吸着盤

吸着盤とは吸着盤

吸着盤は、ゴム等の吸着性を利用して一時的に吸着できる器具です。

サクションリフター、バキュームリフターなどとも呼ばれています。吸着盤を利用すると、冷蔵庫や家具といった取っ手のない重量のあるものに吸着させて、持ち運びやすくすることができます。家庭であれば引っ越しなどで活躍します。

ワンタッチの吸着盤では小さいものでも25㎏程度の重量の持ち上げができます。真空ポンプがついている吸着盤はさらに吸着する力が強く、200㎏程度まで持ち上げることが出来る製品もあります。

吸着盤の使用用途

吸着盤は平らな面に取り付けることができるので、重量があって持ち運びにくい対象を運搬する用途で使用されています。吸着盤に持ち手をついているので、自分が持ちやすい位置に付けて安定させて運べます。

畳程度の大きさのガラスなども、吸着盤を取り付けて運びやすくできます。また、家具や冷蔵庫、機械、金属板など表面がつるつるしている場合には使用できます。表面に凹凸があるため、段ボールや布などには取り付けられません。

吸着盤の原理

吸着盤は主にアルミやABS製の持ち手と、ゴムパッドで構成されています。円形のゴムパッドを対象の表面に平らに接触させます。レバーやピストンの操作で、空気を吸って圧力を下げることにより吸着します。バキュームポンプがついている製品は吸着力が強いです。製品により最大吸着能力が異なるので、確認してから使用します。吸着盤が二つに分かれているダブルタイプと一つのシングルタイプがあり、ダブルタイプのほうが最大吸着能力が大きいです。

パッドの表面にごみや油などがついていたり、傷があると吸着力が落ちてしまいます。ゴムが劣化していると吸着力が落ちてしまいますので、ゴムパッドは定期的に交換し、メンテナンスします。

また、吸着部分に多孔質カーボン素材を使用して大型ガラスを密着させる吸着盤もあります。多孔質カーボンの外側から真空ポンプで吸い上げて圧力を下げることにより、大型のガラスを吸着しています。多孔質のカーボンは、穴が均等に開いているので吸着力に偏りがなく、安定して幅広い範囲で吸着することができます。

参考文献
https://www.esco-net.com/wcs/escort/ItemFile/EA9/EA950/EA950CD/EA950CD_MNL_JPN_PDF_OUT(01).pdf
https://www.weblio.jp/content/%E5%90%B8%E7%9D%80%E7%9B%A4
https://www.giya-man.com/column/14/

可とう管

可とう管とは

可とう管

可とう管とは自由に曲げ、機器に接続できる管です。ガス配管に使用される鋼管の一種です。

ガス配管の代表的な鋼管には可とう管の他に強化ガスホース・ソフトコード・ガスコードが挙げられます。ガス器具により組み合わせが異なり、可とう管は瞬間湯沸器・ガス給湯器・ビルトインコンロ、強化ガスホースはガス給湯器・ガスヒートポンプ・瞬間湯沸器、ソフトコードはガス炊飯器・テーブルコンロ、ガスコードはガス炊飯器・衣類乾燥機・ガスファンヒーターと組み合わせられます。

可とう管の使用用途

瞬間湯沸器・ガス給湯器・ビルトインコンロなどガス機器とガス栓の接続に使用されています。可とう管はガスによって種類分けされており、都市ガスには金属可とう管、プロパンガスには金属フレキシブルホースによる配管が定番となっています。

平成9年5月1日から瞬間湯沸器・ふろがま・ストーブのガス取入部の構造はゴム管口が廃止になり、瞬間湯沸器・ふろがまはねじ接続、ストーブはねじ接続または迅速継手となったため可とう管が使用されています。

可とう管の原理

管を自由に曲げることができるため、機器との接続に柔軟性・復元性がある。

チューブの材質はかSUS304であり、外装カバーの有無は耐食性に影響します。

継手全体が一体構造となっているため、金属継手と比べて止水性に優れています。

ゴムでできているものは短い面間寸法であっても大きな変位に対応でき、地震の繰り返しなどによる変位にも対応できます。電気絶縁性に優れているため、機器から発生する騒音・振動を吸収します。金属継手と比べて軽量かつ取扱が容易です。使用用途に合わせて内面ゴムの材質を選択できます。補強布や補強リングをつけることで耐久性に優れた構造になります。温度変化による膨張収縮から配管を守ります。耐候性に優れた特殊合成ゴムで本体をカバーしているため、長期間の使用にも耐えられます。

