電動ドライバー

電動ドライバーとは

電動ドライバー

電動ドライバーとは、ねじの締め付け作業時の回転動作を、モーターが担ってくれる電動工具です。

電動ドライバーを使うことにより手動で作業するよりも、ねじの締め付け作業の時間と労力を節約できます。また、電動ドライバーには、大きく「ドリルドライバー」と「インパクトドライバー」の2種類に大別されます。

ドリルドライバーは、高回転の締め付け作業が可能です。回転速度を調整できるので、繊細なねじの締め付け作業にも使えます。また、ビットをドリルに交換することで穴あけ作業にも使用可能です。クラッチ機構を備えた機種であれば、ねじの締め付け過ぎも防げます。

インパクトドライバーは、打ち込む力を持ったドライバーです。回転に打撃の力も加えて、より大きな締め付けトルクを与えることができます。大きな締め付けトルクが得られるので、下穴作業せずにビス留め作業ができる点がメリットです。ただし、動作時に衝撃が発生するため、作業の際に疲れやすく、慣れも必要です。

電動ドライバーの使用用途

電動ドライバーは、多数のねじを締結する作業で使われます。例えば、工業製品の組み立て工場が挙げられます。ただし、工場では電気ではなく、圧縮空気を使ったエアドライバーも多く使われています。

建設現場でも、電動ドライバーが使われています。特にインパクトドライバーは、厚みのある木材に対しても下穴をあけずにねじを締め込むことができます。一般の家庭でもDIYでウッドデッキなどを作る際には、インパクトドライバーがあると便利です。

電動ドライバーの原理

電動ドライバーは電気でモーターを駆動し、ねじを回すビットを回転させます。電気の供給はコードをコンセントに繋ぐものと、バッテリーを使うコードレスタイプのものがあります。コードレスタイプであれば作業場所に制限を受けないので、建築現場では便利です。

1. ドリルドライバー

ドリルドライバーは、締め付ける回転速度を調整できるのが特徴です。回転速度は回転をコントロールするトリガーの引き具合によって調整できます。ゆっくり回転させる時にはトリガーを浅く引き、早く回転させる時にはトリガーを大きく引きます。

さらにクラッチ機構により、締め付けトルクを制限することができます。クラッチ機構は、ある一定のトルクを超えると、クラッチ機構がスリップすることによって、締め付けトルクを一定に保てます。ほとんどのクラッチ機構は、数段階で設定可能です。

2. インパクトドライバー

インパクトドライバーには、ハンマーと呼ばれる部品があります。ハンマーは大きな質量を持った回転体であり、ハンマーが回転することによって生まれる回転モーメントのエネルギーを、衝撃的にねじに伝えることが可能です。

インパクトドライバーは衝撃によって大きなトルクを発生できますが、ドリルドライバーのような回転速度の調整や、クラッチ機構による締め付けトルクの制限はできません。

電動ドライバーのその他情報

1. 電動ドライバーのビット

電動ドライバーは、先端にビットと呼ばれる部品を取り付けることで、様々なねじの締結作業に使えます。さらに、ドリルドライバーにドリルを取り付ければ、穴あけ作業も可能です。ただし、ビットには規格があります。電動ドライバーの使用目的に応じて、適切な選定が必要です。

2. ビットの硬さ

ビットは用途に応じて、5つの硬さの区分けがあります。具体的には、S、E、G、H、Xの順に硬くなります。ビットの硬さは、締め付けるねじの硬さに応じて選ぶ必要があります。硬さの低いねじに硬いビットを使うと、カムアウトという、ネジの締結作業時にビットのねじが空回りしてしまった際に、ねじ穴が潰れやすくなります。

3. ビットの差し込み部の長さ

ビットの差し込み部の長さは、大きくAタイプ、Bタイプに分かれます。Aタイプは国内の電動ドライバーで用いられている規格で、溝から先端までが13mmとなっています。Bタイプは主に海外製の電動ドライバーで用いられている規格です。溝から先端までは9mmまたは9.5mmです。手持ちの電動ドライバーにあったビットを選ぶ必要があります。

参考文献
https://driver.diy-style.com/
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/drillbit_type/

シーリング材

シーリング材とは

シーリング材

シーリング材とは、建造物の隙間などに充填して、防水性や気密性を保つためのペースト材料です。

大抵はチューブやカートリッジに入れて保管されており、専用のガンに容器を取り付けて該当箇所に塗布後、硬化することで機能を発揮します。シーリング材には一成分系 (事前に全成分を混合してある) 製品と二成分系 (使用時に2つの成分を混錬して使用する) 製品とが存在します。

一成分系には湿気硬化型、乾燥硬化型、又は非硬化型などが存在し、二成分系は混合反応硬化型です。また、原料ポリマーとしてはシリコーンやポリウレタンなどさまざまなものが用いられています。

シーリング材の使用用途

シーリング材は、主に建造物の修理や機密性保持、リフォームなどの際に使用されます。例えば、お風呂やキッチンなどの水まわりにはシリコーン系シーリング材、外壁には変性シリコーン系シーリング材が用いられます。

リフォーム時には、サイディングのひび割れ防止のため、目地にあらかじめシーリング材を充填しておくなどの方法も1つの手です。その他にも、シーリング材はプリント基板部品の固定、コネクタシール、電気器具の絶縁シールなどとしても使用されます。

