FVコンバータ

FVコンバータとは

FVコンバータとは、回転速度や移動速度に比例した周波数 (Frequency) を電圧 (Voltage) に変換する機器です。

周波数の変化をモニターしたり解析するときなどに使います。逆変換装置として、VFコンバートと呼ばれる機器もあります。

ハイブリッド車や電気自動車に使われているモータ、生産工場での製造ラインの高速化にも対応した機器です。立ち上がり特性や定常回転時の微小回転変動、流速変化の過渡現象も高速応答で計測できます。

FVコンバータの使用用途

周波数は目に見えるものではないため、FVコンバータで周波数を電圧に変換します。ノイズに弱いアナログ信号は長距離の移動に向かないことから、さらにADコンバータ (アナログ信号をデジタル信号に変換する装置) を一緒に用いると、デジタル数値として認識することが可能です。

確認できる項目としては、モータの立ち上がり特性、各種回転機器の回転性能計測、エンジンやモータの回転変動測定、過負荷による回転性能試験などがあります。

FVコンバータの原理

FVコンバータにパルス信号を通すことで時間の経過とともに減衰していく信号を作り出し、その重なりによりパルス周波数に応じた電圧信号を得ることが可能です。アナログチャンネルとデジタルチャンネルを使用します。

センサからの信号は、コンパレータでのゲート開閉信号を作ります。測定範囲を変更することで基準周波数が切り替わり、入力周波数の周期に応じてゲートが開閉します。

この間に行うのがクロック数の積算です。次の周期でカウンタの内容がD/A変換器に送信することでアナログ信号に変換された出力が得られます。

FVコンバータの種類

種類により、回転速度計測での多チャンネル計測・小振幅信号検出器への対応をしている機器もあります。予測演算を搭載し、減速時でも滑らかな出力を得ることが可能で、駆動部の加減速や挙動解析試験等に有用です。

ロータリエンコーダの多パルス化に伴い入力周波数が高く、入力アンプの広帯域化にも対応してしているものなどさまざまな製品が展開されています。

FVコンバータのその他情報

1. フィルタリング

一体型のローパスフィルタリング又はプログラム可能なフィルタリングの機能があります。一体型フィルタは一部の信号入力周波数を通しますが、その他は遮断します。

ローパスフィルタには、しきい値が設定されています。しきい値を下回る信号は通過できますが、 上回る信号はブロックされます。

2. 急減速追従機能

FVコンバータの中には、急減速追従機能を有するものもあります。この機能は回転体などで入力信号が急激に減速した際に、前のパルス間隔以上入力が無い場合、回転出力を減速して停止する機能です。

追従機能がONの場合は設定回数分のパルス間隔待っても信号入力されないと、すぐにアナログ出力は0になります。追従機能OFFの場合は入力信号が0になってから、時間が経った後にアナログ出力が0になります。

3. トリガ機能

トリガできる電圧パルス信号を入力すると、その周波数に比例した1パルス応答のF/V変換出力を行うことができます。トリガレベルは機器によって規定されており、規定内のレベルであれば任意に設定可能です。

4. 線形性

FVコンバータでは周波数に比例した直流電圧を得ることができますが、周波数範囲を広く取ると周波数-電圧間の線形性が低下する特徴があります。

パルス信号の周波数が高い場合に、回路内コンデンサに蓄えられた電荷の放電が完了しないうちに新たなパルス信号が入力されることが原因です。

そこで、短時間でコンデンサ内の電荷を放電するために、新たに放電経路を追加したFVコンバータもあります。従来の回路では高周波数帯域で線形性が劣化していたのが、線形性を保ったまま変換が可能となります。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/tach/fv1500.htm

カレントセンサー

カレントセンサーとは

カレントセンサーとは、回路に流れる電流を測定する装置です。

電流センサーなどとも呼ばれることがあります。電流が流れる回路や導体に取り付けられ、通過する電流の量や特性を監視します。カレントセンサーは一般的に堅牢な設計であり、長期間の使用が可能です。

また、適切に設置されれば、高い信頼性で測定することもできます。一部のカレントセンサーは非接触で電流を計測することが可能であり、高電圧や危険な環境での電流計測ができる点が特徴です。

ただし、測定したい電流範囲に応じて適切な電流容量を選択する必要があります。過負荷や過電流が発生すると、センサーが損傷をするケースも考えられるためです。許容電流範囲を確認し、適切に設計することが重要になります。

