近接センサー

近接センサーとは

近接センサー

近接センサーとは、検出対象物などが物理的に接触せず近接することで接点をON/OFFさせるセンサーです。近接センサーは、機械式のスイッチと異なり、検出対象物などと物理的に接触して接点をON/OFFさせるタイプではないことが特徴です。

また、近接センサーの検出方式には、主に誘導方式、静電容量方式、磁気方式の3つがあります。この検出方式により、検出対象物に接触することなく検出することが可能です。近接センサーは、非接触式センサーのため、検出対象物への損傷や摩耗などを懸念することなく使用することができます。

近接センサーの使用用途

近接センサーは、さまざまな生産現場におけるワークの有無や位置決めなどの検出に利用されています。この理由は、近接センサーが一般的に金属および非金属製の個体検出に対して、非接触且つ検出距離が比較的短いという特徴があるからです。

一方、静電容量型近接センサーの場合、液体や粉体を貯蔵するタンク内の量やスプレーで吐出する流体といった場面でも利用されています。静電容量式近接センサーは、誘導型近接センサーや磁気型近接センサーが優位に検出する個体とは異なり、金属および非金属以外にも液体や粉体まで検出可能であるためです。

近接センサーの種類

近接センサーは、検出対象物と非接触で検出するセンサーです。このため、検出対象物が近接センサーに近づくことで、センサーの種類によって異なる検出方式のエネルギーを放出します。

近接センサーは、このとき反射するエネルギー変化を電気信号に変換することにより、物体の検出が可能です。このため、近接センサーは検出方法によって、主に3種類に大別されます。

1. 誘導型近接センサー

誘導型近接センサーで物体の検出に利用するのが、磁界と誘導電流です。近接センサー検出部の検出コイルに高周波の磁界を発生させます。

この磁界に鉄、、アルミ、真鍮などの金属製検出対象物が近づき、電磁誘導によって発生するのが誘導電流です。そして、金属製検出対象物の抵抗によりエネルギー損失が発生します。誘導型近接センサーは、この電流による検出コイルのインピーダンスの変化を検出します。

2. 磁気型近接センサー

磁気型近接センサーは、磁石の力を利用して物体を検出します。磁気型近接センサーの検出部に備わっているのが、磁石とリードスイッチです。

磁石または強磁性体の検出対象物がセンサー検出部に近づくことによって、磁気型近接センサーのリードスイッチが開閉動作することで、物体を検出することができます。

3. 静電容量型近接センサー

静電容量型近接センサーが物体の検出に利用するのが、静電容量の変化です。静電容量型近接センサーの検出部は測定電極が備わっています。

この測定電極に検出対象物が近づくことで生じるのが、電極と検出物体間の静電容量の変化です。静電容量式近接センサーは、発生した静電容量の変化を検出することで、金属および非金属以外にも液体や粉体まで検出することができます。

近接センサーのその他情報

1. 近接センサーの誤作動

近接センサーを使用していると、検出物体の検知が上手くできなかったり、検知したままの状態から戻らなくなったりなど、様々な誤動作が発生する場合があります。特に近年増加しているのは、スマートフォンに搭載されている近接センサーの誤動作です。

多くのスマートフォンでは電話に出るときに、本体を耳に近づけると画面が消えるようになっています。画面が消える動作を可能にしているのが近接センサーです。近接センサーが検出物体(この場合は人の顔や耳等)の接近を検知しているからです。このため、もし近接センサーが故障してしまうと、顔を近づけても画面が消えない、通話中でもないのに画面が消えてしまうなどの不具合が発生します。

近接センサーが誤動作する具体的な原因は、以下のようなものがあります。

  • センサー部の汚れやゴミ
  • 出力時のチャタリング
  • 周囲金属の影響
  • 強い衝撃
  • 配線の間違い

近接センサーは、センサー部の周囲環境による影響を受けやすいのが特徴です。このため、近接センサーの検出部は、異物の混入等がないように安全かつ清潔に保つ必要があります。また、チャタリング等のノイズも悪影響を及ぼすため、配線の際はアース設置の徹底や絶縁体を入れるなどして対応する必要があります。

2. 近接センサーの検出距離

近接センサーの「検出距離」とは、所定の方法・条件下にて検出物体を移動させたときの、基準位置から信号検知までの距離のことです。その長さは各仕様によって異なり、長いものでは最大30mmのものもあります。

とはいえ、近接センサーを使用する環境は、必ずしも理想的であるとは限らないのが実情です。例えば、工作機械で使用される近接センサーは、周囲金属や切粉、クーラント等の影響を受ける場合もあります。近接センサー周囲の温度や電圧の影響等によって、検出距離が短くなることも考えられます。

近接センサーの周囲環境を考慮したうえで、安定して使用できる距離が「設定距離」です。設定距離は通常、検出距離の70~80%になると言われています。近接センサーの使用を検討する際は、物体検出に必要な検出距離と、設置する場所の環境を考慮して選定する必要があります。

参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/tech_guide/proximity/index.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/41/17/index.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq00417.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq00416.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq05673.html

ターミナルリレー

ターミナルリレーとは

ターミナルリレー

ターミナルリレーとは、複数のリレーと端子台を一体とした入出力信号処理装置です。

プログラマブルコントローラのI/Oや電磁弁などを中継するインターフェース機器として使用されます。入出力インターフェース機器の役割を担うターミナルリレーの主な構造は、プリント基板を内蔵した台座に端子台が設けられ、この台座に独立した1極タイプの小型リレーを用途に応じて複数取り付けることができるため、メンテナンス性に優れながらもコンパクトなリレー構造として、装置の小型化や省配線化に貢献しています。

