巻取機

巻取機とは

巻取機とは、フィルムなどのシート状製品やホースなどを巻き取る装置です。

一般的には、シートなどを巻き取ることで、取り扱いや保管を容易にするために使用されます。生産された長手製品を芯に巻き取ることで、製品の品質を損なうことなくコンパクトに扱うことができます。

巻取り機は素材の巻き取り作業を効率化し、整理や保管を容易にするための重要な機械です。産業や日常生活のさまざまな場面で使用されており、素材の取り扱いや管理を効果的に行うために欠かせない存在となっています。

巻取機の使用用途

巻取り機は、さまざまな使用用途で利用されます。以下にいくつかの一般的な使用用途を挙げます。

1. 糸や繊維製品の生産

紡績工場や織物工場などで、糸や繊維製品の生産ラインで巻取り機が使用されます。糸を巻き取ることで、取り扱いや加工が容易になります。

糸などの線状の製品を巻き取る場合には、ボビン巻きという手法を採用されるケースが多いです。巻取りの周回毎に常に製品が隣り合った状態で巻き取ることで、絡みや外径のばらつきの無い巻取り状態が実現されます。 

2. 電線やケーブルの製造

電線やケーブルの製造工程では、長い電線やケーブルを巻き取るために巻取り機が使用されます。巻き取りにより、取り扱いや保管が容易です。販売時にも木製ドラムなどに巻き取られた状態で運搬されます。

3. 釣り糸や釣りラインの巻き取り

日常生活で最も身近な例は釣具です。釣り糸や釣りラインを巻き取るために、釣り用の巻取り機が使用されます。巻き取りにより、釣り糸を整理し、絡まりや結び目を防ぐことができます。

4. 化成品の製造

プラスチックフィルムや粘着テープ、紙製品などのシート状の製品を巻き取る場合には、巻芯やリールで製品を巻き取ります。この際、巻き取る力を常に一定に保つようにすることで、シートにしわやたるみがでないように精密な制御がされています。

巻取機の原理

巻取機はフレーム、モーター、ドラム、制御装置などで構成されます。

1. フレーム

巻取り機の基本的な構造は、頑丈なフレームで支持されています。一般的には鉄などの金属で構成されます。フレームは機械の安定性と堅牢性を提供し、他の構造要素を支えます。

2. モーター

巻取機の多くは電動巻取の場合が主流です。電動の場合、駆動源としてはモーターが使用される場合がほとんどです。モーターは、巻取りドラムを回転させる力を供給します。

モーターのサイズや出力は、巻取る素材の重さや巻取り速度に合わせて選定されます。なお、手動巻取の場合はモーターは省略され、代わりにハンドルが付きます。

3. ドラム

フィルムなどの素材を巻き取るためのドラムがあります。巻取りドラムは素材を巻きつけるための表面や溝を持っており、モーターの回転によって素材を巻き上げます。巻取りドラムの形状やサイズは、素材の特性や巻き取り要件に応じて設計されます。

4. 制御装置

巻取り機は制御装置によって操作されます。制御装置は巻取り速度やトラバースの制御など、巻取りプロセスのパラメータを調整します。

巻取り機でシート状の製品をしわやたるみ無く巻き取る場合には、常に一定の張力とする必要があります。しかしながら、巻取りが進行するに連れてロール径も大きくなるため、巻取り軸のモータの出力を一定に保つだけでは張力は維持できません。

そこで、シート製品を巻き取る巻取機にはオープンループ制御やダンサーロールと呼ばれるフィードバック制御を利用して張力を一定に維持しています。

巻取機の種類

巻取り機能の自動化のために2軸以上の巻取軸を備えたターレット巻取機が使用される場合もあります。ターレット巻取機は、製品の巻取りが完了すると、ターレットが回転しシートを切断する巻取機です。同時に切断された端面を新しい巻芯に接着することで、再度巻き取りが開始されます。

線状の製品を巻き取る場合は、ボビン巻取機が使用されます。製品の外径と巻取り位置を幅方向に走査することで、均一な巻径のロールを作ります。巻取り位置がボビン端に到達すると、走査方向が折り返されて製品の絡まりを防止します。 

参考文献
http://www.kyoei-system.jp/makitori/index/indexG000000008_2.html

差圧計

差圧計とは

差圧計

差圧計とは、流体中の圧力差を測定するために使用される計測機器です。

2つの異なる地点の圧力差を検知し、その差を定量化して表示します。流体が配管や管路内を流れる際に生じる圧力の変化を検知するのが役割です。

差圧計は2つのポートを有します。一方のポートには測定したい場所の流体が入り、もう一方のポートには参照点や基準点の圧力が入ります。差圧計は2つのポートの圧力の差を測定し、その結果を表示または記録します。

差圧計の使用用途

差圧計は幅広い用途で使用される機器です。以下は差圧計の使用用途一例です。

1. クリーンルーム

クリーンルームのドアの上部などに取り付けて使用される場合があります。クリーンルーム内が常に揚圧で外部からちりやほこりが入り込まないことを確認するために用いられます。

2. 液位測定

タンクや貯液槽の液位を確認するために使用されます。タンク下部圧力と上部圧力の差を測定することで、液位へ変換します。

タンク内の圧力が高い場合などに有用です。ボイラーや圧力容器の液位測定には、差圧計が適しています。

3. ガス漏れ検知

差圧計はガス漏れの検知にも使用されます。ガスパイプラインやガスタンクの圧力差を監視し、異常な圧力変化を検知することでガス漏れを早期に発見することが可能です。

4. フィルター監視

フィルターシステムの監視にも使用されます。フィルターの目詰まりや効果の低下によって生じる圧力差を測定し、フィルターの交換時期やメンテナンスのタイミングを判断するのに役立ちます。バグフィルタなどは濾布の目詰まりを監視するため、基本的には差圧計が付属する場合が多いです。

