザー保護メガネの選び方

使用するレーザーの種類や発振波長、出力を確認し、その波長に合うレンズやフィルターを選ぶことが大切です。

レーザー保護メガネの形には、「ゴーグル形」「スペクタクル形」「フロント形」など、いくつか種類があります。スペクタクル形やフロント形には、サイドシールドが付いているものとないものがあります

作業性を上げるために使用レーザーの範囲だけ透過率が低く、それ以外の可視光線透過率が高いものを選ぶのがおすすめです。レーザー保護メガネのOD値が高くても、波長が合わないレンズでは保護できず重大な事故につながるので、必ず合うものを選択しましょう。

レーザー保護メガネを使用している状態でも、レーザー光が直接目に入ると防ぎきれません。紫外や赤外波長など目に見えないレーザー光もあるので注意が必要です。

レーザー保護メガネのその他情報

レーザー保護メガネのクラス

レーザー光は、その危険度ごとにクラス分けされています。

  • Class1:通常に使用していて安全なレーザー光です。
  • Class1M:約300~4,000nmの波長のレーザー光で、光学機器などを使用して見るのは危険です。
  • Class2:約400~700nmの波長のレーザー光で、目の瞬きによって保護できる程度のクラスです。
  • Class2M:Class2と同じようなレーザー光ですが、光学機器などを使用して見るのは危険です。
  • Class3R:約300nm~10mmのレーザー光で、直接見るのは危険です。
  • Class3B:直接見るのは危険ですが、拡散反射光は通常安全だとみなされています。
  • Class4:一時的でも直接見る、皮膚に曝すのは危険です。拡散反射光でも障害をもたらし、火災の原因にもなりえます。

レーザー保護メガネにはさまざまなクラスのレーザーに耐えられる性能を持ったものもあるので、危険性のあるレーザー光を取り扱う際にはこれらを使用すると安全です。

参考文献
https://xn--15qt0wqpvzsr.com/2016/02/13/post-12511/
https://www.lasercreate.com/useful/lineup/optical_density.html
https://monkey-laser.com/danger_eye.html
https://rikenoptech.com/column/2726/

スプリングバランサー

スプリングバランサーとは

スプリングバランサー

バランサーとは、現場での作業効率の向上のため、疲労を軽減や工具の安定のため、重要な設備として使用されています。固定型、走行型などがあり、使用目的にあったバランサーを使用する必要があります。

スプリングバランサーは、機械・装置を懸垂するための機器です。

吊り下げたい物の重さをゼロに近づけ、軽い力で上下操作できるようにします。任意の高さでバランスが取れるので、自由度が高くなります。スプリング(ゼンマイ)の張力を利用しており、動力はゼンマイとなります。

スプリングバランサーの使用用途

バランサーは様々なタイプがあり、固定型、走行型、クリーンルーム用など、使用用途に応じて適切に選定する必要があります。

スプリングバランサーは、主に吊り下げて使用する電動工具や芯出し作業に使用されます。ただし、荷物などの脱着作業には不向きなので、その場合はエアバランサがおすすめです。

クリーンルーム内では、クリーンルーム仕様のスプリングバランサーを使用します。半導体集積回路、液晶パネルなどの製造工程で使用するトルクドライバや、バキュームピンセット等の手動工具の懸垂に便利です。

スプリングバランサーの原理

上からフックでバランサーを吊り下げて、下のフックへ工具等を下げて使用します。

スプリングバランサーはスプリングのトルク変化(回転軸まわりに生じる力変化)を、テーパドラム(構造物の経・幅・厚みなどを先細りになっているドラム))にすることによりバランスが取れる機構にしたものです。

動力の供給源は、スプリング(ゼンマイ)の張力を使用しているので、電気や空気による動力は不要となります。

スプリングの調整にはラチェット式、ハンドル式等があります。

  • ラチェット式
    動作方向を一方に制限するための機構で、主に歯車あと歯止めを組み合わせ、歯を傾けることにより、一定の方向性をもたらしている。この調節により、吊り替えが多い場合などに便利で、空荷でもワイヤロープを任意の位置に停止できる。
  • ハンドル式
    ハンドル(つまみ)を左右に回して調節します。

クリーンルーム仕様のスプリングバランサーは密閉型のケースが粉塵の飛散を防止する仕様となっていたり、静電気対応済 ケースが導電性で、ワイヤを使ってアースを取ることが可能なものがあります。

