FVコンバータ

FVコンバータとは

FVコンバータとは、回転速度や移動速度に比例した周波数 (Frequency) を電圧 (Voltage) に変換する機器です。

周波数の変化をモニターしたり解析するときなどに使います。逆変換装置として、VFコンバートと呼ばれる機器もあります。

ハイブリッド車や電気自動車に使われているモータ、生産工場での製造ラインの高速化にも対応した機器です。立ち上がり特性や定常回転時の微小回転変動、流速変化の過渡現象も高速応答で計測できます。

FVコンバータの使用用途

周波数は目に見えるものではないため、FVコンバータで周波数を電圧に変換します。ノイズに弱いアナログ信号は長距離の移動に向かないことから、さらにADコンバータ (アナログ信号をデジタル信号に変換する装置) を一緒に用いると、デジタル数値として認識することが可能です。

確認できる項目としては、モータの立ち上がり特性、各種回転機器の回転性能計測、エンジンやモータの回転変動測定、過負荷による回転性能試験などがあります。

FVコンバータの原理

FVコンバータにパルス信号を通すことで時間の経過とともに減衰していく信号を作り出し、その重なりによりパルス周波数に応じた電圧信号を得ることが可能です。アナログチャンネルとデジタルチャンネルを使用します。

センサからの信号は、コンパレータでのゲート開閉信号を作ります。測定範囲を変更することで基準周波数が切り替わり、入力周波数の周期に応じてゲートが開閉します。

この間に行うのがクロック数の積算です。次の周期でカウンタの内容がD/A変換器に送信することでアナログ信号に変換された出力が得られます。

FVコンバータの種類

種類により、回転速度計測での多チャンネル計測・小振幅信号検出器への対応をしている機器もあります。予測演算を搭載し、減速時でも滑らかな出力を得ることが可能で、駆動部の加減速や挙動解析試験等に有用です。

ロータリエンコーダの多パルス化に伴い入力周波数が高く、入力アンプの広帯域化にも対応してしているものなどさまざまな製品が展開されています。

FVコンバータのその他情報

1. フィルタリング

一体型のローパスフィルタリング又はプログラム可能なフィルタリングの機能があります。一体型フィルタは一部の信号入力周波数を通しますが、その他は遮断します。

ローパスフィルタには、しきい値が設定されています。しきい値を下回る信号は通過できますが、 上回る信号はブロックされます。

2. 急減速追従機能

FVコンバータの中には、急減速追従機能を有するものもあります。この機能は回転体などで入力信号が急激に減速した際に、前のパルス間隔以上入力が無い場合、回転出力を減速して停止する機能です。

追従機能がONの場合は設定回数分のパルス間隔待っても信号入力されないと、すぐにアナログ出力は0になります。追従機能OFFの場合は入力信号が0になってから、時間が経った後にアナログ出力が0になります。

3. トリガ機能

トリガできる電圧パルス信号を入力すると、その周波数に比例した1パルス応答のF/V変換出力を行うことができます。トリガレベルは機器によって規定されており、規定内のレベルであれば任意に設定可能です。

4. 線形性

FVコンバータでは周波数に比例した直流電圧を得ることができますが、周波数範囲を広く取ると周波数-電圧間の線形性が低下する特徴があります。

パルス信号の周波数が高い場合に、回路内コンデンサに蓄えられた電荷の放電が完了しないうちに新たなパルス信号が入力されることが原因です。

そこで、短時間でコンデンサ内の電荷を放電するために、新たに放電経路を追加したFVコンバータもあります。従来の回路では高周波数帯域で線形性が劣化していたのが、線形性を保ったまま変換が可能となります。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/tach/fv1500.htm

カレントセンサー

カレントセンサーとは

カレントセンサーとは、回路に流れる電流を測定する装置です。

電流センサーなどとも呼ばれることがあります。電流が流れる回路や導体に取り付けられ、通過する電流の量や特性を監視します。カレントセンサーは一般的に堅牢な設計であり、長期間の使用が可能です。

また、適切に設置されれば、高い信頼性で測定することもできます。一部のカレントセンサーは非接触で電流を計測することが可能であり、高電圧や危険な環境での電流計測ができる点が特徴です。

ただし、測定したい電流範囲に応じて適切な電流容量を選択する必要があります。過負荷や過電流が発生すると、センサーが損傷をするケースも考えられるためです。許容電流範囲を確認し、適切に設計することが重要になります。

カレントセンサーの使用用途

カレントセンサーは主に電気回路で使用されます。以下はカレントセンサーの使用用途一例です。

1. 電力制御

電力供給装置や電力変換装置において、電流の監視と制御を行います。太陽光発電システムや風力発電システムでは、カレントセンサーによって発電電流の量や特性を監視し、安定した電力供給が可能です。

また、回路や機器を過電流から保護するために使用されます。電力供給装置や電力回路において、定格電流を超える電流をカレントセンサーで検出して保護回路を作動させることが可能です。過電流保護は短絡などによる機器故障から、安全性を確保するために重要です。

2. バッテリー制御

電池の充放電電流を監視するバッテリー管理システムに利用されます。電流の測定により、バッテリーの状態評価や残存容量の推定などが可能です。カレントセンサーによるバッテリーモニタリングは、電気自動車やモバイルデバイスなど、さまざまな応用分野で重要です。

3. モーター制御

カレントセンサーはモータードライブ制御において重要な装置です。モーターの電流を測定し、制御アルゴリズムにフィードバックすることで、モーターのトルクや速度を制御します。主にインバータなどの駆動装置で広く使用されます。

カレントセンサーの原理

カレントセンサーの原理は、アンペアの法則に基づいて電流を測定することです。アンペアの法則は、導体を通過する電流と導体の周りの磁場との関係を示しています。

アンペアの法則によれば、導体を通過する電流は、その周りに形成される磁場の強さと比例します。カレントセンサーはこの磁場または電流の影響を検出して、それを電圧や他の信号として検出することが可能です。具体的なカレントセンサーの原理に応じて、さまざまな方法が使用されます。

