ピンゲージ

ピンゲージとは

ピンゲージとは、主に製品の穴の内径を測定したり、穴の大きさについて規格に対する合否判断をすることを目的とした測定ゲージです。

通常は太さが異なる複数のピンゲージが、セットとして販売されています。3点マイクロメーターといった、測定した結果が数字で読み取ることができる測長機による穴径測定では、測定者の熟練度によりばらつきが発生します。

しかし、ピンゲージを使用すれば、測定者の熟練度に関係なく安定して測定を行えるため、測定のばらつきを抑えることができます。

ピンゲージの使用用途

ピンゲージは、工業製品の加工現場や検査工程で使われています。特に小さな穴の内径は、3点マイクロなどの測定器で計測することはできません。そこでピンゲージを用いて、穴径の合否判断をします。

ピンゲージは穴の内径の大きさに関する測定ゲージですが、応用として2つの穴の距離の計測に利用することができます。2つの穴にそれぞれガタがなく挿入できるピンゲージを入れ、2本のピンゲージの外径同士をノギスなどで計測し、2本のピンゲージの半径を引くと、2つの穴の中心間距離が分かります。

さらにピンゲージは、歯車の計測でも利用されます。歯車の歯の厚さを評価する諸元に、オーバーピン寸法というものです。2つのピンゲージを歯車の間に入れて、ピンの外径同士の距離を測ります。内歯の場合でも同様の測定から、歯車の歯の厚さが評価するというものです。内歯についてはビトゥインピン径と呼ばれています。

ピンゲージの原理

ピンゲージは測定ゲージの一種です。原理は他の測定ゲージと同様、通過するゲージと通過できないゲージの大きさから、評価対象の穴径を判断します。

ピンゲージは外径はもちろん、真円度や円筒度なども厳しく管理されています。非常に精度が良く作られているので、評価したい穴に挿入することによって、対象の穴の内径を知ることができます。例えば、3.05mmのピンゲージが通過し、3.10mmのピンゲージが挿入できない穴の内径は、3.05~3.10mmであると判断するというものです。

ピンゲージのその他情報

1. ピンゲージの扱い方

ピンゲージを扱う際は、温度に注意が必要です。ピンゲージの多くは直径が小さく、体積は大きくはありません。長時間手で触れていると、体温でピンゲージが熱膨張します。

熱膨張してしまったら、表示されている数値よりも、直径が大きいピンゲージになってしまいます。ピンゲージは非常に単純な円筒状のピンですが、丁寧に扱わなければなりません。例えば、表面に傷がついてしまったら、正しい評価をすることができなくなります。

傷以上に特に気をつけたい点は、錆の発生です。鋼や超合金製のピンゲージの場合、素手で触ると汗に含まれる水分の塩分によって錆の発生につながりかねません。

金属製のピンゲージを扱う際には手袋を着用するか、素手で扱った後は綺麗で柔らかい布や皮で拭き取った後、軽く防精油を塗布しておくとよいでしょう。

2. 栓ゲージとの違い

ピンゲージ同様に、評価する穴に挿入して測定する測定具に栓ゲージがあります。栓ゲージは両端に大きさが異なる二つの円筒があり、それぞれを通り側と止め側にすることによって、検査する穴の内径が規格の範囲内であるかどうかを素早く判断することができます。

栓ゲージは穴の内径の検査を、比較的容易で素早く行うことができるので、ピンゲージよりも大きな内径の穴に対しても広く使われています。

3. ピンゲージの材質

ピンゲージは鋼、超硬合金、セラミックでできています。穴に通して使うため、硬く耐摩耗性に優れた材質が選ばれています。鋼製のピンゲージは比較的安価に手に入れることができます。超硬合金は鋼製よりも耐摩耗性が優れているのが特徴です。

セラミックはメンテナンス性に優れています。金属ではないので錆の発生を気にする必要がありません。ただし、錆びないからといって乱暴に扱うのではなく、丁寧に扱うことが大切です。

参考文献
https://senbanmania.com/archives/426

スロットルバルブ

スロットルバルブとは

スロットルバルブ

スロットルバルブとは、流体の通路に設置されているバルブのことです。

スロットルバルブが通路の断面積を変化させることにより流体の流量を調整します。主に、自動車、バイク、航空機、農機などのエンジンへの吸入空気量を調整しています。

自動車の場合は、スロットルバルブの開閉度の調整はアクセルペダルで行います。従来は機械式のスロットルと呼ばれる方式でワイヤーで制御されていましたが、近年は自動車が電子制御が進み、電子式スロットルと呼ばれる方式でバルブ開閉度を電気的に調整しています。

スロットルバルブの使用用途

スロットルバルブは、主に自動車、バイク、航空機、農機などに使われていますが、ここでは自動車について説明します。

自動車におけるスロットルバルブは、空気の吸入通路 (インテークパイプ) にあるスロットルボディに取り付けられており、エンジンへの吸入空気量を調整して、出力を制御しています。

スロットルバルブは1つのスロットルボディに1つ設置されている単口式と、複数個設置されている多口式があります。スロットルバルブの調整はアクセルペダルで行われます。従来はワイヤーでバルブの開閉を行っていましたが、近年は電子制御で行われ、アクセル開度によりエンジンECUで走行状態に応じたバルブ調整を行います。

