微風速計

微風速計とは

微風速計

微風速計 (英: Breeze anemometer) とは、製造工場や研究室の環境測定、安全管理、ビル管理などの目的で風の速さを測定し、 デジタル表示させる風速計の1種です。

0.01m/s以上の風速分解能を持ち、非常に弱い風速測定にも対応可能な機器で、狭いところや室内での計測によく使われます。熱線式で風量、温度測定にも対応しているものや、メモリー機能付きでパソコンやプリンターへ接続可能なもの、プローブ延長棒付き、ダクト入力機能付き、高温測定用、JIS準拠品、ワイヤレス風速計まで、大きさや機能によって様々です。

用途や室内環境を考慮したうえで、適した機器を選ぶ必要があります。

微風速計の使用用途

微風速計は従来、屋内の換気機能を検査することによって快適性を評価するために使われましたが、最近は風に対する建築物の影響を測定したり、クリ-ンルーム内の環境を管理したりなど、様々な場所で使われています。 使用例は以下の通りです。

微風速計の原理

風速計には、速い流速での測定ができるピトー管式風速計、温度変化の影響を受けにくいベーン (風車) 式風速計、金属線の熱損失から風速を計測する熱式風速計、超音波を用いる超音波式風速計などがあります。微風速域においては、レーザードップラー式風速計や熱式風速計が微風速計として使われます。

Fig1 レーザードップラー風速計の原理

図1. レーザードップラー式風速計の原理

レーザードップラー式風速計では、光路差を与えた2本のレーザー光を干渉させて、干渉縞をまずつくります。流体中にトレーザ粒子を流し、この干渉縞を通過することでトレーサ粒子からの散乱光の強度が変化します。

この強度変化を読み取り、ドップラーシフト周波数を検出し、粒子 (流体) の速度を求めます。 液体や気体の流れを非接触で観察できるため、流れを乱すことがありません。 時間分解能が高いため微風速の測定も可能です。

Fig2 熱線式風速計の原理

図2. 熱線風速計の原理

熱線風速計は、金属線の熱損失を応用して風速を求めています。プローブの内部には熱した金属線 (熱線には、プラチナなどが使われます) が組み込まれています。

プローブ部に風を当たると、風によって冷やされ金属線の温度は下がり、この冷却された熱の量が放散熱量です。風が強ければ強いほど、金属線の温度は下がります。

この風量と放散熱量の関係から風速を求めます。この「失われる熱の量は、風速の2分の1乗に比例する」という、Kingの式による近似式に基づいています。

微風速計の選び方

レーザードップラー式風速計はトレーサ粒子が必要であったり、値段が高いことから工業的に利用するのは難しいです。しかし、非接触でほかの風速計では対応していないものを測れる可能性があります。流体研究など、より詳細な流れを知りたいときに検討すると良いです。

一方、熱線式風速計は、広く市場に普及しており手軽に扱うことができます。携帯型や多点計測ができるモデルなど種類があるため、用途にあわせて選択することが大切です。

微風速計のその他情報

微風速計の校正

微風速領域は、測定が困難なため校正を頻繁に行うことが大切です。特に熱線式風速計は、プローブに微小なゴミがつくだけでも測定精度が悪くなります。微風速の校正とトレーサビリティ体系は産業技術総合研究所が国家標準となっており、社外校正機関として日本品質保証機構が受け持っています。

風速の分類は0.05m/sから1.5m/sの範囲を微風速、1.3m/sから40m/sを気体流流速と定められています。一般に非常に遅い風速を作ろうとすると流れは不安定になり、校正が難しくなります。

そこで、微風速の校正設備には風速計を静止気体中で運動させる走行台車を使用します。この方式では、空気を完全に停止させる必要があるので、自然対流の影響を避けるために地下トンネル内 (地上からの深さ8m、年間の温度変化は20℃を中心に±2℃以内) に設備を置き、十分な測定時間をかけて校正を行います。

参考文献
https://ureruzo.com/AMwbgt10.htm
http://www.kanomax.co.jp/technical/detail_0013.html
https://ureruzo.com/AMwbgt10.htm
https://www.transtech.co.jp/product/tsi_anemometer_appnote_1