シーリング材の原理

シーリング材は原料ポリマー、硬化のための添加剤、粘性などの各種物性を調整するための添加剤から構成されます。原料ポリマーとしては、硬化機構などに応じてシリコーン、変性シリコーン、ポリウレタン、アクリルなどさまざまなものが用いられています。

シーリング材の特徴は、原料ポリマーに応じて異なります。例えば、ポリウレタン系の場合は、耐久性が非常に高く、硬化後に弾力が出るのが特徴です。チューブから出した時点では、シーリング材は柔らかいペースト状です。

一成分系製品の場合は空気中の水分に触れたり (湿気硬化型) 、乾燥したり (乾燥硬化型) することで硬化し、二成分系製品の場合は2つのペースト (主剤と硬化剤) を混合することで反応して硬化します。なお、シーリング材の硬化には、以下の3つの段階が存在します。

1. 表面硬化

手で触れても糸を引かなくなる状態です。糸を引かなくなるだけで、表面が完全に固まったわけではありません。

2. 皮膜硬化

表面が完全に固まった状態です。この時点でシーリング材の上に塗装などを行うことが可能となります。

3. 完全硬化

シーリング材の内部まで完全に固まり、強度が出た状態です。

シーリング材の種類

代表的なシーリング材であるシリコーン系、変性シリコーン系、ウレタン系の特徴と施工方法について以下に記載します。施工時は硬化時間を守らないと、失敗する可能性があります。硬化時間はシーリング材の種類によって違うため、注意が必要です。

1. シリコーン系

一般家庭の水回りなどに、最も多く使用されます。耐熱耐寒性に優れ、コストパフォーマンスにも優れます。デメリットは、上から塗装できない点です。

シリコーン系が打ち出されてから、約1時間で0.5mmが表面硬化します。約8時間後には、2mmが皮膜硬化し、約24時間後には、3mmが完全硬化します。

皮膜硬化の段階で水回りの使用は可能です。つまり、コーキングしてから約8時間後にはお風呂やキッチンが使用できます。

2. 変性シリコーン系

屋外などで使用されるシーリング材です。シリコーン系と違い、上から塗装が可能です。

打ち出されてから約2時間後で0.5mmが表面硬化します。約24時間後で2mmが皮膜硬化し、約72時間後には3mmが完全硬化します。

完全硬化までの時間がかかるものの、表面硬化すると水に濡れても心配がありません。また、約1時間後では水性、約12時間後では油性の塗料を上から塗装しても大丈夫です。

水性と油性にここまで時間差があるのは、油性を使用する場合はシリコーン系が70%以上硬化するのが条件であるためです。

3. ウレタン系

ウレタン系は屋外などに使用されるシーリング材です。密着性と弾力性に優れます。紫外線には弱いため、屋外使用の場合、塗装を前提として使用されます。

打ち出されてから約2時間後で0.5mmが表面硬化します。約3日後で2mmが皮膜硬化し、約7日後には3mmが完全硬化します。

こちらは変性シリコーン系よりもさらに長い時間が必要です。しかし、ウレタン系はモルタル外壁やコンクリートのコーキングなど、一般で取り扱うよりも大掛かりな工事現場などで使用されます。

シーリング材のその他情報

余ったシーリング材の保管方法

シーリング材は、できるだけ一度の施工ですべて使い切ることが理想です。しかし、どうしても余ってしまう場合があります。余ってしまったら、まずシーリン材の先端を施工部のサイズに合わせてカットします。

このとき、余る先端部分を捨てずに保管するのがポイントです。施工終了後に、保管した先端部を逆さまにし、ノズルに差し込みます。このとき空気が入ったり、隙間からシーリング材が漏れないよう、しっかり差し込みます。最後に、テープで固定します。ここでも、空気と隙間に気をつけて差し込みます。

シーリング材は空気に触れると、固まる性質をもちます。そのため、空気が入ってしまい次回の施工時に使えないことがないよう、きちんと保管するのが重要です。

参考文献
https://www.sharpchem.co.jp/caulking/Illustrate-the-type-of-coking-agent.html
https://gaiheki-com.com/cms/useful/post-1486/
https://www.sharpchem.co.jp/caulking/features.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000749748/
https://smile-recipe.com/caulking-drying-time
https://www.sharpchem.co.jp/caulking/storage.html

ペルチェ冷却ユニット

ペルチェ冷却ユニットとは

ペルチェ冷却ユニットとは、ペルチェ素子を用いて、製品に冷却機能を与えるための装置をまとめたユニットです。

ペルチェ効果とは、異なる2つの金属の間において、直流電流が流れる際に生じる発熱や冷却現象を指します。1834年にこの現象を発見したフランスの物理学者 ジャン・シャルル・アタナゼ・ペルチェにちなんで命名されました。

ペルチェ冷却ユニットの使用用途

ペルチェ冷却ユニットは、ペルチェ効果を利用した冷却装置で使われています。具体的には、自動車に搭載された保冷・保温ボックス、ホテルの客室などに設置される小型の保冷庫、医療用冷蔵庫、パソコンのCPUの冷却ユニットなどです。

一般的な冷蔵庫は、冷媒とコンプレッサを使った気化熱の原理によって冷却効果を得ています。ペルチェ冷却ユニットは、気化熱を使った装置よりも冷却能力は劣りますが駆動部分がないため、高い静音性があり、振動も発生しません。

