分光放射計

分光放射計とは

分光放射計

分光放射計 (分光放射輝度計) とは、物質が放射する光 (放射線) を分光して解析するための装置です。

さまざまな波長や周波数の光を分けて検出することにより、物質の成分や特性を調べることができます。一般に2組の光は、人間には同じ色に見えたとしても、波長ごとの放射輝度 (分光放射輝度) が異なります。

分光放射輝度が異なる2組の光源を用いると、ある2組の物体を照らしたときに同じ色に見えても、別の2組の物体を照らすと異なる色に見えます。こうした現象を防ぐためには、分光放射計を用いて分光放射輝度を測定することが不可欠です。

分光放射計の使用用途

分光放射計は、化学分析や材料研究、環境モニタリング、生命科学、天文学など、様々な分野で使用されます。化学分析の分野においては、物質の成分分析に使われ、例えば、溶液やガス中の元素や化合物の濃度測定や特性解析に使用されます。特に、光源を用いる製品であるディスプレイや照明の特性評価で利用されることが多いです。

概要で述べたとおり、「人間の目で見た色」のレベルではなく、「分光放射輝度」のレベルで光源を計測・再現することで、さまざまな状況下でも正確な色を再現できます。ディスプレイや照明においては赤・青・緑の三原色の光源を用いてフルカラーを表現します。

正確にフルカラーを表現するためには、三原色の光源を分光放射輝度のレベルで計測・再現し、三光源を適切に配分する必要があります。

分光放射計の特徴

分光放射計は、分光放射輝度という尺度で光を定量的に表します。分光放射計で計測する量は「分光放射輝度」です。単位はW/sr/m2/nm-1 (ワット毎ステラジアン毎平方メートル毎ナノメートル) です。

一般に、光源から放射される光には「強い光」や「弱い光」があります。この「強さ」を計測する尺度のうち、「放射輝度」は「平面から平行に放射される光の強さ」を念頭に置いた指標です。面積を考慮する「放射束 (単位W: ワット) 」に対し、面積や立体角を考慮しないのが「放射輝度 (単位W/sr/m2) 」です。

放射輝度は波長によって変化する特性があり、放射輝度を波長ごとに表現したものが「分光放射輝度」です。分光放射輝度を測定するためには、光源から放射された光を回折格子で波長ごとに分解 (分光) し、分光された光をそれぞれセンサーで受光します。さらに、受光した光を電気信号に変換し、分光放射輝度を求めます。

多くの分光放射計には演算装置が付属し、輝度 (放射輝度とは異なる) ・三刺激値XYZ・色度座標xyなどの数値を計算可能です。

分光放射計の種類

具体的な分光放射計の種類には、以下のようなものがあります。

1. 分光光度計

物質が吸収する特定の波長の光を測定し、その光の吸光度 (吸光量) を定量化するための装置です。分光光度計は、物質の濃度や反応の進行度などを分析するために広く使用されています。

2. 分光蛍光計

物質が吸収した光を励起し、再放射される蛍光光を測定するための装置です。分光蛍光計は、物質の特性や濃度を分析するために広く使用されています。

3. 分光赤外線分析装置

物質が吸収する赤外線のスペクトルを測定し、物質の組成や構造を解析するための装置です。分光赤外線分析装置は、化学分析や材料研究などの分野で広く使用されています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1917/61/7/61_7_376/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst1964/35/4/35_4_219/_pdf/-char/ja

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