カレントセンサーの使用用途

カレントセンサーは主に電気回路で使用されます。以下はカレントセンサーの使用用途一例です。

1. 電力制御

電力供給装置や電力変換装置において、電流の監視と制御を行います。太陽光発電システムや風力発電システムでは、カレントセンサーによって発電電流の量や特性を監視し、安定した電力供給が可能です。

また、回路や機器を過電流から保護するために使用されます。電力供給装置や電力回路において、定格電流を超える電流をカレントセンサーで検出して保護回路を作動させることが可能です。過電流保護は短絡などによる機器故障から、安全性を確保するために重要です。

2. バッテリー制御

電池の充放電電流を監視するバッテリー管理システムに利用されます。電流の測定により、バッテリーの状態評価や残存容量の推定などが可能です。カレントセンサーによるバッテリーモニタリングは、電気自動車やモバイルデバイスなど、さまざまな応用分野で重要です。

3. モーター制御

カレントセンサーはモータードライブ制御において重要な装置です。モーターの電流を測定し、制御アルゴリズムにフィードバックすることで、モーターのトルクや速度を制御します。主にインバータなどの駆動装置で広く使用されます。

カレントセンサーの原理

カレントセンサーの原理は、アンペアの法則に基づいて電流を測定することです。アンペアの法則は、導体を通過する電流と導体の周りの磁場との関係を示しています。

アンペアの法則によれば、導体を通過する電流は、その周りに形成される磁場の強さと比例します。カレントセンサーはこの磁場または電流の影響を検出して、それを電圧や他の信号として検出することが可能です。具体的なカレントセンサーの原理に応じて、さまざまな方法が使用されます。

カレントセンサーの種類

カレントセンサーには測定原理に応じて、さまざまな種類が存在します。以下はカレントセンサーの種類一例です。

1. シャント抵抗型カレントセンサー

電流が流れる回路にシャント抵抗を直列に接続することで、電流値を測定するカレントセンサーです。シャント抵抗に流れる電流は、オームの法則によって抵抗値と測定される電圧降下によって計算します。抵抗値が既知であるシャント抵抗の両端電圧を測定することで、電流を測定することが可能です。

シャント抵抗型は高精度で電流を測定することができます。また、構造が簡単なため、安価で製造することが可能です。基板上や大電流の整流回路などに使用されます。

2. ホール効果型カレントセンサー

ホール素子を使用して電流を検出するカレントセンサーです。ホール素子は電流が流れる導体の近くに配置され、磁場の影響によってホール電圧が発生します。このホール電圧を測定することで、電流を検出します。

直流電流を非接触に測定することが可能です。直流の可搬式クランプ電流計などに使用されます。

3. 変流器型カレントセンサー

交流電流を変流して測定するカレントセンサーです。二次巻線となる導体から構成されており、一次巻線電流に応じて変化する二次巻線電流を測定します。これにより、交流電流を計算することが可能です。

安価かつ測定精度が高いため、産業機器に広く使用されます。ただし、重量が重く、使用するための面積が大きいことが欠点です。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what6

ころ軸受

ころ軸受とは

ころ軸受

ころ軸受とは、転がり軸受の一種で、転動体にころを使用した軸受のことです。

転動体とは、内輪と外輪 (軌道輪) 又は軌道盤の間を回転するベアリングの部品を指します。転がり軸受で最も多く使われている玉軸受ですが、転動体に玉ではなく、ころ (円筒形状の部品) を使用している点が大きく異なります。

ころ軸受は、大きな荷重を受ける回転軸を支持するための軸受です。後述する内外輪や軌道盤と転動体との接触では、玉軸受が点接触であるのに対して、ころ軸受では線接触になります。点から線へと接触部分が増えるので、より大きな荷重を支持することが可能です。 

ころ軸受の使用用途

ころ軸受は様々な産業機械に組み込まれています。具体的な使用用途は、自動車、鉄道車両、航空機、建設機械、風力発電機、産業ロボット等における回転部分です。

ころ軸受は玉軸受よりも支えられる荷重は大きく、支持剛性も高まります。一方で、回転性能では玉軸受の方が有利です。支える荷重が低く高回転が必要な場合には、玉軸受の方が転がり抵抗を低く抑えることができます。このような特徴を活かし、産業用機械のギアボックスなどに使用されることが多いです。

