スターラーとは
スターラーとは溶液を撹拌させるための装置で、一般には装置本体の磁力変化によって装置上の溶液に入った撹拌子を回転させるマグネチックスターラーのことを指します。スターラーの種類は多種多様であり、試験管やフラスコ、ビーカーなど実験で用いる容器の形状やサイズ、撹拌する溶液の粘度、加熱の有無などの実験条件から適切な装置を選定する必要があります。
また、スターラー本体だけではなく撹拌子の形状、材質も多種多様です。撹拌子を選ぶ際も溶液中の沈殿物の有無や撹拌中のコンタミ抑制の必要性、溶液の粘度や容器の形状などの観点から適切なものの選定が必要です。
スターラーの使用用途
スターラーは水や有機溶媒などの各種溶液を撹拌するために使用する装置です。スターラーの種類としては、撹拌子を用いて撹拌する「マグネチックスターラー」と装置本体につながった撹拌翼を用いて撹拌する「撹拌機」があります。この記事ではマグネチックスターラーに絞って説明します。
スターラーは装置本体や撹拌子の種類を変えることで試験管、ビーカー、フラスコなど様々な器具に入れた溶液の撹拌に使用可能で、化学、生物を中心とした幅広い実験作業で用いられます。また1つの装置で複数の試料を撹拌できる多連式のスターラーや、撹拌中の加熱が可能なホットプレートと一体になったスターラーもあります。
スターラーの原理
一般的なマグネチックスターラーは装置本体にモーターと磁石が入っており、磁石を回転させることで装置の上に置いた撹拌子を回転させます。通常、スターラーの磁石にはフェライト磁石が使われますが、磁力が強いネオジム磁石や加熱しても磁力が落ちないサマリウムコバルト磁石が使われることもあります。
また磁石とモーターを用いる代わりに、コイルへ電気を流すことで生じる磁場を利用した電磁誘導式スターラー(電磁スターラー)もあります。電磁スターラーは内部磁石の劣化による性能低下がない、本体が薄いなどの特徴があります。
スターラーと撹拌子の種類
容量や回転数、サイズ、撹拌点の数、ホットプレートの有無などが異なる様々なスターラーが販売されています。ご自身の実験において用いる容器のサイズ、形状、溶液の粘度(撹拌しやすいか否か)、加熱が必要か否か、費用などの観点から適切な装置を選定する必要があります。
図1. スターラーと攪拌子の主な仕様
スターラーだけではなく、様々な形状、サイズの撹拌子も販売されています。代表的なものとして標準的なシリンダ型、回転数や容器形状の影響を受けにくいラグビーボール型、沈殿物を分散させる十字型の撹拌子などが挙げられます。
なお、撹拌子の外装には耐薬品性が高いPTFE樹脂が一般的に使われていますが、回転中の摩耗によってサンプルへの汚染 (コンタミ) が生じる可能性があります。コンタミを防ぎたい場合はPVDFやPEEKから作られた撹拌子を使います。