張力計

張力計とは

張力計とは、ベルトや繊維、ロープなどの張力を測定する装置です。

テンションメーターとも言われます。

張力計の使用用途

張力計は、紐状の被測定物の張力を測定するのに使用されます。張力とは物質を引っ張ったときに内部で生じる引き合う力のことです。物質や製品ごとに耐えられる張力は異なります。この張力を超えると物質は引張りに耐えられず、破断し、繊維がちぎれる、断線する恐れがあるため物質や製品ごとの張力の測定は重要です。

張力計はワイヤーやロープなどの吊るす用途に使用される製品の張力測定に使用されます。特に引っ張った状態で使用されることが多い線やウィンチロープやエレベーターのワイヤーなどの評価に使用され、張力は高荷重の製品の評価において非常に重要な特性です。

張力計は、フィルムや束になったリボンなどの評価にも有用です。これらの場合は、製品の耐久性の評価として使われ以外に、巻取りなどの製造プロセスにおいてどの位の力で引っ張っても製造可能かを評価するためにも使用されています。

張力計の原理

張力計の最も基本的な構成は、紐状の被測定物を2箇所で支え、中央で押し上げる若しくは押し下げる構造です。この押し上げる若しくは押し下げる力を張力として測定しています。

このような構造の張力計は、携帯性が高く便利ですが、被測定物がきちんと引っ張られていないと正しい張力を測定できません。人間が保持した状態での測定は作業者の体の動きなどが精度に影響するため、スタンドに固定して測定するのが望ましい使用方法です。

また各種装置に使用されているベルトなどの張力を測定するペンシル型張力計では、2つのプーリー間に張られているベルトの中央部をペンシル型張力計で押圧し、押圧力からベルトのたわみ量を差し引いたものを張力としています。また、ベルトの張力の測定には、音波式ベルト張力計も使用されており、ベルトに力を加えて弾き、ベルトから発生する音波を読み取って張力に換算する仕組みです。

張力計のその他の情報

1. ペンシル型張力計の使い方

ここでは、安価で最もポピュラーなペンシル型張力計を用い、2つのプーリー間のベルト張力を測定する場合について説明します。

まず、スパン長を測定します。スパン長とは2つのプーリーの中心同士を結んだ長さです。次に、測定したスパン長をもとにベルトのたわみ量を計算します。例えばVベルトの場合、たわみ量 (σ : mm) とスパン長(L: mm) の関係は、「たわみ量 (σ : mm) = 0.016 × スパン長 (L: mm) 」です。

次に、張力を測定します。スパン長の中心部分に張力計をあてて押さえつけていきます。ペンシル型張力計にはたわみ量を登録して差し引く機能がついているので、表示されている値が張力となります。

2. 張力計アプリの信頼性

音波式ベルト張力計に類似した機能を持つスマートフォン用張力計アプリも開発されています。例えば自動車などの伝動ベルトのようなある程度テンションがかかっているベルトであれば、スマートフォン用張力計アプリでの張力測定が可能です。

これは、音波式ベルト張力計と同様の原理で、テンションがかかっているベルトを弾くことで音波を発生させ、それをアプリで検知することで張力を推定するという仕組みです。Vベルト、ローエッジベルト、タイミングベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどに対応しています。

ただし、このようなスマートフォン用張力計アプリでは、音波を測定するスマートフォンのマイクの感度によって精度が大きく変わってしまいます。マイク感度が高ければ、精度が上がり、マイク感度が低ければ精度が下がるため、スマートフォンの性能や測定者のマイク感度の設定により精度が大きく変わることが課題です。

このため、研究や業務など精度の高い張力測定が必要な場合は、スマートフォン用張力計アプリは適しません。アプリの使用注意事項にも注意がありますが、スマートフォン用張力計アプリによる測定値は、あくまでも参考値として捉えるべきです。

参考文献
https://www.forcegauge.net/catalog/products/top/tensionmeter
https://www.forcegauge.net/catalog/products/top/tensionmeter/digital_tensionmeter
https://pac-tech.com/publics/index/23/
https://www.kougu-damashii.jp/product/7082
https://www.mitsuboshi.com/japan/smart_tension/index.html