スロットルバルブの原理

スロットルバルブの原理について、自動車を例に説明します。

スロットルバルブは、吸入空気通路 (インテークパイプ) にあるスロットルボディに取り付けられています。アクセルペダルを操作するとそれに応じてバルブ開閉度が調整され、エンジンへの吸入空気量を制御します。

スロットルバルブには、バタフライバルブとスライドバルブがあります。以下にそれぞれについて説明します。

1. バタフライバルブ

円形状のバルブで吸入空気通路に設置されており、アクセル開度により縦に回転をして、バルブの開閉度を調整します。

2. スライドバルブ

平板形状のバルブで吸入空気通路に設置されており、アクセル開度により平板が開閉して、バルブの開閉度を調整します。スロットルバルブの開閉は、アクセルペダルで行われます。スロットル調整方式には、機械式と電子式があります。

  • 機械式
    アクセルペダルとスロットルバルブがワイヤーで繋がれており、アクセルペダルを踏む量によりバルブの開閉を行います。
  • 電子式
    アクセルペダルの踏む量を電気信号とし、エンジンECUに伝達します。走行状態、燃費、排出ガスなどを考慮し、バルブの開閉度を調整します。

スロットルバルブのその他情報

1. スロットルバルブの故障

スロットルバルブは、エンジン内にクリーンな空気を届けるためのエアクリーナーでは防げないわずかな粉塵や排出ガスを再び吸入して再利用するシステム (EGR) と、燃焼しきれなくてシリンダとピストンの隙間から僅かに漏れたガス (ブローバイガス) の再燃焼システム (PCV) が合わさり、徐々にカーボンやスラッジが溜まっていきます。

これらの汚れが溜まると正常な動きが出来なくなり、燃費の悪化やアイドリング不安定、パワー不足の原因になり、最悪の場合はエンジンが始動しなくなってしまいます。

最近の車では主流の電子スロットルの場合、ある程度の汚れはコンピュータ側で学習するのでただちに影響することはありませんが、定期的な清掃が必要です。

ディーゼルエンジンには、スロットルバルブが構造上存在しません。ディーゼルエンジンにおいてのアクセルペダルは、バルブの開閉ではなく圧縮された空気に送り込む燃料の噴射量と関係しているため、バルブが必要ないからです。

2. スロットルバルブの固着

前述したカーボンが溜まると正常な動作ができなくなってしまう状態は、スロットルバルブが「固着」した状態です。固着するとエンジンの不調の原因となります。

固着したバルブの洗浄方法として挙げられるのは、バルブを露出させるまで分解し、専用のクリーナーをバルブに直接噴射してブラシで擦ったり、ウエスで汚れをふき取りながら汚れを落とします。

分解する方法としては、エアクリーナーからバルブに繋がっているダクトを取り外すことで、バルブが見える状態になりますので、その状態で清掃していきますが、本格的に洗浄する場合は、エンジン本体からバルブを取り外して作業します。

クリーナーは専用のスロットルバルブクリーナーの他、エンジンコンディショナーやキャブレタークリーナーで洗浄します。清掃したあとは、汚れた状態を学習したコンピューターをリセットすることで、本来の性能を取り戻すことができます。

参考文献
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1310/10/news007_2.html
https://clicccar.com/2019/09/30/914632/
https://www.satousyoukai.com/valve_cleaning
https://car-moby.jp/article/car-life/automobile-inspection-maintenance/throttle-body/
https://www.goo-net.com/pit/magazine/109279.html

シリンダーレンズ

シリンダーレンズとは

シリンダーレンズ (シリンドリカルレンズ) は、シリンダ (円筒) 状の形状をしたレンズです。

円柱の側面の一部を切り取ったカマボコ型をしています。レンズの入射面をx軸とy軸の2つの成分に分けて考えた時、片側の軸のみがレンズとして働く曲率を持ち、他方の軸には曲率がなく単なるウィンドウとしてしか作用しません。そのため、像の一方向のみが拡大/縮小されます。これを利用して、像の一方向のみの倍率を変更する用途に用いられます。

シリンダーレンズの使用用途

レーザー光をライン上に変換する用途 (レーザーラインジェネレーター) 、スリットの開口上やラインセンサー上に光を集光させる用途、直交する2方向で広がり角が異なる半導体レーザーの楕円ビームを円形に整形して平行光線束を得る (コリメート) 用途で使われています。

画像処理用途としては、非点収差の補正や、像の一軸方向のみの高さを拡大/縮小する場合に用いられます。

具体的には、レーザープリンターやコピー機、バーコードのスキャンニング、レーザー投影機やホログラフィー装置、レーザー墨出し器などに使用されています。

シリンダーレンズの原理

曲率のない軸に沿ってシリンダーレンズの全長を伸ばしても、レンズの光学的パワーには影響を与えることはありません。シリンダーレンズは、矩形、正方形、円形、楕円形をはじめとして、様々な形状を持たせることができます。平凹型は光の発散に、平凸型は集光に用いられます。

例えば、シリンダーレンズに細いレーザー光を入射させると、曲率がない方向 (母線方向) は元のレーザー光の太さであるのに対し、曲率がある方向 (母線に垂直の方向) ではビームが拡散するため、平べったいレーザー光が出射されます。

シート状に広がったレーザー面をカメラで見ると、シートを横切るものが光ります。この位置や物体の大きさ、速さなどを調べることができます。代表的なものは、粒子画像流速測定法 (PIV) です。