本体は強靱な鋼線と合成繊維により補強されているため、耐圧性能に優れています。

内部のアーチ構造は建屋間の配管の接続等によって発生する不等沈下の吸収に貢献します。面間寸法も短いことから、設計の自由度が高くなります。

参考文献
http://www.hachiken.com/products/k/index.html

制御盤キャビネット

制御盤キャビネットとは

制御盤キャビネット

制御盤キャビネットとは、産業用機械設備を制御するための部品や電気機器を収納する箱です。

材質には金属や合成樹脂が使用され、周辺環境から制御機器を保護することを目的に設置されます。制御機器と制御盤キャビネットを合わせて制御盤と呼びます。

内部に収納されている機器の例として、配線用遮断器または漏電遮断器・電磁開閉器シーケンサなどが挙げられます。一般的に開閉のためのドアがあり、錆・腐食・塩害などを防止するため紛体塗装や焼付塗装が施されます。収納方式によりユニット形、集合形に分けられます。

制御盤キャビネットの使用用途

制御盤キャビネットは主に産業において使用されます。以下は制御盤キャビネットの使用例です。

  • エレベータの制御機器保護用
  • 空調装置の制御機器保護用
  • 消火ポンプの駆動装置保護用
  • 自動搬送装置の制御装置収納用

制御・駆動装置には電子部品や精密機器が使用されているため、埃やゴミなどから保護する必要があります。制御盤キャビネットは、それらの有害要因から制御・駆動装置を隔離するために使用されます。屋外に設置する場合も多く、防水・防塵に優れた屋外用制御盤キャビネットも販売されています。

制御盤キャビネットの原理

制御盤キャビネットの材質は合成樹脂や金属です。一般的には金属製の製品を使用される場合が多く、制御盤を安価に製作したい場合に合成樹脂製が検討されます。金属製制御盤キャビネットのラインナップはほとんどが鉄製です。ただし、対候性を高めるためにステンレスを使用した製品も販売されています。

鉄製の制御盤キャビネットは多くの場合、塗装が施されて販売されています。塗装の目的は発錆または腐食の防止であり、エポキシ樹脂などで下塗した後にポリエステル樹脂で上塗している製品が一般的です。塗装色はライトベージュ色 (マンセル記号:5Y7/1) またはクリーム色 (マンセル記号:2.5Y9/1) が標準色です。

ただし、指定をすれば塗装色を変更することできます。また、塗装の艶は艶あり・半艶・艶なしなどを選択して購入することも可能です。制御盤キャビネットは内部に基板を付属して販売される場合が多くあります。基板とは制御装置を取り付けるための板であり、木製と鉄製を選択可能です。基板にはインバーターや電磁開閉器などの駆動装置、シーケンサやリレーなどの制御装置を取り付けます。

駆動装置や制御装置は電気・電子部品のため、ほとんどの製品は発熱します。制御盤キャビネット内に熱がこもると装置が故障する危険があるため、熱対策としてクーラーやファンなどを設置する場合もあります。制御盤キャビネットの盤面に開口を開けることで、表示灯・メーター・スイッチなどの表示部品や操作部品を取り付け可能です。

制御盤キャビネットのその他情報

1. 両開きのキャビネット

制御盤キャビネットの前面扉は、両開きの製品と片開きの製品があります。メーカーにもよりますが、一般的には600mm×600mm以上のサイズになると両開き扉が採用されます。両開きの制御盤キャビネットはサイズの関係から、主に自立盤などに使用されます。

2. 自立制御盤キャビネット

自立制御盤専用のキャビネットは各メーカーから販売されています。キャビネットを固定するためのアンカーボルト設置用の基台があることが特徴です。また、キャビネット内の側面に配線ダクトなどを設置するためにバーなどがついている点も特徴の一つです。