差圧計の原理

差圧計はその種類に応じて、原理や構造が異なります。代表的な差圧計はマノメータであり、流体の静水圧を利用して圧力差を測定する機器です。

1. 液体用

液体用の場合は、液体の高さやバネの変形を利用して圧力差を測定します。垂直な透明なガラス管またはチューブに液体が充填されているのが一般的です。

一方のポートには測定したい地点の圧力が入り、もう一方には参照点や基準点の圧力が入ります。測定したいポイントの圧力と参照点の圧力の差によって、液体の高さが変化します。

高さの変化量に応じて圧力差を読み取ることが可能です。目盛りがガラス管上に配置されており、液面の高さを視覚的に確認できる場合が一般的です。

2.  気体用

気体用は気体圧力によるバネやダイヤフラムの変形を利用して、圧力差を測定します。バネやダイヤフラムが外部からの圧力によって変形し、変位を圧力差として示します。圧力差の値の表示方法は、デジタル表示やアナログスケールなどです。

差圧計の種類

差圧計はマノメータ以外にもさまざまな種類が存在します。以下は差圧計の種類一例です。

1. ピトー管式

ピトー管は、流体の速度圧力を利用して圧力差を測定する機器です。主管と静圧孔という2つのポートから構成されています。流体がピトー管の主管に当たることで速度圧力が生じ、その圧力差を測定することで流体の速度や流量を推定します。

ピトー管での流量測定は、ベルヌーイの定理から流量を求める事ができます。非常に簡単な構造で信頼性も高い流量計です。

2. オリフィスプレート式

ピトー管と同様に、流速や流量を測定するための差圧計です。流体の流れるパイプラインに設置される板状のデバイスです。流体の圧力差を測定し、その値から流量を算出します。ピトー管と同様にベルヌーイの定理から流量を計算します。

3. 差圧発信器

差圧発信器は、差圧を測定するための電気機器です。圧力センサーによって差圧を検知し、アナログまたはデジタルの電気信号として出力します。

圧力センサーにはダイヤフラム、伸縮体、またはピエゾ素子などの感圧素子が使用されます。差圧が加わると感圧素子が変形し、その変形量が電気信号として変換されます。

また、圧力センサーからの信号を処理し、変換するための電気回路が組み込まれています。増幅回路やアナログ-デジタル変換回路などが含まれるのが一般的です。圧力センサーからの微小な電気信号を増幅し、信号のノイズを低減して正確な測定結果を得るために使用されます。

参考文献
https://ekuippmagazine.com/measuring/mano/

導電性ゴムシート

導電性ゴムシートとは

導電性ゴムシートとは、電気を通す特殊な素材をゴムに配合したシートやマットのことです。

一般にシリコンゴムは、ケイ素を含む化合物を原料としており、絶縁性があり、電気を通しにくいという特性を有しています。そのため、導電性ゴムシートは、絶縁性を持っているシリコンゴムなどの合成ゴムや天然ゴムに大量の導体を配合することで、電気を通さないシリコンゴムに導電性を付与しています。

さらに、ゴムの素材を変えることで、耐候性や耐熱性、耐薬品性などの特徴を付加することも可能です。よって用途に合わせて適した材質を用いて作られている導電性ゴムを選択すると、より高い導電性の効果を得ることができます。

導電性ゴムシートの使用用途

導電性ゴムシートは、摩擦により発生する静電気に起因する帯電発火や装置の誤動作防止が必要な箇所、およびESD破壊に敏感な電子部品を扱う実験室や工場ラインなどで使用されています。具体的には、火薬を扱う現場や手術室などの床材、半導体や電子部品などの製造評価設備などにESD破壊を防ぐ目的で使用されることが多いです。

そのほか、ガスやオイルなどのタンクの昇降時に摩擦によって発生する静電気の除去する際に使用されます。導電性ゴムシートは、シートやマット状であるため、様々な場面で使用可能です。静電気による埃の付着を抑制することができるため、作業台やクリーンルームの床材などへの使用の他に、人体に帯電することを防止し、工場におけるショック事故の防止する目的にも用いられています。

導電性ゴムシートの原理

導電性ゴムシートの原理は、絶縁体であるゴムにフィラーと呼ばれる金属粉末やカーボンブラックなどの電気を通す導体を配合することで、導電性を付与できる点にあります。一般的なゴムシートでは、帯電力の減退には時間を要しますが、導電性ゴムシートでは触れた瞬時に帯電の電流や静電気がゴムシート側に流れこみ、人体や特定の部分が帯電することを防ぐことが可能です。

導体成分の含有率を上げることで、帯電された電荷を瞬時に逃がせるという特性を有するようになりますが、ゴム固有の弾性や伸張性は損なわれるため注意が必要です。特性を表す指標である体積固有抵抗率は1.0×10²Ω・cm前後であり、帯電された電荷を逃がすためのアース線が接続可能なものもあります。