ターミナルリレーの使用用途

ターミナルリレーは主に産業用途に使用される製品です。以下はターミナルリレーの使用用途一例です。

  • プレス機や加工機の内部信号通信用
  • 大型ポンプやファンと制御装置の信号中継用
  • スラリー処理装置の信号中継用

一般的に大型産業機器を複雑に制御する場合はマイコンやPLCなどの制御装置が使用されます。これらの制御装置は複雑な内部処理が可能な一方、出力信号の許容電流は小さい場合が多いです。これらの機器に大電流を導通させると、故障頻度を早めるなどの悪影響が考えられます。

したがって、電磁弁などの負荷電流・突入電流が大きい機器を制御したい場合、制御機器の出力をリレーによって絶縁します。ただし、パワーリレーなどを横並びに複数個設置すると、スペースを占有する上に制御配線も煩雑になります。

ターミナルリレーは端子台とリレーが一体となった機器であり、1極小型リレーを並べることが可能です。したがって、省スペースかつ省配線を達成することができます。

ターミナルリレーの原理

ターミナルリレーは、端子台部品とリレー部品によって構成されます。

1. 端子台部品

端子台部品はリレーのソケットと端子台が一体となった部品です。電気が導通する箇所は銅や鉄ネジで構成され、ケーシングは硬質合成樹脂などで構成されます。丸端子などで端末処理された外部配線を鉄ネジで締め付けて固定する製品が多いです。

一般的にはリレーを4つ取付可能なソケットを有する製品が多く、1つのリレー対して入力と出力を2端子ずつ配置されます。16点用の製品なども存在します。端子台部品のみを指して、リレーターミナルと呼ばれることがあります。

2. リレー

リレーは信号を絶縁して中継する部品です。ターミナルリレーとしては一般的に小型の1極リレーが使用されます。端子台部品に裏面のピンで差し込んで取り付けることが多いです。リレーの仕様はリレー表面のケーシングに印字されている場合が多く、電源仕様や信号種類がさまざまな製品を販売されています。

ターミナルリレーの選び方

ターミナルリレーを選定する際は、下記の観点で選定します。

1. 出力点数

出力点数はターミナルリレーによって出力可能な点数です。汎用品の多くは4点出力ですが、PLCと接続する製品には16点出力や32点出力の製品が存在します。多くの機器を制御する系統の場合は、出力点数が多いほど省配線となります。

2. 入力仕様

入力仕様はリレーのコイル部分に入力される信号種類です。AC100VやDC24Vなどの仕様があります。制御機器の出力仕様に応じて入力仕様を選定します。

3. 出力仕様

出力仕様はリレーが出力する信号の仕様です。信号種類や定格通電電流などの要素があります。

信号種類は主に有接点と無接点で大分されます。有接点は金属切片を電磁コイルで機械的に動作させて信号を伝える方式です。許容電流が大きい傾向にある上に、熱に強いなどの利点があります。ただし、開閉動作によって接点部品が徐々に摩耗していく欠点があります。

無接点は半導体またはソリッドステートリレーなどで電気信号を伝える方式です。物理的に駆動する箇所を持たないため、高開閉頻度や高速開閉での使用に耐えます。ただし、熱に弱く、定格以上の電流が流れると半導体部品が故障してしまうなどの欠点があります。

定格通電電流は導通できる電流値の大きさです。電流値が大きいほど大負荷を制御することが可能ですが、リレーが大きくなってしまうことが多いです。一般的にターミナルリレーとして使用される場合は、1~5A程度の通電電流の製品が多いです。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/generalrelay_tg_j_10_4.pdf

培養装置

培養装置とは

培養装置

培養装置とは、動物、昆虫の細胞や、大腸菌やその他のバクテリアまたは植物などの培養を行うための装置です。

これらの生物や細胞が育成しやすい環境 (温度・湿度など) をコントロールし一定に保つことができます。バクテリアなどのために振とう培養できるものを特にバイオシェーカーと呼びます。

また、哺乳類細胞の培養において培地のpHをバッファするために二酸化炭素を導入できるものをCO2インキュベータと呼びます。

培養装置の使用用途

培養装置の主な使用用途は、温度や湿度をコントロールし動物細胞や微生物を育成するためです。また、培養装置は生命科学や生物学をはじめとする多くの分野で頻繁に使用されています。大腸菌を培養する場合は、タンパク質を大腸菌内で発現させる為に培養することが多いです。

使用温度は、一般的に生理条件である37℃ですが、使用目的に応じて低温から高温(+4℃から+70℃) まで使用することが可能です。

培養装置の原理

培養装置の機能コントロールは実験によって異なりますが、適切な温度条件に調節することはどの実験でも共通して重要です。温度コントロールは、気体を用いた気相と液体を用いた液相のどちらかで行われます。両者とも壁面を通して加温と冷却を行うことが可能です。

気相で行う場合は温度コントロールがしやすく、柔軟に温度調節できますが、周囲温度の影響を受けて温度変化しやすいです。一方、液相では温度コントロールしにくい反面、保温・保冷性に優れています。

生物学系の分野では、装置内に使用する溶液が培養しているサンプルに混入してしまう恐れがあるため、気相で培養することが多いです。

培養装置の種類

1. バイオシェーカー

バイオシェーカーとは、液体培地と空気を混ぜるために必要な「振とう」ができる培養装置のことを指します。「振とう」には左右と回転振とうがあり、試験管や丸底フラスコ培養では左右、バッフル付き三角フラスコでは回転振とうで培養します。

生物学系の研究室では、三角フラスコを用いて培養培養することが多く、バッフルが付いている三角フラスコは、培地と空気がよく混ざりやすいので生育時間の改善することができます。

2. CO2インキュベータ

CO2インキュベータとは、CO2供給と湿度をコントロールできる培養装置のことを指します。培地のpHを一定に保つために5%前後のCO2中で培養を行います。また、急激なpH変化を防ぐために一般的に炭酸水素ナトリウムなどのpH緩衝剤使用されています。