また、シート状の光を壁に当てると真っ直ぐな線が描かれるので、水準器と組み合わせて精度の高い水平線を投影できます。これがレーザー墨出し器と呼ばれ、建築現場で活用されています。

参考文献
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/application-notes/optics/what-are-cylinder-lenses/
https://www.lexopt.com/product/lens-cyl/
https://optipedia.info/laser/handbook/glossary/ko/collimation/
https://optica.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-3c67.html
https://www.global-optosigma.com/jp/community/comm05_9.html
https://www.thorlabs.co.jp/Navigation.cfm?Guide_ID=14

シュリンクフィルム

シュリンクフィルムとは

シュリンクフィルム

シュリンクフィルムとは、熱を加えると収縮する特性を持つフィルムです。

包むものの形状に合わせて収縮するため、様々な商品の包装材として利用されています。

シュリンクフィルムの使用用途

シュリンクフィルムは、包装用途に使用されるものです。元々、コンデンサーの絶縁被膜などに利用されていました。しかし、食品への異物混入などの事件をきっかけに、食品や商品の安全性を高める目的でシュリンクフィルムを一般的な商品の包装材として使用するようになりました。

シュリンクフィルムの素材は、熱を加えると何度も変形可能な熱可塑性樹脂です。そして、高い光沢性と透明性を有するだけでなく、耐水性や耐寒性、機械的強度にも優れています。このような特性と様々な形状にフィットする熱収縮性を応用し、美観性の優れた包装材として使われています。また、シュリンクフィルムは一度破いたら元には戻らない性質を持つため、最近では商品の保護や改ざん防止にも有用です。

商品の具体例としては、食品のびんや紙パック、歯磨き粉のチューブや化粧品の箱、書籍やDVDなど多種多様な商品が挙げられます。

シュリンクフィルムの原理

シュリンクフィルムは、熱により収縮するフィルムです。そのため、商品を包んだ状態で熱を加え、商品に密着させて包装を行います。

シュリンクフィルムの素材は、主に塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートの6種類です。

1. 塩化ビニル

透明性や成形性、難燃性、電気絶縁性に優れ、低温で収縮するメリットを持ちます。一方で、自然収縮を起こしやすいことや強度が弱く空間シール面が脆弱であることがデメリットとして挙げられます。

2. ポリプロピレン

透明性や耐寒性、防湿性、印刷加工性に優れ単価の低さが特徴です。一方で自然収縮を起こしやすい、強度が弱く空間シール面が脆弱である点がデメリットです。

3. ポリエチレン

ポリプロピレンより機械的強度に優れます。収縮性が良いため大きなブロッキング包装が可能です。ただし、透明性が低下する点と収縮に時間がかかるのがデメリットです。

4. ポリスチレン

透明性と熱収縮性に優れるのがメリットです。一方で、衝撃や有機溶剤に弱く、自然収縮するのがデメリットです。

5. ポリオレフィン

収縮率が高くシワやツノが生じづらく仕上がりに優れます。また引裂強度にも強く利便性の高い素材です。また、比較的低温での加工が可能なため、包む商品に熱が加わりにくい点もメリットです。これらの高い性能を持つ一方で、単価が高い、開封性が悪い点がデメリットになります。

6. ポリエチレンテレフタレート

PETとして親しまれる樹脂で透明性や機械的強度、耐薬品性、寸法安定性に優れています。様々な優れた特性を有していますが、加工の難しさや開封が難しいなどの問題があります。

シュリンクフィルムの特徴

シュリンクフィルムの特徴は、熱により収縮して包む商品の形状にフィットする点です。また、耐水性や耐寒性、機械的強度にも優れています。しかし、シュリンクフィルムが包装材として重宝されている理由には、そのデザイン性や、作業の効率性、製品の保護と改ざん防止に優れている点もあります。

1. デザイン性

シュリンクフィルムを使用すれば、表示面積を大きく確保できるため商品のPRや多色印刷が可能で、ボックスティッシュやインスタント麺の包装などに多く利用されています。

2. 作業の効率性

シュリンクフィルムを用いれば、複数の商品を簡単に一つにまとめられます。運搬や陳列などの作業効率や利便性が向上するため、ヨーグルトや6本入りのペットボトルなどをまとめて包装するのに利用されています。

3. 製品の保護と改ざん防止

シュリンクフィルムは、耐水性や耐寒性に優れる上、一度破れると元に戻りません。そのため、商品を包んで保護しつつ未開封を証明できます。未開封の証明に特化したのが、「キャップシール」です。

シュリンクフィルムを筒状に成形して、ジャムのビンなどの蓋部分にだけシュリンクフィルムを被せて熱収縮させます。瓶のフタの部分だけが包まれるため、シュリンクフィルムが密着していることで未開封を証明できます。

参考文献
https://www.sunplastic.jp/?cn=100016
https://www.orikane.co.jp/orikanelab/5445/
http://www.kd-sp.jp/lecture/type.html

サンプリングオシロスコープ

サンプリングオシロスコープとはサンプリングオシロスコープ

サンプリングオシロスコープとは、高速に変化する信号波形を観測するために使われる電子計測機器です。

主にナノ秒からピコ秒の範囲で変化する非常に高速な信号波形を正確に取り込んで表示するために用いる電子計測器の一種ですが、同じパターンを繰り返す信号を測定対象としています。通常のリアルタイム・オシロスコープとは異なり、単発信号を観測することはできません。被測定信号を少しづつタイミングをずらして波形データとして取り込み、そのデータを用いて元の信号波形を再現表示することを特徴としています。