導電性ゴムシートの種類

ゴムシートの中でも、以下の3種類がシートが導電性ゴムシートに使用される場合が多いです。色は黒や緑が多いですが、メーカーによってはその他の色も取り扱っています。

1. CRシート

クロロプレンシートとも呼ばれ、耐熱性や耐油性に優れています。

2. NBRシート

ニトリルゴムシートとも呼ばれ、耐油性に優れている素材です。

3. NRシート

 天然ゴム素材であり、耐摩耗性、弾力性や耐候性に優れています。

導電性ゴムシートのその他情報

1. アースキット対応の導電性ゴムシート

ESD対策が重要な電子部品などを扱う作業テーブルやフロアマット用の導電性ゴムシートには、専用のアースキット対応している製品が多いです。その場合には、通常はパッキンでシートの隅に電源コンセントに取りけるためのアース線がクリップされており、さらに数Mオームの抵抗がモールド具備されているものもあります。

2. スイッチ接点対応の導電性ゴムシート

導電性ゴムシートに用いられる導電性ゴムは、静電気や電磁気対策用シートとしての活用のほかに、微小なシートサイズでリモコンスイッチの接点として広く用いられています。この導電性ゴムは、経年劣化や汚れなどにより、スイッチ接点としての機能を果たさなくなる場合があります。

その際によく用いられる応急処理の手法が、汚れの除去や劣化し破断したゴムにアルミ箔や導電性テープで補強し修理する方法です。ただし、その手法だと耐年性の懸念が残ります。市場ではリモコン接点用の専用の個片の導電性ゴムシートも市販されており、それを活用するのも一つの手法です。

参考文献
https://www.kyowakg.com/si-sheet/doden/
http://www.irumagawagomu.co.jp/products/material/dbr.html
https://www.polisher.jp/product/5690
https://www.kimoto-gomu.co.jp/index.php?id=rubber-tokushu#bbb

定温乾燥機

定温乾燥機とは

定温乾燥機とは、庫内の温度を均一に保つ乾燥機のことで、乾燥させたい対象物の水分を乾燥させるために使用されます。大きく分けると自然対流式と強制対流式の2種類に分類されます。

定温乾燥機の他に、恒温乾燥機などとも呼ばれています。庫内の温度を高い精度で均一にコントロールし、高温環境を一定に保ちながら、効率の良い加熱で対象物を乾燥させることが可能です。

最大温度は200〜300℃程度まで設定できるものが多く、価格はおおよそ10万円〜となっています。

定温乾燥機の使用用途

定温乾燥機の用途としては、実験用のガラス器具の乾燥や、実験試料の乾燥など、名前の通り対象物の乾燥に最も多く用いられます。他にも試料の脱気・硬化のために使われたり、一定温度条件下での耐熱試験や水分測定などの分析にも活用されます。

定温乾燥機のうち、自然対流式ではヒーター熱の自然対流によって空気が循環しており、空気の流れによる飛び散りなどが起こりにくいことから、飛散しやすい粉末状の対象物などを乾燥させることに向いています。卓上でも使用できる小型なものから床置きで高さ1m以上の大型のものまで様々なサイズがあり、用途に適したサイズの乾燥機を選ぶことが出来ます。

定温乾燥機の原理

自然対流式の定温乾燥機は、熱を発生させることで生じた浮力によって、自然に気体に対流が起こることを利用して庫内の温度を均一にします。熱は温度に応じてエネルギーを持っており、熱が空気に伝わることで空気の温度が上昇します。

物質の温度が上昇すると、物質の分子の運動が活発になるため、温度の上昇に伴って密度が小さくなり、密度の差によって、重力と逆向きに浮力が発生して対流が起きることが自然対流の仕組みです。

一方で、強制対流式の定温乾燥機はヒーターの熱を送風のファンで循環させることで庫内の温度を均一にします。自然対流式よりも庫内の温度分布がより一定になりやすく、しっかりとした空気の流れがある分、乾燥時間は自然対流式よりも短くなる傾向があります。

定温乾燥機の選び方

定温乾燥機を購入する際に検討しておくべき項目は主に以下の7点です。

  1. サイズ
  2. 電源電圧
  3. 棚の数と高さ
  4. 設定可能温度と温度制御性能
  5. 対流方式
  6. タイマー・プログラム機能の有無
  7. 過昇温防止装置の有無

これらの機能面の必要性と価格との兼ね合いでどのモデルにするかを考えると良いでしょう。以下に、各項目について詳細を述べていきます。

1. サイズ

設置予定場所が実験台や棚の上なのか、或いは床に直置きにするのかによって選ぶ型式が変わります。また、加熱機器なので隣接する装置や壁との間にスペースを設ける必要があるので、それを含めて余裕のあるサイズを選びましょう。

2. 電源電圧

小型のものであれば通常の家電と同様に100Vの電源で使用できますが、大型になると200Vの電源が必要となるものもあります。また、中にはサイズが小型でも200V電源が必要なものもあるので、サイズだけでなく電源電圧も確認しましょう。

3. 棚の数と高さ

棚の数が多い程、設置面積が増えるため乾燥機内のスペースを有効活用できます。一方で、一段毎の高さが低くなるため、高さのある器具や試料を入れることができなくなります。どのようなものを乾燥機に入れるのかを想定して適切な棚の数と高さのものを選びましょう。

4. 設定可能温度と温度制御性能

定温乾燥機は加熱装置なので、設定可能温度の下限は室温となります。一方で、設定可能温度の上限は型式によって200℃程度のものと300℃程度のものがあります。また、温度制御性能はどの程度の変動幅で温度を一定に保てるかを示す値です。

「±○℃」という表記で記載されています。制御能力が高い(「±○℃」の値が小さい)方が価格は高くなるので、使用用途に合わせて過剰なスペックにならないように選びましょう。