導電率計

導電率計とは

導電率計とは、物質や溶液の導電率を測定するための計測機器です。

導電率は物質が電流を通す能力を表す物理的な特性です。導電率計では電流を試料に流し、それによって生じる電圧の測定を通じて導電率を計測します。

導電率計の使用用途

導電率計はさまざまな用途で使用されます。以下は導電率計の使用用途一例です。

1. 水質試験

導電率計は水の導電率を測定するために使用されます。水の導電率はその中に溶解している溶質やイオンの量に関連しており、水の純度や汚染度を評価するために導電率計が利用されます。飲料水やプールの水質管理、環境モニタリングなどがその一例です。

2. 鉱業と冶金

導電率計は鉱業や冶金業界でも広く使用されます。鉱石の導電率測定によって、鉱石中の金属の存在や濃度を評価することが可能です。また、金属の溶解や精錬プロセスの制御においても、導電率計が使用されます。

3. 電解液の品質管理

電池液などの電解液における導電率を測定するために使用されます。電解液の導電率は品質に関わる重要な指標です。導電率計を使用して電解液の導電率を監視することで、電池の性能や製品の品質を確保することができます。

4. 発電・ボイラー

発電所では、タービンや発電機などの機器を冷却するために大量の水が使用されます。冷却水の導電率を測定することで、水の純度や汚染度を把握することが可能です。

また、発電所のボイラーでは水を加熱して蒸気を発生させます。ボイラー内の水中には不純物や溶解酸素が存在し、それらがボイラーの効率や耐久性に影響を与える可能性があります。導電率計を使用してボイラー内の水の導電率を測定することで、水中の不純物や溶解酸素の濃度を監視します。

導電率計の原理

導電率計は、電流と電圧の測定を通じて導電率を計測します。まず、導電率計によって電圧を印可し、電流を試料に流します。試料は、導電性を持つ物質や溶液である場合が一般的です。電流が試料内を流れると、試料中のイオンや溶質が電荷を運びます。

試料の抵抗値に応じて、一部に電圧降下が生じます。導電率計は試料中の電圧降下を測定し、電流との比率を計算することで試料の導電率を求めます。また、電極を4本使用する方法も存在します。

この方法では、電極接触抵抗や試料の表面効果を補償することが可能です。複数の周波数の電流を使用して測定を行い、導電率の周波数依存性を評価することもあります。

導電率計の種類

導電率計には接触式や誘電式などの種類があります。

1. 接触式導電率計

電極をサンプル溶液に直接接触させて測定する方式です。電極に異物が付着すると測定値が変動するため、固体を含まない溶液や電気伝導率が低い純水などの測定に用いられます。測定原理が比較的簡単である点が特徴です。

2. 誘電式導電率計

誘電体の特性を利用して導電率を測定する方式です。誘電体は、電荷の蓄積と解離が起こることで導電性を示します。誘電式導電率計では高周波信号を試料に印加し、誘電体の特性による影響を測定します。

非接触測定が可能であり、試料と電極の接触抵抗の問題を回避することが可能です。また、腐食液や高イオン濃度の溶液でも測定できます。誘電体の特性による情報も得られるため、試料の物理的な変化や濃度の変動を評価することができます。

導電率計の選び方

導電率計を選ぶ際は、測定レンジや試料の性質などから選定します。

1. 導電率

導電率計は測定可能な導電率の範囲があります。測定対象の導電率範囲に合わせて、適切な導電率計を選ぶ必要があります。導電率が低い試料から高い試料までを測定する場合、それに対応できる広範囲の導電率計が必要です。

2. 測定精度

測定精度も重要な要素の1つです。一般的に、測定範囲が狭い方が測定精度が高い傾向があります。必要とされる測定精度を考慮し、測定レンジとの兼ね合いを確認して選定します。

3. 試料の性質

測定対象の試料の性質も考慮に入れる必要があります。液体の導電率測定であれば、防水性や耐薬品性が求められる場合も多いです。また、試料の温度や圧力の範囲に耐えられるような導電率計を選ぶことが大切です。