自動車や産業用機械では、はす歯歯車が多く使われており、歯車の歯が回転軸に対して斜めに並んでいることで、音や振動を低く抑えられます。しかし、歯車が斜めであることによって、3つの方向に大きな力が作用します。このような軸を支えるために、ころ軸受が使用されています。

ころ軸受の原理

ころ軸受には大きく分けて、ラジアルころ軸受とスラストころ軸受の2種類があります。それぞれ構造が異なりますが、原理は同じです。

ころが挟まれる2つの部品の間で、ころが転がることで、回転軸に発生する大きな荷重を受けながら、滑らかに回転できます。各部品の表面は硬く凹凸が少ない、つまり表面粗さが小さくなるように仕上げられています。一般的に、熱処理された合金鋼が使用される場合が多いです。

ころ軸受の構造

1. ラジアルラジアルころ軸受

内輪、外輪、ころ、リテーナから構成されます。内輪の外径面 (軌道面) と外輪の内径面 (軌道面) との間にころが配置されます。ころを等しい間隔に保持し、ころ同士が接触することで、摩擦が過大になるのを防ぐためにリテーナが配置されます。

2. スラストころ軸受

2つの軌道盤の間に、ころとリテーナが挟まれた構造になっています。3つの部品が一体になっていたり、ころとリテーナがどちらかの軌道盤と一体になったもの、全てが別体のものなどがあります。一体構造なのか別体構造なのかは、組み付け性などを考慮して決められます。

ころ軸受の種類

ころ軸受には、ラジアルころ軸受とスラストころ軸受以外にもいくつかの種類があります。タイプ別に分類すると、外部から潤滑して使う開放タイプと、グリースが軸受内部に封入している密封タイプがあります。

各ころがり面を適切な潤滑状態とすることで、各軌道面ところの外径面に油膜が存在しながら転がり運動をし続けます。そのため、高負荷かつ高速回転の運転条件下であっても、摩擦抵抗が小さく、滑らかに長時間の運転が可能です。

ころの形状によって分類する場合は、以下の4つに分けることができます。

1. 円筒ころ軸受

円筒ころ軸受は、ころがシンプルな円筒形状をしています。ラジアルころ軸受ならラジアル荷重だけを支え、スラストころ軸受であればスラスト荷重のみを支えます。

2. 針状ころ軸受

針状ころ軸受は、ころが針のように細長いころ軸受です。ニードルベアリングなどとも呼ばれます。ころ軸受の一種でJISやISOの規定もありますが、一般的にはその規定範囲から外れるものもニードルベアリングと呼ばれます。

3. 円すいころ軸受

円すいころ軸受は、主にラジアルころ軸受として使われます。テーパーローラーベアリングなどとも呼ばれます。転動体が円錐形状であるため、軸に対して垂直方向の負荷と、方向が決まっている軸方向の負荷を支持することができます。

2列以上で使用することで、軸方向で負荷の方向がどちらの方向であっても軸方向の負荷を支持することが可能で、高いモーメント荷重も受けることができます。はす歯歯車の支持でよく使われます。

4. 自動調心ころ軸受

自動調心ころ軸受は転動体が、たる形状 (円筒形状の中央が凸の形状) になっています。さらに、外輪軌道輪が凹形状で、内輪軌道輪にころが沿った位置関係の時に、転動体の外接形状が外輪軌道輪に沿う凸形状になっています。

したがって、外輪と内輪との回転中心が傾いても、傾きを許容することが可能です。軸に対して垂直方向の負荷と、両方向の軸方向の負荷を支えることができます。

ころ軸受のその他情報

ころ軸受を使用する上での注意点

ころ軸受は特に、大きな荷重を支えたい回転軸に用いられます。使用する際は、内外輪や軌道盤に十分な剛性を確保することが重要です。

また、これら部品を支えるハウジングの受け面にも十分な剛性を確保する必要があります。ころが転がる面の剛性が低いと、ころが設計したとおりの線接触ができず、局部的な接触が発生するためです。その場合、接触面圧が高くなり、設計の予想よりも早く寿命を迎えてしまうことがあります。

さらに、十分な潤滑を確保すること、潤滑により十分な冷却効果が得られるようにすること、潤滑油を含む使用環境中に鉄粉などの異物が含まれないよう、オイルフィルターやマグネットで除去することも重要です。