霜の付着がなく、装置全体をコンパクトに仕上げることができます。そのため、ペルチェ冷却ユニットは、以上のようなメリットを活かせる製品に用いられています。

ペルチェ冷却ユニットの原理

ペルチェ冷却ユニットは、ペルチェ効果を使った冷却装置です。ペルチェ効果の基本原理は、異なる2つの金属の間に直流電流を流すと、2つの金属の接合部分において、吸熱現象と発熱現象が生じるというものです。また、電流の向きを変えると、吸熱と発熱の現象も逆に起こるようになります。

この効果を起こすものがペルチェ素子で、ペルチェ素子に電流を流す装置までまとめたものが、ペルチェ冷却ユニットになります。現在のペルチェ素子は2つの金属ではなく、n型半導体、金属、p型半導体を、セラミックなどの2枚の基板で挟み込む構造によって、吸熱面と発熱面ができるような仕組みになっています。

n型半導体は純粋なシリコンの結晶に不純物を混ぜて電子が余ったもの、p型半導体は逆に不純物によって電子が不足した正孔と呼ばれる穴を生じさせたものです。電子が余っていたり不足していることによって、電圧が付加された際に自由電子が移動し、電流が流れます。

また、ペルチェ素子は冷却する一方で、発熱する面もあります。この発熱面にはヒートシンクやファンなどを使い、熱を放出される必要があります。

ペルチェ冷却ユニットの選び方

ペルチェ冷却ユニットは、装置が求める冷却効果が得られるように、適切な冷却能力を持つユニットを選定する必要があります。ペルチェ冷却ユニットのカタログには、冷却能力や最大温度差というデータが記載されています。冷却能力とは、室温と冷却装置内の温度差が等しい時に冷却できる熱量です。

単位はワット (W) で記されています。設計する冷却室の表面積、壁で断熱材になる材質の熱伝導率、断熱材の厚みと、使用環境と冷却室との温度差から、冷却室内に侵入する熱量が算出できます。ペルチェ冷却ユニットの冷却能力は、この冷却室内に侵入する熱量を上回っているものを選ぶ必要があります。

最大温度差は熱負荷が無い状態で、室温に対して冷却室内で生じさせることができる最大の温度差です。装置の使用環境の温度と冷却室内との温度差よりも大きな最大温度差を持つ冷却ユニットを選ぶ必要があります。ペルチェ冷却ユニットは、冷却能力と最大温度差のデータから選定しますが、冷却能力は使用環境によって大きく変化する点に注意しましょう。

ペルチェ冷却ユニットのその他情報

ペルチェ冷却ユニットのメリット

ペルチェ効果は、冷媒とコンプレッサーを用いた冷却装置に対して、以下の5つのメリットがあります。

  • 静音性が高い
  • 振動が発生しない
  • 霜の付着がない
  • 装置がコンパクトにまとまる
  • フロンガスを使っていないので、環境にやさしい

参考文献
http://mcm-www.jwu.ac.jp/~physm/buturi18/perutye/WPE.htm

樹脂ねじ

樹脂ねじとは

樹脂ねじ

樹脂ねじ (プラスチックねじ) とは、金属ではなく樹脂 (プラスチック) を原料として製造されたねじです。

樹脂ねじは金属ねじに比べて、軽量で、絶縁性や耐食性、断熱性に優れた特徴を持ち合わせています。樹脂ねじの原料として代表的なのはポリカーボネート (PC) であり、他にもPEEKやRENYなどに使用されます。使用する樹脂に応じてねじの特性も変化すること点も特徴です。 

また、あらゆる場所や用途に適合できるよう、小ねじ、六角ボルト、イモねじ、ローレットねじといったさまざまな形状の樹脂ねじが製造されています。寸法は金属製のねじ同様にJISやISOに準じて作られています。ただし、金属製のねじとは製造方法が異なるので、一部にJISやISOの規格とおりにならない寸法もあります。

樹脂ねじの使用用途

プラスチックネジは、さまざまな業界で使用されています。使用される樹脂の種類によって使用用途は異なります。

1. PC (ポリカーボネート)

ポリカーボネイトは耐衝撃性が高く、機械的特性や電気的特性をバランスよく示すため、電気電子分野から医療分野まで、幅広い分野で用いられています。

2. PEEK (ピーク)

PEEKは耐薬品性に優れた材料です。PEEKは濃硫酸以外の汎用の薬品で溶解することはありません。他にも耐熱性、耐摩耗性、耐加水分解性などに優れることから、OA機器分野、自動車分野、ICウェハキャリア、LCD製造用治具などに使用されます。

3. RENY (レニー)

RENYはベースポリマーのポリアラミドMXD6に、ガラス繊維を50%の含有率で使用した材料です。強度や弾性率がきわめて高く、耐油性や耐熱性にも優れるため、金属の代替材料として自動車や一般機械、精密機械、建築部材などに用いられます。

4. PPS (ポリフェニレンサルファイド)

PPSは耐熱性が高く、200℃程度の環境にまで使用することができます。耐熱性以外にも耐薬品性、機械的特性、電気的特性にも優れているので、自動車部品や機械部品に用いられています。

5. PP (ポリプロピレン)

PPは樹脂部品として一般的に広く用いられている材料です。樹脂ねじとしても、日用品などとして多く使われています。比重が0.9と汎用プラスチックの中では最も小さいのが特徴です。またPVC (ポリ塩化ビニル) の代替材料としても使われています。