3. 制御盤キャビネットと関係する法規や規格

制御盤キャビネットは産業用の電気関係製品です。したがって、以下のような法規と関係があります。

  • 電気事業法
  • 電気工事業の営業の適正化に関する法律
  • 電気用品安全法
  • 労働安全衛生法
  • 工業標準化法

また、産業・工業における規格を遵守した商品が販売されています。以下は遵守される規格の一例です。

  • 日本工業規格 (JIS)
  • 電気学会電気規格調査会標準規格 (JEC)
  • 日本電機工業会規格 (JEM)

参考文献
https://metoree.com/categories/control-console/
http://www.jsia.or.jp/mamechishiki/seigyoban/
http://www.jsia.or.jp/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/222000237086/
https://www.nito.co.jp/products/enclosures/
https://electric-facilities.jp/denki4/douryoku.html

分離槽

分離槽とは

分離槽は、主に油と水を分離するための槽です。

グリーストラップやガソリントラップとも呼ばれます。基本的には油と水との比重の違いを利用して分離します。比重の違いにより油が水に対して浮かんでくるので、浮かんできた油を吸着マットなどを利用して吸着しています。また、槽を遮蔽板で区切って順に通すことで、異物等も除去しながら徐々に油の量を減らしていくことができます。

使用していくとどうしても汚れが溜まっていくので、定期的なメンテナンスが重要です。

分離槽の使用用途

分離槽は、排水に含まれる油分と水分を分離する用途で使用されています。近年、環境破壊に対する意識や法律の整備が進み、油水分離槽は油が流出する可能性のある各所で導入されています。とくに自動車工場、自動車整備工場、ガソリンスタンド、洗車場など自動車関連の作業が行われる場所で広く利用されています。

また、油分を下水道に流出させる可能性のある飲食店の厨房等でも、下水道法の適用により油水分離槽の設置が義務づけられています。

分離槽の原理

分離槽として、油分と水分を分離する油水分離槽の原理について説明します。油水分離槽は、油よりも水の方が比重が高いので沈む性質を利用して分離しています。

油水分離槽の内部は、遮蔽板で4つ程度に仕切られています。まず始めはダストトラップを通過して、隣の槽に移るようになっています。ダストトラップではごみや異物を除去して、槽内に余分なごみが溜まりにくい構造になっています。

区切られた槽の上部は吸着マットを通るようになっていて、上に浮いた油分が吸着されます。また、槽と槽の間は遮蔽板と管を通って流れるようになっていて、効率的に分離ができるよう互い違いに配置しています。最後の槽にはオイルチェッカーを配置して、油分の残りがないかを確認してから排水する製品が多いです。

分離槽を定期的に清掃しないと泥やごみが溜まり、分離機能が正常に働かず、浄化されない可能性があります。

分離槽内がFRPでできている製品は特に耐食性があり、加工しやすいので、取り付けが容易です。

参考文献
https://asenthy.com/news/1013.html
http://www.hana-ken.co.jp/hanazawa_yusui.html

分光放射計

分光放射計とは

分光放射計

分光放射計 (分光放射輝度計) とは、物質が放射する光 (放射線) を分光して解析するための装置です。

さまざまな波長や周波数の光を分けて検出することにより、物質の成分や特性を調べることができます。一般に2組の光は、人間には同じ色に見えたとしても、波長ごとの放射輝度 (分光放射輝度) が異なります。

分光放射輝度が異なる2組の光源を用いると、ある2組の物体を照らしたときに同じ色に見えても、別の2組の物体を照らすと異なる色に見えます。こうした現象を防ぐためには、分光放射計を用いて分光放射輝度を測定することが不可欠です。

分光放射計の使用用途

分光放射計は、化学分析や材料研究、環境モニタリング、生命科学、天文学など、様々な分野で使用されます。化学分析の分野においては、物質の成分分析に使われ、例えば、溶液やガス中の元素や化合物の濃度測定や特性解析に使用されます。特に、光源を用いる製品であるディスプレイや照明の特性評価で利用されることが多いです。

概要で述べたとおり、「人間の目で見た色」のレベルではなく、「分光放射輝度」のレベルで光源を計測・再現することで、さまざまな状況下でも正確な色を再現できます。ディスプレイや照明においては赤・青・緑の三原色の光源を用いてフルカラーを表現します。