湿度のコントロールは、装置内に滅菌水を張ったトレイを設置し自然蒸発によって90~95%の湿度に保ちします。哺乳類の細胞を培養する際、接着細胞と浮遊細胞によって培養方法が異なります。接着細胞を培養する場合インキュベータ内に細胞の入ったプレートを静置するだけで細胞が増えていきますが、浮遊細胞の場合は、装置内にスターラーを設置し、スターラー上で常に培地内を攪拌しながら培養する必要があります。

培養装置のその他情報

1. 菌培養装置

菌培養装置とは、培養装置内を38℃に保つことができるバイメタルサーモ式サーモスタットが搭載されています。主に食品加工業者が使用し、微生物 (大腸菌やサルモネラ菌等) を培養し、増殖検査を行うために用いられる装置です。試薬によって変化した微生物の色を蛍光ランプで識別することができるのが特徴です。

生物分野の研究や医学分野の検査などでは、細菌や菌類 (カビ、酵母など) を培養するために、微生物培養装置と呼ばれる培養装置を使用します。

2. 細胞培養装置

細胞培養装置とは、一般的にヒト由来の哺乳類細胞を培養するために使用されています。主な実験目的は、細胞観察や細胞内で発現させたタンパク質の利用です。

実験の際に細胞が剥れないように古い培地を吸引除去して新しい培地を添加する培地交換という作業や、増殖した細胞を複数の培養容器に、所定のサイズ・密度で均一に播種する継代培養という作業が数日ごとに発生します。

研究者や技術者にとって、これらの作業を習得・学習するのに多くの時間を要したり、定期的な培地交換等は、大きな負担になっています。そこで近年では、継代や培地交換を自動でコントロールできる「自動細胞培養装置」が様々なメーカーで開発されています。 この装置により、質の高い細胞を安定にかつ一定量確保できます。

3. 培養装置の英語表記

培養装置は、日本のメーカーやラボではインキュベータ (incubator) と呼ばれることが多いです。しかし、インキュベータは、本来鳥類や爬虫類の卵のための孵卵器の意味を持ちます。温度を一定に保つ装置から派生して、incubatorは培養装置の意味も持つようになりました。論文等で培養装置をincubatorと表記することは間違いです。各装置の英語表記は以下の通りです。

  • 培養装置: culture apparatus
  • 微生物培養装置: bacterial culture apparatus
  • 嫌気培養装置: anaerobic culture apparatus

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/qa/detail/5/
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/cell-culture-environment/
https://www.healthcare.nikon.com/ja/ss/cell-image-lab/glossary/incubator.html
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/taishou_hitaishou/20060929/kinbaiyousouchi.pdf
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/references/gibco-cell-culture-basics/cell-culture-equipment.html
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1903/28/news027.html
https://www.panasonic.com/jp/company/ppe/saibobaiyo.html 

ピッキングシステム

ピッキングシステムとは

ピッキングシステム

ピッキングシステムとは、倉庫にある多種多様な商品の中から、指定されたものを探して持ってくるというピッキングの作業を効率的に行うためのシステムです。

ピッキングシステムを導入することで、誤ピッキングの防止や初心者でも短時間で必要な製品や商品を見つけ出せるようになります。ピッキングシステムには、表示器付きのカートやハンディターミナルなどの物理的なものから、手持ちのスマートフォンやタブレットにアプリを導入するだけで使えるようソフトウェアとして販売されているものまで、種類はさまざまです。

ピッキングシステムの使用用途

ピッキングシステムは、物流倉庫や工業製品の工場での製品出荷管理に用いられています。多種多様な在庫から、必要な製品を必要な数だけ素早く選び出すために、ピッキングシステムは欠かせません。

近年は、ECサイトの発展によってネット通販の需要が拡大しており、通販会社では物流倉庫内の商品をいかに素早く正確に出荷のプロセスまで到達できるかが課題です。ピッキングシステムは、こうした通販会社の物流倉庫などで、正確で迅速な仕分け作業を行うために導入されています。

また、調剤薬局では薬剤監査システムとして、ピッキングシステムが導入されています。薬剤監視システムとは、医療品の種類と数が正確であるかどうかを機械によって判別するためのシステムです。

薬剤師による管理に薬剤監査システムを加えることによって、薬剤を間違えてしまう調剤事故の発生を防いだり、薬剤師の業務を効率化し、薬を受け取る患者さんの待ち時間を減らしたりすることにもつながります。

ピッキングシステムの原理

ピッキングシステムは規模によらず原理として、3つの機能によって成り立っています。1つ目は作業者や搬送機械にピッキング指示を出す機能、2つ目は実績を記録する機能、3つ目は在庫管理システムなどと連携する機能です。

現在のピッキングシステムでは、これらの管理がパソコンやタブレットPC、スマートフォンで行えるようになっています。ピッキングシステムには、さまざまな種類があります。

小規模なシステムとして、デジタルピッキングシステム (DPS) が挙げられます。ハンディーターミナルなどの表示器によって、作業者の仕事を補助するものです。

一方で、大規模なピッキングシステムは、ピッキング作業全体を機械によって自動化したものです。大規模な倉庫や工場に導入されています。

ピッキングシステムの選び方

1. シングルピッキングとトータルピッキング

シングルピッキングは、オーダーごとに保管場所から商品を取り出す方法で、商品が少ない場合に適しています。トータルピッキングは、オーダーされた商品をまとめて保管場所から取り出し、後で仕分けを行う方法です。商品単位でまとめて作業するため、移動距離と時間を短縮することができます。

2. 無線式と有線式

無線式のピッキングシステムは配線工事がなく、比較的導入は簡単ですが、充電の手間がかかります。一方、有線式は充電の手間はかかりませんが、工事が必要で設置場所が変わると、その度に配線の見直しが必要となります。