参考文献
https://koyo.jtekt.co.jp/assets/file/pdf/catb2001_a.pdf
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/2203.pdf

ドリル研削盤

ドリル研削盤とは

ドリル研削盤

ドリル研削盤は工具研削盤の一種で、ドリルの先端部分を研削するドリル研削に特化した研削盤です。

ドリル研削盤には、端面を研削するドリルポインタとウェブを研削するシンニングマシンがあります。

研削の際にドリルを手動で砥石に当てるタイプとドリルをセットすると自動で研削を行ってくれるタイプがあります。全自動で研削を行うタイプは、文字通りドリルをセットすれば全て自動で研削してくれるため熟練作業者でなくても作業が行えます。

ドリル研削盤の使用用途

ドリル研削盤は、主に一度使用したドリルを再研磨するために使用します。

一般的なドリルの先端は、横から見ると切削抵抗の少ない118~120度になっています。

先端のシンニングの中心がずれると、真っ直ぐに穴があかず場合によっては、ドリルが折れます。そのため、ドリル研削盤でシンニングのタイプに合わせて正確に研削を行う必要があります。最近では、3枚刃のドリルも増えてきており3枚刃を研削できるCNC全自動工具研削盤などもあります。

ドリル研削盤の原理

ドリル研削盤は、砥石を使用し使用済みドリルの刃先を研削・研磨することで刃先の切れ味を復活させてドリルを再利用することができるメンテナンスのための機械です。

ドリルには、山形ドリル、ろうそくドリル、一文字ドリル、面取ドリルといった種類があります。それらの形状に応じて研削できるドリル研削盤は、シンプルな構造で小型で持ち運びしやすいものが多いですが、中には、全自動のドリル研削盤もあり、さまざまなドリル形状のものを自動的に研削することができる機械もあります。研削機は、ドリルの形状や用途に応じて、最適なものを選択することが必要です。

ドリルの材質により砥石を選定します。超硬ドリルやチタンコーティングされたドリルは主にダイヤモンド砥石、ハイスドリルは主にCBN砥石を使用します。

先端角、シンニング角、補正値、研磨量など細かく設定してNC工具研削盤もあります。こちらはドリル以外のエンドミルなどの研削が可能です。

参考文献
http://www.kensakuban.net/each_kind/tool.html
https://www.kousakukikai.tech/grinder/
https://sakusakuec.com/shop/pg/1grinder/

トルク試験機

トルク試験機とは

トルク試験機は、ねじる方向の力であるトルク(単位はSI単位でNm)を測定する試験装置です。

台上に測定ワークを設置して、発生トルクを測定する汎用のトルク試験機や、工具として使用するトルクレンチの点検・校正を行う、トルクレンチ専用の試験機等があります。

トルクレンチの点検・校正は、代行業者もあり、各種必要書類も発行可能で約1週間で対応してもらえる業者があります。

汎用のトルク試験機には、ワークを台座に固定して、手でワークを回転させて発生トルクを計測する手動の試験機もあります。

トルク試験機の使用用途

特に、トルクレンチの点検・校正で専用の試験機として使用する場合や、研究室において、発生トルクを測定する場合や、メーカにて製品のトルクが重要な品質パラメータになっている場合等にトルク試験機を使用します。厳格な管理が必要な電力会社での納入実績もあります。

例えば、トルクレンチの点検・校正においては、試験機の購入は高額になりますが、代行業者での実施であれば、数千円から数万円で、各種必要書類付きで、数日(3日から10日程)で対応してくれる代行業者があります。

トルク試験機の原理

汎用のトルク試験機は、台座の上にトルクセンサーが設置されており、センサーから所定のPC等にアウトプットできるように配線やタッチパネル等が配置されています。

トルク試験機は、センサー(トルク計)部からの出力を、経時的に整理することができます。例えば、縦軸にトルク、横軸に時間を表示させたグラフが作成可能です。

また、油圧トルクのヒステリシスを整理することもできます。例えば、縦軸に圧力、横軸に出力のトルクを表示させたグラフが作成可能で、複数回の油圧の作動と理論値との差を表示させ、油圧の点検や校正の要否判断を行うことが可能です。