参考文献
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/pdf/product/balancer/sb.pdf
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/product/balancer/index.html
http://www.palamatic.org/?yclid=YSS.EAIaIQobChMIz5fU1buN7QIVz6uWCh0KFwokEAAYAyAAEgKj8fD_BwE

スライドシャフト

スライドシャフトとは

スライドシャフト

スライドシャフトとは、機器の直線運動や上下運動を案内する目的で使用される機器部品です。

各種FA機器の部品としても油圧・空圧シリンダのピストンロッドとしても使用されます。

スライドシャフトは耐摩耗性に優れています。繰り返し運動する部品が取り付けられるためです。スライドシャフトは真直度も優れています。機器の直線運動や上下運動を案内するためです。さらに、他部品と組み合わせて使用するため、スライドシャフトは円筒度・真円度といった幾何公差の規格を十分に満たす必要があります。

スライドシャフトの使用用途

スライドシャフトは、油圧空圧機器、建設機械、成形機、特殊車両、各種FA機器など、様々な分野で使用されています。各種産業機械やロボットなどの基幹部品として組み込まれます。使用用途の具体例には以下のものがあります。

  • 油圧・空圧シリンダのピストンロッド
  • 遊技機 (いわゆるパチンコ) 内部の演出機構
  • 自動溶接機の昇降機構
  • インクジェットプリンタにおけるプリンタヘッド移動機構
  • 粉粒体のコーティング装置におけるノズル移動機構

スライドシャフトの原理

スライドシャフトは、各種FA機器の部品として使用される場合と、油圧・空圧シリンダのピストンロッドとして使用される場合とがあります。どちらの使用かにより、直線運動や上下運動を案内する原理は異なります。

1. FA機器の部品として

メタル軸受・樹脂メタル・スライドブッシュといった部品がスライドシャフトに沿って自在に移動することで、それらの部品に別途接続されている機器が一緒に移動します。これにより、直線運動や上下運動の案内が可能となります。

直線運動なのか回転運動なのかの違いはありますが、部品を自在に移動させるという役割はベアリングの内輪と同様です。

2. 油圧・空圧シリンダのピストンロッドとして

油圧・空圧シリンダのピストンロッドとして使用される場合、スライドシャフトはピストンヘッドに接続されシリンダチューブ内に収容されます。

油圧・空圧を受けたピストンヘッドがシリンダチューブ内で移動することに伴い、ピストンロッドの一端がシリンダチューブから出入りします。その出入りに伴い、ピストンロッドの一端に接続されている物が移動します。これにより、直線運動や上下運動の案内が可能となります。

スライドシャフトの種類

スライドシャフトには様々な要素に基づく多種多様な種類があります。それら要素の一例は以下の通りです。

  • 中心が空洞か否か
  • 素材が軸受鋼か、機械構造用炭素鋼か、ステンレスか、その他か
  • ねじ加工の有無、溝の有無、段の有無といった端部加工

スライドシャフトの選び方

スライドシャフトは、使用用途、使用環境、コスト、接続される部品に応じて選定されます。例えば、移動精度が重視される場合には、中実タイプが採用されます。軽量化が重視される場合には、パイプタイプが採用されます。

設計者はスライドシャフトを選ぶにあたって振動の影響を考慮する必要があります。使用中の振動および繰り返し負荷によって疲労破壊が生じる恐れがあるためです。

スライドシャフトのその他情報

1. 防塵対策

砂・粉塵といった微粒子の付着がスライドシャフトの機能に悪影響を与えることがあります。そういった付着の懸念がある場合、十分な防塵対策が必要です。微粒子の付着の懸念がある場合の防塵対策には、例えばジャバラによるカバーがあります。

2. 曲げモーメント対策

スライドシャフトは大きな曲げモーメントがかかる用途に適用してはいけません。スライドシャフトが折れ曲がると直線運動や上下運動の案内が不可能となるためです。折れ曲がりが懸念される場合、設計上の対策が必要です。

設計上の対策の例には、曲げモーメントの影響を別の部品が受ける設計にする、スライドシャフトに対する接続箇所を回り対偶にするといったものがあります。なお、回り対偶とは、ピンなどを介して2つの物を接続することでそれら2つの物の間に曲げモーメントが伝わりにくくなっている構造をいいます。