サンプリングオシロスコープの使用用途

サンプリングオシロスコープは、次のような幅広い分野で活用されています。

  • 通信分野:高速デジタル通信の信号品質評価、光通信の波形解析
  • 電子工学:集積回路の開発、半導体デバイスの評価
  • 高度な研究開発:高速信号の物理現象解析、先端技術開発
  • 計測機器の校正:精密なタイミング計測を必要とする校正作業

サンプリングオシロスコープの原理

1. 測定原理

サンプリングオシロスコープは、信号の全体を一度に記録するのではなく、入力信号を一定の間隔でサンプリング (標本化) し、そのデータを蓄積して波形を再構成します。この原理は「等価時間サンプリング」と呼ばれ、以下のステップで動作します。

  1. サンプリング:入力信号を規則的な間隔でサンプリングし、その瞬間の電圧値を記録します。
  2. 時間のずれ:次のトリガ信号が発生する毎に、サンプリングのタイミングをわずかに遅らせます。これを繰り返して複数回のデータを記録しておきます。
  3. 波形の再構成上記の記録されたデータを集めて、信号の全体的な波形を再現します。

この方法により、オシロスコープ自体のサンプリング周期が信号の繰り返し周期より遅い場合であってあっても、非常に高い時間分解能で観測することが可能です。

2. 測定の特徴

サンプリングオシロスコープの特徴を以下に挙げます。

  • 時間分解能が高い等価時間サンプリングを用いて、ピコ秒単位の精密な時間分解能が得られます。
  • 広帯域測定に向けた工夫がなされており、リアルタイム・オシロスコープでは困難な数十GHzの高周波信号の測定が可能です。
  • 同じ信号が繰り返し発生する前提であり、単発のイベントには対応できません。

以上のように、サンプリングオシロスコープは、高速信号の正確な測定と解析を可能にする高度な計測機器で、極めて広い周波数帯域と時間分解能を活かして、通信や電子工学、光学分野での先端的な研究・開発に不可欠な存在です。

一方、単発イベントの観測には対応できないため、例えばリアルタイムオシロスコープなどの他の種類の計測器を併用した上で、超高速信号の解析に特化して観測するための測定器として用いるのが一般的な使い方です。

サンプリングオシロスコープの選び方

サンプリングオシロスコープは高速信号の測定や解析に特化しており、繰り返し現れる高周波信号の精密な測定が求められる場合に使用されます。選ぶ際には、用途や測定対象に応じて以下のポイントを考慮する必要があります。

1. 帯域幅

必要な帯域幅を明確にする。測定したい信号の最高周波数の3~5倍程度の帯域幅が推奨されます。 例えば、1GHzの信号を測定する場合、最低でも3~5GHzの帯域幅が必要です。

2. サンプリング速度

サンプリング速度は信号の再現性に影響を与えます。高速であるほど観測波形の時間精度に有利です。

3. 分解能

小さな信号電圧を高分解能で観測する必要あれば、ビット数が多い機種 (例えば12bit) を選ぶ必要がありますが、サンプリング速度が遅くなる傾向があります。

4. 入力インピーダンスとプローブ

被測定回路に適合するインピーダンスを選択します (通常50Ωまたは1MΩ) 。またプローブの種類 (アクティブプローブ、パッシブプローブ) も重要です。特に高周波測定では、プローブの帯域幅も考慮する必要があります。

5. チャネル数

必要な同時測定数に応じたチャネル数を選択します。一般的に2チャネル、4チャネルモデルが多いですが、複数信号を同時測定する場合はチャネル数が多い方が便利です。高性能な機種ほど高速信号の観測には有利ですが、非常に高価なものとなります。用途に応じて必要十分な性能を持つ機種を選ぶことが望ましいです。

サンプリングオシロスコープのその他情報

操作上の注意事項

  • 広い周波数帯域を実現するため、一般的なオシロスコープが備えるアッテネータや増幅回路を設けず、直接信号をサンプリングすることから、ダイナミックレンジ (信号の大きさの範囲を表す指標で、最大値と最小値の比率) が制限されます。また通常入力部には保護回路がないので、過電圧信号を印加しないなど取り扱いには注意が必要です。
  • 高価で複雑な測定器でありながら、極めて高速な繰り返し信号を観測する必要がある場合など、特定の用途に限定されてしまいます。
  • リアルタイムオシロスコープのような汎用性はなく、被測定信号の特徴を理解した上で測定条件を適切に設定する必要があり、ある程度専門的な知識が求められます。

参考文献
https://www.jemima.or.jp/tech/3-03.html
http://www.rf-world.jp/bn/RFW29/samples/p024-025.pdf
https://news.mynavi.jp/article/serialif-13/
https://www.iti.iwatsu.co.jp/ja/support/05_14.html
https://life-techs.jp/yougo/2016-04-19-03-15-50.html
https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/measure/article-20
https://ednjapan.com/edn/articles/0712/01/news017.html
https://ednjapan.com/edn/articles/1403/13/news011.html
https://www.nicpartners.co.jp/report/53121/
https://dl.cdn-anritsu.com/ja-jp/test-measurement/files/Product-Introductions/Product-Introduction/MT1000A_MT1100A_CPRI_JL1100.pdf