トルクレンチ専用のトルク試験機は、専用性が高くなっており、測定から校正まで所定の取り付け部にトルクレンチを設置するだけで自動で行うものもあります。

トルクレンチ専用のトルク試験機は、代行業者で校正を行う場合は、業者のトルク試験機のスペックの確認が必要です。対応トルク測定範囲・精度、測定トルクポイントの数等、設備や操作システムによる制限があります。

参考文献
http://www.ogawaseiki.jpn.org/products/products18/products-1802-products18/
http://www.aikoh.co.jp/torque/5125vcw/
https://www.plarad.net/plarad/product/product6.html
https://titanti-jp-rent.com/test/index.html

圧縮試験機

圧縮試験機とは

圧縮試験機

圧縮試験機は、部材に圧縮する方向に力をかけて部材の挙動を確認したり、部材を圧縮破壊させて、物理特性を測定する時に使用する試験機です。

主に、試験時に発生する力と変位を所定の時間経過で測定し続けることができます。

ロードセル(力を測定するセンサー)の向きを変えることで、引張り方向の試験を行えるものもあります。

各社から卓上のコンパクトなサイズの試験機(数Nの測定)から、コンクリートや金属の圧壊に使用するサイズの試験機(数千kNの測定)まで、幅広くラインナップされています。

圧縮試験機の使用用途

研究室や材料メーカでの基礎研究における、材質の圧縮に対する物理特性を確認する時や、工業メーカでの圧縮による破壊試験実施等で使用することがあります。

各所の工業研究所・工業試験場に設置されていることも多く、使用申請をすることで、試験機購入の金額よりも比較的安価(1時間で数千円)で使用することができます。

シンプルな形状で持ち運び可能なワークで、ワーク設置に専用の治工具が不要、試験条件(ヘッドスピード、想定ストローク)がすでに決まっている、ワーク数が決まっている等、事前の段取りを行うことで、工業試験場でも、十分対応できるケースは多数あります。

圧縮試験機の原理

ワークを設置する台座と、上部にロードセルが取り付けられる可動部があり、ロードセルの測定値を取り込むPC等やタッチパネルから構成されています。

コントローラやPCから操作し、可動部を下に移動させ、ワークを台座と可動部で挟み込み、その状態で圧縮方向に力を負荷します。負荷する力をロードセルで測定することで、圧縮方向に発生している力を測定することが可能です。

可動部の位置データとロードセルの荷重データから、ワークの圧縮特性を把握することが可能です。例えば、炭素鋼の様な、ぜい性材であれば、圧縮破壊までの圧縮弾性率や破損荷重が測定でき、のような延性材であれば、圧縮弾性率や破損荷重や降伏荷重等の測定が可能です。これは、位置データと荷重データとを試験中1秒間で数点から数十点のデータ取得が、試験開始直後から試験終了まで継続して取得し続けれるため可能になります。

また、これらの試験データは数値で確認することもでき、システムのインターフェースでグラフにして可視化することも可能です。 

参考文献
https://www.minebeamitsumi.com/product/mcd/1182012_6189.html
https://www.an.shimadzu.co.jp/test/products/mtrl03/index.htm
https://www.aandd.co.jp/products/electronic/sp-digital_caliper_other/sp-force_gauge/mct/
http://www.maekawa-tm.co.jp/product02.html

基板対電線コネクタ

基板対電線コネクタとは

2つのプリント基板上の回路を電気的に結合させるために使用される部品が基板対電線コネクタで、これは基板間コネクタとも呼びます。

基板対電線コネクタは接続する双方のプリント基板上に直接実装され、その両端にコネクタが取り付けられたケーブルによって橋渡しされて接続されます。

例えばプリント基板上のコネクタとしてオス側、ケーブル側の両端がメス側のコネクタを夫々用意してやることにより両者をつなぎ合わせることで、基板間を電気的に直結します。

基板対電線コネクタの使用用途

基板対電線コネクタは、使用する場所や必要な電流容量により信号ケーブルおよびコネクタ内のピンのサイズも様々なタイプのものがあります。

基板対電線コネクタに求められることは、コネクタ内にどれだけ多くの信号線を収容できるかということ、更にこれを安定して電気的・物理的に接続状態を維持できるかという点にあります。

ほとんどの民生機器や業務用機器も含め、プリント基板を使用している各種機器では基板対電線コネクタは、ほぼ間違いなく使用されています。

これらの機器は、例外なく、高機能・高性能化が進み、これに伴い、基板スペースの削減が求められ、その結果基板対電線コネクタを含めたすべての電気部品の小型化、薄型化、軽量化が求められています。

