トルクリミッタについての概要、用途、原理などをご説明します。また、トルクリミッタのメーカー17社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。トルクリミッタ関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:清水工業株式会社、2位:NTN株式会社、3位:株式会社オリジンとなっています。
早稲田大学大学院でMBE法による窒化物半導体成長に関する研究に従事。2016年に大学院を修了後、非鉄金属系メーカーへ入社。金属製錬工場における設備保全・エンジニアリングの業務に従事。2022年に化学系メーカーへ転職。同様の業務に従事。
前田 理也のプロフィール
トルクリミッタとは、回転機器の過負荷時に動力伝達を遮断または制限する装置です。
主に人体や機械装置保護のために使用されます。動力の遮断構造はさまざまな種類があるため、使用用途によって使い分ける必要があります。
トルクリミッタは身近な日用品から大型産業装置まで、幅広い用途で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。
外部から想定外の力がかからないようにすることで、装置を保護し人身災害を防止します。また、インパクトレンチのように、トルクリミッタでトルクを制限し、作業を均一化することも可能です。電動工具では、多くの場合に利用されます。
トルクリミッタは動作原理から2種類に分類されます。動力切断タイプとスリップタイプです。
設定トルク以上となった際に駆動軸と従動軸の縁が切れるタイプです。スリップによる熱も発生しないため、大型装置に適用可能です。
スリップタイプは設定トルク以上となった際に駆動軸と従動軸が滑ることでトルクを制限するタイプです。小型で安価ですが、高トルクには適しません。
トルクリミッタにはさまざまな種類があります。以下の記述はその一部です。
駆動軸と従動軸を多板クラッチやねじリコイルを介して接続する方式です。多板クラッチやねじりコイルがスリップすることで伝達力を制限します。多板クラッチタイプではクラッチの与圧によってスリップ力を調整可能です。摩擦力を利用するため、作動頻度が高いと摩耗が進み伝達力が低下します。
駆動軸と従動軸に磁石を用意し、磁石の吸引力で動力を伝達する方式です。トルクの過負荷時は軸同士がスリップしますが、摩耗や発熱はありません。磁石同士は接触しない状態で保持されているため、静音性にも優れています。
設定以上のトルクが加わったときにクラッチが作動して動力を遮断します。クラッチの作動と電気接点を連動させれば、接点出力することも可能です。
シャーピンと呼ばれる材料の破断を使用した方式です。シャーピン材質及びノッチ径で規定トルクを設定します。取り付けたシャーピンが破断することで停止してトルクを制限します。構造は単純で比較的安価に導入できることから大型な装置で利用されます。ただし、部品の定期交換が必要な上に、作動後はシャーピンの取替が必要です。
上記は全て機械式のトルクリミッタですが、電気的なインターロックでトルク制限することも可能です。ショックリレーやインバータによって過負荷時に動力電源を遮断します。
また、インバータを利用する場合は電流値を制御してトルク制限するとも可能です。協働ロボットなどは、トルクセンサーによってトルクを制限している場合もあります。
産業機器のトルクリミッタは減速機付モータなどに適用されます。従来は、従動側のスプロケット部などに取り付けるものが一般的でした。近年では、小型化を目標にトルクリミッタ付きの減速機付モーターが開発されています。
モーターにコイルばねやロードセルをセンサとしたトルクリミッタが設置されており、高精度なトルク管理が可能です。また、モーターだけではなくスプロケット部にも異なる種類のトルクリミッタを組み込むことで、2重の安全対策も可能となります。
トルクリミッタ付き減速機付モーターは、調整ボルトにより任意にリミットトルク値を設定可能な商品も販売されています。現場に設置後稼働に併せて調整することが可能です。
参考文献
https://www.sankyo-seisakusho.co.jp/product/torque_limiter/index.html
https://mighty-corp.co.jp/application/faq_torquelimiter.html
https://cyclo.shi.co.jp/product/feauter/gear-motor/cyclotl.html?selection=category
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/mechanical-protectors/torque-limiter/
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
2023年11月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 清水工業株式会社 |
10.7%
|
2 | NTN株式会社 |
9.5%
|
3 | 株式会社オリジン |
9.5%
|
4 | オリエンタルチエン工業株式会社 |
9.5%
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5 | 株式会社椿本チエイン |
8.3%
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6 | 株式会社三共製作所 |
8.3%
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7 | 株式会社TOK |
8.3%
|
8 | サンエス護謨工業株式会社 |
6.0%
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9 | 東京マイクロ株式会社 |
6.0%
|
10 | 三木プーリ株式会社 |
4.8%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年11月のトルクリミッタページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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歴史のある会社
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企業
株式会社三共製作所 三木プーリ株式会社 Huizhou Guanghai Electronic Insulation Materials Co., Ltd.同社の製品の中で、もっとも汎用的な摩擦式過負荷保護機器です。
軸に取付け、チェーンやギアで動力を伝達できる一方で、過負荷から確実に機械を保護することができます。
中形・小形タイプ、大形タイプ、スプロケット付、カップリングタイプの4種類の形状があります。また、トルクに合わせて16品種があり、1.0~9310N・mまで対応しています。
自動復帰機能が備わっているので、復帰の際に手間がかからないようになっています。
スプロケット付が標準化されているので、面倒な加工や組み立て必要ありません。
TNFシリーズは、同社の標準モデルであるTFシリーズをベースに開発された、頻繁なトルクの遮断に対応したトルクリミッタです。
繰り返し動作可能で、頻繁なトルクの遮断を高い精度で連続しておこなうことが可能です。
遮断トルクの調整は、調整用のナットを回すだけで簡単におこなうことができます。
テーブルやギア、スプロケットやアームなど、様々な部品に直接取り付けることができます。
内部ヒステリシス損失が小さく抑えられいるので、経年劣化が少なく長い寿命を確保しています。
主にプリンター・ 複写機など OA機器の紙送り部に使用されるトルクリミッターです。
プレス内輪の外周面に圧入されたコイルスプリングにより、両部品の摩擦力により、駆動側から従動側に伝達するトルクを遮断・制限する仕組みとなっています。
従来の製品に比べ、トルクの公差が少なくなり精度が向上している他、長寿命化も実現しています。
また、使用軸径はφ6、外径はφ14、重量は2.8gと、非常に軽量で小型であることが特徴です。
同社で製造されている事務機器用のクラッチで使われる技術を応用して、新たに開発された給紙分離機構です。プリンターやコピー機、ファクシミリの給紙機構において、用紙の重送防止に使われ、高い分離性を実現しています。
機器に送られる用紙が重なってトルクが弱まるとブレーキがかかる一方、一定以上のトルクが加わると回転する仕組みになっています。
また、トルク値設計からばねの製造、製品組み立てまで、製造会社内で一貫しておこなっているのが特徴です。