5. 対流方式

上述した通り、自然対流式と強制対流式があります。粉体の乾燥など、飛散しやすいものを扱う場合には自然対流式が良いです。基本的には強制対流式の方が自然対流式よりも高価になるため、ガラス器具の乾燥に用いる場合など、大まかな温度分布で十分な場合にも経済的な観点から自然対流式を選ぶと良いでしょう。

一方で、耐熱試験や水分分析など、厳密な温度制御が求められる場合には温度制御能に優れる強制対流式を選ぶ方が好ましいでしょう。また、試験用途の場合には対流方式だけでなく、装置の温度制御性能も合わせて確認することが肝要です。

6. タイマー・プログラム機能の有無

タイマー機能が付いているものは、「○時間後に電源を切る」という形で運転させることが可能です。必要以上に熱を掛けたくない場合や、電源の切り忘れで終夜稼働させることを避けたい場合等に便利な機能です。

プログラム機能が付いているものは、「○℃で○時間、その後△℃で△時間」というように、温度と時間の設定をプログラムさせて運転することが可能です。タイマー機能よりも高性能な分、価格も高くなります。

7. 過昇温防止装置の有無

過昇温防止機能とは、装置の制御系の故障により設定温度以上に温度が上昇してしまった場合に、強制的に装置の電源を落としてくれる機能です。乾燥機の温度設定とは別に過昇温防止の温度設定を行うことができます。

例えば、乾燥機の温度設定を60℃、過昇温防止の温度設定を100℃にそれぞれ設定するという具合です。現在販売されているものの多くが安全機能として過昇温防止機能を内蔵したものが多いですが、価格が安いものだとそのような安全機能がついていないものもあります。

200℃、300℃と高い温度に設定できる装置であり、火災の原因にもなりうるため、過昇温防止機能のある装置を購入することをお勧めします。

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/product/category/science/drying-oven/convection-oven/
https://www.yamato-net.co.jp/word/65
http://www.daiwakeisoku.com/_userdata/PDF/electric_drying_oven.pdf
https://lab-brains.as-1.co.jp/article/selection-guide/2022/03/16313/

安全弁

安全弁とは

安全弁

安全弁は大きな圧力を保持するタンクや、レシプロ式コンプレッサ等の容積式圧縮機の出口に取り付けます。安全弁はプロセスで異常な高圧が発生しタンクの設計圧力以上になりそうな場合や、コンプレッサが壊れそうになる前に安全弁は内部のバルブが自動で開き、プロセスの圧力を開放します。

これによりプロセスの安全性を保ちます。その為、多くの工場や化学プラントで使用されています。

安全弁の使用用途

安全弁はプロセスの圧力が異常値になった際に、圧力を放出するために使用されます。例えば高圧タンクでは常に圧力監視を行っており、危険な圧力に達する前に設備を停止させますが、万が一の場合に備えて安全弁を取り付けています。

また、法律的に必ず安全弁を取り付けなければならない設備も存在します。同様にコンプレッサの出口などに取り付けられる場合もあります。この場合はあまりにも高圧になるとコンプレッサの圧縮機にも負荷がかかるため、それを緩和する場合に取り付けます。

安全弁の原理

安全弁の原理

図1. 安全弁の原理

安全弁の原理は非常に単純でスプリングで弁体を押さえつけているだけです。このスプリングを変える事で安全弁が吹き始める圧力を変更する事が出来ます。

また、減圧弁のように調整できるタイプのものも存在します。ただし、一度吹いてしまった安全弁はしっかりと締まりきらずに吹き続けてしまうことや、吹き始めの圧力が変わってしまうことがあるため、一度吹いてしまった安全弁は必ず交換する事が必要です。

また、基本的に安全弁は開かない事が原則なので、年に1回は定期点検で吹き始め圧力を確認する事もあります。よくある故障として、若干開いてしまった際に異物を噛み込んだりして、弁体に傷がついてしまったりきちんと締まらずに吹き続けてしまう事です。このような場合は安全性を担保する意味でも、弁体の清掃や新品への交換を行う必要があります。

安全弁の吐出口は多量のガスなどが高圧で吹き出るため、吹きだしても安全な所に取り付ける必要があります。

安全弁の選び方

安全弁の選定では、サイズと機能を必要に応じて選択する必要があります。

サイズは一般的に、入口側減圧弁より1~2サイズ小さいものを選定し、吹き出し量が減圧弁の最大流量の10%程度になるようにします。設定圧力は減圧弁圧力より若干高めにします。圧力の目安は各メーカーの技術資料に記載されています。

次にリフト方式を選択します。「揚程式」と「全量式」があり、用途に合わせて選択します。同じサイズでの吹き出し量において全量式は揚程式の4~5倍あり、危険圧力の開放に使用されます。圧力調整などに使用する場合は揚程式が多く使用されます。

その他、動作確認用レバーの有無、キャップの形式が選択でき、用途や使用環境に合わせて選択します。
レバー有では、設定圧力の75%の圧力で動作確認することができ、固着などの異常が無いかなどを確認することができます。

キャップの選択では、開放式では吹き出した流体は周囲に開放され、密閉式では開放されません。周囲に吹き出すと危険な流体や、周囲に流体が吹き出しては困る環境では密閉式を選択します。