6. PVC (塩ビ)

PVCは、耐候性、耐薬品性、加工性の高さから、様々な分野で広く利用されている樹脂です。樹脂ネジにおいても、PVCはその特性を活かして、化学薬品を扱う装置や実験器具、看板や農業用資材など、長期間屋外に設置される製品、電気機器の絶縁部品などに使われます。

樹脂ねじの原理

材料が樹脂であっても、ねじの締結原理は通常のねじと同じです。ねじの螺旋の坂道を使うことで、重い荷物を持ち上げることができるように、比較的小さな締め付けトルクでも、大きな軸力 (締結力) を発生させることができます。しかし、金属に比べると樹脂の弾性力 (ばね力) は非常に小さく、発生できる締結力も小さいです。そのため、強度よりも樹脂ならではの特性を生かせる箇所に使用する必要があります。

樹脂ねじの製造方法

樹脂ねじは、樹脂 (プラスチック) を原料とするねじであるため、多くのプラスチック製品と同じく射出成型を用いて製造されています。射出成型とは、原料となる樹脂を溶かして金型に流し込み、その後冷却することで成形を行う方法です。また、場合により、切削加工 (材料を削って成形を行う方法) やプレス加工 (加熱軟化させたプラスチックシートをプレス機に取り付けた型で挟み込む方法) により製造されることもあります。

樹脂ねじの特徴

樹脂ねじには多くの優れた特徴があります。代表的特徴は以下の通りです。

  • 金属ねじに比べて比重が低く、その比重は金属ねじの約1/5~1/6程度です。 (PP、PCなど)
  • 電気抵抗が大きく、絶縁性に優れています。 (RENY、PFAなど)
  • 耐蝕性に優れ、錆や腐食の心配がありません。 (PEEK、PVC、PVDFなど)
  • 熱伝導率が小さく、断熱性に優れています。 (PC、RENY、PVDFなど)
  • 磁性を帯びません。 (PFA、PPSなど)
  • プラスチック独特の外観で、デザイン性に優れています。
  • プラスチック筐体から分離せずにリサイクルすることが可能です。

参考文献
https://www.chemis.co.jp/
https://www.sanyu-seiki.com/product/plasticbis.html
http://www.com-wel.co.jp/relate/seikei.html

セラミックねじ

セラミックねじとはセラミックねじ

セラミックねじとは、セラミックを原料として製造されたねじです。

セラミックは非金属の固体材料であり、その特性を活かしてさまざまな場面で使用されています。高温や化学薬品に対して耐性があるため、高温環境や腐食性のある環境での使用に最適です。工業用炉などが、その一例として挙げられます。

また、セラミックは電気を通さない性質を持っています。電気絶縁が必要な場面で使用されることがあります。電子機器や電気回路において、隣接する部品との干渉を防ぐことが可能です。

ただし、セラミックは一般的な金属よりももろい性質があります。衝撃や振動に弱いため、過度の負荷や衝撃がかかる場面では破損の危険性が高まります。一般的な金属材料よりも高価なことが多く、コスト面での制約がある場合も検討が必要です。

セラミックねじの使用用途

セラミックねじは、その特性を活かして特定の環境や用途で使用されます。以下はセラミックねじの使用用途です。

1. 高温環境

セラミックは耐熱性に優れており、高温環境での安定性が求められる場所で使用されます。鋳造や溶接のプロセスがその一例です。金属ねじが耐えられない高温にさらされる箇所で、セラミックねじが代替材料として利用されることがあります。

2. 化学工業

セラミックは腐食物質に対する耐久性が高いため、化学工業の装置やプロセスに使用されます。酸やアルカリなどの腐食性のある環境で、部品やねじとして使われる場合も多いです。

3. 電子機器

セラミックは電気を通さない絶縁体として利用されます。電子機器内の基板固定や高電圧部位には絶縁部品を用いることが必要なため、セラミックねじが有利です。また、高周波やマイクロ波の信号伝送にも適しています。

4. 医療機器

セラミックは生体適合性が高く、生体組織との相性が良い点も特徴です。したがって、医療機器や歯科用具に使用されます。人工関節や歯のインプラントなどに適用され、生体内に導入される部品として重要な役割を果たします。

セラミックねじの原理

セラミックねじには、六角穴付ボルトなべ小ねじ、平小ねじ、取付ねじなどさまざまな形状のものが存在します。そのため、用途に応じて適切な形状のものを選択することが可能です。

切削加工成形加工といった一般的なセラミック加工方法で製造されます。切削加工は、旋盤マシニングセンタフライス盤などの工作機械を用いてセラミックを削る加工方法です。また、成形加工にはセラミックを型に入れて加圧するプレス成形や、練土状セラミックを口型から押し出して加工する押し出し成形などがあります。

成形された部品は高温で焼結されます。焼結によってセラミック粒子が結合し、部品がより強固な構造を持つ仕組みです。焼結温度や時間は材料によって異なります。

その後、セラミックねじの表面には必要に応じてコーティングや保護層を施すことがあります。これによって、耐摩耗性や耐腐食性を向上させることが可能です。

セラミックねじの選び方

セラミックねじを選ぶ際には、以下の要素を考慮する必要があります。

1. ねじの形状

ねじの形状は取り付けや固定の効率に影響を与えます。例えば、対象物との密着が重要な場合にはボタンヘッドやフラットヘッドのねじが有利です。対象物を引っ張る力を分散させたい場合にはトラスヘッドなどが適しています。

