安全弁

安全弁とは

安全弁

安全弁は大きな圧力を保持するタンクや、レシプロ式コンプレッサ等の容積式圧縮機の出口に取り付けます。安全弁はプロセスで異常な高圧が発生しタンクの設計圧力以上になりそうな場合や、コンプレッサが壊れそうになる前に安全弁は内部のバルブが自動で開き、プロセスの圧力を開放します。

これによりプロセスの安全性を保ちます。その為、多くの工場や化学プラントで使用されています。

安全弁の使用用途

安全弁はプロセスの圧力が異常値になった際に、圧力を放出するために使用されます。例えば高圧タンクでは常に圧力監視を行っており、危険な圧力に達する前に設備を停止させますが、万が一の場合に備えて安全弁を取り付けています。

また、法律的に必ず安全弁を取り付けなければならない設備も存在します。同様にコンプレッサの出口などに取り付けられる場合もあります。この場合はあまりにも高圧になるとコンプレッサの圧縮機にも負荷がかかるため、それを緩和する場合に取り付けます。

安全弁の原理

安全弁の原理

図1. 安全弁の原理

安全弁の原理は非常に単純でスプリングで弁体を押さえつけているだけです。このスプリングを変える事で安全弁が吹き始める圧力を変更する事が出来ます。

また、減圧弁のように調整できるタイプのものも存在します。ただし、一度吹いてしまった安全弁はしっかりと締まりきらずに吹き続けてしまうことや、吹き始めの圧力が変わってしまうことがあるため、一度吹いてしまった安全弁は必ず交換する事が必要です。

また、基本的に安全弁は開かない事が原則なので、年に1回は定期点検で吹き始め圧力を確認する事もあります。よくある故障として、若干開いてしまった際に異物を噛み込んだりして、弁体に傷がついてしまったりきちんと締まらずに吹き続けてしまう事です。このような場合は安全性を担保する意味でも、弁体の清掃や新品への交換を行う必要があります。

安全弁の吐出口は多量のガスなどが高圧で吹き出るため、吹きだしても安全な所に取り付ける必要があります。

安全弁の選び方

安全弁の選定では、サイズと機能を必要に応じて選択する必要があります。

サイズは一般的に、入口側減圧弁より1~2サイズ小さいものを選定し、吹き出し量が減圧弁の最大流量の10%程度になるようにします。設定圧力は減圧弁圧力より若干高めにします。圧力の目安は各メーカーの技術資料に記載されています。

次にリフト方式を選択します。「揚程式」と「全量式」があり、用途に合わせて選択します。同じサイズでの吹き出し量において全量式は揚程式の4~5倍あり、危険圧力の開放に使用されます。圧力調整などに使用する場合は揚程式が多く使用されます。

その他、動作確認用レバーの有無、キャップの形式が選択でき、用途や使用環境に合わせて選択します。
レバー有では、設定圧力の75%の圧力で動作確認することができ、固着などの異常が無いかなどを確認することができます。

キャップの選択では、開放式では吹き出した流体は周囲に開放され、密閉式では開放されません。周囲に吹き出すと危険な流体や、周囲に流体が吹き出しては困る環境では密閉式を選択します。

また、横倒・倒立向きの取り付けは動作不良の原因になるため、取り付け姿勢が垂直になるように取り付け場所を決定する必要があります。

安全弁のその他情報

安全弁とリリーフ弁の違い

大きな意味ではどちらも安全弁に属しますが、機能の違いで安全弁とリリーフ弁(逃し弁)に分けられます。

安全弁は設定圧力になった場合、弁体が瞬時に全開し、圧力を逃がします。リリーフ弁は設定圧力になると弁体が開き始め、圧力の上昇とともに開度が大きくなります。

一般的に安全弁は蒸気や気体で使用され、危険圧力になるとすぐに開放し、事故を防止することを目的とします。リリーフ弁は液体で使用され、圧力調整や誤作動による圧力上昇防止が目的になります。

また、ポンプの出口に設置し、圧力調整や締め切り運転による圧力上昇防止、連続逃しが可能な「ポンプリリーフ弁」、安全弁とリリーフ弁の機能を併せ持ち、気体、液体両方に使用できる「安全逃し弁」もあり、使用用途と使用環境に合わせて選択します。

参考文献
https://www.venn.co.jp/products/safety_valve.html
https://www.fkis.co.jp/product_valve.html

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