カレントセンサーの種類

カレントセンサーには測定原理に応じて、さまざまな種類が存在します。以下はカレントセンサーの種類一例です。

1. シャント抵抗型カレントセンサー

電流が流れる回路にシャント抵抗を直列に接続することで、電流値を測定するカレントセンサーです。シャント抵抗に流れる電流は、オームの法則によって抵抗値と測定される電圧降下によって計算します。抵抗値が既知であるシャント抵抗の両端電圧を測定することで、電流を測定することが可能です。

シャント抵抗型は高精度で電流を測定することができます。また、構造が簡単なため、安価で製造することが可能です。基板上や大電流の整流回路などに使用されます。

2. ホール効果型カレントセンサー

ホール素子を使用して電流を検出するカレントセンサーです。ホール素子は電流が流れる導体の近くに配置され、磁場の影響によってホール電圧が発生します。このホール電圧を測定することで、電流を検出します。

直流電流を非接触に測定することが可能です。直流の可搬式クランプ電流計などに使用されます。

3. 変流器型カレントセンサー

交流電流を変流して測定するカレントセンサーです。二次巻線となる導体から構成されており、一次巻線電流に応じて変化する二次巻線電流を測定します。これにより、交流電流を計算することが可能です。

安価かつ測定精度が高いため、産業機器に広く使用されます。ただし、重量が重く、使用するための面積が大きいことが欠点です。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what6

ころ軸受

ころ軸受とは

ころ軸受

ころ軸受とは、転がり軸受の一種で、転動体にころを使用した軸受のことです。

転動体とは、内輪と外輪 (軌道輪) 又は軌道盤の間を回転するベアリングの部品を指します。転がり軸受で最も多く使われている玉軸受ですが、転動体に玉ではなく、ころ (円筒形状の部品) を使用している点が大きく異なります。

ころ軸受は、大きな荷重を受ける回転軸を支持するための軸受です。後述する内外輪や軌道盤と転動体との接触では、玉軸受が点接触であるのに対して、ころ軸受では線接触になります。点から線へと接触部分が増えるので、より大きな荷重を支持することが可能です。 

ころ軸受の使用用途

ころ軸受は様々な産業機械に組み込まれています。具体的な使用用途は、自動車、鉄道車両、航空機、建設機械、風力発電機、産業ロボット等における回転部分です。

ころ軸受は玉軸受よりも支えられる荷重は大きく、支持剛性も高まります。一方で、回転性能では玉軸受の方が有利です。支える荷重が低く高回転が必要な場合には、玉軸受の方が転がり抵抗を低く抑えることができます。このような特徴を活かし、産業用機械のギアボックスなどに使用されることが多いです。

自動車や産業用機械では、はす歯歯車が多く使われており、歯車の歯が回転軸に対して斜めに並んでいることで、音や振動を低く抑えられます。しかし、歯車が斜めであることによって、3つの方向に大きな力が作用します。このような軸を支えるために、ころ軸受が使用されています。

ころ軸受の原理

ころ軸受には大きく分けて、ラジアルころ軸受とスラストころ軸受の2種類があります。それぞれ構造が異なりますが、原理は同じです。

ころが挟まれる2つの部品の間で、ころが転がることで、回転軸に発生する大きな荷重を受けながら、滑らかに回転できます。各部品の表面は硬く凹凸が少ない、つまり表面粗さが小さくなるように仕上げられています。一般的に、熱処理された合金鋼が使用される場合が多いです。

ころ軸受の構造

1. ラジアルラジアルころ軸受

内輪、外輪、ころ、リテーナから構成されます。内輪の外径面 (軌道面) と外輪の内径面 (軌道面) との間にころが配置されます。ころを等しい間隔に保持し、ころ同士が接触することで、摩擦が過大になるのを防ぐためにリテーナが配置されます。

2. スラストころ軸受

2つの軌道盤の間に、ころとリテーナが挟まれた構造になっています。3つの部品が一体になっていたり、ころとリテーナがどちらかの軌道盤と一体になったもの、全てが別体のものなどがあります。一体構造なのか別体構造なのかは、組み付け性などを考慮して決められます。

ころ軸受の種類

ころ軸受には、ラジアルころ軸受とスラストころ軸受以外にもいくつかの種類があります。タイプ別に分類すると、外部から潤滑して使う開放タイプと、グリースが軸受内部に封入している密封タイプがあります。

各ころがり面を適切な潤滑状態とすることで、各軌道面ところの外径面に油膜が存在しながら転がり運動をし続けます。そのため、高負荷かつ高速回転の運転条件下であっても、摩擦抵抗が小さく、滑らかに長時間の運転が可能です。

ころの形状によって分類する場合は、以下の4つに分けることができます。

1. 円筒ころ軸受

円筒ころ軸受は、ころがシンプルな円筒形状をしています。ラジアルころ軸受ならラジアル荷重だけを支え、スラストころ軸受であればスラスト荷重のみを支えます。

2. 針状ころ軸受

針状ころ軸受は、ころが針のように細長いころ軸受です。ニードルベアリングなどとも呼ばれます。ころ軸受の一種でJISやISOの規定もありますが、一般的にはその規定範囲から外れるものもニードルベアリングと呼ばれます。

3. 円すいころ軸受

円すいころ軸受は、主にラジアルころ軸受として使われます。テーパーローラーベアリングなどとも呼ばれます。転動体が円錐形状であるため、軸に対して垂直方向の負荷と、方向が決まっている軸方向の負荷を支持することができます。

2列以上で使用することで、軸方向で負荷の方向がどちらの方向であっても軸方向の負荷を支持することが可能で、高いモーメント荷重も受けることができます。はす歯歯車の支持でよく使われます。

