業務用CDとは
業務用CDとは、一般消費者向けに販売されるCDよりも、耐久性や信頼性を高めたCDです。
ディスクの基盤となるポリカーボネート樹脂は、反りや歪みが少なく透明度の高いグレードを選定しています。レーザー光を反射させる反射膜には、一般的なアルミニウムよりも化学的に安定している金や銀、あるいは特殊な合金が使われる場合があります。これにより、湿気やガスによる劣化を防ぎ、長期間にわたって安定した読み取り性能を維持します。
製造時には、チリやホコリを徹底的に排除した高度なクリーンルームで成形します。製造後の検査基準も厳しく設定されています。これらの高品質な素材と厳格な管理体制によって、データの記録・読出時に発生するエラーを最小限に抑える仕組みです。数十年の長期保存にも耐える信頼性を有したCDです。
業務用CDの使用用途
業務用CDは以下のような用途で使用されます。
1. 医療機関・公共機関
CTやMRI、レントゲンなどの医用画像を記録し、患者へ渡す際の媒体として使用します。これらのデータは患者の健康に関わる重要な情報であり、確実に書込・読出ができる業務用CDを媒体に使用します。同様に、官公庁や博物館などでも、公文書や貴重な資料をデジタル化して保存・配布する際の媒体として選ばれることがあります。
2. 放送・音楽制作
放送業界では再生エラーが放送事故に直結するため、わずかな読み取り不良も許されません。そこで、業務用CDを音源の作成に用います。また、音楽スタジオではレコーディングとミキシングを終えたマスター音源を記録するために使用します。このマスター音源を基に市販のCDが製造されるため、原盤となるディスクには最高レベルの品質を有する業務用CDを用います。
3. 一般企業
企業の重要なデータを長期間にわたって安全に保管する用途にも業務用CDが最適です。企業の開発データや設計図面、財務記録といった、万が一にも失ってはならない情報を保存するために利用します。ハードディスクやSSDなどの電子部品と異なり、適切に管理すれば数十年単位でのデータ保持が期待できます。