温湿度センサー

温湿度センサーとは

温湿度センサー

温湿度センサーとは、温度と湿度を測定するための機器です。

温度センサー湿度センサーで構成されています。1台で温度と湿度の2項目を計測できるため、設置の手間がかからず、設置スペースも必要ありません。

温湿度センサーの使用用途

温湿度センサーは温度および湿度を測定するために使用されるものであり、例えば以下のような分野で使用されています。

  • 外気温・湿度の測定
  • エアコンや暖房器具などの空調機器のセンサー
  • 自動車のエンジンを管理するセンサー
  • スマートフォンやパソコンなどのセンサー
  • 工業的な検査

温湿度センサーの原理

温湿度センサーは、温度センサーと湿度センサーにより構成されています。温度センサーは、測温抵抗体 (RTD) ・リニア抵抗器・サーミスタの3種類に大別され、湿度センサーは抵抗変化型と静電容量変化型の2つに大別されます。順番に解説します。

1. 温度センサー

測温抵抗体 (RTD)
温度センサーの1種である測温抵抗体 (RTD) は、電気抵抗値を測定することで温度が分かる仕組みです。白金、ニッケル、銅等の金属や金属酸化物、半導体の電気抵抗が温度の上昇とともに上がる性質を利用しており、電気抵抗値を測定することで温度を測定しています。

リニア抵抗器
リニア抵抗器は、ニッケルニッケルやパラジウムの合金を使用した測温抵抗体で、温度と抵抗がほぼ直線に増加する特性を利用しています。白金等を利用した測温抵抗体ほど精度は高くありません。

サーミスタ
サーミスタは、温度により抵抗値が変化する素子です。これを用いた温度センサーでは、素子の温度と抵抗の相関性を利用して温度を測定します。サーミスタは、温度の上昇により抵抗が高くなるPTCサーミスタ (正特性) と温度の上昇により抵抗が低くなるNTCサーミスタ (負特性) の2種類があります。

PCTサーミスタは、ある温度で抵抗が急上昇することが特徴で、半導体が熱暴走した際の過電流保護用などに好適です。一方のNCTサーミスタは、常温での抵抗値が高く、温度上昇による抵抗値変化が大きい特性を持ちます。そのため、温度での回路保護などが一般的な使用方法です。なお、通常サーミスタと言うと、NCTサーミスタを指します。

2. 湿度センサー

抵抗変化型
抵抗変化型の温度センサーは、抵抗値の変化から湿度を導き出すセンサーです。センサーに内蔵されたくし型の回路のくし歯の間を高分子よりなる感湿膜で橋渡しした構造を持つことが特徴です。

湿度が上昇して感湿膜が吸湿すると感湿膜内の可動イオンが増えることから感湿膜の抵抗値が下がり、逆に湿度が下がると抵抗値が上がることを利用しています。つまり、抵抗変化型の温度センサーでは、抵抗値の変化から湿度を導き出しています。

静電容量型
静電容量型の温度センサーは、静電容量の変化を湿度に換算する仕組みのセンサーです。2つの電極で高分子よりなる感湿膜を挟み込んだ構造を持つことが特徴です。湿度が上昇すると感湿膜内の可動イオンが増えるため、電極間の静電容量は増えます。

一方、湿度が下がると感湿膜の可動イオンが減ることから電極間の静電容量が減ります。すなわち、静電容量型の温度センサーは、静電容量の変化を湿度に換算する仕組みです。

温湿度センサーの種類

温湿度センサーは、形状でも分類され、ICチップに組み込まれたICタイプ温湿度センサーやIoT (Internet of Things) に利用されるワイヤレスタイプ温湿度センサーなどがあります。

1. ICタイプ温湿度センサー

ICタイプ温湿度センサーは、センサー素子とA/D変換などの計測回路が集積されて1つのチップとされた構成です。センサー素子単体をそれぞれ使う場合には、用途に応じて周辺の回路設計が必要であり時間とコストがかかります。

しかし、一体型のICタイプ温湿度センサーではこのような手間がなく、手軽に使用できます。また、基板に実装する際の必要な実装面積を小さくでき、小型化、低消費電力、低コストが実現可能です。

2. ワイヤレス温湿度センサー

近年では、パソコンやスマートフォンだけでなく、様々な機器がインターネットに繋がり連携できるようになってきました。いわゆるIoT (Internet of Things) と呼ばれる技術で、もの同士の間で情報を交換する、遠隔操作する、データを収集するなどが可能となり、さまざまなサービスで活用されています。

特に遠隔で物品の状態を監視する、異常を検知するなどのサービスや仕組みでは、センサーの役割は重要です。そこで、IoTセンサーと呼ばれるWi-FiやBluetoothなどのワイヤレス通信手段でデータを転送するセンサーが登場しています。

ワイヤレス温湿度センサーもその中の1つで、ワイヤレス温湿度センサーを活用することで、遠隔地の温度湿度の確認およびモニタリングを行うシステムが構築可能です。具体的には、データセンターや製造ライン、冷房設備、倉庫、ビニールハウスなど、常時人がいない場所や見えない場所の温湿度管理や異常検知に活用されています。

また、応用事例として、窓やドアの開閉感知、人や動物の動きを検知するセンサーや、家電と連携させたホームセキュリティサービスや、高齢者向けの見守りサービスなど、様々な用途、場面で活用されています。

参考文献
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https://www.koaglobal.com/product/library/sensor/basic
https://www.ni.com/ja-jp/innovations/white-papers/06/overview-of-temperature-sensors.html
https://www.okazaki-mfg.com/Tech_info/resistance_thermometer.html
https://www.murata.com/ja-jp/products/thermistor/ntc/basic/thermistor
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/situdo/note/arekore10/
https://www.jp.omega.com/prodinfo/Integrated-Circuit-Sensors.html
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https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/column/iot/iot-sensor.html
https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/UNI-01-C003

工業用はかり

工業用はかりとは

工業用はかり

工業用はかりとは、農林水産業、工業問わず、製品の生産や開発の現場で使用される、モノの重さを測るための計測器です。

工業用はかりには化学薬品の分析など、実験室で使う精密な計量に使われる電子天秤と呼ばれるものから、床に埋め込まれており、台車やパレットなどごと計測できるフロアスケール、大型のトラックごと計測するトラックスケールといわれるタイプまで、さまざまな製品があります。

