仕口ダンパーとは
仕口ダンパーとは、高分子材料の粘弾性体を鋼板間に挟んだ耐震補強装置です。
仕口は柱や梁の接合部のことを指し、円を4分割した扇形の形状をしています。梁仕口部や柱に取付けると強風や地震による木造の建物への荷重を吸収し、変形を抑制します。
従来の工法である耐力壁・緊結金物と比べて、耐震効果に優れています。軽量・コンパクトであるため、天井裏などの省スペースに取り付けられ、施工性に優れています。メンテナンスも不要で従来の工法と併用して補強可能です。
仕口ダンパーの使用用途
新築・リフォームに関わらず木造在来軸組構法を採用していれば、個人住宅から寺社仏閣まで幅広い用途で仕口ダンパーが使用されています。
強風や地震時に、建物の変形や揺れをすぐに抑制可能であるため、取り付けることで耐震性能が格段に向上します。通常の住宅の場合は取り付け個数は3.3平方メートルあたり1個が目安となり、取り付け工事費も低く抑えられます。
住宅の種類によって異なるタイプを使い分け可能です。一般的な木造住宅には15cmタイプ、新築住宅には20cmタイプ、社寺建築には30cmタイプが使用されます。
仕口ダンパーの原理
制振ダンパーは地震や強風時に建物が大きく変形する場所に設置可能です。柱や梁が伸び縮みしたり曲がったりすることによって建物の変形が生じるため、その部分に制振ダンパーを仕口に設置すると効果があります。仕口に設置する制振ダンパーを仕口ダンパーと呼び、実際には柱や梁の仕口に近い部分を繋ぐように設置可能です。
仕口ダンパーの工期は短く、一般的な住宅であれば1日で取り付けられます。一度取付けると日常の手入れは必要ありません。50年以上性能が持続できると、実験により確認されています。
15cmタイプの1個あたりの壁量を25cmとして、容易な方法でも補強計画を検討できます。また、耐震補強効果を定量的に評価できる解析手法・設計法を整備しており、要望に合わせた補強量を検討可能です。
仕口ダンパーの種類
仕口ダンパーは高分子材料を使用した粘弾性ダンパーです。高分子材料には、スチレン系、シリコン系、アクリル系のような粘弾性体が用いられています。
1個当たりの重さは2kg未満と軽量でコンパクトです。天井裏・屋根裏・床下など、省スペースに取り付けることも可能なほど施工性に優れており、専用の木ねじを使用して容易に取り付け可能です。
デザインの自由度も高く、和風建築に合うように日本の伝統色の黒色がよく使用され、つや消し仕上げが採用しされています。経年による木材の色彩変化や柱梁などの古色塗りに溶け込み、視界に入る場所に取り付けても気にならないように合わせられます。
仕口ダンパーの選び方
ほとんどの木造住宅では柱は建物の重さを支えるのみで、耐力壁と呼ばれる壁によって地震に抵抗しています。柱や梁などの木材の接合は困難なため、特殊な工法でなければ木造では実現できませんが、仕口ダンパーを設置すればエネルギーを吸収できます。
木造住宅とは異なり、鉄骨造や鉄筋コンクリート造では接合部が難しいです。鉄骨造用の仕口ダンパーもありますが、仕口ダンパーを設置するために自由に接合部が回転でき、元々力を負担できる部分を負担できないように変える必要があります。したがってあまり合理的ではありません。
仕口ダンパーの構造
仕口ダンパーの構造は、鋼板で粘弾性体がはさみ込まれています。粘弾性体、鋼板、完成品のそれぞれの製造過程で管理が必要です。達成すべき性能を確保するために、それぞれの製造過程で管理項目を規定して安定した製品を提供可能な体制を作ることが大切です。
仕口ダンパーを柱や梁の仕口部に取り付けて一定の強さを建物に与え、地震での揺れのエネルギーを吸収可能です。したがって変形や揺れを小さくするために役立ちます。
参考文献
http://www.kaneso.co.jp/seihin/KSD100QM.htm
https://www.ooki-kanamono.com/item/kk003/