正確にフルカラーを表現するためには、三原色の光源を分光放射輝度のレベルで計測・再現し、三光源を適切に配分する必要があります。

分光放射計の特徴

分光放射計は、分光放射輝度という尺度で光を定量的に表します。分光放射計で計測する量は「分光放射輝度」です。単位はW/sr/m2/nm-1 (ワット毎ステラジアン毎平方メートル毎ナノメートル) です。

一般に、光源から放射される光には「強い光」や「弱い光」があります。この「強さ」を計測する尺度のうち、「放射輝度」は「平面から平行に放射される光の強さ」を念頭に置いた指標です。面積を考慮する「放射束 (単位W: ワット) 」に対し、面積や立体角を考慮しないのが「放射輝度 (単位W/sr/m2) 」です。

放射輝度は波長によって変化する特性があり、放射輝度を波長ごとに表現したものが「分光放射輝度」です。分光放射輝度を測定するためには、光源から放射された光を回折格子で波長ごとに分解 (分光) し、分光された光をそれぞれセンサーで受光します。さらに、受光した光を電気信号に変換し、分光放射輝度を求めます。

多くの分光放射計には演算装置が付属し、輝度 (放射輝度とは異なる) ・三刺激値XYZ・色度座標xyなどの数値を計算可能です。

分光放射計の種類

具体的な分光放射計の種類には、以下のようなものがあります。

1. 分光光度計

物質が吸収する特定の波長の光を測定し、その光の吸光度 (吸光量) を定量化するための装置です。分光光度計は、物質の濃度や反応の進行度などを分析するために広く使用されています。

2. 分光蛍光計

物質が吸収した光を励起し、再放射される蛍光光を測定するための装置です。分光蛍光計は、物質の特性や濃度を分析するために広く使用されています。

3. 分光赤外線分析装置

物質が吸収する赤外線のスペクトルを測定し、物質の組成や構造を解析するための装置です。分光赤外線分析装置は、化学分析や材料研究などの分野で広く使用されています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1917/61/7/61_7_376/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst1964/35/4/35_4_219/_pdf/-char/ja

仕口ダンパー

仕口ダンパーとは

仕口ダンパーとは、高分子材料の粘弾性体を鋼板間に挟んだ耐震補強装置です。

仕口は柱や梁の接合部のことを指し、円を4分割した扇形の形状をしています。梁仕口部や柱に取付けると強風や地震による木造の建物への荷重を吸収し、変形を抑制します。

従来の工法である耐力壁・緊結金物と比べて、耐震効果に優れています。軽量・コンパクトであるため、天井裏などの省スペースに取り付けられ、施工性に優れています。メンテナンスも不要で従来の工法と併用して補強可能です。

仕口ダンパーの使用用途

新築・リフォームに関わらず木造在来軸組構法を採用していれば、個人住宅から寺社仏閣まで幅広い用途で仕口ダンパーが使用されています。

強風や地震時に、建物の変形や揺れをすぐに抑制可能であるため、取り付けることで耐震性能が格段に向上します。通常の住宅の場合は取り付け個数は3.3平方メートルあたり1個が目安となり、取り付け工事費も低く抑えられます。

住宅の種類によって異なるタイプを使い分け可能です。一般的な木造住宅には15cmタイプ、新築住宅には20cmタイプ、社寺建築には30cmタイプが使用されます。

仕口ダンパーの原理

制振ダンパーは地震や強風時に建物が大きく変形する場所に設置可能です。柱や梁が伸び縮みしたり曲がったりすることによって建物の変形が生じるため、その部分に制振ダンパーを仕口に設置すると効果があります。仕口に設置する制振ダンパーを仕口ダンパーと呼び、実際には柱や梁の仕口に近い部分を繋ぐように設置可能です。

仕口ダンパーの工期は短く、一般的な住宅であれば1日で取り付けられます。一度取付けると日常の手入れは必要ありません。50年以上性能が持続できると、実験により確認されています。

15cmタイプの1個あたりの壁量を25cmとして、容易な方法でも補強計画を検討できます。また、耐震補強効果を定量的に評価できる解析手法・設計法を整備しており、要望に合わせた補強量を検討可能です。

