制御ボックスとは
制御ボックスとは、電気設備や機械設備を制御するための回路や装置を入れる箱のことです。
制御盤やキャビネットとも呼ばれることもありますが、計器やブレーカのみが入ったもの等の制御機器が格納されていないキャビネットについては制御ボックスとは呼ばれない場合が多いです。制御システムを構築する電気・電子機器を制御ボックス内に収めることで、外部環境からこれらの素子を保護するとともに、人が誤って接触して感電する危険性を減らすことができます。
制御ボックスは、格納するシステムにより形状や大きさが異なりますが、各メーカーである程度統一された規格寸法で販売されています。
制御ボックスの使用用途
制御ボックスは、センサなどの電子機器やモータなどの機械の動作を制御する装置が格納されます。そのため、工場などの各種装置の制御やエレベーターの制御、電車の運転制御装置など、用途は幅広いです。
基本的に各種コントローラーなどに代表される電子機器は、衝撃やほこりなどの外的影響を受けやすいです。機械装置の内部に収めることのできない電子機器類は、装置外部の制御ボックス内に格納することになります。
制御ボックスの原理
制御ボックスは、格納した機器を外部環境からの保護する機能と人が接触し感電するリスクを低減する機能の他に、様々な機能が要求される場合があります。
制御ボックスが担う機能とその実現手法は、以下の通りです。
1. 熱対策
屋根のない屋外や熱源装置の周辺に設置する場合は、熱がこもって内部の電子機器が故障する可能性があります。そのため、冷却ファンやクーラーが付帯した制御ボックスを採用することで、内部の温度上昇を抑えることが可能です。
ドア面や両側面にスリット加工を施した制御ボックスもあります。放熱用スリットが、制御ボックス内の温度上昇を防ぎます。スリット加工の他、ルーバー加工で通気性を確保し、外に熱を逃がすタイプもあります。
2. 粉塵・防水対策
粉塵や水しぶきに晒されやすい食品工場などでは、防塵・防水型の制御ボックスが使用されます。ドア部分のパッキンに継ぎ目が無い発泡ポリウレタン等を使用することで、高いシール性が実現可能です。
3. 電磁波・腐食対策
電磁波を内部に貫通させない構造の制御ボックスや、耐食性に優れたステンレス製の制御ボックスなども現場の環境に応じて導入されています。
制御ボックスの種類
制御ボックスは、材質や形状で分類することが可能です。下記では、形状で分類した制御ボックスの種類を紹介します。
1. 小型制御ボックス
小型の制御装置でも作業者の操作によるコントロールを行いたいときは、ボタンやタッチパネルなどの入力機器を備えた制御ボックスを装置外部に設ける場合があります。
2. 自立型制御ボックス
自立形の制御ボックスは、大型の制御盤や大容量の機器収納に適した製品です。蓄電池や重量機器を搭載できる高耐震性を備えたタイプの製品もあります。
制御ボックスのその他情報
DINレール
ほとんどの制御ボックスには、格納する機器が適切な間隔で見やすく配置されるようにDINレールと呼ばれる統一規格のレールが段状に配置されています。DINレールとは、制御盤の内部で使用する制御コンポーネントを制御盤の中で取り付ける際に使用することが多い金属製のレールです。
ネジで取り付ける手法より取付方法が簡単で、施工やメンテナンス費用を抑えられます。規格に沿っているため、統一された寸法で各社販売しています。
工場内で多用されるPLC (プログラマブルロジックコントローラ) や電磁リレーもDINレールに対応しています。レール上に各機器を装着することで、設計通りのレイアウトのシステムを容易に構築することが可能です。
参考文献
https://www.nito.co.jp/products/enclosures/
http://naigai-e.co.jp/naigai_product/product/01_cabinets.html
https://www3.panasonic.biz/