参考文献
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/electrochem/ec/
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/b_sensor/0012/index.html
https://www.mt.com/jp/ja/home/products/Process-Analytics/conductivity-sensor.html

密度計

監修:株式会社アントンパール・ジャパン

密度計とは

密度計は液体や固体の密度を測定する装置です。密度は試料濃度や溶媒の種類によって変化する値であり、様々な業種で密度測定は行われます。密度測定の手法としては液体では振動式密度計、固体ではピクノメーターと呼ばれる手法が使われます。

密度測定は繰り返し精度が高く、小数点以下3-5桁(g/cm3)で測定を行うことが可能です。また、通常の卓上密度計に比べると精度は劣るものの携帯性に優れているハンディタイプの密度計も販売されており、現場でデジタルでの測定が可能です。また、配管に取り付けて連続的に液体密度を測る、プロセス密度計(オンライン密度計)も存在します。

密度による濃度測定

密度値が濃度度密接な関係を示すことを用い、様々な業界で2液混合物の濃度計として使用されています

例えば、アルコール濃度の測定用としては、国税庁の所定分析法にも密度計での測定が定められています。エタノールのほかに、IPA、塩酸硫酸水酸化ナトリウムアセトン、NMP、ガソリン、軽油、潤滑油、冷媒、ビール、糖(Brix)、など幅広く対応できるため、化学、石油、食品、飲料、半導体、電池、自動車など使用する業界を問いません。

また、液体濃度だけでなく、スラリーなどの固形分濃度計に使用できる密度計も存在しますが、対応する装置かどうか確認が必要です。

液体密度の測定原理

液体用デジタル密度計の測定方法については、JIS等で規格化(JIS Z 8804:2012、JIS K 0061)されています。これはASTM、DINなどでも同様にUチューブを使用した振動式密度測定方式として登録されています。

密度計によっては、この方法を採用しているものの他に独自の方式で振動式密度計の値と相関を取っている分析計もあるので、注意が必要です。

また、コリオリ式の質量流量計などでも密度測定は可能ですが、これは振動式密度計とは異なりますので事前に目的にあった装置を選定することが必要です。

固体密度の測定

固体密度測定は、様々な産業分野の研究、開発、品質管理の取り組みに使用されています。これらの技術の一つを国際的に認められた試験方法として用いられています。実際、固体密度測定について記述された標準試験法の多くは、これらの装置を中心にして作成されたものです。

こうした試験法は今日あらゆる業界で採用されています。タップ密度計、ガスピクノメーターなど、目的に合わせた方式を選定することが必要です。また、ASTM、ISO、UOP、USP、MPIF、JISなど多くの測定方法に適合しているかどうかの確認も必要になります。

他の物性値との同時測定

密度値は非常に一般的な物性値のため、多くの分野で測定されていますが、そのようなケースでは他の物性値と同時に測定が行われます。

液体密度計などでは、装置内のU字管にサンプルを注入して測定します。密度計から出たサンプルを屈折率計などに導入することにより、短時間に複数項目の測定を可能にします。効率を求められるラボで活躍するだけでなく複数のパラメーターを用いることで複雑な分析を実施することも可能です。

3成分分析や、体積弾性率の算出などがそれにあたります。これは、卓上型密度計や、プロセス密度計で実現可能です。

測定の注意点

密度測定は、試料を一定量装置に入れて測定するため、気泡や不純物が混入していると、それも含めた測定になってしまいます。液体やスラリーの場合は気泡を確実に除去することが必要です。

本記事は密度計を製造・販売する株式会社アントンパール・ジャパン様に監修を頂きました。

株式会社アントンパール・ジャパン様の会社概要はこちら

回転速度計

回転速度計とは

回転速度計とは瞬間的な回転速度を計測する装置のことです。

回転計とも呼ばれますが、その中には積算的に回転数を計測する回数計も含まれます。エンジンやモーター、発電機などの回転速度を計測するために使用されます。

古くは機械的な現象を周波数変換し回転速度を計測するアナログ式の回転速度計が使用されてきましたが、近年では非接触で瞬時に回転速度を計測することができる光学式回転速度計が主流です。これにはレーザーやLEDが用いられます。

