工業用ハンドソープとは
工業用ハンドソープとは、工場や整備現場で手に付着した頑固な油汚れを落とす強力なハンドソープです。
機械油やグリスといった特殊な汚れを除去することに特化して開発された製品です。通常の石鹸が汚れを泡で包み込んで落とすのに対し、多くの工業用ハンドソープにはスクラブと呼ばれる微細な粒子が含まれています。この粒子が研磨剤の役割を果たし、指紋やシワの奥に入り込んだ油汚れを物理的にかき出す仕組みです。
以前はプラスチック製の粒子が主流でしたが、近年では環境への配慮から天然由来のスクラブを採用する製品も増えています。油汚れを放置することは皮膚炎のリスクを高めるだけでなく、製品への汚れ移りなど品質管理上の問題にもつながります。適切なハンドソープの選定は現場の衛生管理において非常に重要です。
工業用ハンドソープの使用用途
工業用ハンドソープは以下のような用途で使用します。
1. 自動車整備工場・機械加工現場
自動車のエンジンルームの整備や、工場での機械メンテナンスでは、粘度の高い潤滑油やグリスを扱います。これらの油分は水を弾く性質が強く、一度皮膚に付着すると酸化して黒ずみとなり、簡単には落ちません。工業用ハンドソープはこうした鉱物油特有のベタつきを素早く分解し、洗い流すために利用されます。
2. 印刷・塗装作業現場
印刷業界で使用されるインクや塗装現場の塗料は、乾くと固着する性質があります。通常の洗浄剤では溶解させるのが困難です。特に2液性の塗料や特殊な樹脂を含んだインクは、皮膚に強力に密着します。こうした化学物質系の汚れに対して、工業用ハンドソープは優れた洗浄力を発揮します。
3. 建設現場
建設や土木の現場では、油汚れだけでなく泥汚れや接着剤など、多種多様な物質が手に付着します。特に接着剤や粘着質のシーリング材は、水洗いだけでは伸びてしまい、かえって落ちにくくなるケースが少なくありません。工業用ハンドソープに含まれるスクラブ粒子は、こうした粘着性のある物質を物理的に剥離させる助けとなります。