また、横倒・倒立向きの取り付けは動作不良の原因になるため、取り付け姿勢が垂直になるように取り付け場所を決定する必要があります。

安全弁のその他情報

安全弁とリリーフ弁の違い

大きな意味ではどちらも安全弁に属しますが、機能の違いで安全弁とリリーフ弁(逃し弁)に分けられます。

安全弁は設定圧力になった場合、弁体が瞬時に全開し、圧力を逃がします。リリーフ弁は設定圧力になると弁体が開き始め、圧力の上昇とともに開度が大きくなります。

一般的に安全弁は蒸気や気体で使用され、危険圧力になるとすぐに開放し、事故を防止することを目的とします。リリーフ弁は液体で使用され、圧力調整や誤作動による圧力上昇防止が目的になります。

また、ポンプの出口に設置し、圧力調整や締め切り運転による圧力上昇防止、連続逃しが可能な「ポンプリリーフ弁」、安全弁とリリーフ弁の機能を併せ持ち、気体、液体両方に使用できる「安全逃し弁」もあり、使用用途と使用環境に合わせて選択します。

参考文献
https://www.venn.co.jp/products/safety_valve.html
https://www.fkis.co.jp/product_valve.html

多変量解析ソフト

多変量解析ソフトとは

多変量解析ソフトとは、多変量解析を行うことができるアルゴリズムやツールの機能を備えたソフトのことです。一般に、ユーザーが自らプログラムをすることなく、解析方法をソフト上で選択することで、難解な数式の複雑なプロセスをコンピューターが処理し、解析結果を容易に得ることができるソフトのことを指します。

多変量解析ソフトは、様々な多変量解析の手法のアルゴリズムを搭載しており、例えば、主成分分析、重回帰分析、ロジスティック回帰分析などがあります。多変量解析ソフトは、研究開発から製造まで、膨大な量のデータを扱う現場で使用されており、多くの因子から重要因子を特定すること、因果関係の推察や背景情報に基づいた予測などが可能です。

時系列データ、量的データ、カテゴリカルデータなどを扱うことができ、これらの解析をすることができます。活用される分野は多岐にわたっていて、医学や薬学、化学などから、製造やマーケティングまで様々です。

多変量解析ソフトの使用用途

多変量解析ソフトは、様々な業界のデータを扱う分野で使用されており、目的や用途に合わせてより適した解析手法を用いています。解析手法ごとの使用用途は下記の通りです。

1. 主成分分析

主成分分析では、多変量のデータを二次元( 第一主成分と第二主成分 )に集約し、二次元プロットでデータの散らばりを表します。人が直感的に把握できる二次元に集約することで、データの特徴を把握しやすくします。また、散らばりの観察から、外れた点を外れ値として検出することにも用いられます。

2. クラスター分析

クラスター分析は、複数の因子で表現した個々の対象物の間の距離を計測することで、対象物をクラスターとしてグループ分けします。例えば、アンケート回答に基づいて回答者を回答群や質問項目群の距離を計測することで、クラスターをグループ分けする際などに使用されます。

3. 重回帰分析

重回帰分析は、1つの目的とする数値を、説明変数を複数用いて予測を立てる手法です。例えば、売り上げに影響する因子が多数あるという仮説のもと、因子それぞれの影響度を推定することで、売上予測などを立てたい際に使用されます。

4. 構造方程式モデリング( SEM )

今までに紹介した個々の分析技法とは少し捉え方が異なりますが、近年注目されている構造方程式モデリングについて触れます。構造方程式モデリングは、共分散構造分析とも呼ばれ、共分散を用いてデータの背後にある構造を推定する分析方法を統合的に指す言葉です。

個別に実現する解析手法としては、重回帰分析、因子分析、パス解析などが含まれます。特に、パス解析といって、多項目のアンケート結果から、回答者をとりまくどのような要因がどのような行動につながっていそうか、といった因果関係の推定をする手法が注目されています。

5. その他

前項で例示したように、アンケート結果の傾向分析や、販売戦略の検討に使われ、マーケティングや社会科学研究に用いられています。また、理科系の研究において、多成分化学分析の結果から、分析対象の分類を行うことがあります。

例えば、工業製品の化学分析により、製品の異同を推定することや、野菜の成分分析により産地を推定することができます。また、製造元の異なる多数の製品の特徴をグループ分けすることも可能です。このように、化学分析分野での応用例はケモメトリックスと呼ばれ、近年利活用が広がっています。

多変量解析ソフトの原理

多変量解析ソフトには、多変量解析を行う際に必要な計算アルゴリズムが内部プログラムとして組み込まれています。パッケージソフトとして優れたグラフィック・ユーザー・インターフェース( GUI )を実装したものが多く、使用者は必要なデータを入力し、行いたい解析を選択するだけで複雑なプロセスがすべてコンピューターによって処理され、解析結果を得ることができます。

あるデータに対し異なる解析を試す場合も、マウスクリックなどで切り替えることが可能です。これらの特徴は、使用者が自らアルゴリズムを考えてプログラミングする方法とは大きく異なります。

多変量解析ソフトの選び方

多変量解析ソフトは、試用してから購入することをおすすめします。理由として、多変量解析は年々進歩している分野であるため、ソフトによる差異が大きいからです。

多変量解析ソフトを選ぶ際は、「実現したいことができるか」「使い勝手が良いか」の2つが重要なポイントになります。また、近年はソフトが複雑化しているため、有償の保守サービスを提案するベンダーが増えてきています。

保守に加え、運用上のトラブルシューティングやユーザートレーニングをセットにしている場合も多いです。この場合は、試用の感触から、技術支援の要否を判断するとよいでしょう。

多変量解析ソフトのその他情報

多変量解析のパッケージソフト

多変量解析のパッケージソフトでは、使用者が自ら具体的な計算方法を知っている必要はありません。近年ではプログラムソフトを用いる場合のプログラムコードが多数公開されていますが、やはり、プログラムの知識が無くとも解析を実行できるという、パッケージソフトの利点は大きいです。