仕口ダンパーの種類

仕口ダンパーは高分子材料を使用した粘弾性ダンパーです。高分子材料には、スチレン系、シリコン系、アクリル系のような粘弾性体が用いられています。

1個当たりの重さは2kg未満と軽量でコンパクトです。天井裏・屋根裏・床下など、省スペースに取り付けることも可能なほど施工性に優れており、専用の木ねじを使用して容易に取り付け可能です。

デザインの自由度も高く、和風建築に合うように日本の伝統色の黒色がよく使用され、つや消し仕上げが採用しされています。経年による木材の色彩変化や柱梁などの古色塗りに溶け込み、視界に入る場所に取り付けても気にならないように合わせられます。

仕口ダンパーの選び方

ほとんどの木造住宅では柱は建物の重さを支えるのみで、耐力壁と呼ばれる壁によって地震に抵抗しています。柱や梁などの木材の接合は困難なため、特殊な工法でなければ木造では実現できませんが、仕口ダンパーを設置すればエネルギーを吸収できます。

木造住宅とは異なり、鉄骨造や鉄筋コンクリート造では接合部が難しいです。鉄骨造用の仕口ダンパーもありますが、仕口ダンパーを設置するために自由に接合部が回転でき、元々力を負担できる部分を負担できないように変える必要があります。したがってあまり合理的ではありません。

仕口ダンパーの構造

仕口ダンパーの構造は、鋼板で粘弾性体がはさみ込まれています。粘弾性体、鋼板、完成品のそれぞれの製造過程で管理が必要です。達成すべき性能を確保するために、それぞれの製造過程で管理項目を規定して安定した製品を提供可能な体制を作ることが大切です。

仕口ダンパーを柱や梁の仕口部に取り付けて一定の強さを建物に与え、地震での揺れのエネルギーを吸収可能です。したがって変形や揺れを小さくするために役立ちます。

参考文献
http://www.kaneso.co.jp/seihin/KSD100QM.htm
https://www.ooki-kanamono.com/item/kk003/

ロールコータ

ロールコータとは

ロールコータ (英: roll coater) とは、フィルムなど平面形状のものにローラーを用いて塗布を行う機械です。

ロールコータは、塗料・接着剤・薬品などを均一に塗工します。また、スパッタ源やプラズマCVDを搭載しており、バリア膜・透明導電膜などを連続的かつ高速で成膜することが可能です。一般的にシートやフィルムなど薄い平面形状への塗布に限定されます。

技術の組み合わせによって用途は多種多様であり、さまざまなコーティング板厚・粘度を使い分けられます。そのため、光学・液晶製品・電子部材から薬品・食品まで使用分野は幅広いです。

ロールコータの使用用途

ロールコータは、タブレットやスマートフォンなどの高機能・薄型化と構成部品の高密度・小型化のための光学製品の機能性フィルムに使用されています。フィルムの種類は、光制御・反射防止・防眩・偏光・光拡散・画面保護・透明伝導性などです。

太陽電池や二次電池のフィルムにも使用されます。フィルムの種類として、反射板・遮光・加飾・放熱などが挙げられます。自動車・繊維・住宅・電子部品・半導体などには、薄膜コーティング技術が使用されています。

ロールコータの原理

ロールコータは、複数のローラを使用して、塗料・接着剤・薬品・導電膜・バリア膜・光学膜などをフィルムなどに塗布します。ロールは、「コータロール」「ドクターロール」「送りロール、」「ナイフロール」「ガイドロール」「グラビアロール」などさまざまな名称があります。

リニアベアリングを上ローラー部の昇降に使用することで、高精度かつ円滑な動作を長時間維持できます。開口高さは調整が可能です。短時間でロールの取り外し・組付けができる交換性に優れています。

ドクターロール開閉ハンドルは、左右一体なため、正確・迅速な塗布量の調節が可能です。各ロールは独立駆動方式となっており、成膜プロセスによって種類に分けられます。塗工量の計量・選定や塗工液の状態が、塗工前か塗工後かにより方式が分類され、複数の方式を組み合わせて使用することも可能です。

ロールコータの種類

ロールコータは、さまざまな方式が実用化されています。大きく分けると、ダイレクトロールコータとリバースロールコータがあります。また、塗工液が解放か、密閉化かにより分類できます。