サニタリーバルブ

サニタリーバルブとは

サニタリーバルブ

サニタリーバルブとは、分解が容易で洗浄しやすく、衛生に配慮されたバルブです。

サニタリーバルブは、サニタリー配管と共に高い衛生管理を必要とする現場で多く用いられています。主な使用分野は、医薬品分野、食品分野、化粧品分野などです。雑菌や異物の混入を防ぐため、液だまりや凹凸が少なく汚れにくい構造になっており、洗浄が容易になっていることが特徴です。

サニタリーバルブの使用用途

サニタリーバルブは、主に高い衛生管理が求められる分野で、サニタリー配管と共に使用されます。主な使用分野は、医薬品分野、食品分野、化粧品分野、半導体分野などです。具体的な用途例には下記のようなものがあります。

  • 医薬品の製造現場における固形製剤 (粉体や錠剤など)
  • 乳製品、飲料、ビール、調味料、香料などの食品製造
  • 半導体分野における高純度薬液製造設備、フォトレジスト、ウエハー製造プロセス、洗浄液ラインなど
  • クリームなど流体状化粧品の製造

サニタリーバルブは、雑菌や異物の混入を防がないといけない分野で、高い衛生性の管理・維持を行う目的で使用されている部品です。

サニタリーバルブの原理

サニタリーバルブは、主に下記のような特徴があります。

  • 汚れが溜まらないよう、外側・内側に研磨処理がされている
  • 洗浄を容易にするため、着脱・分解・組み立てがしやすい
  • 液が溜まりにくい構造

サニタリーバルブでない一般的に用いられるボールバルブやバタフライバルブでは、接液部に部品の継ぎ目が来たりして液溜まりが発生することがあります。また、研磨処理をされていない金属素材では表面の微細なざらざらに流体が付着したり溜まったりしやすいです。サニタリーバルブは、高い衛生性を保つため、汚れにくい構造をしていることに加え、清掃性が高く、分解して隅々まで洗浄を行うことが可能です。一般的には衛生的なステンレス素材が用いられ、研磨処理をされて光沢のある質感となっています。

なお、特に頻繁にバルブの分解洗浄を行う乳業では、バルブの芯部分だけを脱着して洗浄する仕組みが採用されています。サニタリーバルブも通常のバルブ製品と同様に、ダイヤフラムバルブ、バタフライバルブなど、バルブ内の弁が動くことで流量を調整しています。

サニタリーバルブの種類

サニタリーバルブには、サニタリーボールバルブ、サニタリーダイヤフラムバルブ、サニタリーバタフライバルブなどの種類が存在します。

1. サニタリーボールバルブ

サニタリーボールバルブは弁体が球体状をしているバルブです。バルブハンドルを回すと、弁体である穴のあいたボールが回転し、90度ごとに全開と全閉となる仕組みです。

2. サニタリーダイヤフラムバルブ

ダイヤフラムバルブとは、ダイヤフラムという薄い膜の弁を開閉させて、流量を調節する仕組みのバルブです。密閉性が高く、流路内に液溜りを起こす部分がなく、細菌が入り得る隙間がありません。薬品を使う場面などで活用されるケースが多いですが、圧力が高い場所では使えないというデメリットがあります。

3. サニタリーバタフライバルブ

サニタリーバタフライバルブは、弁体が円盤状をしているバルブです。弁が回転することで流量を調整するため、ボールバルブ同様、手動で容易に液量を調整でき、一部の製品では電動やエア駆動もあります。弁体が薄いため、コンパクトな構造をしています。弁体がゴム素材の場合は、高温・高圧力条件で使用することはできません。構造が簡単でコンパクトな上、耐久性が高いため、非常に汎用されています。

サニタリーバタフライバルブの派生形で、サニタリータブレットバルブや、サニタリーロータリーバルブなど粉体用・錠剤用バルブも医薬品製造で使用されています。

参考文献
http://www.microzero.co.jp/column/144/
https://www.consuss.co.jp/feature/4258/

ゴム磁石

ゴム磁石とは

ゴム磁石とは、磁性を持つ素材を粉末にしたものと、ゴムやプラスチックなどのバインダー材とを混ぜ合わせて成形した磁石です。ボンド系磁石とも言われます。

磁性材の種類や結晶の形状などによって、等方性・異方性に大きく分けることができます。

用いられる磁性素材はセラミックスや希土類磁石などがあり、前者ではフェライト酸化鉄)、後者ではネオジムが代表的な素材です。製品にはシート状、帯状などがあります。

磁石は通常、硬くて脆く、加工が困難ですが、ゴム磁石は柔軟で曲げやすく、加工が容易で、印刷可能なものも多いです。

ゴム磁石の使用用途

ゴム磁石は、柔軟で加工がしやすいので用途は多岐に渡り、特に複雑な形状を必要とする用途に向いています。

フェライトを用いたゴム磁石は、冷蔵庫のパッキン、自動車用の初心者マークなど各種ステッカーや文具、販促品として、また窓やドアのサッシ部分などの建築材として広く用いられています。