基板対電線コネクタの原理

前述の通り基板対電線コネクタは、2枚のプリント基板を電気的に直結することが目的です。

本来は1枚の基板で全ての機能を実現できれば、基板対電線コネクタも不要となるため、この方法が最もコスト的にも安価にできと考えられます。

しかし、限られた機器内の物理的スペースの中に要求される全ての機能を実装するためには、適度なサイズの複数の基板に分割し、機器内のスペースを確保して入れ込む方法が現実的です。

加えて機能単位で基板を分割することで得られる大きなメリットがあり、このことが結果的に機器のコスト削減につながります。

プリント基板を夫々の機能単位で複数の基板に分割し、これら複数の基板を組み合わせることにより、多様な機能を有する多種類の製品を同時に実現することができます。この際に複数の基板を結合する基板対電線コネクタが有効となります。

例えば、今、ある製品を設計するにあたり必要な機能を実現するための基板として、基本機能用基板A、付加機能実現用基板B、付加機能実現用基板Cがあったとします。

基板Aのみで最もベーシックな機能を有する製品を実現でき、A+Bの基板を使用することで付加機能Bを有する製品、A+C、A+B+Cにより夫々、付加機能Bを有する製品、付加機能B+Cを有する製品を実現できます。

つまり、3つの機能単位の基板を用意し、これを組み合わせることで4種類の製品を実現できることになります。

参考文献
https://search.yahoo.co.jp/image/search?p=%E5%9F%BA%E6%9D%BF%E9%96%93%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%81%A8%E3%81%AF&aq=-1&ai=3dfe172f-5209-4284-af36-f86728cb76cc&ts=2771&ei=UTF-8&fr=crmas
https://www.jae.com/column/01-advantages-of-connectors/

導通検査機

導通検査機とは

各種ケーブルやハーネス、コネクタを導通試験機に接続し、ケーブル等がその両端のピン位置において電気的に期待通り接続されていることを短時間で自動的にテストすることができる試験機のことを導通試験機と呼んでいます。

一般的に比較的コンパクトな筐体に納まっており、前面にはLCDパネル、試験結果を表示するランプに加えスタートボタン、試験項目等を設定するボタンなどから構成されています。

背面には接続するケーブル用のコネクタ端子が複数並べられています。試験結果をプリンタに印刷することができる試験機もあります。

他方で、テスターも導通検査機と言うことも可能ですが、ここでは前述のタイプの検査機について説明します。

導通検査機の使用用途

導通検査機は事前の準備を容易にするためにPCから制御可能なタイプもあります。PCから試験項目および試験内容を詳細に設定し、制御を行うことにより、全体の試験時間の短縮化を図ります。

また試験対象となるケーブルやハーネス、コネクタは100ピン以上のものを一気にテストできるタイプもそろっています。

導通検査機は、端子間に比較的小さな電圧をかけ電流を流すことにより両端子間がケーブルおよびコネクタを含め正しく配線されていることをテストします。

導通検査機の原理

導通検査機は前述の導通試験に加え、耐圧試験絶縁抵抗試験、瞬間断線試験などの機能を有するタイプもあります。

耐圧試験は異なる端子間に降圧を印加して端子間でスパークなどの発生がないかを確認することで端子間の絶縁状態をチェックします。

絶縁抵抗試験では端子間の絶縁抵抗値がケーブルやコネクタで定める仕様を満足しているかを確認します。

瞬間断線試験では、通常の導通試験ではケーブルおよびコネクタを特定の場所に置いた状態で試験します。従って、コネクタ内のピンのはんだ付け不良やケーブルが部分的に切れかかった状態でも問題なしと判断されてしまう可能性があります。

このため、ケーブルやコネクタに振動を加えたりしながら試験を行うことにより瞬間的な断線などを見つけ出すことが可能となります。これを瞬間断線試験と呼んでいます。

以上の説明の通り、導通検査機によっては導通試験に加え、耐圧試験、絶縁抵抗試験、瞬間断線試験を組み合わせこれらの試験を順次自動的に行うためにPC側でプログラムを設定します。