2. 寸法・ねじ径

ねじの寸法やねじ径は、使用する部品や環境に合わせて選ぶ必要があります。適切な寸法を選び、ねじがしっかりと固定されるように注意します。一般的にはMを頭文字に付けるメートルねじ径が使用されることが多いです。

3. セラミックの種類

セラミックには異なる種類があり、各種類によって特性が異なります。高温環境では耐熱性が高いセラミック、化学環境では耐腐食性に優れたセラミックを選ぶことが重要です。用途に応じて最適なセラミックを選択します。

参考文献
https://www.kida.co.jp/screw/appli.htm
https://www.kida.co.jp/screw/
https://business.atengineer.com/cera/neji.htm
https://www.kida.co.jp/
https://www.ngk.co.jp/academy/course01/00.html

クリーンルーム用ウエス

クリーンルーム用ウエスとは

クリーンルーム用ウエス

クリーンルーム用ウエスとは、クリーンルームなどを含むクリーン環境での使用を想定して開発されたウエスです。

クリーン環境とは、単位体積当たりの粒子数に基準が設けられており、清浄度が管理されている環境です。レーヨン製などのウエスにはチリやホコリが発生しやすい性質があり、こういった清浄度の高い環境下では使用できません。クリーンルーム用ウエスには特殊な繊維素材や製法が採用されており、通常のウエスよりも発じん性が抑えられています。

薬品や溶剤への耐性や高い吸液性、不純物の少なさなどを備えたものが多く、製造工程など厳しい条件で使用する場合にも有利です。

クリーンルーム用ウエスの使用用途

クリーンルーム用ウエスはその特殊な性質により、さまざまな使用用途においてクリーンルーム内で活用されています。以下はクリーンルーム用ウエスの使用用途一例です。

1. 表面清掃

クリーンルーム内の作業台や機器の表面は、定期的な清掃が必要です。清掃が不十分だと、微細な粒子や汚れが製品や実験に影響を与える可能性があります。表面に微細な粒子や埃を取り除くため、ウエスを湿らせたり、特定の洗浄液を使用して拭き取り清掃します。

2. 機器メンテナンス

クリーンルーム内の機器や装置は、定期的なメンテナンスが必要です。機器の内部や外部の表面を微粒子や埃から清掃し、正常な動作を保つための条件を整えます。また、メンテナンス作業中に発生する微粒子や汚れをウエスで取り除き、機器の精度や信頼性を維持することも可能です。

3. 製品組み立て

高精度な製品の組み立ては、微細な粒子や汚れの影響を受けやすい作業です。製品の部品や表面を清潔な状態に保ちながら組み立てるため、ウエスを用いて微細な粒子や埃を取り除きます。

4. 洗浄作業

クリーンルーム内で使用される部品や工具は汚れが付着しやすいため、定期的な洗浄が必要です。洗浄液を含ませたウエスで部品表面を拭き取り、汚れを取り除きます。また、洗浄後に部品を乾かすために、別の清潔なウエスを使用して余分な水分を拭き取ります。

クリーンルーム用ウエスの原理

クリーンルーム用ウエスの原理は、クリーン状態を維持しつつ微細な粒子や汚れを最小限に抑えることにあります。チリやホコリの混入は電子工業製品や医薬品の品質低下を招くため、発じん性を持つウエスはこれらの製造工程で使用できません。

クリーンルーム用ウエスは、微粒子の侵入を最小限に抑えるための素材です。一般的にウエスに使用される素材は繊維が微細で、静電気を発生しにくいものが選ばれます。ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成繊維を使用されることが多いです。

ウエスが使用中に微粒子を発生させないようにするために、繊維の加工方法が工夫されています。繊維の断面形状や表面処理によってウエスが製品に付着したり、摩擦によって微粒子を放出することが少なくなるように設計されることが多いです。

ウエスが静電気を帯びると、周囲の微粒子が吸着しやすくなるため、静電気の発生を抑制する対策が取られます。ウエスには静電気を帯びにくい素材を使用し、必要に応じて導電性処理が施されることも多いです。

クリーンルーム用ウエスの選び方

クリーンルーム用ウエスを選ぶ際にはさまざまな要因を考慮する必要があります。以下は選定の際の要素一例です。

1. 素材

クリーンルーム用ウエスの素材は、微細な粒子を発生させず、静電気を帯びにくいものが選ばれます。ポリプロピレン系のウエスは非常に軽量で吸収力が高く、汚れを効果的に拭き取ることが可能です。その他には、ポリプロピレンやナイロンが使用されることが多いです。

2. クラス

クリーンルームは、清浄度に基づいてさまざまなクラスに分類されます。クリーンルーム用ウエスも、その清浄度に合わせて選ぶことが重要です。クリーンルームのクラスに応じて微細な粒子の許容限界が異なるため、ウエスの微粒子放出量も適合している必要があります。

3. サイズ

ウエスのサイズは、作業や清掃のニーズに合わせて選ぶ重要な要素です。ウエスのサイズが作業エリアや作業対象に合わないと、効率的な清掃や作業が難しくなります。作業領域の広さや作業範囲に合わせて、適切なサイズのウエスを選びます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber1944/42/10/42_10_P424/_pdf/-char/en
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nig/51/3/51_167/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber1944/51/7/51_7_P277/_pdf/-char/en