ネオジムを用いたゴム磁石は、従来の吸着用のほか、分電盤やセンサー、小型モーター、磁気シールド、音響製品、健康器具など新しい用途に用いられることが増えています。

ゴム磁石の原理

ゴム磁石には、主に、合成ゴムとフェライト磁石粉末からなるフェライトゴム磁石と、合成ゴムとネオジム磁石粉末からなるネオジムゴム磁石の2種類があります。

帯状やシート状の製品があり、切断や穴開けなどの加工が容易で、形状の自由度が高いです。非常に曲げやすいので、ゴムやプラスチックと同じ感覚で使えます。

磁石は、どの方向からもほぼ同じような磁化の強さを持つ等方性磁石と、一方向にのみ磁化させる異方性磁石の2種類があります。等方性のマグネットシートは、初心者マークなどの自動車用ステッカーや販促物、学校教材など、一般に広く用いられています。異方性のマグネットシートは等方性の物より磁力が強く、重量物を保持する用途や工業用部品などに利用されています。

フェライトゴム磁石、ネオジムゴム磁石ともに、N極とS極が交互に配置された多極着磁が標準です。

ゴム類は耐熱性が低いので、ゴム磁石は80~100℃以上のような高温での使用には向きません。また、屋外や多湿な場所で使用すると錆が発生するケースもあり、使用環境には注意が必要です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1800000000/M1805000000/M1805070000/
https://www.nihonjisyaku.co.jp/gom.php
https://www.neomag.jp/products_navi/rubber/rubber_introduction.html
http://www.shimonishi.net/magnet_kikaku/magnet_kikaku01/magnet_kikaku01_06
https://www.jishaku.co.jp/product/rubbermag/rubbermag_top.html
https://www.neomag.jp/mailmagazines/topics/letter200610.html

ゲートバルブ

ゲートバルブとは

ゲートバルブ

ゲートバルブ (英: Gate Valve) とは、液体や気体などの流体をディスク (弁体) で仕切るように遮断して、流路を閉止するバルブです。

一般的に、「仕切弁」「スルースバルブ」も同義語として扱われています。ゲートバルブは、JIS B0100 バルブ用語 Glossary of terms for valves で、「弁体が流体の流路を垂直に仕切って開閉を行い、流体の流れが一直線上になるバルブの総称 」と規定されています。

水門のゲートのようにディスク (弁体) が流路内に滑り込んで遮断するので、ゲートバルブはと呼ばれるようになったと言われています。

ゲートバルブの使用用途

ゲートバルブ_図1

図1. ゲートバルブの使用例

ゲートバルブは、流体の流れを広い圧力・温度範囲において制御できるため、家庭用から一般産業用、学術研究用に至るまで幅広く利用されています。身近な使用例は、水道メータやガスメータ、給湯器の配管などです。

特にゲートバルブは、ディスクの中間開度で使用するとディスクが振動するため、通常は全開もしくは全閉で使用します。したがって、止弁として遮断目的で使用されるバルブです。

一般的に、パイプラインの止弁や水道などの給水配管の仕切弁として、常時開弁もしくは閉弁目的で設置されます。手動ゲートバルブの場合は、ハンドルを多く回す必要があり開閉操作に時間がかかります。

そのため、非常に頻繁に開閉したり、遠隔操作したりする場合は、自動開閉用アクチュエータが装備されたゲートバルブを使用します。

ゲートバルブの原理

ゲートバルブ_図2

図2. ゲートバルブの開閉弁状態と流体の流れ

ゲートバルブの原理は非常にシンプルで、開弁はボディ (弁箱) でディスク (弁体) を下降させ、流路を遮断し流体を閉止します。閉弁はその逆にディスクを上昇させ流路を開放し流体を流します。

ディスクの上昇下降は、ハンドルやアクチュエータによりステムを回転させ、ステムのねじ機構により行われます。

1. ゲートバルブの圧力損失

ゲートバルブはフルポートバルブと設計されていることが多く、ボディ内部と出入口配管の流路面積に差が少なく流路はほぼ直線のため、全開時の圧力損失が極めて小さいことが特徴です。

また、ゲートバルブと同様に止弁として使用することの多いグローブバルブは、ボディ内の流路がS字状なので、ゲートバルブと比べて全開時の圧力損失は大きくなります。

なお、圧力損失とは、流体が配管を通過するときに失われるエネルギー量のことです。配管内壁面による摩擦損失や乱流の生成によって引き起こされます。

2. ゲートバルブのウォーターハンマー現象

ゲートバルブは、開閉時のストロークが比較的大きく、急な開閉ができないため、ウォーターハンマー現象が発生しにくいバルブです。ウォーターハンマーとは、バルブを急速に開閉したときに、流速の急激な変化により管内圧力が過渡的に上昇または下降する現象を指します。

ウォーターハンマーによる圧力変動で、下記のような問題が発生します。

  • 急激な圧力上昇により、配管や接続されたポンプやバルブなどの機器、配管支持金物が破損する
  • 急激な圧力降下により、配管の変形や、水柱分離に伴う二次的な圧力上昇で配管が破損する
  • 圧力変動により圧力制御が困難になる

ゲートバルブの構造

ゲートバルブ_図3

図3. ゲートバルブの構造

ゲートバルブは主に、ボディ (弁箱) 、ディスク (弁体) 、ステム (弁軸) 、ハンドルなどで構成されています。ゲートバルブは、ハンドルまたはアクチュエータによって操作可能です。

ハンドルはステムに取り付けられ、回転をステムに伝達します。開弁時はハンドルの回転でステムねじがディスクを上昇させる方向に回転し、閉弁はその逆回転でディスクを下降させます。