回転速度計の使用用途

回転速度計は様々な機械の回転速度を計測するために使用されます。例えばエンジンです。エンジンの回転速度はその出力やトルクに大きく関係します。高速すぎると安定性が失われ破損の危険性もあるからです。また、自動車などの変速装置で細かく速度を変換させるためには常に回転速度を計測しておく必要があります。さらに、空調設備や換気装置の回転速度の検証にも使用されます。これらの回転速度は性能に直結するので性能評価の面で役立つのです。

回転速度計の原理

古くから使われている回転速度計は機械的な動作から回転速度を計測していましたが、近年では光学式の回転速度計が主流です。光学式では非接触で計測することが可能で、回転速度計や測定対象を傷つけたり消耗させたりすることがありません。また、光学式回転速度計の光源にはレーザーやLEDが使用されます。これらは用途に応じて使い分けられます。

ここでは、それぞれの用途と特徴についてご紹介します。

  • LED
    LED光源はレンズの上で少し散乱を引き起こすため、測定対象までの距離に応じて測定可能範囲が大きくなります。しかし、レーザーに比べると光強度は小さいため遠くの対象まで測定することは難しくなります。
  • レーザー
    レーザー光源は光強度が大きく輝度も高いため、遠くの対象物まで十分に測定することが可能です。しかし、この性能によって測定範囲は狭くなってしまいます。また、正しく測定するためにはぶれずに安定してレーザー光を当てる必要があります。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_revo.htm
https://www.testo.com/ja-JP/products/tachometer

回転継手

回転継手とは回転継手

回転継手とは、固定された配管と回転する軸の間で水や空気、油などの流路を形成することができる継手です。

ロータリージョイントスイベルジョイントと呼ばれる場合もあります。

回転継手を使用することで回転体に対して連続的に流体を供給し、内部で流体を循環させることが可能となります。この機能を利用して、回転ロールに冷却や潤滑などの機能を追加したり、回転体上の機器に動力源となる流体を供給したりすることができます。

回転継手の使用用途

回転継手は、回転体に対して水や空気、油などの流体を供給することができるため、回転体に冷却や潤滑の機能や動力源を与える場合などに使用されます。

冷却用途の代表例として冷却ロール(チルロール)が挙げられます。冷却ロールはシート状の製品を搬送するロールの内部で水や油などの冷媒を循環させることで、ロール表面の製品を冷却するためのロールで、流体の供給には回転継手が使用されています。

また鉄鋼業界などでは、回転する巻取軸に接続されたシリンダに動力源の油圧として、回転継手を用いて油を供給する場合があります。

回転継手の原理

回転継手は固定側の流路と回転側の流路およびこれらの流路を密閉するためのシールによって構成されています。固定側の流路は回転軸上あるいは円周上に配置されており、回転側の流路と常に接続している状態となるため、回転体に対して連続して流体を供給することができます。

回転継手は流路の数が1ポートのものから20ポート以上のものまで製品化されており、使用する流体の数によってポート数を設定します。シート状の製品を扱う工場で多く使用される冷却ロールでは、使用する冷媒は水のみであることがほとんどで、この場合には往路と復路の2つのポートを有した回転継手が使用されます。トンネル掘削を行うためのシールドマシンでは、削泥剤や作動油、グリスなどの多くの流体を供給する必要があるため、多数のポートを有する回転継手が専用に設計されています。

また、使用する流体の温度や腐食性などによって使用する回転継手の材質も変更する必要があります。それぞれ高温流体を供給する場合にはシールの耐熱性が高い製品、腐食性が強い流体を供給する場合にはステンレスや銅合金の回転継手を選択します。

参考文献
http://www.sealtech.co.jp/products/rotary/joint_about.html
https://www.nambu-cyl.co.jp/product/rotarycyl.htm

回転レーザー

回転レーザーとは回転レーザー

回転レーザーとはレーザーを用いたレベリング装置の一つです。

メーカーによって名称は異なり、レーザーレベルと呼ばれることもあります。レベリングとは水平にするという意味で、建築現場では非常に重要な工程です。床や窓枠が水平でなければきれいな構造の建物になりません。回転レーザーは回転しながらレーザーを放ち、それを受光器で受け取ることによって簡単に水平出しが可能です。面積の広い屋外や勾配のある場所でも使用することができます。