参考文献
https://www.kyoei-honing.jp/products/slide_shaft
https://www.toyoshaft.co.jp/products/slide-shaft/

スライドシフター

スライドシフターとは

スライドシフター

スライドシフターとは、滑り式のリニアガイドの一種で、直線往復運動させるための機械部です。

高い耐摩耗性と耐荷重性を持ち、精密機械から産業機器などの分野で利用されています。スライドシフターの設計は、リニアガイドと同様にレールやシャフトといった部材上を滑らかに移動することで、装置の動作精度を向上させることを目的としています。

リニアガイドとの違いは、スライドシフターが特に「滑り機構」に焦点を当てた設計になっている点です。リニアガイドが面での接触によって荷重を分散する一方、スライドシフターは部材の種類に応じてさらにスムーズな動作や耐環境性を持たせることが可能です。

スライドシフターの使用用途

スライドシフターの使用用途として、旋盤や研削盤での精密加工、検査機や計測装置、自動供給装置、医療機器やクリーンルーム装置の5つを解説します。

1. 旋盤や研削盤での精密加工

工作機械での切削や研削といった精密加工工程で使用されます。旋盤や研削盤では高精度で部品を移動させる必要があり、スライドシフターはそうした動作を安定させます。

2. 検査機や計測装置

測定や検査装置では、部品を正確な位置に移動させる必要があります。スライドシフターを使用することで測定対象物を効率的に配置し、検査精度を向上させることが可能です。

3. 自動供給装置

自動化装置における部品の搬送や供給にも利用されます。例えば組立ラインで部品を正確な位置に運ぶ際に、滑らかな動作を実現する役割を果たします。

4. 医療機器やクリーンルーム装置

医療分野では、クリーンルーム環境に対応するスライドシフターが用いられます。防塵や耐腐食性に優れたモデルを採用することで、精密で衛生的な動作が可能となります。

スライドシフターの原理

スライドシフターの原理として、ボール転がり構造による低摩擦、リターンキャップによるボールの循環、サイドシールで異物侵入を防止、荷重の均等分散の4つの順に解説します。

1. ボール転がり構造による低摩擦

スライドシフターは精密加工されたレールやシャフト上を銅球が転がることで運動します。銅球が転がることにより摩擦が大幅に低減され、滑らかな動作が可能となります。

2. リターンキャップによるボールの循環

銅球は単純に転がるだけでなく、リターンキャップという部品を通じて循環します。そのためボールの滞留を防ぎ、長時間の連続運転でも安定した性能の維持が可能です。

3. サイドシールで異物侵入を防止

外部からの異物がブロック内部に侵入しないよう、サイドシールが設けられています。

4. 荷重の均等分散

スライドシフターは、ブロックに作用する4方向 (ラジアル方向、逆ラジアル方向、横方向) に対して均等な定格荷重を実現しています。定格荷重によりどのような姿勢で使用しても安定した運動を実現できます。

スライドシフターの種類

スライドシフターの種類として、ガイドシャフトタイプ、ユニットタイプ、特殊仕様モデルの3種類を解説します。

1. ガイドシャフトタイプ

ガイドシャフトタイプはレールではなくシャフトを使用する設計であり、以下の特徴を持っています。

多方向の使用が可能
水平、垂直、斜めといったさまざまな方向に対応します。

取り付けの柔軟性
シャフト径や長さを調整することで、装置の設計に合わせたカスタマイズが容易です。

2. ユニットタイプ

ユニットタイプはガイドシャフトやシフトテーブル、シャフトホルダーが一体化された製品で、以下の利点があります。

組み立ての簡便性
一体型のため、取り付け作業が簡単で時間を短縮できます。

省スペース設計
コンパクトな構造により、設置スペースを削減できます。

3. 特殊仕様モデル

特殊仕様のスライドシフターは、特定の環境や条件に対応するよう設計されています。

耐熱用モデル
高温環境での使用に適しています。

防塵・防錆用モデル
粉塵や湿気の多い環境でも性能を維持します。

クリーンルーム用モデル
清潔さが求められる環境で使用可能です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/special/linearguide/about/