さらに、粉末を計量する防塵仕様や、液体の軽量のための防水仕様、また爆発性ガスが発生するなどの危険場所での計量には防爆仕様など、使用用途や測定環境によってさまざまです。

工業用はかりの使用用途

工業用はかりはさまざまな産業において、重さを知るために、それぞれのニーズにあった製品が使用されています。具体的には、化学分野のラボ室での研究開発や分析、農林水産業、工業製品の生産工場、物流業界の倉庫などです。

生産や物流業界では、製品の数量を知るための数量計として利用されています。例えば、小さなねじ製品の数量を数えるために、あらかじめ100個程度の重量を工業用はかりに記憶させておくと、はかりにのせるだけで製品の数量を知ることができます。

他にも液体や粉体の自動充填や充填量検査、バッチ処理のための計量、調合、分注など一連の自動化した製造プロセス内に工業用はかりが組み込まれています。医薬品、化粧品、化学品、食品業界など工業用はかりが使用されている分野はさまざまです。

工業用はかりの原理

一般的なはかりには、フックの法則を利用したばねばかりや、てこの原理を利用した天秤などがありますが、工業用はかりには主に電磁式、ロードセル式、音叉式の測定原理が用いられています。

1. 電磁式工業用はかり

電磁式工業用はかりの内部構造は、天秤の構造と同様です。竿の片方に試料を載せ、支点を挟んで竿の反対側に電磁コイルが配置されています。

試料の重さに対して平衡を保つために必要な電磁力を測定し、電磁力を重量に換算します。電磁式では高精度で測定が可能であり、分析天秤など微量な試料を測定するはかりに適した方式です。

2. ロードセル式工業用はかり

重みで歪みが発生する起歪体 (きわいたい) と、起歪体の歪みを検知する歪みゲージで構成されたはかりです。起歪体の一方は固定されており、その反対側に試料を載せます。

試料の重みで発生する起歪体の歪みを歪みゲージで抵抗値として取り出し、重量に換算します。構造が比較的単純で、価格が安価です。精度の要求がそれほど高くない、重量物などの測定に適した方式です。

3. 音叉式工業用はかり

音叉式の工業用はかりは、音叉を2つ繋いだ振動子に試料の荷重を加えることで変化する振動数を測定し、重量に換算します。比較的歴史が浅い測定原理であり、測定精度は電磁式とロードセル式の中間に位置します。

工業用はかりのその他情報

1. 台はかり

計量台と呼ばれる台の形をしている平面の上に、静止している物を置いて重量を計測する「はかり」を総称として「台はかり」と呼びます。台の部分が載せたものの重量により沈み、その量を重量として はかる構造のものです。

家庭用の体重計、キッチンスケール、商店のはかり、プロパンガスの量を計るはかり、床面が計量台の構造で、大型の車両などが自走して載ることができる「トラックスケール」など、多岐にわたる用途の目的や容量で、いろいろな製品があります。

また、内部構造もバネを用いたアナログタイプの物以外にも、ロードセル、電磁式などのセンサーを持ち、デジタル数字で表示するデジタルタイプや防水構造や防爆構造など用途、ひょう量、価格帯により多種多様な製品があります。

2. 計量台

質量を計測する 「はかり」 の計測する物を載せる計量皿、プラットフォーム部の名称です。メーカーによって「台ばかり」の製品呼称として、計量台と呼ぶことがあります。

3. 電子天秤

電子天秤とは主に、質量を計測する「電子はかり」のことです。天秤の構造を内蔵している機種と、天秤構造が無いワンブロック構造のものがあります。電子天秤の測定方式は、電磁力平衡方式、ロードセル式、音叉振動方式などです。

初期の電子天秤は電磁力平衡式が主流でしたが、ひずみゲージ式ロードセルを使ったものが広く出回るようになりました。測定精度は電磁力平衡式の方が、ロードセル式よりも高いのが一般的です。

参考文献
https://www.mt.com/jp/ja/home/products/Industrial_Weighing_Solutions/bench-scales.html
https://www.tanaka-scale.co.jp/category/industrial/
https://www.an.shimadzu.co.jp/balance/hiroba/bean/bean04.htm
https://www.vibra.co.jp/learn/sensor/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/60/11/60_KJ00008329776/_pdf
https://www.keiryou-keisoku.co.jp/
https://www.aandd.co.jp/products/weighing/balance/bal-base/

工業用内視鏡

工業用内視鏡とは

工業用内視鏡とは、狭い空間や曲がりくねった管など、肉眼では確認できない部分の様子を観察できる機器です。

細長いプローブの先にカメラがついており、カメラを確認したい部位に配置して、接眼レンズから内部を観察したり、本体モニターやPCなどに画像を映し出して内部の様子をリアルタイムに観察したりすることが可能です。

解像度や焦点深度、プローブと本体の長さ、プローブのフレキシブル性、光源の数、動作可能温度範囲など観察対象や用途、使用環境によって適切なものを選択する必要があります。また、映像を記録することができる機能もあり、後日の確認やデータ管理にも役立ちます。

さらに、最近の工業用内視鏡は、高性能カメラやLEDライトを搭載しており、より鮮明な映像を提供することが可能です。

工業用内視鏡の使用用途

自動車、航空機、発電所、ガスや水道なのインフラなどの産業分野で広く活用されています。

1. 自動車・航空機・鉄道・船舶分野

エンジン、油圧部品、噴射ノズル、タービンなどの内部検査

2. 電力分野

原子力、火力発電所の復水器、配管、タービンなどの保守点検

3. 土木・建築分野

橋梁のメンテナンス、鉄骨の診断、床下や天井裏などの観察

4. インフラ分野

水道、ガス設備の配管の錆、腐食、詰まりなどの点検

工業用内視鏡の原理

内視鏡は、照明機構、カメラ、および画像処理機能の3点構成です。内視鏡の先端には、鏡面や光学レンズが配置されており、これにより画像がカメラに送信されます。光を送信するために硬い管や柔軟なシースで保護された光ファイバーを使用します。