1.  ダイレクトロールコータ

ロールの回転する方向とコート対象物の進行方向が同じ方式です。ナチュラルロールコータとも呼ばれます。塗られる対象物は、ゴムライニングしたコーティングロールとスチール製のバックアップロールの間から送り出されます。

2. リバースロールコータ

コート対象物の進行方向がロールの回転方向と逆方向の方式です。バックアップロールと呼ばれるローラによって送られてきた対象物の上に、コーティングロールが逆に回転して転がし塗りします。

リバースロールは、ダイレクトロールに比べて、一度に厚く塗ることができ、表面もきれいなので、下塗り等に広く用いられます。

3. 後計量塗工ロールコータ

後計量塗工方式は、塗工液を一旦余分に塗布した後、目的の量に掻き落とす方法です。ナイフコータやブレード付ロールコータなどと呼ばれ、ロールの形状と隙間を設定することにより、掻き落とす量と膜厚を決定します。

ロールコータのその他情報

1. 専用用途のロールコータ

スパッタロールコータ
スパッタロールコータは、スパッタリング法を用いて太陽電池・タッチパネル・ウィンドウフィルム・FPDなどに使用される金属膜・透明導電膜・光学膜を成膜します。

プラズマCVDロールコータ
プラズマCVDロールコータは、ローラ間で発生する放電を利用してシリカ膜を成膜し、有機EL・電子ペーパ・照明・太陽電池などに使用されるバリア性を実現します。

AIPロールコータ
AIPロールコータは、真空アーク放電を用いてターゲット材料を蒸発させることで、金属化合物膜を成膜します。

2. ロールコータの発展・動向

ロールコータの課題は、対象物の面積が大きいことから設備が大型で、段取り替えが大掛かりになることです。近年では、ローラーをカセットチェンジ式にして、塗工条件の変更に簡単に対応できるコータが出ています。

また、コータ装置が高度化・複雑化し、レーザ変位計やカメラ、センサ類を利用して、塗工面・設備・ワークの各状態の測定・状態監視・記録が可能なコータが望まれます。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/roll.jsp
https://www.kobelco.co.jp/products/function/rollcoater/

レベリング材

レベリング材とは

レベリング材

レベリング材 (英: leveling material) とは、コンクリート床の下地調整をする建材です。

少し粘度のある液体で、床面に流すと自らの流動性で平滑に広がる特徴があります。施工する際には、床面に流し込み、これをトンボなどで軽くならすだけです。

自らの流動性で床面に自然に水平に広がっていき、コンクリート床面表面を平滑な面とします。レベリング材を使用すれば施工が比較的容易な上、従来のコテ仕上げと同等以上の平滑な仕上げが可能です。

レベリング材の使用用途

レベリング材は、コンクリートの床の下地を調整する建材です。そのため、マンションやビル、学校や病院など人間が使用する施設のほか、フォークリフトなどの重量物を使用する工場や駐車場など重量物が移動する施設の床の下地の調整に有用です。

また、防水加工する床の下地調整にも好適であることから、水を多く使用する食品工場や厨房などの床の下地調整にも使用されています。さらに、タイルなどの張り物の施工や屋上防水塗装などを施工する前に、平滑な面を形成するべく下地調整として、新築工事・改修工事問わず使用されることもあります。

レベリング材の原理

レベリング材には、自らの流動性で平滑に流れる特性があるため、トンボやコテなどで軽くならすだけで、均一な平面を形成できるのが特徴です。なお、多くの床の工事では、下地調整をしたあとに、床仕上げ材を施工しています。表面が平滑でない場合、床仕上げ材施工後に光の反射により床の凹凸が目立ってしまいます。

以前は、モルタルがよく使用されていました。モルタルで下地調整をする場合は、水とセメントおよび砂を混練した後、職人が手作業で混練物を床に少しずつコテで塗布します。そのため、平滑性は職人の腕によるところが多く、品質にバラつきが生じやすい欠点がありました。

しかし、レベリング材ではトンボやコテなどで軽くならすだけで平滑な面を形成できるため、職人の熟練度に依存せずに平滑な下地を形成し、表面仕上げ材施工後も美しい表面を実現可能です。