スライドブッシュ

スライドブッシュとは

スライドブッシュ

スライドブッシュは、機器のスライド部でシャフトなどに沿って直線運動を行う円筒形の機器部品です。

ブッシュとは、軸や筒状の部材等にはめ込み、緩衝や隙間を埋める目的で使用する機構部品を指します。鋼球の転がりを利用するため、低い摩擦で高い精度の直線運動が可能です。ブロック形、開放形、フランジ形、グリースニップル形などさまざまな形状がありますが、機構そのものは非常にシンプルです。

スライドブッシュの使用用途

スライドブッシュは、自動記録装置、測定器、OA機器とその周辺機器、精密機器、食品機器、工具研削盤、自動ガラス切断機など、さまざまな分野で幅広く使用されています。

日常生活での使用例には車両のスライドドアがあります。軸の平行性が正確でなくてもスライドブッシュが自動的に調整してくれるので開閉がスムーズです。液体充填機では、転がり運動で引っかかりのリスクを低減するだけでなく、がたつきを抑える効果を発揮します。

スライドブッシュの原理

スライドブッシュは、内蔵した複数の鋼球の転がり運動を利用して、シャフトと呼ばれる円筒形の軸上を無限に直線運動する直動機構です。これにより低い摩擦と高い精度を同時に実現します。

ボールの配列の違いやシャフトの形状によりリニアブッシュ、ボールスプライン、ミニチュアボールガイドに分類され、それぞれ以下の特徴で動作します。

  • リニアブッシュ:鋼球が直線状に配列され、シャフトと点で接触して軽く滑らかに摺動する。シャフトとの接触面が狭いため許容荷重が小さい。
  • ボールスプライン:スプライン加工が施されたシャフトの溝で鋼球が回転しながら摺動する。接触面積が大きいため、回転方向へのズレが生じず許容荷重が大きい。
  • ミニチュアボールガイド:互い違いに鋼球が配列されている。ガタつきが低減される。

スライドブッシュの種類

1. 形状による分類

スライドブッシュには、用途に応じたブロック形、開放形、フランジ形、グリースニップル形など多様な形状があります。

  • ブロック型:一般的なスライドブッシュの形状で、取り付けに応じた形状選択が可能。
  • 開放形:ハウジングに開放部がある。シャフトを下面から支えるため耐荷重性があり、ロングストロークでもたわみの影響が抑えられる。
  • フランジ形:取り付け面と密着するため高い剛性と安定性がある。外力による振動や変形を抑制し、精度の高い直線運動が実現可能。
  • グリースニップル形:定期的にグリースを補給できるため潤滑管理が容易。摩擦を低減して部品の寿命を延ばす。

2. 材質による分類

形状だけでなく、材質も高耐食性、スチール製、樹脂製などがあり、環境に適した選択が重要です。

外筒表面に処理を施す、あるいは耐食仕様のマルテンサイト系ステンレス鋼を採用すれば、さまざまな使用環境に対応できます。ダブルリップシール付きの製品では、防塵性が高まりグリス漏れの低減も可能です。樹脂製なら質量が50~30%軽減するだけでなく、静音も実現します。

スライドブッシュのその他情報

使用上の注意点

スライドブッシュの摺動性能や耐環境性を維持するため、使用・保守する際の注意点を把握することが大切です。まず、異物の付着を防ぐため、製品を分解しないことや、落下や衝撃により破損させないことに注意する必要があります。樹脂製やゴム製部品を使っている場合は、変形などのリスクがあるため使用温度が80度を超えないようにします。

シャフトを傾けたまま挿入すると、異物が付着したりスライドブッシュが落下する可能性があります。また、ストローク幅が極端に狭い場合は損傷や摩耗のリスクがあるので、使用前に鋼球にグリスを塗布します。ハウジングやベースの剛性や固定用ボルトの強度にも十分注意し、軸受性能の劣化を防止します。

参考文献
https://toolnavi.jp/convenient/knowledge/what-1

セラミックフィルタ

セラミックフィルタとは

セラミックフィルタ

セラミックフィルターはセラミック製のフィルターを指します。フィルターには、精製濾過用とノイズ除去用の2種類があります。前者は化学原料などから不純物をろ過する部品です。後者は特定周波数のエネルギーを遮断させる電子部品です。セラミックフィルタは両方使用されます。