カラーセンサー

カラーセンサーとは

カラーセンサー

カラーセンサー(英: Color Sensor)とは、物体の色を判別することができるセンサーです。

光の波長や色を検出し、それを電気信号に変換します。一般的には、光源からの反射光や透過光を検出し、それに基づいて色や光の情報を測定します。

カラーセンサーは、高い精度で色を測定することが可能です。色の微妙な変化や異常を検出し、品質管理や製造プロセスの最適化に役立ちます。また、リアルタイムで色情報を処理できるため、高速な生産ラインや応用システムに有利です。

また、非接触で色を測定できる製品も多いです。したがって、製造業においては品質への影響を最小限に抑えることができます。

ただし、周囲の照明条件に大きく影響される場合があります。照明の種類や強度の変化によって測定結果が変動する可能性があるため、適切な照明環境の確保が重要です。

カラーセンサーの使用用途

カラーセンサーは、色を検出する必要があるさまざまな場所で利用されます。以下はカラーセンサーの使用用途一例です。

1. 製造業

カラーセンサーは、製造業で品質管理のために使用されます。塗装製品の場合、カラーセンサーは塗装表面の色を測定し、指定された色との一致度を確認することが可能です。製品色の一貫性を保つことで、顧客の要求に応える高品質な製品を提供することができます。

また、プラスチック成形品の製造においても、カラーセンサーは色の一致度を確認するために使用されることが多いです。ディスプレイ製造にも使用され、周囲光をカラーセンサーで分析し、ディスプレイの色などを補正などに利用します。同様に、スマートフォンやタブレットなどの表示画像補正も用途の1つです。

2. 医療

カラーセンサーは医療機器にも使用されます。具体的には、皮膚の色や血液の酸素濃度を測定するためです。皮膚の色の変化は、循環障害や皮膚の状態の指標として使用されることがあります。

また、歯科医療においても、歯の色の測定やマッチングに有用です。審美的な治療や補綴物の適合性を向上させたいときに役立ちます。

3. 印刷業

カラーセンサーは、印刷業でも重要な役割を果たすセンサーです。印刷物の色の一貫性を確保するために、カラーセンサーは使用されます。

印刷機に装備されたカラーセンサーは、連続的に印刷物の色を測定し、必要に応じて色の調整を行います。これにより、色の再現性を向上させ、異なる印刷ジョブ間での色の一致度を高めることが可能です。

カラーセンサーの原理

カラーセンサーは、赤・青・緑3色の光を物体に当て、どの波長光がどれだけ吸収されたかを検出することで物体の色を判定しています。赤・青・緑の光がリンゴなどの赤色の物体に当たると、赤色の光だけが反射し、青色と緑色の光は吸収されます。

その結果私たちの目には反射した赤色の光だけが届くため、リンゴは赤く見える仕組みです。また、これら3色の光が白い物体に当たると全ての光が反射し、物体が白く見えます。

カラーセンサーの内部構成は、投光部と受光部、処理回路に大別されます。投光部は測定対象に光を照射する部品です。これにより、反射光の強度を確保します。

色の判定には、受光部で検出した赤・青・緑3色の受光比率を用います。受光部で受光比率を電気信号へ変換し、処理回路で演算することで識別しています。

カラーセンサーの選び方

カラーセンサーを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。

1. 検出距離

カラーセンサーの検出距離は、センサーが正確に色を検出できる最大距離です。応用する要件に合わせて適切に選択する必要があります。広い範囲をカバーする場合には、長い検出距離が必要です。

2. 出力タイプ

カラーセンサーの出力タイプは、センサーが提供する出力信号の形式です。一般的な出力タイプには、アナログ出力やデジタル出力などがあります。

アナログ出力は連続的な測定信号の出力であり、デジタル出力はあらかじめ設定した閾値を超えた場合に信号を切り替える出力です。その他、シリアル通信などの通信出力などが使用されることも多いです。用途に合わせて選定します。

3. 接続方式

カラーセンサーの接続方式は、センサーと制御デバイスとの接続方法です。コネクタ接続や端子接続などがあります。制御デバイスに合わせて選定することが大切です。

4. 保護構造

カラーセンサーが使用される環境によっては、防塵性や防水性が重要な要素となります。これらの防塵・防水性能は、IPコードで表示されることが多いです。

IPコードは、防塵性と防水性を表す規格です。IPコードには2つの数字があり、最初の数字は防塵性を、2番目の数字は防水性を表します。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/sensorbasics/color-info.jsp
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/sensorbasics/color-feature.jsp
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/sensorbasics/color-case.jsp
https://techweb.rohm.co.jp/iot/knowledge/iot05/s-iot05/01-s-iot05/5077

クリープ試験機

クリープ試験機とは

クリープ試験機とは、物質に一定の荷重を与えた時に発生するクリープ現象を測定する装置です。

クリープ現象は、物質に荷重を加え続けた時、ひずみが増大し変形が進んでいく現象です。常温下では一般的にプラスチック材料で発生しますが、高温下では金属材料でも発生します。

クリープ現象により材料の変形並びに破断が起きることから、製品の不具合に影響を与えます。クリープ現象の把握による材料寿命の推定は、品質管理においても重要です。

クリープ試験機の使用用途

クリープ試験機は、クリープ現象を把握・抑制することにより、高温となる機器の不具合を削減し、金属・プラスチック材の寿命を延ばすために利用されています。

特に影響する製品が、ガスケットです。ガスケットとは、配管同士のつなぎ目を固定するシール材の1種で、プラント配管を含め、流体が通る装置では多く用いられています。

ガスケット部分に圧がかかるので、クリープ現象により密閉性が下がることがあります。密閉性の低下を防ぐため、クリープ試験機によりクリープ現象が起きにくいPTFE樹脂を選定したり、クリープ試験機の測定結果からクリープ現象が起きにくい条件下で使用したりといった工夫が可能です。