PCで設定した試験手順を機器側に送り込み、設定完了後、被測定対象のケーブルおよびコネクタ等を導通検査機に接続し順次試験を繰り返すという使い方をします。 

参考文献
https://ushiyama.co.jp/shop/user_data/wp
https://www.monotaro.com/p/7609/6946/
http://www.nextcorp.co.jp/original/download.html
http://www.nextcorp.co.jp/original/pdf/MTP-1000W190214.pdf

導電シート

導電シートとは

導電シートとは、電気を伝導する材料で作られた薄いシート状の製品です。

導電シートは柔軟性があり、薄くて軽量なため、さまざまな形状や曲面に適応することが可能です。また、導電性を持っているので、電気信号の伝送や接続を行うことができます。

さらに、導電シートは電磁波のシールド効果を持つことがあります。周囲からの電磁波の影響を減少させるため、電子機器の信号の安定性を保つのに役立ちます。

導電シートの使用用途

導電シートは、さまざまな使用用途において活用されています。以下は導電シートの使用用途一例です。

1. 半導体製品

半導体製品の内部にも使用されています。一例としては、タッチパネル技術などです。タッチセンサーやマルチタッチパネルに使用され、指やペンの入力を検知することが可能です。

また、導電シートは液晶ディスプレイのバックライトにも使用されます。バックライトの光源となる発光ダイオード (LED) の電気供給や配線に利用されることが多いです。

2. 製造設備

電子基板製品の製造工場や半導体デバイス製造工場のクリーンルームなどで使用されます。これらの工場において作業者が静電気を帯びて半導体デバイスに触れた場合、電流が流れて故障させる危険があります。導電シートを使用することで、この現象を防止できる場合も多いです。

3. 研究開発

導電シートは、エレクトロニクスの研究開発においても幅広く活用されています。新しいデバイスやセンサーの開発、柔軟な電子機器の実現などにおいて、導電シートは重要な役割を果たしています。

導電シートの原理

導電シートは、電気伝導性の高い材料が微細な粒子や繊維の形態で均一に分散された構造を持っています。これにより、電子が導電シート内を自由に伝播することが可能です。導電シートには導電性の高い材料が使用されます。

材料は、銀や銅などの金属やカーボンナノチューブ、導電性インクなどが一般的です。これらの材料は、電気を伝導するための自由電子を持っているため導電性です。また、帯電防止樹脂を使用した製品やゴムシートに導電性粉末を塗った製品も販売されています。

さらには、ベースのシートの生地が布製の場合、この布の中に導電性の糸を織り込んで作られた製品も多いです。特殊素材を使用した一部の製品では柔軟性が低下する場合があるため、他の柔軟性のあるシートと貼り合わせて使用することもあります。

導電シートが汚れた場合は、洗剤で洗浄します。洗剤に含まれる界面活性剤が作用して、ゴミやチリを取り除くとともに導電シート表面の抵抗値を下げる効果があります。この効果により、導電シートの本来の効力を復活させることが可能です。 

導電シートの種類

導電シートにはいくつかの種類があります。以下は導電シートの種類一例です。

1. 金属導電シート

金属 (主に銅やアルミニウム) を主成分とする導電性材料から作られた導電シートです。高い電気伝導性を持ち、電気回路や接点の接続に使用されます。金属導電シートは耐久性があり、高温環境にも耐えることが可能です。

2. カーボン導電シート

炭素を主成分とする導電性材料から作られた導電シートです。カーボンナノチューブやグラファイトを使用したものがあります。柔軟性があり、曲げや形状変化に対応できるため、フレキシブルな電子機器やタッチパネルなどに使用されます。

3. 導電性インク導電シート

導電性インクを使用して作られた導電シートです。導電性インクは、導電性粒子や導電性ポリマーをインクの媒体に分散させた製品です。導電性インクは印刷技術によってパターン化された導電パターンや接点を作成するために使用されます。

4. 繊維導電シート

導電性繊維が使用された導電シートです。導電性繊維は金属繊維やカーボン繊維などが主な素材です。繊維の柔軟性により、衣料品やテキスタイル製品に組み込むことができます。快適な装着感と導電性を両立させることが可能です。したがって、ウェアラブルデバイスやスマートデバイスなどに利用されます。

