制御盤キャビネットとは
制御盤キャビネットとは、産業用機械設備を制御するための部品や電気機器を収納する箱です。
材質には金属や合成樹脂が使用され、周辺環境から制御機器を保護することを目的に設置されます。制御機器と制御盤キャビネットを合わせて制御盤と呼びます。
内部に収納されている機器の例として、配線用遮断器または漏電遮断器・電磁開閉器・シーケンサなどが挙げられます。一般的に開閉のためのドアがあり、錆・腐食・塩害などを防止するため紛体塗装や焼付塗装が施されます。収納方式によりユニット形、集合形に分けられます。
制御盤キャビネットの使用用途
制御盤キャビネットは主に産業において使用されます。以下は制御盤キャビネットの使用例です。
- エレベータの制御機器保護用
- 空調装置の制御機器保護用
- 消火ポンプの駆動装置保護用
- 自動搬送装置の制御装置収納用
制御・駆動装置には電子部品や精密機器が使用されているため、埃やゴミなどから保護する必要があります。制御盤キャビネットは、それらの有害要因から制御・駆動装置を隔離するために使用されます。屋外に設置する場合も多く、防水・防塵に優れた屋外用制御盤キャビネットも販売されています。
制御盤キャビネットの原理
制御盤キャビネットの材質は合成樹脂や金属です。一般的には金属製の製品を使用される場合が多く、制御盤を安価に製作したい場合に合成樹脂製が検討されます。金属製制御盤キャビネットのラインナップはほとんどが鉄製です。ただし、対候性を高めるためにステンレスを使用した製品も販売されています。
鉄製の制御盤キャビネットは多くの場合、塗装が施されて販売されています。塗装の目的は発錆または腐食の防止であり、エポキシ樹脂などで下塗した後にポリエステル樹脂で上塗している製品が一般的です。塗装色はライトベージュ色 (マンセル記号:5Y7/1) またはクリーム色 (マンセル記号:2.5Y9/1) が標準色です。
ただし、指定をすれば塗装色を変更することできます。また、塗装の艶は艶あり・半艶・艶なしなどを選択して購入することも可能です。制御盤キャビネットは内部に基板を付属して販売される場合が多くあります。基板とは制御装置を取り付けるための板であり、木製と鉄製を選択可能です。基板にはインバーターや電磁開閉器などの駆動装置、シーケンサやリレーなどの制御装置を取り付けます。
駆動装置や制御装置は電気・電子部品のため、ほとんどの製品は発熱します。制御盤キャビネット内に熱がこもると装置が故障する危険があるため、熱対策としてクーラーやファンなどを設置する場合もあります。制御盤キャビネットの盤面に開口を開けることで、表示灯・メーター・スイッチなどの表示部品や操作部品を取り付け可能です。
制御盤キャビネットのその他情報
1. 両開きのキャビネット
制御盤キャビネットの前面扉は、両開きの製品と片開きの製品があります。メーカーにもよりますが、一般的には600mm×600mm以上のサイズになると両開き扉が採用されます。両開きの制御盤キャビネットはサイズの関係から、主に自立盤などに使用されます。
2. 自立制御盤キャビネット
自立制御盤専用のキャビネットは各メーカーから販売されています。キャビネットを固定するためのアンカーボルト設置用の基台があることが特徴です。また、キャビネット内の側面に配線ダクトなどを設置するためにバーなどがついている点も特徴の一つです。
3. 制御盤キャビネットと関係する法規や規格
制御盤キャビネットは産業用の電気関係製品です。したがって、以下のような法規と関係があります。
- 電気事業法
- 電気工事業の営業の適正化に関する法律
- 電気用品安全法
- 労働安全衛生法
- 工業標準化法
また、産業・工業における規格を遵守した商品が販売されています。以下は遵守される規格の一例です。
- 日本工業規格 (JIS)
- 電気学会電気規格調査会標準規格 (JEC)
- 日本電機工業会規格 (JEM)
参考文献
https://metoree.com/categories/control-console/
http://www.jsia.or.jp/mamechishiki/seigyoban/
http://www.jsia.or.jp/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/222000237086/
https://www.nito.co.jp/products/enclosures/
https://electric-facilities.jp/denki4/douryoku.html