4. 自動調心ころ軸受

自動調心ころ軸受は転動体が、たる形状 (円筒形状の中央が凸の形状) になっています。さらに、外輪軌道輪が凹形状で、内輪軌道輪にころが沿った位置関係の時に、転動体の外接形状が外輪軌道輪に沿う凸形状になっています。

したがって、外輪と内輪との回転中心が傾いても、傾きを許容することが可能です。軸に対して垂直方向の負荷と、両方向の軸方向の負荷を支えることができます。

ころ軸受のその他情報

ころ軸受を使用する上での注意点

ころ軸受は特に、大きな荷重を支えたい回転軸に用いられます。使用する際は、内外輪や軌道盤に十分な剛性を確保することが重要です。

また、これら部品を支えるハウジングの受け面にも十分な剛性を確保する必要があります。ころが転がる面の剛性が低いと、ころが設計したとおりの線接触ができず、局部的な接触が発生するためです。その場合、接触面圧が高くなり、設計の予想よりも早く寿命を迎えてしまうことがあります。

さらに、十分な潤滑を確保すること、潤滑により十分な冷却効果が得られるようにすること、潤滑油を含む使用環境中に鉄粉などの異物が含まれないよう、オイルフィルターやマグネットで除去することも重要です。

参考文献
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/2203.pdf

ドリル研削盤

ドリル研削盤とは

ドリル研削盤

ドリル研削盤とは、工具研削盤の一種で、ドリルの先端部分を研削するドリル研削に特化した研削盤のことです。

ドリル研削盤には、端面を研削するドリルポインタとウェブを研削するシンニングマシンがあります。

研削の際にドリルを手動で砥石に当てるタイプとドリルをセットすると自動で研削を行ってくれるタイプがあります。全自動で研削を行うタイプは、文字通りドリルをセットすれば全て自動で研削してくれるため熟練作業者でなくても作業を行うことが可能です。

ドリル研削盤の使用用途

ドリル研削盤は、主に一度使用したドリルを再研磨するために使用します。

一般的なドリルの先端は、横から見ると切削抵抗の少ない118~120度になっています。先端のシンニングの中心がずれると、真っ直ぐに穴があかず、場合によっては、ドリルが折れてしまうため注意が必要です。そのため、ドリル研削盤でシンニングのタイプに合わせて正確に研削を行う必要があります。

最近では、3枚刃のドリルも増えてきており3枚刃を研削できるCNC全自動工具研削盤などもあります。

ドリル研削盤の原理

ドリル研削盤は、砥石を使用し使用済みドリルの刃先を研削・研磨することで刃先の切れ味を復活させてドリルを再利用することができる、メンテナンスのための機械です。

ドリルには、山形ドリル、ろうそくドリル、一文字ドリル、面取ドリルといった種類があります。そうした形状に応じて研削できるドリル研削盤は、シンプルな構造で小型で持ち運びしやすいものが多いですが、中には、全自動のドリル研削盤もあり、さまざまなドリル形状のものを自動的に研削できる機械もあります。研削機は、ドリルの形状や用途に応じて、最適なものを選択することが必要です。

ドリルの材質により砥石を選定する必要があります。超硬ドリルやチタンコーティングされたドリルは主にダイヤモンド砥石、ハイスドリルは主にCBN砥石を使用します。

先端角、シンニング角、補正値、研磨量など細かく設定できる、NC工具研削盤もあります。

ドリル研削盤の種類

ドリル研削盤の加工の種類として、一般的な方法の他、特殊ドリル形状の加工、超硬ドリルビットの研削、小径ドリルの微細研削、再研磨による特殊用途の5つが挙げられます。

1. 一般的なドリルビットの研磨

ドリル研削盤の最も基本的な機能は、摩耗したドリルビットの先端を再研磨することです。一般的な加工により、摩耗による切削能力の低下を改善し、再び高精度な穴あけ作業が可能になります。先端角度を調整することで、材料に応じた最適な切削条件を設定可能です。また摩耗部分を削り取ることで、ドリルの切れ味が戻ります。

メリットとして、ドリルビットの寿命が延びるため、工具コストの削減につながります。また、高い精度の再研磨が可能で、切削面の品質を向上させられることが可能です。

一般的なスパイラルドリルやツイストドリルの研磨に適しており、日常的に使用される最も一般的な加工です。

2. 特殊ドリル形状の加工

ドリル研削盤では、特殊な形状のドリルビットを加工することも可能です。これには、段付きドリルやテーパー形状のドリルが含まれます。特殊なジグやアタッチメントを利用することで、多様な形状に対応可能です。また高精度の形状加工が可能で、特殊用途にも対応可能です。

メリットとして、独自の加工ニーズに応じた形状のドリルが準備できます。また、標準的なドリルでは対応できない複雑な加工にも活用することが可能です。

特殊ドリル形状の加工は、航空宇宙産業や医療機器製造など、特殊用途が多い業界で利用されています。

3. 超硬ドリルビットの研削

超硬ドリルビットは、高硬度の材料を切削するために使用されますが、その特性上、再研磨には高度な技術が必要です。ドリル研削盤は、専用のホイールを使用してこの研削作業を可能にします。

特徴としては、ダイヤモンドホイールやCBNホイールを使用して加工する点が挙げられます。また精密な制御により、高硬度のドリルビットでも損傷なく研磨可能です。

メリットとして、超硬材料を扱う際の工具コストを抑制できます。工具の切削性能を最大限に引き出す再研磨が可能です。

製造現場では、高速切削や高精度加工が求められる場面で、超硬ドリルの性能を最大限に活かすために必要な加工です。

4. 小径ドリルの微細研削

電子機器や時計製造などの分野では、直径1mm以下の小径ドリルが使用されることが多く、再研磨もドリル研削盤で行われます。微細な調整が可能な高精度の研削盤が必要になります。微小なドリルビットの先端形状を維持しながら研磨可能です。

