導電性ゴムシートとは
導電性ゴムシートとは、電気を通す特殊な素材をゴムに配合したシートやマットのことです。
一般にシリコンゴムは、ケイ素を含む化合物を原料としており、絶縁性があり、電気を通しにくいという特性を有しています。そのため、導電性ゴムシートは、絶縁性を持っているシリコンゴムなどの合成ゴムや天然ゴムに大量の導体を配合することで、電気を通さないシリコンゴムに導電性を付与しています。
さらに、ゴムの素材を変えることで、耐候性や耐熱性、耐薬品性などの特徴を付加することも可能です。よって用途に合わせて適した材質を用いて作られている導電性ゴムを選択すると、より高い導電性の効果を得ることができます。
導電性ゴムシートの使用用途
導電性ゴムシートは、摩擦により発生する静電気に起因する帯電発火や装置の誤動作防止が必要な箇所、およびESD破壊に敏感な電子部品を扱う実験室や工場ラインなどで使用されています。具体的には、火薬を扱う現場や手術室などの床材、半導体や電子部品などの製造評価設備などにESD破壊を防ぐ目的で使用されることが多いです。
そのほか、ガスやオイルなどのタンクの昇降時に摩擦によって発生する静電気の除去する際に使用されます。導電性ゴムシートは、シートやマット状であるため、様々な場面で使用可能です。静電気による埃の付着を抑制することができるため、作業台やクリーンルームの床材などへの使用の他に、人体に帯電することを防止し、工場におけるショック事故の防止する目的にも用いられています。
導電性ゴムシートの原理
導電性ゴムシートの原理は、絶縁体であるゴムにフィラーと呼ばれる金属粉末やカーボンブラックなどの電気を通す導体を配合することで、導電性を付与できる点にあります。一般的なゴムシートでは、帯電力の減退には時間を要しますが、導電性ゴムシートでは触れた瞬時に帯電の電流や静電気がゴムシート側に流れこみ、人体や特定の部分が帯電することを防ぐことが可能です。
導体成分の含有率を上げることで、帯電された電荷を瞬時に逃がせるという特性を有するようになりますが、ゴム固有の弾性や伸張性は損なわれるため注意が必要です。特性を表す指標である体積固有抵抗率は1.0×10²Ω・cm前後であり、帯電された電荷を逃がすためのアース線が接続可能なものもあります。
導電性ゴムシートの種類
ゴムシートの中でも、以下の3種類がシートが導電性ゴムシートに使用される場合が多いです。色は黒や緑が多いですが、メーカーによってはその他の色も取り扱っています。
1. CRシート
クロロプレンシートとも呼ばれ、耐熱性や耐油性に優れています。
2. NBRシート
ニトリルゴムシートとも呼ばれ、耐油性に優れている素材です。
3. NRシート
天然ゴム素材であり、耐摩耗性、弾力性や耐候性に優れています。
導電性ゴムシートのその他情報
1. アースキット対応の導電性ゴムシート
ESD対策が重要な電子部品などを扱う作業テーブルやフロアマット用の導電性ゴムシートには、専用のアースキット対応している製品が多いです。その場合には、通常はパッキンでシートの隅に電源コンセントに取りけるためのアース線がクリップされており、さらに数Mオームの抵抗がモールド具備されているものもあります。
2. スイッチ接点対応の導電性ゴムシート
導電性ゴムシートに用いられる導電性ゴムは、静電気や電磁気対策用シートとしての活用のほかに、微小なシートサイズでリモコンスイッチの接点として広く用いられています。この導電性ゴムは、経年劣化や汚れなどにより、スイッチ接点としての機能を果たさなくなる場合があります。
その際によく用いられる応急処理の手法が、汚れの除去や劣化し破断したゴムにアルミ箔や導電性テープで補強し修理する方法です。ただし、その手法だと耐年性の懸念が残ります。市場ではリモコン接点用の専用の個片の導電性ゴムシートも市販されており、それを活用するのも一つの手法です。
参考文献
https://www.kyowakg.com/si-sheet/doden/
http://www.irumagawagomu.co.jp/products/material/dbr.html
https://www.polisher.jp/product/5690
https://www.kimoto-gomu.co.jp/index.php?id=rubber-tokushu#bbb