3. クラウド型とオンプレミス型

クラウド型はサーバー管理が不要で、初期費用も抑えられますが、インターネットを介するためセキュリティ面では注意が必要です。オンプレミス型は初期費用はかかりますが、既存システムとの連携が容易な場合が多く、自社で既にサーバーなどの環境が整っていると、トータルコストを抑えることもできます。

ピッキングシステムのその他情報

薬局での導入事例

厚生労働省「調剤業務のあり方について (薬生総発0402第1号) 」が発出され、薬剤師免許を持たないものでもピッキングや薬剤の数量確認などの補助作業が可能となりました。ただし、本通知には医薬品のピッキングミスや入力ミスによって発生する調剤過誤を確実に防止するため、「判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること」という条件が明記されています。

薬局で使用するピッキングシステムにおいては、この要件を満たす適切なシステムの導入が必要です。医薬品のピッキングシステムに使用される判別方法には、主に以下の2つのタイプがあります。

1. 機器内蔵のカメラで撮影し、画像認識により判別するピッキングシステム
機器内蔵のカメラで撮影し、画像認識により判別するタイプは、バーコードのついていない医薬品も判別することが可能で、自動で写真を残すこともできます。一方で、機器自体が大型になることが多く、他のタイプと比較すると高額になる場合があります。

2. 印字されたバーコードのスキャンにより判別するピッキングシステム
印字されたバーコードのスキャンにより判別するタイプは、比較的安価で小型の機種が多く、配線工事も不要な機器が多いため導入しやすいというメリットがあります。ただし、数量監査のできない機種が多く、目的にあった機器であるかの確認が必要です。

適切なピッキングの導入によって、誰でもミスのないピッキングが可能となり、薬剤師が本来の業務に集中できる環境が整います。さらに、数量監査を同時に行うことで、監査を担当する薬剤師の負担軽減や発注や棚卸の業務効率の向上にもつながります。

参考文献
https://www.upr-net.co.jp/info/pallet/digital_picking.html
https://www.daiwabutsuryu.co.jp/useful/words/dps
https://www.fujielectric.co.jp/products/logistics/future/picking-hikaku/
https://www.mhlw.go.jp/content/000498352.pdf
https://medicalfields.jp/

高周波ウェルダ

高周波ウェルダとは

高周波ウェルダとは、高周波誘電加熱で溶接するための装置です。

塩化ビニルナイロンなどの熱可塑性樹脂に適用します。高周波ウェルダを用いた溶接を溶着と呼び、他の外部加熱溶接法よりも溶着強度が高く仕上がりも美しいことが特徴です。

マイクロ波加熱と比較して高周波ウェルダでは一対の電極板で挟んで加熱を行うため、部分的かつ深い加熱を行うことができます。

高周波ウェルダの使用用途

高周波ウェルダは、シート状の素材をつなぎ合わせるために使用されます。高周波ウェルダの具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • テントやライフジャケット
  • 名刺ケースやブックカバー
  • 人工皮革によるバッグ
  • 調味料や歯磨き粉の外装

高周波ウェルダで使用できる素材は、その原理上限られています。ただし、縫い目や縫い代が無いため接着部の仕上がりが非常に美しい点から、美観を要求される製品で使用されます。

また、高い強度と均一な品質を達成できることから、テントのような気密性や防水性を確保するために縫製できない製品の製作に最適です。

高周波ウェルダの原理

高周波ウェルダは誘電加熱を行うことで、熱を発生させます。誘電加熱は誘電体材料を加熱する方法で、周波数が高い電圧を印可することで分子を揺さぶり摩擦熱を発生させます。

摩擦熱は分子内部で発生するため、素材の内部から均一に加熱可能な点が特徴です。ただし、上記原理の関係から塩化ビニルやポリエチレンなどの誘電体材料のみに適用可能な加熱方法です。

なお、高周波ウェルダに用いられる電圧周波数は3MHzの短波から30GHzのセンチ波に相当する周波数帯となっています高周波ウェルダは素材の凹凸による影響がでないように一定の圧力を加えつつ、溶着する素材を電極で挟んで高周波電圧を印可します。

素材は数秒間で120~130度の高温に達し、半液相状態になります。この状態で加熱をとめて圧力をかけたまま冷却すると、素材同士が混ざり合って接着される仕組みです。

高周波ウェルダのその他情報

1. 高周波ウェルダ加工

高周波ウェルダ加工は熱を外部から印加しないため、焦げ付きや溶けた樹脂の糸引きなどによる外観不具合が発生しないことが最大の特徴です。そのほか、溶着したい部分を電極となる金型で挟んで局所的に誘電加熱を行うため、周辺部分の変形・変色が起きないこともメリットとして挙げられます。。

溶接加工時に発煙せず、VCからの有害成分が発散しません。そのため、安全で環境に配慮した加工が可能です。

2. 高周波ウェルダで溶着する材料

高周波ウェルダでの加工に使用される主な材料は以下の通りです。

  • PVC (塩化ビニール)
    ビニールシートや人工皮革の材料として使用されます。柔らかく熱加工しやすいため、高周波ウェルダ加工では最も多く使用されている材料です。
  • TPU (熱可塑性ポリウレタン)
    ホースや台車のタイヤなど弾力を持たせる用途に広く使用されます。スマホのソフトケースでは高周波ウェルダ加工によって本体バンパーとカバーが溶着されています。
  • POF (ポリオレフィン)
    ポリエチレンやポリプロピレンなどがポリオレフィンの仲間です。高周波ウェルダによって袋状に成形され、マヨネーズなどの調味料や、歯磨き粉のチューブケースなどに活用されています。

3. 高周波ウェルダの周波数

加工する対象物の厚みや材質により印加する電力や周波数選定が必要です。一般には、ビニルのようなプラスチックシートの場合は40MHz~200MHz、熱硬化プラスチックの溶着には10MHz~50MHz付近の高周波磁界が使用されます。