回転レーザーの使用用途

回転レーザーは水平出しをするために使用されます。まず、回転レーザーを設置し広い場所で回転しながらレーザーを放出させます。水平さを確認したい場所に受光器を設置してレーザー光を受け取ることで簡単にレベリングが可能となるのです。回転レーザーを使うことで一人で作業することが可能となり、一度にたくさんの位置の測定ができます。これにより水平さが確認されると、コンクリート打ちや建物の床面の仕上げ、側溝や排水設備の確認ができます。

回転レーザーの原理

回転レーザーは水平出しをすることができる装置の一つです。ここではその回転レーザーの原理や特徴についてご紹介します。

回転レーザーには主にレーザー光源のついた回転ヘッドと操作パネル、電源部分が備わっています。この装置を三脚などに設置して使用します。測定の基準点に回転レーザーを設置し、レーザー光を放つと回転ヘッドによって均一な水平方向に光が放たれます。次に壁や標尺に受光器を設置しておくことでその点でのレーザー光の高さを知ることができます。基準点と比べた際にどの程度差があるかで水平さを確認することができるのです。

回転レーザーは強力なレーザー光を放つことができるため日中や明るいときにも使用できます。しかし、雨の日は装置の故障が考えられるため使用できません。また、レーザー光が届く範囲も広いため、大きな倉庫や屋外での使用も可能です。さらに、レーザー光を水平よりも傾けて使用できるものもあり、急な勾配面でも遠くまで計測することができます。

包装機

包装機とは

包装機

包装機とは、食料品や医薬品を効率的に梱包・パッケージするための機械のことです。

主に生産工場で利用されており、その種類も多岐にわたります。充填機やピロー包装機、シュリンク包装機、シール機、結さつ機などがあり、各々が異なる機能を持ちます。

また、自動計量機能が付いた包装機は製品の重量や個数を一定に揃えられ、真空パック用の包装機はパッケージ内に真空を作ることが可能です。これらの多様な包装機を利用することで、食料品や医薬品に最適なパッケージを実現できます。

包装機の導入により、生産効率の向上や品質管理が容易になるため、食品や医薬品の安定供給にも寄与しています。近年では、さらなる高速化や省エネルギー化が求められる中、包装機の技術も日々進化し続けています。

包装機の使用用途

包装機は、食品工場や医薬品工場で製品を効率的にパッケージするために活用されています。例えば、液体をボトルに詰める際はボトル充填機が適しており、粉末をスティック包装にしたい場合や冷凍食品、スナック菓子を包みたい場合はピロー包装機が採用されています。

また、牛乳パックのような箱型の容器に製品を入れる場合は、容器成形充填機が適しています。食品を外気から遮断し、長持ちさせることが求められる場合はシール機が用いられ、真空やガスを封入したい場合はガス封入包装機や真空包装機が最適です。

パンなどを袋に詰めた後、袋の口を閉じる際は結さつ機 (クロージャー) が役立ちます。さらに、包装が終わった製品を段ボールなどの箱に詰める作業では箱詰め機が活躍し、総菜などが入ったトレーをフィルムで包む際にはシュリンク包装機が適しています。

包装機の原理

包装機の原理は、製品の種類や包装方法によって異なります。

1. 充填機

充填機には液面規制式、ピストン式、ウェイト式、メーター式などがあり、それぞれの方式で充填量を調整可能です。液面規制式は液面センサーで容量を確認し、ウェイト式とメーター式は重量や計量機能を利用します。ピストン式は、粘度の高い液体を充填する際に有用です。

2. ピロー包装機・シール機

ヒーターを使ってフィルムを圧着し、同時にカッターで切断して製品を包装可能です。シール機では、空気が入らないようにスポンジなどのクッションで袋を押し潰す工程があります。