ただし、パッケージソフトを利用する場合でも、データの構造、解析の意義、目的にあった解析法の選択についての知識を持つことは最低限必要です。ベンダーによってはこれらについてユーザートレーニングを実施しているところもあります。運用するにあたり、使用者の理解を促進するために、このようなトレーニングを活用することを考えてもよいかもしれません。

参考文献
https://www.infocom-science.jp/product/detail/simca.html
https://istat.co.jp/software/01
https://www.albert2005.co.jp/knowledge/statistics_analysis/multivariate_analysis/multivariate_method
https://istat.co.jp/ta_commentary

 

培養容器

培養容器とは

培養容器

培養容器とは、生命科学分野や創薬分野の研究開発などにおいて細胞などを培養するのに使用される容器です。

シャーレ (ディッシュ) や、フラスコなどの種類があります。培養面は均一で凹凸がないため、明瞭な視界を得ることができ、培養物の観察に最適です。

従来は、ガラス製の培養容器が主流でしたが、現在は通常、透明性と加工性の高さからポリエチレンなどの樹脂素材を用いたディスポーザブル培養容器を使用するようになりました。樹脂のままでは表面が疎水性で細胞との親和性が悪いため、表面を親水化することで細胞接着性を向上させています。

また、滅菌処理を行ったり、培養物が触れるブブをフィルム構造にすることで天板ごと外すことができるようにしたりするなど、用途に合わせて様々な工夫が施されています。

培養容器の使用用途

培養容器の主な使用目的は、接着細胞や浮遊細胞などの培養です。生命科学分野や製薬分野における様々なバイオプロセスにおいて、研究などの開発段階から製造リリースに至るまで、あらゆるステージで用いられます。

培養細胞は、多くの用途があり、細胞生物学者をはじめとする、生体材料研究者、臨床医などの研究者に加え、規制当局にも使用されているものです。

重要な細胞培養には、特に、ワクチンの研究や生産における細胞培養があります。培養細胞内で大量のウイルスを生育できることから、種々の疾患に対して、細胞培養技術を利用したワクチンの大量生産が使われています。

また、その他にも、哺乳動物細胞内でのタンパク質発現、がん研究や新規治療候補の試験におけるがん細胞の培養などがあります。

培養容器の原理

培養容器は、使用用途上、次のような条件を満たしていることが必須となっています。

  • 培養面は、培養に適した状態である、加工することが可能である
  • 毒性などがない
  • 滅菌することができ、滅菌状態を保つことができる
  • 明瞭な視界で顕微鏡観察の妨げにならない

これらの条件を満たすため、培養容器に使用する材質は適切なものが選択されます。培養面は均一で平滑な面に加工されているだけでなく、親水加工処理や滅菌処理などが施されています。

培養容器の種類

接着培養で用いる培養容器

図1. 接着培養で用いる培養容器

培養容器の種類には、シャーレ (ディッシュ) 、ウェルプレート、フラスコなどがあります。

大きさ、形状、コーティングや蓋のあり/なしなどまで含めると、非常に多種多様な製品が存在するため、培養する対象や用途に合わせて適した形状の容器を選択することが大切です。

浮遊培養で用いる培養容器

図2. 浮遊培養で用いる培養容器

接着培養の培養には、ペトリディッシュ (シャーレ) 、培養フラスコ、マルチウェルプレートなどを用い、浮遊細胞の培養には、培養フラスコ、スピンナーフラスコや振とうフラスコを用います。どちらの場合も、接着培養用にコーティングされたもの、或いは、浮遊培養用に接着しないようになっているものを用いることが重要です。

1. シャーレ型の培養容器

シャーレ型の培養容器には、直径35mm・60mm・80mm・90mmなどの種類があります。高さは12mm〜20mmの間であるものが多いです。また、外縁に滑り止めがついていたり、スタッキングして保管・培養できるようになっていたりと、製品によって、操作性の工夫がなされています。

2 .マルチウェルプレート型の培養容器

マルチウェルプレートは、ウェルと呼ばれる窪みが一つの容器に複数ついている培養容器です。シャーレ型と異なり、複数の培養条件を一つの容器上で検討することが可能です。6, 12, 24, 48, 96などのウェル数のプレートがありますが、通常ウェル数が増えるに従って一つ一つのウェルの大きさは小さくなります。

3. フラスコ型の培養容器

フラスコ型の培養容器は、スクリューキャップを閉めることで簡単に閉鎖系の培養が可能となることが特徴です。細胞の種類にもよりますが、フラスコ内を培地で満たして密栓することで一日程度の輸送にも耐えることが可能となります。

また、効率的に大量培養を行うために、フラスコを複数枚重ねて層状にした多層タイプの製品も利用されています。多層タイプのフラスコは重量があり、培養の際には片手でこの容器を支えながら、各層に対して培地の注入と排出を繰り返すことになります。そのため、操作手順が複雑で、容器の大きさや重量の問題もあって扱いにくいことが課題でした。

しかし、最近では、多層タイプのフラスコを用いた培養を機械化し、培養から観察までの一連の操作を、コンピュータを用いて自動制御するシステムも開発されています。また、浮遊細胞の培養容器では、撹拌棒が設置されているスピンナーフラスコや、振とう中に飛沫が上がりにくくなっている振とうフラスコなどがあります。