メリットとして、小径ドリルの摩耗を防ぎ、加工精度を長期間維持が可能です。また微細加工の現場で必要不可欠なツールとなります。

小径ドリルの正確な再研磨は、高い技能が求められますが、専用のドリル研削盤を使用することで安定した品質が確保されます。

5. 再研磨による特殊用途

ドリル研削盤を利用して、通常の形状とは異なる用途向けにカスタム加工を施すことも可能です。例えば、切削速度を向上させるためのクロスシンニング加工や、特定の材料向けに刃先形状を変更するなどの加工が含まれます。

特徴としては、使用目的に応じた形状の最適化が可能な点が挙げられます。また専門性の高い加工が容易に実現可能です。

メリットとして、加工効率を大幅に向上させる点が挙げられます。また特定材料の切削抵抗を低減し、工具寿命を向上させられることが可能です。

トルク試験機

トルク試験機とは

トルク試験機は、ねじる方向の力であるトルク(単位はSI単位でNm)を測定する試験装置です。

台上に測定ワークを設置して、発生トルクを測定する汎用のトルク試験機や、工具として使用するトルクレンチの点検・校正を行う、トルクレンチ専用の試験機等があります。

トルクレンチの点検・校正は、代行業者もあり、各種必要書類も発行可能で約1週間で対応してもらえる業者があります。

汎用のトルク試験機には、ワークを台座に固定して、手でワークを回転させて発生トルクを計測する手動の試験機もあります。

トルク試験機の使用用途

特に、トルクレンチの点検・校正で専用の試験機として使用する場合や、研究室において、発生トルクを測定する場合や、メーカにて製品のトルクが重要な品質パラメータになっている場合等にトルク試験機を使用します。厳格な管理が必要な電力会社での納入実績もあります。

例えば、トルクレンチの点検・校正においては、試験機の購入は高額になりますが、代行業者での実施であれば、数千円から数万円で、各種必要書類付きで、数日(3日から10日程)で対応してくれる代行業者があります。

トルク試験機の原理

汎用のトルク試験機は、台座の上にトルクセンサーが設置されており、センサーから所定のPC等にアウトプットできるように配線やタッチパネル等が配置されています。

トルク試験機は、センサー(トルク計)部からの出力を、経時的に整理することができます。例えば、縦軸にトルク、横軸に時間を表示させたグラフが作成可能です。

また、油圧トルクのヒステリシスを整理することもできます。例えば、縦軸に圧力、横軸に出力のトルクを表示させたグラフが作成可能で、複数回の油圧の作動と理論値との差を表示させ、油圧の点検や校正の要否判断を行うことが可能です。

トルクレンチ専用のトルク試験機は、専用性が高くなっており、測定から校正まで所定の取り付け部にトルクレンチを設置するだけで自動で行うものもあります。

トルクレンチ専用のトルク試験機は、代行業者で校正を行う場合は、業者のトルク試験機のスペックの確認が必要です。対応トルク測定範囲・精度、測定トルクポイントの数等、設備や操作システムによる制限があります。

参考文献
http://www.ogawaseiki.jpn.org/products/products18/products-1802-products18/
http://www.aikoh.co.jp/torque/5125vcw/
https://www.plarad.net/plarad/product/product6.html
https://titanti-jp-rent.com/test/index.html

圧縮試験機

圧縮試験機とは

圧縮試験機

圧縮試験機とは、部材に圧縮方向の力を加えて挙動を観察し、物理特性を測定するための試験機です。

具体的には、部材が圧縮力に対してどのような反応を示すのか、あるいは破壊に至る際の力や変位を測定します。また、ロードセル (力を測定するセンサー) の向きを変えることで、引張り試験を行える機種もあります。

各メーカーから、数Nの測定が可能なコンパクトな卓上タイプから、数千kNの測定が可能なコンクリートや金属の圧壊試験用まで、幅広い展開されているのが特徴な試験機です。

圧縮試験機の使用用途

圧縮試験機は、研究室や材料メーカーでの基礎研究における物理特性評価や、工業メーカーでの破壊試験に活用されます。また、多くの工業研究所や試験場にも設置されており、比較的安価な料金 (1時間あたり数千円程度) で使用可能です。

試験場で利用する際には、試験条件 (ヘッドスピードやストローク) やワーク数を事前に決定し、専用治具が不要な場合はスムーズに対応することが可能です。

圧縮試験機の原理

圧縮試験機は、ワークを設置する台座と、ロードセルが取り付けられる可動部で構成されている点が特徴です。操作はコントローラやPCから行い、可動部を下に移動させることでワークを台座と可動部で挟み、圧縮方向に力を加えます。加えた力をロードセルで測定し、発生している荷重を数値化します。

測定データは、可動部の位置データとロードセルの荷重データを基に圧縮特性を解析し、例えばぜい性材 (炭素鋼など) では圧縮破壊時の圧縮弾性率や破壊荷重を測定し、延性材 (など) では圧縮弾性率、降伏荷重、破壊荷重を詳細に評価することが可能です。

データは試験開始から終了まで、秒間数点~数十点の精度で取得可能で、試験後にはシステムインターフェースで数値やグラフで可視化できます。

圧縮試験機の種類

圧縮試験機の種類として万能 (引張) 試験機、圧縮 (耐圧) 試験機、衝撃試験機、恒温・恒湿試験機、疲労試験機の5種類が挙げられます。

1. 万能 (引張) 試験機

万能試験機は、引張や圧縮、曲げなど複数の試験を1台で行える装置です。最も汎用性が高く、金属やプラスチック、繊維など多様な材料の試験に使用されます。

特に引張試験では、引張強度や破断点、伸び率などを測定可能。研究開発から品質管理まで幅広く利用されています。また、近年ではデジタル技術を活用した高精度なデータ取得が可能なモデルも登場しています。