内視鏡は、内部部品や構造物の状態を評価するために非破壊検査に使用され、検査中に画像がリアルタイムで表示が可能です。

操作の難易度が非常に高く、専門的なトレーニングを受けた技術者が操作する必要があります。

工業用内視鏡の種類

工業用内視鏡は、本体とプローブで構成され、モニターが付いているものやPCに接続できるもの、接眼レンズを覗き込むものがあります。

工業用内視鏡には、ビデオスコープ、ファイバースコープ、硬性鏡などの種類があります。

1. ビデオスコープ

プローブの先端に小型の専用カメラが搭載されており、リアルタイムで専用のディスプレイやスマートフォンなどでの視聴映像ができるのが特徴です。同時に静止画の撮影もでき、対象物の長さを測長できるものもあります。

また、防水性能があるだけでなく、水中の機器や配管などの内部を調べることも可能です。

2. ファイバースコープ

主に、非破壊的な検査や修理に使用されます。柔軟性のあるを数千から数万本の束にしたプローブを使用されているのが特徴です。

1本1本のグラスファイバが光を集めて、反対側の接眼レンズで像を得ることができます。グラスファイバ1本1本がカメラの役割のため、得られる画像にはグラスファイバのハニカム構造状の影が映りこみます。

3. 硬性鏡

対物レンズで得た画像をリレーレンズで伝送します。リレーレンズのプローブ部は金属チューブなので、曲げることができません。単純な構造で、操作方法も簡単であることが特徴です。

硬性鏡は、光源、光ファイバー、レンズ、そしてカメラで構成され、手術や治療、病変部位の観察など医療分野で使用されます。

工業用内視鏡用の特徴

1. 機能が多い

工業用内視鏡には、さまざまな便利な機能が搭載されています。中には、モニター上でズームができたり、カメラケーブルの先端に温度センサーと警報機能が備わっていたりする製品もあります。

そのほか、ハンズフリーマイクロフォンを使って、音声・動画の保存をすることができたり、先端部に超高輝度白色LEDが搭載されていて被写体の明るさを任意に設定できたり、LEDを用いてフラッシュ機能を備えたりする製品もあるため、用途に合わせて機能を選択できる便利な機器です。

さらに、多くの製品でPCやTVモニターへのデータ出力もできるため、複数名での映像共有も可能です。

2. 耐熱性が高い

工業用内視鏡は、配管の内部や機械の内部などの観察に適した耐熱性を備えている製品もあります。例えば、自動車のエンジンオイルの温度は、時に100℃を大きく超える場合があり、200℃までの耐熱特性を持つ内視鏡を使用することが望ましいです。

マイクロスコープ

マイクロスコープとは

マイクロスコープ

マイクロスコープ(英語: Microscope)とは広義に顕微鏡のことで、対象物を拡大して観察するための機器です。ただし、マイクロスコープと言えば一般的にデジタルカメラを搭載した顕微鏡のことを指し、光学顕微鏡と区別されています。光学顕微鏡に比べて焦点深度が深く、角度や長さを計測する機能があるのが大きな特徴です。

光学顕微鏡は対物レンズと接眼レンズの2つのレンズがありますが、マイクロスコープは対物レンズのみで、接眼レンズに相当する部分がデジタルカメラとなっています。この点が光学顕微鏡とマイクロスコープの最も大きな違いともいえるでしょう。マイクロスコープの場合は通常、観察対象をモニターに映します。

各メーカーから様々な機種が発売されており、拡大倍率は数倍から数千倍と幅広いラインナップが用意されています。

マイクロスコープの使用用途

マイクロスコープは、対象物を拡大して観察するだけではなく、得られた画像データから各種評価や解析を行うことができます。

自動車・航空関連、電子デバイス業界、医療・化粧品業界、化学・材料業界などの様々な分野で導入されており、研究開発から品質保証まで幅広い用途で使用されています。

例えば、電子部品の故障解析では、ICチップの外観検査や不良品の故障解析、異物混入検査や発見された異物のサイズや形状の解析などがマイクロスコープで行うことが可能です。

マイクロスコープの原理

マイクロスコープは、光学レンズ(対物レンズ)で対象物を拡大し、光学顕微鏡ではヒトの眼に当たる部分がデジタルカメラとなっています。光学レンズで拡大された像を撮像素子で検出し、モニターにその画像を映し出します。

光学顕微鏡の拡大倍率は、対物レンズと接眼レンズの倍率の積で表されますが、マイクロスコープの場合は、モニターサイズやカメラの撮像素子サイズが観察倍率に影響し、その点が光学顕微鏡の倍率の考え方と異なります。
マイククロスコープの倍率も対物レンズの倍率とモニターの倍率の積で表されます。モニターの倍率は、モニターサイズを撮像素子サイズで除した数値です。

対象物をより詳細に観察するには、倍率以外に分解能という細部を識別する性能が必要です。分解能が十分でない場合、観察画像がぼやけてしまい、細部を鮮明に観察することができません。マイクロスコープの場合は、対物レンズやデジタルカメラの光学レンズの分解能、撮像素子の解像度、モニターの解像度が分解能に影響しています。

観察する対象物や目的に合わせて最適な倍率と分解能が得られる機種を選定する必要があります。これらの高度な分解能の処理能力のユーザー要求に対応すべく、最近では4Kモニタタイプの画像も登場しています。

マイクロスコープのその他の情報

1. マイクロスコープの歯科治療での利用

マイクロスコープの用途の一つとしては歯科治療での利用があげられます。マイクロスコープの焦点調整機能を生かすことで、肉眼では検知しにくい微細な患部の観察が可能となります。

特に、根管治療と呼ばれる虫歯菌の完全な除去を行う際には、マイクロスコープによって治療者の視認性をあげ、可能な限り患部を削りきるという手法が使われます。肉眼ではどうしても患部の確認に限界があり、見落としによる患部取り残しのリスクがあります。

マイクロスコープを用いることで、治療の質を向上させ、患部取り残しによる再発リスクを低減することができます。ただし、マイクロスコープを用いた歯科治療は原則として保険適用外の自費診療となっていることに留意が必要です。

