レベリング材とは
レベリング材 (英: leveling material) とは、コンクリート床の下地調整をする建材です。
少し粘度のある液体で、床面に流すと自らの流動性で平滑に広がる特徴があります。施工する際には、床面に流し込み、これをトンボなどで軽くならすだけです。
自らの流動性で床面に自然に水平に広がっていき、コンクリート床面表面を平滑な面とします。レベリング材を使用すれば施工が比較的容易な上、従来のコテ仕上げと同等以上の平滑な仕上げが可能です。
レベリング材の使用用途
レベリング材は、コンクリートの床の下地を調整する建材です。そのため、マンションやビル、学校や病院など人間が使用する施設のほか、フォークリフトなどの重量物を使用する工場や駐車場など重量物が移動する施設の床の下地の調整に有用です。
また、防水加工する床の下地調整にも好適であることから、水を多く使用する食品工場や厨房などの床の下地調整にも使用されています。さらに、タイルなどの張り物の施工や屋上防水塗装などを施工する前に、平滑な面を形成するべく下地調整として、新築工事・改修工事問わず使用されることもあります。
レベリング材の原理
レベリング材には、自らの流動性で平滑に流れる特性があるため、トンボやコテなどで軽くならすだけで、均一な平面を形成できるのが特徴です。なお、多くの床の工事では、下地調整をしたあとに、床仕上げ材を施工しています。表面が平滑でない場合、床仕上げ材施工後に光の反射により床の凹凸が目立ってしまいます。
以前は、モルタルがよく使用されていました。モルタルで下地調整をする場合は、水とセメントおよび砂を混練した後、職人が手作業で混練物を床に少しずつコテで塗布します。そのため、平滑性は職人の腕によるところが多く、品質にバラつきが生じやすい欠点がありました。
しかし、レベリング材ではトンボやコテなどで軽くならすだけで平滑な面を形成できるため、職人の熟練度に依存せずに平滑な下地を形成し、表面仕上げ材施工後も美しい表面を実現可能です。
レベリング材の種類
レベリング材は大きく分けると、石膏 (セッコウ) 系とセメント系があります。
1. 石膏 (セッコウ) 系
石膏には水和反応でわずかに膨張したのち、収縮しない特性があります。したがって、主成分が石膏の石膏系レベリング材には寸法安定性が高まり、浮きやクラックの発生が少なくなる効果があります。
2. セメント系
セメント系の品質基準は、日本建築学会の建築工事標準仕様書JASSにあるように圧縮強度、下地接着や表面接着の強度が、石膏系よりも高く設定されています。したがって、高強度の製品が多くあり、硬化後に水に強いことも特徴です。
レベリング材のその他情報
1. レベリング材の施工方法
下地処理
床表面を清掃して、砂やほこりなどを除きます。このとき、床の脆弱部分も取り除きます。また、材料が施工部以外に流れ出さないよう、施工箇所周辺の漏れ止めの処置は非常に重要です。この処置には、モルタルがよく利用されます。
次の工程は、床の表面と材料の接着性を向上させるプライマーを塗布し、乾燥させる工程です。打設の前日までに処理をして乾燥させる必要があります。
混錬
規定量の水が入っている容器にレベリング材を投入し、ハンドミキサーやグラウトミキサーで練り混ぜます。
流し込み
レベリング材層の所定の厚みになるまで、混練した材料を床の上に流し込みます。混練した材料は自らの流動性で平滑に流れていきますが、表面に波紋ができたり、床 (躯体) から発生した気泡が塗布層の中に残ったりする場合があり、これを防ぐ様に必要に応じてトンボやコテでならします。
養生
次は乾燥するための養生工程です。このとき、急激な乾燥は避けます。窓などは閉めて風をおこさないようにします。窓を閉めることで、表面の風による波紋の発生も防止可能です。
なお、塗布層が十分乾燥していない状態で仕上げ材を施工すると、塗布層中の湿気により仕上げ材がはがれてしまいます。仕上げ材の施工ができる目安は、含水率5%程度です。
2. モルタルとの比較
レベリング材で施工すると、約1日で乾燥するうえ、乾燥に数日要するモルタルよりも工期が短くてすみます。また、従来の床材と比べ、施工が安価な場合もあります。
材料費だけで比較すると、モルタルの方が安価です。しかし、水とセメント、砂の荷揚げが必要であり、乾燥に数日要し工期が長くなるため、コストが上がる可能性があります。
参考文献
https://www.fa-concrete.com/self.html
https://www.fa-concrete.com/topics/column/