クリープ試験機の原理

クリープ試験機は、電気炉中で試験片を加熱し、負荷をかけることによりクリープ現象を生じさせ、試験片の温度とひずみを計測します。

クリープ試験機がクリープ現象を生じさせる原理には、大まかに「引張クリープ」「圧縮クリープ」「捩りクリープ」「クリープ破断」などがあります。

試験片の材料によって、試験対象となるクリープ現象が異なります。金属材料のクリープ試験機は、単軸引張が一般的です。電気炉中に金属試験片をセットし、ロッドにより一方向に引張負荷をかけます。

プラスチック材料のクリープ試験機は、プラスチックが持つ粘弾性という特性に対応します。試験温度や湿度に対する感度が高いため、試験片の数を増やしたり、長期間にわたって試験したりすることが必要です。

クリープ試験機のその他情報

クリープ試験の課題

プラスチック材料のクリープ現象には、樹脂がもつ粘弾性が影響しています。粘性とは、外力を物体に与えた時にひずみが増加し、外力を取り除いてもひずみがなくならない性質です。粘性は、液体的な性質を示します。

弾性とは、外力を物体に与えた時に一定のひずみが発生し、外力を取り除くとひずみがなくなる性質です。弾性は固体的な性質を示します。

粘弾性は液体と固体の性質を足し合わせたものになり、外力を加えるとひずみが増加し、外力を取り除くと一部のひずみがなくなります。クリープ現象の把握は製品管理において重要ですが、測定には以下のような課題があるため注意が必要です。

1. データの入手
プラスチック材料のクリープ現象は、インターネット上の公開情報や文献などへの記載が少なく、欲しいデータが入手しにくいです。必要な場合は、自分で測定する必要があります。

2. 時間がかかる
クリープ現象の測定には、数週間から数か月かかります。また、温度などの測定条件にも左右されるためバラツキが生じやすく、場合によっては測定のやり直しが必要です。

3. 手軽に行えない
クリープ試験機は装置の大きさ等の理由から、社内で保有していないところも多いです。その場合、測定には外部試験を実施しなければならず、コスト面での問題があります。

参考文献
https://www.cerij.or.jp/service/05_polymer/material_property_01_06.html
https://plastics-japan.com/archives/2073
https://www.nichias.co.jp/research/technique/pdf/363/01.pdf
http://www.ubm-rheology.co.jp/kouza/kiso01.shtml

サーミスタ

サーミスタとは

サーミスタ

サーミスタとは、「Thermally Sensitive Resistor」の略で、温度が変わると部品の抵抗が大きく変わる性質を持った電子部品のことです。

部品の抵抗値を計測することで、部品周囲の温度を把握できます。サーミスタは、複数の金属を混ぜて作られた電子部品で、使用温度は約-50℃から約150℃です。

サーミスタの使用用途

低コストで温度を測定可能なうえ、小型で耐久性もあることから、一般用の家電機器だけでなく、医療機器、自動車、OA機器、住宅設備、給湯器、調理器具、暖房機器、情報機器、産業機器と用途は多岐にわたります。

具体的には、エアコンの室内機および室外機や暖房機器などです。室内温度を測定し、室内温度の制御を行っており、自動車ではエンジンの温度や外気温度を測定しエンジン内の燃焼が最適となるよう制御しています。給湯器では水温を測定し、蛇口から出る水の温度を制御しています。

サーミスタの原理

NTCサーミスタの原材料は、マンガン、鉄、コバルトなどの混合であり、PTCサーミスタは、ポリマーにカーボンブラック等を混合して作られています。さらに、バナジウムに添加物を混合して作られているのがCTRサーミスタです。

通常、金属等の導体では温度が上がると、陽イオンの振動が起きて、移動する自由電子と導体の結晶を構成する陽イオンの衝突が激しくなります。温度変化により抵抗値が大きくなる理由は、振動による衝突から、自由電子の移動速度が遅くなるためです。PTCサーミスタは、この特性を利用しており、温度の上がるとともに抵抗値が大きくなります。

一方、半導体は温度が上がると抵抗値が減ります。温度が上がると抵抗値が小さくなる理由は、温度の上がると陽イオンが増加しますが、この割合が自由電子の移動速度の減少に勝るためです。NTCやCTRは、この特性を利用しているので、温度が上がるにつれ抵抗値が下がります。

サーミスタの種類

サーミスタは、大きく3種類に分類されます。

1. NTCサーミスタ

温度測定用の電子部品として、一般的に使用される部品です。部品の温度上昇と抵抗値の減少が連動します。NTCは部品の温度が上がると抵抗値が減ることから、温度測定用の他、温度補償回路等で使われています。

2. PTCサーミスタ

温度測定用の電子部品ではなく、電流ヒューズの代わりに過電流からのデバイス保護を目的に使用されることが多い部品です。抵抗値の上昇が部品温度の上昇に連動します。

PTCは温度が上がると、特定の温度付近において抵抗値が大きく増えることから、 電源ON時のモータやアルミ電解コンデンサに流れる突入電流を抑制する目的や、モータやヒーターなどの誘導性負荷が短絡故障を起こした場合の過電流が流れることを抑制する回路などで使われています。