さらに、電子レンジのマグネトロンで使われている2.45GHzも、高周波ウェルダや加熱用の高周波発信機で多く使用される周波数帯です。

4. 高周波ウェルダの価格

高周波ウェルダは一般的に頑丈な架台などに設置して使用します。したがって、大型の機器が多く、産業用途のでの利用がほとんどです。価格帯はサイズや出力容量によって幅広く、小型の製品は1,000,000円程度で購入可能な場合もあります。ブルーシートやテントシートのような大型シート用の設備になると、5,000,000~10,000,000円程度の製品も販売されています。

参考文献
http://www.vinita.co.jp/institute/radiofrequency/020080.html
https://www.honda-el.co.jp/hb/3_1.html

ビームスプリッタ

ビームスプリッタとは

ビームスプリッタ

ビームスプリッタとは、一本のビーム (光速) を2本に分離するための光学素子です。

ビームスプリッタは、光路図などでBSまたはB/Sなどと略記されることがあります。ビームスプリッタに光を通すと、ビームスプリッタに設計された比率で透過光と反射光に分けることができます。その比率は1対1であったり、2対8であったりとさまざまです。

特に、1対1のものハーフミラーと呼ぶことがあります。通常、比率は固定ですが、波長板などと組み合わせることで任意に分割する装置を作ることも可能です。また、分離した光を再びビームスプリッタに通して再結合させることもできます。

ビームスプリッタの使用用途

ビームスプリッタは、主にカメラや顕微鏡などの光学機器に用いられます。ビームスプリッタには、直角プリズムを2つ張り合わせた「キューブ型」と、薄いガラスに特殊なコーティングを施した「プレート型」があります。

蛍光光学顕微鏡などには、プレート型のビームスプリッタが用いられることが多いです。キューブ型は光学系をコンパクトにしたい場合や、透過光と反射光の光路量を揃えたい場合などに用いられます。一般的に、キューブ型のほうは価格が高く、プレート型のほうが安価な傾向があります。

ビームスプリッタの原理

ビームスプリッタは、誘電体多層膜により一部の光を反射させることで、ビームを2本に分離させることができます。ビームスプリッタの形状には、キューブ型とプレート型があり、形状によって原理は異なります。

1. キューブ型

キューブ型ビームスプリッタは、2つの直角プリズムの接着面に、誘電体多層膜という光学皮膜を張り合わせたものです。誘電体多層膜の厚みを調整することで反射光と透過光の割合を変えることができます。キューブ型の特徴は、ビームスプリッタへの光の入射角が0度であることです。そのため、入射光の同軸上で反射が起こり、光源方向に迷光として戻ってしまう可能性があります。

2. プレート型

プレート型は、平たいガラス板に誘電多層膜を蒸着しています。プレート型は光を45度で入射させるので、キューブ型のような迷光は発生しにくいですが、透過光が屈折して出てくるため、反射光との光路差が出てしまいます。そのため、光学系でのアラインメントが重要になり、頻繁な抜き差しですぐに軸ズレなどを起こしてしまうので注意が必要です。

ビームスプリッタの種類

ビームスプリッタは、反射するビームの偏光特性により、以下の2種類あります。

1. 無極性ビームスプリッタ (NPBS)

無極性ビームスプリッタは、ビームを単純分割しただけで、極性は有していません。光学機器の様々なアプリケーションで利用され、顕微鏡や干渉光学系にはなくてはならない存在です。

通常、反射面にはクロム系のコーディングがなされており、透過側には何もありません。よって、入射経路を間違えると分割された2つのビームの強度が大きくことなってしまうので注意が必要です。前述の通り、透過光と反射光の比率が1:1となった場合に、ハーフミラーと呼ばれ、検査用照明の1つである同軸落射照明にも活用されます。同軸落車照明を使うことで対象物からの正反射光を効率的に拾うことができ、きれいな像を取得できます。

2. 偏光ビームスプリッタ (PBS)

ビームをS偏光、P偏光に分離するためのビームスプリッタです。半導体・液晶露光装置、干渉光学系、各種測定器に使用されています。P偏光は透過し、S偏光は反射する特性を利用して、無偏光状態から偏光状態を作り出す素子として活用されます。その消光比は高く、製品にもよりますが、おおよそ1,000:1程度となる場合が多いです。

偏光ビームスプリッタと波長板を組み合わせることで、任意の比率で光を分割することが可能です。1/4波長板を通過した直線偏光は、その波長板の角度に応じて、偏光角を変えることができます。波長板の光路の後ろに偏光ビームスプリッタを設置すれば、波長板の角度調節によって、ビームスプリッタで任意の強度比でビームを分割できる装置を作ることが可能となります。

ビームススプリッタのその他情報

ビームスプリッタとプリズムの違い

ビームスプリったとプリズムの違いは用途です。キューブ型ビームスプリッタは直角プリズム2個で構成されています。一方、プリズムの斜面にビームスプリッタとして機能するための光学薄膜を形成し、もう片方のプリズムと接合することでキューブ型を作成します。プリズムを2個活用しているので、光学薄膜が直接空気と接することがなく、薄膜の劣化が生じません。

プリズムは積極的に屈折を利用して光路を変える、分光するなどの用途で用いられますが、ビームスプリッタとして活用した場合は、透過光の屈折はなく、反射と透過を利用した光学素子となります。

参考文献
https://www.global-optosigma.com/jp/community/comm05_11.html
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/application-notes/optics/what-are-beamsplitters/
https://www.keysight.com/ja/pc-1000004018%3Aepsg%3Apgr/high-performance-beamsplitters?cc=JP&lc=jpn
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/application-notes/optics/what-are-beamsplitters/
https://www.chuo.co.jp/core_sys/images/main/pdf/38GC0946.pdf