2. マイクロスコープの美容利用

マイクロスコープは、美容整形や頭皮のチェックなどの美容関連の治療・診断にも用いられます。マイクロスコープで拡大した肌を見ることで、皮膚の乾燥状況や毛じらみの発生状況などを視認し、患部の状態を判断することができます。

美容整形などをうけるクライアントとしても、自身の肌や頭皮の状態を画面で確認することができるため、診察に対して納得感を得ることができます。また、状態改善のための動機付けとなる側面もあります。

3. 最新のマイクロスコープの機能事例

昨今のマイクロスコープは、真空での観察が必要な走査型電子顕微鏡(SEM)に代わって、数ミクロン単位の電子部品や半導体ICの内部の詳細解析にも多用されています。そのために実用上、数ミリから数ミクロンといった具合に、観察の途中において桁で大きく倍率や解像度を上げていかなければなりません。

この操作には、光学顕微鏡と同様に対物レンズを交換していく必要がありますが、近年のマイクロスコープにはこのレンズ変更のための自動回転やレンズ変更時の自動焦点合わせ機能を内蔵し、ほぼ全自動でこの工程を行ってくれるものがあります。

画像処理についても倍率の高い画像を、畳のように縦横に並べて大きな1枚の画像に合成してくれる機能や、画像の焦点調整機能を活用して、対象物を3次元(3D)的に立体的な画像に処理してくれるような高機能なタイプも登場しているのです。

これらの機能を組み合わせて、半導体ICの配線チェックや、電子部品の内部欠陥箇所の不良解析に活用されている事例もあります。

4. マイクロスコープの価格

マイクロスコープは、その用途や性能によって値段が異なります。倍率や視野範囲が狭いマイクロスコープであれば1万円前後から取り扱いがありますが、美容成形や頭皮等の簡単な検査目的で利用するものであれば5万円程度、医療目的で利用されるものは10万以上という価格帯となっています。

さらに、半導体製造など製造業における製品検査用途として用いられるようなマイクロスコープには高い倍率やミクロン単位の高精細な高精細な画像表示が求められるため、数百万程度が一般的な価格帯となります。

手術や治療に用いる場合では画面表示の遅延が少なく、フレームレートが高いことも重要ですが、低遅延・高フレームレートのマイクロスコープは価格が高くなる傾向があります。また、レンズを交換することで表示倍率を拡大することができる製品なども販売されています。この場合画像処理能力も高度化され、専用のモニターや制御ソフトも高度化するために価格はさらに上昇します。

参考文献

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https://www.keyence.co.jp/products/microscope/digital-microscope/
https://xlab.leica-microsystems.com/blog/industrial/digital-microscope_magnification/
https://www.abe-shikaiin.net/pages/root.html
https://ureruzo.com/scopeSankou00.htm
https://www.asahikogakuki.com/microscope/ms-300/

工業用カメラ

工業用カメラとは工業用カメラ

工業用カメラとは、工場やセキュリティを目的とした用途などで使用されるカメラのことです。

産業用カメラと呼ばれることもあります。工業用カメラには大きく、モニタリング用とマシンビジョン用の2種類があります。モニタリング用のカメラは、監視用途が多いです。

カメラにはモニターが接続されて、ヒトが目視で対象物を観察します。監視以外にも、デジタルマイクロスコープなどに用いられるカメラも、モニタリング用の工業用カメラです。

マシンビジョン用の工業用カメラは、さまざまな工業製品の製造工程の中に組み込まれ、ヒトの代わりに情報を認識するものです。取り込まれた画像データはコンピューターがさまざまな処理を行い、解析結果をアウトプットします。自動検査などに使用されるのは、マシンビジョン用の工業用カメラです。

工業用カメラの使用用途

モニタリング用の工業用カメラは、防犯カメラ監視カメラ、車載レコーダー、デジタルマイクロスコープなどに応用されており、ヒトが目視で対象物を観察することを主な目的としています。ATMやレジなどに搭載されている防犯・監視カメラも、モニタリング用の工業用カメラです。

マシンビジョン用の工業用カメラは、主に製造工程内で使用されています。ヒトに代わって工業用カメラで撮影した画像をコンピューターで解析し、例えば検査結果を判定するなど検査システムに組み込まれています。

用途としては、欠陥・異物検査や液体の容器への充填基準の判定、バーコード読み取り、文字認識など幅広く、自動車、医療、電気電子、物流、印刷分野などです。

工業用カメラの原理

工業用カメラも、私たちが使うデジタルカメラと同様に、レンズとカメラ本体で構成されています。レンズから入った光は、カメラ本体にある撮像素子によって、デジタルデータに変換されます。

撮像素子は可視光だけでなく、赤外線、紫外線、エックス線などでも感知可能です。撮像素子の性能はサイズ、画素数、走査方式などによって決まります。

産業用カメラの選び方

産業用カメラは用途が限定される場合がほとんどであり、必要最低限の性能を満足するものを選ぶことが大切です。ここではポイントを3つ挙げます。

1. 面で捉える必要があるか

工業用カメラには民生用のカメラと同様に、ある特定の範囲を画像として捉えるエリアカメラと、ラインセンサカメラがあります。ラインセンサカメラには素子が1列しかありませんが、対象物を動かすことによって製品の全体像を把握することが可能です。

円筒物のものであれば製品を回転させ、平面状の製品であれば、平行移動させることによって、製品の全体像が把握できます。生産ラインでの監視や検査であればエリアカメラを使わなくても、ラインセンサカメラで役割を果たすことができます。

2. どのような画像が必要なのか

必要となる画像の色情報、解像度、そして取り込み速度によって、求められる工業用カメラも変わります。形状だけを判別するのであればカラー情報ではなく、モノクロ情報が得られれば問題ありません。解像度も必要以上に高くしても、カメラの価格が高く、データ量が増えてしまいます。また検査する製品の数が多くなれば、処理できるデータ量でなければなりません。

3. インターフェイス

撮影した画像や映像を、どのように取り込むのかについても、十分に理解しておく必要があります。工業用カメラの代表的なインターフェイスは、USB、CameraLink、Gigabit Ethernetがあります。これらは最大転送速度も異なりますが、ケーブルの長さにも注意が必要です。