3. CTRサーミスタ

CTRサーミスタは、NTC同様に温度が上がると抵抗値が減る部品です。温度が上がると抵抗値が減る所はNTCと同じですが、一定の温度を越えると大きく抵抗値が減る点が異なります。

サーミスタのその他情報

サーミスタの使い方

サーミスタを電気回路内で使用する際、サーミスタ単体では使用せず、定電源電圧と他の固定抵抗を組み合わせ使用するのが一般的です。サーミスタは、温度によって抵抗値が変化するため、定電圧電源、固定抵抗、サーミスタを使用した電気回路では温度が変化すると抵抗に流れる電流が変化し、抵抗両端の電圧が変化します。

マイコンのADコンバータ機能などで抵抗両端の電圧を読み取り、マイコン内で電圧を温度換算して使用します。サーミスタ周辺回路の組み合わせは、DC電源5VやDC電源3.3Vの定電圧源に1キロオームや10キロオーム等のプルダウン抵抗を接続したり、1キロオームや10キロオームのプルダウン抵抗をサーミスタとGND間に接続する方法です。

プルアップ抵抗およびプルダウン抵抗を小さくしすぎると、抵抗に流れる電流が増えることで素子自身で発熱し、正確な測定ができません。サーミスタと既知の抵抗を組み合わせて、抵抗の値を測定することが一般的です。

リチウムイオンキャパシタ

リチウムイオンキャパシタとは

リチウムイオンキャパシタとは、電気二重層キャパシタとリチウムイオン電池の性質を併せ持った蓄電デバイスです。

英語では「Lithium Ion Capacitor」と表記されるため、LICと省略され、リチウムイオン電池 (英: Lithium Ion Battery) のLiBと区別されます。

電気二重層キャパシタ (英: Electric Double Layer Capacitor:EDLC) と比較して、エネルギー密度が高く、リチウムイオン電池と比較して出力密度が大きくできます。これらの特性の違いから、用途により棲み分けがされています。

リチウムイオンキャパシタの使用用途

リチウムイオンキャパシタは、エネルギー密度と出力密度が高く、安全性、耐久性にも優れた蓄電材料です。リチウムイオン電池が苦手な高出力を必要とされる分野での代替が期待されています。また、電気二重層キャパシタが苦手なエネルギー密度が必要とされる場面や、高温高電圧の負荷がかかる場面での用途での使用が可能です。

優れた急速充放電特性、高温特性、耐久性、信頼性を備え、安全に取り扱えるのが特徴です。充放電を繰り返しても長く安定的に使用できるため、太陽光発電、風力発電、瞬時電圧低下補償装置、産業機械、交通・車両関連等、幅広い分野での応用が検討されています。

リチウムイオンキャパシタも電気自動車の動力源としての適用も検討されましたが、エネルギー密度がリチウムイオン電池に比べ低く、航続距離の観点で劣るため、電気自動車用途ではほとんどがリチウムイオン電池が用いられています。ただし、リチウムイオンキャパシタはリチウムイオン電池に比べ、急速充放電性が優れているので、路面電車やバスなどの走行ルートが決まっている車両を、停留所、駅で停車時に充電し、走行時の電力を蓄電するような運用が検討されています。

リチウムイオンキャパシタの原理

リチウムイオンキャパシタはセル、正極、負極、電解液などから構成されていて、電解液中に存在するリチウムイオンの正極や負極への吸脱着により、繰り返し充放電ができます。リチウムイオンキャパシタに電圧を加えると、負極にはリチウムイオンが吸蔵して、正極にはアニオンが物理吸着します。

この状態から放電すると、負極のリチウムイオンは脱離して正極ではアニオンが脱離した後にリチウムイオンが吸着されます。充放電に伴い、正極では電気二重層キャパシタのような物理的な吸着脱着を利用しており、負極ではリチウムイオン二次電池のような化学反応を伴う、リチウムイオンの吸蔵放出を利用しています。

リチウムイオンキャパシタではエネルギー密度を高めるために、セル電圧を高くする必要があります。これは蓄電されるエネルギー量がE=CV2/2 (C: 静電容量、V: セル電圧) で表されるためです。電圧は正極電位と負極電位の電位差ですが、正極電位を上げると材料が酸化分解するので、リチウムイオンキャパシタでは負極に、製造段階であらかじめリチウムをドープし、負極電位を下げることで充電時に電位差が大きくなるようにしています。

リチウムイオンキャパシタの構造

キャパシタとはコンデンサのことで、主にセル、正極、負極、電解液、セパレータなどから構成されています。リチウムイオンキャパシタは、正極の活物質として、活性炭が使用されており、負極の活物質にはリチウムイオン電池と同様に比表面積が小さいです。

リチウムイオンをドープ可能なハードカーボンなどの炭素材料が用いられています。正極にはアルミ、負極には銅の集電体が用いられていますが、後述する製造工程でのリチウムのドープのため、リチウムイオンを透過させる必要があり、多孔質になっています。

電解液としては、通常LiBF4 (テトラフルオロホウ酸リチウム) 、LiPF6 (ヘキサフルオロリン酸リチウム)等のリチウム塩を有機溶媒に浴解した有機系電解液が用いられています。セパレーターは、リチウムイオン透過性や電解液の含浸性に優れたものが用いられます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/77/6/77_6_477/_pdf/-char/ja
https://jpn.nec.com/techrep/journal/g10/n04/pdf/100418.pdf