亜鉛ダイカスト

亜鉛ダイカストとは

亜鉛ダイカストとは、高温で溶かした亜鉛を精密な金型に高圧・高速で流しこんで、瞬時に金属製形をするダイカストとという製法またはその製法で作られた製品のことです。

亜鉛ダイカストは、寸法の精度や強度が非常に高く、その柔軟性からさまざまな形状に対応可能な点が特徴です。優れた特性をいかして、私たちの身の回りの日用品から工業製品まで幅広く利用されています。

亜鉛ダイカストの使用用途

亜鉛ダイカストは、インテリアの調度品や服飾および家具の建築金物に使用されます。例えば、屋内用ドアのドアノブなどは亜鉛ダイカスト製品です。

調度品としては、置き時計の本体が例として挙げられます。亜鉛ダイカストの表面は滑らかであり、金・銀・クロムニッケルなど他の金属のめっきや、塗装加工に優れているため、さまざまな質感の製品に仕上げることが可能です。

また、70年代に流行した超合金と呼ばれる金属製の玩具も、亜鉛ダイカスト製品です。超合金の玩具は細かい形状も再現可能で、重量感もあることから、比較的高価ながらも人気を得ました。工業用途では、複雑な機械部品 (モーター用受け軸の部品、ギア、自動車・バイクのミッション関連部品) や、弱電関係機器や医療関係機器の部品にも使用されています。

亜鉛は融点が低いため薄肉に加工しやすく、さらに寸法精度が良いことから、複雑な機械部品に適しています。

亜鉛ダイカストの性質

亜鉛以外にもダイカストで用いられる金属にアルミニウム合金がありますが、亜鉛はアルミニウムに比べて強度が強く、金型をより長く利用できるという利点があります。この特徴により大幅な生産コストカットが可能です。

また、機械部品や機器部品に使用した場合、高い電気伝導率により入力のエネルギーロス (余計な熱が発生しない) が抑えられ効率的に機器を使用できます。さらに、他の金属に比べて融点温度が低いことから、亜鉛ダイカストで作られた部品同士の接合も、冷間成形・加工により容易です。

亜鉛ダイカストの特徴

1. 表面処理に向いている

亜鉛ダイカスト製品は、滑らかな表面が特徴です。滑らかな表面によってめっきや塗装などが施しやすく、さまざまな色や質感の製品に仕上げることができます。

2. 寸法精度が高い

ダイカスト製品はプラスチックの射出成形や、ダイカストのように製造時に圧力を用いない重力鋳造に比べて、高い寸法精度が得られます。自動車部品ではドアミラーのステーと呼ばれる支持台に、亜鉛ダイカストが用いられています。

3. 薄肉で軽量化もできる

亜鉛は金属材料としては融点が低く、ダイカストにおいても材料が金型内部に流れやすい材料です。ダイカストは湯口から材料を流し込み製品全体の形状を作るため、細い部分や薄肉の部分には溶湯が流れにくい場合があります。

亜鉛ダイカストは良好な湯流れ性を活かして、薄肉で軽量化した製品の製造も可能です。

4. 高い量産性

一般的にダイカストは大量生産に向いた製法ですが、亜鉛ダイカストは特に量産性に優れた製法です。ダイカストに用いる金型は、溶湯が繰り返し流れることによって、摩耗や損傷が起こり、決して無制限に製造できるわけではありません。

金型の寿命はアルミダイカストでは10万個程度ですが、亜鉛ダイカストは50万個程度まで製造することができます。

亜鉛ダイカストの種類

亜鉛ダイカストに用いられる亜鉛合金には、ZDC1とZDC2の2種類があります。両者の主な違いはCuの含有量です。ZDC1が0.75~1.25%のCuを含むのに対して、ZDC2は0.25%以下とされています。

ZDC1は機械的性質と耐腐食性および耐クリープ性に優れているため、より強度が要求される場合に利用されます。一方で、ZDC2は優れた寸法安定性により表面が綺麗に仕上がる特性のため、金・銀が鍍金加工が必要なインテリア調度品や家具の金物などに多く使用される材料です。

参考文献
http://www.takahashi-tk.co.jp/die-casting.html
https://jlzda.gr.jp/zd_po.htm

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