パソコンにも多く使われているUSBは最大3m (USB3.0) CameraLinkは10mまで、Gigabit Ethernetは100mまで使えます。

工業用カメラのその他情報

イメージセンサーの走査方式の違い

インターレース方式とプログレッシブ方式があります。インターレース方式は、画像を横に切って、偶数段と奇数段ごとに分けて表示する方式です。

なめらかな動きを表現できるため、監視カメラなどのモニタリング用に採用されています。プログレッシブ方式は、分割した部分を1度に表示する方式です。

瞬間をとらえることが得意出あるため、製造工程で使用されるマシンビジョン用に採用されています。

 参考文献
https://www.tel.co.jp/museum/exhibition/principle/cmos.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/vision/visionbasics/basic/hard/primer.jsp
https://www.hitachi-kokusai.co.jp/products/tv/camera/select_imagesize.html
https://systemk-camera.jp/camera-blog/knowledge/what-image-sensor.php
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2005/02/p106-107.pdf

はんだ槽

はんだ槽とは

はんだ槽(英語: Solder bath)とは、溶けたはんだを容れるあるいは溶けたはんだで満たされた容器(槽)のことで、容器内ではんだを溶融状態で維持するためのヒーターを併設した機器や設備です。

はんだ槽は、はんだポットやはんだバスとも呼ばれています。はんだ付けする対象物の形状や数量により、実験室で使用できる卓上レベルの大きさから製造ラインで使用するような大がかりなものまで、サイズは様々です。

なお、はんだ槽には、槽の中ではんだが静止した状態となる静止タイプと槽内部にノズルがあり、はんだを噴流させる噴流タイプの2つのタイプがあります。

はんだ槽の使用用途

はんだ付けには、人が手で行う手はんだもありますが、はんだ槽を用いて行うはんだ付けは、比較的単純な対象物に対して安定した品質で大量に効率よくはんだ付けを行う場合に使用されます。

はんだ槽を使用するはんだの方法は、リード線のはんだ付けや、プリント基板への部品の実装などの分野に好適です。はんだ槽は、はんだ付けする際に使用します。人が手で行う手はんだに対して、はんだ槽によるはんだは、比較的単純な対象物に対して安定した品質で大量に効率よくはんだ付けを行う場合に使用されます。

はんだ槽の原理

はんだ槽は、溶融はんだを貯める容器とはんだを溶融状態にしておくためのヒーターから構成されています。熱量をかけてはんだを溶融した状態に保持するという単純な構造ですが、生産設備として導入されているはんだ槽は、はんだ槽の温度を細かく制御できたり、対象物をはんだ槽に運ぶコンベアが装備されているものが主流です。

なお、はんだ槽としては、はんだ液が槽内で静止している静止タイプとはんだを噴流させるノズルが装備されている噴出タイプがあります。はんだ槽内のはんだは溶融状態で空気に長時間触れていると酸化し、酸化物が生成されます。酸化物ははんだ付けする母材とはんだの濡れ性を悪化させ、はんだ不良を起こす大きな原因です。

そのため、酸化していない溶融はんだを常に供給することが良好なはんだ付けをおこなうための重要なポイントです。このことから、ノズルではんだ槽内部の溶融はんだを噴出させて母材に酸化していないはんだを接触させる方式の噴出タイプが多く使用されています。

静止タイプはもちろん、噴出タイプにおいても酸化物を取り除く対策が必要ですが、噴流タイプの方が常にはんだが流動しているので酸化物ができにくく、酸化物を除去する作業が少なくて済むというメリットがあります。

1. 静止タイプのはんだ槽を使ったはんだ付け

静止タイプのはんだ槽

図1. 静止タイプのはんだ槽

図1の静止タイプのはんだ槽の模式図に示すように、はんだ槽の中に溶融はんだを配し、図2に示すように溶融はんだ内にプリント基板などはんだ付けする部品を浸漬し、引き上げればはんだ付け完了です。

2. 噴出タイプのはんだ槽を使ったはんだ付け

噴出タイプのはんだ槽を使ったはんだ付けは、噴出タイプのはんだ槽の模式図に示すように溶融はんだが入っているはんだ槽内にノズルを配しており、はんだ槽内の溶融はんだをノズルにより噴き上げて噴出させます。これをプリント基板などはんだ付けする部品に吹き付け、はんだ付け完了です。

噴出タイプのはんだ槽

図2. 噴出タイプのはんだ槽

このような、はんだを噴出させるノズルが装備されているはんだ槽を使用する方法はフローはんだと呼ばれ、プリント基板製造分野で多く導入されています。具体的な装置の構造は、プリント基板にチップを組み込んだものをコンベアではんだ槽に運び、溶融したはんだを噴出させて基板と部品の所定の場所に実装するというもので、自動化された製造プロセスの一部に組み込まれています。

はんだのその他情報

1. はんだの種類

はんだを使う際、「フラックス」や「ヤニ」を使います。その目的はきれいな「はんだ付け」をするためです。「フラックス」は塩化アンモニウムや塩化亜鉛を含んだ液体です。

プリント基板上の不純物除去をして基板表面の洗浄を行い、きれいにはんだ付けができるようにする目的で使用されます。また、銅配線された基板面では配線面の酸化防止を行います。

「ヤニ」は「松やに」に含まれる成分により、はんだの酸化防止を行いきれいなはんだ付けの仕上げができるようにします。一般に「ヤニ」は「はんだ」に含まれていることが多く、「ヤニに入れはんだ」として販売されています。

2. はんだの材質

はんだ(英語:solder)は鉛とスズを主成分とする合金です。主に電子回路を構成するプリント基板に搭載した各種電子部品やコネクターを、プリント基板上の配線部と金属接合して通電可能とする為に使用されます。また、別の用途としては配管同士の金属結合にも広く使用されています。

はんだの歴史は、紀元前3000年ころのメソポタミア文明まで遡ります。銅製の器に銀製の取手を付ける場合に「銀-」はんだや「スズ-銀」はんだが使われていました。その後、ギリシャ-ローマ時代には現在主流となる「スズ-鉛」はんだが水道管の接合に使用されています。