2. 圧縮 (耐圧) 試験機

材料に圧縮力を加え、その強度や変形特性を測定する装置です。特に建築材料や機械部品の耐圧性評価に使用されます。

例えば、ボールベアリングに使用される鋼球では、ひずみや破壊荷重を詳細に解析します。耐圧試験は、塑性加工の際の変形抵抗を調べるための真応力-ひずみ線図作成にも役立ちます。

3. 衝撃試験機

衝撃試験機は、急激な外力が加わった際の材料の耐久性を測定します。例えば、自動車部品やヘルメットなどの安全性評価に不可欠です。

試験は、ハンマーや落下物を利用して衝撃を加える方法が一般的です。衝撃吸収性や破壊特性を評価することで、実使用時の安全性を確保できます。

4. 恒温・恒湿試験機

一定の温度や湿度を再現する環境試験機で、材料や製品の耐久性や信頼性を評価します。例えば、電子機器の基板やパッケージなどは、温湿度変化による膨張や収縮の影響を受けやすいため、恒温・恒湿試験が必要です。

恒温・恒湿試験機により、長期間の使用における劣化や性能変化を短時間でシミュレートできます。

5. 疲労試験機

繰り返し荷重が加わる条件下での材料の耐久性を調べる装置です。自動車部品や航空機構造材など、振動や衝撃を受ける部品の試験に活用されます。

疲労試験により、どの程度の繰り返し負荷で破壊に至るかを予測し、設計寿命を評価できます。また、サイクル数に応じたひずみや劣化の進行を数値化することも可能です。

参考文献
https://www.minebeamitsumi.com/product/mcd/1182012_6189.html
https://www.an.shimadzu.co.jp/test/products/mtrl03/index.htm
https://www.aandd.co.jp/products/electronic/sp-digital_caliper_other/sp-force_gauge/mct/
http://www.maekawa-tm.co.jp/product02.html

基板対電線コネクタ

基板対電線コネクタとは

基板対電線コネクタとは、プリント基板と電線を接続するためのコネクタの一種です。

電気回路の接続を簡単かつ確実に行うために使われ、電子機器や産業機器、自動車、家電製品など、幅広い用途で使用されています。

一般に基板対電線コネクタは、プリント基板上に直接実装されるリセプタクルと、電線側のプラグから構成されています。例えば2枚のプリント基板上にリセプタクルを実装、接続ケーブルの両端にはプラグを接続し、各々をつなぎ合わせることで2枚の基板間を電気的に接続します。

基板対電線コネクタの使用用途

基板対電線コネクタは幅広い分野で使用されています。以下に具体的な使用用途を挙げて説明します。

1. 家電製品

家庭用の電化製品で以下のような製品で使用されます。

  • エアコン:基板上の制御回路とセンサーやモーターを接続
  • 冷蔵庫:基板と温度センサー、LED照明、ファンモーターなどの接続
  • 洗濯機:基板と水位センサー、モーター制御回路を接続
  • AV機器:基板とスピーカーや電源配線を接続

2. 自動車や輸送機器

自動車や輸送機器の内部配線を簡単に接続/分離するために使用されます。

  • エンジン制御ユニット:センサーやアクチュエーターとの接続
  • 車載カメラ/センサー:車両周囲監視やADAS (先進運転支援システム) 用の配線
  • 照明系:LEDヘッドライトやテールランプの配線接続
  • インフォテインメントシステム:ディスプレイ、スピーカー、マイクなどの接続
  • 電動車両:充電ポート、バッテリー管理システムなどの配線接続

3. 産業機器

工場や設備の自動化システムにおいて、センサーやモジュールを基板に接続する用途に使用されます。

  • プログラマブルロジックコントローラ:センサー、スイッチ、アクチュエータ間の接続
  • ロボット:ロボットアームのモーターやセンサーの接続
  • 産業用センサー:温度、圧力、位置センサーなどの信号を基板に伝達
  • 工作機械:制御基板とモーター、スイッチを接続

4. 医療機器

高精度なデータ伝達が必要な医療機器で使用されます。

  • 心電図モニター:センサーと基板を接続
  • MRI、CTスキャナー:制御基板と検出器の接続
  • ポータブル医療機器:血圧計や酸素濃度計の内部配線
  • 手術用ロボット:モーター、センサー、カメラの接続

5. 通信機器

通信関連機器において、基板と配線を効率よく接続するために使用されます。

  • ルーターやスイッチ:基板と電源ライン、通信インターフェースを接続
  • 基地局設備:アンテナやフィルタとの接続
  • IoTデバイスなど:無線モジュールやセンサーとの接続

6. コンピュータ・IT機器

コンピュータ内部の配線や周辺機器に使用されます。

  • サーバー:電源配線や冷却ファンの接続
  • パソコン:マザーボードと電源、冷却システムの接続
  • プリンター:基板とモーター、センサー、印刷ヘッドを接続
  • ストレージ機器:ハードディスク、SSD、RAIDコントローラの接続

7. 照明設備

LED照明やその他の電源配線で使用されます。

  • LEDランプ:LEDモジュールと制御基板を接続
  • スマート照明:基板と無線モジュール (Wi-Fi、Bluetooth) を接続
  • 街灯、防犯灯:制御基板と電源ラインの接続

8. 航空宇宙分野

高い信頼性が求められる航空機や宇宙機器でも使用されます。

  • 航空機内機器:センサー、計器、制御基板の接続
  • 衛星:制御システムと太陽電池パネル、アンテナの接続
  • ドローン:基板とモーター、カメラ、センサーを接続