参考文献
https://www.sunplastic.jp/?cn=100023

導電テープ

導電テープとは

導電テープとは、導電性を持たせたテープのことです。

アルミ箔や銅箔を材質としたり、粘着層に金属粒子などのフィラーを導入した粘着テープであり電気抵抗が小さいという特徴があります。さまざまな種類が存在するため、強度や柔軟性、粘着面は片面でよいのか両面必要なのか、用途に応じて適切な導電テープを選択することが重要です。

基本的には外部からの電磁波ノイズや静電気ノイズから機器を保護する目的で使用されます。ノイズ発生源に近い場所や半導体デバイスの表面に貼り付けます。

導電テープの一端と機器のアースラインを電気的に直結することで、外部からのノイズは導電テープで吸収され、アースラインを経由して放電されるため機器が保護されます。

導電テープの使用用途

1. 静電気 / 電磁波シールド

導電テープによる部品の保護

図1. 導電テープによる部品の保護

工場において作業者が静電気で帯電した状態で製品に触れた場合、製品内部の電子基板上の半導体部品にダメージを与え、最悪の場合、一部破壊してしまう可能性があります。

このような事態を回避するためには、工場内において導電マットを敷くなどの対策を行うことが効果的です。製品の筐体の表面から作業台上の導電マットに静電気が流れ、地面に放電されます。

しかし、静電気の機器への混入ルートによっては、製品の中のプリント基板まで静電気が到達してしまうこともあります。この場合は導電マットのみでは不十分で、基板上での対策が必要となります。ここで個々の部品を保護するために導電テープが使用されます。図1のように、保護したい部品を導電テープでシールドしアースラインとつなげることで、部品に静電気が流れるのを防ぐことが可能です。

2. 配電の安全対策

発電所で発電した電気を事業所や家庭に届ける配電の場面でも、安全対策のため導電テープが用いられています。基本的に電気を絶縁するために絶縁テープをケーブルに巻き付けていますが、抵抗のやや高い半導電テープも併せて用いられます。

ケーブルの中には導電層が含まれるため、ケーブル接続時にケーブルを切ったまま放置すると導電層の特定箇所に電界が集中し、ケーブルの絶縁破壊につながる恐れがあります。導電層に半導電テープを巻き付けると、この電界ストレスを緩和することが可能です。

3. 分析用途

分析用途に使われる導電テープ

図2. SEMで用いられる導電テープの役割

研究開発用途で汎用的に用いられる走査型電子顕微鏡 (SEM) や透過型電子顕微鏡 (TEM) で試料を観察する際、試料に導電性を持たせる必要があります。観察の際に試料に照射した電子の逃げ道を作らないと試料が帯電 (チャージアップ) してしまい観察が難しくなるため、試料を観察台に設置する際には両面の導電テープが用いられます。

導電テープの原理

導電テープの構造の例

図3. 導電テープ構造の原理

導電テープは粘着テープと同様に、基材と粘着剤で構成されています。導電性を持たせるために、エンボス加工した金属箔に接着剤を塗布する方法や、粘着剤中に金属粒子を分散させる方法などが取られます。

基材については、金属箔だけでなく柔軟性に優れた導電性繊維が用いられることもあります。装置の可動部分や狭い部分にテープを貼り付ける場合は、導電性繊維を用いたテープがよく用いられます。

導電テープのその他情報

静電気ノイズの対策

導電シートや導電テープは静電気の発生による機器の損傷を回避する目的で使われますが、工場などにおける静電気の発生は深刻な問題です。静電気で内部基板上の部品が破壊され、気づかないまま出荷されてしまった場合はユーザからのクレームにつながる可能性があります。

このような事態を回避するためには、導電テープによる局所的な対策だけでなく、以下のような工場全体の取り組みが重要になります。

  1. 工場内の湿度の向上
    湿度を上げて一定の湿度で工場内を管理することで、機器類の表面の電気抵抗を下げることができます。
  2. アース接続が可能なワイヤの用意
    作業する人間の手首などをアースと接続できるようなワイヤを用意することで、作業者への静電気の発生を防ぐことができます。
  3. 導電シートを敷く
    仮に作業者が帯電してしまっても導電シートを経由してアースに静電気を逃がすことが可能です。
  4. 機器に導電テープを貼り付ける
    ノイズ混入経路の入り口付近や半導体デバイスの表面に導電テープを貼り付けることで機器を保護します。

参考文献
https://tape-omakase-navi.com/trouble_list_5_2
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/283/
https://detail-infomation.com/electrostatic-conductive-mat/