ロボットケーブル

ロボットケーブルとは

ロボットケーブル

ロボットケーブルとは、ロボットアームや産業用ロボットへ電力・信号を伝えるためのケーブルです。

汎用ケーブルと比べて、繰り返し曲げ・ねじれの耐久性が非常に高いことが特徴です。様々な製品のケーブルが発売されており、大電流に対応する製品や、径が小さい製品、電源線と信号線を一本のケーブルに束ねた製品などがあります。

ロボットケーブルの使用用途

ロボットケーブル

図1. ロボットケーブルの使用用途

ロボットケーブルは、ロボットコントローラとロボットアーム(マニピュレータ部)をつなぐ部分や、ロボットアームの内部などで使用されます。ロボットアームが使用される業界としては、自動車、精密機器、家電、機械部品など多岐に渡ります。選定する際は、使用するロボットの動作から繰り返しの曲げ・ねじれの度合いや回数が生じるかを分析し、その要求を満たす製品を購入する必要があります。

また、サイズ (直径・長さ) や電流・電圧、信号の伝送速度、対ノイズ性能などの仕様も考慮する必要があります。

ロボットケーブルの原理

ロボットケーブルの構造

図2. ロボットケーブルの構造

ロボットケーブルは絶縁膜で覆われた導線が複数の束になっており、その周りを遮蔽テープと外膜で覆われています。

4芯のロボットケーブルの構成要素は次のような役割があります。

  • 導体:電流や信号を伝える銅線です。
  • 絶縁体:導体に流れる電流が外に漏れないように絶縁する被膜です。
  • 遮蔽テープ:一本一本の電線を束ねるテープです。
  • シールド:外部からのノイズを防ぐ部分で、やアルミのジャケット状のものです。
  • 外皮 (シース) :外傷や油などからケーブルを保護をするための外膜です。

ロボットケーブルの接続箇所は、一方の接続端子はロボットコントローラ、もう一方の接続端子はロボットの動作部になります。ロボットコントローラからの信号や電流をロボットへ伝達することでロボットを動作させます。

ロボットアームの動きに応じて頻繁に屈曲するので、疲労強度や耐摩耗性の要求が高くなります。疲労強度を高めるために耐久性の高い素材 (PVCなど) を使用したり、耐摩耗性を高めるために特殊加工のビニルやフッ素樹脂などのコーティングを使用します。

ロボットケーブルのその他情報

1. ロボットケーブルの規格

ロボットケーブルの規格は国ごとに異なるため、ロボットケーブルメーカーはそれぞれの国に合わせて規格を遵守しています。
各国のロボットケーブルの規格の例を以下の通りです。

日本
電気用品安全法 (PSE) 、JIS規格 / JCS規格で定められています。PSEとは、電気用品安全法の基準に適合した規格で、電線の絶縁性や耐燃性などの安全性について規定されています。JIS規格 / JCS規格は、ケーブル製品の標準化を目的とした規格です。

中国
中国強制認証 (CCC) という規格で、中国国内で販売される製品の安全性、EMC、環境保護などの認証規格です。中国で製品を販売するためにはこのCCCが必須です。

EU
CEマーキングという規格で、取得するとEU加盟国27カ国とEFTA加盟国4ヵ国の合わせて31ヵ国での販売が可能になります。

ドイツ
テュフ認証 (TÜV) というドイツの民間企業であるテュフラインランド社によって定められている製品安全規格です。

アメリカ
UL認証というアメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.)によって定められている製品安全規格です。取得自体は任意ですが、アメリカで販売される製品のほとんどが取得しているため、事実上必須と言える認証です。

カナダ
CSA認証というThe Canadian Standard Assosiationによって定められた製品規格です。アメリカ同様取得は任意ですが、運用上取得しなければ販売できません。CSA認証を取得していた場合、アメリカではUL認証同等のテスト基準をクリアした製品とみなされます。

2. ロボットケーブルの断線対策

ロボットケーブルの断線対策

図3. ロボットケーブルの断線対策

上図のようなロボット走行軸の上にロボットを設置する場合は、走行軸の可動部にケーブルが巻き込まれて断線するケースが考えられます。

その対策として、ロボットケーブルを保護するケーブルベヤを設置します。ケーブルベヤとは、ロボットケーブルやエアホースなどを収納するラックのようなものです。これによって、移動する装置と固定端間のケーブル・ホースを確実に支持案内し、可動部の巻き込みを防止できます。ケーブルベヤ屈曲部は一定の半径で一方向にのみ曲がるような構造になっています。

参考文献
https://www.taiyocable.com/product/robotcable/difference_robot_general/
https://www.okidensen.co.jp/jp/prod/cable/robot/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です