9. オーディオ/ビジュアル機器

高品質の音声/映像を伝送するための接続に使用します。

  • スピーカーシステム:ネットワーク基板とケーブルの接続
  • アンプ:音声信号や電源ラインの配線
  • カメラ機器:制御基板とレンズやシャッターとの接続

基板対電線コネクタの原理

基板とケーブルを接続するコネクタは、電気的接続を確実に行い、信号や電力を正確かつ安定して伝達することが求められます。以下にコネクタの基本的な原理を説明します。

1. コネクタの基本構造

コネクタは通常以下の要素で構成されています。

接触端子
電気信号や電力を実際に伝える部分です。端子の形状や材質は、接触の信頼性や耐久性に影響します。

ハウジング
端子を保護し、正しい接続を物理的にサポートする絶縁材の外装部分です。

ロック機構
接続状態を安定させ、誤接続を防ぐための仕組み (例えばスナップやねじ留め機構) が必要です。

2. 接触の原理

コネクタが接続される際、以下のプロセスが起こります。

接触圧力
プラグ側とソケット側が接触し、適切な圧力で互いに押し付けられます。これにより、接点間で安定した電気伝導が確保されます。

導電材料
端子は通常、銅合金や金属メッキが使用されており、これにより電流が効率よく流れると同時に酸化による劣化を防ぎます。

接触面のクリーニング効果
差し込む際の摩擦により接触面に付着した微細な汚れや酸化膜が除去され、接触の信頼性が向上します。

3. 信号および電力の伝達

信号伝達
高速信号を扱うコネクタでは、インピーダンス整合やノイズ対策が重要です。信号線をシールドで覆ったり差動信号伝送方式を採用することで、信号品質が向上します。

電力供給
電力を伝える端子は抵抗が低く、過電流に耐えるよう設計されています。大電流対応のコネクタでは、接触面積を広げたり複数端子を並列接続することで、大きな電流供給を可能にします。

基板対電線コネクタの構造

基板対電線コネクタに求められる要素は次のように要約されます。これを実現する為、様々な形態のコネクタが市販されています。

  1. 電気信号の伝送
  2. 機械的固定
  3. 作業効率
  4. 信頼性

1. 電気信号の伝送の安定化

基板対電線コネクタの最も重要な役割は、電線と基板との間で電気信号や電力を正確に伝達することです。このために、コネクタ内部に金属端子が使用されます。

導電性の確保
コネクタの端子部分は、銅合金、真鍮などの導電性に優れた金属材料で作られています。端子部に金などの金属メッキ処理を施すことにより、酸化や腐食を防ぎ、長期間の安定した接続が可能になります。

接触圧による信号伝達
端子同士が適切な接触圧で押し付け合うことで、電気信号のロスを最小限に抑えます。接触圧は、端子の形状 (スプリングや板バネなど) や材質の弾性により確保します。

信号の安定性
信号ラインがノイズや接触不良に影響されないように設計されており、特に高速信号伝送が必要な場合には、差動信号ラインやシールド構造が採用されます。

2. 機械的固定強度の確保

コネクタは、基板と電線を物理的に固定する役割も果たします。これにより振動や衝撃、引っ張り力に耐え、接続が外れることを防ぎます。

ハウジング構造
コネクタのプラスチック製ハウジングは、端子を保護し、接続部を機械的に安定させる役割を担います。ハウジングには、オス端子とメス端子が噛み合う構造 (スナップ機構、ラッチ機構) があり、接続をより確実なものにします。

ロック機構
一部のコネクタには、接続が外れないようにするためのロック機構が組み込まれています。ロック機構は解除可能な構造で、取り付け/取り外しは容易です。

振動や衝撃への耐性
基板対電線コネクタは、自動車や産業機械などの振動が多い環境でも接続が外れないよう入念に設計されています。特にコネクタの形状や端子のバネ性を吟味して、振動を吸収する工夫も盛り込まれます。

3. 電線との接続方式

基板対電線コネクタには、電線を端子に接続するためのいくつかの方式があります。それぞれの方式は作業効率や信頼性に違いがあります。

圧着
電線の被覆を剥き、圧着工具で金属端子に圧着する方式です。圧着された端子がコネクタハウジングに装着され、基板に接続されます。圧着部分は電線と端子が金属的に密着しており、低抵抗で信号や電力を伝達します。

IDC (Insulation Displacement Connection) 
電線の被覆を剥かずに、端子が電線を挟み込むことで接続する方式です。電線が端子の鋭いエッジで切り裂かれ、芯線と端子が直接接触します。被覆を剥く必要がないので、作業が速く、大量生産に適しています。

ねじ止め
端子に電線をねじで固定する方式です。電線の芯線が端子に確実に接触するため、大電流用途や柔軟性の高い配線でよく使われます。

ハンダ付け
電線を基板上の端子に直接ハンダ付けする方式です。固定が強固で接続信頼性が高い一方、取り外しや再接続が難しいことが欠点です。

4. 基板との接続方法

基板側の接続方法には以下の2種類があります。

スルーホール実装
基板に穴を開け、コネクタのピンを通して裏側でハンダ付けする方式です。機械的な強度が高いため、振動や衝撃に強いことが利点です。

表面実装
基板の表面にコネクタを直接接続する方式です。小型/高密度化が可能で、主にコンパクトな機器で使用されます。

導通検査機

導通検査機とは

導通検査機は、電気回路の接続状態を確認するための検査装置です。

主に電気回路における断線 (配線が途切れている状態) や短絡 (本来接続されていない箇所が接触している状態) 、誤配線 (正しい接続箇所と異なる箇所に接続された状態) などの不良を効率的に検出します。これらの検査は導通検査と呼ばれ、配線検査、オープンショート検査、誤配線検査とも呼ばれます。

導通検査機には検査対象や機能によってさまざまな呼び方があります。ワイヤーハーネスの検査に特化したハーネスチェッカー、ケーブル検査用のケーブルチェッカー、配線検査用のワイヤリングチェッカーなどがあります。またチェッカーの代わりに検査機、テスター、試験器という言葉を使用することもあります。

導通検査機は電気製品の安全性と信頼性を確保するために重要な役割を果たしています。高度な品質管理が求められる製造現場において、効率的な検査と品質保証を支える不可欠な装置です。