3. 結さつ機

ベルトコンベアで搬送され、袋詰めされた製品の口を絞り、バッグクロージャーやビニタイで括り付けます。

4. 箱詰め機

ロボットアームとセンサーを用いて製品を箱に詰める仕組みです。製品と箱の検知により、適切に詰められます。

5. シュリンク包装機

熱を加えると縮む性質のフィルムを使用し、トンネル内で熱風や蒸気によってフィルムを縮ませて製品を包装します。ガス封入包装機はノズルを袋の口に差し込み、空気を吸い上げる片側とガスを充填する片側の2本のノズルを利用する仕組みです。

包装機のその他情報

包装機はさまざまな機械と併用することで、生産ラインを効率化させています。

包装機と併用する機械

1. ラベル機
ラベル機は、包装された製品にラベルを貼るための機械です。自動的にラベルを製品に貼り付けられ、製品の種類や形状に応じて異なるタイプのラベル機があります。

ラベル機は、包装機と連携して使用されることが多く、効率的な生産ラインを構築するために重要な役割を担っています。

2. 検査機
検査機は、包装された製品の品質をチェックするための機械です。金属探知機やX線検査機、重量検査機などがあり、異物混入や欠陥品を検出して排除することが可能です。検査機は、包装機と併用されることで、安全で高品質な製品の提供が可能になります。

3. パレタイジング機
パレタイジング機は、包装された製品をパレットに積み上げるための機械です。ロボットアームやコンベアシステムを利用して、効率的に製品をパレットに積み上げられます。パレタイジング機は、包装機と連携して使用され、出荷作業を効率化し、労働負担の軽減に貢献しています。

参考文献
https://www.ishida.co.jp/ww/shichiho/original/various-packaging.cfm
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/packing/chapter01/int_pack_machine.jsp
https://www.youtube.com/watch?v=iy0WFpSPpK0
https://www.orikane.co.jp/orikanelab/5445/
http://www.jpml.jp/expert/knowledge/06.html

亜鉛ダイカスト

亜鉛ダイカストとは

亜鉛ダイカストとは、高温で溶かした亜鉛を精密な金型に高圧・高速で流しこんで、瞬時に金属製形をするダイカストとという製法またはその製法で作られた製品のことです。

亜鉛ダイカストは、寸法の精度や強度が非常に高く、その柔軟性からさまざまな形状に対応可能な点が特徴です。優れた特性をいかして、私たちの身の回りの日用品から工業製品まで幅広く利用されています。

亜鉛ダイカストの使用用途

亜鉛ダイカストは、インテリアの調度品や服飾および家具の建築金物に使用されます。例えば、屋内用ドアのドアノブなどは亜鉛ダイカスト製品です。

調度品としては、置き時計の本体が例として挙げられます。亜鉛ダイカストの表面は滑らかであり、金・銀・クロムニッケルなど他の金属のめっきや、塗装加工に優れているため、さまざまな質感の製品に仕上げることが可能です。

また、70年代に流行した超合金と呼ばれる金属製の玩具も、亜鉛ダイカスト製品です。超合金の玩具は細かい形状も再現可能で、重量感もあることから、比較的高価ながらも人気を得ました。工業用途では、複雑な機械部品 (モーター用受け軸の部品、ギア、自動車・バイクのミッション関連部品) や、弱電関係機器や医療関係機器の部品にも使用されています。

亜鉛は融点が低いため薄肉に加工しやすく、さらに寸法精度が良いことから、複雑な機械部品に適しています。

亜鉛ダイカストの性質

亜鉛以外にもダイカストで用いられる金属にアルミニウム合金がありますが、亜鉛はアルミニウムに比べて強度が強く、金型をより長く利用できるという利点があります。この特徴により大幅な生産コストカットが可能です。

また、機械部品や機器部品に使用した場合、高い電気伝導率により入力のエネルギーロス (余計な熱が発生しない) が抑えられ効率的に機器を使用できます。さらに、他の金属に比べて融点温度が低いことから、亜鉛ダイカストで作られた部品同士の接合も、冷間成形・加工により容易です。

亜鉛ダイカストの特徴

1. 表面処理に向いている

亜鉛ダイカスト製品は、滑らかな表面が特徴です。滑らかな表面によってめっきや塗装などが施しやすく、さまざまな色や質感の製品に仕上げることができます。

2. 寸法精度が高い

ダイカスト製品はプラスチックの射出成形や、ダイカストのように製造時に圧力を用いない重力鋳造に比べて、高い寸法精度が得られます。自動車部品ではドアミラーのステーと呼ばれる支持台に、亜鉛ダイカストが用いられています。