4. セルカルチャーインサートを用いた培養容器

培養容器の中には、セルカルチャーインサートを用いたものもあります。セルカルチャーインサートは、培養容器を上下に区切って細胞培養を可能とする器具です。

仕切り面に様々な材質からなる多孔のメンブレンフィルタをもつ構造となっています。すなわち、これにより、培地と気相の両面から異なる条件を同時に細胞に曝露させることができるのです。

接着細胞の培養は、メンブレンフィルタの上面、あるいは底面のいずれにおいても可能です。更に、浮遊細胞の培養を組み込むこともできます。複数の細胞を用いた共培養などの、より複雑な培養にも対応可能です。また、インサートの外側のみに培地を入れることで、容易に気相液相界面培養ができます。

このような培養法は、呼吸器系や皮膚、角膜など外気に接触している器官の細胞の培養などに活用されています。従来の単層細胞の実験では、脂溶性成分や粉体をそのまま曝露して評価することは困難でした。しかし、インサートを用いたモデルではそのような物質でも評価が可能となっています。

培養容器のその他情報

接着培養と浮遊培養

接着細胞と浮遊細胞

図3. 接着細胞と浮遊細胞

細胞は、接着細胞と呼ばれる培養容器に付着しながら増殖する細胞と、浮遊細胞と呼ばれる、培地中で浮遊した状態で増殖する培養細胞の2種類に分けることができます。

脊髄動物由来の細胞の大多数は、血球由来細胞など一部の浮遊細胞を除き、組織中で固着しながら増殖する接着細胞です。細胞の特性から、主な培養方法には下記の種類があります。

1. 静置培養 (単層培養)
接着細胞を培養容器に接着させ、単層の状態で培養する、接着培養の通常の方法です。正常細胞は基本的に単層状に伸展・増殖します。培養容器はペトリディッシュ (シャーレ) 、培養フラスコ、マルチウェルプレートなどが適切です。

2. 浮遊培養
血球由来の細胞などの浮遊細胞を、細胞を培地に浮遊させた状態で増殖させる培養方法です。培養容器は、細胞が接着しないようにコーティングされた専用のものが適切です。大量に培養する場合は、振とうフラスコやスピンナーフラスコを用います。

3. 回転培養 (ローラー培養)
回転培養専用の培養容器であるローラーボトルを、緩やかに回転させ、そのボトルの内壁に細胞を接着させて培養する接着培養の方法です。

4. 旋回培養 (振とう培養)
浮遊培養方法の一つであり、振とうフラスコを用い、シェーカーで振とうしながら培養します。菌体や植物細胞、リンパ球由来細胞などの、浮遊系細胞に適しています。

参考文献
https://www.sumibe.co.jp/product/s-bio/cell-culture/large-scale-flask/index.html
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-culture/cell-culture-plastics.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane/30/3/30_171/_pdf/-char/ja
https://www.corning.com/jp/jp/products/life-sciences/applications/bioprocess-applications.html
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2020/200226_4884.html

圧縮スプリング

圧縮スプリングとは圧縮スプリング

圧縮スプリングとは、外部から力を加えて圧縮することにより内部に力を蓄えるばねです。圧縮ばね圧縮コイルばねと呼ばれることもあります。内部のエネルギーは反発力(復元力)として作用するため、加えた力を解除することにより、ばねは元の長さに戻ります。

圧縮するだけで内部にエネルギーを貯めることができる点、衝撃を吸収できる点、繰り返し使用できる点などから、自動車や日用品など様々な用途で数多くの機械に使用されています。

圧縮スプリングの使用用途

圧縮スプリングは、主に反発力により元の長さに戻ろうとする機能と、変形してエネルギーを蓄えることにより衝撃や振動を吸収する機能の2つが利用されます。

反発力を利用した製品としては、2回クリックすると芯が収納されるボールペンや手を離すと元の位置に戻る押しボタン、使用すると芯が自動的に供給されるホッチキスなどに使用されています。

衝撃吸収の使用例としては、自動車の揺れを軽減するサスペンションがあります。 

圧縮スプリングの特徴

圧縮スプリングは、コイル状に巻かれた線材が塑性変形することによってその弾性エネルギーが反発力として作用します。したがって反発力の大きさは圧縮変位に比例し、反発力を圧縮変位で割った値をばね定数といいます。線材の径を大きくするとばね定数も大きくなり、幅広いばね定数の圧縮スプリングが生産されています。

ばね定数は圧縮スプリングの特性を示す値であるため、圧縮スプリングを選定する際にはこのばね定数とばねの長さが重要視されます。

反発力として使用する場合には、設計あるいは予想される変位と発生させたい反発力からばね定数を見積もります。

衝撃吸収に使用する場合には、設計上受け止められる変位の長さと想定される瞬間荷重からばね定数を決定します。また、システム全体の固有振動数が外部から加えられる周期的な力の振動数と一致しないようにする(共振しにくくする)ことも重量です。衝撃吸収の用途としては、圧縮スプリングは振動を吸収するダンパと組み合わされる事例が多くあります。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kikaikiso_0304/
https://www.samini.co.jp/engineer/jirei.html 

 

圧力トランスミッタ

圧力トランスミッタとは圧力トランスミッタ

圧力トランスミッタは圧力を伝送する機器です。

圧力計との違いは圧力計はあくまでも現場で圧力を表示し、実際に目視する必要がありますが、圧力トランスミッタは圧力を電気信号で伝送するので遠隔からでも圧力の監視が出来ます。もちろん、デジタルの表示器と組み合わせて現場で確認する事も可能です。

ファクトリーオートメーションが進んでいる現在では、圧力の自動監視による制御やアラームは省力化のために必須です。その為圧力トランスミッタは無くてはならない物になります。