濾過精製用セラミックフィルタは、主に原料の分離や濃縮などに使用されます。ノイズ除去用セラミックフィルタは、AV機器や通信機器のノイズ除去に使用されます。 

セラミックフィルタの使用用途

ノイズ除去用セラミックフィルタは、LCフィルタと比較して小型かつ軽量であるため、機器の小型化におすすめです。AV機器や通信機器の中間周波数をフィルタ処理するために用いられます。以下に使用製品を列挙します。

  • ホームオーディオやポータブルオーディオ
  • テレビ/VTR
  • 無線データ通信やスマートフォン
  • 業務用無線

音声データをクラウド上へアップロードする際は、ノイズを除去しつつデータ容量を圧縮可能です。クラウド化の進む現代では重宝される存在です。

また、精製濾過用のセラミックフィルタは耐熱性などに優れており、長寿命です。以下に使用例を列挙します。

  • 排水・廃水処理や純水装置の前処理
  • レンズ・ガラスの研磨
  • 食品の精製・除濁・除菌
  • 化学薬品の濃縮回収、精製
  • 薬品の高純度化
  • 廃油・廃液再生
  • 自動車工場(水溶性クーラントの再生、作動油・潤滑油再生)

食品の使用例としては、コーヒーフィルタにも使用されます。コーヒーの雑味や塩味を除去して、クリアな味わいにするためおすすめです。

セラミックフィルタの特徴

1. ノイズ除去用セラミックフィルタ

ノイズ除去用セラミックフィルタには以下の特徴があります。

  • 無調整
    圧電セラミックスを利用したフィルタなので、電気機械を同一素子内組み込み可能です。高調波に対する耐性があり、周辺付加回路にほとんど影響されません。圧電セラミックスの材料は、チタン酸バリウム磁器やチタン酸ジルコン酸鉛磁器などです。
  • 軽量・小型
    LCフィルタに比べ小型になります。省スペースに貢献します。
  • 集中フィルタ
    アンプにICを利用した場合、一段あたりの利得が大きくなるので、LCで組むより簡単に集中フィルタを作成可能です。

2. 精製濾過用セラミックフィルタ

精製濾過用セラミックフィルタには、以下のような特徴があります。

  • 濾過精度
    高純度のアルミナセラミックス製のため、膜面の細孔分布が均一になっています。そのため、濾過の精度が高くなります。
  • 高耐食性・耐熱性・高強度・耐摩耗性
    薬品洗浄が繰り返しできます。また、120℃程度の蒸気殺菌が可能です。高粘性液やスラリーの濾過も有効です。
  • 逆洗再現性
    背圧による逆圧洗浄が可能なため、安定した濾過流速で長時間使用できます。
  • ポアサイズが豊富
    要望に応じた膜を選択することが可能です。

セラミックフィルタのその他情報

1. 集塵用セラミックフィルタ

バグフィルタ式集塵設備は濾布の種類によっての耐熱温度に限界があります。耐熱温度を超過すると、燃焼灰は炭素が主成分のため火災の危険性が高いです。布繊維からセラミックフィルタへ濾材を変更すると、集塵設備の耐熱温度を高く設計できるため、燃焼炉への投入量を増やせます。

また、硫酸ガスの酸露点以上で運転管理すれば、腐食や燃焼灰堆積を防止でき、操業時間を延長できます。布繊維と比較してセラミックフィルタは、バグフィルタへの導入を推奨できる濾材です。

2. 集塵用セラミックフィルタの問題点 

集塵器のセラミックフィルタは、布繊維の濾布とは異なり、柔軟性がありません。ガスの流れによって破損し脱落することがあります。また、地震の揺れによって折損し脱落する可能性もあります。布繊維の濾布でも脱落によるトラブルは発生しますが、セラミックフィルタの場合は、燃焼灰排出ホッパーを閉塞させます。

長尺のセラミックフィルタは、脱落トラブルが頻発するため導入に適さないことが多いです。短くすると脱落は少なくなりますが、集塵効率が悪くなります。使用済みセラミックフィルタの廃棄処分も困難です。不燃物であるセラミックと燃焼灰の混合物になるため、溶融処理または埋立処理になります。ただし、燃焼灰には水銀が含まれることがあり、溶融処理と埋立処理共に受入可能業者はほとんどありません。

参考文献
https://www.noritake.co.jp/products/support/detail/15/
https://www.isolite.co.jp/products/ceramics/isofil/
https://www.ngk.co.jp/product/industrial/dustcollector/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/20/1/20_1_26/_pdf/-char/en