導通検査機の使用用途

導通検査機は電気製品の品質管理、安全性確保などの用途で使用されます。主な用途を示します。

  1. 各種回路配線における断線、短絡、誤配線の検出
  2. 耐電圧・絶縁・抵抗検査前後の検査品装着確認
  3. 制御盤内の端子台とケーブルの回路状態確認
  4. 電気製品の製造工程および保守点検における配線検証
  5. 自作回路の通電状態確認
  6. トランジスタやダイオードを含む回路の配線状態検証
  7. 抵抗値測定や絶縁抵抗検査などの包括的な電気回路検査 (高機能タイプ)

導通検査機の原理

導通検査機は検査対象の回路に50V以下の低電圧を印加し、電流が流れるかどうかを確認します。これにより各種配線の不良を迅速に検出できます。検査結果は通常、ブザー音やランプの点灯、LCD画面への表示などで確認できます。

高機能な導通検査機は以下のような追加機能も備えています。

1. 瞬間断線検査 

振動や衝撃を与えた状態で検査を行い、わずかな接触不良や断線を検出します。通常の導通検査では発見できない一時的な断線も見つけることができます。

2. 耐電圧検査 

異なる端子間に高電圧を印加し、放電が発生しないかを確認します。特に多芯ケーブルの圧接加工部やコンタクトピン間、はんだ加工部のピン間などで発生する絶縁不良を検出できます。

3. 絶縁抵抗検査 

端子間の絶縁抵抗値が品質保証条件の設定値以上であるかを確認します。はんだフラックスなどの不純物、絶縁体の材質、湿度などの影響で変化する絶縁抵抗を測定します。

導通検査機の種類

導通検査機には、用途や機能によってさまざまな種類があります。導通検査機の選定では検査対象の種類や数、検査項目、自動化の必要性、携帯性の要否などを考慮することが重要です。

1. 単機能テスター

導通試験に特化した基本的な検査機です。操作が簡単で、一般的な導通確認作業に適しています。小規模な検査や日常的なメンテナンス作業に適しています。

2. 自動回路試験器

ワイヤーハーネスの導通検査や絶縁検査を完全自動化した装置です。カスタマイズ性が高く、ユーザーの要望に応じた検査が可能です。品質向上と検査工数の削減を実現します。大量生産ラインでの使用に最適です。

3. 携帯型導通チェッカー

ハンディタイプで持ち運びが容易な検査機です。長尺電線束の導通チェックにも対応し、判定抵抗を可変できる機種もあります。大音量のブザーとランプ点灯で導通を知らせます。現場での検査作業に適しています。

4. 複合タイプ検査機

導通検査に加えて、耐電圧試験、絶縁抵抗試験、アース導通試験など、複数の試験機能を1台に統合しています。タッチパネルやアイコン表示により操作性を向上させた機種もあります。省スペースでコスト効率の良い検査が可能です。多様な検査項目が必要な場合に選択します。

5. 専用導通チェッカー

特定の用途に特化した検査機です。制御盤内の端子台の回路チェックやケーブルの断線チェックに最適化された機種などがあります。例えば自動車業界向けの専用機では、車載用ワイヤーハーネスの品質検査に特化した機能を備え、複雑な配線の検査を正確かつ効率的に行うことができます。

参考文献
https://ushiyama.co.jp/shop/user_data/wp
https://www.monotaro.com/p/7609/6946/
http://www.nextcorp.co.jp/original/download.html
http://www.nextcorp.co.jp/original/pdf/MTP-1000W190214.pdf

導電シート

導電シートとは

導電シートとは、電気を伝導する材料で作られた薄いシート状の製品です。

導電シートは柔軟性があり、薄くて軽量なため、さまざまな形状や曲面に適応することが可能です。また、導電性を持っているので、電気信号の伝送や接続を行うことができます。

さらに、導電シートは電磁波のシールド効果を持つことがあります。周囲からの電磁波の影響を減少させるため、電子機器の信号の安定性を保つのに役立ちます。

導電シートの使用用途

導電シートは、さまざまな使用用途において活用されています。以下は導電シートの使用用途一例です。

1. 半導体製品

半導体製品の内部にも使用されています。一例としては、タッチパネル技術などです。タッチセンサーやマルチタッチパネルに使用され、指やペンの入力を検知することが可能です。

また、導電シートは液晶ディスプレイのバックライトにも使用されます。バックライトの光源となる発光ダイオード (LED) の電気供給や配線に利用されることが多いです。

2. 製造設備

電子基板製品の製造工場や半導体デバイス製造工場のクリーンルームなどで使用されます。これらの工場において作業者が静電気を帯びて半導体デバイスに触れた場合、電流が流れて故障させる危険があります。導電シートを使用することで、この現象を防止できる場合も多いです。

3. 研究開発

導電シートは、エレクトロニクスの研究開発においても幅広く活用されています。新しいデバイスやセンサーの開発、柔軟な電子機器の実現などにおいて、導電シートは重要な役割を果たしています。

導電シートの原理

導電シートは、電気伝導性の高い材料が微細な粒子や繊維の形態で均一に分散された構造を持っています。これにより、電子が導電シート内を自由に伝播することが可能です。導電シートには導電性の高い材料が使用されます。

材料は、銀や銅などの金属やカーボンナノチューブ、導電性インクなどが一般的です。これらの材料は、電気を伝導するための自由電子を持っているため導電性です。また、帯電防止樹脂を使用した製品やゴムシートに導電性粉末を塗った製品も販売されています。

さらには、ベースのシートの生地が布製の場合、この布の中に導電性の糸を織り込んで作られた製品も多いです。特殊素材を使用した一部の製品では柔軟性が低下する場合があるため、他の柔軟性のあるシートと貼り合わせて使用することもあります。

導電シートが汚れた場合は、洗剤で洗浄します。洗剤に含まれる界面活性剤が作用して、ゴミやチリを取り除くとともに導電シート表面の抵抗値を下げる効果があります。この効果により、導電シートの本来の効力を復活させることが可能です。 