レベリング材の種類

レベリング材は大きく分けると、石膏 (セッコウ) 系とセメント系があります。

1. 石膏 (セッコウ) 系

石膏には水和反応でわずかに膨張したのち、収縮しない特性があります。したがって、主成分が石膏の石膏系レベリング材には寸法安定性が高まり、浮きやクラックの発生が少なくなる効果があります。

2. セメント系

セメント系の品質基準は、日本建築学会の建築工事標準仕様書JASSにあるように圧縮強度、下地接着や表面接着の強度が、石膏系よりも高く設定されています。したがって、高強度の製品が多くあり、硬化後に水に強いことも特徴です。

レベリング材のその他情報

1. レベリング材の施工方法

下地処理
床表面を清掃して、砂やほこりなどを除きます。このとき、床の脆弱部分も取り除きます。また、材料が施工部以外に流れ出さないよう、施工箇所周辺の漏れ止めの処置は非常に重要です。この処置には、モルタルがよく利用されます。

次の工程は、床の表面と材料の接着性を向上させるプライマーを塗布し、乾燥させる工程です。打設の前日までに処理をして乾燥させる必要があります。

混錬
規定量の水が入っている容器にレベリング材を投入し、ハンドミキサーやグラウトミキサーで練り混ぜます。

流し込み
レベリング材層の所定の厚みになるまで、混練した材料を床の上に流し込みます。混練した材料は自らの流動性で平滑に流れていきますが、表面に波紋ができたり、床 (躯体) から発生した気泡が塗布層の中に残ったりする場合があり、これを防ぐ様に必要に応じてトンボやコテでならします。

養生
次は乾燥するための養生工程です。このとき、急激な乾燥は避けます。窓などは閉めて風をおこさないようにします。窓を閉めることで、表面の風による波紋の発生も防止可能です。

なお、塗布層が十分乾燥していない状態で仕上げ材を施工すると、塗布層中の湿気により仕上げ材がはがれてしまいます。仕上げ材の施工ができる目安は、含水率5%程度です。

2. モルタルとの比較

レベリング材で施工すると、約1日で乾燥するうえ、乾燥に数日要するモルタルよりも工期が短くてすみます。また、従来の床材と比べ、施工が安価な場合もあります。

材料費だけで比較すると、モルタルの方が安価です。しかし、水とセメント、砂の荷揚げが必要であり、乾燥に数日要し工期が長くなるため、コストが上がる可能性があります。

参考文献
https://www.fa-concrete.com/self.html
https://www.fa-concrete.com/topics/column/

リニアゲージ

リニアゲージとは

リニアゲージとは、測定対象の変位量を測定するための装置です。

軸の回転数の測定や一定方向に駆動する装置の変位量を光学的に測定します。測定対象に取り付ける移動型のスリットと2つの固定スリット、スリットの波形をパルス波としてカウントする機械で構成されています。

測定対象の移動力をパルス波として認識し、その波数だけ測定対象がどの程度移動したかを測定することが可能です。測定精度は、スリットの間隔に依存します。

リニアゲージの使用用途

リニアゲージは、主に工作機械の制御のためのセンサとして使用されます。使用業界は、自動車から家電、機械部品、物流、実験などです。

選定の際には、精度や使用環境、取り付けが可能かを考慮する必要があります。

1. 工作機械

旋盤装置やフライス盤などの工作機械では、軸の回転数測定でリニアゲージを使用します。また、旋盤ボール盤、フライス盤などの工作機械で刃物やドリルの移動量測定でも使用します。

2. 荷重変位測定

自動車のボディやドアに一定の荷重を徐々に加え、その際の測定点の変位を多チャンネルのリニアゲージで測定します。荷重と変位の関係からボディの強度を算出可能です。

リニアゲージの原理

測定対象が移動した際、光源から発せられた光が2つの固定スリットを通過し、移動スリットに到達します。

1. 変位量の算出

その移動スリットを通過した光が受光素子に到達し、その波形を測定します。その際、固定スリットから出た光がどの程度ずれているかを測定することで、移動スリットの移動量が計算可能です。移動スリットの移動量を基にして、測定対象の変位量が算出できます。

2. 向きの算出

移動スリットが固定スリットに対して移動すると、固定スリットを通った光は明暗を繰り返します。このとき、同じ周期で90°の位相差を持つ2つの方形波信号が出力され、その位相の進みもしくは遅れを見ることで方向の算出が可能です。