赤外線サーモグラフィー

赤外線サーモグラフィーとは

赤外線サーモグラフィー

赤外線サーモグラフィーは、赤外線量を熱エネルギーに換算して温度分布を可視化することができる赤外線カメラです。

温度計は基本的に点で温度を計測するのに対し、赤外線サーモグラフィーは面で温度測定ができるのが特徴です。そのため高速かつリアルタイムの可視化も可能です。

また物体から放出される赤外線を感知しているので、非接触で離れたところから測定を行えるというメリットがあります。

赤外線サーモグラフィーの使用用途

赤外線サーモグラフィーは、医療・産業分野で広く使用されます。
医療分野では、皮膚の表面温度を測定し、それをもとに血流の良し悪しを判断する目的で使われることがあります。近年では、イベント会場などで体温測定に使用されることも一般的です。

また、建築分野で欠陥部位の検出などに使われることもあります。例えば、ひび割れなどの欠陥部分に水がたまり、周囲よりも温度が低いことがあります。これを赤外線サーモグラフィーで検出すれば、建物の老朽化や欠陥部位を調べることが可能です。

赤外線サーモグラフィ―の原理

赤外線は熱を発するものからは必ず放出されます。このとき放射される赤外線量は、温度の四乗に比例しています。したがって、赤外線量をカメラによって検出すれば、赤外線源の温度を逆算的に求めることが可能です。

しかし、これはいわゆる黒体輻射のような理想的な赤外線の放射体の場合です。実際にはカメラ測定時の損失や画像センサーの量子収率によって誤差があるため、その補正を行う必要があります。

赤外線サーモグラフィーは赤外線を光として検出する方式と、熱線として検出する方式があります。
光として検出する場合は一般的なデジタルカメラと同様です。ただし、赤外線領域に感度を持つセンサーを用いています。
熱線として検出する場合、センサーが赤外線受光時における温度上昇に伴った抵抗値の変化から、それを電流値の変化として検出しています。

赤外線サーモグラフィ―のその他情報

1. 赤外線サーモグラフィーでの検温

2019年末の中国・武漢市で初めて確認された新型コロナウイルスが世界中で広がりました。その際は、感染症防止対策としてサーモグラフィーによる検温が重要な役割を果たしました。企業や店舗、公共施設、イベント会場の入館ゲートなどあらゆる箇所で検温が行われるようになりました。

赤外線サーモグラフィーでは熱画像ピクセルごとに合計で数千の温度変化を把握可能です。このため、赤外線サーモグラフィー1台で、数万個のスポット放射温度計での同時測定と同じ効果を発揮します。精度も高く、検査スピードを短縮することも可能です。

高度な顔認証や管理ソフトウェアを併用することで、高度な入館管理をサポートするAI認証端末の導入も進んでいます。

AI認証端末の特長は、ウォークスルーで検温し、異常体温を発見するとアラーム音で知らせることが可能です。体温測定は、非接触で0.4秒以内に体温を認識し、体温検出における測定精度は±0.3度程度です。また認証精度は30~50 cmの距離で顔や手の平を高速認証するほか、マスクを着用しているときでも可能です。

2. 赤外線サーモグラフィーのアプリ

スマートフォンに装着できる赤外線サーモグラフィーと専用アプリを連携させることで、簡単に熱を可視化させることができます。

AndroidのmicroUSBやiPhoneのLightningアダプターで装着します。業務用機器というイメージが強い赤外線サーモグラフィーが、アプリによって一般ユーザーも手軽に利用できます。

フリアーシステムズでは、無料の専用アプリFLIR ONE(フリアー ワン)を起動して熱画像を撮影可能です。特殊なカメラで読み込んだ長波赤外線情報と標準カメラの写真を組み合わせることにより、従来の業務用サーモグラフィーより鮮明な赤外線画像を撮ることができます。

このダブルカメラ構造によって、「温度」という情報をスマートフォン画面で確認できるようになりました。

参考文献
http://www.avio.co.jp/products/infrared/what-thermo.html
https://viewohre.co.jp/Views/Theory/AboutThermo.aspx
https://time-space.kddi.com/digicul-column/suguyaru/20170816/2075

刻印機

刻印機とは

刻印機

刻印機 (英: marking press) とは、様々な材質や形状の物体に文字や模様をつけるための装置です。

プリンターと類似していますが、インクなどを塗布するのではなく、対象物を物理的に削ったり、化学的に変色させたりする点で異なります。したがって、刻印機で印字したものは摩擦などに強く、消えにくいのが特徴です。

従来、針や型などを使って圧力をかけることで印字を行っていましたが、近年は、レーザーを使って非接触的に印字を行う方式が顕著です。

刻印機の使用用途

刻印機は部品や製品の品質保証や管理体制の強化を目的として、製造年月日、製造番号やシリアルナンバー、ロットナンバーなどの刻印に用いられます。近年は、レーザーを使って非接触的に刻印する技術が進歩しています。

製品に物理的な負荷がかからないことや、凹凸のある複雑な形状でも印字できること、更に高速に詳細な印字ができることなどから、レーザー刻印機の使用が顕著です。また、レーザーを使用すると特殊な型などを必要としないため、印字内容の変更にも柔軟に対応できる点がメリットです。

刻印機の原理

刻印機の種類は、大きく分けて接触式と、非接触式があります。

1. 接触式刻印機

接触式はさらに、活字を必要とするタイプと針状のもので印字するタイプの2種類に分類できます。

活字を必要とするタイプ
活字を必要とするタイプは、ホルダ式やナンバリング式があります。それぞれ印字したい活字をホルダにセットしたり、ダイヤル式に並んだ活字を選んだりして、その後圧力をかけることで表面をへこませて印字を行います。

針状のもので印字するタイプ
針状のもので印字するタイプは、ドット刻印機や精密グラインダーなどがあります。ドット刻印機は、マーキングピンと呼ばれる針を表面に押し当てることで一つの点を打ちます。この点を複数打ち、点描することで刻印を行います。

