ころ軸受

ころ軸受とは

ころ軸受

ころ軸受とは、転がり軸受の一種で、転動体にころを使用した軸受のことです。

転動体とは、内輪と外輪 (軌道輪) 又は軌道盤の間を回転するベアリングの部品を指します。転がり軸受で最も多く使われている玉軸受ですが、転動体に玉ではなく、ころ (円筒形状の部品) を使用している点が大きく異なります。

ころ軸受は、大きな荷重を受ける回転軸を支持するための軸受です。後述する内外輪や軌道盤と転動体との接触では、玉軸受が点接触であるのに対して、ころ軸受では線接触になります。点から線へと接触部分が増えるので、より大きな荷重を支持することが可能です。 

ころ軸受の使用用途

ころ軸受は様々な産業機械に組み込まれています。具体的な使用用途は、自動車、鉄道車両、航空機、建設機械、風力発電機、産業ロボット等における回転部分です。

ころ軸受は玉軸受よりも支えられる荷重は大きく、支持剛性も高まります。一方で、回転性能では玉軸受の方が有利です。支える荷重が低く高回転が必要な場合には、玉軸受の方が転がり抵抗を低く抑えることができます。このような特徴を活かし、産業用機械のギアボックスなどに使用されることが多いです。

自動車や産業用機械では、はす歯歯車が多く使われており、歯車の歯が回転軸に対して斜めに並んでいることで、音や振動を低く抑えられます。しかし、歯車が斜めであることによって、3つの方向に大きな力が作用します。このような軸を支えるために、ころ軸受が使用されています。

ころ軸受の原理

ころ軸受には大きく分けて、ラジアルころ軸受とスラストころ軸受の2種類があります。それぞれ構造が異なりますが、原理は同じです。

ころが挟まれる2つの部品の間で、ころが転がることで、回転軸に発生する大きな荷重を受けながら、滑らかに回転できます。各部品の表面は硬く凹凸が少ない、つまり表面粗さが小さくなるように仕上げられています。一般的に、熱処理された合金鋼が使用される場合が多いです。

ころ軸受の構造

1. ラジアルラジアルころ軸受

内輪、外輪、ころ、リテーナから構成されます。内輪の外径面 (軌道面) と外輪の内径面 (軌道面) との間にころが配置されます。ころを等しい間隔に保持し、ころ同士が接触することで、摩擦が過大になるのを防ぐためにリテーナが配置されます。

2. スラストころ軸受

2つの軌道盤の間に、ころとリテーナが挟まれた構造になっています。3つの部品が一体になっていたり、ころとリテーナがどちらかの軌道盤と一体になったもの、全てが別体のものなどがあります。一体構造なのか別体構造なのかは、組み付け性などを考慮して決められます。

ころ軸受の種類

ころ軸受には、ラジアルころ軸受とスラストころ軸受以外にもいくつかの種類があります。タイプ別に分類すると、外部から潤滑して使う開放タイプと、グリースが軸受内部に封入している密封タイプがあります。

各ころがり面を適切な潤滑状態とすることで、各軌道面ところの外径面に油膜が存在しながら転がり運動をし続けます。そのため、高負荷かつ高速回転の運転条件下であっても、摩擦抵抗が小さく、滑らかに長時間の運転が可能です。

ころの形状によって分類する場合は、以下の4つに分けることができます。

1. 円筒ころ軸受

円筒ころ軸受は、ころがシンプルな円筒形状をしています。ラジアルころ軸受ならラジアル荷重だけを支え、スラストころ軸受であればスラスト荷重のみを支えます。

2. 針状ころ軸受

針状ころ軸受は、ころが針のように細長いころ軸受です。ニードルベアリングなどとも呼ばれます。ころ軸受の一種でJISやISOの規定もありますが、一般的にはその規定範囲から外れるものもニードルベアリングと呼ばれます。

3. 円すいころ軸受

円すいころ軸受は、主にラジアルころ軸受として使われます。テーパーローラーベアリングなどとも呼ばれます。転動体が円錐形状であるため、軸に対して垂直方向の負荷と、方向が決まっている軸方向の負荷を支持することができます。

2列以上で使用することで、軸方向で負荷の方向がどちらの方向であっても軸方向の負荷を支持することが可能で、高いモーメント荷重も受けることができます。はす歯歯車の支持でよく使われます。

4. 自動調心ころ軸受

自動調心ころ軸受は転動体が、たる形状 (円筒形状の中央が凸の形状) になっています。さらに、外輪軌道輪が凹形状で、内輪軌道輪にころが沿った位置関係の時に、転動体の外接形状が外輪軌道輪に沿う凸形状になっています。

したがって、外輪と内輪との回転中心が傾いても、傾きを許容することが可能です。軸に対して垂直方向の負荷と、両方向の軸方向の負荷を支えることができます。

ころ軸受のその他情報

ころ軸受を使用する上での注意点

ころ軸受は特に、大きな荷重を支えたい回転軸に用いられます。使用する際は、内外輪や軌道盤に十分な剛性を確保することが重要です。

また、これら部品を支えるハウジングの受け面にも十分な剛性を確保する必要があります。ころが転がる面の剛性が低いと、ころが設計したとおりの線接触ができず、局部的な接触が発生するためです。その場合、接触面圧が高くなり、設計の予想よりも早く寿命を迎えてしまうことがあります。

さらに、十分な潤滑を確保すること、潤滑により十分な冷却効果が得られるようにすること、潤滑油を含む使用環境中に鉄粉などの異物が含まれないよう、オイルフィルターやマグネットで除去することも重要です。

参考文献
https://koyo.jtekt.co.jp/assets/file/pdf/catb2001_a.pdf
https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/pdf/2203.pdf

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