リニアゲージの構造

リニアゲージは、スリットなどを用いて光の波形の変化量を検出するための検出部と、光の波形からパルス波に変形してその数をカウントするカウント部から構成されています。

1. 検出部

検出部は、光源、位相が1/4ピッチずれている2つの固定スリット、測定対象に取り付ける移動型のスリットの構成です。2つの固定スリットが1/4ピッチずれていることで、移動スリットの移動方向の判別が可能になっています。

検出部からの出力信号は1ピッチは4um (1um分解能タイプ) または40um (10um分解能タイプ) の2種類あります。

2. カウント部

カウント部では、受光素子とカウンタで構成されています。検出部から受け取る信号はカウント部で4逓倍するため、1ピッチの1/4の測定分解能 (1umまたは10um) が得られます。

リニアゲージのその他情報

1. 指示精度

指示精度とは、リニアゲージが持つ測定誤差のことです。決められた測定値ごとに誤差を測定し、移動スリット移動全長で見た時にプラス方向の測定誤差とマイナス方向の測定誤差の和が指示精度になります。

分解能10umのリニアゲージセンサの指示精度が3umと分解能以下の精度となることがありますが、これは精度測定を基準となる変位計との比較で行うためです。

2. 温度影響

前述の精度測定は特定の温度で実施しています。メーカー実施の精度測定以外の温度での指示精度は、次の方法で算出可能です。

検出部にガラススケールを使用しており、精度測定実施時の温度におけるガラススケールの線膨張係数を使用します。このときの線膨張係数を基に、実際に測定する温度とストローク量から測定温度での指示精度が算出可能です。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/whats_new/catalogs/selection/old/lineargage_16.pdf
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/gage2.htm

ランナーステンレス

ランナーステンレスとは

ランナーステンレスとは、鋼板の表面に特殊な加工をすることによって摩擦抵抗を下げ、滑りを滑らかにしたものです。

加工によって強度が増すため、同じ強度であっても板厚を薄くすることが可能です。軽量化・コストダウンに貢献しています。

この技術を逆の方面へ利用し、摩擦抵抗を上げることで滑り防止機能を持った鋼板「すべらんなー (登録商標) 」の開発にもつながりました。滑り防止によって、転倒事故防止や清潔な環境づくりに活かされています。

ランナーステンレスの使用用途

摩擦抵抗を下げることによって、移動がスムーズになるものに使用されています。使用例としては、精米機のシューター・ホッパー、自動計量機シューター、袋詰機ランナーテーブル、プレス機のシューター、自動販売機のシューター、写真現像機のランナーテーブルガイド、冷蔵ショーケースの棚板、ショーケースの底板、公園の滑り台などです。

また、静電気によるフィルムや紙の貼りつきを防止するため、包装機のランナーテーブル、印刷機のランナーテーブル、製本機のランナーテーブルに使用されています。

ランナーステンレスのその他情報

ランナーステンレスの特徴

静電気によるフィルムや紙の貼りつきを防止するため、板上からのピックアップが容易になります。摩擦抵抗が下げているため、滑らかに滑ります。加工形状の特性上、点や線で接触するものよりも面で接触するものの方が滑り性の向上効果が発揮されます。この技術を逆方向に利用し、摩擦抵抗を上げることで滑り防止機能を実現できます。

ステンレス製のため高耐食性を持ち、加工前後で傷つき性が改善されます。表面を凸凹にするエンボス加工により強度が増しているため、同じ強度であっても板厚を薄くできます。板厚を薄くすることで、軽量化・コストダウンに貢献しています。

意匠性が優れており、鋼板の表面に模様・社名・商品名・マークなどを描くことができ、線幅0.2ミリメートルの描画が可能です。様々な成形加工も可能であり、折り曲げ加工、密着曲げ加工、穴あけ加工スポット溶接、Tig溶接、パイプ加工が例として挙げられます。加工形状により主な鋼板の板厚は0.25~2.0ミリメートルとなっています。

参考文献
https://www.atengineer.com/pr/mag-library/20140709001.html
https://business.atengineer.com/takasago/solution02.htm
http://mibsus.com/wp-content/uploads/2018/07/P34-35.pdf