精密グラインダーは、先端がドリルのように回転する針を使って表面を削り取ることで印字が可能です。基本的には手作業で印字を行うので、処理能力は低く、産業分野ではあまり使われません。

2. 非接触式刻印機

非接触式は、レーザーを照射したときに酸化などの化学反応を用いてコントラストを付ける方式で、レーザーマーカーとも呼ばれます。

刻印機のその他情報

1. プレス式の刻印機

プレス式の刻印機は、スプリングの反発力を利用した衝撃 (インパクト) で、プレス加工のように印字対象物に対して直接打刻するものです。刻印機は、手動式とエアー駆動式があります。いずれも操作が簡単であり、半永久的な刻印が可能です。

手動式の刻印機は、打刻荷重を0から自由に設定可能で、対象物の厚さによる高さ微調整が必要ありません。また、プレス用途だけではなく、カシメ、圧入、曲げ等の作業も可能です。

一方、エアー駆動式の刻印機は、エアー源だけで刻印ができるメリットがあります。このため、持ち運びができるハンディタイプの刻印機が、各メーカーから販売されています。

2. レーザー刻印機

レーザー刻印機は、レーザービームで印字対象物の表面を熱変化させて、対象物に印字や刻印を行うもので、主に金属や樹脂などへの刻印やマーキングに使用されます。刻印に使用するレーザーはコンピューターで制御します。

小さなパターンを精細に、かつ高速で刻印することができます。印字対象物に対して非接触の状態で行われるため、製品に打刻の衝撃を与えず刻印が可能です。

使用されるレーザーは、ファイバレーザーが知られています。ファイバレーザーは固体レーザーの1種で、この固定レーザーからの光源を共振媒体によって増幅し、レーザー光として発振させて使用します。ファイバレーザーは、ビームスポットが小さく、ビーム品質に優れるため装置の小型軽量化が可能であり、切断加工やマーキング、溶接などの産業用途に広く使用が可能です。

また、使用されるレーザーとしてUVレーザーも使われます。UVレーザーは、基本波長レーザーの波長 (1,064nm) の1/3 (355nm) の波長を有しており、各素材に対して吸収率が非常に高く、熱損失を与えない印字や加工を行うことが可能です。高い発色性や製品へのダメージを抑えた印字が求められる用途に最適なレーザーです。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/marking-press.jsp
https://bipj.brother.co.jp/printer/cat/marker/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/marking-press.jsp
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/uv-laser.jsp
http://www.dimach.co.jp/standard/
https://www.toyo-tos.co.jp/marking/product/impact_press.html

LEDドライバ

LEDドライバとは

LEDドライバとは、LEDを安定駆動し、かつ安全に制御するための集積回路 (IC) のことです。

LEDドライバである制御IC内には、さまざまな機能を組み込むことができますが、基本となる機能はLED専用のスイッチング電源です。LEDは電流値によって発光量が変動し、その色によっても電流値は異なるため、安定した駆動には高い精度の電流制御が必要となります。

そのためには、定電流回路による制御が非常に重要であり、これがLEDドライバの主な機能です。LEDドライバは、光源用や照明用などの用途によって適切な制御ができる専用の製品が、各メーカーから多品種用意されています。

LEDドライバの使用用途

LEDドライバの使用用途は、その名の通りLEDの駆動制御用に使用されていますが、近年では照明器具に蛍光灯ではなく、低消費電力で長寿命なLEDを採用するのが主流となっていることから、LEDドライバも照明用のものが数多く販売されています。

照明器具は明るさの調節を要求されることが多く、特にLEDドライバの場合には厳密な電流の制御が重要です。昨今、SDGsに代表されるように省エネ推進の観点からLEDを照明に切り替えるニーズも多く、高効率な点灯を行うことも要求されます。

他にも、家電製品や自動車などに搭載されるインジケータランプとしてもLEDを採用するのが主流であり、こうした用途に専用のLEDドライバが開発されている状況です。

LEDドライバの原理

LEDとは、「Light Emitting Diode (発光ダイオード) 」のことで、PN接合の順方向にバイアス印加した際に発光する半導体素子を指します。LEDドライバの原理は、この半導体素子のダイオード部分に、順方向電流を適切にバイアス供給するための回路を内蔵している点にあります。LEDドライバはIC上に集積された定電流生成回路と、製品によってはPWM制御回路や、SPIやI2Cインターフェイスを一緒に内蔵しています。

一般にLEDの発光量は流す電流の大きさで変動しますが、LEDは電流値に応じて、発光色 (発光波長) も同時に変化します。また、電流を流しすぎると素子寿命に大きな影響を与えてしまいます。よって、LEDの発光特性に応じて、光量や色合い、発光効率などを考慮の上、使用するLEDに最適な電流値を精度よく制御しながら流す必要があり、そのためにLEDドライバが用いられているのです。

LEDドライバは、単機能の場合はディスクリートのツェナーダイオードMOSFET等を組み合わせても構成できますが、複数のLEDを直列や並列接続し、最適電流値の異なるさまざまな発光色のLEDを組み合わせて動作させたい場合には、要求仕様を満足するためのICが用いられています。

LEDドライバのその他情報

1. LEDドライバのドライバ形式

LEDドライバに用いられるドライバ形式は、リニア型や昇降圧型などさまざまな形式があります。

リニア型
DCDCコンバータを内蔵せず、MOSFETと抵抗などで定電流制御を行う回路形式です。単機能ゆえ、小型化やコスト低減は図れますが、入力電圧が高い際にMOSFETの損失が大きいというデメリットがあります。

昇降圧型
LEDの段数増加にも対応可能な昇圧機能や降圧時の損失増加を抑制し高効率動作が可能な回路形式です。ただし回路が複雑でコストも高くなるため、用途に応じて昇圧や降圧のみ対応可能なLEDドライバ形式も広く普及しています。