セラミック基板

セラミック基板とは

セラミック基板とは、セラミックでできた基板のことで、プリント配線板の配線を形成する若しくは部品を載置する絶縁板のことです。

なお、配線パターンなどが形成された状態のものをセラミック基板と称する場合もあります。

セラミック基板の使用用途

セラミック基板は、高温環境下での使用やプリント配線板の小型化に伴い、放熱製品や高周波計測器などに組み込まれるプリント配線板に使用されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 放熱製品
    ハイパワーLED照明機器、レーザー加工機器、深紫外照射機器
  • 衛星通信機器・高周波計測器
    基地局アンテナ、ETC、RFモジュール、各種レーダー
  • 自動車製品
    車載用LEDランプ、自動車制御部品
  • 電子部品
    ペルチェ素子、圧電センサー、LED、レーザーダイオード、GANモジュール、高温・加速・サイクル・SiCパワー半導体
  • 高周波移動体通信機器
    IoT通信機器、アンテナ・フィルター、電圧制御発振器 (VCO) 、温度補償水晶発振器 (TCXO)

セラミック基板の特徴

セラミック基板はセラミックよりなるため、その特性はセラミックと同様です。セラミック基板を形成する代表的なセラミックとして、アルミナ基板、アルミナジルコニア基板、窒化アルミニウム (AlN) 、窒化ケイ素 (Si3N4) などが挙げられます。

これらは、機械的強度、電気絶縁性、耐食性、耐熱性、熱伝導性に優れた材料で、基板も同じ特性を持ちます。

セラミック基板の種類

セラミックよりなる絶縁基板の上に配線パターン等を形成したプリント配線板としては、「高温セラミック基板」「低温セラミック基板」「厚膜セラミック基板」の3種類があります。

1. 高温セラミック基板

高温セラミック基板は、高温同時焼成セラミックス (HTCC) 回路が形成された基板です。まず、高温用に配合されたセラミック原料を用いて基台となる絶縁板を製造します。次に、絶縁板の上にタングステンモリブデンなど金属の回路を形成し、積層後の基板を高温で焼成して高温セラミック基板となります。

2. 低温セラミック基板

低温セラミック基板は、LTCC (Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス) を使用した基板です。基台となる絶縁板にセラミックとガラス系材料を含むのが特徴で、通常多層基板として製造されています。

まずは、セラミックス粉末とガラス、バインダーなどを混合し、シート状にします。必要箇所に複数層間を接続するための貫通穴を設けるとともに、配線パターンを印刷形成して1層を作成します。異なる配線パターンを数層作成し、積層した後、焼成工程を経てLTCC配線基板の完成です。

3. 厚膜セラミック基板

厚膜セラミック基板は、絶縁基板に導体や抵抗体のペーストを印刷し、電気回路を形成した基板で、導電体の膜厚が比較的厚いことが特徴です。

セラミック基板のその他情報

1. 高純度アルミナ材料を使用したセラミック基板

セラミック基板は、熱伝導性セラミック粉末と有機質粘結剤などを混合して焼成して製作されます。このとき、高純度アルミナ材料を使用すると、アルミナ材料が微細粒子であることから、焼成物のセラミックには気孔が少なく、表面は非常に平滑です。

このため、厚膜や薄膜材料との密着性がとても優れ、プリント配線板とした時には安定した特性を持ちます。また、微細粒子であることから焼成によりサイズが変わらず、外形等の寸法のバラツキや反りや曲がりなどの外形特性も非常に良好です。また、高放熱性および耐熱性があり、高熱環境下でも物理的にも化学的にも安定しています。

2. セラミック基板を用いた半導体パッケージ

半導体素子の高集積化に伴う発熱は、重要な課題であり、放熱性の高いアルミナセラミック基板を使用しています。しかし、昨今の高い要求特性に対しては不十分となる場合が生じてきました。そこで、近年ではアルミナセラミック基板にとってかわる半導体パッケージ用の新しいセラミック材料として、窒化アルミニウムおよび炭化ケイ素が注目されています。

窒化アルミニウムは天然のセラミック材料ではなく、理論値が320W/m・Kという優れた熱伝導性を有する材料です。現実には、原料の改良、焼結助剤の選択、焼結条件の検討を行い、結果熱伝導率が180W/m・K程度のものの実用化が進んでいます。

