加振機

加振機とは

加振機とは、製品に振動を与えて、振動に対する強度や信頼性を確認するために用いる試験装置のことです。

加振機は起振機や振動発生機とも呼ばれています。主に機械工学や土木工学、建築学などの分野で、構造物の揺れに関する実験を行う際に使う場合が多いです。

土木・建築の分野では、地震による揺れで構造物の安全性の評価を十分行う必要があります。そのため、構造物の大きさによって使用する加振機を適切に設定することが重要です。

加振機の使用用途

加振機は、さまざまな工業製品の開発や品質保証、土木や建築分野で使われています。

例えば、自動車が走行する際、車体には常にさまざまな振動が発生し続けており、それぞれの部品は振動を受けても壊ずに機能を維持しなければなりません。特に内装部品では、振動によって異音が発生してしまうと、クレームにつながる恐れもあります。

そこでさまざまな振動を与えたり、振動以外に温度変化なども加えたりする試験を行います。土木や建築業界であれば、建物全体の耐久性評価に用いることも多いです。

大型の加振機の上に住宅を建てて、地震を想定した振動を加えて躯体、屋根材、ドアやサッシといった各製品の耐久性評価も行われます。

加振機の原理

加振機の原理は、動電式振動試験機を理解する必要があります。動電子機試験装置は、オーディオ機器であるスピーカーと同じ原理によって、振動を発生させるものです。

音は空気の振動によって発生し、スピーカーも振動を発生する加振機と捉えることができます。動電子機試験装置で振動を発生するための力は、「フレミングの左手の法則」によって生み出されます。フレミングの左手の法則とは、磁界の中を横切る導線に電流が流れると力が発生し、その際の磁界と電流と発生する力の方向の関係を表したものです。

電流を変化させることによって、力の大きさも制御することができます。また、加振機においては、目的の振動を発生するために電流を制御しつつ、実際に発生した振動を検知しています。

目的とした振動が発生しているのかどうか、もし違った振動が発生しているのであれば修正するためのフィードバック回路が設けられているのが特徴です。

加振機の種類

加振機の種類として、機械式や油圧式、動電型、圧電型などが挙げられます。大型で大容量のものから、小型のものまで種類はさまざまです。

1. 機械式の加振機

機械式は、フレームやシャシー部品などの大型の強度、耐久試験に使われます。極低周波数で大きな加振力を出すことが可能です。

2. 油圧式の加振機

油圧式は、車体やシャシー、多くの部品の振動、強度、耐久試験、ロードシミュレーターの多軸加振機にも使用されます。小型なのに大きな加振力が得られ、極低周波数から1kHz程度まで加振が可能です。任意の波形を容易に発生できることも特徴の1つです。

3. 同電型の加振機

動電型は、油圧式より加振力は劣りますが、数キロHzまで可能なため、中・小型物の加振に用いられます。

4. 圧電型の加振機

圧電型は、数十キロHzまで可能ですが、加振力は比較的他のものと比べると小さくなります。一般的に高い振動数が必要な場合は、動電型をはじめとする電気式のものが使用されます。

加振機のその他情報

振動試験の種類

加振機による振動試験には、さまざまな種類があります。振動には振幅、周波数、波の形によって異なり、振動の種類によって試験の名前が付けられています。

1. 掃引試験 (スウィープ試験)
周波数を変化させる試験で、ある周波数から連続的に周波数を変化させていきます。例えば、車が加速する際はエンジンの回転数が連続的に変化していくので、車体に発生する振動も連続的に変化させた評価が必要です。

2. スポット試験
スポット試験では、ある特定の周波数の振動数成分正弦波 (サイン波) を連続して与えます。製品が使われる環境において、発生する振動が明らかな場合などに行われます。

3. ランダム波振動試験
特定の周波数や振幅ではなく、さまざまな振動をランダムに与える試験です。試験の最中に、共振現象というある特定の振動によって、製品が大きく揺れてしまう現象を見つけ出すこともできます。

4. 衝撃波振動試験
製品が何かにぶつかったときなど、短時間に大きな振幅の振動が発生する状態を再現します。

参考文献
https://www.imv.co.jp/pr/simulation_system/

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