その後、「鉛」の有毒性が明らかになり、EUが世界に先駆けて「スズ-鉛」はんだの使用規制(Rohs指令2006年施行)を実施しました。そして現在では、世界のはんだメーカーと電機メーカーが主体となり「鉛フリー」のはんだを開発し、広く世の中に普及しています。現在のはんだ合金の主成分は「スズ-銀-銅」系、「スズ-銅-ニッケル」系、「スズ-亜鉛-アルミ」系など、「鉛」を使用しないはんだが主流です。

はんだ槽は、溶融はんだを貯める容器とはんだを溶融状態にしておくためのヒーターから構成されています。熱量をかけてはんだを溶融した状態に保持するという単純な構造ですが、生産設備として導入されているはんだ槽は、はんだ槽の温度を細かく制御できたり、対象物をはんだ槽に運ぶコンベアやはんだを噴流させるノズルが装備されていたりするものが主流で、プリント基板製造分野でフローはんだと呼ばれる工程に導入されています。

フローはんだ工程で使用されるはんだ槽について説明します。この工程で使用されるはんだ槽は静止タイプと噴流タイプがあります。

はんだ槽のはんだは溶融状態で空気に長時間触れていると酸化し、酸化物が生成されます。酸化物は母材とはんだの濡れ性を悪化させ、はんだ不良を起こす原因となります。酸化していない溶融はんだを常に供給することが良好なはんだ付けに重要なポイントとなります。

どちらのタイプのはんだ槽もこれらの酸化物を取り除く対策が必要ですが、噴流タイプについては、ノズルではんだ槽内部の溶融はんだを噴出させて母材に酸化していないはんだを接触させる方式となっています。

3. はんだの温度

はんだの温度は、はんだ液によって異なりますが、鉛を含有するはんだで融点183℃、鉛フリーはんだが210℃前後であり、鉛フリーはんだの方が高い融点となります。このため、鉛フリーはんだは、なかなか溶けづらく濡れ広がり難しいとの欠点が指摘されてきました。

ただし、現在は従来の「スズ-鉛」系と遜色ない製品が開発されており、代表的な鉛フリーはんだとして有名な「スズ-銀-銅」(Sn96.5%、Ag3%、Cu0.5%)、「スズ-銅-ニッケル」(Sn99%、Cu0.7%、Ni他の添加物)の融点は217~227℃となります。

 参考文献
http://www.kumikomi.net/archives/2010/11/ep35pri1.php?page=1
https://www.adogawa.co.jp/%E9%83%A8%E5%93%81%E5%AE%9F%E8%A3%85/3190.html
http://technitron.co.jp/3A1flowprcs/newpage3A1.html
https://www.hakko.com/japan/hikaru/pages/story9.html
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/4026.html
https://www.renesas.com/jp/ja/document/semiconductor-package-mount-manual
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj1970/28/7/28_7_301/_pdf/-char/ja
https://www.monotaro.com/s/c-124058/
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/4926.html
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5669.html
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5336.html
https://www.britannica.com/technology/soldering
https://godhanda.co.jp/blog/kisokouza03/

印字検査装置

印字検査装置とは

印字検査装置 (英語:Print inspection system) とは、食品や医療業界の製造工程で行われる日付の印字などについて、間違いや問題がないか検査を行う装置です。

近年では、消費者の安心・安全への意識が高まっており、食品や医療において製品の期限表示のミスは大きな問題に繋がることがあります。印字ミスがあった場合は、商品の回収に伴う費用や時間の損失だけでなく、顧客の信頼も失いかねません。

そのため、人的要因によるミスを防ぐ印字検査装置は、製造現場においてニーズの高い機材です。印字検査装置を導入することで、高い精度と一定の基準での安定した検査が可能であるとともに、画像保存による記録を担保できます。

印字検査装置の使用用途

印字検査装置は、製品やパッケージに印字された期限の日付、製造所固有記号、ロット番号などに対して、印字の有無や、印字の欠けや抜け、間違いなどを検査する機能を持つため、製造ラインで使用されるケースが多いです。

製人手では難しい判別や、製品の裏面など目視検査に時間を要する箇所の印字検査ができます。検査に利用した画像は保存しておくこともできるので、出荷後のトラブルを想定し、リスクの低減にも繋がります。

印字検査装置は、検査後にNG製品のみ排出する機構と連動することが可能です。排出機構と連動させることで、ラインを稼働したままNG製品を排出できます。主な機構としては、エア吹き出し口からのエアジェットにより排出機構やアーム機構によるNG品をピンポイントで排出する機構などを導入できます。

印字検査装置の原理

印字検査装置は、印字面を撮影するカメラ、取り込んだ画像を検査する解析装置、結果や設定を表示するモニタ、および画像を保存するためのストレージで構成されています。

製造現場のラインから流れてくる対象の印字面は、固定されたデジタルカメラにより画像として取り込まれます。取り込まれた画像は画像解析に供され、問題がないか検査されます。生産の現場では高精度なエラー検出だけでなく、過剰にエラーを検出しないことも重要なポイントです。

画像解析技術の発達により、印字部分の文字だけでなく、汚れの存在など他の問題を検出できる多くの機能をもつ印字検査装置もあります。また、印刷機とリンクできる印字検査装置も販売されており、検査の効率化やさらなる自動化が期待されています。

印字検査装置のその他情報

印字検査装置のメリット

1. 検査員の削減とミスの排除
印字検査装置を導入することで、印字の検査に要していた検査員の人手を使わずに作業ができるようになります。また、人の手で検査を行う場合、検査ミスが出ることもあります。作業効率と品質担保を長期間維持するためにも、印字検査装置は非常に重要です

2. 高精度な印字検査が可能
印字検査装置はプリンタとの連動機能を搭載している機種もあり、アイテムの切替・カレンダーなどの同期が自動で行えるため、設定の漏れやミスがありません。また、印字検査機は、印字間違い・印字抜け・印字欠けなどを高精度で識別できるので、過剰なエラー反応を制御し、不要なロス品を防ぐことで、生産性を維持しながら確実な検査を行います。