3. 薄肉で軽量化もできる

亜鉛は金属材料としては融点が低く、ダイカストにおいても材料が金型内部に流れやすい材料です。ダイカストは湯口から材料を流し込み製品全体の形状を作るため、細い部分や薄肉の部分には溶湯が流れにくい場合があります。

亜鉛ダイカストは良好な湯流れ性を活かして、薄肉で軽量化した製品の製造も可能です。

4. 高い量産性

一般的にダイカストは大量生産に向いた製法ですが、亜鉛ダイカストは特に量産性に優れた製法です。ダイカストに用いる金型は、溶湯が繰り返し流れることによって、摩耗や損傷が起こり、決して無制限に製造できるわけではありません。

金型の寿命はアルミダイカストでは10万個程度ですが、亜鉛ダイカストは50万個程度まで製造することができます。

亜鉛ダイカストの種類

亜鉛ダイカストに用いられる亜鉛合金には、ZDC1とZDC2の2種類があります。両者の主な違いはCuの含有量です。ZDC1が0.75~1.25%のCuを含むのに対して、ZDC2は0.25%以下とされています。

ZDC1は機械的性質と耐腐食性および耐クリープ性に優れているため、より強度が要求される場合に利用されます。一方で、ZDC2は優れた寸法安定性により表面が綺麗に仕上がる特性のため、金・銀が鍍金加工が必要なインテリア調度品や家具の金物などに多く使用される材料です。

参考文献
http://www.takahashi-tk.co.jp/die-casting.html
https://jlzda.gr.jp/zd_po.htm

ワイヤーボンダ

ワイヤーボンダとは

ワイヤボンダはICチップやLSIチップなどの集積回路で、多数のI/O電極を基盤側と電気的に接合する為の装置です。

その他、プリント基板同士の電極を繋ぐ用途などでも用いられます。 近年での集積回路実装にはフリップチップボンダが多用されていますが、ワイヤボンダで接合するニーズは現在でも残されています。ワイヤボンダには実態顕微鏡で観察しながらボンディングするマニュアルタイプと、予めボンディングアドレスをプログラムする全自動タイプがあります。

ワイヤーボンダの使用用途

半導体製造工程の後工程であるアセンブリ工程で主に使用されます。 その場合は集積回路内部での結線作業となり、その他に基板への集積回路の実装工程でも用いられます。

実験や試作的な基板回路を製作する場合には上述したマニュアル式が用いられ、量産工程では全自動型のワイヤボンダが利用されています。ワイヤボンダは電極を1対1で結線していく為、高い生産性が要求されます。その為、1カ所当たりの結線速度が0.05秒程度の高速で結線する製品が主流となっています。

ワイヤーボンダの原理

基板上の電極と、集積回路の電極間を金やアルミ、などの極細ワイヤーで結線していきます。 各電極とワイヤーの接合には超音波溶着技術が用いられ、ごく短時間で接合を終えます。 ワイヤーを渡し、接合する部分をヘッドと呼び、その構造によって複数のタイプが存在します。

ワイヤボンダは極微小な電極間にワイヤー結線をする必要がある為、位置決め精度は非常に高精度となっており、±2ミクロン程度の精度誤差が必要となります。また、精密なヘッドの押しつけ荷重 (ボンディング荷重) の管理と制御を必要とし、高度な位置決め精度を実現する為に外部からの振動を抑制する無反動サーボ機構や防振システムを搭載しています。

ワイヤボンディングには大別して2つの方法があり、一つはボールボンディングと呼ばれ、ワイヤと電極間に放電を発生させ、双方の溶融部がボール状に形成され、その後に熱や超音波を加えながら圧接する方法と、ウェッジボンディングと呼ばれるボール状の溶融部を形成せずにワイヤーを直接電極へ超音波で圧接する方法があります。

用いられるワイヤ径は十数ミクロンから数百ミクロンのリボンワイヤまで幅広い種類があり、そのワイヤによってボンディング方法を選定する必要があります。