炭化珪素セラミックスにおいては、焼結助剤として酸化ベリリウムを使用すれば高熱伝導性の絶縁体になることが明らかとなり、基板材料として注目されるようになりました。

参考文献
http://kousyuha-kiban.com/zais-3.html
https://www.kansaidenshi.com/product/ceramic/
https://www.kyocera.co.jp/prdct/fc/product/pdf/electronic.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1986/9/7/9_7_531/_pdf
https://www.chip1stop.com/sp/knowledge/069_types-and-features-of-printed-circuit-boards

ソーラータイムスイッチ

ソーラータイムスイッチとは

ソーラータイムスイッチとは、日の出・日の入りに合わせて電灯などの機器を自動で制御する装置です。

照明回路などの自動点滅を目的に使用されます。照明回路を自動的に点灯・消灯したい場合は、タイムスイッチや自動点滅器が使用されます。タイムスイッチは時刻のみで点灯・消灯させるため、夏季・冬季の切り替わりの際は設定変更が必要です。

また、自動点滅器は周辺照度を基に入・切するため、不要動作や誤不動作する場合があります。ソーラータイムスイッチの最大の特徴は、あらかじめ地区ごとの日出・日入時刻が記録されている点です。

設置地区と時間を設定するだけで、日照の時間に合わせて照明回路を動作させます。これにより、設定変更などをせずに運用することが可能です。

ソーラータイムスイッチの使用用途

ソーラータイムスイッチはさまざまな用途で使用される部品です。以下はソーラータイムスイッチの使用用途一例です。

1. 広告看板

ソーラータイムスイッチは、屋外の広告看板や表示板の制御に使用されます。夜間になると自動的に看板を照らし、明るくなると自動的に消灯するように設定することが可能です。

これにより、看板の視認性を向上させると同時に、昼間の日光の下では不要な電力消費を避けることができます。

2. 街路灯

街路灯の制御にも使用されることが多いです。街路灯は夜間に点灯する必要があります。そのため、ソーラータイムスイッチは夜間になると自動的に街路灯を点灯させ、日の出時に自動的に消灯するように設定します。

これにより、電力の節約と運用の効率化が可能です。ソーラータイムスイッチはタイムスイッチよりも、屋外照明用途に特化しています。

3. 防犯照明

ソーラータイムスイッチは、防犯目的で使用される照明装置の制御にも有利です。暗くなると自動的にライトを点灯させ、明るくなると自動的に消灯するように設定します。これにより、セキュリティを向上させ、不正侵入や犯罪行為を抑止することが可能です。

4. 屋外装飾照明

屋外のイベントや季節の装飾照明の制御にも適しています。特定の時間帯に自動的に装飾照明を点灯させ、指定した時間に自動的に消灯するように設定すること可能です。

手動でスイッチを操作する手間を省きつつ、イベントや季節に応じた装飾効果を提供します。

ソーラータイムスイッチの原理

構造としては、タイマー・制御回路、スイッチ、表示部などで構成されることが多いです。

1. タイマー・制御回路

ソーラータイムスイッチには、内部に組み込まれたタイマーや制御回路があります。日の出・日の入時刻が設定されており、指定された時刻基づいてスイッチの動作を制御する回路です。

タイマー機能によって、特定の時間帯に自動的にオンまたはオフになるように設定することが可能です。

2. スイッチ

制御回路の内部には、電灯制御用のスイッチまたはリレーが組み込まれています。スイッチには一般的に有接点リレーが使用されます。これにより、照明回路とソーラータイムスイッチの回路を絶縁することが可能です。

3. 表示部

操作や設定のためのボタンやインジケータが装備されています。これにより、設定を行ったり、現在の動作状態を確認したりすることが可能です。これらの表示部は基本的には小さなディスプレイと押ボタンなどで構成されます。

ソーラータイムスイッチの選び方

ソーラータイムスイッチは、動作周期、取り付け方法、回路数などを考慮して選定することが必要です。

1. 動作周期

動作周期は、タイマーが動作するタイミングです。毎日動作する製品や、曜日によって動作する製品などが存在します。用途に応じて選択することが可能です。

2. 取付方法

ソーラータイムスイッチを取り付ける方法は、パネル取付やレール取付などの種類が存在します。設置場所に応じて選択することが必要です。

3. 回路数

回路数は制御できる回路の数です。複数回路を自動点滅させたい場合には、2回路の製品などを選定します。ただし、3回路以上の製品は珍しいため、制御する回路数が多い場合は複数個使用することで実現が可能です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/19/89/#4
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/denro/time_switch/lineup/sunrise_sunset.html#merit