3. 印字画像を保存できるので再発予防につながる
印字検査機の検査画像を保存しておくことで、出荷時の検査履歴を残せるようになります。製品出荷後に問題が発生した場合、検査画像が残っていないと、印字検査をした日時や出荷時の状態も確認ができないので原因がわかりません。検査画像を全て保存すしておくことで、原因調査や再発防止にも役に立ち、食品や医療品のさらなる安定供給に繋がるというメリットもあります。

参考文献

https://www.edm-net.co.jp/products/pc

https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/inkjet/counterplan/sensor.jsp

カムポジショナ

カムポジショナとは

カムポジショナ (英: Cam Positioner) は、機械工学や自動制御の分野で使用される装置の1つです。

機械式カムを代替し構造を単純化することを目的としています。機械式カムは、円形または楕円形のカム軸を回転させることで、その形状に基づいて特定の動作をする部品を操作する機構です。

カムポジショナは、センサやエンコーダなどを使って、軸の回転角度や位置を検出し、それを制御システムにフィードバックするのが一般的です。制御システムは、予め設定されたカムのプロファイルに基づいて、軸を制御します。

つまり、カムの形状をカムポジショナの中にプロファイルとして設定しておくことで、従来の機械式カムに代替することができます。これにより、機械式カムの複雑なメカニズムを回避し、構造を単純化することが可能です。

カムポジショナの使用用途

1. 自動車産業

エンジンのバルブ制御に使用されます。エンジンの正確なタイミングやバルブの開閉制御を行い、燃費の向上や排出ガスの削減などを実現します。

2. 機械加工

機械加工装置で使用されます。例えば、旋盤やフライス盤などの工作機械で、正確な位置制御や工具の切削動作を制御するために使用されます。

3. 組み立てライン

製品のパッケージングや組立ラインで使用されます。正確な位置制御によって、製品のパッケージングや組み立て作業を高速かつ正確に実行することができます。

4.ロボット工学

ロボット工学や自動化システムで使用されます。ロボットアームの運動制御や位置決めにおいて、カムポジショナが利用されることがあります。

5. 印刷

カムポジショナは、印刷工程でも使用されます。印刷ヘッドの位置制御やインクの供給制御において、カムポジショナーが使用されます。

カムポジショナの原理

カムポジショナは、センサによる計測、制御システムによる情報処理、アクチュエータによる位置制御などの要素から構成されます。これにより、軸の位置と速度を正確に制御し、所望の動作を実現することが可能となります。

1. センサまたはエンコーダ

カムポジショナは、軸の回転角度や位置を計測するためにセンサやエンコーダを使用します。これにより、現在の軸の状態を検出し、制御システムにフィードバックします。

2. 制御システム

カムポジショナは、制御システムと連携して動作します。制御システムは、センサやエンコーダからのフィードバック情報を受け取り、目標とする軸の回転位置や回転速度との差異を計算します。

3. アクチュエータ

制御システムは、軸の位置を制御するためのアクチュエータに指令を送ります。アクチュエータは、電動モータ、油圧シリンダ、空気シリンダなどの形態を取ることがあります。アクチュエータは、制御システムからの指令に基づいて、軸を正確な位置に移動させます。

4. フィードフォワード制御

カムポジショナでは、フィードフォワード制御も使用されることがあります。フィードフォワード制御では、事前にプロファイルに基づいて予測された位置や速度情報を使用して、アクチュエータを制御します。これにより、遅延や応答時間の影響を最小限に抑え、より正確な制御を実現可能です。

カムポジショナの種類

主なカムポジショナの種類は以下の通りです。

1. 光学式カムポジショナ

 光学センサーを使用して、カムの凸部の位置を検出します。光学センサーはカムの凸部との間の光の反射または透過を検知し、位置情報を取得します。

2. レーザーカムポジショナ

 レーザーセンサーを使用して、カムの凸部の位置を非接触で検出します。レーザー光の反射または散乱パターンを解析し、位置情報を取得します。

3. エンコーダポジショナ

エンコーダと呼ばれるデバイスを使用して、カムの回転角度を検出します。エンコーダはカムの回転に応じてパルス信号を生成し、位置情報を取得します。

4. ポテンショメータポジショナ

ポテンショメータと呼ばれる可変抵抗器を使用して、カムの位置を検出します。カムの回転によって可変抵抗器の抵抗値が変化し、位置情報を取得します。

 参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/12/108/index.html
http://hikari-cam.co.jp/cam/about-cam

低周波発振器

低周波発振器とは

低周波発振器 (英: Low frequency oscillator) とは、比較的低い周波数の信号を発生させる装置のことです。

低周波という言葉自体の定義は使われる分野によって異なりますが、販売されている機器としての低周波発振器の仕様はおおよそ数Hz~数百kHzの範囲です。発振回路を用いることにより特定の周波数の交流信号を生成することが可能で、一般には周波数信号を用いた試験における基準信号を生成する役割があります。

発振器で作ることのできるおおよそ20Hz~20kHzの信号は可聴域なので、増幅することで音として人間が聞き取ることができます。

低周波発振器の使用用途

低周波発振器の使用用途として最も多いのが、オーディオ機器の周波数特性を解析する時です。周波数信号を用いた通信用の電子機器では高周波 (RF) が用いられる場合がほとんどであり、身近な低周波は音波になるため、音響機器が低周波数信号を用いる回路として主流と言えます。

例えば、オーディオアンプをDUT (Device under test: 被試験機器) として、入力信号を低周波発振器によって生成します。出力信号をFFTアナライザなどで解析することによって、対象のアンプの特性を解析することが可能です。

低周波発振器の原理

低周波発振器の原理は、発振回路に基づく安定した周波数信号の生成技術にあります。通常よく知られているLC共振回路ベースのハートレー型やコルピッツ型の発振回路では波長の制約で低周波の波形の実現が困難なため、RC型 (ないしはCR型) の発振回路が用いられているのが特徴です。

RC型発振器にはウィーンブリッジ回路やブリッジドT型回路、状態変数型回路などがあり、いずれもアンプの帰還量を調節することで発振を得ることが可能です。中でもウィーンブリッジ回路はよく知られており、回路にアンプが1つだけという簡便さもあり、広く利用されています。

一方で、状態変数型ではより低歪かつ、2相出力が得られます。周波数の制御には可変抵抗器やバリキャップと呼ばれる可変容量コンデンサが用いられることがあります。また、キャパシタ固定抵抗を用いたステップ可変も周波数決定の手法の一例です。