導電シートの種類

導電シートにはいくつかの種類があります。以下は導電シートの種類一例です。

1. 金属導電シート

金属 (主に銅やアルミニウム) を主成分とする導電性材料から作られた導電シートです。高い電気伝導性を持ち、電気回路や接点の接続に使用されます。金属導電シートは耐久性があり、高温環境にも耐えることが可能です。

2. カーボン導電シート

炭素を主成分とする導電性材料から作られた導電シートです。カーボンナノチューブやグラファイトを使用したものがあります。柔軟性があり、曲げや形状変化に対応できるため、フレキシブルな電子機器やタッチパネルなどに使用されます。

3. 導電性インク導電シート

導電性インクを使用して作られた導電シートです。導電性インクは、導電性粒子や導電性ポリマーをインクの媒体に分散させた製品です。導電性インクは印刷技術によってパターン化された導電パターンや接点を作成するために使用されます。

4. 繊維導電シート

導電性繊維が使用された導電シートです。導電性繊維は金属繊維やカーボン繊維などが主な素材です。繊維の柔軟性により、衣料品やテキスタイル製品に組み込むことができます。快適な装着感と導電性を両立させることが可能です。したがって、ウェアラブルデバイスやスマートデバイスなどに利用されます。

参考文献
https://www.sunplastic.jp/?cn=100023

導電テープ

導電テープとは

導電テープとは、導電性を持たせたテープのことです。

アルミ箔や銅箔を材質としたり、粘着層に金属粒子などのフィラーを導入した粘着テープであり電気抵抗が小さいという特徴があります。さまざまな種類が存在するため、強度や柔軟性、粘着面は片面でよいのか両面必要なのか、用途に応じて適切な導電テープを選択することが重要です。

基本的には外部からの電磁波ノイズや静電気ノイズから機器を保護する目的で使用されます。ノイズ発生源に近い場所や半導体デバイスの表面に貼り付けます。

導電テープの一端と機器のアースラインを電気的に直結することで、外部からのノイズは導電テープで吸収され、アースラインを経由して放電されるため機器が保護されます。

導電テープの使用用途

1. 静電気 / 電磁波シールド

導電テープによる部品の保護

図1. 導電テープによる部品の保護

工場において作業者が静電気で帯電した状態で製品に触れた場合、製品内部の電子基板上の半導体部品にダメージを与え、最悪の場合、一部破壊してしまう可能性があります。

このような事態を回避するためには、工場内において導電マットを敷くなどの対策を行うことが効果的です。製品の筐体の表面から作業台上の導電マットに静電気が流れ、地面に放電されます。

しかし、静電気の機器への混入ルートによっては、製品の中のプリント基板まで静電気が到達してしまうこともあります。この場合は導電マットのみでは不十分で、基板上での対策が必要となります。ここで個々の部品を保護するために導電テープが使用されます。図1のように、保護したい部品を導電テープでシールドしアースラインとつなげることで、部品に静電気が流れるのを防ぐことが可能です。

2. 配電の安全対策

発電所で発電した電気を事業所や家庭に届ける配電の場面でも、安全対策のため導電テープが用いられています。基本的に電気を絶縁するために絶縁テープをケーブルに巻き付けていますが、抵抗のやや高い半導電テープも併せて用いられます。

ケーブルの中には導電層が含まれるため、ケーブル接続時にケーブルを切ったまま放置すると導電層の特定箇所に電界が集中し、ケーブルの絶縁破壊につながる恐れがあります。導電層に半導電テープを巻き付けると、この電界ストレスを緩和することが可能です。

3. 分析用途

分析用途に使われる導電テープ

図2. SEMで用いられる導電テープの役割

研究開発用途で汎用的に用いられる走査型電子顕微鏡 (SEM) や透過型電子顕微鏡 (TEM) で試料を観察する際、試料に導電性を持たせる必要があります。観察の際に試料に照射した電子の逃げ道を作らないと試料が帯電 (チャージアップ) してしまい観察が難しくなるため、試料を観察台に設置する際には両面の導電テープが用いられます。

導電テープの原理

導電テープの構造の例

図3. 導電テープ構造の原理

導電テープは粘着テープと同様に、基材と粘着剤で構成されています。導電性を持たせるために、エンボス加工した金属箔に接着剤を塗布する方法や、粘着剤中に金属粒子を分散させる方法などが取られます。

基材については、金属箔だけでなく柔軟性に優れた導電性繊維が用いられることもあります。装置の可動部分や狭い部分にテープを貼り付ける場合は、導電性繊維を用いたテープがよく用いられます。

導電テープのその他情報

静電気ノイズの対策

導電シートや導電テープは静電気の発生による機器の損傷を回避する目的で使われますが、工場などにおける静電気の発生は深刻な問題です。静電気で内部基板上の部品が破壊され、気づかないまま出荷されてしまった場合はユーザからのクレームにつながる可能性があります。

このような事態を回避するためには、導電テープによる局所的な対策だけでなく、以下のような工場全体の取り組みが重要になります。

  1. 工場内の湿度の向上
    湿度を上げて一定の湿度で工場内を管理することで、機器類の表面の電気抵抗を下げることができます。
  2. アース接続が可能なワイヤの用意
    作業する人間の手首などをアースと接続できるようなワイヤを用意することで、作業者への静電気の発生を防ぐことができます。
  3. 導電シートを敷く
    仮に作業者が帯電してしまっても導電シートを経由してアースに静電気を逃がすことが可能です。
  4. 機器に導電テープを貼り付ける
    ノイズ混入経路の入り口付近や半導体デバイスの表面に導電テープを貼り付けることで機器を保護します。

参考文献
https://tape-omakase-navi.com/trouble_list_5_2
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/283/
https://detail-infomation.com/electrostatic-conductive-mat/