圧力トランスミッタの使用用途

圧力トランスミッタは圧力監視が必要な箇所に取り付けられます。

例えば高圧の圧力を保持するタンクや圧力を制御するコントロール弁の制御用に使用します。

圧力トランスミッタ現在の圧力を電気信号を介して常に表示できるので、圧力のコントロールにも使用できます。特に圧力が上昇する事で大きな事故に繋がる圧力タンクでは、安全弁などの使用も一般的ですがその前に警報を発して機器を止める為に圧力トランスミッタ―が使用されることもあります。

圧力トランスミッタの原理

圧力トランスミッタの構造は圧力計とは大きく違います。一見圧力トランスミッタはただの筒状の機器ですが、その先端にはダイヤフラムと呼ばれる膜がついており、そのダイヤフラムにひずみゲージを取り付ける事でダイヤフラムの変形を圧力に変換します。

基本的にダイヤフラムはSUS304などのステンレス鋼で作られており、高い耐久性を発揮します。また、ダイヤフラムの材質を変える事で多種多様なプロセス流体に対応する事が出来ます。

さらにダイヤフラムが変形した信号をひずみゲージが圧力に変換し、それを4-20mAのアナログ信号として出力する事で、圧力の連続的な変化も測定する事が可能です。

気を付けなければいけない事は圧力トランスミッタは使用する圧力により圧力レンジとして製品の規格が定まっています。特に真空が測定できない物はいくら真空を発生しても「0」としか表示されないので注意が必要です。

また、もし圧力トランスミッタが故障した場合や断線した場合などに、設備が危険な方向へ行かないようなソフトウェアも作成する必要があります。

噴射ノズル

噴射ノズルとは

噴射ノズル

噴射ノズルとは、高圧に圧縮された微量の液体や気体を微細な霧状にして空間内へ噴射することができる器具です。

噴射ノズルをエンジンに用いる場合、燃料を噴射して気化させることで素早く着火させたり、密閉空間全体に燃料を分散させることが求められており、エンジン特性に応じた噴射ノズルが使用されています。

噴射ノズルの使用用途

噴射ノズルは液体や気体を微細な粒子にして、霧状に噴射することを目的として設計されたシステムで、この特徴を応用した機械設備等で使用されています。

1. ディーゼルエンジン

ディーゼルエンジンは、軽油燃料を圧縮ポンプで高圧燃料にしてエンジン燃焼室へ送り込むため、噴射ノズルは燃料噴射口の役割を持つインジェクターノズルから、高圧燃料をエンジン燃焼室に送り込むシステムとして活用されています。燃料を効果的に霧状にするため、ノズル形状は様々な種類があります。

2. 直噴ガソリンエンジン

燃費改善のためガソリンエンジンへ直噴インジェクターノズルを採用する事例があります。特に4輪乗用車や2輪車へ活用する事例が多く見られ、燃料高圧化による燃費改善システムかつ環境配慮型製品として、自動車メーカー各社が採用しています。

3. 高圧噴射システム

液体や気体を高圧で活用したい場合に噴射ノズル採用事例が多く見られます。噴射ノズルはスプリンクラー装置に利用されたり洗浄や清掃で利用する機機などへ、高圧噴射システムとして活用されています。特に気体では高圧気体を噴射ノズルシステムを用いて、エアー洗浄やエアーシャワーカーテン等へ使う事例があります。

4. 機械装置

この他にも塗布・塗装を行う機械装置で噴射ノズルが活用されたり、加湿、消火、加熱冷却などの温度調節を目的とする機械装置にも採用されています。

噴射ノズルの原理

液体噴射用の噴射ノズルは一流体ノズルと二流体ノズルの2種類に大別することが出来ます。一流体型と二流体型では液体を微細化する方法が異なっています。一流体型は液圧を利用してノズルへ液体を押出し噴出させる構造をしており、二流体型は流体の流れを利用して液体自体を粉砕し粒子状にしたものをノズルから噴出させる構造をしています。

気体噴射用の噴射ノズルは、コンプレッサブロアなど、用途によって機構が異なります。

噴射ノズルの種類

噴射ノズル (インジェクションノズル) はノズルボデーとニードルバルブ (針弁) で構成されており、3種類のノズルが存在します。

1. ホールノズル

流体の広がりを得るために、ある角度(噴口角)でノズルが設計されている。

2. スロットルノズル

噴射量を絞る機構を得るために、絞り口を工夫したノズルが設計されている。

3. ピントウノズル

ノズルボデーに副噴口が設けられており、渦流室に設置できるノズルとして設計されている。

噴射ノズルのその他情報

噴射ノズルの特徴

噴射ノズルは高圧流体を最良の噴霧状態にして噴霧することができるシステムで、ノズル構造を変えると粒子大きさや噴射量が変わるため、噴射効率を高くして目詰まりの少ないノズルシステムが作れます。また噴射ノズルを液中で噴射させる構造とすることで、噴射時の負圧を利用して液中内の液体をノズルシステム内に取取り込み、通常の3倍以上の液体を噴射できるシステムが作れます。以下の特徴を活用してシステムが設計されます。

1. 微細化
微細な霧状にすることができる。

2. 貫通力
密閉空間の隅々まで噴霧を確実に到達させる。

3. 分散・分布
噴霧を広範囲に分散・分布できる。

4. 油密性
噴射終わりには、気体や液体を遮断し漏れを起こさない。

参考文献
https://www.tpc.toray/product/nozzle/noz_006.html#/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221000829969/