RC発振回路だけでは、振幅の一定した正弦波を得ることはできません。そのため、振幅を制御する装置が通常は必要です。電球やサーミスタなどの印加電圧により抵抗値が変化する素子を用いて帰還量を調整する方法や、出力の電圧を検知して帰還量を調節する電子回路を組む方法などがあります。

低周波発振器のその他情報

1. 自作電子回路キットやPCソフト

低周波発振器は、比較的身近な電子回路ということもあり、得られた機器で例えば家庭などで用いるブザーなども作成可能です。そのため、自作用の電子回路キットや電子回路を学習する学生向けの教材としても、幅広く扱われています。

また、WindowsPC上で低周波の音源を生成可能なフリーソフト (WaveGeneなど) も広く出回っています。

2. 低周波発振器の精度とキャリブレーション

一般にRC型発振器の周波数精度は、水晶 (クォーツ) やセラミックを用いた発振器と比較してそれほど良くはありません。その理由は抵抗や容量の値にばらつきを有することと、そのRC値が温度によって変化してしまうためです。

ただし、RC型発振器は水晶 (クオーツ) などに比べ比較的安価で簡便に構成できるため、広く用いられており、精度を改善させるための工夫が施されています。その代表的な改善手法が、キャリブレーションと呼ばれる合わせこみです。そのキャリブレーションには、デジタル回路を活用する手法が広く用いられており、特に製品の出荷前には周波数の値はキャリブレーションにて調整されています。

デジタル回路を活用するキャリブレーションは、内部に有するクロックと比較して補正をかける手法が用いられており、例えばメモリアドレスのある値をキャリブレーション用途に使うのが一般的です。これはデジタル回路の動作的にOSCCALと呼ばれるレジスタの値を変化させながら、所望の発振周波数になるようなレジスタ値を、自動的に選択できます。

参考文献
https://www.jemima.or.jp/tech/3-05-01.html

パワーインダクタ

パワーインダクタとはパワーインダクタ

パワーインダクタとは、インダクタの中でも電源回路に用いられるコイルの素子です。

パワーチョークとも呼ばれます。基本の構造は、積層技術で巻き線を形成したもの、棒状のコアに巻き線を施したもの、ドラム型のコアに巻き線を巻き付けたものの3種類です。

パワーインダクタを含むインダクタは、直流電流を通しますが、交流電流を通りにくくする性質を持っています。この性質を利用し、電圧変換のための回路の高周波ノイズ除去に利用されています。

交流電流の通りにくさを表すのがインピーダンスであり、以下のインダクタのインピーダンスの公式からもこの性質を容易に説明できることがわかります。

インダクタのインピーダンス[Ω]ZL=jωL 
(L: インダクタンス[H] ω: 角周波数[rad/s])

パワーインダクタの使用用途

パワーインダクタは電源回路の電圧供給の安定化のため、家電製品、通信機器、輸送機器など幅広い分野で使用されています。具体的には、スマートフォンや自動車などです。

直流電源の電圧を制御することは、あらゆる電子機器にとって非常に重要です。理由として、電子デバイスには正常動作を保証できる電源電圧範囲が存在するため、各部品に適切な電圧を供給できるかどうかが、安定した回路動作や機器の寿命に影響を及ぼすことが挙げられます。

DC-DCコンバータは電圧を変換する回路であり、安定電圧の供給はパワーインダクタの性能に依存します。コンバータ回路には、電圧を下げる降圧型と上げる昇圧型が存在します。どちらも部品として、スイッチング素子とダイオードとパワーインダクタを含んでいます。

パワーインダクタの原理

インダクタに交流電流が流れると、電磁誘導によりその電流の時間変化率に比例する誘導起電力が生じます。

 誘導起電力[V]e = -L* (dI/dt)
(L: インダクタンス[H] I: 電流[A] t: 時間[sec])

誘導起電力の向きは元の磁束の変化を妨げる方向であるため (レンツの法則) 、それを明示的に示すためにマイナスの符号がついています。電流変化を打ち消す方向の誘導起電力が発生し、交流電流は流れにくくなります。

誘導起電力に関わる比例定数がインダクタンスです (単位はヘンリー[H]) 。電気エネルギーを磁気エネルギーへと変換する能力として表されます。

インダクタンスを大きくするためには、「コイルの断面積を大きくする」「巻き数を多くする」「コアを入れ透磁率を大きくする」といった方法があります。コンバータでの使用ではスイッチング周波数に合わせてインダクタンスが決定されます。

他の用途向けのインダクタと比較するとパワーインダクタは、部品の外寸が大きく、インダクタンスも大きいという特徴があり、より直流電圧の安定供給に適した特性が得られるよう設計されています。

パワーインダクタの選び方

パワーインダクタを選ぶ際は、最初にインダクタンス値とインダクタに流れる許容電流値を考えます。そしてこれらに加え、形状やインダクタンスの周波数特性などを含めて、最適な部品を見極める必要があります。設計対象のDC-DCコンバータにどの程度の効率、出力特性、ノイズ耐性が必要かで判断します。

パワーインダクタでは直流重畳許容電流と温度上昇許容電流が規定されます。インダクタについては、

  • インダクタに流れる直流電流が大きくなるとインダクタンスが低下する
  • 電流が大きくなると巻き線の抵抗に起因するジュール熱が増大する

などの特性があるため、インダクタンス値だけでなく許容電流値も重要です。メーカー各社が幅広い用途向けに多種多様なインダクタを製造しています。たとえば、インダクタンスの大きい部品はDC損失が小さいため効率が高いですが、部品の外寸が大きく、より多くの熱を発生するといったトレードオフがあります。こういった点にも十分注意が必要です。

設計対象の各回路群の直流電源の電圧値が常時一定値を維持することが理想ですが、現実に実現できることはまずありません。しかし、トラブルを未然に防ぐためにも、特性の優れたデバイスを選定することが重要です。

参考文献

https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/power-inductors-guide

https://product.tdk.com/info/ja/products/inductor/inductor/smd/technote/power/apn-power- inductor.html

https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b5