ゲートバルブの種類

1. 開閉操作方式による分類

ゲートバルブ_図4

図4. ゲートバルブの操作・駆動方式

ゲートバルブは、主に下記3種類の開閉させるための操作・駆動方式があります。

  • 手動式
    ハンドルなどでステムを回転
  • 空動式
    空気作動式アクチュエータでステムを回転
  • 電動式
    電動アクチュエータでステムを回転

2. ディスクの形状と構造による分類

ゲートバルブは、下記のようなディスクの形状と構造による種類があります。

  • パラレルもしくはウェッジディスク
    ディスクの断面が「平行」もしくは「くさび状」
  • パラレルスライド
    互いに平行な2つのディスクの組み合わせで、流体の圧力によって出口側のシート (弁座) 面に面圧を与えられる
  • ダブルディスク
    2枚のディスクで構成され、ステムがディスクを押し広げ、入口側と出口側のシート (弁座) 面に面圧を与えられる

3. ステム上昇式・非上昇式

ゲートバルブは、ディスクを上下動させるためにステムを回転させますが、ステム回転に伴い位置が変化かしないかの種類があります。

ステム上昇式
ステム上昇式はステムの回転に伴い、ステムもしくはハンドルの位置が上昇もしくは下降します。ステムやハンドルの位置で開閉度合いが判別できるため、状態を目視などで確認できます。

また、ステムやハンドルが上昇するため、ハンドル操作のため空間が必要です。

ステム非上昇式
ステム上昇式はステムの回転に伴い、ステムもしくはハンドルの位置が上昇もしくは下降しません。ステムやハンドルの位置で開閉度合いが判別できないため、状態を目視などで確認できません。

また、ステムやハンドルが上昇しないため、ハンドル操作のため空間は小さくなります。

4. ボディの材質による分類

ゲートバルブの材質は、ボディの材質で種類を分けることができます。一般的なボディ材質は、下記の通りです。

  • ねずみ鋳鉄品 JIS G5501 FC200
  • 球状黒鉛鋳鉄品 JIS G5502 FCD400
  • 圧力容器用炭素鋼鍛鋼品 JIS G3202 SFVC 2A
  • 高温高圧鋳鋼品 JIS G5151 SCPH2、SCPH21
  • ステンレス鋼鋳鋼品 JIS G5121 SCS13A、SCS14A
  • 銅及び銅合金鋳物 JIS H5120 CAC406 青銅鋳物3種
  • 銅及び銅合金の棒 JIS H3250 C3771 鍛造用黄銅

ボディ材質は、下記のような要件に基づき選定します。詳細は各メーカのカタログ等を参照してください。

  • 流体の種類、圧力、温度、流速、不純物の有無
  • 耐食性対応の要否
  • 適用される法規、規格

参考文献
https://www.kitz-valvesearch.com/kiso/type_index.html
http://www.yamatovalve.co.jp/products/gate-v.html
http://www.cgc.co.jp/tomoe/products/pdf/precautions/precautions5.pdf

クリモマスター風速計

クリモマスター風速計とは

クリモマスター風速計とは、日本カノマックス社製の多機能型風速計です。携帯型の室内環境測定用風速計です。

風速・風温とともに、湿度を同時に測定することができます。さらに、不快指数や風量、露点の演算も可能です。同じ日本カノマックス社製のアネモマスターとの大きな違いは、湿度を同時計測できる点です。

熱式風速計トップクラスの2%という高い測定精度を持ち、測定範囲は-20℃~70℃と広く、また、ユーザーが目的に応じてプローブを交換することができるので、室内の空気環境の測定、空調機器の保守点検など、様々なシーンに対応可能です。

クリモマスター風速計の使用用途

クリモマスター風速計は、室内環境、空調機器、検査制御などの分野で使用されます。具体的には、空調システムの保守管理や、クリーンルームの環境評価などです。センサーを備えたプローブと本体がケーブルで繋がっており、空調システムの排気口などの風口付近に直接プローブを当てて測定します。ク

リモマスターは風速だけではなく風量や温度、圧力も同時に測定することが可能です。室内環境測定の分野では、住宅やオフィスビル内などの空気環境の測定、建築物衛生法に基づく測定、建物内や工場内の空調管理・環境測定、健康増進法に基づく分煙効果の測定などに用いることができます。

検査制御の分野では、冷却効果を検査するためにPC内部などの風速測定を行ったり、乾燥効果率などの製品の性能試験を行ったりすることが可能です。

クリモマスター風速計の原理

1. 熱線風速計の原理

Fig1 熱線式風速計の原理

図1. 熱線式風速計の原理

クリモマスター風速計は、熱線風速計 (熱式風速計) です。熱線風速計では、風速センサーは加熱されています。センサーに風が当たると熱が奪われて、センサーの温度が変わります。

温度の変化に伴い、センサーの抵抗値も変化し、風速が早ければ早いほど変化は大きくなります。このことから、抵抗値 (または電流) を測定することで、風速を知ることが可能です。

熱線流速計には、定温度型と定電流型の2つの方式があります。 前者は細線温度Twを一定にし, 後者は電流Iを一定に保つ方式です。電気回路としてはI を一定に保つ定電流型が簡易であり、クリモマスター風速計はフィードバック制御に優れた定温度型を採用しています。

この方式では、センサーは常に一定温度になるようフィードバック回路で制御されていますが、風速の高低に応じてセンサーから奪われる熱量 (放射熱量) は変化します。これを補うようにセンサーに流される電流の量から、風速値を知る仕組みです。

