光触媒コーティング剤とは
光触媒コーティング剤とは、建築物の外壁や内装に塗布されるコーティング剤で、これらの汚れを防止する防汚効果をもつコーティング剤です。
光触媒の特性を生かして防汚効果を発揮します。
光触媒コーティング剤の使用用途
光触媒コーテイング剤は、紫外線を含む太陽や蛍光灯などがあたる建築物の外壁や、室内の壁紙およびカーテンなどをコーティングする際に使用されます。光触媒コーティング剤は、高い親水性とプラスに帯電することが特徴です。水分に含まれる汚染物質や、ウイルス、匂い物質などの有機物を分解して、防汚効果や洗浄補助効果を発揮します。
そのため、防汚効果によって綺麗な状態を維持することが可能です。ビルの壁面に使用する場合は、壁面に雨水が付着すると雨水はコーティング膜に沿って広がり、雨水中の汚染物質と壁面に付着している汚れなどの有機物は、光触媒との酸化還元反応で分解され、雨水と共に流されます。
また、光触媒コーティング剤は、繊維を痛めることがなく、カーテンやソファなどの布製品にも使用できるため、素材の劣化を抑え製品の美観の保持が可能です。さらには、ウイルスや臭い成分・汚れ成分などの有機物を分解するため、これら室内に使用される製品において、求められる消臭や抗菌効果もあります。
光触媒コーティング剤の原理
光触媒コーティング剤に使用される二酸化チタン (酸化チタンと呼ばれることが多い) などの光触媒は、紫外線を吸収することで高い親水性を発揮し、かつプラスに帯電するのが大きな特徴です。
この光触媒コーティング剤よって作られる被膜に水分が付着すると、高い親水性のために膜に沿って広がります。このとき、水分に含まれる有機物とプラスに帯電した光触媒の酸化還元反応により、有機物が分解されます。
光触媒に光が当たり、空気と水があるという条件が揃えば、何度も反復して効果が得られる点や、電力などのエネルギーを使用することなく効果が得られる点、廃棄物なども排出しないという点を考慮すると、光触媒コーティング剤は非常にサステイナブルなコーティング剤です。
光触媒コーティング剤のその他情報
1. 光触媒コーティング剤のメリットとデメリット
メリット
内装などに使用した場合の抗菌効果、抗ウイルス効果、消臭効果が挙げられます。また、一度使用すると効果が長期的に持続するため、ほとんど手入れの必要が無い点もメリットです。
さらには、健康上の問題がほぼありません。光触媒コーティング剤の主成分は酸化チタンで、経口摂取しても人体への影響がほとんどなく、市販されている製品に関しても、経口摂取による急性毒性試験、皮膚への刺激性試験、変異原性試験などの各項目で安全基準を満たしている点もメリットとして挙げられます。
デメリット
光触媒コーティング剤に関するデメリットとしては、費用が高くなる傾向にあることが挙げられます。これは、光触媒コーティング剤自体が他のコーティング剤と比較して高く、施工時の初期費用が高くなるためです。
また、壁などに使用した場合、塗装表面での抗菌効果、抗ウイルス効果、消臭効果は期待できますが、空中に浮遊している物質に対しての効果はほとんど期待できません。さらに、菌やウイルスにも様々な種類があるため、すべての菌、ウイルスに対する抗菌効果や抗ウイルス効果は保証されないこともデメリットとして挙げれられます。
2. 光触媒コーティング剤の価格
市販されている光触媒コーティング剤には様々な量や種類があります。価格はそれぞれ異なり、大体の製品は数千円~数万円で購入可能です。スプレータイプの製品は容量が少なく、比較的安価になっており、内壁用の塗料タイプの製品は大容量のため、価格も高くなります。
光触媒コーティング剤を内装全体に塗布する場合には、専門の業者への依頼が必要です。この場合、1㎡あたりの塗装単価は数千円ですが、塗装する場所などの条件により多少変動します。光触媒コーティング剤は、他の塗料よりも高価なため、初期費用が高くなる傾向があり、耐用年数や効果などを考慮して、総合的に判断する必要があります。
参考文献
https://www.shinetsu-astech.co.jp/photocatalyst/images/PhotocataliticCoatings.pdf
https://coating.th-angel.com/2013/12/blog-post_2.html
https://www.piaj.gr.jp
https://pronuri.com/articles/2298
https://taberugo.net/959