2. PWM制御

LEDドライバには調光のためにPWM制御が広く用いられています。ドライバのDC電流値を調整する手法では、効率低下による発熱影響の問題と、電流変化に伴う波長変化 (発光色の変化) の問題があるためです。

PWM制御のドライバの場合、矩形パルスの幅 (デューティー比) を調整し見かけ上の電圧を可変すればよく、調光に伴う電力ロスは発生しません。このようなドライバでは、LEDの調光は半固定抵抗器で行う場合が多く、半固定抵抗器を取り外してボリュームに付け替えればボリュームで調整可能なLEDドライバが実現します。

LEDの明るさは、パルスのデューティサイクルに比例しますが、あまりにもON/OFFのサイクルが遅い場合には、人の目で識別できてしまい照明のチラツキに繋がります。そのため、PWM制御の設定周波数には注意が必要です。

3. シリアルインターフェイス

家電品や自動車のインパネには、複数の異なる色のLEDが使われている場合が一般的です。制御するLEDの種類と数量によっては、ON/OFFやバイアス値のアナログ信号のやり取りだけでは、IC接続が困難になることがあります。このような場合には、SPIやI2Cといった数線のデジタル制御でのシリアルインターフェイスが用いられます。

シリアルインターフェイス機能を有するLEDドライバには、数百個のLEDを同時制御可能な大規模なものや、チャンネル毎の輝度の制御や診断が可能な製品もあります。

参考文献
https://www.ti.com/
https://www.tij.co.jp/jp/lit/an/jaja409/jaja409.pdf
https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/led/knowledge/parts/driver-circuit.html
https://strawberry-linux.com/catalog/items?code=13001

フォトインタラプタ

フォトインタラプタとは

フォトインタラプタとは、一組の発光器と受光器を用いて光によって、物体の有無や位置を検出する機能を持った装置です。

フォトインタラプタは透過型と反射型に分けられます。透過型のフォトインタラプタは、発光器と受光器の間を物体通過する際に光を遮断することにより検知するものです。一方で、反射型のフォトインタラプタは、発光器が発する光を物体が反射し、その反射光を受光器が検出することで検知するものです。

一般的に透過型をフォトインタラプタ、反射型はフォトリフレクタと呼び、両者を区別しています。本記事では、前者に限定して記します。なお、透過型のフォトセンサでは、発光素子と受光素子を向かい合わせて設置しそれらを1つのパッケージに収めたものが半導体メーカーから販売されていて、いろいろな機器で使われるものはそのような製品 (部品) です。

投光器と受光器が別体のものは、生産ライン上の製品検出や屋外での人物の検出など比較的大きな物体の検出に採用されます。前者を一体型、後者を分離型と呼んで区別することがあります。

フォトインタラプタの使用用途

フォトインタラプタは、物体の通過を検知する機構のセンサーとして使われます。

具体的な応用例の一部を以下に挙げます。

  • デジタルカメラ等の撮影機材において、レンズの繰り出し量の検出や絞りの口径検出等
  • 複写機における感光ドラムのタイミング検出、コピー用紙の通過検知等
  • プリンターにおける印字ヘッドのポジション検出やタイミング検出、印刷用紙の通過検知等
  • 自動改札機における人の流れの検知
  • 自動販売機での紙幣の通過検知

以上のように、多くの分野で様々な用途に使われています。

フォトインタラプタの原理

フォトインタラプタの原理

図1. フォトインタラプタの原理

フォトインタラプタは、検出光を発する発光器とその光を受光する受光器から構成されています。

  • 発光器
    発光素子である近赤外LEDを用いて、スリットを通して特定の方向に近赤外光を投射するもの。
  • 受光器
    フォトトランジスタを近赤外光のセンサーとして用いて、フォトトランジスタのコレクタ電流の変化から物体の有無を検知するもの。

即ち、発光器から投射された近赤外光は常に受光器で受けていることから、その光路上に物体が来ると光が遮られ、受光器のフォトトランジスタのコレクタ電流が減少します。受光器の処理回路はコレクタ電流の大きさの変化を捉えて信号を出力するので、物体の通過を検出できることになります。

なお、一体型は製造時に発光器と受光器の光軸を合わせているため、改めて位置調整する必要はありません。一方、分離型では設置時に発光器の光軸と受光器のセンサー位置を正確に合わせる必要があり、この調整が不十分だと物体の検出ができなくなります。

フォトインタラプタのその他情報

フォトインタラプタの使用上の注意点

透過型のフォトインタラプタを使用する際は、以下の点に注意する必要があります。

1. 透過率の高い物体の検出
透明度が高く光が透過する物体は近赤外光も透過させるので、受光器で検出できない場合があります。

2. 小さな物体の検出
発光器のスリットより小さな物体では近赤外光を充分遮れないため、検出できない場合があります。スリットの大きさは仕様書に明記されているので、設計時に確認することが大切です。

3. 外乱光が廻り込む環境下での使用
受光器のセンサーに強い光が廻り込むと、センサーであるフォトトランジスタが飽和して物体の検出が困難になります。特に、白熱電球の様に波長1,000nm付近に大きなエネルギーを有する光は、フォトトランジスタ前面に設置された可視光カットフィルタを通過しますので、大きな影響を与えます。

4. 経時による発光器 (近赤外光) の出力低下
連続して通電動作する機器で使われる場合、発光器の近赤外LEDの光出力が徐々に低下し、正常に動作しなくなります。感度の低下に充分余裕を持った設定がおすすめです。

参考文献
https://jp.sharp/products/device/about/electronics/photointr/index.html
http://www.kodenshi.co.jp/top/seminar/vol_04/
https://www.omron.co.jp/ecb/sensor/pms-basics/precautions?sectionId=precautions
https://www.omron.co.jp/ecb/sensor/pms-basics/basics?sectionId=basic#basics02