タービン流量計

タービン流量計とは

タービン流量計

タービン流量計とは、配管内部に設置した羽根車の回転を基に流量を測定する流量計です。

基本的には液体に適用する場合が多いです。主に産業やプロセス制御の分野で使用されます。タービン流量計は一般的に高い測定精度を持つ点が特徴です。特に中程度から高い流量範囲で優れた性能を発揮します。

また、流量計の最小および最大流量範囲は比較的広く、さまざまな流量条件で使用可能です。一般的に耐久性があり、長寿命です。多くのモデルは、さまざまな種類の流体や環境条件に対して耐久性を持っており、長期間にわたって正確な測定を提供します。

ただし、粘性の高い流体や固形物を含む流体には適していません。これは、タービンの回転子が固着したり、正確な測定が妨げられたりする可能性があるためです。また、大流量の製品は重量が大きくなる場合があります。

タービン流量計の使用用途

タービン流量計は、さまざまな産業や分野で使用されます。以下はタービン流量計の使用用途一例です。

1. 石油業界

タービン流量計は石油や天然ガスの流通および精製プロセスで広く使用されています。タービン流量計の高精度な特徴から、取引などに使用されることが多いです。

原油の計量には、パイプラインやターミナルでの流量計測が重要です。また、ガスパイプラインやガスメータリングステーションでのガスの流量測定もタービン流量計が使用される典型的な用途です。さらに、石油精製プロセスでの流体の計量や制御にも利用されます。

2. 食品・飲料業界

タービン流量計は、食品加工や飲料製造において重要な役割を果たす流量計です。飲料製造業では、飲料製品の充填ラインでの流量計測が行われます。

また、食品加工においては、液体や食品原料の計量や混合プロセスの制御にも使用されます。さらに、食品添加剤の投入プロセスなどでもタービン流量計が利用されることも多いです。

3. 冷暖房・空調業界

タービン流量計は、建物や施設の暖房や冷却システムで使用されます。水や冷媒の流量を測定し、適切な熱交換を確保します。これにより、快適な室温やエネルギー効率の向上が可能です。

タービン流量計の原理

タービン流量計は、流路に羽根車を置いて流体の力によって羽根車を回転させる原理です。その回転数から体積流量を算出することができます。

回転速度は、センサーや磁気素子によって検出可能です。タービンに取り付けられたマグネットや反射板が、センサーや磁気素子によって検出されます。

タービンの回転速度は、流体の流量と関連しています。流体の流量が増えるとタービンの回転速度も増加し、逆に流量が減ると回転速度も減少するのが普通です。

なお、回転速度データは、コンピュータや表示装置に送信されます。コンピュータは回転速度データを流量に変換し、必要に応じて合計化や制御処理を行う装置です。また、表示装置では流量値が表示されます。

タービン流量計の種類

タービン流量計は羽根車の形式から、大きく分けて軸流羽根車式と接線流羽根車式の2つがあります。

1. 軸流羽根車式

流体が軸方向に、タービンの羽根を通過する構造を持つタービン流量計です。タービンの羽根は軸周りに回転するため、流体の速度ベクトルとほぼ平行な方向に力を受けます。軸流羽根車式は一般に小型であり、高い測定精度と応答性が特徴です。

2. 接線流羽根車式

タービンの羽根車が円弧状に配置されており、流体は羽根車に対して接線方向に流れるタービン流量計です。この構造により、流体の運動エネルギーが羽根車に伝わり、回転力が発生します。接線流羽根車式は高い流量範囲で使用されることが多く、堅牢で耐久性がある点が特徴です。

流体がタービンの羽根車を通ると、接線方向の速度成分により羽根車が回転します。回転速度は流体の流量に比例し、回転速度の測定によって流量を計測します。接線流羽根車式では、一般的に光センサーやホール効果センサーによって回転速度を検出することが多いです。

参考文献
https://www.oval.co.jp/products/turbine_index.html
https://www.tokyokeiso.co.jp/techinfo/magazine/pdf/flow10.pdf
https://www.jp.endress.com/