ピンゲージ

ピンゲージとは

ピンゲージとは、主に製品の穴の内径を測定したり、穴の大きさについて規格に対する合否判断をすることを目的とした測定ゲージです。

通常は太さが異なる複数のピンゲージが、セットとして販売されています。3点マイクロメーターといった、測定した結果が数字で読み取ることができる測長機による穴径測定では、測定者の熟練度によりばらつきが発生します。

しかし、ピンゲージを使用すれば、測定者の熟練度に関係なく安定して測定を行えるため、測定のばらつきを抑えることができます。

ピンゲージの使用用途

ピンゲージは、工業製品の加工現場や検査工程で使われています。特に小さな穴の内径は、3点マイクロなどの測定器で計測することはできません。そこでピンゲージを用いて、穴径の合否判断をします。

ピンゲージは穴の内径の大きさに関する測定ゲージですが、応用として2つの穴の距離の計測に利用することができます。2つの穴にそれぞれガタがなく挿入できるピンゲージを入れ、2本のピンゲージの外径同士をノギスなどで計測し、2本のピンゲージの半径を引くと、2つの穴の中心間距離が分かります。

さらにピンゲージは、歯車の計測でも利用されます。歯車の歯の厚さを評価する諸元に、オーバーピン寸法というものです。2つのピンゲージを歯車の間に入れて、ピンの外径同士の距離を測ります。内歯の場合でも同様の測定から、歯車の歯の厚さが評価するというものです。内歯についてはビトゥインピン径と呼ばれています。

ピンゲージの原理

ピンゲージは測定ゲージの一種です。原理は他の測定ゲージと同様、通過するゲージと通過できないゲージの大きさから、評価対象の穴径を判断します。

ピンゲージは外径はもちろん、真円度や円筒度なども厳しく管理されています。非常に精度が良く作られているので、評価したい穴に挿入することによって、対象の穴の内径を知ることができます。例えば、3.05mmのピンゲージが通過し、3.10mmのピンゲージが挿入できない穴の内径は、3.05~3.10mmであると判断するというものです。

ピンゲージのその他情報

1. ピンゲージの扱い方

ピンゲージを扱う際は、温度に注意が必要です。ピンゲージの多くは直径が小さく、体積は大きくはありません。長時間手で触れていると、体温でピンゲージが熱膨張します。

熱膨張してしまったら、表示されている数値よりも、直径が大きいピンゲージになってしまいます。ピンゲージは非常に単純な円筒状のピンですが、丁寧に扱わなければなりません。例えば、表面に傷がついてしまったら、正しい評価をすることができなくなります。

傷以上に特に気をつけたい点は、錆の発生です。鋼や超合金製のピンゲージの場合、素手で触ると汗に含まれる水分の塩分によって錆の発生につながりかねません。

金属製のピンゲージを扱う際には手袋を着用するか、素手で扱った後は綺麗で柔らかい布や皮で拭き取った後、軽く防精油を塗布しておくとよいでしょう。

2. 栓ゲージとの違い

ピンゲージ同様に、評価する穴に挿入して測定する測定具に栓ゲージがあります。栓ゲージは両端に大きさが異なる二つの円筒があり、それぞれを通り側と止め側にすることによって、検査する穴の内径が規格の範囲内であるかどうかを素早く判断することができます。

栓ゲージは穴の内径の検査を、比較的容易で素早く行うことができるので、ピンゲージよりも大きな内径の穴に対しても広く使われています。

3. ピンゲージの材質

ピンゲージは鋼、超硬合金、セラミックでできています。穴に通して使うため、硬く耐摩耗性に優れた材質が選ばれています。鋼製のピンゲージは比較的安価に手に入れることができます。超硬合金は鋼製よりも耐摩耗性が優れているのが特徴です。

セラミックはメンテナンス性に優れています。金属ではないので錆の発生を気にする必要がありません。ただし、錆びないからといって乱暴に扱うのではなく、丁寧に扱うことが大切です。

参考文献
https://senbanmania.com/archives/426

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