湿度計の原理

Fig2 湿度計の原理

図2. 湿度計の原理

湿度の測定には、静電容量タイプと抵抗式があります。静電容量タイプは低湿度に強く、応答速度が速いというメリットがあります。一方、抵抗式は安価でノイズに強く小型化が可能ですが低湿度測定ができません。

クリモマスターでは、静電容量タイプを採用しています。下からガラス基板、下部電極、高分子薄膜、上部電極から構成されていて、高分子薄膜への水分の吸脱による誘電率の変化を電極でとらえます。この電気容量の変化が相対湿度に比例しており、これを検出します。

クリモマスターの特徴

Fig3 無指向性プローブ

図3. 無指向性について

クリモマスターは、熱線式風速計として2%と高い測定精度を誇る携帯型の風速計です。携帯型であっても風速・風温・湿度の同時測定や風量・露点の演算機能など機能も豊富です。

プローブも2023年5月現在8種類のものが用意されています。それぞれのプローブは、大雑把に風速の測定範囲で0.01~30m/sと0.01~5.00m/sに分かれています。また、風の向きが正確にわからない場合に便利な無指向性のプローブも販売されています。無指向性のプローブを使うと、どの向きであっても風速の絶対値を測定することができるプローブの向きを気にせず風速を測定可能です。

参考文献
http://www.kanomax.co.jp/product/index_0003.html
http://www.kanomax.co.jp/img_data/file_731_1570579745.pdf
https://www.rex-rental.jp/faq/product/62
https://www.monotaro.com/
https://www.keisokuten.jp/file.php?id=7949
https://benesse.jp/teikitest/chu/science/science/c00646.html

オルダムカップリング

オルダムカップリングとは

オルダムカップリング (英: Oldham coupling)  とは、2つの軸を結合して回転を伝達する機械要素であるカップリング (軸継手) の一種です。

2つの軸にそれぞれ固定されたハブ部の間に樹脂または金属のスライド部が入っており、これがスライドすることによって偏心や偏角を吸収します。また、様々な種類が存在するカップリングの中で、リジッドカップリングに並んで低コストである点もメリットです。

オルダムカップリングの使用用途

カップリングは、モータや回転シリンダーなどの駆動軸と従動軸を、軸間の偏心や偏角、エンドプレイのミスアライメントが発生する箇所や軸の径が異なる場合でも軸同士をつなぎ動力を伝達させるときに使用します。

ミスアライメントの許容範囲が比較的大きく、低コストのため、一般的な機械で広く採用されています。

1. インダクションモータの駆動軸接続

バックラッシがあるため回転の位置決め精度は低く、サーボモーターステッピングモーターなど高精度回転制御の接続には不向きです。インダクションモータを使用する場合や一定方向回転のみの使用部位での軸継手として多く採用されます。

2. 複数治具などの段替え部

オルダムカップリングのスライド部分は、はめ込みのみで容易に分解、交換可能のため、駆動軸と従動軸の分離、再接続も容易です。複数の治具などを段替えがある場合に、駆動部は固定で段替え時に各治具の従動軸と駆動軸の分離、接続して使用する用途などに利用されます。

また、メンテナンス時などの駆動源の一時的な切り離しなどでも活用されます。

オルダムカップリングの原理

図1. オルダムカップリングの構造

オルダムカップリングの構造は、両側に設けられた2つのハブと、ハブの間に設置するスペーサの3つの部品です。スペーサには、一面に直線状のスライド溝が設けられており、反対面に軸心方向からみて直交したスライド溝があります。

ハブにはスペーサの溝巾に合わせた凸部があります。この凸部とスペーサのスライド溝をはめ合わせることで、2つハブとスペーサは軸心方向から見て十字方向に自在にスライドする構造です。

オルダムカップリングの特徴

オルダムカップリングは、2つのハブのスライド移動により、偏心のズレを吸収し、偏角はスライド部の傾きによって吸収するため、比較的大きなミスアライメントも許容可能です。ただし、ハブ部とスライド部に設けられた溝のクリアランスによってバックラッシが発生するので、高精度の位置決めが要求される場合や正逆回転を繰り返す用途には不向きです。

オルダムカップリングの種類

オルダムカップリングのハブ部は、アルミ合金 (ジュラルミン) やステンレス、炭素鋼などが使用されます。スペーサは摺動部の摩擦低減のため、ポリアセタール、ジュラコン、PEEKなど潤滑性のある樹脂が使用された物が多いです。

スペーサの材質にはアルミ青銅や銅合金を使用し、高剛性や高トルクに対応したタイプもあります。

オルダムカップリングのその他情報

1. メンテナンス性

スライド部は摺動によって摩耗するため、高速回転での使用や長期間使用する場合は、スペーサの交換が必要です。また、スペーサはその形状から溝部に応力集中が起こりやすく、衝撃負荷が加わると破損する恐れがあります。

ハブ部を軸に固定していない状態の場合、いつでも取り外し分解することができるので、メンテナンスしやすくなっています。

2. 軸の固定方法

図2. 軸との固定方法

軸との固定方法は、クランピング方式とねじ止め方式の2種類です。ねじ止め方式では、キー溝を併用したタイプもあります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0011.html#sec3
https://mighty-corp.co.jp/tag/
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/couplicon-about/